説明

気体ウォッシュアウトベントを備えた呼吸用マスクならびに呼吸用マスク用の気体ウォッシュアウトベントアセンブリ

CPAP処置にて使用されるタイプの呼吸用マスクと共に使用するのに適したベントアセンブリ。ある実施形態ではベントは薄い空気透過性膜(28)からなる。この膜は発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような疎水性材料から形成できる。発泡PTFE膜はポリプロピレンスクリム上に配置される。ePTFE膜の孔は10ないし15ミクロンの基準孔サイズを有する。あるいはベントアセンブリは、約0.2mm以下の直径を有する孔を持つステンレススチールベントを含む。他の実施形態では、膜は概ね500mm2の見かけの断面積を有する。さらなる実施形態では、メッシュ素材からなるベント(たとえば肥大性ベント(200)あるいはPTFEメッシュ)を、空気透過性膜として単独であるいは既存のベント構造体と組み合わせて使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は呼吸用マスクおよび呼吸用マスク用のベントに関する。
【0002】
本願は、2004年12月30日付け提出の米国仮特許出願第60/640,184号(この引用によってその全体が本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【0003】
2000年3月15日付け提出の米国特許出願第09/570,907号(現在は米国特許第6,581,594号)と、その継続出願である2003年3月3日付け提出の米国特許出願第10/377,110号(現在は米国特許第6,823,865号)と、その継続出願である2004年11月1日付け提出の米国特許出願第10/976,874号(係属中)は、その内容全体が、この引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
経鼻マスクを介した持続性気道陽圧(CPAP)の適用は、通例的に譲渡された米国特許第4,944,310号の明細書(特許文献1(この引用によってその全体が本明細書に組み込まれる))に開示されているように、閉塞性睡眠無呼吸(OSA)を含む睡眠障害呼吸(SDB)に関する一般的な改良治療法である。OSA用のCPAP治療に関して、空気またはその他の呼吸に適した気体が患者の気道の入口に大気圧よりも高められた(患者用インターフェイス内で測ったとき通常は3〜20cmHOの範囲)圧力で供給される。患者の必要性に応じて、治療の期間中、処置圧力のレベルを変化させることも公知であり、CPAPのこの形態は、通例的に譲渡された米国特許第5,245,995号の明細書(特許文献2(この引用によってその全体が本明細書に組み込まれる))に開示されているように、経鼻CPAP処置の自動調節として知られている。
【0005】
無侵襲的陽圧換気(NIPPV)は、睡眠障害呼吸を含む呼吸障害のための他の治療形態である。基本的な形態において、NIPPVは、呼吸の吸息段階の間は患者用インターフェイス内に比較的高圧の気体を供給することを、そして呼吸の呼気段階の間は患者用インターフェイス内に比較的低圧のあるいは大気圧を供給することを含む。他のNIPPVモードにおいては、呼吸サイクルを通じて複雑な様式で圧力を変化させることができる。たとえば、吸息あるいは呼息の間に患者のインターフェイスにおける圧力は、通例的に譲渡された国際特許出願の明細書(特許文献3および4(両者は、その全体が、この引用によって本明細書に組み込まれる))に開示されるように、治療の期間を通して変更することができる。
【0006】
本明細書では、CPAP治療についての言及は、上記形態の換気処置あるいは支援の全てを包含するものと理解されたい。
【0007】
通常、CPAP治療のための患者用マスクは経鼻マスクを含む。経鼻マスクは概してマスクシェルによって形成されるが、このマスクシェルは、その内面と、マスククッションおよびユーザーの顔面と、旋回エルボーのような別個のコンポーネントを含んでいてもあるいはそれを含んでいなくてもよい気体導入口とによって確定される内部空隙を形成する。これに代えて、鼻口マスクあるいはフルフェイスマスクあるいは鼻プロングあるいは鼻ピローを使用できる。本明細書では、マスクに対する言及は、それと異なる特別な記載がない限り、経鼻マスク、鼻口マスク、フルフェイスマスク、鼻プロングあるいは鼻ピローを含むものと理解されたい。マスクは、吐き出された気体を大気中へと放出させるための気体ウォッシュアウトベントを含むか、あるいは近傍にそれを有する。気体ウォッシュアウトベント(ベント)は、ときおり、COウォッシュアウトベントと呼ばれる。
【0008】
患者が治療を受け容れやすくするために、器具は静粛性に優れておりかつ快適であることが重要である。ベントを経て、吐き出された気体を空気中に放出する際には騒音が発生する。CPAPおよびNIPPV治療は、通常、患者が寝ている間に実施されるので、そうした雑音を最小限に抑えることは、患者およびベッドパートナーの両者が快適であるために望ましい。排出気体ジェットが寝具類または他の物体に衝突することで引き起こされるであろう、さらなる障害または騒音を回避するために、空気流を拡散させることで排出気体ジェットを最小限に抑えることがやはり好ましい。
【0009】
臨床的観点から、マスクとベントの組み合わせに関して、ベントによる吐き出されたCOの除去ならびに供給された呼吸に適した気体の吸入の両方を最大限にすることが望ましい。これによって、マスク内での吐き出されたCOの残留(着用者はこれを「再呼吸」する)が最小限に抑えられる。概してマスクシェル内にベントを配置することによって、マスクシェルと呼吸に適した気体の供給管との間に同じベントを配置するよりも、COウォッシュアウトが優れたものとなる。
【0010】
患者がより快適となるように、ベントアセンブリの重量を最小限に抑えることが望ましい。
【0011】
経鼻CPAP治療の提供のためのシステムは、たいてい、鼻粘膜の乾燥を最小限に抑えかつ患者の快適性を高めるための直列型給湿器を含んでいる。したがって、湿り気体と共に使用したとき、ベントが詰まらないこともまた望ましい。ベントを簡単に洗浄することができるか、あるいは経済的に廃棄できることもまた望ましい。
【0012】
さまざまなベント形態が知られている。ベント形態に対する一つのアプローチは、マスクシェルに、内部空隙から大気中へと排気が流れることを可能とする一つ以上の開口部を形成することである。排気の流れは、マスクシェル外面に配された開口部から外側に延在する付加的パイプを組み込むことで誘導することができる。
【0013】
「ResMed Modular Mask System」という製品名で知られている本出願人の経鼻マスクシステムは、マスクシェルに接続された旋回エルボー内に配置された排出ベントを含む。ベントを形成するポートは、同じ断面厚みを有し、かつ旋回エルボーおよびマスクシェルフレームを形成するのに用いた同じポリカーボネート素材から形成される。
【0014】
Respironics,Inc.製のウィスパースイベルは、概ね円筒形の取り付け片の外周に三つの溝を備える。使用時、取り付けピースは、マスクシェルと気体管との間に介在させられることになる。取り付けピースは、マスクシェルを形成するのに使用したものと同じ素材および厚みからなる。
【0015】
特許文献5(この引用によって、その全体が本明細書に組み込まれる)には、多孔質焼結材から形成されたベントが開示されている。
【0016】
公知のベント(Gottleib Weinmann Gerate Fur Medizin Und Arbeitsschutz GmbH and Co.製)は、使用時にマスクシェルと気体管との間に介在させられる概ね円筒形のインサートを具備してなる。このインサートは、概ね3〜4mm厚の多孔質焼結材で覆われた窓を有する。
【0017】
マスクシェルと呼吸に適した気体供給管との間に介在させるための他のタイプのベントは、Draeger Medizintechnik GmbH製のE-ベントN(Draegerベント)である。Draegerベントは21枚の環状ディスクの積層体からなり、このディスクは、それを経て気体が流動するためのスロットを、その隣接する表面に有する。各溝は、ベントの内部から大気に至る経路に沿って測ったとき、5ないし7mmの長さを有する。
【0018】
本出願人は、MIRAGE(登録商標)経鼻マスクシステムおよびMIRAGE(登録商標)フルフェイスマスク(MIRAGE(登録商標)マスク)として公知の呼吸用マスクを製造している。MIRAGE(登録商標)マスクはマスクシェルに半月形状の開口部を有するが、この中には、ベントを構成する六つの孔を備えた、相補的形状の半月形弾性インサートが配置されている。この弾性インサートは3ないし4mmの断面厚みを有する。MIRAGE(登録商標)において使用されるタイプのベントは特許文献6および特許文献7に開示されている(いずれも、その全体が本明細書に組み込まれる)。
【特許文献1】米国特許第4,944,310号明細書
【特許文献2】米国特許第5,245,995号明細書
【特許文献3】国際公開第98/12965号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/61088号パンフレット
【特許文献5】欧州特許第0 697 225号明細書
【特許文献6】国際公開第98/34665号パンフレット
【特許文献7】オーストラリア国特許第712236号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、呼吸用マスク内で使用するのに適したベントの代替形態を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様は、CPAP治療で使用されるマスクと共に使用するのに適したベント(通気)アセンブリを提供するが、この場合、ベントアセンブリは薄い空気透過性膜である。
【0021】
本発明のある形態では、上記膜はマスクフレームよりも薄いものである。
【0022】
本発明の他の形態では、上記膜は0.5mmよりも薄いものである。
【0023】
本発明の他の形態では、上記膜は概ね0.05mmの厚みを有する。
【0024】
本発明の他の形態では、上記膜は、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような疎水性材料から形成される。
【0025】
実施形態では、膜はメッシュ材、たとえば多孔質ファブリックあるいはPTFEメッシュから構成できる。メッシュ材は、たとえば肥大性繊維を含む肥大性素材を使用することによって、引き伸ばしたとき太くなることが可能であってもよい。繊維は、負のポアソン比および(容易に引き伸ばせるように)低いヤング率を有していてもよい。肥大性素材は、メッシュの替わりに、一つ以上の孔および/またはスリットを有するシート材の形態であってもよい。
【0026】
本発明の他の形態では、上記膜は発泡PTFEから構成される。
【0027】
本発明の他の形態では、発泡PTFE膜はポリプロピレンスクリム上に配置される。
【0028】
他の形態では、膜の孔は10ないし15ミクロンの基準孔サイズを有する。
【0029】
本発明の他の形態では、膜はステンレススチールから構成される。ステンレススチールシートは概ね0.45mmの厚みを有しかつ多数の孔を有するが、各孔は概ね0.1mmの直径を有する。そうしたステンレススチール膜の総開口面積は概ね5%である。
【0030】
本発明の他の形態では、ベントの膜は概ね500mmの見かけの断面積を有する。
【0031】
本発明の他の形態では、ベントアセンブリはベントフレームに対して取り付けられた膜を具備してなり、当該ベントアセンブリは、マスクフレームに対して取り外し可能に取り付けることができるインサートを形成している。
【0032】
本発明の他の形態では、着用者の気道の入口に対して、通気に適した気体を送り込むための呼吸用マスクが提供されるが、このマスクは、(i)マスクシェルと、(ii)気体導入口と、(iii)その中に、対応する形状を備えた薄い空気透過性膜から構成されるインサートを配置できる開口部とを含む。当該開口部は、マスクシェル内にあるいは気体導入口内に配置できる。
【0033】
ある形態では、マスクは、一体的に形成された気体導入口を備えたマスクシェルを含み、かつ、開口部が、この導入口から離れてマスクシェルに設けられている。他の形態では、マスクは、一体的に形成された気体導入口を備えたマスクシェルを備え、かつ、開口部が気体導入口に設けられる。さらに他の形態では、マスクは、それに対して取り付けられた別体形成の気体導入口を備えたマスクシェルを備え、かつ、開口部が導入口から離れてマスクシェルに設けられている。さらに他の形態では、マスクは、それに取り付けられた別体形成の気体導入口を備えたマスクシェルを含み、かつ、開口部は気体導入口に設けられる。
【0034】
本発明の他の形態は、着用者の気道の入口に呼吸に適した気体を送り込むための呼吸用マスク装置を提供し、このマスク装置は開口部を具備してなるベントアセンブリを含み、この開口部を横切って薄い空気透過性膜が延在している。
【0035】
さらなる形態では、本発明は、CPAPを供給するための器具を提供するが、この器具は着用者の気道の入口に呼吸に適した気体を送り込むためのマスク装置を含み、このマスク装置は、開口部を横切って延在する薄い空気透過性膜を備えた当該開口部を具備してなる気体ウォッシュアウトベントアセンブリを含む。
【0036】
上記ならびにこれ以外の態様については、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明の中で言及されており、かつこの説明から明かとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明について図面を参照して説明するが、図では、同じ数字は同じ構造部を示している。
【0038】
図1には、本発明の第1実施形態による患者用インターフェイス、たとえば経鼻呼吸用マスク10を示す。マスク10は剛性の高いプラスチック製マスクシェル12を含むが、シェル12は、このシェル12に対するクッション(図示せず)の取り付けのための外周フランジ14を有する。クッションは使用時に着用者の顔面に接触するものであり、従来公知である。フランジ14は、マスク拘束ストラップ(図示せず)の接続のためのスロット15を有するが、このストラップは、マスク10を装着者の顔面に隣接した状態で保持するために装着者の頭の周りに配置される。ストラップもまた従来公知である。シェル12はまたアーム16を含むが、その端部は、やはり従来公知の額サポート(図示せず)に対してつながるよう構成されたフィッティング18となっている。
【0039】
マスクシェル12は、呼吸に適した気体導入口20を有するが、これはシェル12に対して回転可能に取り付けられている。導入口20は、第1の端部22(これは通気に適した気体供給管(図示せず)と接続できるよう構成されている)と、第2の端部24(これは着用者の気道と続いて連通するためのシェル12の内部とつながり、かつ供給された気体をその内部に送り込むよう構成されている)とを有する。
【0040】
マスク10は、シェル12の開口部26によって構成された気体ウォッシュアウトベントを含むが、それを横切って薄い空気透過性膜28が広がっている。
【0041】
図1の実施形態では、薄い空気透過性膜28は、直径が概ね0.1mmの孔を有する、概ね0.45mm厚のステンレススチールシートである。総開口面積は、シートの見かけの総表面積の概ね5%である。シートの寸法は概ね322mmである。孔は、たとえばステンレススチールにレーザーで形成されている。孔は、好ましくは、ステンレススチールを貫通するようにレーザーで形成されるかあるいは火炎によって形成され、しかも概して約0.2mm未満の直径を有する。
【0042】
好ましくは、孔は0.2mm未満の直径を有し、かつ好ましくはスチールの見かけの表面積の概ね1%ないし25%の総開口面積を提供する。孔は、その内腔にわたって、(徐々にあるいは階段状に)テーパー化されていてもよい。使用時、ベントの開口部の大きな端部がベントの大気側に配置されるならば、粒子状物質が嵌まり込むことによって生じる詰まりの可能性が最小限に抑えられる。なぜなら、大きな粒子はベントの内部のベント開口部の小さい方の端部に入り込むことができないであろうからである。これに代えて、ベント開口部の小さい方の端部を大気側に配置することもでき、これはベントをより静粛性の高いものとする。
【0043】
他の実施形態では、膜は、それぞれ約0.1〜0.3mmの範囲の直径を有する複数の孔を有し、5ないし60%の範囲の開口面積と、フラッシュCOに対する要求を満たすために、たとえば4cmHOの低圧にて適当な流量を実現するための十分な面積(すなわち孔の数)とを備える。本発明の好ましい実施形態は、0.45mmの厚みと、それを貫通するようドリルで形成されるか、成型によって形成されるか、レーザーで形成されるか、その他の手法で形成された0.1mmの直径を有する孔と、この孔を含む領域における約5%の開口面積と、約300〜400mm、好ましくは約320〜330mm、そしてより好ましくは約322mmのベント総面積とを備えたマスクシェルである。好ましくは、孔はテーパー状のものとされ、これによってマスクの外面における直径は、マスクの内面における直径よりも、ぎりぎり小さなものである。
【0044】
図2には本発明の第2実施形態による経鼻呼吸用マスク40を示す。第1実施形態を説明するのに使用したものと同じ参照数字は、第2実施形態に関する同様の特徴部を指し示すのに用いている。したがって、マスク40は気体導入口20を備えたシェル12を有する。第1実施形態のスロット15の代わりに、マスクシェルは開口部42を有し、これはマスク拘束ストラップ(図示せず)の端部に設けられた接続フィッティング(図示せず)とスナップ係合するよう構成されている。さらに、アーム16およびフィッティング18の代わりに、マスク40は、概して参照数字44によって指し示す調整可能な額サポート機構を有する。
【0045】
マスク40はまた、気体導入口20に形成された開口部26によって構成されたベントを含むが、これを横切って薄い空気透過性膜28が延在している。
【0046】
図3には、本発明の第3実施形態によるマスク60を示す。この特定の実施形態は経鼻マスクを対象とするが、さまざまなベント構造体が、さまざまなマスク構造体と共に使用できることに留意されたい。繰り返すが、第1実施形態の特徴部を説明するのに用いたものと同じ参照数字は、第3の実施形態に関する同様の特徴部を指し示すのに使用する。マスク60は、一体的に形成された固定気体導入口62を備えたマスクシェル12を具備してなる。クッション64が、シェル12の外周フランジ14(図2)に対して取り付けられている。シェル12はまた、マスクに対するヘッドギア(図示せず)の接続のための溝付き延長部66を有する。マスク60は開口部26を有するが、この開口部26を横切って、図6に示すマスク40に関して以下で説明するePTFE膜と同一の構成の薄い空気透過性膜28が延在している。
【0047】
図4にはベントアセンブリ110の断面を示す。外側要素112と内側要素116との間に介在させた状態で膜114が設けられている。この構成は簡素なアセンブリを提供する。外側要素112および内側要素116には対応する開口部115が存在し、これによって空気が膜を通過することが可能となっている。内側要素116は、マスクフレームの、あるいはマスクフレームの開口部内に配置される別個のインサートの一部を形成していてもよい。
【0048】
図5には、ベントアセンブリ110の代替断面を示す。内側要素120上に配置された状態でステンレススチール製膜インサート118が設けられている。内側要素120には開口部119が存在し、これによって空気が膜を通過することが可能となっている。内側要素119は、マスクフレームの、あるいはマスクフレームの開口部内に配置される別個のインサートの一部を形成していてもよい。
【0049】
図6には、本発明の第6実施形態による経鼻呼吸用マスク80を示す。マスク80は図2に示すマスク40の第2実施形態と類似しており、同じ参照数字は、第2実施形態と同様の特徴部を指し示すのに使用している。図2のマスクに関して、ベントは気体導入口20に設けられているが、マスク80ではベントはシェル12に設けられている。さらに詳しく言うと、マスク80は、内側開口部26を有する二つの円筒形インサート82を含み、この開口部26を横切って薄い空気透過性材28が延在している。薄い空気透過性材は、481mmの領域を有するポリプロピレンスクリムに対して取り付けられたGORE-TEX(登録商標)製品からなる。膜は発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から構成される。本発明者は、米国メリーランド州のW.L.Gore&Associates社製のGORE-TEX(登録商標)ePTFE製品(GORE-TEX(登録商標)膜)が、膜を形成するのに適した素材であることを確認済みである。ある好ましい形態では、GORE-TEX(登録商標)膜は、以下のような特性を有する。
膜の材質:100%発泡ポリテトラフルオロエチレン
基準孔サイズ:10〜15ミクロン
バブルポイント:通常最低各個0.02bar
空気流量:0.37LPM/cm
厚み:0.05mm
基体:ポリプロピレンスクリム
【0050】
図7には、本発明によるフルフェイス呼吸用マスク100の第7実施形態を示す。繰り返すが、先の実施形態について同じ特徴部を説明するのに用いたものと同じ参照数字は、この実施形態に関する同様の特徴部を指し示すのに使用している。マスク100は、図6に示すマスクと、ベントがインサート82に設けられている点で類似している。だがマスク100は、マスク拘束ストラップ(図示せず)を取り付けるために、開口部42ではなく、溝付き延長部66を利用している。
【0051】
図8(これは図6に示すインサートの拡大図である)から最もよく分かるように、インサート82は円筒形部分86を有し、これは、マスクシェル12に設けられた円形オリフィス88内にぴったりと嵌合するようなサイズとなっている。インサート82は、外周フランジ90がシェル12の外面に当接した状態で配置される。インサートは、適所にて接着することもできる。
【0052】
図9には本発明のさらなる実施形態を示すが、このものは直列型のベントアセンブリを提供する。同じ数字は、先の実施形態と同じ特徴部を指し示すのに使用する。この実施形態では、直列型ベントアセンブリは、上記膜によって覆われた「窓」すなわち「ポート」を備えた、概ね円筒形状のベントフレームを具備してなる。
【0053】
本発明の薄い空気透過性膜は、適当な方法でマスクに対して取り付けることができる。たとえば、上記ステンレススチール製ベントは、(たとえば)ホットグルー接着剤あるいはその他の適当な接着剤を用いてポリカーボネートマスクシェルに対して取り付けることができる。達成すべきことが必要な耐久性が、取り付けに関する適当な方法を決定する。
【0054】
さらなる実施形態では、ベントを通過した空気の量を、あるいはこれに代えて、ベントアセンブリが使用された時間を指し示すための手段が設けられる。十分な量の空気がベントアセンブリを通過したとき、あるいはアセンブリが十分な時間にわたって使用され、そして詰まってしまったであろうとき、インジケーター(指示子)は、ベントアセンブリを交換すべきであることを知らせる。
【0055】
利便性のために、薄い空気透過性膜は、図8に示すように、プッシュ式嵌合機構によって、マスクシェルに対して取り外し可能に取り付けることができるインサート内に設けることができる。好ましくは、インサートの少なくとも外面には少なくとも一つのクロスピースが設けられるが、これは、それがマスクシェルの収容オリフィス内に配置されたとき、空気透過性膜が損傷するのを防止する。この方法によって、マスクの他のコンポーネントを保持しながら、ベントインサートの簡単な配置、取り外しおよび交換が可能となる。インサートは、いかなる必要な形状の様態をとるようにも構成できるが、好ましくは、インサートは、マスクシェルの対応する円形オリフィスすなわち気体導入口内に摩擦嵌合する円筒形インサートを形成する円周面形状を有する。
【0056】
インサート形状を利用したベント形成によって、ユーザーの要求に適するようにベントを選択し、そして取り付けるのが容易なものとなる。固定オリフィスベントに関して、低圧では流量は少なく、高圧では流量は多くなる。それゆえ、臨床的に望ましいマスクCOウォッシュアウト速度の実現を容易なものとするための、比較的大きな通気領域が採用されることがある。より高い処置圧力が要求される場合、先に選択したベントは、流れに対してより制限的なベントと交換されるであろう。より制限的なベントは、臨床的に望ましいマスクCOウォッシュアウト速度の実現を可能とし、一方、高い処理圧力と共に、先に選択された低圧ベントが使用された場合に生じるであろう、大きな騒音および激しい排気の発生を抑える。
【0057】
ベントをマスクシェルに配置したことによって、ベントを直列型マスクコンポーネントとして配置する場合に比べて、マスク内CO滞留の最小化に関する改善が図れる。
【0058】
本発明の他の実施形態では、他のタイプの空気透過性膜をマスクベント内で使用できる。上記ePTFE膜の代わりに、メッシュ材からなるベントを空気透過性膜として使用できる。ある好適なタイプのメッシュ材としては、Fluorocarbon SPECTRA/MESH(登録商標)の製品名のもと、米国カリフォルニア州、Rancho DominguezのSpectrum Laboratoriesによって販売されているPTFEメッシュが挙げられる。ある好ましい形態では、このSPECTRA/MESH(登録商標)膜は以下の特性を有する。
膜材質:100%ではないが主としてポリテトラフルオロエチレンメッシュ
メッシュ孔サイズ:約70〜120μm、好ましくは約105μm
開口面積:約25〜35%、好ましくは約32%
厚み:約120〜180μm、好ましくは約155μm
【0059】
PTFEメッシュは好ましくは疎水性であり、しかもePTFE膜について図2および図6に関連付けて先に説明したのと同じ様式で使用できる。
【0060】
PTFEメッシュはまた、さまざまなその他のベント形態において使用可能である。たとえば、PTFEメッシュは、PTFEメッシュとエアベントとの間に実質的に間隙が存在しない状態で、既存のエアベントあるいは空気制限要素の上に配置可能である。たとえば、PTFEメッシュは、上述しかつ国際公開第98/34665号(この引用によってその全体が本明細書に組み込まれる)のパンフレットにおいて説明された、たとえばMIRAGE(登録商標)エアベントのようなエアベントの上に配置することができる。この形態では、エアベントがマスクの内部とマスクの外部との間の圧力降下の大部分をもたらし、しかもPTFEメッシュはベントから出て行く空気を拡散させかつ騒音を低減する役割を果たすであろう。あるいは、PTFEメッシュは、ベントとPTFEメッシュとの間に小さな間隙(たとえば0.5〜1mm)を設けてエアベント上に配置することもでき、これによって間隙は、メッシュのより大きな面積にわたって、流出する空気を拡散させるのを助けるであろう。
【0061】
上記PTFEメッシュ形態のいずれかにおいては、一つあるいは複数のPTFEメッシュの層を使用できる。PTFEメッシュからなる複数の層を使用する場合、メッシュによって生じる空気流の制限が強められるであろう。
【0062】
PTFEメッシュは、図6〜図8のインサート82と類似の使い捨て式インサートの形態で設けることができる。
【0063】
図10〜図16には本発明のさらなる実施形態を示すが、ここでは、ベントのメッシュ材は(たとえば目の粗い織物100の形態の)多孔質布の形態をとる。織物100は複数の繊維102を含むが、その少なくともいくつかは肥大性素材からなる。肥大性素材とは、繊維が、負のポアソン比(ゼロ未満であり、より大きな負の値が好ましい)および/または(たとえば0.01ないし10あるいはそれ以上の範囲の)低いヤング率を有することを意味する。好ましくはヤング率(YM)は10未満であり、そしてさらに好ましくは、YMは約0.1の領域に存在する。例としては、たとえば、ポリイミド(YM:3〜5)、ポリエステル(YM:1〜5)、ナイロン(YM:2〜4)、ポリスチレン(YM:3〜3.4)、ポリエチレン(YM:0.2〜0.7)、および/またはゴム(YM:0.01〜0.1)のようなポリマーが挙げられる。肥大性素材は、繊維に対して引っ張り力Fを加えた際に太くなり、これによって図11Aの直径dは図11Bの直径Dまで増大する。以下のインターネットリンクでは、肥大性繊維の理論と作用とが説明されている。
http://www.azom.com/details.asp?ArticleID=167;
http://www.bolton.ac.uk/research/materials/pdf/c&i-review.pdf;
http://www-moratti.ch.cam.ac.uk/projects/auxetics.html
【0064】
図12Aおよび図12Bには、上述したように、緩い織物の形態のベント106を有するマスク104を示す。ベント106は、マスクシェル110の開口部内に挿入されるフレーム108を含んでいてもよい。図12Aにおいては、マスク104は低圧域にさらされるが、この場合、織物は実質的に平坦であるか、あるいはわずかに隆起している。図12Bにおいて、マスクが高圧域にさらされる場合、目の粗い織物が外側に隆起し、この場合、肥大性繊維102は引き伸ばされた様態を呈し、そして図11Aおよび図11Bに関して先に説明したように繊維の直径は増大する。こうした状況では、目の粗い織物の有効表面積は高圧下で増大させられる。だが、繊維の直径は引っ張りによって増大する。ゆえに、(開口面積を画定する)繊維間の間隔は、繊維間の所望の開口面積により、一定のままであるか、増大するかあるいは減少するであろう。もちろん、たとえ膨らみが存在しない場合でも、繊維の直径が増大することがある。
【0065】
図13は、圧力(cmHO)に対するフローすなわち流量(L/min)を示すグラフである。実線は、たとえば肥大性繊維を用いた目の粗い織物などの、肥大性素材を使用した実施形態によるベントを示すものである。流量は(理想的な状況では)相対的に一定であり、あるいは圧力が増大するとき、COウォッシュアウトの増大を可能とするために極めてゆっくりと増大している。これと対照的に、従来型ベントの流量は、圧力の増大に伴って、たとえば直線的に、相対的にすぐに増大している。
【0066】
図14は、圧力が上昇する際の、開口面積(mm)、すなわち肥大性繊維間の開口部を示すグラフである。好ましくは、開口面積は、60〜90mmの範囲にあり、好ましくは約75mmである。理想を言えば、開口面積は、無用に高いCOウォッシュアウトを回避するために、圧力の増大に伴って徐々に減少する。もちろん、開口面積は同様に増大するよう設計できる。変化のないすなわち固定された孔を有する従来型マスクにおいては、開口面積は一定のままである。
【0067】
ベント106の形状は、図12Aおよび図12Bに示すように、少なくとも一つの軸線を中心として対称であってもよい。だが、ベントの形状は完全に非対称であってもよく、あるいは一つ以上の軸線を中心として対称であっても、たとえば半球形状あるいは半球の一部分の形状となるよう膨れた丸いベントであってもよい。
【0068】
図15および図16には、肥大性繊維ベントの変形例を示す。図15はバルーン型ベント200を示し、一方、図16は円筒型ベント202を示す。これら実施形態は、増大させられた許容できる膨脹(すなわち伸び)を伴うが、これはベント流量を増大させるか、さもなければベント流量を変化させるであろう。図15および図16において、より多く引き伸ばされた領域における繊維は、比較的わずかしか引き伸ばされていない領域における繊維の直径よりも大きな直径を有する。
【0069】
図17には、肥大性素材を使用するベントのさらに他の変形例を示す。ベント300は、非多孔質素材からなる第1の部分302と、肥大性素材からなる第2の部分304とを含む。第1の部分は「セール(sail)」として機能し、これによって肥大性素材に加えられる引っ張り力を高める。セール力は、マスク圧力と第1の部分の面積との積に等しい(F=P×A)。第2の部分304は、マスクフレーム306に対して取り付けることができる。
【0070】
図17のセール部304は、その他の形態をとることができる。たとえば、セール部306はポリカーボネート切欠き308の形態であってもよいが、この切欠き308は、図18に示すように、肥大性素材312を用いてマスクフレーム310の残部に対して取り付けられる。切欠き308は、支配的なマスク圧力に依存して、肥大性素材に加えられる引き伸ばし力を変化させるよう機能する。
【0071】
メッシュあるいは目の粗い織物の形態の肥大性素材に関連付けて図10〜図18の実施形態を説明したが、肥大性素材は他の形態をとることができることに留意されたい。たとえば肥大性素材は、一つ以上のスリットおよび/または孔を有する肥大性素材のシートを含んでいてもよい。
【0072】
特定の実施例を参照して本発明について説明したが、これらの実施例は単に本発明の原理の適用に係る例証に過ぎないことを理解されたい。したがって、本発明の例証的実施例について、さまざまな変更をなし得ること、そして本発明の要旨および範囲から逸脱することなく、これ以外の構成を創出することが可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態による呼吸用マスクの斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態による呼吸用マスクの斜視図である。
【図3】本発明の第3実施形態による呼吸用マスクの斜視図である。
【図4】本発明の第4実施形態によるベントアセンブリの一部断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態によるベントアセンブリの一部断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態による呼吸用マスクの斜視図である。
【図7】本発明の第7実施形態によるフルフェイスマスクの斜視図である。
【図8】図6および図7に示すマスクと共に使用するのに適したインサートの拡大詳細図である。
【図9】本発明の第8実施形態によるベントアセンブリの斜視図であり、このものでは、マスクエルボーに対する取り付けに適したチューブの円筒形部分には薄い空気透過性膜が配置されている。
【図10】本発明の代替実施形態を示す図であり、このものでは肥大性繊維がベントアセンブリと共に使用されている。
【図11】本発明の代替実施形態を示す図であり、このものでは肥大性繊維がベントアセンブリと共に使用されている。
【図12】本発明の代替実施形態を示す図であり、このものでは肥大性繊維がベントアセンブリと共に使用されている。
【図13】本発明の代替実施形態を示す図であり、このものでは肥大性繊維がベントアセンブリと共に使用されている。
【図14】本発明の代替実施形態を示す図であり、このものでは肥大性繊維がベントアセンブリと共に使用されている。
【図15】本発明の代替実施形態を示す図であり、このものでは肥大性繊維がベントアセンブリと共に使用されている。
【図16】本発明の代替実施形態を示す図であり、このものでは肥大性繊維がベントアセンブリと共に使用されている。
【図17】本発明のさらに他の実施形態によるベントを示す図である。
【図18】本発明のさらに他の実施形態によるベントを備えたマスクを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
10 マスク
12 マスクシェル
14 外周フランジ
15 スロット
16 アーム
18 フィッティング
20 気体導入口
22 第1の端部
24 第2の端部
26 開口部
28 空気透過性膜
40 呼吸用マスク
42 開口部
44 額サポート機構
60 マスク
62 固定気体導入口
64 クッション
66 溝付き延長部
80 呼吸用マスク
82 インサート
86 円筒形部分
88 円形オリフィス
90 外周フランジ
100 呼吸用マスク
102 繊維
104 マスク
106 ベント
108 フレーム
110 ベントアセンブリ
112 外側要素
114 膜
115 開口部
116 内側要素
118 膜インサート
119 開口部
120 内側要素
200 ベント
202 ベント
300 ベント
302 第1の部分
304 第2の部分
306 マスクフレーム
308 切欠き
310 マスクフレーム
312 肥大性素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸用マスクであって、
少なくとも部分的に呼吸空隙を形成するクッションを有する患者用インターフェイスと、
前記呼吸空隙から気体が流出することを可能とするよう形成され、構成され、配置された薄い空気透過性膜を備えた気体ウォッシュアウトベントと、を具備してなり、
前記膜はメッシュ材を具備してなることを特徴とする呼吸用マスク。
【請求項2】
前記メッシュ材はポリテトラフルオロエチレンメッシュからなり、このポリテトラフルオロエチレンメッシュは、約105μmの孔サイズと、約32%の開口面積と、約155μmの厚みと、を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の呼吸用マスク。
【請求項3】
気体ウォッシュアウトベントはさらに、前記メッシュ材の下方に配置された空気制限要素を具備してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の呼吸用マスク。
【請求項4】
前記空気制限要素は、この空気制限要素と前記メッシュ材との間に本質的に間隙が存在しない状態で、前記メッシュ材の下方に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の呼吸用マスク。
【請求項5】
前記空気制限要素は、この空気制限要素と前記メッシュ材との間に約0.5〜1mmの間隙が存在する状態で、前記メッシュ材の下方に配置されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の呼吸用マスク。
【請求項6】
前記メッシュ材は、引っ張り力を加えた際に膨脹するよう構成された一つ以上の肥大性繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の呼吸用マスク。
【請求項7】
前記肥大性繊維は、約0.1ないし10の範囲の比較的低いヤング率を有することを特徴とする請求項6に記載の呼吸用マスク。
【請求項8】
前記肥大性繊維は負のポアソン比を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の呼吸用マスク。
【請求項9】
前記メッシュ材は、前記呼吸室へ供給される圧力の増大によって拡大するようになされた直径を有する繊維を含むことを特徴とする請求項1、請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の呼吸用マスク。
【請求項10】
前記メッシュ材は、圧力の増大によって膨れるよう構成されていることを特徴とする請求項1、請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載の呼吸用マスク。
【請求項11】
前記ベントを通過する気体の流量は、前記空隙内の圧力の変化によって、実質的に一定に維持されるよう構成されていることを特徴とする請求項1、請求項6ないし請求項10のいずれか1項に記載の呼吸用マスク。
【請求項12】
前記ベントの開口面積は、前記空隙内の圧力の増大によって減少するようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の呼吸用マスク。
【請求項13】
呼吸用マスクであって、
少なくとも部分的に呼吸空隙を形成しているクッションを有する患者用インターフェイスと、
気体が前記呼吸空隙から流出することを可能とする空気透過性部材を含む気体ウォッシュアウトベントと、を具備してなり、
前記部材は、表面領域と、ある厚みと、ある長さおよび直径を有する細孔および孔の少なくとも一つと、患者が呼吸している間に十分なCOウォッシュアウトを維持しながら騒音を排除するかあるいは低減するのを助けるよう選択された細孔および孔の存在に起因する総開口面積と、を有し、
前記部材の厚みは3mm未満であることを特徴とする呼吸用マスク。
【請求項14】
前記厚みは約0.5mmであることを特徴とする請求項13に記載の呼吸用マスク。
【請求項15】
前記厚みは0.45mmであることを特徴とする請求項13に記載の呼吸用マスク。
【請求項16】
前記厚みは0.05mmであることを特徴とする請求項13に記載の呼吸用マスク。
【請求項17】
呼吸用マスクであって、
ユーザーの鼻の上に装着可能なマスクシェルと、
前記マスクシェルをユーザーの顔面に取り付けるのを助けるために、前記マスクシェルの縁部近傍に配置されたクッションと、
マスク使用時に、前記マスクシェルとユーザーの顔面との間に形成される呼吸空隙へと前記マスクシェルを経て気体を導くことができる呼吸に適した気体の導入口と、
気体ウォッシュアウトベントであって、呼吸に適した気体が気体ウォッシュアウトベントを経て流れる際に呼吸に適した気体の流れに圧力降下を発生させるよう構成されたベント構造体と、前記ベント構造体の外側に配置された疎水性のメッシュ部材と、を備えた気体ウォッシュアウトベントと、
を具備してなることを特徴とする呼吸用マスク。
【請求項18】
疎水性メッシュ膜はポリテトラフルオロエチレンメッシュ膜からなることを特徴とする請求項17に記載の呼吸用マスク。
【請求項19】
ポリテトラフルオロエチレンメッシュ膜は、約105μmの孔サイズと、約32%の開口面積と、約155μmの厚みと、を有するものであることを特徴とする請求項18に記載の呼吸用マスク。
【請求項20】
前記疎水性メッシュ膜は、前記ベント構造体と前記疎水性メッシュ膜との間に本質的に間隙が存在しない状態で、前記ベント構造体の外側に配置されていることを特徴とする請求項17ないし請求項19のいずれか1項に記載の呼吸用マスク。
【請求項21】
前記疎水性メッシュ膜は、前記ベント構造体と前記疎水性メッシュ膜との間に約0.5〜1mmの間隙が存在する状態で、前記ベントの外側に配置されていることを特徴とする請求項17ないし請求項20のいずれか1項に記載の呼吸用マスク。
【請求項22】
マスクであって、
少なくとも部分的に呼吸空隙を形成しているクッションを備えた患者用インターフェイスと、
前記呼吸空隙から気体ウォッシュアウトを排出するために設けられたベントと、を具備してなり、
前記ベントは、
約0.1mmの直径を有する複数の孔と、
前記孔を含む領域における約5%の開口面積と、
約300〜400mmの総面積と、を有する薄い空気透過性膜を具備してなることを特徴とするマスク。
【請求項23】
前記総面積は約320〜330mmであることを特徴とする請求項22に記載のマスク。
【請求項24】
前記孔は、その軸方向長さに沿ってテーパー状となっていることを特徴とする請求項22または請求項23に記載のマスク。
【請求項25】
マスクの外面の直径は、マスクの内面におけるよりも、ぎりぎり小さいことを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項26】
マスクであって、
少なくとも部分的に呼吸空隙を形成するクッションを含む患者用インターフェイスと、
少なくとも部分的に肥大性素材からなる気体ウォッシュアウトベントと、
を具備してなることを特徴とするマスク。
【請求項27】
前記肥大性素材は、一つ以上のスリットおよび/または孔を有することを特徴とする請求項26に記載のマスク。
【請求項28】
前記ベントは、実質的に無孔材料からなるセール部を含み、前記肥大性素材は、前記セール部と前記マスクのフレーム部との間に設けられていることを特徴とする請求項26または請求項27に記載のマスク。
【請求項29】
前記ベントを通る気体の流量は、前記空隙内の圧力の変化によって、実質的に一定に維持されるよう構成されていることを特徴とする請求項26ないし請求項28のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項30】
前記ベントの開口面積は前記空隙内の圧力の増大によって減少するようになっていることを特徴とする請求項26ないし請求項29のいずれか1項に記載のマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−526275(P2008−526275A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548643(P2007−548643)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001941
【国際公開番号】WO2006/069415
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(500046450)レスメド リミテッド (192)