説明

段組プランタ

【課題】鉢の周囲をカバーするカバー体を任意の段数だけ積層して用いるものでありながら、連結具を不要にしてコストダウンや組立性の向上が図れるだけでなく、連結具がなくても棚板の取り付けを可能にし、異なる高さの鉢を上端側が揃うように整然と収容できるようにする。
【解決手段】鉢2の周囲をカバーするカバー体3、4を任意の段数だけ積層して用いる段組プランタ1であって、カバー体3、4が、連結具を用いることなく積層可能に形成され、さらに、少なくとも二段目以上のカバー体3が、一端部又は両端部に棚板5を着脱可能に取り付けるための棚板用係合部32を一体的に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉢の周囲をカバーするカバー体を、任意の段数だけ積層して用いる段組プランタに関する。
【背景技術】
【0002】
鉢の周囲をカバーするプランタ(鉢カバー)が知られている。この種のプランタとしては、大きさや形状が異なる多種多様なものが提供されており、使用者は、収容する鉢の大きさや個数に応じてプランタを選択するのが一般的であったが、近年では、収容する鉢の大きさや個数に応じてプランタの大きさや形状を変更できるようにしたものも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示される組立式プランタカバーは、鉢の周囲をカバーする枠部材(カバー体)を任意の段数だけ積層して用いることができるように構成されている。
また、この組立式プランタカバーは、任意の高さに棚板を設置するための棚板受け片(棚板用係合部)を有している。したがって、例えば、異なる高さに二枚の棚板を設置すれば、高さが異なる複数の鉢を上端側が揃う状態で収容し、いわゆる寄せ植えのような状態とすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−56555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される組立式プランタカバーは、鉢の周囲をカバーする枠部材を任意の段数積層するにあたり、上下に隣接する枠部材をそれぞれ複数の連結具を介して連結するようになっているので、多数の連結具が必要となる。例えば、枠部材を7段積層する場合、28個の連結具が必要となるので、コスト高となるだけでなく、組み立てに時間がかかるという問題が生じる。
また、特許文献1に示される組立式プランタカバーでは、棚板受け片が連結具に形成されているので、連結具の形状が複雑となり、さらなるコスト高の要因となっている。
さらに、連結具をボルト締めしているので、突き出たボルトが作業者や鉢を傷付けたりすることがあり、また、鉢を棚板に載置する際に邪魔になったりすることがある。
【0006】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、鉢の周囲をカバーするカバー体を任意の段数だけ積層して用いるものでありながら、連結具を不要にしてコストダウンや組立性の向上が図れるだけでなく、連結具がなくても棚板の取り付けを可能にし、異なる高さの鉢を上端側が揃うように整然と収容することができる段組みプランタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の段組みプランタは、鉢の周囲をカバーするカバー体を任意の段数だけ積層して用いる段組プランタであって、前記カバー体が、連結具を用いることなく積層可能に形成され、さらに、少なくとも二段目以上のカバー体が、一端部又は両端部に棚板を着脱可能に取り付けるための棚板用係合部を一体的に有する構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、鉢の周囲をカバーするカバー体を任意の段数だけ積層して用いるものでありながら、連結具を不要にしてコストダウンや組立性の向上が図れるだけでなく、連結具がなくても棚板の取り付けを可能にし、異なる高さの鉢を上端側が揃うように整然と収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係る段組プランタの概略構成を示す平面図、正面図、側面図及び断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る段組プランタの使用例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る段組プランタの重ね部(係止部)を示す拡大断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る段組プランタのカバー体(無底タイプ)を示す一部断面平面図、一部断面正面図及び底面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る段組プランタのカバー体(有底タイプ)を示す一部断面平面図、一部断面正面図及び底面図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る段組プランタの棚板設置例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1〜図3に示される段組プランタ1は、鉢2の周囲をカバーするカバー体3、4を任意の段数だけ積層して用いることができるように構成されている。積層可能なカバー体3、4としては、上部及び底部に開口を有する無底タイプのカバー体3と、上部のみに開口を有する有底タイプのカバー体4とがあり、例えば、カバー体3、4の高さを250mmとし、高さ450mmの鉢2を収容する場合は、有底タイプのカバー体4の上に無底タイプのカバー体3を一段積層した二段構成で使用し、また、高さ700mmの鉢2を収容する場合は、有底タイプのカバー体4の上に無底タイプのカバー体3を二段積層した三段構成で使用することができる。
なお、水漏れが許容される屋外などでの使用に際しては、最下段のカバー体として無底タイプのカバー体3を使用してもよい。
【0012】
図3は、本発明の実施形態に係る段組プランタの重ね部(係止部)を示す拡大断面図である。
カバー体3、4は、連結具を用いることなく積層可能に形成されている。例えば、カバー体3、4の重ね部に、カバー体同士の位置ずれを規制する係止部31、41を形成すれば、連結具を用いることなく積層しても、崩れ難いものとできる。本実施形態の係止部31、41は、カバー体3、4の下端部に突出状に形成される凸部からなり、下側に積層されるカバー体3、4の上部開口に嵌合することにより、カバー体同士の位置ずれを規制している。
また、本実施形態の係止部31、41は、最下段のカバー体3、4において設置面に当接する脚部に兼用される。
【0013】
カバー体3、4の平面形状は、種々形状とすることができるが、中央部が幅広で、かつ、両端側ほど幅狭となる葉形や菱形であることが好ましい。このようにすると、図1に示すように、中央部に径寸法が大きい大鉢2を収容し、その左右両側に一又は複数の小鉢2や中鉢2をバランス良く収容することができる。この場合、小鉢2や中鉢2は、大鉢2に比して高さが低いので、段組プランタ1の内部に棚板5を取り付け、その上に小鉢2や中鉢2を載置することが好ましい。その理由は、高さが異なる複数の鉢2を上端側が揃う状態で収容し、いわゆる寄せ植えのような状態で展示することが可能になるからである。
【0014】
また、両端側ほど幅狭となるようにしておくと、棚板5を取り付ける際に、棚板5を両側からしっかりと挟持することができ、特別な固定手段を用意する必要がなくなる。
以下、棚板5を取り付けるための構成について、図4〜図6を参照して説明する。
【0015】
図4の(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る段組プランタのカバー体(無底タイプ)を示す平面図、一部断面正面図及び底面図、図5の(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る段組プランタのカバー体(有底タイプ)を示す平面図、一部断面正面図及び底面図、図6の(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る段組プランタの棚板設置例を示す要部断面図である。
これらの図に示すように、カバー体3、4は、一端部又は両端部に棚板5を着脱可能に取り付けるための棚板用係合部32、42を一体的に有している。例えば、カバー体3、4の両端部に、内方に向けて突出するリブ形状の棚板用係合部32、42を一体成形し、ここに棚板5を取り付け可能とする。
なお、本実施形態では、最下段となる有底タイプのカバー体4にも棚板用係合部42を形成しているので、カバー体3、4の金型を共通化できるという利点があるが、有底タイプのカバー体4に形成される棚板用係合部42は、機能的な有用性は低いので、省略してもよい。
【0016】
棚板用係合部32、42は、カバー体3、4にそれぞれ複数段設けることが好ましい。例えば、本実施形態では、カバー体3、4の両端部に、高さ方向に所定の間隔を開けて二段の棚板用係合部32、42を一体的に形成している。このようにすると、図6の(a)、(b)に示すように、棚板5の高さを調整(変更)することができる。また、サイズの異なる棚板を用意し、上段の棚板用係合部に小さいサイズの棚板を係合させ、下段の棚板用係合部に大きいサイズの棚板を係合させるなどすることによって、複数の棚板5を異なる高さに取り付けることができるようになる。
【0017】
ここで、本実施形態の棚板用係合部32、42は、高さ方向に所定の間隔(棚板の厚さ+α)を開けてレール状に並列しており、下側の棚板用係合部32、42に取り付ける棚板5は、上下の棚板用係合部32、42間に、側方からスライド状に嵌め込まれる。これにより、下側の棚板用係合部32、42に取り付けられた棚板5は、上側に隣接する棚板用係合部32、42によって外れ止めされることになる。
【0018】
また、棚板5に発泡スチロールボードのような弾力性のあるものを使用し、かつ、その厚みを複数段の棚板用係合部32,32(42,42)間の間隔とほぼ同じとしておくことにより、図6(b)に示すように、棚板5を棚板用係合部32,32(42,42)間に圧入・固定して、堅固な状態で取り付けることができる。このようにすれば、任意の形状の棚板5、例えば、図6(c)に示すような形状であって、棚板用係合部32による支持部分が少ない棚板5であっても、堅固に支持される。
【0019】
棚板5の材質や形状は任意である。例えば、板材や上記した発泡スチロールを用いることができ、形状も、任意にカットして用いることができる。
また、棚板5は、上下に貫通する貫通孔51を備えることが好ましい。このようにすると、後述する給水リボン6を鉢2の底部からカバー体4まで垂れ下げる際、貫通孔51を給水リボン6の通し孔として利用することができる。
【0020】
図5に示すように、有底タイプのカバー体4は、任意量の貯水が可能となっている。このようにすると、外部への水漏れを防止して屋内での使用に対応できるだけでなく、貯水を鉢2への給水として利用することにより、給水回数を減らすことができる。
また、有底タイプのカバー体4には、貯水量を制限する水抜き孔43を形成してもよい。例えば、鉢2をカバー体4の底面上に直接載置する場合、植物の種類によっては根腐れが発生する可能性があるが、水抜き孔43によって貯水量を制限することにより、根腐れを防止することが可能になる。
【0021】
また、本実施形態では、カバー体4の底部を二本のリブ44で三つの貯水部45〜47に仕切るとともに、左右両側の貯水部46、47を、棚板5上に載置される鉢2の給水に利用可能としている。例えば、図2に示すように、棚板5に載置された鉢2の底部から貫通孔51を介して給水リボン6を垂らし、給水リボン6の下端部を貯水部46、47の貯水に浸ければ、貯水部46、47の貯水を毛細管現象で鉢2に供給することが可能になる。
【0022】
つぎに、本発明の実施形態に係る段組プランタの使用方法について、図2を参照して説明する。
【0023】
図2は、二段構成とした段組プランタ1の中央部に大鉢2を収容し、左右両端部にそれぞれ小鉢2を収容する場合を示している。
このように使用をする場合、まず、有底タイプのカバー体4を設置場所に設置する。このとき、カバー体4の貯水部45〜47に必要に応じて水を溜めることができる。
つぎに、カバー体4の上に無底タイプのカバー体3を積層する。このとき、カバー体3の下端部に形成される係止部31をカバー体4の上部開口に嵌合させることにより、カバー体同士の位置ずれが規制される。
つぎに、カバー体3の棚板用係合部42に、小鉢2を載置するための棚板5を取り付ける。このとき、小鉢2の上端がカバー体3の上端(大鉢2の上端)と揃うように棚板5の取り付け高さを調整する。この調整は、カバー体3に複数段形成される棚板用係合部32から何れかを選択することにより行われる。
つぎに、給水リボン6が取り付けられた小鉢2を棚板5に載置する。このとき、棚板5の貫通孔51を介して給水リボン6を垂らし、給水リボン6の下端部を貯水部46、47の貯水に浸ける。
最後に、カバー体4の中央部に大鉢2を収容すると、図2に示す段組プランタ1の設置作業が完了する。
【0024】
以上のように構成された本実施形態によれば、鉢2の周囲をカバーするカバー体3、4を任意の段数だけ積層して用いる段組プランタ1であって、カバー体3、4が、連結具を用いることなく積層可能に形成され、さらに、少なくとも二段目以上のカバー体3が、一端部又は両端部に棚板5を着脱可能に取り付けるための棚板用係合部32を一体的に有するので、カバー体3、4を任意の段数積層して用いるものでありながら、連結具を不要にしてコストダウンや組立性の向上が図れるだけでなく、連結具がなくても棚板5の取り付けを可能にし、異なる高さの鉢2を上端側が揃うように整然と収容することができる。
【0025】
また、棚板用係合部32は、少なくとも二段目以上のカバー体3にそれぞれ複数段設けられるので、棚板5の高さを段階的に調整できるだけでなく、複数の棚板5を異なる高さに取り付けることが可能になる。
【0026】
また、棚板用係合部32は、下側に隣接する棚板用係合部32に取り付けられた棚板5の外れ止めをするので、棚板5が簡単に外れてしまうような不都合を防止し、鉢2を安定に支持することができる。
【0027】
また、棚板用係合部42は、最下段のカバー体4にも設けられるので、カバー体3、4の金型を共通化し、製造コストを低減できるという利点がある。
【0028】
また、最下段のカバー体4は、有底であり、かつ、任意量の貯水が可能なので、外部への水漏れを防止して屋内での使用に対応できるだけでなく、貯水を鉢2への給水として利用することにより、給水回数を減らすことができる。
【0029】
また、最下段のカバー体4は、有底であり、かつ、貯水量を制限する水抜き孔43を備えるものとしてもよい。このようにすると、水抜き孔43によって貯水量を制限することにより、収容される鉢植え植物の根腐れを防止することが可能になる。
【0030】
また、最下段のカバー体4は、棚板5上に載置される鉢用の貯水部46、47を有し、該貯水部46、47の貯水を毛細管現象で鉢2に供給することができるので、棚板5上に載置される鉢2の給水回数を減らすことができる。
【0031】
また、カバー体3、4の平面形状は、中央部が幅広で、かつ、両端側ほど幅狭となる葉形(又は菱形)としてあるので、中央部に径寸法が大きい大鉢2を収容し、その左右両側に一又は複数の小鉢2や中鉢2をバランス良く収容することができる。
【0032】
また、カバー体3、4の重ね部は、カバー体同士の位置ずれを規制する係止部31、41を備えるので、連結具を用いることなく積層しても、崩れ難いものとできる。
【0033】
また、棚板5は、上下に貫通する貫通孔51を備えるので、給水リボン6の通し孔として利用することができる。
【0034】
以上、本発明の段組プランタについて、実施形態を示して説明したが、本発明に係る段組プランタは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、カバー体の寸法や形状、棚板用係合部の段数、重ね部に形成される係止部の形状などは、用途などに応じて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、鉢の周囲をカバーするカバー体を任意の段数だけ積層して用いる段組プランタに適用される。特に、高さが異なる複数の鉢を上端側が揃うように整然と収容し、いわゆる寄せ植えのような状態で展示することが求められる用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 段組プランタ
2 鉢
3 カバー体
4 カバー体
5 棚板
6 給水リボン
31 係止部
32 棚板用係合部
41 係止部
42 棚板用係合部
43 水抜き孔
44 リブ
45〜47 貯水部
51 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢の周囲をカバーするカバー体を任意の段数だけ積層して用いる段組プランタであって、
前記カバー体が、連結具を用いることなく積層可能に形成され、
さらに、少なくとも二段目以上のカバー体が、一端部又は両端部に棚板を着脱可能に取り付けるための棚板用係合部を一体的に有することを特徴とする段組プランタ。
【請求項2】
前記棚板用係合部が、少なくとも二段目以上のカバー体にそれぞれ複数段設けられる請求項1記載の段組プランタ。
【請求項3】
前記棚板用係合部が、下側に隣接する棚板用係合部に取り付けられた棚板の外れ止めをする請求項2記載の段組プランタ。
【請求項4】
前記棚板用係合部が、最下段のカバー体にも設けられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の段組プランタ。
【請求項5】
最下段のカバー体が、有底であり、かつ、任意量の貯水が可能である請求項1〜4のいずれか一項に記載の段組プランタ。
【請求項6】
最下段のカバー体が、前記棚板上に載置される鉢用の貯水部を有し、該貯水部の貯水を毛細管現象で前記鉢に供給する請求項1〜5のいずれか一項に記載の段組プランタ。
【請求項7】
前記カバー体の平面形状が、中央部が幅広で、かつ、両端側ほど幅狭となる葉形又は菱形である請求項1〜6のいずれか一項に記載の段組プランタ。
【請求項8】
前記棚板が、上下に貫通する貫通孔を備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の段組プランタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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