説明

気体溶解装置

【課題】装置全体をコンパクトに収めることができ、より一層省スペース化され、しかも溶解タンクが安定に設置される気体溶解装置を提供すること。
【解決手段】気体溶解部32が備える溶解タンク2を固定する溶解タンク固定部38と、ポンプ21を固定するポンプ固定部39とを有し、ポンプ固定部が溶解タンク固定部の下方に配置された固定装置33が設けられ、この固定装置の溶解タンク固定部に溶解タンクが固定されるとともに、ポンプ固定部にポンプが固定されることによって、溶解タンクとポンプとが上下に縦列して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴の効能を高めるために浴槽に張った湯水に微細気泡を発生させるなどの、液体中に微細気泡を発生させる気体溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気体溶解装置については、本出願人はこれまでに数多くの提案をしてきている。その中で、気体溶解装置の設置における問題の改善策を提案している(特許文献1)。
【0003】
すなわち、特許文献1には、吐出ノズルから液体を吐出させるためのポンプと、このポンプを縦置きで支持する架台と、この架台を支持する脚部材とが、上中下の縦積み3段重ねで設けられている気体溶解装置を記載している。このように気体溶解装置を構成することによって、ポンプ設置のコンパクト化を図ることができ、たとえば微細気泡発生浴槽において、浴槽とエプロンの間の隙間に無理なく組み込むことが可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−290037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載した気体溶解装置では、上記のとおり、ポンプ、架台および脚部材が縦積みに3段として縦列配置されているため、ポンプの配置がコンパクトとなっており、省スペース化に寄与している。
【0006】
しかしながら、気体溶解装置を、気体が溶解した液体を生成する気体溶解部を含めた全体としてとらえると、特許文献1に記載した気体溶解装置にはさらなるコンパクト化が要求される。
【0007】
それというのも、気体溶解部は、上記のとおりに配置されるポンプに、配管系を介して接続されることにより固定されるため、どうしてもレイアウト上の制約があるからであり、また、気体溶解部、特に溶解タンクとしての筒状体が占有するスペースが大きくなりやすいからでもある。
【0008】
さらに、特許文献1に記載した気体溶解装置については、気液混合流体が注入されると上記筒状体は、ポンプに比べ重量が重くなるため、配管系を介したポンプへの接続固定のみでは重量を支えきれない場合が懸念され、その改善が必要とされるのである。
【0009】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、装置全体をコンパクトに収めることができ、より一層省スペース化され、しかも溶解タンクが安定に設置される気体溶解装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の特徴を有している。
【0011】
第1の発明は、溶解タンク内で流入した流体を気体と混合し、気体が溶解した液体を生成する気体溶解部と、気体溶解部に流体を供給するポンプとを備えた気体溶解装置において、気体溶解部が備える溶解タンクを固定する溶解タンク固定部と、ポンプを固定するポンプ固定部とを有し、ポンプ固定部が溶解タンク固定部の下方に配置された固定装置が設けられ、この固定装置の前記溶解タンク固定部に溶解タンクが固定されるとともに、前記ポンプ固定部にポンプが固定されることによって、溶解タンクとポンプとが上下に縦列して配置されることを特徴としている。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明の特徴において、固定装置の上端部に溶解タンク固定部が配置され、溶解タンク固定部は固定面部を有し、溶解タンクは、外側方に突出するフランジ部を外周部に有し、このフランジ部が前記固定面部上に載置されて溶解タンクが溶解タンク固定部に固定されることを特徴としている。
【0013】
第3の発明は、上記第1または第2の発明の特徴において、ポンプの作動によって溶解タンク内に吸引される気体を取り込む気体供給口が、気体溶解装置が内装される外装ケースの壁面に設けられ、気体供給口は外気と連通していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、固定装置の溶解タンク固定部に固定された溶解タンクと、ポンプ固定部に固定されたポンプとは、上下に縦列して配置されるので、気体溶解部を含めた装置全体をコンパクトに収めることができ、省スペース化がより一層促進される。また、溶解タンクは、固定装置の溶解タンク固定部に固定されるので、その設置は安定したものとなる。
【0015】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、溶解タンクは、その外周部において外側方に突出するフランジ部を、固定装置の上端部に配置された溶解タンク固定部が有する固定面部上に載置して固定されるので、溶解タンクの設置は確実に安定したものとなる。
【0016】
上記第3の発明によれば、上記第1または第2の発明の効果に加え、気体供給口が、気体溶解装置が内装される外装ケースの壁面に設けられ、外気と連通しているので、常に一定の酸素濃度の空気を溶解タンク内に供給することができ、浴槽内の湯水に存在する微細気泡中の酸素濃度および湯水中の溶存酸素濃度が安定化する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の気体溶解装置の一実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示した気体溶解装置が組み込まれた微細気泡発生浴槽を例示した構成図である。
【図3】図1に示した気体溶解装置が備えている気体溶解部における溶解タンクを示した一部切欠斜視図である。
【図4】図3に示した溶解タンクの正面図である。
【図5】図4に示した溶解タンクの背面側から見た縦断面図である。
【図6】図4に示した溶解タンクのA−A断面図である。
【図7】図4に示した溶解タンクのB−B断面図である。
【図8】図1に示した気体溶解装置における気体溶解部およびポンプ周辺を背面側から示した要部斜視図である。
【図9】図1に示した気体溶解装置における固定装置へのポンプの固定について示した分解斜視図である。
【図10】図1に示した気体溶解装置の浴室への設置について示した要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示した気体溶解装置1は、やや縦長で箱状の形状を有する中空な溶解タンク2を備え、溶解タンク2内で流入する流体を気体と混合し、気体が溶解した液体を生成する気体溶解部32と、気体溶解部32に流体を供給するポンプ21とを備えている。気体溶解部32とポンプ21とは、溶解タンク2に設けられた流入管接続部12に、ポンプ21の吐出側21bに一端部が接続された流入管22の他端部が接続されることによって配管接続されており、溶解タンク2とポンプ21とは互いに連通している。
【0019】
また、気体溶解装置1には、気体溶解部32の溶解タンク2とポンプ21とを固定するための固定装置33が設けられている。固定装置33は、支持台部34と土台部35とを備えている。支持台部34は、溶解タンク2とポンプ21とを固定し、収容する本体部36と、土台部35に対して本体部36を回転自在に支持し、本体部36の設置高さを調節可能とする脚部37とから形成されている。脚部37は、本体部36の下端に接続されている。
【0020】
本体部36は、正面視略六角形状で、下方にすぼんだ形状を有する箱状の部材であり、上面および前面の全面が開放されている。本体部36の上端部には、溶解タンク2を固定するための溶解タンク固定部38が配置され、溶解タンク固定部38の下方に、ポンプ21を固定するためのポンプ固定部39が配置されている。溶解タンク固定部38は、本体部36の上端部において外側方にフランジ状に突出する固定面部40を有している。ポンプ固定部39では、図8に示したように、本体部36の下部側の背面が固定面41とされている。
【0021】
土台部35は、略円錐台状で、裾の広がった形状を有する部材であり、下端部に、略円環状の設置面部42を有している。支持台部34が備える本体部36の下端に接続された脚部37は、たとえば、土台部35に対してねじ込み式で回転自在とされ、ねじ込む深さに応じて本体部36の設置高さを調節可能とすることができる。この場合、脚部37の下端部の外周面部および脚部37を受け入れる土台部35の内周面部には、いずれか一方に雄ねじを、他方に雌ねじを設けることができる。
【0022】
このような固定装置33は、たとえば、後述する浴室などの部屋の床面などに土台部35の設置面部42を載置し、脚部37によって本体部36の高さを調節して、溶解タンク2およびポンプ21が所定位置に配置されるようにして配置される。本体部36には溶解タンク2およびポンプ21が固定されることから、土台部35の設置面部42と部屋の床面などの間に制振材43を設けることができ、この場合、ポンプ21の作動にともなう振動が部屋などに伝播するのを制振材43によって抑制することができる。
【0023】
なお、土台部35と脚部37を相互が嵌合するように形成し、両者の間に制振材43を挟んで土台部35と脚部37が嵌合するようにすることも可能である。この場合も、同様に振動が伝播するのが抑制される。
【0024】
ポンプ21には、図9に示したように、外周部にねじ止めを可能とする、雌ねじが内周面に形成された、筒状のねじ固定部44が、たとえば4箇所などに設けられている。固定装置33に備えた支持台部34の本体部36におけるポンプ固定部39には、固定面41に、ねじ固定部44に対応する所定の位置にねじ孔45が、前後方向に貫通して形成されている。ポンプ21は、部屋の床面などに据え置きされた固定装置33の本体部36の内部に、ポンプ固定部39において前面側から背面側に向かって挿入され、固定面41側からねじ孔45を通じてねじ固定部44にねじ込まれるボルトなどの固着部材46によって、固定装置33のポンプ固定部39に固定される。このようなポンプ21の固定においても、固定装置33に備えた支持台部34の本体部36との間に制振材を介在させることができ、ポンプ21の作動にともなう振動の伝播を抑制することができる。また、支持台部34の本体部36とポンプ21との間には伝熱体を介在させることもできる。伝熱体によって、ポンプ21のモータが発生する熱を、支持台部34に放熱してモータの過熱を防止することができる。さらに、支持台部34には通気口を設けることができ、この場合、通気口からの放熱が可能となる。
【0025】
図1に示したように、気体溶解部32が備える溶解タンク2には、下端部寄りの外周部に、外側方に突出して延びるフランジ部19、20が設けられている。フランジ部19は、フランジ部20の上に配置され、フランジ部19、20は互いに重なり合っている。溶解タンク2は、図8にも示したように、固定装置33に備えた支持台部34の本体部36における溶解タンク固定部38が有する固定面部40の上に下側のフランジ部20を重ね合わせて載置されている。載置にともなって、溶解タンク2のフランジ部20より下側の部分は、本体部36の内部に上方から挿入される。そして、フランジ部19とともにフランジ部20と固定面部40とが、所定の部位においてボルトなどの固着部材によって締結されて、溶解タンク2は、固定装置33の溶解タンク固定部38に固定される。溶解タンク2は、このような固定状態において、同じく固定装置33に固定されたポンプ21の上側に配置され、溶解タンク2とポンプ21とは上下に縦列して配置される。溶解タンク2を固定する場合にも、フランジ部20と固定面部40との間に制振材を設け、気体が溶解した液体の生成にともなって発生する振動が、固定装置33に伝播するのを抑制することもできる。
【0026】
また、気体溶解装置1では、気体溶解部32が備える溶解タンク2の上壁部2aに一端部14aが接続された気体循環経路14が、他端部14bにおいて、流入管22と流入管接続部12との接続部に配設された気体循環エジェクタ23に接続されている。また、溶解タンク2の流出管接続部13には、図2に示した浴槽47に空気が溶解した湯水を供給するための流出管24の一端部が接続されている。
【0027】
ポンプ21の吸い込み側21aには、浴槽47に連通して一端部が接続された吸い込み配管25の他端部が接続されている。吸い込み配管25の一端部は、浴槽47内の湯水48を吸い込むために浴槽47内部に連通する吸込口26に連通し、一端部が流出管接続部13に接続された流出管24の他端部は、浴槽47内部に連通し、浴槽47内に空気が溶解した湯水を吐出するための吐出口27に連通している。図1には、吸込口26と吐出口27をともに備えた吸い込み・吐出プラグ28を例示している。吸い込み・吐出プラグ28は、浴槽47の槽壁部に取り付けられるものであり、吸込口26から吸い込み配管25に連通する第1流路と、吐出口27から流出管24に連通する第2流路とを備えている。これら第1流路および第2流路は、吸い込み・吐出プラグ28において互いに独立しており、相互に連通してはいない。
【0028】
さらに、気体溶解装置1では、流入管22を通じて溶解タンク2内に導入する流体(湯水48)に気体(空気)を混合し、気液混合流体を生成するために、気体供給口29が溶解タンク2の上壁部2aの上方に配置され、ポンプ21の吸い込み側21aと吸い込み配管25との接続部付近に気体導入エジェクタ30が介設されている。気体供給口29と気体導入エジェクタ30とは気体導入配管31を介して連通接続されている。
【0029】
このような気体溶解装置1を備えた微細気泡発生浴槽49では、図2に示したように、さらに、流出管接続部13と吐出口27とを連通して接続する流出管24の途中に、圧力開放部となるベンチュリ50が設けられている。
【0030】
微細気泡発生浴槽49では、ポンプ21の作動によって浴槽47内の湯水48を吸込口26から吸い込み、吸い込み配管25および流入管22を通じて気体溶解部32に送り出す。気体溶解部32において湯水48は、溶解タンク2内に噴出し、溶解タンク2内に貯留していた空気または気体供給口29から吸引される浴室内の空気と混合され、湯水48中に空気が溶解する。所定の濃度に空気が溶解した湯水48は、流出管接続部13を通じて溶解タンク2の外部に流出し、流出管24を経て吐出口27から浴槽47内に送り出される。空気が溶解した湯水48は、浴槽47内に貯留する湯水48と混合され、このときまたはベンチュリ50を経た後、湯水48中に溶解した空気が、圧力の低下にともない浴槽47やベンチュリ50内で析出して微細気泡が発生する。
【0031】
浴槽47内の湯水48は、ポンプ21の作動によって循環し、この循環が繰り返されて浴槽47内の湯水48の気泡量が増加し、浴槽47内の湯水48は微細気泡によって白濁し、牛乳風呂のような趣を与える。
【0032】
なお、微細気泡発生浴槽49は、ポンプ21の作動および停止を行う制御部51を備え、制御部51は、ポンプ21に電気的に接続されている。制御部51は、たとえばON/OFFのスイッチ入力などによって、ポンプ21の作動、停止を切り換え、微細気泡発生浴槽49の作動と停止を実現する。
【0033】
気体溶解部32が備える溶解タンク2には、図3−7に示したように、内部に、2つの仕切り壁、すなわち、第1仕切り壁3および第2仕切り壁4が設けられ、後述する液体5の流れに関しその最も上流側に気液混合槽6が、第1仕切り壁3によって区画形成されている。また、気液混合槽6の下流側に、第1仕切り壁3とともに第2仕切り壁4によって大泡流出防止槽7が区画形成され、大泡流出防止槽7は気液混合槽6に隣接して配置されている。液体5の流れに関し最も下流側には、気液分離槽8が、第2仕切り壁4によって区画形成され、大泡流出防止槽7に隣接して配置されている。
【0034】
第1仕切り壁3は、図5に示したように、溶解タンク2の上壁部2aから底壁部2bにかけて垂下して延びている。第1仕切り壁3は、ほぼ平板状に形成されている。一方、第1仕切り壁3の下端3aは底壁部2bに達してなく、底壁部2bとの間に隙間が形成され、この隙間を液体5の流路として気液混合槽6と大泡流出防止槽7は互いに連通している。
【0035】
第2仕切り壁4は、溶解タンク2の底壁部2bから上壁部2aに向かって垂直上方に延びている。第2仕切り壁4は、筒状に形成され、断面は長円状の形状を有している。第2仕切り壁4の上端4aは、溶解タンク2の上壁部2aの下方に位置し、大泡流出防止槽7と気液分離槽8は、溶解タンク2の上部において互いに連通している。
【0036】
また、第2仕切り壁4には、第1仕切り壁3に対向する対向面4bに、溶解タンク2の縦方向に延びる縦リブ9が、第1仕切り壁3側に突出して設けられている。縦リブ9は、略長方形の形状を有する小片状に形成され、対向面4bの下端部に2列として互いに間隔をあけて配置されている。縦リブ9は、第1仕切り壁3において第2仕切り壁4に対向する面3bに設けることもできる。
【0037】
さらに、第2仕切り壁4には、第1仕切り壁3に対向する部分の中央部に、上方に突出する突出部10が設けられている。突出部10は、略長方形の形状を有する小片状に形成されている。突出部10の上端10aは、溶解タンク2の上壁部2aに達することはなく、上壁部2aの下方に配置されている。
【0038】
このような溶解タンク2には、気液分離槽8の上端部に横リブ11が設けられている。横リブ11は、気液分離槽8における液体5の流れに関し平行に配置されている。その向きは、縦リブ9の、大泡流出防止槽7に突出する幅方向に略一致しており、第2仕切り壁4に設けられた突出部10に対して略直交する向きにのびている。
【0039】
また、溶解タンク2には、気液混合槽6における底壁部2bに、下方に開口する流入管接続部12が設けられている。流入管接続部12には、後述するポンプの吐出側に一端部が接続された流入管の他端部が接続される。気液分離槽8には、下端部に、正面側に開口する流出管接続部13が設けられている。流出管接続部13には、溶解タンク2で生成した、気体が溶解した液体5を浴槽などの供給部に送り出す流出管の一端部が接続される。
【0040】
さらに、溶解タンク2には、溶解タンク2の外側を通って溶解タンク2の上端部と下端部とを接続し、互いに連通させる気体循環経路14が設けられている。気体循環経路14は、後述するように、液体5の生成に際し、溶解タンク2内に貯留している気体を溶解タンク2から一旦取り出した後、溶解タンク2内に戻して循環させるものである。
【0041】
さらにまた、溶解タンク2には、上壁部2aにおいて、気液分離槽8の上端部に対応する部分に気体放出弁15が設けられている。気体放出弁15は、液体5の生成に際し、気液分離槽8における液体5の液面の高さに追随して浮沈し、上下方向に移動可能なフロートを有し、液面の高さの変化にともないフロートが上下動することによって、溶解タンク2内に貯留している気体の放出と停止を行うものである。溶解タンク2の上壁部2aにおいて気体放出弁15が設けられる部分は、気液分離槽8の上端部に対応し、図4に示したように、大泡流出防止槽7と気液分離槽8との境界部16から、境界部16に対向する溶解タンク2の上壁部2aの端縁部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面部2cとされている。
【0042】
上記のとおりの溶解タンク2は、また、高さ方向の中央部よりやや下側において分割され、上側を上部ユニット17、下側を下部ユニット18としている。第1仕切り壁3は、上部ユニット17に一体に組み込まれ、第2仕切り壁4は、ここに設けられた縦リブ9および突出部10を含めて下部ユニット18に一体に組み込まれている。また、上部ユニット17の下端縁部および下部ユニット18の上端縁部には、上記のとおりの、外側方に突出して延びるフランジ部19、20が設けられている。溶解タンク2は、フランジ部19、20を互いに重ね合わせ、重なり合うフランジ部19、20の所定の部位においてボルトにより、また、必要に応じてナットを用い、上部ユニット17と下部ユニット18を締結することによって組み立てられ、一体となる。
【0043】
気体溶解部32では、気体が溶解した液体5において溶質となる気体(空気など)が、運転前に溶解タンク2内に貯留している。ポンプ21を作動させ、運転を開始すると、液体5において溶媒となる流体(図2に示した微細気泡発生浴槽49では浴槽47内の湯水48など)が吸込口26から吸い込まれる。吸い込まれた流体は、吸い込み配管25および流入管22を通じて溶解タンク2の気液混合槽6に、その下部から供給され、気液混合槽6に噴出する。この流体の噴出は、ポンプ21によって所定の圧力に加圧されていることによって起こるものである。なお、流体は、気液混合槽6に導入するに先立って、溶解タンク2内に貯留している気体と同じ種類の気体と混合して気液混合流体としておくこともでき、この場合、気液混合槽6には気液混合流体が噴出する。以下、流体単独および気液混合流体をまとめて「流体」と記載する。
【0044】
流体は、図3−7に示した気液混合槽6に、溶解タンク2の上壁部2aの内面に向かって噴出して流入する。このとき、流体は、溶解タンク2の上壁部2aや第1仕切り壁3に衝突し、跳ね返り、次第に気液混合槽6の底部に溜まっていく。また、上壁部2aの内面に衝突し、跳ね返る流体は、気液混合槽6に貯留する流体の液面に衝突し、流体を攪拌する。
【0045】
このときの攪拌などによって、溶解タンク2内に貯留している気体と流体が混合され、また、気液混合流体が噴出するとき、気液混合流体中の気体も合わせて気体と流体が混合され、気体の溶解が促進され、気体が溶解した液体5が生成される。これは、攪拌による剪断によって流体に気泡として混合される気体が細分化され、流体と接触する表面積が大きくなるのに加え、液面付近における気体の溶解濃度が攪拌による均一化によって低減され、気体の流体への溶解速度が上昇することによる。
【0046】
このようにして気体が溶解した液体5は、第1仕切り壁3の下端3aと溶解タンク2の底壁部2bとの間の隙間を流路として大泡流出防止槽7に流入し、次第に大泡流出防止槽7に溜まっていく。液体5は、溶解タンク2の底部において大泡流出防止槽7に流入するため、液体5中への大きな気泡の混入が抑制される。
【0047】
大泡流出防止槽7において液体5の液面が第2仕切り壁4の上端4aを越えると、液体5は気液分離槽8に流入する。このように、気液分離槽8では、第2仕切り壁4によって液体5が溶解タンク2から外部に流出する前に、液体5の流れが気液界面である液面付近にまで持ち上げられるので、大きな気泡は浮力によって上昇し、液面において破裂する。その結果、気液分離が促進される。しかも、液体5の流れは第2仕切り壁4の上端4aを乗り越える流れとなるため、液面を通過する流れとなり、液体5が第2仕切り壁4を乗り越えるときにも気液分離が促進される。
【0048】
また、気液分離槽8には、溶解タンク2の底壁部2bに流出管接続部13が設けられているので、未溶解の気体による気泡が液体5中に混合されていたとしても、液面付近に存在する大きな気泡の流出を抑制することができる。気泡は、貯留する液体5の上側ほど密に存在し、液面付近の大きな気泡は、底壁部2b付近にはあまり存在しない。液体5は、溶解タンク2の底部から流出管接続部13を通じて溶解タンク2の外部に流出し、取り出されるため、大きな気泡の流出が抑制される。
【0049】
流出管接続部13を通じて溶解タンク2の外部に流出する液体5は、図1、2に示した流出管24を経て吐出口27から浴槽47に送り出される。
【0050】
また、気体溶解部32では、運転中に、溶解タンク2内の、気体循環経路14の一端部14aおよび他端部14bの両端付近に圧力差が生じる。溶解タンク2の上端部に臨む一端部14a付近の圧力は溶解タンク2の下端部に臨む他端部14b付近の圧力よりも高い。この圧力差にしたがって、また、気体循環エジェクタ23によって、溶解タンク2内の上部などに貯留している未溶解の気体は吸引され、一端部14aから他端部14bへと気体循環経路14を流れ、溶解タンク2の気液混合槽6に送り出される。
【0051】
このように、気体溶解部32では、溶解タンク2内に貯留している気体を循環させながら流体に溶解させることができる。気体循環経路14を経て流体に導入される気体は気泡として流体に取り込まれ、流体との接触面積は大きく、気体の溶解効率が高くなる。また、未溶解の気体を溶解タンク2の上端部から気体循環経路14に取り出すので、未溶解の気体がなくなるまで気体の循環を行うことができ、長時間の循環運転が可能となる。しかも、未溶解の気体を流体に溶解させる分、流体の体積流量が増加し、流速が速くなるので、気液の攪拌がさらに良好に行われ、気体の溶解効率の向上が促進されるとともに、大きな気泡を消滅させるのに有効となる。また、気体循環経路14の他端部14bは溶解タンク2の下端部に臨んでいるので、溶解タンク2内における流体と気体の接触距離をある程度確保することができ、気液接触時間が十分に確保され、気体の溶解効率の向上がさらに促進される。このようにして気体の溶解効率が高まるため、気体と流体の接触時間をさほど長くする必要がなく、したがって、流体の経路を短縮することができ、気体溶解部32は小型化されている。
【0052】
気体溶解装置1では、上記のとおり、固定装置33の溶解タンク固定部38に固定された溶解タンク2と、ポンプ固定部39に固定されたポンプ21とは、上下に縦列して配置されるので、気体溶解部32を含めた気体溶解装置1の全体をコンパクトに収めることができ、気体溶解装置1の省スペース化がより一層促進される。また、気体溶解部32は小型化されたものであるため、省スペース化はさらに促進される。しかも、気体溶解装置1では、溶解タンク2は、固定装置33の溶解タンク固定部38に固定されるので、その設置は安定したものとなる。気液混合流体が溶解タンク2内に存在し、溶解タンク2の重量が重たくなっても、溶解タンク2は、固定装置33によって安定に支持される。
【0053】
さらに、気体溶解装置1では、溶解タンク2は、その外周部において外側方に突出するフランジ部20を、固定装置33の上端部に配置された溶解タンク固定部38が有する固定面部40上に載置して固定されるので、溶解タンク2の設置は確実に安定したものとなる。溶解タンク2の重量は、フランジ部20を介して固定面部40によってしっかりと受止めることができ、溶解タンク2は、安定して支えられる。
【0054】
このような気体溶解装置1は、図2に示した微細気泡発生浴槽49に組み込まれるとき、図10に示したように、たとえば、外装ケース52の内部に収納して浴室53などに設置することができる。気体溶解装置1は、上記のとおり、装置全体がコンパクトに収められるものであるので、このように外装ケース52に内装される場合にも、外装ケース52の大きさを可能な限り縮小することができ、レイアウト上の制約はほとんど解消される。図2に示した制御部51は、たとえば、外装ケース52の内部の上端部に配置することができ、制御部51もコンパクトに収められ、外装ケース52は、制御部51の取り付けスペースとしても利用可能である。また、外装ケース52に気体溶解装置1を内装することは、ポンプ21の作動にともなう騒音などを抑制する上で有効ともなる。
【0055】
一方、気体放出弁15から放出される空気は、窒素に比べ酸素の方が液体5に溶解しやすいため、気体溶解装置1の運転につれて酸素濃度が低くなる。気体溶解装置1を外装ケース52に内装する場合、外装ケース52の内部スペースにある空気が循環されることになるので、低酸素濃度の空気が循環し、その結果、浴槽47内の湯水48に存在する微細気泡中の酸素濃度および湯水48中の溶存酸素濃度が低下することが予想される。
【0056】
そこで、気体溶解装置1を外装ケース52に内装する場合には、図10に示したように、空気を取り込む気体供給口29を外装ケース52の外郭を形成する壁面54に設け、浴室53外に気体供給口29を露出させることにより、外気と連通させる。このようにすることによって、気体供給口29は、外気と連通しているので、常にほぼ一定の酸素濃度の空気を溶解タンク2内に供給することができ、浴槽47内の湯水48に存在する微細気泡中の酸素濃度および湯水48中の溶存酸素濃度が安定化する。入浴の効能が安定して維持される。
【0057】
なお、本発明の気体溶解装置は、以上の実施形態に限定されることはない。気体溶解部が備える溶解タンクの構成および構造については、固定装置によってポンプと縦列して配置することができ、また、小型化可能なものである限り、各種の態様が可能である。また、気体や流体の種類についても特に制限されない。気体溶解装置の用途に応じて気体や流体には適宜なものを採用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 気体溶解装置
2 溶解タンク
5 液体
20 フランジ部
21 ポンプ
29 気体供給口
32 気体溶解部
33 固定装置
38 溶解タンク固定部
39 ポンプ固定部
40 固定面部
52 外装ケース
54 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解タンク内で流入した流体を気体と混合し、気体が溶解した液体を生成する気体溶解部と、気体溶解部に流体を供給するポンプとを備えた気体溶解装置において、
気体溶解部が備える溶解タンクを固定する溶解タンク固定部と、ポンプを固定するポンプ固定部とを有し、ポンプ固定部が溶解タンク固定部の下方に配置された固定装置が設けられ、
この固定装置の前記溶解タンク固定部に溶解タンクが固定されるとともに、前記ポンプ固定部にポンプが固定されることによって、溶解タンクとポンプとが上下に縦列して配置される
ことを特徴とする気体溶解装置。
【請求項2】
固定装置の上端部に溶解タンク固定部が配置され、溶解タンク固定部は固定面部を有し、溶解タンクは、外側方に突出するフランジ部を外周部に有し、このフランジ部が前記固定面部上に載置されて溶解タンクが溶解タンク固定部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の気体溶解装置。
【請求項3】
ポンプの作動によって溶解タンク内に吸引される気体を取り込む気体供給口が、気体溶解装置が内装される外装ケースの壁面に設けられ、気体供給口は外気と連通していることを特徴とする請求項1または2に記載の気体溶解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−227780(P2010−227780A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76733(P2009−76733)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】