説明

気液分離器

【課題】気液二相冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分離する分離効率を向上させた気液分離器を提供する。
【解決手段】気液分離器は、気液二相冷媒を流入させる気液二相冷媒流入パイプ1、分離された気相冷媒を流出させる気相冷媒流出パイプ2、分離された液相冷媒を流出させる液相冷媒流出パイプ3、これらのパイプが挿入される本体容器4、分離された気相冷媒に残留する液滴を捕捉するエリミネータ5、捕捉された液滴を胴部4b側壁方向に流下させる液滴流下ガイド6から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置などで使用される気液二相冷媒(気液混相体)を気相冷媒(気体)と液相冷媒(液体)に分離する気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置などで使用されている気液分離器は、気液二相冷媒の中の液滴を気相冷媒と液相冷媒に分離する。分離する方式としては、主に、遠心力分離、重力分離、表面張力分離の3つの方式がある。
【0003】
従来の遠心力分離方式による気液分離器を図6を用いて説明する。図6(a)は気液分離器の概略構成の側面図を示し、図6(b)はその平面図を示している。1は気液二相冷媒を流入させる気液二相冷媒流入パイプ、2は分離された気相冷媒を流出させる気相冷媒流出パイプ、3は分離された液相冷媒を流出させる液相冷媒流出パイプ、4は本体容器である。
【0004】
詳説すると、本体容器4は、頂部4a、底部4c、および、頂部4aと底部4cの間を連結する中空円筒型の胴部4bとから構成されている。気液二相冷媒流入パイプ1は、胴部4bの上方側面に接線方向に内壁面を貫通して取付けられ、胴部4bの接線方向から本体容器4内に流入された気液二相冷媒は、その内部で旋回流となる。気相冷媒流出パイプ2は、頂部4aから胴部4bの軸心方向に内壁面を貫通して装入され、気液二相冷媒から分離された気相冷媒を流出させる。液相冷媒流出パイプ3は、底部4cの下方側面に内壁面を貫通して取付けられ、気液二相冷媒から分離された液相冷媒を流出させる。
【0005】
気液二相冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分離する気液分離器の動作を説明すると、図6の矢印で示すように、気液二相冷媒は、気液二相冷媒流入パイプ1の冷媒吐出口1aから、本体容器4内の周方向に流入するように案内されて旋回流となる。本体容器4内を周方向に旋回しながら流れる気液二相冷媒は、旋回流の遠心力により、気体と液体の密度の差から、内側に密度の小さい気相冷媒、外側に密度の大きい液相冷媒に分離される。気相冷媒と液相冷媒とに分離されると、重力により、密度の小さい気相冷媒は内側を上方に、密度の大きい液相冷媒は外側を下方に分かれる。
【0006】
このようにして、気相冷媒と分離された液相冷媒は底部4cの液溜領域に降下して溜まる。そして、底部4cに溜まった液相冷媒は液相冷媒入口3aから液相冷媒流出パイプ3に取り込まれ、液相冷媒流出パイプ3内を矢印方向に流出する。また、液相冷媒が分離した気相冷媒は胴部4b内を上昇する。そして、頂部4aに上昇した気相冷媒は気相冷媒入口2aから気相冷媒流出パイプ2に取り込まれ、気相冷媒流出パイプ2内を矢印方向に流出する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−176968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この本体容器4の胴部4b内を上昇する気相冷媒には旋回流の遠心力分離作用で分離しなかった液滴が残留することがある。この気相冷媒中に残っている液滴を捕捉するため、メッシュ部材などで構成される液滴捕捉装置9を本体容器4内の上部に設けている。そして、この胴部4b内を上昇する気相冷媒を液滴捕捉装置9内を通過させることで、気相冷媒中に残っている液滴を液滴捕捉装置9で捕捉し、底部4cの液溜領域に降下させるようにしている。
【0009】
しかしながら、気液二相冷媒流入パイプ1の冷媒吐出口1aから、本体容器4内の周方向に流入するように案内されて旋回流となった気液二相冷媒は、外側は旋回しながら下方に流れ、内側は旋回しながら上方に流れる。このため、この液滴捕捉装置9内を通過する気相冷媒の上昇流は、気相冷媒流出パイプ2が装入されている軸心に近い部分ほど速くなる。このような原因で、液滴捕捉装置9で捕捉した液滴が、軸心に近く速い上昇流の気相冷媒に再度取り込まれ、液滴が含まれる気相冷媒が気相冷媒流出パイプ2から流出するという不都合が生じることがある。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、液滴捕捉装置で捕捉した液滴の再飛散を防止し、気液二相冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分離する分離効率を向上させた気液分離器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る気液分離器は、気液混相体を気体と液体に分離する気液分離器において、
頂部、底部およびその間を連結する中空円筒型の胴部からなる本体容器と、
前記胴部の上方側面に取付けられて、該胴部の接線方向から前記本体容器内に前記気液混相体を流入させて旋回流とする気液混相体流入パイプと、
前記旋回流の遠心力分離作用で、前記気液混相体から分離されて前記胴部内を上昇する前記気体に残留する液滴を捕捉する液滴捕捉装置と、
前記液滴捕捉装置の下部に設けられ、該液滴捕捉装置で捕捉した前記液滴を前記胴部側壁方向に流下させる液滴流下ガイドと、
前記頂部から前記胴部の軸心方向に装入されて、前記分離された気体を流出させる気体流出パイプと、
前記底部の下方側面に取付けられて、前記分離された液体を流出させる液体流出パイプと、を具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る気液分離器は、上述した請求項1において、前記液滴捕捉装置と前記液滴流下ガイドとを縦方向の接続体を用いて接続することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る気液分離器は、上述した請求項1または請求項2において、前記液滴捕捉装置は、複数の開口、あるいは、複数のスリット状の開口を有するエリミネータであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に係る気液分離器は、上述した請求項1または請求項2において、前記液滴捕捉装置は、ステンレス鋼等の耐浸食性細線の織物や編み物で作ったメッシュ部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、気液混相体を気体と液体に分離する気液分離器において、頂部、底部およびその間を連結する中空円筒型の胴部からなる本体容器と、前記胴部の上方側面に取付けられて、該胴部の接線方向から前記本体容器内に前記気液混相体を流入させて旋回流とする気液混相体流入パイプと、前記旋回流の遠心力分離作用で、前記気液混相体から分離されて前記胴部内を上昇する前記気体に残留する液滴を捕捉する液滴捕捉装置と、前記液滴捕捉装置の下部に設けられ、該液滴捕捉装置で捕捉した前記液滴を前記胴部側壁方向に流下させる液滴流下ガイドと、前記頂部から前記胴部の軸心方向に装入されて、前記分離された気体を流出させる気体流出パイプと、前記底部の下方側面に取付けられて、前記分離された液体を流出させる液体流出パイプと、を具備することにより、気液混相体の旋回流の遠心力分離作用で分離せず、気体中に残留する液滴は液滴捕捉装置を通過するとき、液滴捕捉装置に捕捉される。この液滴捕捉装置に捕捉された液滴は、液滴捕捉装置の下部に設けられた液滴流下ガイドの傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部側壁方向に速やかに流下し、胴部側壁面を伝わって底部の液溜領域に流れ落ちる。これにより、液滴捕捉装置で捕捉した液滴が、軸心に近く速い上昇流の気体に再度取り込まれ、液滴が含まれる気体が気体流出パイプから流出するという不都合がなくなり、液滴捕捉装置で捕捉された液滴は本体容器の底部の液溜領域に流れ落ちる。このようにして、液滴捕捉装置で捕捉された液滴は、液滴捕捉装置の下部に設けられた液滴流下ガイドの傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部側壁方向に速やかに流下し、胴部側壁面を伝わって底部の液溜領域に流れ落ちることにより、液滴捕捉装置で捕捉した液滴の再飛散を防止し、気液混相体を気体と液体に分離する分離効率を向上させた気液分離器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る気液分離器の実施の形態1の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】図1に示した気液分離器の液滴流下ガイドを示し、(a)は平面図、(b)はそのA−A方向の断面側面図である。
【図3】図1に示した気液分離器の液滴流下ガイドを示す鳥瞰図である。
【図4】本発明に係る気液分離器の実施の形態2の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図5】本発明に係る気液分離器の実施の形態3の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図6】従来の気液分離器の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る気液分離器の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、従来と同一構成に関しては同一符号を用いる。
【0018】
この実施の形態の気液分離器は、冷凍サイクル装置などで使用されている気液二相冷媒(気液混相体)の中の液滴を分離させて気相冷媒(気体)と液相冷媒(液体)に分離する装置で、遠心力分離方式を採用しているものである。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る気液分離器の実施の形態1の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【0019】
図1に示すように、気液分離器は、気液二相冷媒を流入させる気液二相冷媒流入パイプ(気液混相体流入パイプ)1、分離された気相冷媒を流出させる気相冷媒流出パイプ(気体流出パイプ)2、分離された液相冷媒を流出させる液相冷媒流出パイプ(液体流出パイプ)3、これらのパイプが挿入される本体容器4、分離された気相冷媒に残留する液滴を捕捉するエリミネータ(液滴捕捉装置)5、捕捉された液滴を胴部4b側壁方向に流下させる液滴流下ガイド6などから構成されている。
【0020】
本体容器4は、頂部4a、底部4c、および、頂部4aと底部4cの間を連結する中空円筒型の胴部4bとから構成されている。気液二相冷媒流入パイプ1は、胴部4bの上方側面に接線方向に内壁面を貫通して取付けられ、胴部4bの接線方向から本体容器4内に流入された気液二相冷媒は、その内部で旋回流となる。複数の開口、あるいは、複数のスリット状の開口を有するエリミネータ5は、旋回流の遠心力分離作用で、気液二相冷媒から分離されて胴部4b内を上昇する気相冷媒に残留する液滴を捕捉する。液滴流下ガイド6は、エリミネータ5の下部に設けられ、エリミネータ5で捕捉した液滴を胴部4b側壁方向に流下させる。
【0021】
気相冷媒流出パイプ2は、頂部4aから胴部4bの軸心方向に内壁面を貫通して装入され、気液二相冷媒から分離され、液滴流下ガイド6、エリミネータ5を通過した気相冷媒を流出させる。液相冷媒流出パイプ3は、底部4cの下方側面に内壁面を貫通して取付けられ、気液二相冷媒から分離されて底部4cの液溜領域に溜まった液相冷媒を流出させる。
【0022】
図2は、気液分離器の液滴流下ガイドを示し、(a)は平面図、(b)はそのA−A方向の断面側面図である。また、図3は、液滴流下ガイドを示す鳥瞰図である。
【0023】
図2および図3に示すように、液滴流下ガイド6は、気相冷媒流出パイプ2の周囲に、胴部4b側壁方向に放射状に傾斜(例えば、30度)させて複数配設している。そして、エリミネータ5で捕捉した液滴をその傾斜している面で導いて胴部4b側壁方向に流下させる。
【0024】
上述した実施の形態1である気液分離器で、気液二相冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分離させる動作を説明すると、図1で示すように、気液二相冷媒は、気液二相冷媒流入パイプ1の冷媒吐出口1aから、本体容器4内を周方向(矢印参照)に流入し、流入した気液二相冷媒は本体容器4内壁を沿うように案内されて流れ、旋回流となる。このようにして、本体容器4内壁を周方向に旋回しながら流れる気液二相冷媒は、旋回流の遠心力により、気体と液体の密度の差から、内側に密度が小さい気相冷媒、外側に密度が大きい液相冷媒に分離される。気相冷媒と液相冷媒とに分離されると、重力により、密度の小さい気相冷媒は内側を上方に、密度の大きい液相冷媒は外側を下方に分かれる。
【0025】
気相冷媒と分離された液相冷媒は底部4cの液溜領域に降下して溜まる。この底部4cに溜まった液相冷媒は液相冷媒入口3aから液相冷媒流出パイプ3に取り込まれ、液相冷媒流出パイプ3内を矢印方向に流出する。
【0026】
そして、液相冷媒が分離した気相冷媒は本体容器4の胴部4b内を上昇する。この胴部4b内を上昇する気相冷媒は、液滴流下ガイド6、エリミネータ5を通過し、頂部4aに上昇すると気相冷媒入口2aから気相冷媒流出パイプ2に取り込まれ、気相冷媒流出パイプ2内を矢印方向に流出する。
【0027】
また、気液二相冷媒の旋回流の遠心力分離作用で分離せず、気相冷媒中に残留する液滴はエリミネータ5を通過するとき、エリミネータ5に捕捉される。このエリミネータ5に捕捉された液滴は、エリミネータ5の下部に設けられた液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちる。これにより、エリミネータ5で捕捉した液滴が、軸心に近く速い上昇流の気相冷媒に再度取り込まれ、液滴が含まれる気相冷媒が気相冷媒流出パイプ2から流出するという不都合がなくなり、エリミネータ5で捕捉された液滴は本体容器4の底部4cの液溜領域に流れ落ちる。
【0028】
このようにして、エリミネータ5で捕捉された液滴は、エリミネータ5の下部に設けられた液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちることにより、エリミネータ5で捕捉した液滴の再飛散を防止し、気液二相冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分離する分離効率を向上させた気液分離器を提供することが可能となる。
(実施の形態2)
図4は、本発明に係る気液分離器の実施の形態2の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。なお、実施の形態1と同一構成に関しては同一符号を用いる。
【0029】
実施の形態1の気液分離器では、気液二相冷媒流入パイプ1の冷媒吐出口1aから、本体容器4内を周方向に流入するように案内された気液二相冷媒の旋回流の遠心力分離作用で分離せず、気相冷媒中に残留する液滴はエリミネータ5を通過するとき、エリミネータ5に捕捉される。このエリミネータ5に捕捉された液滴は、エリミネータ5の下部に設けられた液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちる。
【0030】
これにより、エリミネータ5で捕捉した液滴が、軸心に近く速い上昇流の気相冷媒に再度取り込まれ、液滴が含まれる気相冷媒が気相冷媒流出パイプ2から流出するという不都合がなくなり、エリミネータ5で捕捉された液滴は本体容器4の底部4cの液溜領域に流れ落ちるようにしているが、実施の形態2の気液分離器では、エリミネータ5と液滴流下ガイド6とを縦方向の接続体7を用いて接続するようにしている。
【0031】
このように、実施の形態2の構成によっても、エリミネータ5で捕捉された液滴が接続体7を介して液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちることにより、エリミネータ5で捕捉した液滴が、軸心に近く速い上昇流の気相冷媒に再度取り込まれ、液滴が含まれる気相冷媒が気相冷媒流出パイプ2から流出するという不都合がなくなり、エリミネータ5で捕捉された液滴は本体容器4の底部4cの液溜領域に流れ落ちる。
【0032】
このようにして、エリミネータ5で捕捉された液滴は、接続体7を介して液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちることにより、エリミネータ5で捕捉した液滴の再飛散を防止し、気液二相冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分離する分離効率を向上させた気液分離器を提供することが可能となる。
(実施の形態3)
図5は、本発明に係る気液分離器の実施の形態3の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。なお、実施の形態1と同一構成に関しては同一符号を用いる。
【0033】
実施の形態1の気液分離器では、気液二相冷媒流入パイプ1の冷媒吐出口1aから、本体容器4内を周方向に流入するように案内された気液二相冷媒の旋回流の遠心力分離作用で分離せず、気相冷媒中に残留する液滴はエリミネータ5を通過するとき、エリミネータ5に捕捉される。このエリミネータ5に捕捉された液滴は、エリミネータ5の下部に設けられた液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちる。
【0034】
これにより、エリミネータ5で捕捉した液滴が、軸心に近く速い上昇流の気相冷媒に再度取り込まれ、液滴が含まれる気相冷媒が気相冷媒流出パイプ2から流出するという不都合がなくなり、エリミネータ5で捕捉された液滴は本体容器4の底部4cの液溜領域に流れ落ちるようにしているが、実施の形態3の気液分離器では、液滴捕捉装置として、ステンレス鋼等の耐浸食性細線の織物や編み物で作ったメッシュ部材8を用いるようにしている。
【0035】
このように、実施の形態3の構成によっても、メッシュ部材8で捕捉された液滴が、メッシュ部材8の下部に設けられた液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちることにより、メッシュ部材8で捕捉した液滴が、軸心に近く速い上昇流の気相冷媒に再度取り込まれ、液滴が含まれる気相冷媒が気相冷媒流出パイプ2から流出するという不都合がなくなり、メッシュ部材8で捕捉された液滴は本体容器4の底部4cの液溜領域に流れ落ちる。
【0036】
このようにして、メッシュ部材8で捕捉された液滴は、メッシュ部材8の下部に設けられた液滴流下ガイド6の傾斜している面で重力により導かれ、上昇流の遅い胴部4b側壁方向に速やかに流下し、胴部4b側壁面を伝わって底部4cの液溜領域に流れ落ちることにより、メッシュ部材8で捕捉した液滴の再飛散を防止し、気液二相冷媒を気相冷媒と液相冷媒に分離する分離効率を向上させた気液分離器を提供することが可能となる。
【0037】
なお、液滴捕捉装置としてエリミネータ、およびメッシュ部材を使用した実施の形態で説明しているが、液滴捕捉装置としてデミスターを用いても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 気液二相冷媒流入パイプ(気液混相体流入パイプ)
2 気相冷媒流出パイプ(気体流出パイプ)
3 液相冷媒流出パイプ(液体流出パイプ)
4 本体容器
4a 頂部
4b 胴部
4c 底部
5 エリミネータ(液滴捕捉装置)
6 液滴流下ガイド
7 接続体
8 メッシュ部材(液滴捕捉装置)
9 液滴捕捉装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液混相体を気体と液体に分離する気液分離器において、
頂部、底部およびその間を連結する中空円筒型の胴部からなる本体容器と、
前記胴部の上方側面に取付けられて、該胴部の接線方向から前記本体容器内に前記気液混相体を流入させて旋回流とする気液混相体流入パイプと、
前記旋回流の遠心力分離作用で、前記気液混相体から分離されて前記胴部内を上昇する前記気体に残留する液滴を捕捉する液滴捕捉装置と、
前記液滴捕捉装置の下部に設けられ、該液滴捕捉装置で捕捉した前記液滴を前記胴部側壁方向に流下させる液滴流下ガイドと、
前記頂部から前記胴部の軸心方向に装入されて、前記分離された気体を流出させる気体流出パイプと、
前記底部の下方側面に取付けられて、前記分離された液体を流出させる液体流出パイプと、を具備することを特徴とする気液分離器。
【請求項2】
前記液滴捕捉装置と前記液滴流下ガイドとを縦方向の接続体を用いて接続することを特徴とする請求項1に記載の気液分離器。
【請求項3】
前記液滴捕捉装置は、複数の開口、あるいは、複数のスリット状の開口を有するエリミネータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気液分離器。
【請求項4】
前記液滴捕捉装置は、ステンレス鋼等の耐浸食性細線の織物や編み物で作ったメッシュ部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気液分離器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−241963(P2012−241963A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111524(P2011−111524)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)