説明

毛髪診断支援システム

【課題】
被験者の少なくとも1本の毛髪の複数の部位の拡大画像を同時に複数示す診断画面を表示することで、毛髪の正常な部位と傷んだ部位等を見比べながら診断でき、より適切な診断が可能な毛髪診断支援システムを提供することにある。
【解決手段】
毛髪の傷み具合等を診断するための毛髪診断支援システムにおいて、被験者の少なくとも1本の毛髪の複数の部位の拡大画像を入力し記憶する画像記憶手段と、毛髪の拡大画像を同時に複数示す診断画面を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の傷み具合等を診断するための毛髪診断支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、毛髪の診断においては、例えば特許文献1に示されるような、毛髪の表面を光学的に観察し、その観察結果から毛髪状態を診断する毛髪診断システムが用いられている。特許文献1の毛髪診断システムでは、毛髪の顕微鏡画像の他に、毛髪の光沢やその他の有用なデータをデータベースとして蓄積しておき、これらを毛髪の診断に用いている。
【特許文献1】特開2000−287953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、最近の毛髪診断においては、1本の毛髪の1箇所の画像や様子を示すだけで、毛髪全体の状況を把握しにくく、より適切な診断が困難であった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、毛髪の正常な部位と傷んだ部位等を見比べながら診断でき、より適切な診断が可能な毛髪診断支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の毛髪診断支援システムは、被験者の少なくとも1本の毛髪の複数の部位の拡大画像を入力し記憶する画像記憶手段と、毛髪の拡大画像を同時に複数示す診断画面を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の毛髪診断支援システムは、毛髪の部位の1つが、毛髪の毛根であることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の毛髪診断支援システムは、毛髪の部位の1つが、毛髪の断面であることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の毛髪診断支援システムは、拡大画像が、毛髪の表面又は断面の色彩を観察可能な顕微鏡を用いて撮影されたカラー画像であり、表示手段が、拡大画像をカラー表示することを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の毛髪診断支援システムは、毛髪の引張強度や水分量等の物理量を入力し記憶する物理量記憶手段を備え、表示手段が、診断画面に物理量を示すことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の毛髪診断支援システムは、表示手段が、診断画面を電気通信回線を介して遠隔地の電子計算機に表示する通信機能を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、被験者の少なくとも1本の毛髪の複数の部位の拡大画像を同時に複数示す診断画面を表示することで、毛髪の正常な部位と傷んだ部位等を見比べながら診断でき、より適切な診断が可能である。
【0012】
請求項2の発明によれば、入力し表示する毛髪の部位の1つが、毛髪の毛根であることから、毛根の形状により頭皮等の病気の診断が可能となる。
【0013】
請求項3の発明によれば、入力し表示する毛髪の部位の1つが、毛髪の断面であることから、毛髪の内部状態を観察しつつ、より適切な診断が可能となる。
【0014】
請求項4の発明によれば、拡大画像が毛髪の表面又は断面の色彩を観察可能な顕微鏡を用いて撮影されたカラー画像であり、拡大画像をカラー表示することで、毛髪表面の色彩の違いから毛髪表面の形状や付着物をより詳細に観察でき、より適切な診断が可能となる。
【0015】
請求項5の発明によれば、毛髪の引張強度や水分量等の物理量を示すことで、より適切な診断が可能となる。
【0016】
請求項6の発明によれば、診断画面を電気通信回線を介して遠隔地の電子計算機に表示する通信機能を備えることから、場所を限らず容易に診断や診断状況の確認をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の形態における毛髪診断支援システムは、毛髪の傷み具合等を診断するためのものである。図1は、本発明に係る毛髪診断支援システムの一例の構成を示す構成図である。図2は、同毛髪診断支援システムの一般顧客の画面構成を示す説明図である。図3は、同毛髪診断支援システムの管理側の画面構成を示す説明図である。図4は、同毛髪診断支援システムのカルテ編集画面を示す説明図である。図5は、同毛髪診断支援システムのカルテ表示画面を示す説明図である。図6は、正常な毛髪の拡大画像を示す説明図である。図7は、傷んだ毛髪の拡大画像を示す説明図である。
【0018】
図において、毛髪診断支援システム1は、インターネット網や一般回線等の電気通信回線からなる通信網4を介して接続された管理側コンピュータ8とサーバ6等で構成されている。また、通信網4を介して、ユーザ側コンピュータ10がサーバ6に接続可能に構成されている。これ以外に、毛髪の表面や断面を観察する手段として顕微鏡20、毛髪の物理量を測定するための手段として引張強度計22や水分計24が用いられる。ここで、管理側コンピュータ8及びユーザ側コンピュータ10は、一般的にはパーソナルコンピュータ等の電子計算機であるが、後述する各種画像等のデータを閲覧可能であれば携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)のような端末であっても構わない。
【0019】
また、サーバ6は、後述する各種画像や毛髪の物理量等のデータを記憶する記憶手段(画像記憶手段、物理量記憶手段)を備え、後述する各種のデータの入力や表示を行うためのソフトウェア的な機能を有している。尚、サーバ6の設置形態としては、単独で通信網4に接続可能なものであってもよいく、ISP(Internet Services Provider)やASP(Application Service Provider)内のものであってもよく、その形態によって制限されるものではない。
【0020】
本実施の形態の毛髪診断支援システム1は、通信網4で接続されたサーバ6と管理側コンピュータ8で基本的に構成され、サーバ6側で機能するASP側のアプリケーションを用いて、管理側コンピュータ8上にその機能を使用可能に実現している。具体的には、図2及び図3に示す画面構成で、管理側コンピュータ8やユーザ側コンピュータ10が動作することになる。
【0021】
管理側コンピュータ8の画面構成で機能を説明すると、例えば図3に示すように、管理ページ(画面)に管理者用のIDとパスワードとによりログインし、その下に、会員情報の一覧画面、各会員の詳細画面、各会員の詳細画面の編集画面が設けられている。また、管理ページの下に、カルテの一覧の画面があり、その下で各カルテの編集が可能になっている(図4のカルテ編集画面30)。さらに、管理ページの下では、管理に必要な各種の情報の管理を行う管理画面が設けられている。
【0022】
ユーザ側コンピュータ10も、管理側コンピュータ8と同様に、通信網4を介してサーバ6に接続され、サーバ6側で機能するASP側のアプリケーションを用いて、ユーザ側コンピュータ10上にその機能を使用可能に実現している。ユーザ側コンピュータ10の画面構成で機能を説明すると、例えば図2に示すように、TOPページに各種案内の画面や会員ページが設けられ、各ユーザは自身のIDとパスワードとにより各自のページにログインし、それぞれのカルテの閲覧が可能になっている(図5のカルテ表示画面40)。
【0023】
次に、本実施例の毛髪診断支援システム1の使用方法を説明する。まず、ユーザは、毛髪を採取し、採取した毛髪を診断を行う者(診断者)に郵便等で送付する。診断者は、受け取った毛髪の複数の部位の拡大画像を顕微鏡20で撮影し、撮影した毛髪の拡大画像を管理用コンピュータ8に保存し、カルテ編集画面30を介してその拡大画像をサーバ6に入力する。撮影する毛髪の部位は、例えば同じ1本の毛髪の毛根、中間部分、毛先部分、断面等である。図4の例では、毛根画像32、毛髪中間画像34、毛髪毛先画像36を入力するようになっている。各部位の拡大画像を入力し、図4に示すように表示手段(ASPのアプリケーションで実現)で各部位の拡大画像を複数同時に1つの画面で表示可能になっている。
【0024】
また、図4のカルテ編集画面30で、ユーザの毛髪のカラー、パーマ、シャンプー頻度、生活習慣等の状況を諸元入力部38で入力する。さらに、採取した毛髪の引張強度や水分量の物理量を、引張強度計22や水分計24で測定し、その測定値を諸元入力部38で入力する。毛髪の太さや形状等を諸元入力部38で入力することも可能である。これらの諸元入力部38で入力した情報も、サーバ6に送られ記憶される。
【0025】
次に、診断者は、カルテ編集画面30に表示された毛髪の拡大画像や物理量等から、毛髪の傷み具合等を診断する。そして、診断の結果やケアのアドバイスや推奨するヘアケア用品等を諸元入力部38で入力する。
【0026】
ユーザの方では、サーバ6に記憶された採取した毛髪の拡大画像や物理量を、カルテ表示画面40で確認することが可能である。例えば、カルテ表示画面40で、ユーザは、健康な髪画像42やダメージ毛画像44を目視できる。また、毛髪の物理量に加え、診断の結果のアドバイスや推奨されるヘアケア商品等の情報を確認することもできる。
【0027】
以上のような本実施の形態の毛髪診断支援システム1によれば、被験者の少なくとも1本の毛髪の複数の部位の拡大画像を同時に複数示す診断画面であるカルテ編集画面を表示することで、毛髪の正常な部位と傷んだ部位等を見比べながら診断でき、より適切な診断が可能である。
【0028】
尚、入力し表示する毛髪の部位の1つを毛髪の毛根にすることも可能で、毛根の拡大画像を表示することで、毛根の形状により頭皮等の病気の診断が可能となる。
【0029】
また、入力し表示する毛髪の部位の1つを毛髪の断面とすることで、毛髪の内部状態を観察しつつ、より適切な診断が可能となる。
【0030】
毛髪の拡大画像の色彩については、顕微鏡の性能にも依存するが、白黒画像が一般的である。しかしながら、毛髪の表面又は断面の色彩を観察可能な顕微鏡を用いて撮影し、拡大画像をカラー表示することで、毛髪表面の色彩の違いから毛髪表面の形状や付着物をより詳細に観察でき、より適切な診断が可能となる。図6及び図7に毛髪の拡大画像を示すが、図6の正常な毛髪の拡大画像に対し、図7の傷んだ毛髪の拡大画像をカラー表示することで、毛髪表面のキューティクルの状況が把握しやすくなり、また毛髪表面の各部分部分の色彩の違いから、システン等の付着物の有無を確認することも可能となる。
【0031】
また、毛髪の引張強度や水分量等の物理量を示すことで、より適切な診断が可能となる。
【0032】
さらに、診断画面であるカルテ編集画面30やカルテ表示画面40を電気通信回線を介して遠隔地の電子計算機であるパーソナルコンピュータ等に表示する通信機能を備えることから、診断者もユーザも場所を限らず容易に診断や診断状況の確認をすることができる。尚、本実施の形態では、通信網4を介してサーバ6に管理側コンピュータ8やユーザ側コンピュータ10を接続しているが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、通信網4を用いず、管理側コンピュータ8上で上述のアプリケーションを機能させ、管理側コンピュータ8に直接設けられた記憶手段を画像記憶手段や物理量記憶手段として用いることもできる。また、このような管理用コンピュータ8に、ユーザ側コンピュータ10から通信網4を介して接続することも可能で、構成により限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、毛髪の正常な部位と傷んだ部位等を見比べながら診断でき、より適切な診断が可能な毛髪診断支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る毛髪診断支援システムの一例の構成を示す構成図である。
【図2】同毛髪診断支援システムの一般顧客の画面構成を示す説明図である。
【図3】同毛髪診断支援システムの管理側の画面構成を示す説明図である。
【図4】同毛髪診断支援システムのカルテ編集画面を示す説明図である。
【図5】同毛髪診断支援システムのカルテ表示画面を示す説明図である。
【図6】正常な毛髪の拡大画像を示す説明図である。
【図7】傷んだ毛髪の拡大画像を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1・・・・毛髪診断支援システム
4・・・・通信網
6・・・・サーバ
8・・・・管理側コンピュータ
10・・・ユーザ側コンピュータ
20・・・顕微鏡
22・・・引張強度計
24・・・水分計
30・・・カルテ編集画面
32・・・毛根画像
34・・・毛髪中間画像
36・・・毛髪毛先画像
38・・・諸元入力部
40・・・カルテ表示画面
42・・・健康な髪画像
44・・・ダメージ毛画像
46・・・諸元表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪の傷み具合等を診断するための毛髪診断支援システムにおいて、
被験者の少なくとも1本の毛髪の複数の部位の拡大画像を入力し記憶する画像記憶手段と、
該毛髪の拡大画像を同時に複数示す診断画面を表示する表示手段とを備えることを特徴とする毛髪診断支援システム。
【請求項2】
前記毛髪の部位の1つが、該毛髪の毛根であることを特徴とする請求項1記載の毛髪診断支援システム。
【請求項3】
前記毛髪の部位の1つが、該毛髪の断面であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の毛髪診断支援システム。
【請求項4】
前記拡大画像が、前記毛髪の表面又は断面の色彩を観察可能な顕微鏡を用いて撮影されたカラー画像であり、
前記表示手段が、該拡大画像をカラー表示することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の毛髪診断支援システム。
【請求項5】
前記毛髪の引張強度や水分量等の物理量を入力し記憶する物理量記憶手段を備え、
該表示手段が、前記診断画面に該物理量を示すことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の毛髪診断支援システム。
【請求項6】
前記表示手段が、前記診断画面を電気通信回線を介して遠隔地の電子計算機に表示する通信機能を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の毛髪診断支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−172023(P2009−172023A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11209(P2008−11209)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(507359649)株式会社ファインゾーン (1)
【Fターム(参考)】