説明

気密状態持続容器

【課題】容器本体とキャップとから成り、キャップの頂部の中央部に採取針を突き刺して内容物を採取できる容器であって、採取針の穿刺が容易で、針刺部が高い自己封止能力を有し、複数回の使用を通じて高い気密性を維持し、容器本体口部とキャップとの隙間からの気体の漏出もなく、組立不良の問題のない気密容器を提供すること。
【解決手段】本発明の容器は、キャップ9の頂部1が中央部にくり抜き部3を有し、エラストマー製のシート体6がくり抜き部3を塞いで針刺部を構成しており、頂部1におけるくり抜き部3に接する部分4がシート体6に食い込んでおり、かつ、複数個の切欠5を相対向配置で有し、シート体6が、切欠5を充填し、かつ切欠5を上下から覆うように板状の部分4に一体成形されており、かつ、シート体6が容器本体8の口部7の上に乗る形状を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップの頂部中央部に設けられた針刺部へ採取針を差し込んで、容器内容物を取り出すことができる試薬等収容用の容器であって、針刺部に対する採取針の刺込および抜出後、針刺部が迅速に元の形態および気密構造を復元して気密性を保ち、内容物の漏洩が生じず、かつ、針刺部に対する採取針の刺込・抜出を複数回繰り返しても、針刺部が撓みや歪み、弛み等を生じにくく、数十回もしくはそれ以上に及ぶ穿刺・抜出を通じて容器の気密性が劣化しない、操作性の高い気密容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体と、この容器本体の口部を密閉するキャップと、から成り、キャップの頂部の中央部に針刺部を配置し、この針刺部にピペットチップや採取針等の採取具を突き刺して、内容物を採取する容器においては、針刺部に採取具を穿刺することにより針刺部に生じる孔や亀裂からの内部物の漏出や揮発およびそれに伴う汚染等が問題となってきた。
そこで、針刺部において、採取針の穿刺により生じる孔や亀裂をできるだけ小さくすることが課題となるが、このためには、概して次の理由から、従来、針刺部は分厚く構成するのが技術常識であり、また、そうせざるを得なかった。
【0003】
即ち、ゴム状の針刺部の厚みが厚ければ厚いほど、採取具の穿刺により生じる孔や亀裂が、当該孔の周囲部分からの押し付けにより、塞がる傾向にある。また、かかる容器では、採取具の刺入・抜出による針刺部の、キャップ頂部からの剥離やずれを防止すべく、キャップ頂部に針刺部を密着固定することが通常であるが、針刺部の厚みを薄くした場合には特に、採取具の刺込みに抵抗するように、針刺部が外側方向に引っ張られて、針刺部に亀裂が生じ易くなり、また、複数回の採取具の抜き差しにより、針刺部に撓みや歪み、弛み等が生じ易くなり、容器の密閉性が損なわれる。
しかし、他方で、針刺部を分厚く構成した容器には、採取具の挿入に強い圧力を要し、操作性が劣る問題があり、また、これを解決すべく、針刺部に、採取具先端の案内用の貫通溝や貫通孔を設けなければならず、結果的に高い密封性を確保できない問題もある。
【0004】
この他、従来の容器は、一般に、針刺部が、針刺部としての機能のみを果たすよう構成されており、容器本体の口部とキャップの間の隙間からの気体や液体の漏れを防止するためには、別途、パッキングやシール等の容器口部シール用の部材を備え付けねばならず、キャップの構成部品が増し、製造の際に構成部品の組立作業が必要になり、製造コストが増したり、組立不良により製品の品質が不揃いになる等の問題を有する。
【特許文献1】特開2001−314485号公報
【特許文献2】特開2003−111819号公報
【特許文献3】特表2003−522318号公報
【0005】
例えば、特許文献1に記載の医療用栓体は、分厚い芯体(針刺部に相当するもの)の針穿刺後の撓みを防止するべく、芯体の接液面および/または針穿刺面に膜を設けたものであり、芯体への針の穿刺が困難であり、また、膜という構成要素を追加するため、それだけ製造工程が煩雑になり、コスト面でも問題がある。
【0006】
また、例えば特許文献2に記載の封止体(前記キャップに相当するもの)は、穿刺弾性体の外径を、当該穿刺弾性体の周囲を取り囲む剛性保持体の外径に対して60%以下とすることにより、穿刺弾性体を剛性保持体によりその軸方向に挟持せしめる構成として、穿刺弾性体を貫通する穿刺具が締め付けられるようにし、穿刺具の保持性とともに密閉性を確保したものである。この文献に記載の封止体も、穿刺弾性体が分厚く形成されており、また、穿刺弾性体の範囲が制限されていて、穿刺具を刺すのに手間取り、さらに、穿刺具を刺し易くするために穿刺部に穿刺具穿刺用のスリットを設けるのに伴い、密閉性を確保するための薄膜を設ける必要があるなどの問題がある。
【0007】
さらに、例えば特許文献3に記載の試料容器は、蓋部(針刺部に対応するもの)を、樹脂製のピペットチップの鈍端で刺通することができ、しかもピペットチップ穿通後に再度封止する構成として、容器の「液密性」を高めたものである。この文献に記載の試料容器は、内部円板(キャップ頂部に相当するもの)が蓋部に食い込んで、当該食い込んだ部分の全面で蓋部の周縁部を支持している。このような構造の容器では、蓋部の剥離は防止できても、採取具の差込・抜出の際に、蓋部と円板の接着箇所で融通が利かず、蓋部において、採取具の差込による亀裂を生じ易く、蓋部に撓み等が生じやすく、また、気体の漏出を防止できる程の高い自己再封止能力は到底得られず、多数回採取具を差込・抜出する使用を通じて一貫した高い気密性の維持は到底困難である。さらに、この文献に記載の試料容器は、容器本体の口部とキャップが合わさる箇所にガスケットが設けられておらず、この点からも気体の漏出を防止できるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、キャップの頂部中央部に設けられた針刺部へ採取針を差し込んで、容器内容物を取り出すことができる、液体、気体および粉体等の収容用の容器であって、採取針の穿刺が容易であり、針刺部が高い自己封止能力を有し、針刺部からの容器内の気体の漏出が確実に防止され、複数回の採取針の刺入・抜出によっても針刺部が撓みや歪み、弛みを生じにくく、数十回もしくはそれ以上に及ぶ採取針の刺入・抜出を通じて一貫して高い気密性を維持し、さらに、容器本体口部とキャップとの隙間からの気体の漏出・液体の蒸散を確実に防止でき、組立不良の問題もなく製造簡便でコスト削減の要請に沿う高性能の気密容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決する本発明の気密状態持続容器(以下、単に「本発明の容器」とも称する)は、容器本体と、この容器本体の口部を密閉するためのキャップと、から成り、前記キャップの頂部が中央部にくり抜き部を有し、このくり抜き部がエラストマーから成るシート体で塞がれており、前記頂部における、前記くり抜き部を除く部分が剛性材料から成り、前記頂部における前記くり抜き部に接する部分が、前記シート体の周側部に食い込んでおり、かつ、複数個の切欠を相対向配置で有し、前記シート体が、前記切欠を充填し、かつ当該切欠を上下から覆うように、前記くり抜き部に接する部分に一体化されており、当該シート体における、前記頂部の下方に位置する部分が、前記容器本体の前記口部を完全に覆って、当該口部の上に乗る形状を有し、前記容器本体の口部のガスケットの機能を果たすことを特徴とする。
【0010】
本発明の容器は、キャップの頂部における前記くり抜き部に接する部分が、前記シート体の支持部として機能すると共に、前記シート体が、前記くり抜き部に接する部分に形成された前記切欠を充填して、当該くり抜き部に接する部分に巻き付いていることで、前記切欠周辺でシート体の緊張が緩和され、シート体の高い弾力性が確保されると共に、前記くり抜き部に接する部分のシート体支持機能により、シート体に、水平状態を保とうとする力が常時働いて、採取針の穿刺後にシート体が迅速に元の形態および気密構造を復元し、針刺部の高い気密性が得られるものである。また、このようなシート体の巻き付き構造により、針刺部における採取針の差込・抜出に対する針刺部の機械的強度が極めて高くなるため、本発明の容器は、例えば、シート体において針刺部を、厚さ0.5mm前後の薄さの平坦面形状とした場合でも、数十回もしくはそれ以上もの複数回、採取針の差込・抜出に対して、針刺部が撓みや歪み、弛み等を生じにくく、針刺部の気密性の劣化が抑えられて、容器の高い気密性を良好に持続できるものである。
【0011】
本発明の容器は、さらに、前記シート体が、前記くり抜き部を塞いで針刺部を構成すると共に、そのキャップ頂部の下方に位置する部分が、前記容器本体の口部のガスケットとしても機能して、容器本体の内容物がキャップ枠に触れることなく、容器本体の口部とキャップの当接箇所からの内容物の漏出を確実に防止でき、さらに組み立ての際の組付不良による密閉不全も回避でき、構造簡便にして製造が容易であり、コスト削減の要請に沿うものである。
【0012】
ここで、本明細書中、「採取針」とは、液体、気体ないし粉体等の試料をその先端から吸引して採取し得る、先端が針のように尖った細径の管状部材を意味し、注射や点滴用の針等も含まれる。本発明の容器に対して使用するのに適した針については、特に限定はないが、経験的に、針刺部を貫通する部分の直径が1mm前後の採取針であれば、針刺部への穿刺時の操作性がよく、針刺部の気密性が損なわれない。
また、本明細書中、「板状の部分がシート体の周側部に食い込む」とは、前記キャップの頂部における前記くり抜き部に接する部分が、シート体の周側部からシート体の内部に入り込んで、当該入り込んだ部分が、上面も下面も前記シート体に覆われている状態を意味する。
【0013】
前記キャップの頂部は、前記キャップの最上部を構成する部分であり、前記くり抜き部を有する限りにおいて、採取針の穿刺・抜出時の操作性やシート体の支持性を考慮したあらゆる所望の形状を有し得、例えば、上面に、採取針を針刺部に案内するための凸部等を有していてもよいし、例えば、下面に、シート体を係止するための凹凸等を有していてもよい。
前記くり抜き部は、前記採取針が貫通する箇所であり、使用が予定される採取針を穿刺し得る面積を有する限りにおいて、あらゆる形状をとり得、限定を意図するものではなく、例えば、円形や角形を有し得る。
前記頂部における前記くり抜き部に接する部分は種々の形状を有し得るが、限定を意図するものではなく、板状に形成されていることが好ましい。なお、前記くり抜き部に接する部分を板状にする場合、当該くり抜き部に接する板状の部分は、表面が完全に平坦に形成されていてもよいし、表面に部分的に凹部や凸部が設けられていてもよい。
【0014】
前記切欠は、如何なる形状を有していてもよく、例えば、扇形、丸形、角形を有し得、また、互いに同種ないし異種の形状を有していてもよい。高いシート体支持・復元機能や機械的強度を得る観点から、前記切欠は、前記くり抜き部の中心を中心とする円弧状に実質的に等間隔配置で設けられることが好ましい。なお、かかる切欠の面積および数については、前記くり抜き部に接する部分の、シート体支持および復元機能を損なわない程度であればよい。かかる面積や数は、くり抜き部に接する部分を構成する剛性材料の硬度等にもよるため、決して限定を意図するものではないが、概して、前記頂部が、ポリオレフィン等のプラスチック製の容器キャップとして通常使用される樹脂から成る場合において、前記切欠の総面積が、前記くり抜き部に接する部分における前記シート体に食い込んでいる部分の面積の概ね5〜80%である場合に、採取針の抜き差しに対するシート体の適度な機械的強度および穿刺後の復元機能が確保され得る。
【0015】
前記頂部における前記くり抜き部を除く部分は、硬質の合成樹脂等の剛性材料から成ることが好ましく、例えば、プラスチック製の容器キャップとして通常使用される樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリウレタン系の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用でき、特に硬度の高いものを好適に使用できる他、金属等も使用でき、前記シート体に使用される樹脂よりも硬質のものを使用することが好ましい。なお、前記キャップにおける前記くり抜き部と前記頂部とを除く箇所、例えば、前記頂部の下方に位置して、前記容器本体の口部の外側に装着される部分も、前記頂部と一体的に前記剛性材料から作成されてよい。
【0016】
前記シート体については、前記頂部に形成された前記切欠を充填して、当該頂部に巻き付いている構造上、採取針の刺込・抜出に対する高い形状維持性や破壊耐性を確保できるため、その気密性や耐久性を損なうことなく、例えば、特に、当該シート体における針刺部を成す箇所等を、採取針を十分容易に穿刺できる程度まで薄く構成することができる。よって、前記シート体では、特に、採取針の刺し込みを容易にするための、当該シート体を上下方向に貫通する溝や孔等を設けずとも、十分な操作性を確保できる。
即ち、本発明では、採取針の刺込・抜出を容易にするために、例えば、前記シート体の中央部に凹みを設けることができる。かかる凹みは、いかなる形状を有していてもよいが、円柱状ないし角柱状等の、平坦な底部を有する形状を有することが好ましく、こうすることで、採取針を複数回穿刺する場合に、同一箇所に複数回、採取針が刺さる場合が減り、針刺部の耐久性が高まる。
【0017】
前記シート体の形状に関し、本明細書中、「前記容器本体の口部を完全に覆って、当該口部の上に乗る形状」とは、前記キャップ内部に収容され、かつ、前記容器本体の口部と、部の内壁との間に挟まれて、シール材として前記容器本体の口部を密封し得るあらゆる形状を意味し、限定を意図するものではなく、例えば、前記容器の口部内径よりも大きな径を有し、かつ、前記キャップの内部に収容され得る板形状や、かかる板形状の中央部や周側部等を、シート体の、容器口部シール材としての機能を損ねない範囲で変形させたもの等が含まれる。
【0018】
前記シート体は、エラストマーから成る限り、前記切欠を充填して前記頂部に巻きついている構造上、エラストマーのゴム特性と相まって、針刺部の高い気密性(自己封止性を含む)、機械的強度等を確保できるので、その構成材料に特に限定はない。即ち、例えば、シート体の材料として硬質のエラストマーを使用したい場合には、シート体をかなり薄く形成することで、適宜、所望の特性を示す本発明の容器を作成できる。特記するならば、前記シート体は、ゴム材として一般に使用される熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の合成樹脂から構成でき、例えば、容器等のガスケット、ゴム栓等のシール材として通常使用されるものをいずれも使用できる。かかる合成樹脂としては、限定を意図するものではないが、粘弾性を示すものが好ましく、例えば、スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、ブチルゴム系、ポリウレタン系およびポリアミド系等の熱可塑性エラストマーや、2液混合のポリウレタンやシリコーン系等の熱硬化性エラストマーおよび加硫ゴム等のエラストマーをいずれも使用できる。なお、下記物性値範囲の少なくともいずれかを満たすエラストマーを用いた場合に、優れた自己再封止性、針刺操作に対する機械的強度および耐久性を示すシート体が得られるが、構成材料は、決してこれらには限定されるものではない。また、JISK6253−1993によるデュロ硬度A(25℃条件)がA40〜A90のエラストマーを用いて、シート体の容器本体口部シール機能を適切に確保できるが、構成材料は決してこれには限定されるものではない。
【0019】
(1)JIS K6253−1993によるデュロ硬度(25℃条件)が、A20〜A90;
(2)JIS K6262−1993(70℃、22時間条件)による圧縮永久歪みが30〜50%;
(3)JIS K6251−1993による引張破壊強さ(3号試験片にて、試験速度500mm/分、25℃の条件下)が3〜25MPa;
(4)JIS K6251−1993による引張破壊伸び(3号試験片にて、試験速度500mm/分、25℃の条件下)が650〜1000%。
【0020】
前記シート体の前記頂部への一体化は、常法により、例えば、二色成形やインサート成のような射出成形や、ゴム金型へインサートを行う等の圧縮成形により適切に行うことができ、例えば、前記キャップの、前記くり抜き部を除く部分を前もって成形し、この成形体に、前記シート体を射出成形する等により、前記キャップを適切に作成できる。
なお、前記頂部における前記くり抜き部に接する部分の、前記シート体への食い込みの程度は、前記切欠を上下から覆い得る限り、特に限定はないが、概して、食い込みが深くなるほど、当該くり抜き部に接する部分の前記シート体支持・復元機能、針刺部の機械的強度および耐久性が高まる傾向がある。ただし、前記頂部における、前記シート体に食い込んでいる部分の外周から、前記くり抜き部に接する縁までの長さの、前記外周から前記くり抜き部の中心までの長さに対する割合が、概ね5%〜95%でなければ、本発明の容器の作成は実際上困難になる。
【0021】
前記容器本体は、内部に液体や粉体、気体等の試料を収容して、前記キャップにより口部を密封されるものであり、内部に試料を収容する容器に通常使用されるあらゆる材から成ってよく、例えば、合成樹脂から成ってもよいし、ガラスや金属から成ってもよい。ただし、本発明では、容器本体の口部と前記キャップとの密着の程度は高いほどよく、このような両者の高い密着状態は、例えば、容器本体を、前記口部周囲に雌ネジ(雄ネジ)を有するものとし、かつ、前記キャップを、その内壁に前記雌ネジと螺合する雄ネジ(雌ネジ)を有するものとすることで実現できるが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0022】
本発明の容器は、針刺部を、容易に採取針の穿刺を行うことができる程度に十分薄く形成でき、特に、針刺部に、針先を案内するための貫通溝や孔を設けなくても、高い操作性を確保でき、針刺部への採取針の刺込・抜出後に針刺部が自発的に元の形態および密閉構造を復元し、針刺部からの容器内の気体の漏出が確実に防止され、かつ、採取針の穿刺・抜出に対する針刺部の機械的強度が高く、数十回もしくはそれ以上もの回数、採取針の穿刺・抜出を行っても、針刺部が撓みや歪み、弛み等を生じにくく、複数回の使用中、一貫して高い気密性を維持するものである。本発明の容器は、また、針刺部が容器本体口部とキャップとの隙間を封じるガスケットの機能をも果たすことにより、かかる隙間からの気体の漏出をも確実に防止でき、組立不良の問題がなく、製造簡便にしてコスト削減の要請に資するものである。複数回、針刺部に採取針を穿刺しても容器の気密性が持続することは、例えば、高い精度が要求される試験試薬等の保存において、極めて有用である。
【実施例】
【0023】
以下に、本発明の容器の製造例と、本発明の容器の具体例を示す。即ち、[製造方法]で、本発明の容器の製造方法の一例を、実施例1の容器を例にして示す。また、図1および図2に、実施例1の本発明の容器の構成を示す。なお、図1Aは、実施例1の本発明の容器の縦断面図を、図1Bは、図1Aとは異なる箇所でのキャップの縦断面図を、図1Cはキャップ頂部の平面図を、図1Dはキャップ頂部の底面図を示す。図2Aはキャップの斜視図を、図2Bはシート体を一体化する前のキャップの斜視図を示す。
【0024】
[製造方法]
図2Bを参照して、まず、中央にくり抜き部3を有する頂部1と、頂部1の下方に伸びて、図1Aに示す容器本体8の口部7の外側に装着される筒状側部2とから成る成形体であって、頂部1におけるくり抜き部3に接する部分4が平坦なリング板状に形成され、かつ、このリング板状の部分4に、2対の変形扇形の切欠5を有するものを、これに対応する形状の金型を用いて、剛性樹脂材料を用いて、熱可塑性ないし硬化性樹脂を射出成形する場合に通常使用される金型・原料温度条件およびサイクル条件で、射出成形した。次いで、この成形体を、別個の、エラストマー成形用の金型のキャビティに組み込んだ後、このエラストマー成形用の金型にて、ペレット化したエラストマーを、熱可塑性ないし硬化性エラストマーを射出成形する場合に通常使用される金型・原料温度条件およびサイクル条件で射出成形して、リング板状の部分4にシート体6を一体化し、図1および図2Aに示すキャップ9を得た。これら一連の工程は、射出成形機を用いて行った。
他方、キャップ9により密封される口部7を有する容器本体8を、これに対応する金型を用い、軟質ポリエチレンを用いて、軟質ポリエチレンをブロー成形する場合に通常使用される金型・原料温度条件およびサイクル条件で、ブロー成形を行うことにより、作成した。
【0025】
上記製造方法を用いて、実施例1〜10の10種の容器を作成した。なお、実施例の記載中、デュロ硬度Aは、JISK6253−1993による測定における25℃での値を示し、引張破壊強さおよび引張破壊伸びは、各々JISK6251−1993による測定における25℃での値(3号試験片にて、試験速度500mm/分の条件下)を示し、圧縮永久歪みは、JISK6262−1993(70℃、22時間条件)による測定における値を示す。
【0026】
[実施例1]
本実施例の容器は、剛性樹脂材料として硬質ポリエチレン[JISK7202による25℃でのロックウェル硬さ(R)が85Rスケールのもの]を用い、エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー[デュロ硬度;A25/引張破壊強さ;5MPa/引張破壊伸び;780%/圧縮永久歪み;37%]を用いて作成した。
図1Aに示す本実施例の容器は、容器本体8と、この容器本体8の円筒形の口部7(口部頂部外径;15.5mm/頂部内径;10.5mm)を密封するキャップ9(頂部外径;20mm)と、から成り、キャップ9が、円形の頂部1と、この下方に伸びて、容器本体8の口部7の外側に装着される筒状側部2とから成り、頂部1が中央部に円形のくり抜き部3[直径(W1)9mm]を有し、このくり抜き部3をエラストマーから成るシート体6が塞いで針刺部を構成している。本実施例の容器は、口部7の周壁外側に雌ネジを有し、キャップ9が、筒状側部2の内側に、前記雌ネジと螺合する雄ネジを有し、互いに高い気密状態で接合できるタイプのものである。シート体6には、中央部に、平坦な円形の底部を有する凹み10[底部の直径(W2)6mm]が設けてあり、実際の穿刺操作で、ここに採取針を穿刺する。シート体6の厚さは、凹み10の部分で0.8mm、凹み10の周囲部で3mmである。
【0027】
頂部1は、そのくり抜き部3に接する部分4が、キャップ9の内部方向に、くり抜き部3と同心のリング板状に若干陥没しており、このリング板状の部分4[外周の直径(W3)13mm、厚さ約0.8mm]が、くり抜き部3に接する縁13からリング板状の部分4の外周14まで、シート体に食い込んでいる。(即ち、リング板状の部分4は、くり抜き部3に接する縁13から外周14まで、上面も下面もシート体6に覆われている。)詳しくは、リング板状の部分4は、2対の変形扇状の切欠5を相対向配置で、くり抜き部3の中心から実質的に等距離で、かつ実質的に等間隔で有し、シート体6が、切欠5を充填して、切欠5を上下から覆って、頂部1に一体化されている。シート体6は、また、頂部1の下方に位置する部分11が、直径(W4)14.5mm、厚さ1.5mmの円盤状に形成されており、部分11は容器本体8の口部7を完全に覆って、口部7の上に乗る。なお、本実施例では切欠5は、リング板状の部分4の外周14に接しており、頂部1の直径方向の幅は約0.7mmである。
【0028】
本実施例の容器は、シート体6に、採取針の刺込を容易にするための、シート体6を上下方向に貫通する溝や孔が設けられておらず、シート体6が容器本体8の口部7のガスケット機能を果たし、極めて気密性の高いものである。本実施例の容器は、凹み10の底部が、採取針を穿刺するのに十分薄くかつ広い平坦面状に形成されており、シート体6に貫通溝や孔が無いにも関わらず、極めて操作性が高く、複数回の採取針の穿刺操作において、同じ箇所に採取針が刺さることが少なく、シート体6の耐久性が高いものである。本実施例の容器は、リング板状の部分4にシート体6が、切欠5を充填して巻きついている構造により、シート体6が、高い自己封止能力および機械的強度を示す。
【0029】
[実施例2]
剛性樹脂材料として実施例1で使用したものと同じ硬質のポリエチレンを用い、エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー[デュロ硬度;A43/引張破壊強さ;5MPa/引張破壊伸び;900%/圧縮永久歪み;35%]を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例2の容器を作成した。
【0030】
[実施例3]
剛性樹脂材料として実施例1で使用したものと同じ硬質のポリエチレンを用い、エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー[デュロ硬度;A53/引張破壊強さ;6MPa/引張破壊伸び;850%/圧縮永久歪み;39%]を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例3の容器を作成した。
【0031】
[実施例4]
剛性樹脂材料として硬質のポリプロピレン(ロックウェル硬さ(25℃);R110)を用い、エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー[デュロ硬度;A60/引張破壊強さ;14MPa/引張破壊伸び;920%/圧縮永久歪み;40%]を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例4の容器を作成した。
【0032】
[実施例5]
剛性樹脂材料として実施例4で使用したものと同じ硬質のポリプロピレンを用い、エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー[デュロ硬度;A73/引張破壊強さ;9MPa/引張破壊伸び;800%/圧縮永久歪み;48%]を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例5の容器を作成した。
【0033】
[実施例6]
剛性樹脂材料として実施例1で使用したものと同じ硬質のポリエチレンを用い、エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー[デュロ硬度;A90/引張破壊強さ;12MPa/引張破壊伸び;700%/圧縮永久歪み;62%]を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例6の容器を作成した。
【0034】
[実施例7]
剛性樹脂材料として実施例1で使用したものと同じ硬質のポリエチレンを用い、エラストマーとしてポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(デュロ硬度;A60)を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例7の容器を作成した。
【0035】
[実施例8]
剛性樹脂材料として実施例1で使用したものと同じ硬質のポリエチレンを用い、エラストマーとしてブチルゴム系熱可塑性エラストマー(デュロ硬度;A95)を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例8の容器を作成した。
【0036】
[実施例9]
剛性樹脂材料として実施例4で使用したものと同じ硬質のポリプロピレンを用い、エラストマーとして、ポリウレタン系熱硬化性エラストマー(デュロ硬度;A45/引張破壊強さ;25MPa)を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例9の容器を作成した。
【0037】
[実施例10]
剛性樹脂材料として実施例1で使用したものと同じ硬質のポリエチレンを用い、エラストマーとして2液混合型の注型シリコーン(デュロ硬度;A50/引張破壊強さ;7MPa/引張破壊伸び;800%/圧縮永久歪み;35%)を用いて作成したことを除き、実施例1と同じ構成の実施例10の容器を作成した。
【0038】
実施例2〜10のいずれの容器も、実施例1の容器と同様に、気密性が高く、シート体に、シート体を上下方向に貫通する溝や孔が無いにも関わらず採取針を穿刺し易く、耐久性が高く、シート体が、高い自己封止能力および機械的強度を示す。
【0039】
[機能評価]
以下に、本発明の容器の効果を比較例との比較で示す。
[気密性試験1]
実施例1の容器、凹部10の底部の異なる3箇所に金属製の採取針(シート体6を貫通する部分の直径0.5mm)を穿刺した実施例1の容器、および下記比較例1〜3の容器の合計5種の容器を準備し、まず、各容器の重量を化学天秤にて測定し、次いで各容器に試料(2mlの水)を収容し、キャップを締めて、再度、各容器の重量を化学天秤にて測定した(初期測定)。その後、60℃のインキュベーターに保管し、17時間インキュベート後、および114時間インキュベート後に、各容器の重量を、化学天秤にて測定した。得られた測定値から、容器内の試料の初期重量と、インキュベートに伴う、試料の初期重量からの減少重量(試料減少量)を算出し、結果を表1に纏めた。特に、114時間のインキュベート後の、試料の初期重量からの減少重量(減少量)を図3に示す。
【0040】
[比較例1]
凹部10の底部に、カミソリで長さ約2mmの2本のスリット(シート体6を貫通するもの)を十字形に形成したことを除き、実施例1の容器と同じ構成の容器を作成し、比較例1の容器とした。
[比較例2]
シート体6における、頂部1の下方の部分11を、容器本体8の口部7の内径より小さな径に形成して、容器本体8の口部が頂部1の内壁に直接接触するようにし、かつ、針刺部(凹部10)に200μlのピペットチップの先端を1回突き刺したことを除き、実施例1の容器と同じ構成の容器を作成し、比較例2の容器とした。
[比較例3]
シート体6を有さず、くり抜き部3が開放状態になっていることを除いて、実施例1の容器と同じ構成の容器を作成し、比較例3の容器とした。
【0041】
【表1】

【0042】
表1および図3から、実施例1の容器は、3回の採取針穿刺処理を行った場合と、1回も採取針穿刺処理を行わない場合とで、インキュベート後の試料の減少量が実質的に同じであり、本発明の容器が極めて高い蒸発防止効果を有することが分かる。他方、比較例1〜3の容器は、蒸発防止効果を持たないことが分かる。
なお、本試験では、本発明の容器として実施例1の容器を用いた場合を示したが、実施例2〜10の容器も同様の蒸発防止効果を示す。
【0043】
[気密性試験2]
実施例1の容器の針刺部(凹部10)の底部の異なる3箇所に金属製の採取針(シート体を貫通する部分の直径0.5mm)を穿刺した容器と、下記比較例4および比較例5の合計3種の容器を各々4セット準備し、まず、各容器の重量を化学天秤にて測定し、次いで各容器に試料(2mlの水)を収容し、キャップを締めて、再度、各容器の重量を化学天秤にて測定した(初期測定)。その後、60℃のインキュベーターに保管し、89時間インキュベートに、各容器の重量を、化学天秤にて測定した。得られた測定値から、容器内の試料の初期重量と、89時間のインキュベートに伴う、試料の初期重量からの減少重量の平均を算出し、結果を表2に纏めた。
【0044】
[比較例4]
キャップの頂部が針刺構造を持たず、頂部が全体的に実施例1で用いたものと同じ硬質のポリエチレンから成る市販の容器であって、容器本体の口部とキャップ頂部内壁の間にシリコーンゴム製のシートパッキンを組み込んだものを準備し、比較例4の容器とした。
[比較例5]
キャップの頂部が針刺構造を持たず、頂部が全体的に実施例1で用いたものと同じ硬質のポリエチレンから成る市販の容器であって、容器本体の口部とキャップ頂部内壁の間にポリエチレン発泡樹脂製のシートパッキンを組み込んだものを準備し、比較例5の容器とした。
【0045】
【表2】

【0046】
表2から、3回の採取針穿刺処理を行った実施例1の容器と、比較例4および5の容器とで、インキュベート後の試料の減少量(水の蒸発の程度)に差は無く、本発明の容器が、針刺部のない市販の保存容器と同等の高い気密性を有することが分かる。
なお、本試験では、本発明の容器として実施例1の容器を用いた場合を示したが、実施例2〜10の容器も同様の気密性を示す。
【0047】
[耐久性試験]
本試験では、複数回の使用に対する各容器の気密性持続能力を評価した。
実施例1〜10の本発明の容器および下記比較例6〜7の容器の合計12種の容器の各々の針刺部(凹部10底部)に、金属製の採取針(凹部10の底部を貫通する部分の直径が0.5mmのもの)を10回、30回および60回、約1秒間隔で連続的に穿刺した後、針刺部の撓み、歪みないし弛みを、針刺部の気密性劣化の指標として、目視および感触評価した。いずれの評価も、採取針の連続穿刺直後と、その後1回の追加穿刺における採取針の抜出時の、2つの時点で行った。目視評価は、連続穿刺直後に、針刺部の外観を肉眼視する静的評価と、追加穿刺における採取針の抜出時に、採取針の抜出に伴うシート体の伸び具合を肉眼視する動的評価とから成る。感触評価は、採取針の連続穿刺直後に、キャップを容器本体から分離し、針刺部を上下から指で触り、その感触を確認する静的評価と、追加穿刺における採取針の抜出時に、採取針の抜出に伴うシート体の伸び具合を、採取針を持つ指の感触で確認する動的評価とから成る。結果を下記に示す各評価基準に従い、表3に示す。
【0048】
[比較例6]
頂部1における、くり抜き部3に接する部分4に切欠5を一つも設けないことを除き、実施例1と同じ態様の容器を、実施例1と同様の方法で作成し、比較例6の容器とした。
[比較例7]
頂部1における、くり抜き部3に接する部分4に切欠5を一つも設けないことを除き、実施例2と同じ態様の容器を、実施例2と同様の方法で作成し、比較例7の容器とした。
【0049】
[目視評価基準]
○・・・撓み、歪みないし弛みが全く認められなかった。
△・・・撓み、歪みないし弛みが若干認められた。
×・・・撓み、歪みないし弛みが認められた。
×・・・撓み、歪みないし弛みが認められ、さらにシート体の剥離を伴った。
[触指評価基準]
○・・・撓んだないし弛んだ感触が認められなかった。
△・・・撓んだないし弛んだ感触が若干認められた。
×・・・撓んだないし弛んだ感触が認められた。
【0050】
【表3】

【0051】
表3から、本発明の容器は、多数回の採取針の穿刺・抜出に対して撓み等を生じにくく、針刺部が高い気密性持続能力(耐久性)を有することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明の容器の一態様を示す図であり、Aは本発明の容器の縦断面図を、BはAに示す容器を構成するキャップの、Aとは異なる箇所での縦断面図を、Cはキャップ頂部の平面図を、Dはキャップ頂部の底面図を示す。
【図2】図2は、図1に示す本発明の容器を構成するキャップの構成を示す図であり、Aはキャップの斜視図を、Bは、シート体を一体化する前のキャップの斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明の容器の高い蒸発防止能力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0053】
1 頂部
2 筒状側部
3 くり抜き部
4 くり抜き部に接する部分
5 切欠
6 シート体
7 口部
8 容器本体
9 キャップ
10 凹み
11 シート体の、頂部1の下方に位置する部分
13 頂部1の、くり抜き部3に接する縁
14 リング板状の部分の外周
W1 くり抜き部3の直径
W2 凹み10の底部の直径
W3 リング板状の部分4の直径
W4 シート体6における、頂部1の下方に位置する部分(ガスケット部分)の直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、この容器本体の口部を密閉するためのキャップと、から成り、前記キャップの頂部の中央部に採取針を突き刺して、前記容器本体内部の試料を採取することができる容器であって、
前記頂部が中央部にくり抜き部を有し、このくり抜き部がエラストマーから成るシート体で塞がれており、前記頂部における、前記くり抜き部を除く部分が剛性材料から成り、
前記頂部における前記くり抜き部に接する部分が、前記シート体の周側部に食い込んでおり、かつ、複数個の切欠を相対向配置で有し、
前記シート体が、前記切欠を充填し、かつ当該切欠を上下から覆うように、前記くり抜き部に接する部分に一体化されており、
当該シート体における、前記頂部の下方に位置する部分が、前記容器本体の前記口部を完全に覆って、当該口部の上に乗る形状を有し、前記容器本体の口部のガスケットの機能を果たすことを特徴とする気密状態持続容器。
【請求項2】
前記頂部における前記くり抜き部に接する部分が板状に形成されており、この板状の部分に前記切欠が、前記くり抜き部の中心を中心とする円弧上に実質的に等間隔配置で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の気密状態持続容器。
【請求項3】
前記シート体が、その中央部に凹みを有し、この凹みが、平坦な底部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気密状態持続容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−18307(P2010−18307A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179719(P2008−179719)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508208948)パワーサプライ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】