気液分離装置及び気液分離装置を備えた冷凍装置
【課題】狭小空間での表面張力効果を利用して気液二相流を気相と液相に分離する気液分離装置のより一層の高性能化、小型化、それに冷凍サイクル中への組み込みを容易にした気液分離装置を提供することを目的とする。
【解決手段】気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は 気液分離装置を構成する筒状外郭容器の上方側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器の内径を小さくする壁部材を設けたことを特徴とする気液分離装置。
【解決手段】気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は 気液分離装置を構成する筒状外郭容器の上方側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器の内径を小さくする壁部材を設けたことを特徴とする気液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば冷凍サイクルや蒸気サイクル等の熱機関の気液分離装置及びオイルセパレータに関し、詳細には、より一層の高性能化並びに小型化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍サイクルで使用される気液分離装置及びオイルセパレータとしては、重力によって液あるいは油を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液あるいは油を外壁に付着させた後に重力によって液あるいは油を回収する気液分離装置及びオイルセパレータが用いられている。
【0003】
かかる構成の気液分離装置及びオイルセパレータでは、基本的に重力や遠心力などの体積によって密度の大きい液相を分離する構造となっている。
このため、タンクや旋回流発生装置を用いるため大型の装置となっている上、気液分離装置の設置位置や向きに自由度が少ない。更には気液を効率良く分離する手段が示されていないものであった。
【0004】
そこで、先に出願人らは前記した課題を解決すべく、溝内で表面張力の作用により液相を溝に付着させて流すことで、気液分離装置をより高性能化並びに小型化することを目的とする発明の特許を出願した。
【0005】
以下図面を参照しながら特許出願した発明の内容を説明する。
図13は特許出願した気液分離装置を示す断面図であり、図14は図13のC−C断面図である。
図に於いて、31は気液分離装置、32は上記気液分離装置31の外郭を構成する外郭容器、この外郭容器32は直径が50mm前後の円筒状の筒体である。そして内部に入り口仕切り体33、溝付き体34等を有している。
【0006】
35は気相出口管であり、36は二相流入口管、37液相出口管を示す。而して、気相出口管35、液相出口管37は円筒状の筒体の端部に図の如く設けられている。
そして、二相流入口管36は小型化を狙って気相出口管35が設けられている側の円筒状の筒体上端部近くの側部に設けられている。
この二相流入口管36は、円筒状の筒体の内面に気液二相流の冷媒を吹き付け筒体の内面を旋回させながら狭小空間38に至るようにしている。
【0007】
狭小空間38に至った気液二相流の液相は表面張力を利用し溝付き体34内を流れ液溜め39に、気相は気相分離室40に溜る。
液溜め39に溜った液は液相出口管37より、又気相分離室40に溜った気相は気相出口管35よりそれぞれ所定の所に導かれる構造である。
【特許文献1】特許出願2008〜38034号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では次の如き課題があった。
即ち、気液二相流入口管36を外郭容器32の側部に設けた気液分離装置31であった場合吹き出された二相流の気液は狭小空間38と気液二相流入口管36間(距離H寸法)を吹き出されたままのかたまりで内壁を旋回して移動して行く為に、溝付き体34の全体を使うことなく部分的となり該溝付き体34が有効に活用されず効率の良い気液分離が出来ないと言う課題があった。
これは気液分離装置を小さく作ろうとする為に先のH寸法を小さく作る結果生じる課題であった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は小型化を継続しながら効率の良い気液分離装置31を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる課題を解決するため第1に、気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は 気液分離装置を構成する筒状外郭容器の上方側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器の内径を小さくする壁部材を設けた構成とした。
【0011】
かかる構成によると、二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は壁部材に勢い良く衝突することとなる。
即ち、吹き出された気液二相流は入り口管を出てすぐに壁部材にぶつかり勢い良くはねかえり、衝突を繰り返す。そして最後には外郭容器の内周全体に分散され狭小空間に向かうこととなる。
このことにより従来のH寸法であっても溝付き体の溝全体が使われることとなり気液二相流は効率良く気液に分離される。これと同時に、気液分離装置の小型化が図れるものである。
【0012】
本発明はかかる課題を解決するため第2に、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けた構成にした。
【0013】
かかる構成によると、二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は二相流入り口管に対向する部分に衝突し内壁一杯に広がり狭小空間に向かうようになる。このことにより先に記載した効果が得られる他、外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので、特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利となる。
【0014】
本発明はかかる課題を解決するため第3に、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けると共に、該小外郭容器を貫通して気相出口管を筒状外郭容器の外に導出する構成にした。
【0015】
かかる構成によると、外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利なものとなる。
更に、気相出口管で小外郭容器内の容積を減らし吹き出される気液のスピードを落とすことなく気液二相流を分散化できるので効率の良い気液分離装置となる。尚、外郭容器に比べ小外郭容器の内径を小さくするとしたが、その比率は固定されるものでなく、吹き出される冷媒を受ける部分の形状、圧力、及び冷媒流量等により上記比率は変更しても良い。
【0016】
本発明はかかる課題を解決するため第4に、筒状外郭容器の上流側上端部に該外郭容器の内径の1/2以下に設定された穴及び通し孔を有する円筒部材を嵌合して壁部材とすると共に、上記円筒部材の側部の通し孔を利用して二相流入り口管を通し中央の穴を通して気相出口管を通した構成にした。
【0017】
かかる構成によると、通し孔を有する円筒部材を従来からある外郭容器内に嵌合することにより特別な加工を施すことなく効率の良い気液分離装置を得ることが出来るものである。
【0018】
本発明はかかる課題を解決した気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に設けた冷凍装置とした。
【0019】
本発明の気液分離装置を冷凍装置に組み込むことにより設置位置や、取り付け時の向きに制約されない効率の良い気液分離装置を備えた冷凍装置が得られるものである。
【発明の効果】
【0020】
従来の如く、気液分離装置の組み込み時の制約或いは取扱い上の制約を受けることなく、二相流入り口管より吹き出された気液二相流を狭小空間にほぼ均一に送りこむことが出来る。
従って、機器を大型化することなく効率の良い気液分離装置、更には、これを組み込んだ冷凍装置が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
【実施の形態1】
【0022】
図1は本発明を備えた第一の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図2は図1に示す気液分離装置のA−A断面図であり、図3は図2に示す溝付き体の展開斜視図である。
【0023】
図に於いて、1は冷凍サイクル中等に組み込まれる気液分離装置、2は気液分離装置1を構成する外郭容器、この外郭容器2は筒体3と上蓋体3a、下蓋体3b等より構成されている。そして上記外郭容器2内に液相出口管7に向かう溝4を有する溝付き体5が設けられており、溝付き体5の上流には入口仕切体10が設けられ、気液分離室6を構成している。溝付き体5は図3に示すように薄板を折り曲げ溝4を構成し、これをまるめて図2に示すように外郭容器2に挿入している。
【0024】
13は筒状の小外郭容器であり、先の外郭容器2の上蓋体3a部に図に示す如く取り付けられている。
この小外郭容器13の側部に先の二相流入り口管9が取り付けられる。又気相出口管8は該小外郭容器13の中心を貫通する形で取り付けられている。
又、この気相出口管8は先の入口仕切体10に取り付けられ、気液分離室6に溜る気相を外郭容器2外に導出する。
【0025】
14は液留めであり、先の液相出口管7はここに溜る液を外郭容器2外に導出する役目をなす。
又上記小外郭容器13と外郭容器2の径の違いは、例えば外郭容器2の直径を30mmとした場合、その半分の15mmとするものである。又、この時の二相流入り口管9の外径は6mm〜7mmである。
尚本気液分離装置1の持つ気液分離作用等は先にかかげた特許出願2008〜38034号と同じである為、説明は省略する。
【0026】
図に於いて特徴的なのは、先づ二相流入り口管9と狭小空間12までの距離H寸法が従来図13で説明したH寸法とほぼ同等である点である。
本発明の如く、入り口仕切体10下方に気液分離室6を構成するものにあっては、構造上、気相出口管8を該入り口仕切体10の中心に設けるのが合理的となる。若し二相流入り口管9と入れ換えると気相出口管8を直管とすることが出来ないと云うことである。
従って、二相流入り口管9が図の如く小外郭容器13側部に設けられる結果となる。
【0027】
この為本発明に於いては、二相流入り口管9を小外郭容器13の側部に設けたものである。又二相流入り口管9より吹き出された二相流気液が勢いのある間に対向する壁面に衝突させ、狭小空間12に入る気液を均一化させるようにしたものである。
具体的には二相流入り口管9に対向する部分に二相流入り口管9までの距離を小さくすべく外郭容器2に比較して、径の小さい小外郭容器13を設け、この小外郭容器13側部に二相流入り口管9を設けたものである。尚、外郭容器に比べ小外郭容器の内径を小さくするとしたが、その比率は固定されるものでなく、吹き出される冷媒を受ける部分の形状、圧力、及び冷媒流量等により上記比率は変更しても良い。
【0028】
かかる構成を有する気液分離装置であると二相流入り口管9より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は図13に比較しぶつかるまでの距離が短くなる分、壁部材に勢い良く衝突することとなる。
即ち、吹き出された気液二相流は入り口管9を出てすぐに壁部材にぶつかり勢い良くはねかえり、衝突を繰り返す。そして最後には外郭容器2の内周全体に分散され狭小空間12に向かうものである。
このことにより従来のH寸法であっても溝付き体5の溝4全体を使うことが出来るので気液二相流は効率良く気相と液相に分離される。これと同時に気液分離装置1の小型化が図れるものである。
【0029】
実施の形態2〜7に付いて、
図4は本発明を備えた第二の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図5は本発明を備えた第三の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図6は本発明を備えた第四の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図7は本発明を備えた第五の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図8は本発明を備えた第六の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図9は本発明を備えた第七の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【0030】
先ず図4に於いて、
この実施の形態2の特徴とする所は、外郭容器2の作り方と、実施の形態1で説明した小外郭容器13が作る壁部材15の作り方の違いである。
即ち、図4に示す外郭容器2は筒体3の上部に上蓋体3a、下部に下蓋体3bを有するものであるが、下蓋体3bは平板状のものでなく縮管部16、及び曲部17を有す椀状とした点である。勿論上記縮管部16に液相出口管7が取り付けられている。
【0031】
又、壁部材15は、筒体3を実施の形態1より長く作り、上蓋体3aに合わせて円筒部材18を嵌合し、この円筒部材18の嵌合された部分を小外郭容器13に相当する壁部材15としたものである。気相出口管8は、この円筒部材18が持つ穴18aを貫通し、二相流入り口管9は通し孔18bを利用し、筒体3の側部に図に示すように取り付けられている。
この時H寸法及び穴18aの直径は実施の形態1の外郭容器2、小外郭容器13、二相流入り口管9等の寸法及び直径に合わせておく。
【0032】
かかる構成とすることにより、通し孔18bを有する円筒部材18を従来からある外郭容器2内に嵌合することにより、特別小外郭容器13を作らなくても効率の良い気液分離装置を得ることが出来るものである。
【0033】
次に図5に於いて
この実施の形態3の特徴とする所は、実施の形態1,2と異なり上蓋体3aで小外郭容器13を作り、更にこの小外郭容器13を外郭容器2と一体に作った点であり、他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0034】
次に図6に於いて
この実施の形態4の特徴とする所は、実施の形態3の気相出口管8と入口仕切り体10を一体物で作った点であり他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0035】
次に図7に於いて
この実施の形態5の特徴とする所は、実施の形態4の小外郭容器13の形状を気液が流れ易い形状とした点であり、他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0036】
次に図8に於いて
この実施の形態6の特徴とする所は、実施の形態3の小外郭容器13を上蓋体3aで作ったもので他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0037】
次に図9に於いて
この実施の形態7の特徴とする所は、実施の形態1の下蓋体3bを平板でなく、実施の形態2同様椀状に作ったものであり、他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0038】
実施の形態8に付いて、
図10は本発明を備えた実施の形態8の気液分離装置1を示す断面図である。
図10に示す気液分離装置1は先に説明した実施の形態とは異なり外郭容器2に、壁部材15を設けたものではない。
このものは二相流の気液を壁部材15に衝突させることにより均一にさせるのではなく、入口仕切り体10の上部に受け板19を設け外郭容器2内に吹き出された二相流の気液を一旦この受け板19で受け、オーバーフローしたものを、入口仕切り体10に入れるようにして分散させたものである。
【0039】
即ち、気液のかたまりとなって上記受け板19に至る二相流の気液は一旦ここで受け止められ、この受け板19により作られた気液溜めに溜まり、その気液溜めをオーバーフローしたものが入り口仕切り体10側に流れる。
これにより先の二相流の気液は狭小空間12に均一に分散され入るものである。
換言すると、上記により先に説明した壁部材15と同様の役目を本実施の形態に於いても得られるものである。
【0040】
実施の形態9に付いて
図11は本発明を備えた気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の冷凍サイクルの構成図である。
図11をもって、上記した気液分離装置1を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクル構成を説明する。図11に示した冷凍サイクル構成図には本実施の形態を説明するために必要な基本的要素をしめしている。
【0041】
即ち、圧縮機20は第一のシリンダ21と第二のシリンダ22を有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ21と第二のシリンダ22で二段に圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管23を経て、凝縮器24で凝縮器用送風機25で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。液冷媒は第一の減圧器26で減圧され二相流となり、二相流入り口管9から気液分離装置1に流入し、液相冷媒は液相出口管7から出た後、第二の減圧器27に入り蒸発器用送風機29で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機20に吸い込まれる。
【0042】
一方、気液分離装置1で分離された気相冷媒は気相出口管8から第二のシリンダ22吸い込まれるため、気液分離装置1で分離された蒸発に寄与しない気相冷媒は第一のシリンダ21で圧縮する必要が無く、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【0043】
実施の形態10に付いて
図12は図11とは異なる冷凍サイクルに本発明を備えた気液分離装置を使用した第二の冷凍サイクルに冷凍サイクル構成図である。
図12は、上記した気液分離装置1を冷凍サイクルに使用した場合の第二の冷凍サイクル構成図である。図12に示した冷凍サイクル構成図には本実施の形態を説明するために必要な基本的構成要素をしめしている。
【0044】
即ち、圧縮機20は第一のシリンダ21のみを有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ21で圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管23を経て、凝縮器24で凝縮器用送風機25で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。液冷媒は第一の減圧器26で減圧され二相流となり、二相流入り口管9から気液分離装置1に流入し、液相冷媒は液相出口管7から蒸発器28に入り蒸発器用送風機29で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機20に吸い込まれる。
一方、気液分離装置1で分離された気相冷媒は気相出口管8から蒸発器バイパス管30を経て圧縮機20に吸い込まれる。
【0045】
気液分離装置1を用いない場合には、減圧器26で減圧された二相流の気相冷媒も蒸発器28に流入する為、特に、蒸発器用送風機29で送られる空気温度が低い場合には蒸発圧力が低下し、気相冷媒の密度は小さくなり体積流量が大きくなるため、蒸発器28での圧力損失が大きく蒸発器28の出口圧力、即ち、圧縮機吸込み圧力が低下するため、圧縮動力が増大し、高効率な運転ができなくなる。
それに対して、本実施例で示したように気液分離装置1を設け、分離された気相冷媒を気相出口管8から蒸発器バイパス管30を経て圧縮機20に吸い込ませることにより、蒸発に寄与しない気相冷媒は蒸発器28に流入しないため蒸発器28での圧力損失を抑えることができ、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【0046】
従来、冷凍サイクルで使用される気液分離装置1としては、重力によって液を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液相を外壁に付着させた後に重力によって液を回収する気液分離装置1が用いられていたが、かかる構成の気液分離装置1では、基本的に重力や遠心力などの体積力によって密度の大きい液相を分離する構造となっているため、気液分離装置1の設置位置や向きに自由度が少ない上、タンクや旋回流発生装置を用いるため、大型の装置となっていたが、本発明の気液分離装置1を使用することにより、小型で、設置位置や向きの自由度が大きい効果を発揮しながら、高効率な運転を可能にできる。
尚図11、図12で説明した冷凍サイクルに気液分離装置1を組み込むに当たり、取り付け具(図示せず)等をもって二相流入り口管9が上方に位置するよう機器本体に固定しておくのが良策であることは言うまでもない。
【0047】
本発明は以上説明した如き構成を有するものであるから、次の如き効果が得られるものである。
即ち、気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は 気液分離装置を構成する筒状外郭容器の側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器内の内径を小さくする壁部材を設けたものであるから、二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は壁部材に勢い良く衝突することとなる。
即ち、吹き出された気液二相流は入り口管を出てすぐに壁部材にぶつかり勢い良くはねかえり、衝突を繰り返す。そして最後には外郭容器の内周全体に分散し狭小空間に向かうこととなる。
このことにより従来のH寸法であっても溝付き体の溝全体が使われることとなり気液二相流は効率良く気液に分離される。これと同時に、気液分離装置の小型化が図れるものである。
【0048】
また、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けたものであるから二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は二相流入り口管に対向する部分に衝突し内壁一杯に広がり狭小空間に向かうようになる。このことにより先に記載した効果が得られる他、外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので、特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利となる。
【0049】
また、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けると共に、該小外郭容器を貫通して気相出口管を筒状外郭容器の外に導出する構成としたものであるから外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利なものとなる。
更に、気相出口管で小外郭容器内の容積を減らし二相流入り口管より吹き出される気液二相流を分散化しやすくできるので効率の良い気液分離装置となる。
【0050】
また、筒状外郭容器の上流側上端部に該外郭容器の内径の略1/2以下に設定された穴及び通し孔を有する円筒部材を嵌合して壁部材とする共に、上記円筒部材の側部の通し孔を利用して二相流入り口管を通し中央の穴を通して気相出口管を通した構成にしたので、通し孔を有する円筒部材を従来からある外郭容器内に嵌合することにより特別な加工を施すことなく効率の良い気液分離装置を得ることが出来るものである。
【0051】
また、先に説明した気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に設けた気液分離装置を備えた冷凍装置としたものであるから、取り付け時の向き等に制約されない効率の良い気液分離装置を備えた冷凍装置が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を備えた第一の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す気液分離装置のA−A断面図である。
【図3】図2に示す溝付き体の展開斜視図である。
【図4】本発明を備えた第二の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図5】本発明を備えた第三の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図6】本発明を備えた第四の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図7】本発明を備えた第五の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図8】本発明を備えた第六の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図9】本発明を備えた第七の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図10】本発明を備えた第八の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図11】本発明を備えた気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクルの構成図である。
【図12】図11とは異なる冷凍サイクルに本発明を備えた気液分離装置を使用した第二の冷凍サイクル構成図である。
【図13】従来の気液分離装置を示す断面図である。
【図14】図13のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 気液分離装置
2 外郭容器
3 筒体 3a 上蓋体 3b 下蓋体
4 溝
5 溝付き体
6 気液分離室
7 液相出口管
8 気相出口管
9 二相流入り口管
10 入り口仕切り体
11 出口仕切り体
12 狭小空間
13 小外郭容器
14 液溜め
15 壁部材
16 縮管部
17 曲部
18 円筒部材 18a 穴 18b 通し孔
19 受け板
20 圧縮機
21 第一のシリンダ
22 第二のシリンダ
23 冷媒吐出管
24 凝縮器
25 凝縮器用送風機
26 第一の減圧器
27 第二の減圧器
28 蒸発器
29 蒸発器用送風機
30 バイパス管
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば冷凍サイクルや蒸気サイクル等の熱機関の気液分離装置及びオイルセパレータに関し、詳細には、より一層の高性能化並びに小型化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍サイクルで使用される気液分離装置及びオイルセパレータとしては、重力によって液あるいは油を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液あるいは油を外壁に付着させた後に重力によって液あるいは油を回収する気液分離装置及びオイルセパレータが用いられている。
【0003】
かかる構成の気液分離装置及びオイルセパレータでは、基本的に重力や遠心力などの体積によって密度の大きい液相を分離する構造となっている。
このため、タンクや旋回流発生装置を用いるため大型の装置となっている上、気液分離装置の設置位置や向きに自由度が少ない。更には気液を効率良く分離する手段が示されていないものであった。
【0004】
そこで、先に出願人らは前記した課題を解決すべく、溝内で表面張力の作用により液相を溝に付着させて流すことで、気液分離装置をより高性能化並びに小型化することを目的とする発明の特許を出願した。
【0005】
以下図面を参照しながら特許出願した発明の内容を説明する。
図13は特許出願した気液分離装置を示す断面図であり、図14は図13のC−C断面図である。
図に於いて、31は気液分離装置、32は上記気液分離装置31の外郭を構成する外郭容器、この外郭容器32は直径が50mm前後の円筒状の筒体である。そして内部に入り口仕切り体33、溝付き体34等を有している。
【0006】
35は気相出口管であり、36は二相流入口管、37液相出口管を示す。而して、気相出口管35、液相出口管37は円筒状の筒体の端部に図の如く設けられている。
そして、二相流入口管36は小型化を狙って気相出口管35が設けられている側の円筒状の筒体上端部近くの側部に設けられている。
この二相流入口管36は、円筒状の筒体の内面に気液二相流の冷媒を吹き付け筒体の内面を旋回させながら狭小空間38に至るようにしている。
【0007】
狭小空間38に至った気液二相流の液相は表面張力を利用し溝付き体34内を流れ液溜め39に、気相は気相分離室40に溜る。
液溜め39に溜った液は液相出口管37より、又気相分離室40に溜った気相は気相出口管35よりそれぞれ所定の所に導かれる構造である。
【特許文献1】特許出願2008〜38034号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では次の如き課題があった。
即ち、気液二相流入口管36を外郭容器32の側部に設けた気液分離装置31であった場合吹き出された二相流の気液は狭小空間38と気液二相流入口管36間(距離H寸法)を吹き出されたままのかたまりで内壁を旋回して移動して行く為に、溝付き体34の全体を使うことなく部分的となり該溝付き体34が有効に活用されず効率の良い気液分離が出来ないと言う課題があった。
これは気液分離装置を小さく作ろうとする為に先のH寸法を小さく作る結果生じる課題であった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は小型化を継続しながら効率の良い気液分離装置31を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる課題を解決するため第1に、気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は 気液分離装置を構成する筒状外郭容器の上方側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器の内径を小さくする壁部材を設けた構成とした。
【0011】
かかる構成によると、二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は壁部材に勢い良く衝突することとなる。
即ち、吹き出された気液二相流は入り口管を出てすぐに壁部材にぶつかり勢い良くはねかえり、衝突を繰り返す。そして最後には外郭容器の内周全体に分散され狭小空間に向かうこととなる。
このことにより従来のH寸法であっても溝付き体の溝全体が使われることとなり気液二相流は効率良く気液に分離される。これと同時に、気液分離装置の小型化が図れるものである。
【0012】
本発明はかかる課題を解決するため第2に、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けた構成にした。
【0013】
かかる構成によると、二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は二相流入り口管に対向する部分に衝突し内壁一杯に広がり狭小空間に向かうようになる。このことにより先に記載した効果が得られる他、外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので、特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利となる。
【0014】
本発明はかかる課題を解決するため第3に、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けると共に、該小外郭容器を貫通して気相出口管を筒状外郭容器の外に導出する構成にした。
【0015】
かかる構成によると、外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利なものとなる。
更に、気相出口管で小外郭容器内の容積を減らし吹き出される気液のスピードを落とすことなく気液二相流を分散化できるので効率の良い気液分離装置となる。尚、外郭容器に比べ小外郭容器の内径を小さくするとしたが、その比率は固定されるものでなく、吹き出される冷媒を受ける部分の形状、圧力、及び冷媒流量等により上記比率は変更しても良い。
【0016】
本発明はかかる課題を解決するため第4に、筒状外郭容器の上流側上端部に該外郭容器の内径の1/2以下に設定された穴及び通し孔を有する円筒部材を嵌合して壁部材とすると共に、上記円筒部材の側部の通し孔を利用して二相流入り口管を通し中央の穴を通して気相出口管を通した構成にした。
【0017】
かかる構成によると、通し孔を有する円筒部材を従来からある外郭容器内に嵌合することにより特別な加工を施すことなく効率の良い気液分離装置を得ることが出来るものである。
【0018】
本発明はかかる課題を解決した気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に設けた冷凍装置とした。
【0019】
本発明の気液分離装置を冷凍装置に組み込むことにより設置位置や、取り付け時の向きに制約されない効率の良い気液分離装置を備えた冷凍装置が得られるものである。
【発明の効果】
【0020】
従来の如く、気液分離装置の組み込み時の制約或いは取扱い上の制約を受けることなく、二相流入り口管より吹き出された気液二相流を狭小空間にほぼ均一に送りこむことが出来る。
従って、機器を大型化することなく効率の良い気液分離装置、更には、これを組み込んだ冷凍装置が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
【実施の形態1】
【0022】
図1は本発明を備えた第一の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図2は図1に示す気液分離装置のA−A断面図であり、図3は図2に示す溝付き体の展開斜視図である。
【0023】
図に於いて、1は冷凍サイクル中等に組み込まれる気液分離装置、2は気液分離装置1を構成する外郭容器、この外郭容器2は筒体3と上蓋体3a、下蓋体3b等より構成されている。そして上記外郭容器2内に液相出口管7に向かう溝4を有する溝付き体5が設けられており、溝付き体5の上流には入口仕切体10が設けられ、気液分離室6を構成している。溝付き体5は図3に示すように薄板を折り曲げ溝4を構成し、これをまるめて図2に示すように外郭容器2に挿入している。
【0024】
13は筒状の小外郭容器であり、先の外郭容器2の上蓋体3a部に図に示す如く取り付けられている。
この小外郭容器13の側部に先の二相流入り口管9が取り付けられる。又気相出口管8は該小外郭容器13の中心を貫通する形で取り付けられている。
又、この気相出口管8は先の入口仕切体10に取り付けられ、気液分離室6に溜る気相を外郭容器2外に導出する。
【0025】
14は液留めであり、先の液相出口管7はここに溜る液を外郭容器2外に導出する役目をなす。
又上記小外郭容器13と外郭容器2の径の違いは、例えば外郭容器2の直径を30mmとした場合、その半分の15mmとするものである。又、この時の二相流入り口管9の外径は6mm〜7mmである。
尚本気液分離装置1の持つ気液分離作用等は先にかかげた特許出願2008〜38034号と同じである為、説明は省略する。
【0026】
図に於いて特徴的なのは、先づ二相流入り口管9と狭小空間12までの距離H寸法が従来図13で説明したH寸法とほぼ同等である点である。
本発明の如く、入り口仕切体10下方に気液分離室6を構成するものにあっては、構造上、気相出口管8を該入り口仕切体10の中心に設けるのが合理的となる。若し二相流入り口管9と入れ換えると気相出口管8を直管とすることが出来ないと云うことである。
従って、二相流入り口管9が図の如く小外郭容器13側部に設けられる結果となる。
【0027】
この為本発明に於いては、二相流入り口管9を小外郭容器13の側部に設けたものである。又二相流入り口管9より吹き出された二相流気液が勢いのある間に対向する壁面に衝突させ、狭小空間12に入る気液を均一化させるようにしたものである。
具体的には二相流入り口管9に対向する部分に二相流入り口管9までの距離を小さくすべく外郭容器2に比較して、径の小さい小外郭容器13を設け、この小外郭容器13側部に二相流入り口管9を設けたものである。尚、外郭容器に比べ小外郭容器の内径を小さくするとしたが、その比率は固定されるものでなく、吹き出される冷媒を受ける部分の形状、圧力、及び冷媒流量等により上記比率は変更しても良い。
【0028】
かかる構成を有する気液分離装置であると二相流入り口管9より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は図13に比較しぶつかるまでの距離が短くなる分、壁部材に勢い良く衝突することとなる。
即ち、吹き出された気液二相流は入り口管9を出てすぐに壁部材にぶつかり勢い良くはねかえり、衝突を繰り返す。そして最後には外郭容器2の内周全体に分散され狭小空間12に向かうものである。
このことにより従来のH寸法であっても溝付き体5の溝4全体を使うことが出来るので気液二相流は効率良く気相と液相に分離される。これと同時に気液分離装置1の小型化が図れるものである。
【0029】
実施の形態2〜7に付いて、
図4は本発明を備えた第二の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図5は本発明を備えた第三の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図6は本発明を備えた第四の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図7は本発明を備えた第五の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図8は本発明を備えた第六の実施の形態の気液分離装置を示す断面図であり、図9は本発明を備えた第七の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【0030】
先ず図4に於いて、
この実施の形態2の特徴とする所は、外郭容器2の作り方と、実施の形態1で説明した小外郭容器13が作る壁部材15の作り方の違いである。
即ち、図4に示す外郭容器2は筒体3の上部に上蓋体3a、下部に下蓋体3bを有するものであるが、下蓋体3bは平板状のものでなく縮管部16、及び曲部17を有す椀状とした点である。勿論上記縮管部16に液相出口管7が取り付けられている。
【0031】
又、壁部材15は、筒体3を実施の形態1より長く作り、上蓋体3aに合わせて円筒部材18を嵌合し、この円筒部材18の嵌合された部分を小外郭容器13に相当する壁部材15としたものである。気相出口管8は、この円筒部材18が持つ穴18aを貫通し、二相流入り口管9は通し孔18bを利用し、筒体3の側部に図に示すように取り付けられている。
この時H寸法及び穴18aの直径は実施の形態1の外郭容器2、小外郭容器13、二相流入り口管9等の寸法及び直径に合わせておく。
【0032】
かかる構成とすることにより、通し孔18bを有する円筒部材18を従来からある外郭容器2内に嵌合することにより、特別小外郭容器13を作らなくても効率の良い気液分離装置を得ることが出来るものである。
【0033】
次に図5に於いて
この実施の形態3の特徴とする所は、実施の形態1,2と異なり上蓋体3aで小外郭容器13を作り、更にこの小外郭容器13を外郭容器2と一体に作った点であり、他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0034】
次に図6に於いて
この実施の形態4の特徴とする所は、実施の形態3の気相出口管8と入口仕切り体10を一体物で作った点であり他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0035】
次に図7に於いて
この実施の形態5の特徴とする所は、実施の形態4の小外郭容器13の形状を気液が流れ易い形状とした点であり、他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0036】
次に図8に於いて
この実施の形態6の特徴とする所は、実施の形態3の小外郭容器13を上蓋体3aで作ったもので他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0037】
次に図9に於いて
この実施の形態7の特徴とする所は、実施の形態1の下蓋体3bを平板でなく、実施の形態2同様椀状に作ったものであり、他は実施の形態1,2と同じように作られている。
【0038】
実施の形態8に付いて、
図10は本発明を備えた実施の形態8の気液分離装置1を示す断面図である。
図10に示す気液分離装置1は先に説明した実施の形態とは異なり外郭容器2に、壁部材15を設けたものではない。
このものは二相流の気液を壁部材15に衝突させることにより均一にさせるのではなく、入口仕切り体10の上部に受け板19を設け外郭容器2内に吹き出された二相流の気液を一旦この受け板19で受け、オーバーフローしたものを、入口仕切り体10に入れるようにして分散させたものである。
【0039】
即ち、気液のかたまりとなって上記受け板19に至る二相流の気液は一旦ここで受け止められ、この受け板19により作られた気液溜めに溜まり、その気液溜めをオーバーフローしたものが入り口仕切り体10側に流れる。
これにより先の二相流の気液は狭小空間12に均一に分散され入るものである。
換言すると、上記により先に説明した壁部材15と同様の役目を本実施の形態に於いても得られるものである。
【0040】
実施の形態9に付いて
図11は本発明を備えた気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の冷凍サイクルの構成図である。
図11をもって、上記した気液分離装置1を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクル構成を説明する。図11に示した冷凍サイクル構成図には本実施の形態を説明するために必要な基本的要素をしめしている。
【0041】
即ち、圧縮機20は第一のシリンダ21と第二のシリンダ22を有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ21と第二のシリンダ22で二段に圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管23を経て、凝縮器24で凝縮器用送風機25で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。液冷媒は第一の減圧器26で減圧され二相流となり、二相流入り口管9から気液分離装置1に流入し、液相冷媒は液相出口管7から出た後、第二の減圧器27に入り蒸発器用送風機29で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機20に吸い込まれる。
【0042】
一方、気液分離装置1で分離された気相冷媒は気相出口管8から第二のシリンダ22吸い込まれるため、気液分離装置1で分離された蒸発に寄与しない気相冷媒は第一のシリンダ21で圧縮する必要が無く、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【0043】
実施の形態10に付いて
図12は図11とは異なる冷凍サイクルに本発明を備えた気液分離装置を使用した第二の冷凍サイクルに冷凍サイクル構成図である。
図12は、上記した気液分離装置1を冷凍サイクルに使用した場合の第二の冷凍サイクル構成図である。図12に示した冷凍サイクル構成図には本実施の形態を説明するために必要な基本的構成要素をしめしている。
【0044】
即ち、圧縮機20は第一のシリンダ21のみを有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ21で圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管23を経て、凝縮器24で凝縮器用送風機25で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。液冷媒は第一の減圧器26で減圧され二相流となり、二相流入り口管9から気液分離装置1に流入し、液相冷媒は液相出口管7から蒸発器28に入り蒸発器用送風機29で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機20に吸い込まれる。
一方、気液分離装置1で分離された気相冷媒は気相出口管8から蒸発器バイパス管30を経て圧縮機20に吸い込まれる。
【0045】
気液分離装置1を用いない場合には、減圧器26で減圧された二相流の気相冷媒も蒸発器28に流入する為、特に、蒸発器用送風機29で送られる空気温度が低い場合には蒸発圧力が低下し、気相冷媒の密度は小さくなり体積流量が大きくなるため、蒸発器28での圧力損失が大きく蒸発器28の出口圧力、即ち、圧縮機吸込み圧力が低下するため、圧縮動力が増大し、高効率な運転ができなくなる。
それに対して、本実施例で示したように気液分離装置1を設け、分離された気相冷媒を気相出口管8から蒸発器バイパス管30を経て圧縮機20に吸い込ませることにより、蒸発に寄与しない気相冷媒は蒸発器28に流入しないため蒸発器28での圧力損失を抑えることができ、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【0046】
従来、冷凍サイクルで使用される気液分離装置1としては、重力によって液を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液相を外壁に付着させた後に重力によって液を回収する気液分離装置1が用いられていたが、かかる構成の気液分離装置1では、基本的に重力や遠心力などの体積力によって密度の大きい液相を分離する構造となっているため、気液分離装置1の設置位置や向きに自由度が少ない上、タンクや旋回流発生装置を用いるため、大型の装置となっていたが、本発明の気液分離装置1を使用することにより、小型で、設置位置や向きの自由度が大きい効果を発揮しながら、高効率な運転を可能にできる。
尚図11、図12で説明した冷凍サイクルに気液分離装置1を組み込むに当たり、取り付け具(図示せず)等をもって二相流入り口管9が上方に位置するよう機器本体に固定しておくのが良策であることは言うまでもない。
【0047】
本発明は以上説明した如き構成を有するものであるから、次の如き効果が得られるものである。
即ち、気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は 気液分離装置を構成する筒状外郭容器の側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器内の内径を小さくする壁部材を設けたものであるから、二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は壁部材に勢い良く衝突することとなる。
即ち、吹き出された気液二相流は入り口管を出てすぐに壁部材にぶつかり勢い良くはねかえり、衝突を繰り返す。そして最後には外郭容器の内周全体に分散し狭小空間に向かうこととなる。
このことにより従来のH寸法であっても溝付き体の溝全体が使われることとなり気液二相流は効率良く気液に分離される。これと同時に、気液分離装置の小型化が図れるものである。
【0048】
また、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けたものであるから二相流入り口管より気液分離装置内に吹き出された気液二相流は二相流入り口管に対向する部分に衝突し内壁一杯に広がり狭小空間に向かうようになる。このことにより先に記載した効果が得られる他、外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので、特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利となる。
【0049】
また、筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けると共に、該小外郭容器を貫通して気相出口管を筒状外郭容器の外に導出する構成としたものであるから外郭容器と一体に壁部材を作ることが出来るので特別な部品等を準備しなくても済み原価等の面で有利なものとなる。
更に、気相出口管で小外郭容器内の容積を減らし二相流入り口管より吹き出される気液二相流を分散化しやすくできるので効率の良い気液分離装置となる。
【0050】
また、筒状外郭容器の上流側上端部に該外郭容器の内径の略1/2以下に設定された穴及び通し孔を有する円筒部材を嵌合して壁部材とする共に、上記円筒部材の側部の通し孔を利用して二相流入り口管を通し中央の穴を通して気相出口管を通した構成にしたので、通し孔を有する円筒部材を従来からある外郭容器内に嵌合することにより特別な加工を施すことなく効率の良い気液分離装置を得ることが出来るものである。
【0051】
また、先に説明した気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に設けた気液分離装置を備えた冷凍装置としたものであるから、取り付け時の向き等に制約されない効率の良い気液分離装置を備えた冷凍装置が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を備えた第一の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す気液分離装置のA−A断面図である。
【図3】図2に示す溝付き体の展開斜視図である。
【図4】本発明を備えた第二の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図5】本発明を備えた第三の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図6】本発明を備えた第四の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図7】本発明を備えた第五の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図8】本発明を備えた第六の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図9】本発明を備えた第七の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図10】本発明を備えた第八の実施の形態の気液分離装置を示す断面図である。
【図11】本発明を備えた気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクルの構成図である。
【図12】図11とは異なる冷凍サイクルに本発明を備えた気液分離装置を使用した第二の冷凍サイクル構成図である。
【図13】従来の気液分離装置を示す断面図である。
【図14】図13のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 気液分離装置
2 外郭容器
3 筒体 3a 上蓋体 3b 下蓋体
4 溝
5 溝付き体
6 気液分離室
7 液相出口管
8 気相出口管
9 二相流入り口管
10 入り口仕切り体
11 出口仕切り体
12 狭小空間
13 小外郭容器
14 液溜め
15 壁部材
16 縮管部
17 曲部
18 円筒部材 18a 穴 18b 通し孔
19 受け板
20 圧縮機
21 第一のシリンダ
22 第二のシリンダ
23 冷媒吐出管
24 凝縮器
25 凝縮器用送風機
26 第一の減圧器
27 第二の減圧器
28 蒸発器
29 蒸発器用送風機
30 バイパス管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は気液分離装置を構成する筒状外郭容器の上方側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器の内径を小さくする壁部材を設けたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項3】
筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けると共に、該小外郭容器を貫通して気相出口管を筒状外郭容器の外に導出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項4】
筒状外郭容器の上流側上端部に上記外郭容器内径の略1/2以下に設定された穴及び通し孔を有する円筒部材を嵌合して壁部材とする共に、上記円筒部材の側部の通し孔を利用して二相流入り口管を通し、中央の穴を通して気相出口管を設けたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4に記載の気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に設けたことを特徴とする気液分離装置を備えた冷凍装置。
【請求項1】
気液分離室に液相出口管に向かう溝付き体を設け、その気液分離室の上流に入り口仕切り体を持って狭小空間を作ると共に、この入り口仕切り体の上流側に二相流入り口管を設け、その二相流入り口管より導かれた気液二相流を該狭小空間、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に、上記二相流入り口管は気液分離装置を構成する筒状外郭容器の上方側部に設け、その二相流入り口管に対向する部分に上記外郭容器の内径を小さくする壁部材を設けたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項3】
筒状外郭容器の上流側端部に小外郭容器を作り壁部材とし、この小外郭容器側部に二相流入り口管を設けると共に、該小外郭容器を貫通して気相出口管を筒状外郭容器の外に導出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項4】
筒状外郭容器の上流側上端部に上記外郭容器内径の略1/2以下に設定された穴及び通し孔を有する円筒部材を嵌合して壁部材とする共に、上記円筒部材の側部の通し孔を利用して二相流入り口管を通し、中央の穴を通して気相出口管を設けたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4に記載の気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に設けたことを特徴とする気液分離装置を備えた冷凍装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−185644(P2010−185644A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52645(P2009−52645)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(596083364)日冷工業株式会社 (10)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(596083364)日冷工業株式会社 (10)
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