説明

気体用超音波流量計

【課題】流路内に水が浸入した際に、水の侵入を報知できる気体用超音波流量計を提供することを目的とする。
【解決手段】被測定流体が流れる流路11と、前記流路に設置された超音波センサ12対と、前記超音波センサ12対間に超音波を伝搬させその伝搬時間を測定する伝搬時間測定手段13と、前記伝搬時間測定手段により測定した前記伝搬時間が超音波センサ対間の水を伝搬した伝搬時間に相当した場合に報知する報知手段14を備えたことにより流路内11に水が浸入したことを知ることができるという効果が得られるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路内に浸入した水を検知したことを報知する気体用超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の気体用超音波流量計の横断面図を図6に示す。
【0003】
図6を用いて従来の気体用超音波流量計の動作を説明する。被測定流体である気体は、流入部22により流入し、超音波センサ12対間の流路11内を通過し、流出部23より流出する。流路11は、測定管25内に存在し、さらに、流入部22や流出部23を含めた全体は、ケース24により保護されている。気体が超音波センサ12対間の流路11内を通過する際、超音波の伝搬速度が流速に応じ変化するため、伝搬時間を測定し、流速を求め、求めた流速に断面積を乗じることにより、流体の流量を検出することが可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−263874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では流路11内に液体としての水が浸入した際、侵入した水は流路上に止まり、超音波センサ12対間に水が存在する状態になり、発信された超音波は受信されるまでに気体と水の両方を伝搬することになる。
【0005】
超音波は伝搬する際、伝搬する物質の固有音響インピーダンスの影響を大きく受け、固有音響インピーダンスの大きく異なる物質間はほとんど伝搬できずに反射する。固有音響インピーダンスは、物質の密度と音速の積で示されるが、気体と水の固有音響インビーダンスは大きく異なるため、気体と水間はほとんど伝搬せず感度が下がってしまう、あるいは、流路11内に浸入した水が、流路11上に止まり、流路11をふさぐため流路断面積が小さくなり、演算で乗じている断面積とずれが生じ、流量に誤差が発生するが、その誤差を検知できないということから正確な値を検出できないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、従来の課題を解決するためものであり、流路内に進入した液体を検知した場合に報知する気体用超音波流量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、被測定流体である気体が流れる流路と、前記流路を挟んで対抗して設置され超音波の送受信を行う超音波センサ対と、前記超音波センサ対間に超音波を伝搬させその伝搬時間を測定する伝搬時間測定手段と、前記伝搬時間測定手段により測定した前記伝搬時間が前記超音波センサ対間に液体が存在し伝搬した伝搬時間に相当した場合報知する報知手段とを備えたことにより、被測定流体と液体との伝搬時間との差より液体の侵入を報知することができるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の気体用超音波流量計は、液体が流路に侵入したことを検知し、報知することにより、計測された流量に誤差が生じている可能性を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、被測定流体である気体が流れる流路と、前記流路を挟んで対抗して設置
され超音波の送受信を行う超音波センサ対と、前記超音波センサ対間に超音波を伝搬させその伝搬時間を測定する伝搬時間測定手段と、前記伝搬時間測定手段により測定した前記伝搬時間が前記超音波センサ対間に液体が存在し伝搬した伝搬時間に相当した場合報知する報知手段とを備えたことにより、流路内への液体の侵入時に報知が可能となり、計測された流量に誤差が生じている可能性を知らせることができる。
【0010】
第2の発明は、特に第1の発明において、超音波センサ対を設置するため流路の壁面に設けた窪みと、前記窪みを覆う整流体を備え、前記整流体は、流体の流れを整流すると共に超音波を伝播させるため複数の開口を備え、前記複数の内、下方の開口を、他の開口と比べ大きくしたもので、流路内に浸入した液体は超音波センサの取り付け部にまで導かれることになり、液体の検知を容易に行うことができる。
【0011】
第3の発明は、特に第1または2の発明において、流路に浸入した液体を超音波センサへ導く為の溝を超音波センサ対間に配置したもので、流路に侵入した液体を超音波センサの近傍に導くことが可能となり、超音波センサに直接液体が接触するので、超音波が液体中間のみを伝わるようにすることで、気体中に比べ、伝搬速度が大きくなることを利用して液体の検知を容易に行うことができる。
【0012】
第4の発明は、特に第1または2の発明において、流路に浸入した液体を超音波センサへ導く為の傾斜部を超音波センサ前方に設けたもので、流路内浸入した水は超音波センサにまで導かれ、超音波センサに直接液体が接触するので、液体の検知を容易に行うことができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【0015】
図1において、11は被測定流体が流れる流路であり、11に設置された超音波センサ12対と、超音波センサ12対間の超音波伝搬時間を測定する伝搬時間測定手段13と、流路内11に水が浸入した場合を通知する報知手段14とを備えた構成をしている。以上のように構成されたブロック図ついて、以下にその動作を説明する。
【0016】
上記の構成により超音波センサ12対間に超音波を伝搬させその伝搬時間を測定する伝搬時間測定手段13と、伝搬時間測定手段13により測定した前記伝搬時間が超音波センサ12対間の水中を伝搬した伝搬時間に相当した場合を通知する。
【0017】
そして、本実施例によれば、一般的に、気体に比べ、液体における超音波の伝播速度は高くなるので、伝播時間を測定することで、液体介在有無を検知することが可能となり、流路11内に水が浸入した場合、報知することで、測定された流量に誤差を含むことを知らせることができるという効果を奏する。
【0018】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2において、超音波センサを覆う整流体の形状を示す要部断面図である。
【0019】
図2において、15は超音波センサ12からの音波を発信または受信するため流路11の側壁面に設けた開口部で、この開口部15は、センサ取り付け部に発生する渦を軽減するため整流体16で覆われている。本実施の形態では、この整流体16をメッシュ状の金
属で形成すると共に、開口部15の下部開口部15aを覆う部分を開放して構成をしている。
【0020】
以下、図3を用いてその動作を説明する。
【0021】
図3は流路内に水17が浸入した場合の要部断面図を示しており、図に示す様に、流路11内に浸入した水17は、開口している下部開口部15aを通過し、開口部15の奥にあり超音波センサ12を取り付けるためのセンサ取り付け部(図示せず)に導かれる。
【0022】
従って、侵入した水は、開口部16のメッシュに妨げされずに流路11内からセンサ取り付け部にまで水が到達することができるため、超音波センサ12まで水17を到達させることができるので、流路11内に浸入した水17を容易に検知できるようになり、水の存在を報知できるという効果を奏する。
【0023】
(実施の形態3)
図4を用いて、本発明の実施の形態3を説明する。
【0024】
図4(a)は、超音波センサ及び流路の平面断面図、図4(b)は、(a)のA−A断面図であり、図に示す様に流路11下部の超音波センサ12対間に溝20を構成し、流路11内に浸入した水を超音波センサ12にまで導くように構成している。
【0025】
以上のように構成された溝20を有した流路について、以下にその動作を説明する。
上記の構成により流路11に浸入した水は、溝20を伝って超音波センサ対12に導かれるので、流路11に浸入した水を確実に超音波センサ12に導くことが可能となり、流路11内に浸入した水17を容易に検知できるようになり、水の存在を報知できるという効果を奏する。
【0026】
(実施の形態4)
図5を用いて、本発明の実施の形態4を説明する。
【0027】
図5(a)は、超音波センサ及び流路の平面断面図、図5(b)は、(a)のB−B断面図であり、図5に示す様に、センサ取り付け部18の底面に傾斜部18aを設け、流路11内に浸入した水17を超音波センサ12にまで導くように構成している。
【0028】
以上のように構成されたセンサ取り付け部18底面に傾斜部18aを設けた流路について、以下にその動作を説明する。
【0029】
上記の構成により、流路内11に浸入しセンサ取り付け部にまで導かれた水17は、センサ取り付け部18底面の傾斜により超音波センサ12に導かれ、超音波センサ12に水が接触することにより、流路11内に浸入した水17を容易に検知できるようになり、水の存在を報知できるという効果を奏する。
【0030】
なお、実施の形態では便宜上、報知される物質は水として説明したが、本発明は水に限らず他の液体にも適用できる。また、実施の形態では便宜上、整流体はメッシュとして説明したが、メッシュに限らず他の整流体にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかる気体用超音波流量計は、流路内に浸入した液体の報知が可能となるので、液体浸入により不具合が生じるどのような気体用超音波流量計用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1における気体用超音波流量計のブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における流路に設けられた開口部の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態2における流路に水が浸入した際の流路に設けられた開口部の断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態3における流路の平面断面図、(b)同(a)のA−A断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態4における流路の平面断面図、(b)同(a)のB−B断面図
【図6】従来の気体用超音波流量計の流路の断面図
【符号の説明】
【0033】
11 流路
12 超音波センサ
13 伝搬時間測定手段
14 報知手段
15 開口部
16 整流体
17 水(液体)
18 センサ取り付け部(窪み)
18a 傾斜部
20 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体である気体が流れる流路と、前記流路を挟んで対抗して設置され超音波の送受信を行う超音波センサ対と、前記超音波センサ対間に超音波を伝搬させその伝搬時間を測定する伝搬時間測定手段と、前記伝搬時間測定手段により測定した前記伝搬時間が前記超音波センサ対間に液体が存在し伝搬した伝搬時間に相当した場合報知する報知手段とを備えた気体用超音波流量計。
【請求項2】
超音波センサ対を設置するため流路の壁面に設けた窪みと、前記窪みを覆う整流体を備え、前記整流体は、流体の流れを整流すると共に超音波を伝播させるため複数の開口を備え、前記複数の開口の内、下方の開口を、他の開口と比べ大きくした請求項1記載の気体用超音波流量計。
【請求項3】
流路に浸入した液体を超音波センサへ導く為の溝を超音波センサ対間に配置した請求項1または2記載の気体用超音波流量計。
【請求項4】
流路に浸入した液体を超音波センサへ導く為の傾斜部を超音波センサ前方に設けた請求項1または2記載の気体用超音波流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−210548(P2010−210548A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59079(P2009−59079)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】