説明

段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置

【課題】継ぎ代片に接着剤の塗布がなされているか否かを、段ボールシートの色や印刷に影響を受けることなく容易に検査することができ、かつ、構成が簡易な段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置を提供する。
【解決手段】製箱ラインを搬送される段ボールシートの継ぎ代片41に水系接着剤の塗布がなされているか否かを検査する段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置であって、継ぎ代片の移動ラインと交差する経路5でマイクロ波を発信する発信器2と、発信器と移動ラインを挟んで対向配置され、マイクロ波を受信する受信器3と、受信器からの出力値に基づいて水系接着剤層45の有無を判定する判定手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱の製造工程において継ぎ代片に接着剤の塗布がなされているか否かを検査する段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な段ボールの製造工程では、コルゲータにおいて、中芯とライナとの貼合による段ボールシートの形成、横罫線(スコア)入れ、及び断裁が連続的に行われた後、製箱ラインにおいて、印刷、縦罫線(クリーズ)入れ、切込み溝(スロッタ)及び継ぎ代片の形成、継ぎ代片への接着剤の塗布、接合による箱形成が連続的に行われる。
【0003】
ここで、継ぎ代片への接着剤の塗布は、バット内に収容された接着剤に一部浸漬しつつ回転するグルーロールや、ノズルから接着剤を射出するグルーガン等によって行われる。そこで、バットやグルーガンへの接着剤の供給切れや、グルーガンのノズル詰まり等により、適正に接着剤が塗布されない継ぎ代片が生じるおそれがある。従来、継ぎ代片に接着剤が塗布されているか否かの検査は、段ボールシートの搬送ライン上にカメラを設置し、モニタを監視することによって行われていた(例えば、特許文献1参照)。また、カメラによる撮像を画像処理することによって、接着剤の有無を自動的に検知する装置も実施されている。或いは、光学センサを用い、反射光によって接着剤の有無を検知する検査装置も実施されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−156974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、段ボールシートは製造ライン上を高速で搬送されるため、モニタの監視によって見落とし無く接着剤の有無を確認することは困難であり、常時モニタを監視することは作業者にとって大きな負担であった。また、カメラによる撮像を画像処理する装置では、設備やプログラムが高価であるという問題があった。更に、画像処理や光学センサを用いた検査装置では、段ボールシートの表面に印刷された文字や図柄の色に影響を受け、接着剤を正確に検出できないことがあった。加えて、汎用の接着剤は白色のものが多いため、白色の表面コートが施された段ボールシートの場合は、画像処理や光学センサによって接着剤を検出することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、継ぎ代片に接着剤の塗布がなされているか否かを、段ボールシートの色や印刷に影響を受けることなく容易に検査することができ、かつ、構成が簡易な段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置は、「製箱ラインを搬送される段ボールシートの継ぎ代片に水系接着剤の塗布がなされているか否かを検査する段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置であって、継ぎ代片の移動ラインと交差する経路でマイクロ波を発信する発信器と、該発信器と前記移動ラインを挟んで対向配置されマイクロ波を受信する受信器と、該受信器からの出力値に基づいて水系接着剤層の有無を判定する判定手段とを」具備している。
【0008】
「水系接着剤」としては、デンプンを糊化したデンプン系接着剤、或いは、酢酸ビニル樹脂エマルション接着剤、エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルション接着剤、アクリル樹脂エマルション接着剤等の水分散系合成接着剤を例示することができる。
【0009】
「継ぎ代片の移動ライン」は、搬送ライン上の一定位置に配置された段ボールシートの搬送に伴い、継ぎ代片が移動して行くこととなる仮想的なラインである。ここで、段ボール箱の形式(段ボールシートの展開図の形状に対応する)には多くの種類があるが、一般的に、継ぎ代片と側面との境界線を搬送ラインの長軸方向と一致させれば、継ぎ代片の移動ライン上にはフラップや側面が位置することはなく、継ぎ代片のみが移動ライン上を移動する。
【0010】
「マイクロ波」は、周波数が3GHz〜30GHzの電波を指すものとする。
【0011】
マイクロ波は、段ボールのような絶縁体を透過するが、水には吸収される性質を有する。これにより、継ぎ代片に水系接着剤が塗布されている場合、発信器から発信されたマイクロ波は、継ぎ代片を透過する際に接着剤中の水分によって吸収される。その結果、マイクロ波を受信した受信器からの出力値は、継ぎ代片に水系接着剤が塗布されていない場合に比べて低下する。
【0012】
従って、受信器からの出力値を判定基準として、継ぎ代片上の水系接着剤層の有無を、換言すれば、継ぎ代片へ水系接着剤が塗布されているか否かを判定することができる。例えば、継ぎ代片に接着剤が塗布されているサンプルと継ぎ代片に接着剤が塗布されていないサンプルとについて、受信器からの出力値を実測して予め閾値を設定しておくことにより、受信器からの出力値が閾値より小であれば接着剤が塗布されていると判定でき、出力値が閾値より大であれば接着剤が塗布されていないと判定することができる。
【0013】
なお、このような判定を行う「判定手段」は、コンピュータを機能させるプログラムとして構成させることができる。或いは、受信器からのアナログ出力を、閾値に対応する比較対象出力と対比する演算増幅回路によって、判定手段を構成させることもできる。
【0014】
上記のように、本発明によれば、マイクロ波の発信器と受信器という簡易な構成と、画像処理プログラムのように複雑な処理を必要としない単純な判定により、継ぎ代片への接着剤の塗布を容易に検査することができる。加えて、物質によるマイクロ波の透過、吸収特性は、物質の色に依存しない。これにより、段ボールシートに印刷が施されている場合や、白色等の表面コート処理が施されている場合であっても、それらに影響を受けることなく接着剤の塗布の有無を検査することができる。
【0015】
本発明にかかる段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置は、上記構成に加え、「前記移動ラインのマイクロ波との交差位置より上流側で継ぎ代片の有無を検知する上流側センサと、前記移動ラインの前記交差位置より下流側で継ぎ代片の有無を検知する下流側センサとを具備し、前記判定手段は、前記上流側センサ及び前記下流側センサがともに継ぎ代片の存在を検知しているときに水系接着剤層の有無の判定を行う」ものとすることができる。
【0016】
「上流側センサ」及び「下流側センサ」としては、それぞれ、移動ラインに向けて光を投射する投光素子と、反射光を受光し光電変換する受光素子とを具備する光電センサを利用可能である。例えば、所定距離より遠方で反射される光を検出しない設定とすることにより、段ボールシートを搬送するコンベア等の影響を排除して、継ぎ代片の有無のみを検知することができる。
【0017】
「前記上流側センサ及び前記下流側センサがともに継ぎ代片の存在を検知しているとき」に、判定手段が水系接着剤層の有無の判定を行う構成とした理由は、以下のようである。電波が絶縁体媒質中を伝搬するとき、その速度は空気中を伝搬する場合に比べて遅くなる。具体的には、電波が空気中を伝搬する速度をcとすると、比誘電率εである媒質中を電波が伝搬する速度は約1/(ε)1/2・cとなる。ここで、紙の比誘電率は2〜2.6であるから、段ボール中を透過する電波の速度は空気中の0.6〜0.7倍となる。従って、発信器から発信され段ボールを透過することなく受信器に受信されたマイクロ波と、段ボールを透過してから受信器に受信されたマイクロ波とでは、位相にずれが生じる。その結果、搬送される継ぎ代片の前端がマイクロ波の経路に差しかかった時点で、受信器でのマイクロ波の受信レベルは低下することとなる。すなわち、マイクロ波の受信レベルの低下が検出されたとき、その原因として、接着剤中の水分による吸収(水系接着剤層の存在)と、継ぎ代片の前端がマイクロ波の経路に差しかかった際の位相のずれとの、二つが考えられることとなる。
【0018】
そこで、上流側センサ及び下流側センサがともに継ぎ代片の存在を検知しているときのみ、判定手段が受信器からの出力に基づいて水系接着剤層の有無を判定する構成とすると、継ぎ代片の前端がマイクロ波の経路に差しかかった時点では、上流側センサは継ぎ代片を検知しているのに対し、下流側センサは継ぎ代片の存在を検知していないため、受信器からの出力レベルが低下しても、判定手段がこれに基づいて水系接着剤層の有無を判定することがない。
【0019】
これにより、マイクロ波の伝搬速度の差異による位相差に起因する出力レベルの低下を、水系接着剤層の存在に起因するものと誤認することなく、継ぎ代片に水系接着剤が塗布されているか否かを、より正確に判定することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の効果として、継ぎ代片に接着剤の塗布がなされているか否かを、段ボールシートの色や印刷に影響を受けることなく容易に検査することができ、かつ、構成が簡易な段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の最良の一実施形態である段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置について、図1乃至図7に基づいて説明する。ここで、図1及び図2は移動ライン及び継ぎ代片を説明する説明図であり、図3は本発明の一実施形態である段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置の構成を示すブロック図であり、図4乃至図6は図3の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置の構成及び検査原理を示す側面図であり、図7は図3の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置における処理の流れを説明するフローチャートである。
【0022】
本実施形態の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置1(以下、単に「検査装置1」という)は、製箱ラインを搬送される段ボールシート40の継ぎ代片41に水系接着剤の塗布がなされているか否かを検査する検査装置であって、継ぎ代片41の移動ライン4と交差する経路5でマイクロ波を発信する発信器2と、発信器2と移動ライン4を挟んで対向配置され、マイクロ波を受信する受信器3と、移動ライン4のマイクロ波との交差位置15より上流側で継ぎ代片41の有無を検知する上流側センサ11と、移動ライン4の交差位置15より下流側で継ぎ代片41の有無を検知する下流側センサ12と、受信器3からの出力値に基づいて水系接着剤層45の有無を判定する判定手段と具備しており、判定手段は、上流側センサ11及び下流側センサ12がともに継ぎ代片41の存在を検知しているときに水系接着剤層45の有無の判定を行うものである。
【0023】
加えて、本実施形態の検査装置1は、図3に示すように、中央処理装置21、主記憶装置22、及び補助記憶装置23を有するコンピュータ20を具備しており、主記憶装置22には判定手段としてコンピュータ20を機能させるプログラムが記憶されている。なお、補助記憶装置23には、判定の基準となる閾値を、接着剤の種類、配合、水分含有率等と関連付けてデータベース化したものを記憶させておくこともできる。
【0024】
更に、本実施形態の検査装置1は、継ぎ代片41に接着剤が塗布されていないとの判定に基づいて、異常の発生を報知するための警告灯8及び警報音スピーカ9を備えている。
【0025】
より詳細に説明すると、図1に示すように、段ボール箱の形式に応じて、横罫線47、縦罫線48、切込み溝49、及び継ぎ代片41が形成された段ボールシート40は、必要に応じて印刷が施され、搬送コンベア30上を図示矢印A方向に搬送される。このとき、搬送に伴って継ぎ代片41が移動する搬送方向に平行な仮想線(図示、二点鎖線)が、移動ライン4である。なお、図1では汎用的な形式である「0201形式」の段ボールシート40を例示したが、段ボール箱の形式はこれに限定されるものではない。
【0026】
そして、搬送される段ボールシート40の継ぎ代片41に、グルーローラ(図示しない)によって水系接着剤が塗布される。本実施形態では、図2に示すように、移動ライン4上の継ぎ代片41の全長L1のうち、両端からそれぞれ長さL2分だけ内側の部分(図示、斜線部分)に、水系接着剤が塗布される場合を例示する。
【0027】
また、主に図4に示すように、搬送コンベア30の上方にはマイクロ波の発信器2が設けられている。また、搬送コンベア30の下方には、発信器2と搬送コンベア30を挟んで対向するように、マイクロ波を受信し電圧を出力する受信器3が設けられている。本実施形態の発信器2及び受信器3は、マイクロ波の経路5が搬送コンベア30面とほぼ直交すると共に、移動ライン4と交差するように配置されている。なお、本実施形態では、周波数が24.15GHz帯(24.05〜24.25GHz)のマイクロ波を発信する発信器2を使用している。この周波数帯は、特定小電力無線局(電波法に基づく免許を受けることなく運用できる無線局)で使用が認められているものである。
【0028】
更に、搬送コンベア30の上方には、発信器2より上流側に上流側センサ11、発信器2より下流側に下流側センサ12がそれぞれ設けられている。本実施形態の上流側センサ11及び下流側センサ12は、それぞれ移動ライン4に向けて光を投射する投光素子(図示しない)と、反射光を受光し電荷を発生する受光素子(図示しない)とを備えている。
【0029】
上流側センサ11及び下流側センサ12と発信器2との間隔は、本実施形態ではそれぞれ等しくDに設定され、かつ、L2<Dの関係を満たすよう設定されている。これは、上流側センサ11及び下流側センサ12がともに継ぎ代片41の存在を検知している状態で、もともと接着剤が塗布されることのない継ぎ代片41の端部にマイクロ波を透過させ、接着剤が塗布されていないとの判定によって異常を報知するおそれを回避するためである。また、上流側センサ11及び下流側センサ12がともに継ぎ代片41を検知する時点が存在するためには、D<(L1)/2である必要がある。本実施形態では、間隔DはL2より僅かに大きく、かつ、(L1)/2よりはかなり小さい長さに設定されている。
【0030】
次に、検査装置1の検査原理及び判定手段による処理の流れを、図4乃至図6を参照しつつ主に図7を用いて説明する。検査装置1が稼動を開始すると、まず、フラッグFに初期値として0を付与する(ステップS1)。次に、上流側センサ11が継ぎ代片41を検知しているか否かが確認され、検知していない(以下、「OFF」と称する)場合は(ステップS2においてNo)、ステップS1に戻り、検知するまで処理が繰り返される。
【0031】
上流側センサ11が継ぎ代片41を検知した(以下、「ON」と称する)場合は(ステップS2においてYes)、更に、下流側センサ12が継ぎ代片41を検知したか否かが確認され(ステップS3)、OFFの場合(ステップS3においてNo)はステップS1に戻る。すなわち、上流側センサ11及び下流側センサ12がともにONとなるまで、上記の処理が繰り返される。
【0032】
ここで、図4に示すように、継ぎ代片41の前端がマイクロ波の経路5に差しかかった時点では、大気中を伝搬するマイクロ波と段ボール中を伝搬するマイクロ波の位相差に起因して、受信器3から出力される電圧は一時的に低下する。しかしながら、この状態では上流側センサ11はONだが下流側センサ12がOFFであるため、水系接着剤層45の有無の判定を行う次ぎのステップには進まない。これにより、マイクロ波の位相差に起因する出力電圧の低下と、マイクロ波による水分の吸収に起因する出力電圧の低下とを区別することができる。
【0033】
上流側センサ11及び下流側センサ12がともにONとなると(ステップS3においてYes)、受信器3からの出力値と閾値との対比が行われる(ステップS4)。出力値が閾値以下の場合(ステップS4においてNo)は、マイクロ波の経路5中に水分が存在する、すなわち、継ぎ代片41に水系接着剤が塗布されている正常な状態と判定でき、ステップS1に戻る。
【0034】
一方、出力値が閾値より大の場合(ステップS4においてYes)は、マイクロ波の経路5において水分が所定量以上存在せず、継ぎ代片41に水系接着剤の塗布がなされていない、すなわち異常であると判定される。
【0035】
ここで、本実施形態では、ステップS4において異常の判定が一度なされたのみでは、これに基づいて異常処理が行われない構成となっている。すなわち、ステップS4においてYes(異常である)との判定がなされると、フラッグFに1を加算し(ステップS5)、加算後のFについて予め定めた数値Nとの対比が行われる(ステップS6)。この数値Nは、接着剤が塗布されていなくても許容できる長さ(または面積)等に基づいて、予め定めておくことができる。そして、FがNに達しない場合は(ステップS6においてNo)は、ステップS1に戻り、改めて上記の処理が行われる。例えば、引き続いて行われた処理において、接着剤の塗布に異常はない(ステップS4においてNo)と判断されれば、再びステップS1に戻ることとなり、先になされた異常との判定は無視される。これにより、段ボールシートの接合に影響しない程度の、ごく微小な接着剤のかすれや、接着剤層の局部的な剥離等を、異常と判断することなく製箱ラインを稼動させることができる。
【0036】
一方、FがNに達した場合、すなわち、異常であるとの判定がN回続けてなされた場合(ステップS6においてYes)は、異常処理を行い(ステップS7)、その後処理を終了する。ここでいう異常処理とは、警告灯の点灯、警報音スピーカの作動、搬送ラインの自動停止等である。
【0037】
なお、ステップS4からステップS1に戻る処理が繰り返される間に、それまで水系接着剤層45の有無を判定する対象となっていた継ぎ代片41の搬送に伴い、図5に示すように上流側センサ11及び下流側センサ12がともにONの状態から、図6に示すように上流側センサ11がOFFで下流側センサ12がONの状態になると(ステップS2においてNo)、この場合もステップS1に戻る。そして、再び上流側センサ11及び下流側センサ12がともにONとなるまでステップS1〜ステップS3の処理が繰り返され、上流側センサ11及び下流側センサ12がともにONとなると、上記と同様の処理が行われる。
【0038】
以上のように、本実施形態の検査装置1によれば、マイクロ波の発信器2と受信器3という簡易な構成と、単純な処理で足りるプログラムにより、継ぎ代片41への接着剤塗布を容易に検査することができる。加えて、物質の色に依存しないマイクロ波を利用することにより、段ボールシート40に印刷が施されている場合や、白色等の表面コート処理が施されている場合であっても、それらに影響を受けることなく接着剤の塗布の有無を検査することができる。
【0039】
加えて、上流側センサ11及び下流側センサ12がともにONのときのみ、水系接着剤層45の有無を判定する構成としたことにより、マイクロ波の伝搬速度差に起因して生じる受信器3からの出力電圧の低下の影響を排除して、より正確に接着剤の塗布の検査を行うことができる。また、上流側センサ11及び下流側センサ12がともにONのときのみ、発信器からマイクロ波を発信する設定とすることも可能となり、省エネルギー対策に資するものとなる。
【0040】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0041】
例えば、上記の実施形態では、搬送コンベア30の上方に発信器2を、下方に受信器3を配置する場合を例示したが、これに限定されず、両者の位置関係は逆であっても良い。
【0042】
また、異常処理として搬送ラインを自動停止する場合を例示したが、これに限定されず、搬送ラインを稼動させたまま接着剤の補給等を行うこともできる。そして、その間に発生した接着剤の塗布不良の段ボールシートを、エンコーダ等を用いた移動距離の検知に基づいて、自動的に搬送ラインから排除する構成を更に付加することもできる。
【0043】
更に、継ぎ代片41の両端に接着剤を塗布しない部分(長さL2の部分)がある場合を例示したが、これに限定されず、継ぎ代片の全長L1にわたって接着剤が塗布される設定の場合であっても、接着剤の塗布の有無を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】移動ライン及び継ぎ代片を説明する説明図である。
【図2】移動ライン及び継ぎ代片を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態である段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置の構成及び検査原理を示す側面図である。
【図5】図3の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置の構成及び検査原理を示す側面図である。
【図6】図3の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置の構成及び検査原理を示す側面図である。
【図7】図3の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置における処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 検出装置(段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置)
2 発信器
3 受信器
4 移動ライン
5 マイクロ波の経路
11 上流側センサ
12 下流側センサ
15 交差位置
41 継ぎ代片
45 水系接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製箱ラインを搬送される段ボールシートの継ぎ代片に水系接着剤の塗布がなされているか否かを検査する段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置であって、
継ぎ代片の移動ラインと交差する経路でマイクロ波を発信する発信器と、
該発信器と前記移動ラインを挟んで対向配置され、マイクロ波を受信する受信器と、
該受信器からの出力値に基づいて水系接着剤層の有無を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置。
【請求項2】
前記移動ラインのマイクロ波との交差位置より上流側で継ぎ代片の有無を検知する上流側センサと、
前記移動ラインの前記交差位置より下流側で継ぎ代片の有無を検知する下流側センサとを更に具備し、
前記判定手段は、前記上流側センサ及び前記下流側センサがともに継ぎ代片の存在を検知しているときに水系接着剤層の有無の判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の段ボール継ぎ代片の接着剤塗布検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−133640(P2009−133640A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307837(P2007−307837)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(593155330)株式会社ホニック (8)