説明

段付きアウトリガ構造

【課題】簡易な構成で製作コストを抑制するとともに重量を低減することができるようにした、段付きアウトリガ構造を提供する。
【解決手段】
一枚の板材Pの基準線Aに沿って基準線Aの一端側に形成され車両装着時に水平方向を向き車両部材を搭載する搭載ブラケットとして機能する第1水平プレート部110と、板材Pを基準線Aと平行な第1折曲線L1と第2折曲線L2で折り曲げることにより第1水平プレート部110の両縁から屈曲形成され車両装着時に鉛直方向を向く一対の鉛直プレート部130,140と、板材Pの基準線Aの他端側に形成され、鉛直プレート部130,140となるそれぞれの部分に対して基準線Aと平行な第3折曲線L3と第4折曲線L4で折り曲げられて形成され車両装着時に第1水平プレート部110と段差を有した下方で水平方向を向き車両部材を搭載する搭載ブラケットとして機能する第2水平プレート部120を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さの異なる支持部を有する段付きのアウトリガの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックには、キャブの後方にアウトリガを装備したものがある。
図3は、特許文献1に開示されているアウトリガを装備した従来のトラックの構造を示すものである。
【0003】
図3(a),(b)に示すように、このトラックは、車両前後方向に延在する一対のサイドフレーム20と、サイドフレーム20の前部に設けられたヒンジ機構21に枢支され、メンテナンス等の必要に応じて前側にチルトすることができるチルト式のキャブ50と、キャブ50に固定され後方に突出するフローティングマウント51を支持することによりキャブ50の後側をサイドフレーム2に対して支持する支持装置Sとを装備している。
【0004】
この支持装置Sは、サイドフレーム20に固定されるキャブブリッジ30と、このキャブブリッジ30に固定されるアウトリガ10と、アウトリガ10とその上方のフローティングマウント51との間に介装されるキャブサスペンション40とから構成される。
【0005】
キャブブリッジ30は、門型に形成され、両側下端部が一対のサイドフレーム20の外面に固定される。アウトリガ10は、キャブブリッジ30の左右両側上部に溶接により固定され、上部にキャブサスペンション40が取付けられる。
かかる支持装置Sの構成により、キャブ50はサイドフレーム20に対して弾性的に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−58530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、トラックにおいてキャブの下方には、エンジンが配設される。このため、エンジンが大型化すればエンジンの高さ(上下方向の長さ)が高くなるが、エンジンをキャブの下方に収めるためにはキャブを上方へ移動することにより、エンジンの配設スペースを確保することができる。
この場合、キャブに接続されるキャブサスペンションのスプリングの下端位置も上方に移動することになるので、キャブサスペンションのスプリング下端が接合されこれを支持するアウトリガの支持部の上面も上方に移動することになる。
【0008】
一方、アウトリガには、キャブサスペンション以外にもエアクリーナやマッドガードステーといった補機部材が取付けられる。
この場合、エンジンの高さ(大きさ)の異なる種々の型式のトラックに対して、エアクリーナやマッドガードといった補機部材の配設箇所を共通化することにより、アセンブリの共通化やアセンブリの組み付け効率を向上させることができる。
【0009】
このため、高さのある大型エンジンを搭載した車両では、アウトリガにおいて、補機部材が取付けられ補機搭載用ブラケットとして機能する支持部の上面は上下方向位置が変わらないのに対して、スプリング搭載用ブラケットとして機能する支持部の上面は上方に移動する。
したがって、この場合、図4に示すように、キャブサスペンションの支持部の上面11aと、補機類の支持部の上面12aとで高さの異なる、段付きのアウトリガ10Aを用いることが必要になる。
【0010】
このようなアウトリガ10Aは、図4(c)に示すように、上面11aを有するサスペンション支持部11と、上面12aを有する補機支持部12とをそれぞれ屈曲形成してから両者を結合して構成することができる。
【0011】
サスペンション支持部11は、逆U字状に形成され、車体側への装着時に鉛直方向に向く一対の鉛直プレート部11b,11bと、鉛直プレート部11b,11bの上部に設けられ車体側への装着時に水平方向に向き、直下にキャブサスペンションのスプリング下端が取付けられる上面11aを有する水平プレート部11cとを備え、一対の鉛直プレート部11b,11bは、車幅方向一端にキャブブリッジに固定される固定部11d,11dをそれぞれ備えている。
【0012】
補機支持部12も逆U字状に形成され、車体側への装着時に鉛直方向に向く一対の鉛直プレート部12b,12bと、鉛直プレート部12b,12bの上部に設けられ補機類が取付けられる上面12aを有する水平プレート部12cとを備えている。
補機支持部12は、上面12aをサスペンション支持部11の上面11aよりも低い位置に配置されて、鉛直プレート部11b,11bの内側に鉛直プレート部12b,12bを重合されてサスペンション支持部11に溶接により結合される。
【0013】
また、補機支持部12の内部の鉛直プレート部12b,12bの相互間には、水平方向に延在する板状の補強部材13が溶接により結合される。
このようなアウトリガ10Aの構造によれば、補機部材のブラケットが取付けられる箇所に対してキャブサスペンションのスプリングの下端が取付けられる箇所の高さを高くすることができる。
しかしながら、図4(a)〜図4(c)に示すようなアウトリガは複数部材を結合する溶接工程を要するため、製作コストの抑制及び重量の低減が困難である。
【0014】
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたものであり、簡易な構成で製作コストを抑制するとともに重量を低減することができるようにした、段付きアウトリガ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)上記の目的を達成するために、本発明の段付きアウトリガ構造は、一枚の板材の基準線に沿って前記基準線の一端側に形成され、車両装着時に水平方向を向き車両部材を搭載する搭載ブラケットとして機能する第1水平プレート部と、前記板材を前記基準線と平行な第1折曲線と第2折曲線とで折り曲げることにより前記第1水平プレート部の両縁から屈曲形成され車両装着時に鉛直方向を向く一対の鉛直プレート部と、前記板材の前記基準線の他端側に形成され、前記鉛直プレート部となるそれぞれの部分に対して前記基準線と平行な第3折曲線と第4折曲線とで折り曲げられて形成され、車両装着時に前記第1水平プレート部と段差を有した下方で水平方向を向き、車両部材を搭載する搭載ブラケットとして機能する第2水平プレート部とを備えていることを特徴としている。
【0016】
(2)前記第2水平プレート部には前記基準線に対して垂直な第1切断線と前記基準線に対して平行な第2切断線とにより前記鉛直プレート部となるそれぞれの部分に対して折曲可能となる折曲可能部分が用いられ、前記折曲可能部分が折り曲げ形成されることにより前記折曲可能部分の互いの先端が突き合わされて前記第2水平プレート部が形成されていることが好ましい。
【0017】
(3)前記第2水平プレート部の上面に接合する第1板状部材と前記第2水平プレート部の下面に接合する第2板状部材とを備え、前記第1板状部材と前記第2板状部材とは、前記第2水平プレート部を間に挟んで、互いに締結されることが好ましい。
【0018】
(4)前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも何れかは、車両の補記類を搭載するためのブラケットであることが好ましい。
(5)前記第1水平プレート部は車両のサスペンション部材が搭載され、前記第2水平プレート部は車両の補記類が搭載されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の段付きアウトリガ構造によれば、一枚の板材から形成されるため、この形成に溶接を必要とせず、簡易な構成で製作コストを抑制するとともに重量を低減することができる。
また、第1水平プレート部に対して段差を有した下方の第2水平プレート部を備えているため、各車両部材を異なる高さで搭載することができる。これにより、種々の車両に対応して車両部材を搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態にかかる段付きアウトリガの全体構造を示し、(a)はその斜視図、(b)はその展開図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる段付きアウトリガに車両部材搭載用のブラケットが装着された図であり、(a)はその斜視図、(b)はその側面図である。
【図3】従来のアウトリガを説明する図であり、(a)はアウトリガを装備する車両の要部側面図、(b)はアウトリガを装備する車両の要部後面図である。
【図4】本発明の創案過程において創案された段付きアウトリガを説明する図であり、(a)はその斜視図、(b)はその後面図、(c)はその分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
〈一実施形態〉
[構成]
【0022】
まず、一実施形態にかかる段付きアウトリガ構造を説明する。なお、本実施形態のアウトリガは、車両前後方向中心軸に対して左右にそれぞれ配設され、左右対称に形成される。ここでは、左右のアウトリガのうち車両進行方向に対して右側のアウトリガを例示して説明するが、左側のアウトリガも左右対称に同様の構造になっている。
【0023】
図1(a)に示すように、アウトリガ100は、第1水平プレート部110と、この第1水平プレート部110よりも下方に位置する第2水平プレート部120と、これらの水平プレート部110,120における車両前後方向両縁のうち車両後側縁部に隣接する第1鉛直プレート部130と、水平プレート部110,120における車両前後方向両縁のうち車両前側縁部に隣接する第2鉛直プレート部140と、補強部材150とを有する。なお、この図1(a)は、車両装着時のアウトリガ100を示すものである。
【0024】
第1水平プレート部110は、水平方向を向き、アウトリガ100の車両内側(一端側)に形成される。この第1水平プレート部110は、その上側表面である第1上面111と、後述するキャブサスペンション(サスペンション部材)400(図2参照)を取付けるためのキャブサス取付穴112とを有する。
【0025】
第2水平プレート部120は、水平方向を向き、アウトリガ100の車両外側(他端側)に形成される平板状の部分である。
詳細には、第2水平プレート部120は車両後側に位置する第1折曲部120aと車両前側に位置する第2折曲部120bとから構成され、これらの折曲部120a,120bは水平方向を向きアウトリガ100の車両外側に形成される平板状の部分である。
【0026】
第1折曲部120aは、その上側表面である第1折曲上面121aと後述するブラケット600,700を取付けるためのブラケット取付穴122とを有する。また、第1折曲部120aの車両後側の縁部は、第1鉛直プレート部130と隣接する。
【0027】
第2折曲部120bは、第1折曲部120aと車両前後方向に対称に形成され、その上側表面である第2折曲上面121bとブラケット600,700(図2参照)を取付けるためのブラケット取付穴122とを有する。また、第2折曲部120bの車両後側の縁部は、第2鉛直プレート部140と隣接する。
【0028】
これらの折曲上面121a,121bは、第2水平プレート部120の上側表面である第2上面121を構成する。
第1折曲部120aの車両前側端部(先端)と第2折曲部120bの車両後側端部(先端)とは互いに先端が突き合わせ状態とされている。
この第2水平プレート部120は第1水平プレート部110よりも下方に位置し、第1水平プレート部110と第2水平プレート部120との間には段差を有する。
【0029】
第1鉛直部130は、鉛直方向を向き、車両内側の端部周縁の固定部130aと複数のボルト穴131とを有する平板状部分である。同様に、第2鉛直部140も、鉛直方向を向き、車両内側の端部周縁の固定部140aと複数のボルト穴141とを有する平板状の部分である。これらの鉛直プレート部130,140のボルト穴131,141は、互いに対応する位置、即ち車両前後方向の配設位置を除いては同じ位置に設けられる。
【0030】
これらの固定部130a,140aは、キャブブリッジ300に対して溶接されることにより、アウトリガ100はキャブブリッジ300に固定される。なお、キャブブリッジ300は図3に示すキャブブリッジ30と同様に構成される。
詳細には、ハット断面のキャブブリッジ300は車両前後方向に沿うフランジ部300a及び平坦部300cと車両左右方向に沿う段部300bとを有し、この段部300bに対して固定部130a,140aは溶接され固定される。
【0031】
平坦部300cの車両前後方向の長さ(延在方向に直交する長さ)は、第1鉛直プレート部130と第2鉛直プレート部140との車両前後方向の距離(長さ)と略等しく設計される。
【0032】
補強部材150は、アウトリガ100を補強するものであり、ボルト150aとこのボルト150の外周に配置されるスリーブ150bとを有する。
ボルト150aは、ボルト穴131とこれに対応するボルト穴141とを挿通され、ボルトヘッドと反対側にはナットが締結される。また、スリーブ150bの両端は、第1鉛直プレート部130の車両前側面と第2鉛直プレート部の車両後側面とに当接する。
なお、ここでは、補強部材150がアウトリガの車両左右方向の中央に縦列し、2つ設けられるものを示す。
【0033】
次に、図1(b)を用いて、アウトリガ100を説明する。
図1(b)には、アウトリガ100に加工する前の一枚の板材(プレート)Pを示す。
なお、図1(b)には、加工後のアウトリガ100に対応する符号を付し、上側を一端側とし下側を他端側とする。
アウトリガ100は、板材Pを、折曲線L1,L2,L3,L4で折り曲げて形成される。これらの折曲線L1,L2,L3,L4は、基準線Aに対して規定される。
【0034】
第1折曲線L1及び第2折曲線L2は、基準線Aと平行であって、基準線Aに線対称に規定される。これらの第1折曲線L1及び第2折曲線L2は、加工後の第1水平プレート部110の車両前後方向両縁に対応する。
【0035】
すなわち、板材Pを第1折曲線L1及び第2折曲線L2で折り曲げることにより、第1水平プレート部110の両縁から屈曲形成され、車両装着時に鉛直方向を向く一対の鉛直プレート部130,140が形成される。
【0036】
第3折曲線L3及び第4折曲線L4は、基準線Aと平行であって、基準線Aに線対称に規定される。これらの第3折曲線L3及び第4折曲線L4は、加工後の第2水平プレート部120の車両前後方向両縁に対応する。
すなわち、板材Pを第3折曲線L3及び第4折曲線L4で折り曲げることにより、一対の鉛直プレート部130,140に対して第2水平プレート部120が形成される。
【0037】
また、板材Pは、基準線Aに対して垂直な第1切断線C1と、基準線Aに対して平行な第2切断線C2とを有する。
第1切断線C1は、基準線Aに対して左右に同等の長さを有し、第1折曲線L1と第2折曲線L2との距離(長さ)よりも長い。また、第1切断線C1の中央部は、加工後に第1水平プレート部110の他端線となる。
【0038】
第2切断線C2は、基準線Aを中心線に、第1鉛直プレート部130側と第2鉛直プレート部140側とのそれぞれに存在する。また、第2切断線C2の他端と板材Pの他端とは接する。また、これらの第2切断線C2は、加工後に折曲部120a,120bの先端線となる。
第3折曲線L3及び第4折曲線L4における折り曲げ加工は、これらの第1切断線C1,第2切断線C2,C2による切断加工を前提に可能になる。
【0039】
そして、第2水平プレート部120には、加工後に第1鉛直プレート部130となる部分に対して第3折曲線L3で折り曲げ可能となる折曲可能部分(加工後の折曲部)120aと、加工後に第2鉛直プレート部140となる部分に対して第4折曲線L4で折り曲げ可能となる折曲可能部分(加工後の折曲部)120bとが用いられる。
【0040】
換言すれば、これらの折曲可能部分120a,120bが折り曲げ形成されることにより、折曲可能部分120a,120bの先端が突き合わせ状態とされて、第2水平プレート部120が形成されている。したがって、本実施形態では、板材Pを折り曲げて形成されたアウトリガ100には、板材Pが重なる箇所が存在しない。
【0041】
上記のように、一枚の板材Pから基準線Aの一端側(図中上側)に基準線Aに沿った第1水平プレート部110が形成され、一枚の板材Pから基準線Aの他端側(図中下側)に基準線Aに沿った第2水平プレート部120が形成される。なお、図1(b)に示す基準線Aは、図1(a)においては、車両左右方向のアウトリガ中心線に対応する。
【0042】
次に、図2を用いて、キャブサスペンションやエアクリーナ(補機類)やマッドガード(補機類)といった車両部材を搭載する搭載ブラケットとして機能するアウトリガ100の構造を説明する。なお、図2(a)は、図1(a)に示すアウトリガ100に車両部材のブラケット等を取付けたものを示している。
【0043】
アウトリガ100には、キャブサスペンション400とエアクリーナブラケット600とマッドガードブラケット700とが取付けられている。
キャブサスペンション400は、第1水平プレート部110のキャブサス取付穴112の直下に設けられたキャブサス取付部410に接続される。
【0044】
キャブサス取付部410は、ボルト穴131,141に挿通されたボルト410aとこのボルト410aの外周に配置されたスリーブ410bとを有する。ボルト410aのボルトヘッドと反対側にはナットが締結され、スリーブ410bの両端は、第1鉛直プレート部130の車両前側面と及び第2鉛直プレート部の車両後側面とに当接する。
【0045】
このスリーブ410bにキャブサスペンションのスプリングの下端が取付けられることにより、第1水平プレート部110は、キャブサスペンション400を搭載する搭載ブラケットとして機能する。
エアクリーナブラケット600は、図示しないエアクリーナを支持するものである。
【0046】
図2(b)に示すように、このエアクリーナブラケット600は第2上面121に下面が接するフランジ部(第1板状部材)600aを有し、このフランジ部600aにはブラケット取付穴122に対応する箇所にボルト穴が設けられる。このフランジ部600aの下面は第2上面121に接合する。
【0047】
マッドガードブラケット700は、マッドガードステー710と結合され、このマッドガードステー710を介して図示しないマッドガードを支持するものである。
このマッドガードブラケット700は、逆U字状に形成され、第2水平プレート部120の下面に接する上面部(第2板状部材)700aと、上面部700aの車両前後方向両縁から屈曲形成され鉛直方向に沿う鉛直部700bとを有し、この上面部700aにはブラケット取付穴122に対応する箇所にボルト穴が設けられる。この上面部700aの上面は、第2水平プレート部120の下面に接合する。
【0048】
ブラケット取付穴122とフランジ部600aのボルト穴と上面部700aのボルト穴とにはボルトが挿通され、このボルトとナットとを締結することにより、エアクリーナブラケット600及びマッドガードブラケット700は、第2水平プレート部120に取付けられている。
したがって、フランジ部600aと上面部700aとは、第2水平プレート部120を間に挟んで互いに締結される。
【0049】
すなわち、エアクリーナブラケット600及び第2水平プレート部120がエアクリーナを搭載する搭載ブラケットとして機能し、マッドガードブラケット700及び第2水平プレート部120がマッドガードを搭載する搭載ブラケットとして機能する。したがって、第1水平プレート部110はサスペンション部材を搭載するブラケットとして機能し、第2水平プレート部120は補記類を搭載するブラケットとして機能する。敷衍して言えば、アウトリガ100は、第1水平プレート部110と第2水平プレート部120とを有することにより、高さの異なる車両部材を搭載するブラケットを有する。
【0050】
〔作用・効果〕
本発明の一実施形態にかかる段付きアウトリガ構造は上述のように構成されるため、以下のような効果を奏する。
アウトリガ100は、一枚の板材Pから形成されるため、この形成に溶接を必要とせず、簡易な構成で製作コストを抑制するとともに重量を低減することができる。
【0051】
また、アウトリガ100は、第1水平プレート部110に対して段差を有した下方の第2水平プレート部を有しているため、キャブサスペンション400やエアクリーナといった各車両部材を異なる高さで搭載することができる。これにより、種々の車両に対応して車両部材を搭載することができる。
【0052】
また、エアクリーナブラケット600とマッドガードブラケット700とは、第2水平プレート部120を挟むことによりアウトリガ100と結合されるため、第2水平プレート部120の剛性を確保することができる。
【0053】
また、板材Pを折り曲げて形成されたアウトリガ100には、板材Pが重なる箇所がないため、重量を低減することができる。また、重なる箇所がないため、折り曲げ加工が容易になり、折り曲げ精度も確保しやすい。エアクリーナブラケット600及びマッドガードブラケット700が重合される第2水平プレート部120においても重なる箇所がないため、エアクリーナブラケット600とマッドガードブラケット700との間に第2水平プレート部120を安定状態に介装させることが容易になる。
【0054】
また、アウトリガ100は、第1水平プレート部110とこれと高さの異なる第2水平プレート部120とを有することにより、種々の車両に対応することができる。例えば、エンジンの高さ(大きさ)の異なる種々の型式のトラックに対して、エアクリーナやマッドガードといった補機部材の配設箇所を共通化することにより、アセンブリの共通化やアセンブリの組み付け効率を向上させるとともに、キャブサスペンション400を支持するブラケットとして機能することができる。
【0055】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態では、鉛直プレート部の固定部が溶接によりキャブブリッジに固定されるものを示したが、これに限らず、ボルト及びナット、又は、ボルト,ナット及びスリーブといった適宜の固定手段により固定部がキャブブリッジに固定されてもよい。
また、補強部材がアウトリガの車両左右方向中央に縦列するものを示したが、補強部材の配設箇所はこれに限らない。
【0056】
また、第2水平プレート部は、エアクリーナブラケットのフランジ部とマッドガードブラケットの上面部との間に介装されるものを示したが、これに限らず、第2水平プレート部は、少なくとも上面に接合する板状部材(第1板状部材)と下面に接合する板状部材(第2板状部材)に挟まれ、これらの板状部材が互いに締結されていればよい。例えば、第2水平プレート部の上面又は下面の何れかにのみ車両の補機類を搭載するブラケットが配設されてもよく、第2水平プレート部の上面及び下面に単に板状部材が配設されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の段付きアウトリガ構造は、トラック等の大型又は中型の自動車のみならず、段付きのアウトリガを有する種々の車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 アウトリガ
110 第1水平プレート部
111 第1上面
112 キャブサス取付穴
120 第2水平プレート部
120a 第1折曲部(折曲可能部分)
120b 第2折曲部(折曲可能部分)
121 第2上面
121a 第1折曲上面
121b 第2折曲上面
122 ブラケット取付穴
130 第1鉛直プレート部
130a 固定部
131 ボルト穴
140 第2鉛直プレート部
140a 固定部
141 ボルト穴
150 補強部材
300 キャブブリッジ
300b 段部
400 キャブサスペンション
410 キャブサス取付部
410a ボルト
410b スリーブ
600 エアクリーナブラケット
600a フランジ部(第1板状部材)
700 マッドガードブラケット
700a 上面部(第2板状部材)
710 マッドガードステー
1 第1切断線
2 第2切断線
1 第1折曲線
2 第2折曲線
3 第3折曲線
4 第4折曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の板材の基準線に沿って前記基準線の一端側に形成され、車両装着時に水平方向を向き、車両部材を搭載する搭載ブラケットとして機能する第1水平プレート部と、
前記板材を前記基準線と平行な第1折曲線と第2折曲線とで折り曲げることにより前記第1水平プレート部の両縁から屈曲形成され、車両装着時に鉛直方向を向く一対の鉛直プレート部と、
前記板材の前記基準線の他端側に形成され、前記鉛直プレート部となるそれぞれの部分に対して前記基準線と平行な第3折曲線と第4折曲線とで折り曲げられて形成され、車両装着時に前記第1水平プレート部と段差を有した下方で水平方向を向き、車両部材を搭載する搭載ブラケットとして機能する第2水平プレート部と、を備えている
ことを特徴とする、段付きアウトリガ構造。
【請求項2】
前記第2水平プレート部には、前記基準線に対して垂直な第1切断線と前記基準線に対して平行な第2切断線とにより、前記鉛直プレート部となるそれぞれの部分に対して折曲可能となる折曲可能部分が用いられ、
前記折曲可能部分が折り曲げ形成されることにより、前記折曲可能部分の互いの先端が突き合わされて、前記第2水平プレート部が形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載の段付きアウトリガ構造。
【請求項3】
前記第2水平プレート部の上面に接合する第1板状部材と、前記第2水平プレート部の下面に接合する第2板状部材とを備え、
前記第1板状部材と前記第2板状部材とは、前記第2水平プレート部を間に挟んで、互いに締結される
ことを特徴とする、請求項2記載の段付きアウトリガ構造。
【請求項4】
前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも何れかは、車両の補記類を搭載するためのブラケットである
ことを特徴とする、請求項3記載の段付きアウトリガ構造。
【請求項5】
前記第1水平プレート部は、車両のサスペンション部材が搭載され、
前記第2水平プレート部は、車両の補記類が搭載される
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の段付きアウトリガ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107516(P2013−107516A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254366(P2011−254366)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland