説明

気液分離装置及び気液分離装置を備えた冷凍装置

【課題】溝付き体を損傷することがなく、直線部立ち上げ長さを短く出来、良好な分離性能を確保出来る低価格な気液分離装置を提供する。
【解決手段】上容器と下容器を一体容器1とし、一体容器には、液出口管4を溶接するバーリング2と下ビードを設け、バーリング2に液出口管4を溶接した後、一体容器1内に溝下側支持体5を挿入し、下ビードに突きあて溝下側支持体の下端位置を決めた後、溝下側支持体5、溝付体6、入口仕切体7が密着するように押し付けて溝付体、入口仕切体7を挿入し、上ビード8等で入口仕切体の上端位置を位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管9、ガス出口管11を溶接する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば冷凍サイクルや蒸気サイクル等の熱機関および気液二相流を扱う流体機械装置の気液分離装置に関し、詳細には、より一層の高性能化並びに低価格を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、気液二相流を扱う流体機械で、冷凍サイクルでは気体冷媒と液体冷媒を分離する気液分離装置、水蒸気と水あるいは空気と水を分離する気液分離装置および油と気体を分離するオイルセパレータ等の気液分離装置(以下これらを総称して気液分離装置と呼ぶ)は、重力によって液あるいは油を溜めるタンクを用いたり、旋回流の遠心力によって液あるいは油を壁面に付着させた後に重力によって液あるいは油を回収する気液分離装置が用いられている。
【0003】
かかる構成の気液分離装置では、基本的に重力や遠心力などの体積力によって密度の大きい液相を分離する構造となっている。このため、タンクや旋回流発生装置を用いるため大型の装置となる問題が有った。
【0004】
そこで、先に、発明者らは前記した課題を解決すべく、表面張力の作用により液相を溝内に付着させて流すことで、気液分離装置をより高性能化並びに小形化することを目的とする表面張力型気液分装置を発明し、その特許を出願した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許番号 特許第4268994号
【特許文献2】出願番号 特願2008−38034
【特許文献3】出願番号 特願2008−290364
【特許文献4】出願番号 特願2009−52645
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先に出願した表面張力型気液分離装置(以下これを従来技術と呼ぶ)をさらに高性能化し且つ低価格化、高信頼性化を図るための課題を解決するものである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題を図3と図15から図20を用い、具体的に説明する。図15は先に出願した表面張力型気液分離装置の縦断面図であり、図16は図15のE−E断面図であり、図3は図16に示した溝付き体の展開図である。図17は図15の入口仕切体の平面拡大図である。図18は図15に示した上容器の直線部長さhuが分離性能におよぼす実験結果を示すグラフである。図19は図20に示した入口管出口O点から入口仕切体に沿う流路断面積の変化を示すグラフである。図20は入口管出口から溝に流入するまでの入口仕切体に沿う流路断面位置を示す断面図である。
【0008】
先に出願した表面張力型気液分離装置は図15に示すように、上容器65と下容器66の2分割構造になっており、下容器66内に溝下側支持体B67、微細溝を持つ溝付き体6、入口仕切体B68が設けられている。溝下側支持体B67はガス出口管11に接合され、ガス出口管11は下容器66の下部縮管部B69に接合されており、溝付き体6の下部位置を規定している。入口仕切体B68には図17に示すように、つば部B70が設けられ、つば部B70には二相流が流れることが出来るようにスリットB71が設けられている。図15に示すように、入口仕切体B68は溝付き体6の上に設けられ、上容器直線部72を下容器66の拡管部73にはめ込み、上容器直線部72でつば部B70の外周を押し付けた状態で入口仕切体B68と溝付き体6が密着するように、拡管部上端74で上容器65と下容器66を溶接した構造になっている。二相流の入口管9は上容器65に取り付けられ、気液分離装置内で分離された液相は下容器底部75に設けた液出口管4より取り出され、気相は下容器66の下端から入口仕切体B68の中空部76まで挿入されたガス出口管11より取り出される。
【0009】
微細溝内において表面張力の作用により、気液分離を行うために必要な溝仕様を理論的に求めると、図16に示すように、溝幅bは非常に小さく、溝深さhは深い溝が必要であり、図3に示したように薄い金属板を折り曲げ、溝を構成し、これを丸めて溝付き体6として下容器66に挿入する構造となっている。図3に示した溝付き体の自由長Lは下容器内径の周長より長く加工することにより、溝付き体6を丸めて下容器66に挿入した時、溝付き体の弾性力により溝付き体6は下容器66の内面に安定的に密着する。かかる構造において二相流は入口管9から流入し、入口仕切体B68により溝13に導かれ、全ての二相流は溝13内に流入する。溝13内で液相成分は表面張力の作用により溝13内に付着しながら下降し、溝下部から下容器底部75に流れ、下容器底部75に設けた液出口管4より取り出される。一方、気相成分は溝13内を下降する過程で気液分離室24に流出し、気液分離室24内を上昇し、ガス出口管上端25よりガス出口管11に入り取り出される。
【0010】
良好な分離性能を得る為には、上記溝仕様の適正化が必要なことは言うまでもないが、溝13に流入する液相成分に微細液滴ミストが多く存在すると、微細液滴ミストは溝表面に付着することなく、溝間をすり抜け気液分離室24に流出し、ガス出口管11から液も流出することになる。従って、入口管9から流入した二相流が溝13に流入するまでの間に、極力微細液滴ミストが発生し難い流路形状が必要になる。そこで、入口管9から流入した二相流が溝13に流入するまでの流路形状に影響を与えるパラメータの一つとして、図15に示した上容器65の直線部立ち上げ長さhuを変えた場合に分離性能におよぼす影響の実験を行い、その結果を図18に示した。図18において、横軸は図15に示した入口仕切り体B68の直線立ち上げ長さhiに対する上容器65の直線部立ち上げ長さhuの比hu/hiであり、縦軸は実験に用いた気液分離装置設計仕様の最大流量の二相流を入口管9から流入させたときに、流入二相流の全液量に対する、ガス側出口管11に混入する液量の割合、即ち、ガス側液混入割合を示している。図18より、上容器の直線部立ち上げ長さhuを短くすることにより、ガス側液混入割合が少なくなり、良好な分離性能が得られることが分かる。
【0011】
そこで、入口管9の出口から溝13に流入するまでの入口仕切体68に沿う流路断面積の変化を求めた結果を図19に示す。図19において、横軸は図20に示した入口管9の出口O点から入口仕切体B68に沿うA、B、C、D、E、F点間の線分長さO−A、A−B、B−C、C−D、D−E、E−Fの総和Lに対するO点から各点までの長さLxの比Lx/Lであり、縦軸はE点の流路断面積Seに対する各点の位置における流路断面積Sxの比Sx/Seである。O点の流路断面積は入口管内径の断面積であり、B、C、D点の流路断面積は入口仕切体の傾斜面に直角に引いた線分B−B’、C−C’、D−D’の中心軸Y−Yに対する回転体として形成される部分円錐の側面積Sb、Sc、Sdとして定義されている。E点の流路断面積Seは入口仕切体B68の直線部外径と上容器65の直線部内径の間の断面積である。F点の流路断面積SfがSeより若干小さくなっている理由は、図20に示した様に、入口仕切体が溝に対してδラップしているためである。なお、B’点が入口管9の内径diの中に入る場合には、B点をA点からε下げた位置で定義している。
【0012】
入口管から流入した二相流が溝に流入するまでの間に、極力微細液滴ミストが発生し難い流路形状にするためには、SoからSeまで徐々に流路断面積が変化することが望ましいが、上容器65の直線部立ち上げ長さhuが長いhu/hi=2.12の場合にはD点の流路断面積は大幅に大きくなり、その後E点に向け、急激に流路断面積が縮小し、この部分で流れの減速、加速が起こるため、図18に示したようにガス側液混入割合が大きくなっている。hu/hi=1.49の場合にもD点の流路断面積はE点の流路断面積より若干大きくなっているが、図18に示したガス側液混入割合はhu/hi=2.12の場合より改善されている。更にhu/hi=0.87と小さくすると、流路断面積はSoからSeまで徐々に大きくなり、図18に示したガス側液混入割合は十分に小さくなる。なお、図19において、横軸上のB、C、D、E点の位置が変化している理由は、上容器65の直線部立ち上げ長さhuが変わることにより距離O−Aが変化するためである。
【0013】
以上に述べたように、入口管9から流入した二相流が溝13に流入するまでの間に、極力微細液滴ミストが発生し難い流路形状にするために、上容器65の直線部立ち上げ長さhuを短くすることが有効であることが明らかになった。しかし、図15に示した上容器65の直線部立ち上げ長さhuを短くすると、溝付き体上面77から溶接点78までの距離が短くなり、溶接による熱影響で薄板金属の溝付き体6は焼きなまされ、弾性力を失い、溝付き体6が下容器66に密着出来ず、冷媒の流れの影響等により、溝付き体6と下容器66、あるいは溝付き体6と溝下側支持体B67がぶつかり合い摩耗や、音の発生等、信頼性の問題が発生する可能性の課題が明らかになった。また、溶接時に下容器66の溝付き体6の部分を水没させることにより、溶接による熱影響を避けることも考えられるが、実際の製品の溝付き体上面77から溶接点78までの距離は10mm程度以下であり、作業性が悪く、また確実に熱影響を避けることの信頼性が低い課題が明らかになった。本発明の目的とするところは、以上の観点より、気液容器自体を絞り品で形成し溶接工程をなくし、溝付き体の熱による損傷を防止すると共に、気液容器の絞り部と入口仕切体間に形成される流路断面積を急激に変化させないように構成し、該流路内で微細液滴ミストが多量に発生してしまうことを防止するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はかかる課題を解決するため第一に、従来技術の様に上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器とし、一体容器には、液出口管を溶接するバーリングと下ビード等を設け、バーリングに液出口管を溶接した後、一体容器内に溝下側支持体を挿入し、下ビード等に突きあて溝下側支持体の下端位置を決めた後、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体が密着するように押し付けて溝付体、入口仕切体を挿入し、上ビード等で入口仕切体の上端位置を位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管、ガス出口管を溶接する構成とすると共に、絞り部と入口仕切体間に形成される流路断面積を急激に変化させないようにしたものである。
【0015】
かかる構成にすることにより、溝付き体直近での溶接を無くすことにより、溝付き体が溶接による熱影響を受けないため、直線部立ち上げ長さhuを短く出来、良好な分離性能を確保出来る。
【0016】
本発明はかかる課題を解決するため第二に、気液容器の絞り部を構成する傾斜面開始点P1から入口仕切体の上つば部までの距離をhuとし、上記入口仕切体の山形部を形成する傾斜面開始点P2から入口仕切体の上つば部までの距離をhiとした時、hu/hiを1.5以下としたものである。
【0017】
かかる構成にすることにより、流路内で撹乱を生じさせないので、多量の微細液滴ミストを発生することがない。従って、良好な分離性能を確保することが出来る。
【0018】
本発明はかかる課題を解決するため第三に、金属製の入口仕切体と金属製の溝付き体および金属製の溝付き体と金属製の溝下側支持体をそれぞれ密着させ、点溶接等で三者をそれぞれ接合した後、一体容器内に挿入し、ビード等で位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管、ガス出口管を溶接する構成とした。
【0019】
かかる構成にすることにより、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体を一体容器内に組み込む前に、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体が密着していることを確認でき、信頼性が高く、良好な分離性能を確保でき、また、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体を一つの部品として一体容器内に組み込むことができるため、組み立て工数が低減し低価格な気液分離装置を提供できる。
【0020】
本発明はかかる課題を解決するため第四に、従来技術の様に上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器とし、溝付き体直近での溶接を無くすことにより、溝付き体が溶接による熱影響を受けない構成となるため、溝付き体と入口仕切体を樹脂で構成することができるため、溝付き体と入口仕切体を樹脂で一体成形した樹脂一体成型溝入口仕切体とし、一体容器に液出口管を溶接した後、一体容器内に樹脂一体成型溝入口仕切体を挿入し、ビード等で位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管、ガス出口管を溶接する構成とした。
【0021】
かかる構成にすることにより、溝付き体と入口仕切体を樹脂で構成することができるため低価格化に有効である。また、溝付体と入口仕切体を一体にすることにより、一体容器内に1部品として組み込むことができ、加工工数が減少し低価格の気液分離装置を提供出来できる。
さらに、樹脂製の溝付き体にすることにより、溝付き体外周部に樹脂肉厚部が存在するため、溝付き体下端の樹脂肉厚部を、一体容器に設けた下ビードに接触させることにより樹脂一体成型溝入口仕切体の位置決めが可能になり、溝下側支持体が不要になるため、一層低価格な気液分離装置を提供できる。
【0022】
本発明はかかる課題を解決するため第五に、従来技術の様に上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器とし、溝付き体直近での溶接を無くすことにより、入口仕切体、溝付き体が溶接による熱影響を受けない構成となるため、入口仕切体、溝付き体、溝下側支持体の何れかを樹脂製とし、一体容器に液出口管を溶接した後、一体容器内に溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体を挿入し、ビード等で位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管、ガス出口管を溶接する構成とした。
【0023】
かかる構成にすることにより、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体の何れかを必要に応じ樹脂製にでき、低価格化に有効である。
【0024】
本発明はかかる課題を解決した気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に組み込んだ冷凍装置とした。
【0025】
本発明の気液分離装置を冷凍装置に組み込むことにより、効率の良い冷凍装置が得られるものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、以上説明した如き構成を有するものであるから、従来のごとく溝付き体を損傷することがないことは勿論、直線部立ち上げ長さhuを短く出来、良好な分離性能を確保出来る。さらに、先に出願した従来技術の様に下容器に拡管加工することなく、また下容器と上容器の溶接も不要なため、低価格の表面張力型気液分離装置を提供出来る。
【0027】
また、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体を密着させ、点溶接等で三者を接合した後、一体容器内に挿入し、ビード等で位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管、ガス出口管を溶接する構成とすることにより、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体を一体容器内に組み込む前に、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体が互いに密着しているかを確認出来、信頼性が高く、良好な分離性能を確保でき、また、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体を一つの部品として一体容器内に組み込むことが出来るため、組み立て工数が低減し低価格な気液分離装置を提供できる。
【0028】
従来技術の様に上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器とし、溝付き体直近での溶接を無くし、溝付き体が溶接による熱影響を受けない構成となるため、溝付き体と入口仕切体を樹脂で構成することができるため低価格化に有効である。
また、溝付き体と入口仕切体を樹脂で一体成形した樹脂一体成型溝入口仕切体とし、一体容器に液出口管を溶接した後、一体容器内に樹脂一体成型溝入口仕切体を挿入し、ビード等で位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管、ガス出口管を溶接する構成とすることにより、溝付き体と入口仕切体が一体であるため一体容器内に1部品として組み込むことができ、加工工数が減少し低価格の気液分離装置を提供出来できる。
さらに、樹脂製の溝付き体にすることにより、溝付き体外周部に樹脂肉厚部が存在するため、溝付き体下端の樹脂肉厚部を、一体容器に設けた下ビードに接触させることにより樹脂一体成型溝入口仕切体の位置決めが可能になり、溝下側支持体が不要になるため、一層低価格な気液分離装置を提供できる。
【0029】
従来技術の様に上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器とし、溝付き体直近での溶接を無くすことにより、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体が溶接による熱影響を受けないため、溝下側支持体、溝付体、入口仕切体の何れかを必要に応じ樹脂製にでき、低価格化に有効である。
【0030】
本発明の気液分離装置を冷凍装置に組み込むことにより、効率の良い冷凍装置が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を備えた第1の実施の形態の気液分離装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す気液分離装置の拡大A−A水平断面図である。
【図3】薄板を折り曲げて構成した溝付き体6の展開斜視図である。
【図4】(a)は図1に示す溝下側支持体5の拡大平面図である。(b)は図4(a)のB−B断面図である。
【図5】(a)は図1に示す入口仕切体7の拡大平面図である。(b)は図5(a)のC−C断面図である。
【図6】図1の一体容器上下両端絞り前の容器一体構造を示す断面図である。
【図7】本発明を備えた第2の実施の形態の気液分離装置に関わる部品を示す縦断面図である。
【図8】本発明を備えた第3の実施の形態の樹脂一体成型溝入口仕切体を示す斜視縦断面図である。
【図9】図8に示す、樹脂一体成型溝入口仕切体のD−D拡大断面図である。
【図10】図8に示す樹脂一体成型溝入口仕切体を組み込んだ気液分離装置を示す斜視縦断面図である。
【図11】本発明を備えた第4の実施の形態の気液分離器を示す縦断面図である。
【図12】図11に組み込まれる金属製の溝付き体平面図である。
【図13】本発明を備えた第5の実施の形態として、上記した気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクル構成図である。
【図14】本発明を備えた第6の実施の形態として、上記した気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第二の冷凍サイクル構成図である。
【図15】先に出願した表面張力型気液分離装置の縦断面図である。
【図16】図15のE−E断面図である。
【図17】図15の入口仕切体の平面拡大図である。
【図18】上容器の直線部長さhuが分離性能におよぼす実験結果を示すグラフで、本発明と従来課題を説明する図である。
【図19】入口管出口O点から入口仕切体に沿う流路断面積の変化を示すグラフで、本発明と従来課題を説明する図ある。
【図20】入口管出口から溝に流入するまでの入口仕切体に沿う流路断面位置を示す断面図で、本発明と従来課題を説明する図ある。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
図1は本発明を備えた第1の実施の形態の気液分離装置を示す縦断面図であり、図2は図1に示す気液分離装置の拡大A−A水平断面図である。図3は薄板を折り曲げて溝13を構成した溝付き体6の展開斜視図である。図4(a)は図1に示す溝下側支持体5の拡大平面図である。図4(b)は図4(a)のB−B断面図である。図5(a)は図1に示す入口仕切体7の拡大平面図である。図5(b)は図5(a)のC−C断面図である。
図6は図1の一体容器上下両端絞り前の容器一体構造を示す断面図である。
図1において、円筒状の一体容器1には、液出口管4を溶接するバーリング2と下ビード3を設け、バーリング2に液出口管4を溶接した後、一体容器内に金属製薄板材で加工された溝下側支持体5を挿入し、下ビード3に突きあて溝下側支持体5の下端位置を決めた後、溝付き体6、その上流部に金属製薄板材で加工された入口仕切体7を設け、気液分離室24を構成する気液分離体とし、溝下側支持体5、溝付き体6、入口仕切体7が密着するように押し付けて挿入し、上ビード8等で入口仕切体7の上端位置を決め、図6に示す一体容器上下両端絞り前の容器一体構造を構成する。その後、一体容器上下両端を絞り容器一体構造とし、最終的に入口管9を上絞り部10に溶接し、ガス出口管11を下絞り部12に溶接する構成としている。
【0034】
溝付き体6は入口仕切体7から溝下側支持体5に向かう溝13が設けられており、溝付き体6は図3に示す金属製薄板材を折り曲げて溝13が構成され、これを丸めて図2に示すように一体容器1に挿入されている。
【0035】
金属製薄板材で加工された溝下側支持体5には図4(a)、図4(b)に示すように、下つば部14が設けられ、下つば部14には二相流が流れることが出来るように下スリット15が設けられ、さらに、下つば部14の外周には、下つば立下り部16が設けられ、下つば立下り部16の下端17が下ビード3に突き当たり、一体容器1内における溝下側支持体5の高さ方向の位置が規定される。
【0036】
金属製薄板材で加工された入口仕切体7には図5(a)、図5(b)に示すように、上つば部18が設けられ、上つば部18には二相流が流れることが出来るように上スリット19が設けられ、さらに、上つば部18の外周には上つば立上がり部20が設けられ、上つば立上がり部上端21が上ビード8に突き当てられ、一体容器1内で溝下側支持体5、溝付き体6、入口仕切体7をお互いに密着するように押し付けた状態で高さ方向の位置が規定される。
【0037】
以上に述べたように、円筒状の一体容器1に、液出口管4を溶接するバーリング2と下ビード3を設け、バーリング2に液出口管4を溶接した後、一体容器内に溝下側支持体5を挿入し、下つば立下り部下端17を下ビード3に突き当て、溝下側支持体5の下端位置を決めた後、溝下側支持体5、溝付き体6、入口仕切体7が密着するように溝付き体6、入口仕切体7を押し付けて挿入し、上つば立上がり部上端21が上ビード8に突き当たるよう上ビード8を加工し上端位置を位置決めし、一体容器上下両端を絞る前の状態を構成する。一体容器上下両端を絞る前の状態が図6である。
【0038】
かかる構成において、気液二相流は図1の入口管9から流入室22に流入し、一体容器1と入口仕切体7の間に形成される狭小空間47を通り全ての二相流は溝13内に流入する。溝13内で液相成分は表面張力の作用により溝内に付着しながら下降し、溝下部から容器底部23に流れ、容器底部23に設けた液出口管4より取り出される。一方、気相成分は溝13内を下降する過程で気液分離室24に流出し、気液分離室24内を上昇し、ガス出口管上端25よりガス出口管11に入り、取り出される。
【0039】
先に出願した従来技術の様に、上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器1とし、一体容器1に液出口管4を溶接した後、一体容器内に溝下側支持体5、溝付き体6、入口仕切体7を挿入し、下ビード3、上ビード8等で位置決めし、その後、容器上下両端を絞る容器一体構造とし、最終的に入口管9、ガス出口管11を溶接する構成にすることにより、溝付き体6の直近での溶接を無くし、溝付き体6が溶接による熱影響を受けないため、直線部立ち上げ長さhuを短く出来、良好な分離性能を確保出来る。さらに、先に出願した表面張力型気液分離装置のように下容器に拡管加工することなく、また下容器と上容器の溶接も不要なため、低価格で、信頼性の高い表面張力型気液分離装置を提供出来る。
【0040】
また、上記気液分離装置の外郭を構成する一体容器1の絞り部1aを構成する傾斜面開始点P1から入口仕切体7の上つば部18までの距離をhuとし、上記入口仕切体7の山形部7aを形成する傾斜面開始点P2から入口仕切体7の上つば部18までの距離をhiとした時、hu/hiを図15に示す如く1.5以下とする。
hu/hiが1.5以上になると、図19に示す如く流路断面積比が例えば2.12の曲線の如く、途中で大きく変ることとなる。
流路断面積比が上記の如く、大きく変ると入口管9より吐出された気液二相流がこの変わったところで撹拌され、多量の微細液滴ミストを発生させ、気液分離性能を低下させてしまう。
【0041】
なお、hu/hi比の限界は、1.0以下であっても良いことを図19に示す如く実験で確認している。
また、ここで言う流路とは、絞り部1aを含む一体容器と、山形部7aを含む入口仕切体7との間に形成される流路であり、流入室22、狭小空間47等を含むものである。そして、この流路は項番[0011]で説明した流路断面積と同じものをさしている。
【実施例2】
【0042】
図7は本発明を備えた第2の実施の形態の気液分離装置に関わる部品を示す縦断面図である。
図7は金属製の入口仕切体7と金属製の溝付き体6および金属製の溝付き体6と金属製の溝下側支持体5をそれぞれ密着させ、複数の溶接点で接合した接合体26の断面図である。
入口仕切体7と溝付き体の上端面32の間に隙間があると溝13に流入する二相流の一部は気液分離室24に流れやすくなり、液相成分が気液分離室24に流れ、図1に示すガス出口管上端部25からガス出口管11に流れ、分離性能が低下する問題がある。
また、入口仕切体7と溝付き体の上端面32の間、および、溝付き体の下端面33と溝下側支持体5の間に隙間があると冷媒の流れの影響等により溝付き体6が上下方向に振動する可能性ができ、入口仕切体7および溝下側支持体5とぶつかり合い、摩耗や、音の発生等、信頼性の問題が発生する可能性が考えられる。
そこで、図7に示すように、入口仕切体7と溝付き体6を密着させた状態で、入口仕切体7の下突起部27と溝13の溝頂部28を複数の上溶接点29で溶接し、さらに、溝付き体6と溝下側支持体5を密着させた状態で、溝13の溝頂部28と溝下側支持体5の上突起部30を複数の下溶接点31で溶接している。
【0043】
かかる構成にすることにより、入口仕切体7、溝付き体6、溝下側支持体5を一体容器内に組み込む前に、入口仕切体7、溝付き体6、溝下側支持体5が互いに密着しているかを確認出来、信頼性が高く、良好な分離性能を確保でき、また、溝下側支持体、溝付き体、入口仕切体を一つの部品として一体容器内に組み込むことが出来るため、組み立て工数が低減し低価格な気液分離装置を提供できる。
【実施例3】
【0044】
図8は本発明を備えた第3の実施の形態の樹脂一体成型溝入口仕切体を示す斜視縦断面図であり、図9は図8に示す樹脂一体成型溝入口仕切体のD−D拡大断面図である。図10は樹脂一体成型溝入口仕切体を組み込んだ気液分離装置を示す斜視縦断面図である。
図10において、従来技術のように上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器とし、溝付き体直近での溶接を無くすことにより、溝付き体が溶接による熱影響を受けない構成となるため、溝付き体と入口仕切体を樹脂で構成することができ、樹脂製入口仕切体41と樹脂製溝付き体48は図9に示すように樹脂一体成型溝入口仕切体34として一体で成形されている。図9に示すように、溝付き体外周部には樹脂肉厚部35が存在し、この樹脂肉厚部は、図8に示すように溝付き部上端面36から上部突起37として立ち上がっている。溝付き部上端面36から上部突起37を設けている理由は、上部突起37が無いと一体容器1の内面に沿った二相流の流れは図9に示した樹脂肉厚部35に衝突し、多くの微細液滴ミストを発生させ、微細液滴ミストは溝13内に流入し、溝表面に付着することなく溝間をすり抜け気液分離室24に流出する確率が高くなり、ガス出口管11から液も流出し、十分な分離性能を確保出来なくなるのを防止するためである。
【0045】
図10に示すように、円筒状の一体容器1に、液出口管を溶接するバーリング2と下ビード3を設け、バーリング2に液出口管4を溶接した後、樹脂一体成型溝入口仕切体34を一体容器1に挿入し、樹脂一体成型溝入口仕切体下端面38を下ビード3に突きあて、樹脂一体成型溝入口仕切体34の下端位置を決めた後、樹脂一体成型溝入口仕切体34に設けた上部突起37の上部突起上端面外周39を上絞り部起点40として上絞り部10を絞り、樹脂一体成型溝入口仕切体34の上部を位置決めし、同時に下絞り部12を絞る構成としている。
【0046】
かかる構成において、気液二相流は入口管9から流入室22に流入し、上部突起37と樹脂製入口仕切体41の間に構成される狭小空間47を通り全ての二相流は溝13内に流入する。溝13内で液相成分は表面張力の作用により溝内に付着しながら下降し、溝下部から容器底部23に流れ、容器底部に設けた液出口管4より取り出される。一方、気相成分は溝13内を下降する過程で気液分離室24に流出し、気液分離室24内を上昇し、ガス出口管上端25よりガス出口管11に入り、取り出される。
【0047】
従来技術の様に上容器と下容器を別体にすることなく、一体容器とし、溝付き体直近での溶接を無くすことにより、溝付き体が溶接による熱影響を受けない構成となるため、溝付き体と入口仕切体を樹脂で構成することができるため低価格化に有効である。
また、溝付き体と入口仕切体が一体であるため、一体容器内に1部品として組み込むことができ、加工工数が減少し低価格の気液分離装置を提供出来できる。
さらに、樹脂製の溝付き体にすることにより、溝付き体外周部に樹脂肉厚部35が存在するため、樹脂一体成型溝入口仕切体下端面38を、一体容器に設けた下ビード3に突き当てることにより樹脂一体成型溝入口仕切体の位置決めが可能になり、溝下側支持体が不要になるため、一層低価格な気液分離装置を提供できる。
【実施例4】
【0048】
図11は本発明を備えた第4の実施の形態の気液分離器を示す縦断面図である。図12は図11に組み込まれる金属製の溝付き体平面図である。
図11は基本的には図1と同様な構成であるが、図1と異なる点は図1の金属製の入口仕切体7および金属性の溝下支持体5に代え、図11では樹脂製入口仕切体41および樹脂製溝下支持体42としている点である。溝付き体は図1、図11共に図12に示す金属製の溝付き体6である。図11の樹脂製入口仕切体41には上つば部18が設けられ、上つば部18には二相流が流れることが出来るように上スリット19が設けられ、上つば部肉厚B1は樹脂製でも強度を確保出来るように肉厚を厚くしている。また、図11の樹脂製溝下支持体42には下つば部14が設けられ、下つば部14には二相流が流れることが出来るように下スリット15が設けられ、下つば部肉厚B2は樹脂製でも強度を確保出来るように肉厚を厚くしている。
【0049】
かかる構成において、気液二相流は入口管9から流入室22に流入し、一体容器1と樹脂製入口仕切体41の間に形成される狭小空間47を通り全ての二相流は溝13内に流入する。溝13内で液相成分は表面張力の作用により溝内に付着しながら下降し、溝下部から容器底部23に流れ、容器底部に設けた液出口管4より取り出される。一方、気相成分は溝13内を下降する過程で気液分離室24に流出し、気液分離室24内を上昇し、ガス出口管上端25よりガス出口管11に入り、取り出される。
【0050】
このように樹脂製入口仕切体41、金属製の溝付き体6、樹脂製溝下支持体42を組み合わせる理由は以下によるものである。
【0051】
第3の実施の形態において、溝付き体と入口仕切体を樹脂で構成することができるため低価格化に有効であると述べた。
しかし、入口管9から流入する二相流に多くの微細液滴ミストが含まれる場合には、高い分離性能を得るために、溝数を多くし、また、溝幅を狭くすることにより微細液滴ミストが溝壁面に付着する確率を高くする必要がある。しかし、図9に示した樹脂製溝付き体48では、溝を構成する溝立ち上がり部肉厚43を小さくするには限界があり、また、溝幅bを小さくするには成型上の限界がある。従って、上記したように極めて微細な溝を必要とする場合には、図12に示した金属性の溝付き体6を使用し、入口仕切体と溝下支持体には価格低減の観点から、樹脂製入口仕切体41および樹脂製溝下支持体42を使用している。
【0052】
一方、入口管9から流入する二相流の条件によっては、図9に示した樹脂製の溝付き体48で分離性能を確保出来る条件も勿論あり、その場合には低価格化の観点から図9に示した樹脂製溝付き体48を使用出来る。それに対して、図11に示す、溝付き体に流入する二相流の流速44が速い場合には、一体容器内面に沿う流れ45も速く、一体容器内面に沿う流れは、上つば外周部上面46に勢いよく衝突し多くの微細液滴ミストを発生させ、微細液滴ミストは溝13内に流入する。溝に流入する微細液滴ミストが多く存在すると、微細液滴ミストは溝表面に付着することなく、溝間をすり抜け気液分離室24に流出する確率が高くなり、ガス出口管11から液も流出し、十分な分離性能を確保出来なくなる。
【0053】
このような使用条件の場合には、低価格化の観点から図9に示した樹脂製溝付き体48を使用し、分離性能確保の観点から、図1、図5に示した金属製薄板材で加工された入口仕切体6を使用することにより、上つば部18の外周に設けられた上つば立上がり部20の肉厚Tが薄いため、一体容器内面に沿う流れ45が上つば立上がり部上端21に衝突しても微細液滴ミストの発生が緩和され、良好な分離性能を確保出来る。
【0054】
以上に述べた第1の実施の形態から第4の実施の形態では、一体容器1内に挿入される入口仕切体6溝下支持体5等の位置決めをするために、上ビード8、下ビード3を用いているが、それらの位置決めを行う手段として、一体容器1の内側に複数の点状突起を一体容器1の外側から加工した、ディンプルでも良い。
また、以上に述べた第1の実施の形態、第2の実施の形態および第4の実施の形態では、下ビード3に溝下側支持体5を突き当て位置決めしているが、溝付き体の剛性が十分にある場合には溝付き体の下端面33を下ビード3に突き当て、位置決め出来る為、この場合は溝下側支持体5は不要になる。
【実施例5】
【0055】
図13は第5の実施の形態として、上記した気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第一の冷凍サイクル構成図である。図13に示した冷凍サイクル構成図には本実施形態を説明するために必要な基本的構成要素を示している。すなわち、圧縮機50は第一のシリンダ51と第二のシリンダ52を有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ51と第二のシリンダ52で二段に圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管53を経て、凝縮器54で凝縮器用送風機55で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。その液冷媒は第一の減圧器56で減圧され二相流となり、入り口管9から気液分離装置57に流入し、液相冷媒は液出口管4から出た後、第二の減圧器58でさらに減圧され、蒸発器59に入り蒸発器用送風機60で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機50に吸い込まれる。一方、気液分離装置57で分離された気相冷媒はガス出口管11から第二のシリンダ52に吸い込まれるため、気液分離装置57で分離された蒸発に寄与しない気相冷媒は第一のシリンダ51で圧縮する必要が無く、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【実施例6】
【0056】
図14は第6の実施の形態として、上記した気液分離装置を冷凍サイクルに使用した場合の第二の冷凍サイクル構成図である。図14に示した冷凍サイクル構成図には本実施形態を説明するために必要な基本的構成要素を示しており、ルームエアコン等の冷房運転、暖房運転切り替え可能なサイクルの暖房運転時の状態を示しており、室外ユニット63と室内ユニット64で構成されている。
圧縮機50は第一のシリンダ51を有し、圧縮機で吸い込んだ低温低圧の気相冷媒は第一のシリンダ51で圧縮され高温高圧気相冷媒となり冷媒吐出管53、四方弁62を経て、凝縮器54で凝縮器用送風機55で送られる空気に放熱し、高圧液冷媒となる。その液冷媒は第一の減圧器56で減圧され二相流となり、入り口管9から気液分離装置57に流入し、液相冷媒は液出口管4から出た後、蒸発器59に入り蒸発器用送風機60で送られる空気から熱を奪い低温低圧の気相冷媒となり、圧縮機50に吸い込まれる。一方、気液分離装置57で分離された気相冷媒はガス出口管11から圧縮機50に吸い込まれる。気液分離装置57で分離された蒸発に寄与しない気相冷媒はバイパス管61を通り圧縮機50に吸い込まれる。そのため、蒸発に寄与しない気相冷媒は蒸発器59に流入しない為、蒸発器59内の流速が低下し、蒸発器59の圧力損失が低減され、圧縮動力が節減でき、高効率な運転を可能にできる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は従来の表面張力型気液分離装置の課題を解決するためになされたものであって、小型化を維持しながら高効率、低価格、高信頼性の気液分離装置を提供し、その基本的考え方はHFC系冷媒、HFO系冷媒、自然冷媒および空気−水等の一般的な気相−液相からなる二相流にも適用可能であり、さらに、その気液分離装置を空気調和機、冷蔵庫、冷凍庫、除湿機、ショーケース、自動販売機、車両用冷凍・空調機および気液二相流を扱う流体機械装置等の産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0058】
1 一体容器 1a 絞り部 2 バーリング
3 下ビード 4 液出口管
5 溝下側支持体 6 溝付き体
7 入口仕切体 7a 山形部 8 上ビード
9 入口管 10 上絞り部
11 ガス出口管 12 下絞り部
13 溝 14 下つば部
15 下スリット 16 下つば立下り部
17 下つば立下り部下端 18 上つば部
19 上スリット 20 上つば立上がり部
21 上つば立上がり部上端 22 流入室
23 容器底部 24 気液分離室
25 ガス出口管上端 26 接合体
27 下突起部 28 溝頂部
29 上溶接点 30 上突起部
31 下溶接点 32 溝付き体の上端面
33 溝付き体の下端面 34 樹脂一体成型溝入口仕切体
35 樹脂肉厚部 36 溝付き部上端面
37 上部突起 38 樹脂一体成型溝入口仕切体下端面
39 上部突起上端面外周 40 上絞り部起点
41 樹脂製入口仕切体 42 樹脂製溝下支持体
43 溝立ち上がり部肉厚 44 二相流の流速
45 一体容器内面に沿う流れ 46 上つば外周部上面
47 狭小空間 48 樹脂製溝付き体
49 50 圧縮機
51 第一のシリンダ 52 第二のシリンダ
53 冷媒吐出配管 54 凝縮器
55 凝縮器用送風機 56 第一の減圧器
57 気液分離装置 58 第二の減圧器
59 蒸発器 60 蒸発器用送風機
61 バイパス管 62 四方弁
63 室外ユニット 64 室内ユニット
65 上容器 66 下容器
67 溝下側支持体B 68 入口仕切体B
69 下部縮管部B 70 つば部B
71 スリットB 72 上容器直線部
73 拡管部 74 拡管部上端
75 下容器底部 76 中空部
77 溝付き体上面 78 溶接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液出口管が接合された一体容器内に液出口管に向かう溝を持つ溝付き体を設け、溝付き体の上流部に入口仕切体を設け、気液分離室を構成する気液分離体とし、気液分離体の一体容器内の軸方向位置を規定する位置決め手段を一体容器に設け、一体容器に対する気液分離体の前後を位置決めした後、気液分離体の上流側と下流側の一体容器を絞り、上流側絞り部に二相流入口管を、下流絞り部に気相出口管を接合し、入口管から流入した気液二相流を一体容器と入口仕切体との間に形成される狭小空間、溝、気液分離室へと導き、気相と液相に分離し、気相は気相出口管に、液相は液相出口管に導くと共に絞り部と入口仕切体間に形成される流路断面積を急激に変化させないようにしたことを特徴とする気液分離装置。
【請求項2】
気液容器の絞り部を構成する傾斜面開始点P1から入口仕切体の上つば部までの距離をhuとし、上記入口仕切体の山形部を形成する傾斜面開始点P2から入口仕切体の上つば部までの距離をhiとした時、hu/hiを1.5以下としたことを特徴とする請求項1記載の気液分離装置。
【請求項3】
溝付き体と入口仕切体を一体容器内に組み込む前に接合したことを特徴とする請求項1に記載の気液分離装置。
【請求項4】
溝付き体と入口仕切体を樹脂で一体成型したことを特徴とする請求項1に記載の気液分離装置。
【請求項5】
溝付き体と入口仕切体の何れかを樹脂で成型したことを特徴とする請求項1に記載の気液分離装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載の気液分離装置を冷凍サイクルの減圧器の下流に設けたことを特徴とする気液分離装置を備えた冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−57924(P2012−57924A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222737(P2010−222737)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(596083364)日冷工業株式会社 (10)