説明

気管内チューブ保護器

【課題】口内に挿入される筒状部材の先端下部に形成した舌抑制片によって口内の舌の動きを抑制し、口内の気管内チューブや吸引カテーテルの動きを舌によって妨げるのを防ぎ、また、口の挿入付近の直前の外側で気管内チューブが簡単にずれるのを防いでトラブルの発生を未然に防止する。
【解決手段】筒状部材2、この筒状部材2の両側面に形成されたガイド溝3、筒状部材2の上下両面に並設された線状小突起4、筒状部材2の周回りに形成されたストッパー突起片5、ストッパー突起片5の左右両側に形成された係合蟻溝6、及び筒状部材2の先端下部に形成された舌抑制片7からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に使用者の意識のない状況下で口から体内に挿入して使用される気管内チューブを保護する気管内チューブ保護器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に使用者の意識のない状況下で口から体内に挿入して使用される気管内チューブを保護する器具として、特許文献1(実用新案登録第3070527号)の「合成樹脂からなる気管内チューブ保護材」の考案が出願されている。
この合成樹脂からなる気管内チューブ保護材は、合成樹脂からなる気管内チューブ保護器において、貫通孔(K)が穿設されるペンシル状の略四角柱からなり、一対の側面部において気管内チューブ(X)をあてがう弧状溝部(1A)が一方側面部(A)に形成されると共に他方側面部(B)に弧状溝部(1B)と線状切欠き部(2)が形成されており、他の一対の側面部(C,D)において線状突起物(3)が複数個並列に設けられると共に扇状片(4)が突設されることを構造上の特徴としている。
そして、気管内チューブ保護材を硬質な合成樹脂からなるものとし、ディスポザブル、すなわち使い捨て品とすることにより、リユースされていた場合での医療機関の洗浄、滅菌等の労力を皆無とさせることが可能となる。また、線状切り欠き部硬質の合成樹脂製であっても使用上の違和感を回避することができる等の効果を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3070527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この合成樹脂からなる気管内チューブ保護材はその先端側を口内に挿入し、挿入された部分を上下の歯で噛んで使用する。上下の歯はこれを噛むことで固定されるが、その際舌の動きについてこれを抑制する構造になっていない。このため、気管内チューブ保護材の側面の弧状溝部に沿って挿入されている口内の気管内チューブの動きを誤って舌で妨げてしまうおそれがあった。
また、気管内チューブは気管内チューブ保護材の左右側面に形成された弧状溝部に沿って挿入されているに過ぎず固定されていない。口内では保護材の側面の弧状溝部に沿わせることで気管内チューブがずれることはないが、気管内チューブは固定されていないので口の挿入付近の直前の外側でずれることもあり、ずれることで口内の気管内チューブもその影響を受けて挿入がスムーズに行えないおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、口内に挿入される筒状部材の先端下部に形成した舌抑制片によって口内の舌の動きを抑制し、口内の気管内チューブや吸引カテーテルの動きを舌によって妨げるのを防ぎ、また、口の挿入付近の直前の外側で気管内チューブが簡単にずれるのを防いでトラブルの発生を未然に防止することのできる気管内チューブ保護器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を達成するために、請求項1の発明は、軸芯方向に向けて貫通孔が穿設された筒状部材の両側面に、その軸芯方向に向けて気管内チューブを沿わせるガイド溝をそれぞれ形成し、握ったときに滑り抵抗となる左右幅方向に横長な複数の線状小突起を上記筒状部材の上下両面にその軸芯方向に向けてそれぞれ並設し、筒状部材の先端側口内挿入時の通常位置で口の外側に位置するストッパー突起片を筒状部材の周回りに形成し、上記ガイド溝と同じ側となる上記ストッパー突起片の左右両側に口の外側に位置する気管内チューブの一部を係合する係合蟻溝をそれぞれ形成し、口内に挿入される筒状部材の先端下部に前方斜め下向きに緩やかに曲がる舌抑制片を形成した手段よりなるものである。
【0007】
また、請求項1の発明の好ましい態様として、ストッパー突起片は前後に間隔をあけて2個形成され、筒状部材、ストッパー突起片及び舌抑制片は合成樹脂からなる。
【発明の効果】
【0008】
課題を解決するための手段よりなるこの発明に係る気管内チューブ保護器によれば、口内に挿入される筒状部材の先端下部に斜め下向きに緩やかに曲がる舌抑制片を形成したことにより、この舌抑制片によって口内の舌の動きを抑制でき、口内の気管内チューブや吸引カテーテルの動きを舌によって妨げるのを防ぐことができる。
また、ストッパー突起片の左右両側に係合蟻溝を形成したことにより、この係合蟻溝に口の外側に位置する気管内チューブの一部を係合することよって口の外側の該チューブを固定でき、口の挿入付近の直前の外側で気管内チューブがずれるのを防いで、外側でずれることによって、気管内チューブの体内への挿入作業がスムーズに行われなくなることや挿入していた気管内チューブが抜け出ることなどのトラブルの発生を未然に防止することができる等、極めて新規的有益なる効果を奏するものである。
【0009】
また、請求項2のように、ストッパー突起片を前後に間隔をあけて2個形成されている場合には、1個場合に比べて気管内チューブは2箇所で固定されるので、気管内チューブが傾いたり或いは簡単にずれることがない。このため、体内に挿入した気管内チューブが動かないように粘着テープを巻き付けて気管内チューブ保護器の筒状部材に固定する作業は容易となり、気管内チューブを筒状部材に粘着テープを使って簡単に固定することができる。
【0010】
また、請求項3のように、筒状部材、ストッパー突起片及び舌抑制片は合成樹脂からなる場合には、気管内チューブが保持される気管内チューブ保護器はゴムのように簡単に変形したりせず、叉無意識に人が強く噛んでも破片がでることもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明を実施するための形態を示す気管内チューブ保護器の斜視図である。
【図2】この発明を実施するための形態を示す気管内チューブ保護器の側面図である。
【図3】この発明を実施するための形態を示す気管内チューブ保護器の平面図である。
【図4】図2のA−A矢視図である。
【図5】図2のB−B矢視図である。
【図6】この発明を実施するための形態を示す気管内チューブ保護器に気管内チューブ及び吸引カテーテルを装着したときの斜視図である。
【図7】この発明を実施するための形態を示す気管内チューブ保護器を口内に挿入したときの使用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に記載の発明を実施するための形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。
【0013】
この発明に係る気管内チューブ保護器1は、一般に使用者の意識のない状況下で口から体内に挿入して使用される気管内チューブaを保護する器具で、口内にその先端側を挿入して使用され、口内の気管内チューブaや吸引カテーテルbの動きを舌cによって妨げるのを防ぎ、また、口の挿入付近の直前の外側で気管内チューブaが簡単にずれるのを防いでトラブルの発生を未然に防止できる特徴を備えている。
【0014】
図において、上記のような特徴を有する気管内チューブ保護器1は、貫通孔21が形成された筒状部材2、この筒状部材2の両側面に形成されたガイド溝3、筒状部材2の上下両面に並設された横長な線状小突起4、筒状部材2の周回りに形成されたストッパー突起片5、ストッパー突起片5の左右両側に形成された係合蟻溝6、及び筒状部材2の先端下部に形成された舌抑制片7などから主に構成されている。
【0015】
筒状部材2は、気管内チューブ保護器1の本体部分を構成する部分で、その外形は例えば外周断面略四角形の形状を有している。断面略四角形の各角部は丸みを帯びた形状に形成されていて、口内を傷つけない構造になっている。筒状部材2は歯で強く噛んでも破片がでない例えば合成樹脂製のものから造られている。
【0016】
筒状部材2はその断面中央部分に、筒状部材2の長さ方向となる軸芯方向に向けて貫通孔21が穿設されている。貫通孔21はその開口する一端が筒状部材2の口内に挿入される先端側に形成され、開口する他端は筒状部材2の口の外側となる後端側に形成されている。この貫通孔21は吸引カテーテルbの挿通用の孔として利用される。図面では貫通孔21は円形孔であるがこの円形孔には限定されるものではなく、要は吸引カテーテルbが挿通できる孔形状であればどのような形状でもよい。
【0017】
ガイド溝3は、口の外側から口内に気管内チューブaを沿わせて導く場合の案内路として使用されるもので、筒状部材2の両側面に該筒状部材2の長さ方向つまり軸芯方向に向けて形成されている。ガイド溝3は筒状部材2の外周断面略四角形の形状を有する左右両側面に例えば凹型弧状断面に形成されている。凹型弧状断面として例えば凹型の円弧状の断面に形成されている。
【0018】
すなわち、左右のガイド溝3は、例えば中央の貫通孔21に向かって凹型弧状に窪んだ断面形状に形成されていて、この凹型弧状の窪みに沿わせて気管内チューブaが取り付けられて口の外側から口内に挿入されるようになっている。このため、このガイド溝3に沿わせることで気管内チューブaは、筒状部材2の側面箇所で上下にぶれるのが回避されて口内でずれるのが防がれる。
【0019】
線状小突起4は、手で筒状部材2を握ったときに滑り抵抗となって、掌内で筒状部材2が汗などによって前後に滑るのを防ぐ役目を果たすものである。しっかりと手で握ることで挿入されている筒状部材2の先端側が口内で前後に移動するのを阻止することで、口内が筒状部材2或いは筒状部材2に沿って取り付けられた気管内チューブaや吸引カテーテルbによって傷ついたり、体内に挿入した気管内チューブaや吸引カテーテルbがずれたりするのを防ぐものである。
【0020】
線状小突起4は、手で筒状部材2を握ったときにこの筒状部材2が前後方向に移動しないような滑り抵抗となるように、筒状部材2の外周断面略四角形の上面側及び下面側に、筒状部材2の軸芯方向に向けて前後向きにそれぞれ複数個並設されている。線状小突起4は、筒状部材2の軸芯方向に対して前後に一定の間隔をあけて複数個形成されている。図面では上下両面にそれぞれ例えば5個ずつ形成されている。
【0021】
各線状小突起4は筒状部材2の上面及び下面の表面から突起していて、手で筒状部材2を握ったときにこの突起した部分が滑り抵抗になるのである。つまり、幅方向に形成された線状小突起4の間に指を幅方向に向けて筒状部材2を握ることで、指は前後の線状小突起4の間に入って筒状部材2が前後方向にずれるのを防ぐことができる。各線状小突起4は、筒状部材2の外周断面略四角形の上面側及び下面側の左右幅方向に向けて形成されていて、つまり横長になっている。また、各線状小突起4は例えば蒲鉾形の形状をしていて、その蒲鉾形の向きは横向き、つまり筒状部材2の左右幅方向に向いている。
【0022】
ストッパー突起片5は、口内に挿入した筒状部材2を誤って飲み込むのを防ぐ役目を果たすもので、筒状部材2の先端側口内挿入時の通常位置で口の外側に位置する箇所の筒状部材2の周回り方向に形成されている。このストッパー突起片5が口の周囲に当たることによって、筒状部材2を誤って飲み込むことが防がれる。
【0023】
ストッパー突起片5は筒状部材2の周回り方向の外周断面略四角形の例えば上面側及び下面側の表面から、上向き及び下向きにそれぞれ突起して形成されている。ストッパー突起片5は例えば合成樹脂製のものから造られていて、筒状部材2と一体成形されており、一体化されている。
【0024】
ストッパー突起片5は、筒状部材2の長さ方向つまり軸芯方向に少し間をあけて前後2箇所に形成されている。このうち、筒状部材2の先端側寄りとなる前部ストッパー突起片51は前記の線状小突起4より後方側に形成されている。前部ストッパー突起片51はその上半分側及び下半分側がそれぞれ略円弧状或いは略扇形状に形成されている。この上半分側と下半部側との境目部分となる左右両側には係合蟻溝6が形成されていて、その係合蟻溝6を挟んで上下に分かれている。
【0025】
筒状部材2の後端側寄りとなる後部ストッパー突起片52は、前部ストッパー突起片51の後方側に少し間をあけて形成されている。この前後の間は、前部及び後部ストッパー突起片51,52の前後の係合蟻溝6の間に係合される気管内チューブaを筒状部材2に粘着テープを使って簡単に固定する場合に、粘着テープを巻き付けるスペースつまり粘着テープ幅より少し広めの間隔である。
【0026】
後部ストッパー突起片52はその上半分側及び下半分側がそれぞれ略円弧状或いは略扇形状に形成されている。この上半分側と下半部側との境目部分となる左右両側には係合蟻溝6が形成されていて、その係合蟻溝6を挟んで上下に分かれている。また、上半分側及び下半部側は、その真ん中に上下向きにそれぞれ形成された縦溝52aによって左右に2分割されている。さらに上下の各縦溝52aは筒状部材2の上下両面の表面に接する側が筒状部材2の幅方向にそれぞれ形成された横溝52bに連通している。
【0027】
後部ストッパー突起片52が形成される箇所の筒状部材2は、この縦溝52a及び横溝52bによって、後部ストッパー突起片52との連結部分の面積が少なくなっている。これにより、筒状部材2は前部ストッパー突起片51の形成箇所に比べて後部ストッパー突起片52の形成箇所で後部ストッパー突起片52による変形阻止の影響をうけにくい構造になっている。
【0028】
係合蟻溝6は、筒状部材2の左右両側面に形成された前記ガイド溝3に沿って取り付けられる気管内チューブaの一部を、ガイド溝3と同じ側となる前記の前部ストッパー突起片51及び後部ストッパー突起片52の左右両側に、その口の外側の位置に係合して動かないようにする役目を果たす。
【0029】
係合蟻溝6は、前記ガイド溝3と同じ側となる前部ストッパー突起片51及び後部ストッパー突起片52の左右両側にそれぞれ形成されている。左右の各係合蟻溝6は筒状部材2の左右両側面に形成された前記ガイド溝3の途中に設けられている。左右の係合蟻溝6の奥端面と左右のガイド溝3の奥端面とは略同一面になっている。
【0030】
左右の係合蟻溝6は外側方に向けて開口されている。つまり右側の係合蟻溝6の溝開口部61は右側の側面部分に形成されて開口し、左側の係合蟻溝6の溝開口部61は左側の側面部分に形成されて開口している。それぞれの溝開口部61は上下間で開いており、上下間の開口幅はその内部の溝幅より狭い蟻溝になっていて、溝内に係合された気管内チューブaが簡単にこの係合蟻溝6から外れないようになっている。
【0031】
左右の係合蟻溝6の開口幅より内部溝幅が広い内部側は、例えば上下回りの略円弧状に形成されていて、その内周側面には滑り止めのための小突起62が内周回りに複数個形成されている。各小突起62は円弧状に形成されていて、これらの小突起62が係合蟻溝6内に係合された気管内チューブaの表面の一部を押止することで、気管内チューブaが係合蟻溝6から簡単に外れないようになっている。
【0032】
舌抑制片7は、口内の舌cの動きを抑制して口内の気管内チューブaや吸引カテーテルbの動きを舌cによって妨げるのを防ぐもので、口内に挿入される筒状部材2の先端下部に前方斜め下向きに緩やかに曲がる形状に形成されている。舌抑制片7は例えば合成樹脂製のものから造られていて、筒状部材2の先端下部に一体成形されており、一体化されている。
【0033】
舌抑制片7は、筒状部材2の先端下部から前方に向けて突出しながら緩やかな弧状を描きながら下向きに曲がった状態に形成されている。舌抑制片7の先端側の上下端及び左右両端は丸みを帯びた形状に形成されていて、口内を傷つけない構造になっている。同様に、舌抑制片7が前方に向けて突出するように形成された筒状部材2の先端の上部側は後方側に向けて傾斜するような構造に形成されていて、筒状部材2の先端上部が口内の上側内面に当たって傷つけることがないようになっている。
【0034】
舌抑制片7は、口内に筒状部材2の先端側が挿入されたとき、下向きに緩やかに曲がる舌抑制片7の下面が舌cの上側に当接して上側から押さえるような状態となり、舌cが口内で自由に動くのを抑制して口内の気管内チューブaや吸引カテーテルbの動きを舌cが妨げるのを防ぐようにしたものである。このため、舌抑制片7の下向きに緩やかに曲がる形状は、側面からみたときの口内での舌cの表面側の形状に似せている。
【0035】
次に、上記発明を実施するための形態の構成に基づく気管内チューブ保護器の使用について以下説明する。
【0036】
先ず口から気管内チューブaを入れて喉を通して体内に挿入する。気管内チューブaの所定箇所への挿入が済んだ後、気管内チューブaが動いたり、誤って歯で噛んだりすることがないように、この気管内チューブaを保護するために、口内に気管内チューブ保護器1を入れる。
【0037】
気管内チューブ保護器1の筒状部材2の先端側を口内に挿入する。このとき、既に口内に挿入している気管内チューブaを筒状部材2の左右の何れかのガイド溝3に沿わせるようにしながら筒状部材2の先端側を挿入する。下向きに緩やかに曲がる舌抑制片7の下面は舌cの上側に当接することになる。
【0038】
口内に気管内チューブ保護器1の筒状部材2の先端側が挿入されたとき、下向きに緩やかに曲がる舌抑制片7の下面が舌cの上側に当接して上側から押さえるような状態となり、舌cが口内で自由に動くのを舌抑制片7は抑制する。舌cの自由な動きが抑制されるので、動く舌cによって誤って気管内チューブaや吸引カテーテルbを動かすことがない。
【0039】
筒状部材2の先端側を口内の丁度よい位置に挿入した後、使用者は上下の歯で筒状部材2の上下両面を噛んで、動かないようにする。また、片手で筒状部材2の口より外側に出ている筒状部材2の線状小突起4を片手で握って前後に動かないようにする。口から外側に出ている気管内チューブaの一部を前部及び後部ストッパー突起片51、52の側面に形成された前後の係合蟻溝6の各溝開口部61からその内部にそれぞれ押し込んで係合させる。
【0040】
気管内チューブaの一部を前後の係合蟻溝6に係合させた後、体内に挿入している気管内チューブaが前後に動いたりしないように、歯と片手で口内に動かないように固定されている筒状部材2の側面に粘着テープを使って固定する。前部及び後部ストッパー突起片51、52の側面に形成された前後の係合蟻溝6の間の部分に位置する気管内チューブaの外側の側面を粘着テープで押さえるようにして、前後の係合蟻溝6の間の側周面回りに粘着テープを何度も巻いて、筒状部材2のガイド溝3に沿って取り付けられている気管内チューブaを筒状部材2に固定する。
【0041】
これで、気管内チューブaは筒状部材2と一体なり、筒状部材2を口内で動かさない限り、体内に挿入した気管内チューブaが体内から抜け出ることはなく、気管内チューブaはこの気管内チューブ保護器1によって安定した状態で保護されることになる。
【0042】
また、緊急時に吸引カテーテルbを体内に挿入して体内の異物を吸引する必要が生じた場合には、筒状部材2の中央に穿設された貫通孔21を利用して吸引カテーテルbを体内に挿入する。挿入は、吸引カテーテルbの先端を貫通孔21に差し込んで徐々に押し込むことで吸引カテーテルbは喉を通って体内に挿入される。
【0043】
なお、この発明は上記発明を実施するための形態に限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 気管内チューブ保護器
2 筒状部材
21 貫通孔
3 ガイド溝
4 線状小突起
5 ストッパー突起片
51 前部ストッパー突起片
52 後部ストッパー突起片
52a 縦溝
52b 横溝
6 係合蟻溝
61 溝開口部
62 小突起
7 舌抑制片
a 気管内チューブ
b 吸引カテーテル
c 舌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯方向に向けて貫通孔が穿設された筒状部材の両側面に、その軸芯方向に向けて気管内チューブを沿わせるガイド溝をそれぞれ形成し、握ったときに滑り抵抗となる左右幅方向に横長な複数の線状小突起を上記筒状部材の上下両面にその軸芯方向に向けてそれぞれ並設し、筒状部材の先端側口内挿入時の通常位置で口の外側に位置するストッパー突起片を筒状部材の周回りに形成し、上記ガイド溝と同じ側となる上記ストッパー突起片の左右両側に口の外側に位置する気管内チューブの一部を係合する係合蟻溝をそれぞれ形成し、口内に挿入される筒状部材の先端下部に前方斜め下向きに緩やかに曲がる舌抑制片を形成したことを特徴とする気管内チューブ保護器。
【請求項2】
ストッパー突起片は前後に間隔をあけて2個形成されている請求項1記載の気管内チューブ保護器。
【請求項3】
筒状部材、ストッパー突起片及び舌抑制片は合成樹脂からなる請求項1記載の気管内チューブ保護器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−24393(P2012−24393A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167132(P2010−167132)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(510203773)有限会社アイエス (1)