説明

比吸収率測定システム及び方法

【課題】SAR(比吸収率)分布を正確かつ迅速に測定する比吸収率測定システム及び方法を提供する。
【解決手段】電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定システム40で用いるための生体等価ファントムユニット42は、電磁波の吸収を受けるための擬似人体1と、被測定電磁波発生器2により擬似人体内に発生する電界を測定するための複数の電気光学結晶3と、電気光学結晶の各々を外部へ結合するために擬似人体内に敷設された複数のベアファイバ10を有する。生体等価ファントムユニットを用いた電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定システムは、光源4と、光源の出射光の偏光状態を調整する偏光調整器7と、光を各電気光学結晶に順次入射させる光路切替器9及び電気光学結晶から反射されてきた光を検出することにより比吸収率を測定する比吸収率測定ユニット44を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定システムに用いるための生体等価ファントムユニット、該ユニットを用いた比吸収率測定システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、送信機器から出射される電磁波が人間等の生体に与える熱的作用を定量的に評価する必要が増しており、電磁波が生体に与える作用の指標である比吸収率(Specific Absorption Rate:以下SARと呼ぶ。)を正確かつ迅速に測定するシステムの開発が望まれている。
【0003】
SARは、以下の式(1)で定義されるように、電界(|E|)に比例した値であり、人体近傍において例えば携帯電話を使用した際に吸収される電力の評価に主として用いられている。
[数1]
SAR = σ|E|/ρ 式(1)
ここで、σ及びρは生体等価ファントムのそれぞれ導電率[S/m」及び密度[kg/m]である。
【0004】
通常SARを測定する際には、微小ダイポールにより媒質内に生じている電界を検出し、式(1)を用いてSARに変換する(電界測定法)方法が採用されている。
【0005】
図1に、従来の比吸収率測定システム100を示す。比吸収率測定システム100は、液体により人体の電気定数を模擬した疑似人体(以下、ファントムと呼ぶ。)101、液体を入れる容器102、電界検出用プローブ103、プローブ走査装置104、信号ケーブル105、電界検出装置106、測定操作及びデータ解析用のプロセッサー装置107から構成される。
【0006】
図1に示すように、比吸収率測定システム100の近傍に、携帯電話等の被測定器108を配置することにより、ファントム内に発生する電界を測定するものである。プロープ走査装置104によって電界検出用プローブ103を3次元的に走査してSARを測定する。
【0007】
図2に、従来の他の比吸収率測定システム200を示す。比吸収率測定システム200は、固体により人体の電気定数を模擬したファントム121、電界検出用プローブ122、信号伝送用ケーブル123、電界検出装置124、測定操作およびデータ解析用のプロセッサー装置125及び走査装置126から構成される。
【0008】
図2に示すように、比吸収率測定システム200の近傍に、携帯電話等の被測定器127を配置することにより、ファントム内に発生する電界を測定するものである。但し、図1の従来例とは異なり、携帯電話127を走査装置126にて走査してSARを測定する。
【0009】
いずれの従来例においても、電界検出用プローブ103又は122を用いる。電界検出用プローブ103又は122の検出部110を図1に右側に詳細に示す。微小ダイポールエレメント111,112によって検出した電界が、ギャップに挿入されたショットキーダイオード113により検波され、高抵抗線114を経由して電界検出装置106、124に電気信号を伝える。2〜5mm程度の導体で形成された微小ダイポールエレメントにより発生する電圧をショットキーダイオードにより検出しているものである。
【0010】
しかしながら、これらの電界測定法は、上述のように微小ダイポール及び高抵抗線を用いているために被測定電界中に導体が存在し、検出部周辺の電磁界分布が擾乱されるという問題点がある。また、ダイポール長をより小さくすることが困難であることから、周波数が高くなるにつれて擾乱がより大きくなることが予想される。
【0011】
そこで、上述のような電界検出用プローブ自身による被測定電磁界への擾乱を低減するために、図3に示すような導波路型光変調器とレーザ光を利用した電界センサが開発されている。
【0012】
図3に示す電界センサ300は、レーザ光源131、電界プローブ132、導波路型光変調器133、金属からなる微小ダイポール134、受光部135から構成される。
【0013】
電界センサ300は、微小ダイポール134以外は全て誘電体材料で構成されているため、高抵抗線を有する上述の電界検出法に比べて高精度に電界を計測することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開03/014717号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の電界センサ300のように導波路型光変調器及びレーザ光を用いた電界測定法は、微小ダイポールを用いているため、高抵抗線を用いた電界測定法に比べて擾乱は小さくなるが、検出部周辺の電磁界分布が擾乱を受けるという問題点がある。また、液体ファントム内のSAR測定においては電界検出用プローブ又は電界センサを3次元走査するために、ファントム溶剤が撹拌され、プローブの振動による雑音が生じる。この雑音を取り除くために溶剤が定常状態に落ち着くまでの時間を設けると測定に多大な時間を要してしまう。測定時間を短縮するために、ファントム内に複数の電界センサを2次元又は3次元に配置すると、複数の微小ダイポールの集合体が被測定電磁界にとって導体として振る舞い、大きな擾乱となってしまう。その結果、実際とは全く異なるSAR分布を計測する可能性があって問題である。
【0016】
本発明は、上述した問題を解決するものであり、SAR分布を正確かつ迅速に測定することができる比吸収率測定システム及び方法を提供し、またそのために適した生体等価ファントムユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するために、本発明の一特徴に従った、電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定システムで用いるための生体等価ファントムユニットは、 電磁波の吸収を受けるための生体等価ファントム; 被測定電磁波発生器により生体等価ファントム内に発生する電界を測定するために生体等価ファントム内の複数の被測定点にそれぞれ配置され、各々断面積が0.01mm以下である複数の閃亜鉛鉱型電気光学結晶; 電気光学結晶の各々を外部へ結合するために生体等価ファントム内に敷設された複数の光ファイバ; を有する。
【0018】
このような生体等価ファントムにおいて、 光ファイバの等価誘電率を生体等価ファントムに等しくするような高誘電率材料を光ファイバの表面に適用しても良い。また、 電気光学結晶がCdTeであっても良い。
【0019】
本発明の他の特徴に従った、上記のような生体等価ファントムユニットを用いた電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定システムは、 光を出射する光源; 光源から出射された光の偏光状態を調整する偏光調整器; 偏光調整器から出射された光を各電気光学結晶に順次入射させる光路切替器;及び 電気光学結晶から反射されてきた光を検出することにより比吸収率を測定する比吸収率測定ユニット; を有する。
【0020】
本発明の他の特徴に従った、 電磁波の照射を受ける生体等価ファントムを用いて、電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定方法は、 被測定電磁波発生器により生体等価ファントム内に発生する電界を測定するために、各々断面積が0.01mm以下である複数の閃亜鉛鉱型電気光学結晶を生体等価ファントム内の複数の被測定点に配置する段階; 光源から出射された光を、偏光状態を調整した後、光路切替器によって各電気光学結晶へ順次的に入射させる段階; 電気光学結晶内に入射した光を反射させる段階; 電気光学結晶から反射されてくる光を検光子へ導く段階; 検光子を通過した光を光検出器で電気信号に変換し、比吸収率を導出する段階; を有する。
【0021】
上記の比吸収率測定方法において、 電気光学結晶内に入射した光を反射させる段階が、電気光学結晶において光が入射した面に対向する面に設けられた誘電体反射膜によって光が反射される段階から構成されても良い。
【0022】
また、光路切替器と各電気光学結晶とを光ファイバで接続し、光ファイバを光路切替器により選択することにより、光を各電気光学結晶へ順次入射させるようにしても良い。
【0023】
さらに、 光ファイバの等価誘電率を生体等価ファントムに等しくするような高誘電率材料を光ファイバの表面に適用することにより、光ファイバの等価誘電率を生体等価ファントムの誘電率に実質的に等しくするようにしても良い。
【0024】
上記の比吸収率測定方法において、 電気光学結晶がCdTeであっても良い。
【0025】
本発明においては、電界検出部を非金属で構成しているため、従来技術において生じていたような擾乱を除去してSAR分布を測定することが可能である。また、センサヘッドとしてファントムに近い誘電率を有する電気光学結晶を用いることにより、誘電率の差による反射を低減し、より正確なSAR分布を測定することが可能である。さらに、測定における空間分解能は電気光学結晶を透過する光のビーム径に比例するため、原理的には空間分解能を光の波長(数μm)まで小さくすることが可能である。さらに、被測定点における電気光学結晶の屈折率変化は電磁波に追従する双極子(ダイポール)の偏りに起因するため、MHz帯からTHz帯まで広帯域なSAR測定が可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に従えば、ファントムに近い誘電率を有する電気光学結晶を用いることにより、界面反射による電気光学結晶内の電界の低下を低減するだけでなく、界面反射による電気光学結晶周辺の電磁界への影響を低減することが可能となる。従って、本発明の実施形態に従った比吸収率(SAR)測定システムを用いることにより、正確な比吸収率(SAR)分布を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の比吸収率測定システム100の概略図である。
【図2】従来の他の比吸収率測定システム200の概略図である。
【図3】従来の導波路型光変調器とレーザ光を利用した電界センサの概略図である。
【図4】本発明の実施形態に従った比吸収率(SAR)測定システムのブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に従ったファントム近傍の斜視図である。
【図6】比誘電率差による電気光学結晶内の電界強度の誤差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。図面中、同一の機能を有する部材については同一の参照符号を付し、重複的な説明を省略した。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に従った比吸収率(SAR)測定システムのブロック図である。比吸収率測定システム40の生体等価ファントムユニット42は、液体、ゲル、固体等から構成した人体の電気定数を模擬した疑似人体(ファントム)1と、ファントム1に近い誘電率を有する電気光学結晶3と、ベアファイバ10とから構成されている。
【0030】
比吸収率測定システム40はさらに、携帯電話等の被測定電磁波発生器2と、DFB-LD等の直線偏光光源4と、偏波保持ファイバ(PMF)5と、サーキュレータ6と、1/4波長板や1/2波長板から構成される偏光調整器7と、シングルモードファイバ(SMF)8と、MEMS技術やPLC技術により形成される光路切替器9と、比吸収率測定ユニット44とから構成されている。
【0031】
比吸収率測定ユニット44は、検光子11と、光検出器12と、電気信号線13と、信号処理部14と、SAR分布画像表示器15とから構成されている。
【0032】
比吸収率測定システム40は、図4に示すように、ファントム1の近傍に配置された被測定電磁波発生器2によりファントム1内に発生する電界を電気光学結晶3を用いて測定するためのシステムである。
【0033】
直線偏光光源4から出射された直線偏光を偏波保持ファイバ(PMF)5によりサーキュレータ6を経由して偏光調整器7へ伝搬される。偏光調整器7は、入射してきた直線偏光を特定の偏光状態に調整して出射する。
【0034】
その特定偏光状態は、ファントム1内に配置した電気光学結晶3の結晶軸と被測定電磁波発生器2から出射される電界の振動方向によって決定される。例えば、閃亜鉛鉱型結晶であるCdTeを用いてy軸に対して平行に振動する電界を検出する場合には、CdTeの結晶面である(001)、(100)、(010)面をそれぞれy、x、z軸に対して、又はy、z、x軸に対して垂直に配置し、直線偏光又は楕円偏光の偏光軸がx軸又はz軸に平行になるように、偏光調整器7を調整する。
【0035】
偏光調整された光は、シングルモードファイバ(SMF)8により伝搬され、光路切替器9によって各電気光学結晶3へ順次入射される。
【0036】
入射された光は電気光学結晶3の入射面と相対する面に設けられた誘電体反射膜により反射され、入射経路を逆行する。光が電気光学結晶内で入射経路を逆行するとき、印加されている電界強度の1乗に比例した屈折率変化(ポッケルス効果)により特定の偏光成分の間に位相差が生じ、偏光状態が変更(偏光変調)される。
【0037】
上記の例のようにCdTeを配置した場合には、x軸とz軸に平行な偏光成分間に、次式で表される位相差Γが生じる。
[数2]
Γ = (2π/λ)n41Ed 式(2)
ここで、λ、n、r41、E及びdはそれぞれ、入射光の波長[m]、電気光学結晶3の屈折率、ポッケルス定数[m/V]、電界強度[V/m]及び電界の振動方向の電気光学結晶3の長さ[m]である。
【0038】
反射され偏光変調された光は光路切替器9、偏光調整器7を経由して、サーキュレータ6により検光子11へ分岐される。分岐された光の変調成分を検光子11で取り出し、光検出器12により電気信号へ変換する。電気信号の振幅は被測定電磁波の電界強度に比例する。電気信号の振幅は、信号処理器14によりSARへ変換され、位置情報を付帯してSAR分布画像表示器15によりSAR分布を表示することができる。
【0039】
比吸収率(SAR)は電界測定法によって式(1)で定義されているが、本実施形態に従った比吸収率測定システム40を用いることにより式(1)、(2)からSARを次式で定義することができる。
[数3]
SAR = σK|Γ|/ρ 式(3)
ここで、Kは電気光学結晶3の結晶軸と被測定電磁波発生器2から出射される電界の振動方向によって決定される定数である。上述の例のようにCdTeを配置した場合には、Kを次式で表すことができる。
[数4]
K = λ/(2πn41d) 式(4)
同様に、閃亜鉛鉱型結晶であるCdTeを用いてx(又はz)軸に対して平行に振動する電界を検出する場合には、CdTeの結晶面である(110)、(1(1バー)0)、(001)面をそれぞれx(z)、y、z(x)軸に対して垂直に配置し、直線偏光又は楕円偏光の偏光軸がx(z)軸に平行になるように偏光調整器7を調整する。この場合,x軸とz軸に対して45°傾いた偏光成分間に、次式で表される位相差(Γ)が生じる。
[数5]
Γ = (2π/λ)ln41E 式(5)
ここで、lは光が通過する方向の電気光学結晶3の長さ[m]である。また、SARを式(3)で定義すると、係数Kは次式のように表すことができる。
[数6]
K = λ/(2πln41) 式(6)
本実施形態に従った比吸収率測定システム40においては、電界検出部を誘電体材料で構成しているため、従来の電界測定法において問題となっていた微小ダイポールの集合体に起因する被測定電磁界への擾乱を取り除くことができる。ファントム1の比誘電率はARIBで規定されている。電気光学結晶3の種類によっては誘電率の差により界面において電磁波の反射(フレネル反射)が生じてしまうが、この反射は微小ダイポールの集合体による擾乱に比較すれば大変小さい。
【0040】
図6は、電気光学結晶3において電磁波の吸収が存在しない場合の界面における反射を考慮した電気光学結晶3内の電界強度を示したグラフである。計算においては電磁波が半無限の電気光学結晶3へ垂直に入射するモデルを仮定し、ファントムの比誘電率としてはARIBで規定されている1450MHzにおける値(40.5)を用いている。計算の結果,上述の例で用いたCdTeの場合には,約10%の反射を考慮して測定された電界を補正することにより真値を得ることができることが分かった。また、反射による被測定電磁界への影響は電気光学結晶3の占有する面積比率に比例すると考えられる。SAR測定における最小空間分解能は1mmである。電気光学結晶3の最小加工寸法は100μm(=0.1mm)以下であることから、電気光学結晶3の最小面積は0.01mmとなる。これらのことから、SAR測定における最小空間分解能に相当する面積1mmあたりの反射率を面積比率で換算すると0.01/1=1/100、すなわち約1%となり、ほぽ無視できる大きさになる。ファントムの誘電率に近い値を有するLN、LT、KD*P等の電気光学結晶を用いることにより、補正を行わずにSARを測定することも可能である。表1にLN、LT、KD*Pの電気特性と反射による測定電界の誤差を示す。
[表1]
電気光学結晶の電気特性と界面反射による測定電界の誤差
電気光学結晶 ポッケルス係数(X10-12 m/V) 比誘電率 測定電界の誤差
LiNbO3(LN) 19 28 0.8%
LiTaO3(LT) 22 43 0.01%以下
KD2PO4 (KD*P) 24.1 48 0.2%以下

同様の理由により、電気光学結晶3と光路切替器9を接続するベアファイバ11においても約28%の反射が発生し、被測定電磁界に対して擾乱となる可能性がある。通常のベアファイバの直径は被覆層を含めて250μmであり、1mmの測定断面あたりの反射率は1/16(約1.8%)である。被覆層は低温における耐マイクロベンド特性を考慮して形成されているが、本実施形態のシステムにおけるベアファイバ10はファントム1に覆われているため、被覆層の無い80μm径のクラッドファイバを使用することが可能である。そのようなクラッドファイバを用いることにより、1mmあたりの反射率を0.2%以下とすることができる。
【0041】
図5のようにy軸方向にN個の電気光学結晶3を配列した場合、光路切替器9側における1mmあたりのベアファイバ10の本数はN本となり、1mmあたりの反射率は0.2×N%以下となる。許容する反射率を10%以下に設定すると、y軸方向に配列できる電気光学結晶3の個数は50個となり、1mm間隔で配列すると電気光学結晶3をy軸方向に配列できる長さは50mmである。頭部を模擬したファントムの大きさは300mm角程度であるため、光路切替器9側の反射が大変大きくなる可能性がある。
【0042】
これに対して、ベアファイバ10の表面に誘電率の大きな材料を塗布し、ファイバ10の等価誘電率をファントムと等しくすることにより、電磁波の反射を防ぐことが可能である。主軸方向や焼結温度により比誘電率を40―120まで調整できるため、ガラスの軟化温度(約1500℃)よりも低い焼結温度を有するTiOやBaTiOは塗布材料として適している。
【符号の説明】
【0043】
1 疑似人体(ファントム)
2 被測定電磁波発生器
3 電気光学結晶
4 直線偏光光源
5 偏波保持ファイバ(PMF)
6 サーキュレータ
7 偏光調整器
8 シングルモードファイバ(SMF)
9 光路切替器
10 ベアファイバ
11 検光子
12 光検出器
13 電気信号線
14 信号処理部
15 SAR分布画像表示器
40 比吸収率測定システム
42 生体等価ファントムユニット
44 比吸収率測定ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定システムで用いるための生体等価ファントムユニットであって:
電磁波の吸収を受けるための生体等価ファントム;
被測定電磁波発生器により前記生体等価ファントム内に発生する電界を測定するために前記生体等価ファントム内の複数の被測定点にそれぞれ配置され、各々断面積が0.01mm以下である複数の閃亜鉛鉱型電気光学結晶;
該電気光学結晶の各々を外部へ結合するために前記生体等価ファントム内に敷設された複数の光ファイバ;
を有する生体等価ファントムユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の生体等価ファントムユニットであって:
前記光ファイバの等価誘電率を前記生体等価ファントムに等しくするような高誘電率材料を前記光ファイバの表面に適用したことを特徴とする生体等価ファントムユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生体等価ファントムユニットであって:
前記電気光学結晶がCdTeであることを特徴とする生体等価ファントムユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体等価ファントムユニットを用いて、電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定システムであって:
光を出射する光源;
該光源から出射された光の偏光状態を調整する偏光調整器;
偏光調整器から出射された光を各前記電気光学結晶に順次入射させる光路切替器;及び
前記電気光学結晶から反射されてきた光を検出することにより比吸収率を測定する比吸収率測定ユニット;
を有する比吸収率測定システム。
【請求項5】
電磁波の照射を受ける生体等価ファントムを用いて、電磁波エネルギーの吸収を評価する比吸収率測定方法であって:
被測定電磁波発生器により前記生体等価ファントム内に発生する電界を測定するために、各々断面積が0.01mm以下である複数の閃亜鉛鉱型電気光学結晶を前記生体等価ファントム内の複数の被測定点に配置する段階;
光源から出射された光を、偏光状態を調整した後、光路切替器によって各前記電気光学結晶へ順次的に入射させる段階;
前記電気光学結晶内に入射した光を反射させる段階;
前記電気光学結晶から反射されてくる光を検光子へ導く段階;
該検光子を通過した光を光検出器で電気信号に変換し、比吸収率を導出する段階;
を有する比吸収率測定方法。
【請求項6】
請求項5記載の比吸収率測定方法であって:
前記電気光学結晶内に入射した光を反射させる段階が、前記電気光学結晶において光が入射した面に対向する面に設けられた誘電体反射膜によって光が反射される段階から成る;
ことを特徴とする比吸収率測定方法。
【請求項7】
請求項6記載の比吸収率測定方法であって:
前記光路切替器と各前記電気光学結晶とを光ファイバで接続し、該光ファイバを光路切替器により選択することにより、光を各前記電気光学結晶へ順次入射させることを特徴とする比吸収率測定方法。
【請求項8】
請求項7記載の比吸収率測定方法であって:
前記光ファイバの等価誘電率を前記生体等価ファントムに等しくするような高誘電率材料を前記光ファイバの表面に適用することにより、前記光ファイバの等価誘電率を前記生体等価ファントムの誘電率に実質的に等しくすることを特徴とする比吸収率測定方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の比吸収率測定方法であって:
前記電気光学結晶がCdTeであることを特徴とする比吸収率測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101140(P2013−101140A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8716(P2013−8716)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2004−319387(P2004−319387)の分割
【原出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)