説明

気管切開バルブユニット

患者の気管に挿入されている気管切開チューブと一緒に使用するようにされている気管切開バルブユニットは、気管切開チューブに接続される第1の端部と、バルブユニット入口を備えている第2の端部と、前記患者が息を吸うときにチューブへ空気が流れるようにし、かつ、前記患者が息を吐くときにチューブからの空気の流れを遮り、これによって話すことができるようにする、第1のバルブと、呼息時の胸腔内圧が約12cm HOよりも大きいときに、空気がチューブから逆にバルブユニットを通って流れるようにする、第2のバルブと、を備えている。第2のバルブは、容認性と着用時の快適性を高める圧力解放バルブとして機能する。1つの実施形態においては、第2のバルブは、スリットバルブまたは傘型バルブを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の気管に挿入される気管切開チューブと一緒に使用するように適合される気管切開バルブユニットに関する。より詳細には、本発明は、患者が息を吸うときにバルブユニットを通って空気が流れるのを可能にし、かつ、患者が息を吐くときにバルブユニットを通る空気の流れを遮り、話すことを可能にする、第1のバルブと、呼息時の胸腔内圧を低減させ、快適性を向上させる第2の圧力解放バルブと、を含んでいる、気管切開バルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
話すことは、通常は、呼息時に空気流が声帯を通ることによって行われるが、気管切開チューブを装着している人は、話すことが困難なことがしばしばある。気管切開チューブが存在している場合、呼息時の空気は、声帯を通るのではなく、主として気管切開チューブを通じて吐き出される。この問題を克服する目的で、気管切開チューブの入口に一方向気管切開バルブ(またはスピーキングバルブ)を配置することができる。これによって、バルブを通じて気管切開チューブの中に空気を吸い込むことができるが、吐いた空気は気管切開チューブを逆に流れてバルブから出ることができない。この場合、空気は気管切開チューブ付近にとどまるか、またはチューブに窓が形成されている場合(fenestrated)、空気はチューブの軸を通り声帯を通って吐き出され、これにより話すことができる。また、これに対応して呼息時に声門下圧が上昇するため、嚥下と咳も容易になる。
【0003】
米国特許第4,759,356号(Muir、公開日:1988年7月26日)は、患者が息を吸うとき以外の空気の流れを阻止する、このような一方向気管切開バルブを開示している。これは、可撓性のダイアフラムをリベット構造を使用して弁座にに対し傾けることによって達成されている。これにより、呼吸周期の呼息段階中と、呼吸周期の吸入段階の開始時および終了時とに、バルブは完全に閉じている。
【0004】
米国特許第4,582,058号(Depelら、公開日:1986年4月15日)は、通常の呼吸中は開いたままであり、話すときに通常に空気が流れるときに閉じる、スプリングによって偏った状態にされるメインバルブ、を含んでいる気管切開バルブアセンブリを開示している。このバルブアセンブリは、個別の外部リリーフバルブを含んでおり、このバルブは、通常の呼吸中と話すときには閉じており、咳などに起因してバルブアセンブリ内の空気圧が相当に上昇すると開いて空気圧を解放する。このリリーフバルブは、バルブアセンブリ内の空気圧が下がると自動的に閉じる。
【0005】
しかしながら、気管切開チューブを装着している人の一部、特に子供は、スピーキングバルブに堪えることができず、なぜなら、気道がチューブによって大きく遮られているために、一方向バルブを通じて吸い込んだ空気を完全かつ気持ちよく吐き出すことができないためである。この原因は、気管上部(upper tracheal)または声門下の狭窄、開口部の崩壊(suprastomal collapse)、あるいは、気管切開チューブが大きすぎることである。これらの条件下では、吸い込んだ空気の排出が限定され、窒息感が生じたり、呼息時に胸腔内圧が上昇することがある。これが原因で、スピーキングバルブがずれたり、あるいは胸腔内圧が慢性的に上昇することがあり、それにより静脈血の心臓への戻りに悪影響が及んだり、肺高血圧症に罹患しやすくなることがある。
【0006】
従って、吸い込んだ空気を完全かつ気持ちよく吐き出すことができ、かつ呼息時におけ
る胸腔内圧の過度な上昇を防止し、その一方で、使用者が話をできるだけの十分な圧力を維持する、気管切開バルブユニットのニーズが存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一面において、本発明は、 患者の気管に挿入される気管切開チューブと協働するように適合される気管切開バルブユニットであって、
(a)前記気管切開チューブの自由端に接続するように適合される第1の端部と、
(b)バルブユニット入口を備える第2の端部と、
(c)前記患者が息を吸うときに、前記バルブユニット入口から前記バルブユニットを通って前記患者の気管内の前記チューブに空気が流れるのを可能にし、かつ、前記患者が息を吐くときに、前記チューブから前記バルブユニットを通る空気の流れを遮る、第1のバルブと、
(d)呼息時の胸腔内圧が約12cmHOよりも大きいとき、好ましくは約10cmHOよりも大きいときに、前記チューブから前記バルブユニットを通って前記バルブユニットの外へ空気が流れるのを可能にし、かつ、呼息時の前記胸腔内圧が約3cmHO未満であるとき、好ましくは約4cm撓HO未満であるとき、そのような空気の流れを遮る、第2のバルブと、
を備えている、気管切開バルブユニット、に関する。
【0008】
別の面においては、本発明は、患者の気管に挿入される気管切開チューブと協働するように適合される気管切開バルブユニットであって、
(a)前記気管切開チューブの自由端に接続するように適合される第1の端部と、
(b)バルブユニット入口を備える第2の端部と、
(c)前記患者が息を吸うときに、前記バルブユニット入口から前記バルブユニットを通って前記患者の気管内の前記チューブに空気が流れるのを可能にし、かつ、前記患者が息を吐くときに、前記チューブから前記バルブユニットを通る空気の流れを遮る、第1のバルブであって、台座環と、薄い可撓性ダイアフラムと、前記ダイアフラムを前記台座環に結合するリベットと、を含み、前記ダイアフラムは、前記台座環に対して傾けられ、それにより前記台座環との確実な密閉状態を形成し、前期リベットは前記ダイアフラムを傾けて前記台座環に密着させるような長さを有する、前記第1のバルブと、
(d)呼息時の前記胸腔内圧が約12cmHOよりも大きいとき、好ましくは約10cmHOよりも大きいときに、前記チューブから前記バルブユニットを通って前記バルブユニットの外へ空気が流れるのを可能にし、かつ、呼息時の前記胸腔内圧が約3cmHO未満であるとき、好ましくは約4cmHO未満であるときに、そのような空気の流れを遮る、第2のバルブであって、前記リベットの軸径穴に配置されているスリットバルブまたは傘型バルブを備えている、前記第2のバルブと、
を備えている、気管切開バルブユニット、に関する。
【0009】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読み進めることによって、深く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の気管切開バルブユニットは、患者の気管に挿入される気管切開チューブと協働するように適合される。このバルブユニットは、気管切開チューブの自由端に接続される第1の端部と、バルブユニット入口を備えている第2の端部と、患者が息を吸うときに患者の気管内のチューブへ空気が流れるのを可能にし、かつ、患者が息を吐くときにチューブからバルブユニットを通る空気の流れを遮る、第1のバルブと、呼息時の胸腔内圧が約12cmHOよりも大きいときに、チューブからバルブユニットを通って空気が流れるのを可能にし、かつ、呼息時の胸腔内圧が約3cmHO未満であるときに、そのような
空気の流れを遮る、第2のバルブと、を備えている。
【0011】
本発明において使用するのに適するこのような第1の端部、第2の端部、および第1のバルブを備えている気管切開バルブユニットは、この分野において公知であり、例えば、米国特許第4,759,356号(Muir)、米国特許第3,924,637号(Swanson)、米国特許第4,582,058号(Depelら)、米国特許第5,392,775号(Adkins,Jr.ら)に開示されている。しかしながら、これらの気管切開バルブユニットは、本発明におけるような第2のバルブを含んでおらず、従って、気管切開チューブによって気道が大きく遮られているために第1のバルブを通じて吸い込んだ空気を完全かつ気持ちよく吐き出すことができない人にとっては、耐えられないことがある。
【0012】
本発明における第2のバルブは、胸腔内圧の過度な上昇を防止する目的で、制御された方法で呼息時に空気をバルブユニットから漏出させることができる。この圧力解放バルブは、一般には、呼息時の胸腔内圧として約3cmHO〜約12cmHOの範囲、より典型的には、約4cmHO〜約10cmHOの範囲、例えば、約5cmHO〜約10cmHOの範囲を維持する。呼息時の胸腔内圧は、携帯式圧力計を使用することによって患者側で測定することができ、または、本発明のバルブユニットをチューブの端部に取り付けた状態で、空気タンクから一定の絶え間ない空気流を閉じているチューブに供給することによってシミュレートすることができる。システムのいくつかのポイント(バルブユニットの手前および後ろ)に圧力計を配置し、圧力と、バルブユニットに流れ込む空気流および出て行く空気流とを測定する。第2のバルブは、一般には、約4cmHOの圧力にて開き、通常は、約12cmHO、典型的には約10cmHOの圧力にて完全に開く。本発明における第2のバルブは、以下のように、すなわち、約4cmHO未満の胸腔内圧においては実質的にバルブを通って空気は流れず、胸腔内圧が上昇するにつれてバルブを通る空気流が増していき(例:空気流が着実に増していく)、約12cmHO、典型的には約10cmHOの圧力において空気流が最大となるように、設計することができる。安静呼吸中の呼息時圧力は、一般には約10cmHOを超えず、また、話をするのに十分な力を伴って空気を声帯を通じて外に出すことができるように、約4cmHOより大きく、しばしば約5cmHOより大きい。
【0013】
1つの実施形態においては、本発明における第2のバルブは、スリットバルブ、例えばこの分野において公知のスリットバルブを備えている。スリットバルブは、内圧が所定の値を超えるとスリットの縁部が離れ、第2の所定値まで圧力が下がると縁部が再び近接する、単純な装置とすることができる。本発明の第2のバルブとして、または第2のバルブにおいて使用することのできる好適な一方向バルブは、米国特許第6,102,245号および第6,116,457号(Haberman)に記載されている。本発明の第2のバルブとして、または第2のバルブにおいて有用な他のスリットバルブは、米国特許第4,439,872号(Henley−Cohnら)と米国特許第4,763,803号(Schneiderら)に記載されている。ダックビルバルブ、例えば米国特許第5,392,775号(Adkins,Jr.ら)に記載されているダックビルバルブも、本発明における第2のバルブとして、または第2のバルブにおいて使用することができる。二方向スリットバルブ、例えば米国特許第5,201,722号(Mooreheadら)に記載されているスリットバルブも、第2のバルブとして、または第2のバルブにおいて使用することができ、同時に、患者が息を吸うときに空気のさらなる供給源を提供する。上記の特許文献は、本文書に参考とすることにより組み込まれている。
【0014】
別の実施形態においては、第2のバルブは、傘型バルブ、例えば米国特許第6,544,292号(Laghi)、米国特許第6,352,525号(Wakabayashi)、米国特許第6,024,120号(Yamら)、米国特許第6,409,967号(
McIntosh)に開示されている傘型バルブを備えており、これらの特許文献は、いずれも本文書に参考とすることにより組み込まれている。適する傘型バルブは、MiniValve International社からUM 070.002SDとして市販されている。
【0015】
1つの実施形態においては、第2のバルブは、本発明の第1のバルブとして、または第1のバルブにおいて使用される標準のスピーキングバルブの中心に配置されている。例えば、この分野において公知である標準のPassy−Muirスピーキングバルブを、(例えば直径が約2.5〜3mmである)大きなリベットによってバルブユニットの入口端部に固定することができ、このリベットは、円筒状の軸径穴が貫通しており、本発明における第2のバルブとして機能するスリットバルブまたは傘型バルブを備えている。これに代えて、第2のバルブは、本発明における第1のバルブとして使用されるスピーキングバルブの側面上に配置することができる。本発明における第2のバルブとして使用するスリットバルブは、標準のスピーキングバルブのダイアフラムと同じ材料、または類似する材料から作製することができ、材料の厚さとスリットの長さは、望ましい開弁圧および閉弁圧が得られるように選択する。また、傘型バルブのダイアフラムも、その材料および設計は、望ましい開弁圧および閉弁圧が得られるように選択する。
【0016】
本発明を深く理解できるように、最初に、図面のうち図1を参照する。図1は、本発明の気管切開バルブユニット10を、気管切開チューブアセンブリ22との関連において示している。
【0017】
1つの実施形態においては、バルブユニット10は、コネクタ12と、バルブ基部14と、支持部16と、ダイアフラム18(図3と図4に示してある)と、スリットバルブ21を含むリベット20と、を含んでいる。図3は、バルブアセンブリの断面図であり、これらの部分を示している。図1は、ダイアフラム18以外の各部を示した等角図である。
【0018】
図1に示したように、チューブアセンブリ22は、患者の気管に挿入される気管側端部24を有する。チューブアセンブリ22の他方の端部は、図3に示したように、バルブユニット10のコネクタ12に着脱式に固定されており、摩擦によって係合している。従って、この実施形態においては、コネクタ12は、バルブユニットの第1の端部であり、気管切開チューブの自由端に接続するようにされている。コネクタ12は、一般には、耐衝撃性のプラスチック材料によって作製し、その断面は図3に示すとおりである。1つの実施形態においては、コネクタ12の外径は約2.0cmである。
【0019】
コネクタ12は、図3に示したように、管状のバルブ基部14に嵌め込まれている。1つの実施形態においては、バルブ基部14は、コネクタ12と同じプラスチック材料で作製し、2つの部分を手で圧入して、メチルエチルケトンなどの溶剤によって接着する。別の実施形態においては、バルブ基部14の外径は約2.1cmであり、内径は約2.0cmであり、高さは約1.7cmである。コネクタ12は、一般には、バルブ基部14への圧入を容易にする目的で、わずかなテーパーを持つ。(気管切開チューブアセンブリ22の端部の受け入れを容易にする目的で、内側にもテーパーを持つこともでき、これについては後から説明する)
図2は、バルブユニット10の平面図を示しており、バルブ基部14の外側端部26、すなわち気管切開チューブアセンブリ22とは反対側の端部から見たときの図である。(以降では、外側端部26をバルブ基部14の近接端部と称することがある)これは、図3と図4における数字26を付された矢印に沿って見たときの視点である。バルブ基部14の外側端部26は、支持部16を備えており、この支持部16は、外側端部26を4つの空気ポート30に分割している4本のアーム状横材28を有する環状部材である。従って、この実施形態においては、外側端部26は、バルブユニット10の第2の端部であり、
空気ポート30を有するバルブユニット入口を備えている。横材28は、中央に円盤状の部材32を有し、この部材には軸穴34(図3に示してある)が貫通している。リベット20は、この軸穴を貫いている。リベット20は、円筒状の軸径穴20d(図3に示してある)と、入口端部におけるスリットバルブ21とを備えている。(図2、図3、図4では、見やすくする目的でリベット20とスリットバルブ21を誇張した大きさで示してある。)支持部16は、実質的にはバルブ基部ハウジングの水平壁であり、ハウジングの内壁から半径方向の内側へ延伸している。本発明の1つの実施形態においては、バルブ基部14は、支持部16および横材28と円盤状部材32とを、単一の一体ユニットとして含むように成形されている。
【0020】
図3と図4に示したように、支持部16は、空気ポート30(図2に示してある)の外周部付近に台座環36を有する。ダイアフラム18は、リベット20によって台座環36に押し付けられており、静止時(すなわち吸入と呼息のいずれも行われていないとき)と、小さな開弁圧のみがかかる吸入の段階中と、呼息中とに、確実な密閉状態を形成し、空気の流れを遮っている。
【0021】
ダイアフラム18は、リベット20によって支持部16に結合されている。1つの実施形態においては、ダイアフラム18は、サイラスティック材であり、厚さは、ダイアフラムの外径の約1/50である0.4mmであり、リベット20が貫通する軸穴を有する。例えば、ダイアフラムは、Dow Corning社の医療用サイラスティックなど、低モジュラスの透明なシリコンシートとすることができる。
【0022】
リベット20は、バルブ基部14およびコネクタ12と同じ材料によって作製することができる。図3と図4は、最終的な形状に圧縮された状態のリベットを示している。1つの実施形態においては、リベット20は、ヘッド20aとシャンク20bとを有し、シャンク20bは、ダイアフラムの軸穴と、シャンクを支持する円盤状部材32の軸穴34とに最初に挿入した時点での圧縮前の長さが約3mmである。圧縮後、シャンク20bの一部を「キノコ形状」にし、かしめ端部20cを形成する。(ヘッド20aは変化しない。)リベット20は、そのヘッド20aと、シャンク20bと、キノコ状端部20cとを完全に貫いている円筒状の軸径穴20dも有する。リベット20は、その入口端部、シャンク20c内にスリットバルブ21を含んでいる。1つの実施形態においては、スリットバルブ21は、ダイアフラム18に類似する材料、例えば、低モジュラスの透明なシリコン(例:Dow Corning社の医療用サイラスティック)で作製されている。一面においては、スリットバルブ21は、直径約1.5mm、厚さ約0.1mmである。そのスリットは、長さ約1.2mmである。
【0023】
本発明の1つの実施形態においては、ダイアフラム18は、以下の方法で、偏らせて閉じた状態にする。図3と図4に示したように、支持部16は、その内面上に、高くなった台座環36を有する。最初に、縦に配置される軸方向の「浮いたリベット」によって、ダイアフラム18を横材に固定する。これによって、ダイアフラムは、最初は、リベット上で縦方向に、すなわちバルブ基部14の中で軸方向に「浮いている」ことができる。リベットを圧縮し、ダイアフラムを偏らせて台座環36に密着させる。台座環は、横材28の内面に対してダイアフラムの方にわずかに高くなっている。リベットを大きく圧縮するほど、ダイアフラムが持ち上げられてバルブシートにしっかり密着する。これによって、ダイアフラムは傾き、呼息の開始時の空気流の漏れに対してより強く密着する。
【0024】
別の実施形態においては、弁座環36は、支持部16の内面から約0.4mm高くなっている。図3と図4に示したように、弁座環36の底面は、支持部16のそれ以外の底面、例えば横材28の底面より、約0.4mmの距離だけ下に延びている。従って、圧縮後のリベット20の軸方向遊びが約0.2mmである場合、リベットによって、ダイアフラ
ム18が弁座環36の方に約0.2mmだけプリロードされる。(図3に示したように、ダイアフラム18の上面と支持部16の横材28の底面との間の空隙が約0.2mmである場合、ダイアフラム18(厚さ約0.4mm)のうち約0.2mmの厚さを、弁座環36の底面より上、弁座環の中に囲まれている空間内に押し上げる必要がある。この状況が起こるのは、横材28の底面と弁座環36の底面との間の距離が約0.4mmであるためである。)すなわち、図4に示したように、ダイアフラム18の「中心部分」が、リベット20を囲んでいる付近の部分であると考えると、ダイアフラム18のこの中心部分の上部が、弁座環36の底部によって囲まれている空間の下部に押し込まれる。ダイアフラム18の厚さのうち約半分が、弁座環36の最下面を通って横に延びる想像面より上であり、ダイアフラム18の厚さの約半分が、この想像面より下である。ただし、図4では、ダイアフラム18を上記の空間内へ押し込む量は、構造を容易に把握することができるように、やや誇張してある。この量のプリロードの結果として、上述した約0.4mmのサイラスティックダイアフラムの場合、約8mm〜15mmの水頭に等しい偏りとなり、ダイアフラム18が弁座環36に完全に密着する。これによって、弁座環の全周にわたり連続的な確実な密着を維持する、効果的な密閉が形成される。
【0025】
リベット20の有効長は、調整可能なサポートを使用してリベットのヘッド20aをブロッキングし、それと同時に端部20cに熱かしめ処理を行うことによって、取り付け時に確立する。調整可能なサポートの調整によってリベット20を圧縮し、熱かしめ端部20cを形成し、これによって、ダイアフラムが支持部16に取り付けられて、ダイアフラム18がプリロードされる。かしめ機は、この目的用として、従来の技術を使用し、熱を約177℃±10℃に選択して設計することができる。次いで、スリットバルブ21をリベット20の入口端部に挿入して、軸径穴20dを覆うことができる。
【0026】
図3に戻る。この図に示したように、コネクタ12は、気管切開チューブアセンブリ22と摩擦によって係合する結合セクション38を有する。1つの実施形態においては、セクション38は、テーパー形状であり、このため、標準の15mmのハブを有し、かつ直径が約14.9〜15.4mmの範囲内である気管切開チューブに取り付けることができる。すなわち、テーパー形状の入口として、ポイントAにおける最初の内径が約15.5mmであり、ポイントBにおける円筒状ボアが約15.3mmであり、この円筒状ボアがポイントCまで続く、入口を備えることによって達成される。これによって、さまざまな気管切開チューブの場合に、外側から挿入する端部がバルブユニットにぶつかることなく、気管切開チューブが圧縮してハウジングが拡張することによりぴったりと摩擦により固定されるだけの十分な余地が残る。この特徴によって、一般的な標準気管切開チューブにバルブユニットを取り付けることができ、従って、本発明は、任意の特定のタイプの気管切開チューブと組み合わせての使用に限定されない。本発明は、インライン呼吸器(in-line respirators)と一緒に使用することもでき、容認性と快適性が向上する一方で、話すこともできる。
【0027】
使用時、気管切開チューブアセンブリ22の気管側端部24を、患者の喉頭の下の頚部気管切開開口に挿入し、患者の気管まで入れる。上述したように、気管切開バルブユニット10は、チューブアセンブリ22の自由端に着脱式に取り付けらる。患者が息を吸うとき、ダイアフラム18が開き、空気が空気ポート30を通って流れることができる。このように、第1のバルブは、空気がバルブユニット入口からバルブユニットを通って患者の気管内のチューブに流れることができるようにする。患者が息を吐くとき、ダイアフラム18が閉じ、この第1のバルブは、チューブからバルブユニットを経て外気までの空気の流れを遮る。これにより、空気流は、喉頭および喉頭蓋の方向における上方、洞および口に導かれ、これにより話すことができる。しかしながら、呼息中の胸腔内圧が約12cmHOよりも大きいときには、第2のバルブ(この場合にはスリットバルブ21)が開き、空気は気管切開チューブアセンブリ22から逆にバルブユニット10を経てバルブユニ
ット入口から流れ出ることができる。1つの実施形態においては、スリットバルブ21は、呼息中の胸腔内圧が約4cmHOに達したときに開き始め、胸腔内圧が約10cmHOに達したときに完全に開く。従って、本発明のバルブユニットは、快適性を高め、また、気道が大きく遮られるために第1のバルブを通じて吸い込んだ空気を完全かつ気持ちよく吐き出すことができないという理由でスピーキングバルブに耐えることができない人が、スピーキングバルブに耐えられるようにする。
【0028】
図5は、代替のバルブユニット40の平面図であり、バルブ基部44(図6に示してある)の外側端部56、すなわち気管切開チューブアセンブリとは反対側の端部からバルブユニットを見たときの図である。これは、図6に対応する矢印56に沿って見たときの視点である。バルブユニット40は、バルブ基部44(図6に示してある)と、支持部46と、ダイアフラム48(図6に示してある)と、傘型バルブ68を備えているリベット50とを備えている。図6は、バルブアセンブリの断面図であり、上記の部分とチューブアセンブリ52とを示している。チューブアセンブリ52の先端部は、図6に示したように、バルブ基部44に着脱式に取り付けられており、摩擦によって係合している。バルブ基部44は、一般には、耐衝撃性のプラスチック材料によって作製する。1つの実施形態においては、バルブ基部44は、チューブアセンブリ52の先端部と係合する位置での外径が約2.0cmである。バルブ基部44は、一般には、チューブアセンブリ52の端部の受け入れを容易にする目的で、支持部46とは反対側の端部にわずかな外向きのテーパーを有する。
【0029】
バルブ基部44の外側端部56は、支持部46を備えており、これは、外側端部56の内側を3つの空気ポート60に分割している3本のアーム状横材58を有する環状部材である。従って、この実施形態においては、外側端部56は、バルブユニット40の第2の端部であり、空気ポート60を有するバルブユニット入口を備えている。横材58は、リベット50に結合されており、リベット50は、バルブユニット40の中心部分を形成している。リベット50は、円筒状の軸径穴50d(図6に示してある)を備えている。リベット50の入口端部には、傘型バルブ68が取り付けられている。(図5および図6では、見やすくする目的でリベット50と傘型バルブ68を誇張した大きさで示してある)支持部46は、実質的にはバルブ基部ハウジングの水平壁であり、ハウジングの内壁から半径方向内側へ延在している。本発明の1つの実施形態においては、バルブ基部44は、支持部46、横材58、およびリベット50を、単一の一体ユニットとして含むように成形されている。
【0030】
図6に示したように、支持部46は、空気ポート60の外周部付近に台座環66を有する。ダイアフラム48は、リベット50によって台座環66に押し付けられており、静止中(すなわち吸入と呼息のいずれも行われていないとき)と、小さな開弁圧のみがかかる吸入の段階中と、呼息中とに、確実な密閉状態を形成し、空気の流れを遮っている。
【0031】
ダイアフラム48は、リベット50によって支持部46に結合されている。1つの実施形態においては、ダイアフラム48は、サイラスティック材であり、厚さは、ダイアフラムの外径の約1/50である約0.4mmであり、リベット50が貫通する軸穴を有する。例えば、ダイアフラムは、Dow Corning社の医療用サイラスティックなど、低モジュラスの透明なシリコンシートとすることができる。
【0032】
リベット50は、バルブ基部44と同じ材料によって作製することができる。1つの実施形態においては、リベット50は、ヘッド50aとシャンク50bとを有し、シャンク50bは、最初の形成時の長さが約3mmである。リベット50は、そのヘッド50aとシャンク50bとを貫いている円筒状の軸径穴50dと、端部50cも有する。端部50dは、複数の(例:図5に示したように6つの)円筒状の軸径穴50eを備えており、傘
型バルブ68が開いた位置のときに空気がこれらの穴を通って流れる。端部50dは、円筒状の軸径穴50fも備えており、傘型バルブ68のステム70がこの穴を貫通している。傘型バルブ68は、傘の形状の凸状シーリングダイアフラム72も備えており、このダイアフラムは、リベット50の外側端部(すなわちチューブアセンブリ52とは反対側の端部)に押し付けられている。ダイアフラム72は、図6に示したように、横に延在しており、傘型バルブ68が閉位置のときに円筒状の軸径穴50eの上を完全に覆う。1つの実施形態においては、傘型バルブ68は、弾性材料、例えば、低モジュラスの透明なシリコン(例:Dow Corning社の医療用サイラスティック)で作製されている。傘型バルブ68のステム70は、ダイアフラム72の中心部分がリベット50の外側端部に接触するまで軸径穴50fを通じて引っ張ることができるように、テーパー形状を持つ。ステム70の隆起部74は、傘型バルブ68を所定の位置にぴったりと保持し、リベット50から簡単に外れることを防いでいる。1つの実施形態においては、傘型バルブ68のダイアフラム72は、直径約1.5mm、縁部における厚さ約0.1mmであり、ステム70は、長さ約5mm、自由端部における直径約2.3mmである。別の実施形態においては、各軸径穴50eおよび50fは、直径約1.5mmである。
【0033】
本発明の1つの実施形態においては、ダイアフラム48は、以下の方法で、偏らせて閉じた状態にする。図6に示したように、支持部46は、その内面上に、高くなった台座環66を有する。ダイアフラム48は、最初に、リベット50のヘッド50aからすべらせて挿入し、シャンク50b沿いの所定の位置に配置する。これにより、ダイアフラム48は、最初、リベット上で縦方向に、すなわちバルブ基部44の中で軸方向に「浮いている」ことができる。リベットを圧縮し、ダイアフラム48を偏らせて台座環66に密着させる。台座環は、横材58の内面に対してダイアフラムの方にわずかに高くなっている。リベットを大きく圧縮するほど、ダイアフラムがバルブシートにしっかり密着する。これによって、ダイアフラムは偏り、呼息の開始時の空気流の漏れに対してより強く密着する。
【0034】
別の実施形態においては、弁座環36は、支持部46の内面から約0.4mm高くなっている。図6に示したように、弁座環66の底面は、支持部46のそれ以外の底面、例えば横材58の底面より、約0.4mmの距離だけ下に延びている。従って、圧縮後のリベット50の軸方向遊びが約0.2mmである場合、リベットによって、ダイアフラム48が弁座環66の方に約0.2mmだけプリロードされる。(図6に示したように、ダイアフラム48の上面と支持部46の横材58の底面との間の空隙が約0.2mmである場合、ダイアフラム48(厚さ約0.4mm)のうち約0.2mmの厚さを、弁座環66の底面より上、弁座環の中に囲まれている空間内に押し上げる必要がある。この状況が起こるのは、横材58の底面と弁座環66の底面との間の距離が約0.4mmであるためである。)すなわち、図6に示したように、ダイアフラム48の「中心部分」が、リベット50を囲んでいる付近の部分であると考えると、ダイアフラム48のこの中心部分の上部が、弁座環66の底面によって囲まれている空間の下部に押し込まれる。ダイアフラム48の厚さのうち約半分が、弁座環66の最下面を通って横に延びる想像面より上であり、ダイアフラム48の厚さの約半分は、この平面より下である。ただし、図6では、ダイアフラム48を上記の空間内へ押し込む量は、構造を容易に把握することができるように、やや誇張してある。この量のプリロードの結果として、上述した約0.4mmのサイラスティックダイアフラムの場合、約8mm〜15mmの水頭に等しい偏りとなり、ダイアフラム48が弁座環66に完全に密着する。これによって、弁座環の全周にわたり連続的な確実な密着を維持する、効果的な密閉が形成される。
【0035】
リベット50の有効長は、調整可能なサポートを使用してリベットのヘッド50aを支持し、それと同時に端部50cに熱かしめ処理を行うことによって、取り付け時に確立する。調整可能なサポートの調整によってリベット50を圧縮し、これによって、ダイアフラムが支持部46に取り付けられて、ダイアフラム48がプリロードされる。かしめ機は
、この目的用として、従来の技術を使用し、熱を約177℃±10℃に選択して設計することができる。次いで、傘型バルブ68を、軸径穴50fの入口端部に挿入することができる。
【0036】
使用時、気管切開チューブアセンブリ52の気管側端部を、患者の喉頭の下の頚部気管切開開口に挿入し、患者の気管まで入れる。上述したように、気管切開バルブユニット40は、チューブアセンブリ52の自由端に着脱式に取り付けられている。患者が息を吸うとき、ダイアフラム48が開き、空気が空気ポート60を通って流れることができる。このように、第1のバルブは、空気がバルブユニット入口からバルブユニットを通って患者の気管内のチューブに流れることができるようにする。吸入中、ダイアフラム72は、平らになってリベット50の外側端部に密着し、空気が傘型バルブ68を通って流れことを防止する。患者が息を吐くとき、ダイアフラム48が閉じ、この第1のバルブは、チューブからバルブユニットを経て外気までの空気の流れを遮る。これにより、空気流は、喉頭および喉頭蓋の方向における上方、洞および口に導かれ、これにより話すことができる。しかしながら、呼息中の胸腔内圧が約12cmHOよりも大きいとき、ただし一般には後述するようなこれより低い圧力よりも大きいときに、ダイアフラム72の少なくとも縁部がリベット50から持ち上がるのに十分な力が圧力によって生じ、空気は軸径穴50eを通って傘型バルブ68から出ることができる。この構造においては、傘型バルブ68が開くと、空気は気管切開チューブアセンブリ52から逆にバルブユニット40を経てバルブユニット入口から流れ出ることができる。1つの実施形態においては、傘型バルブ68は、呼息中の胸腔内圧が約3cmHO、より典型的には約4cmHOに達したときに開き始め、胸腔内圧が約12cmHO、より典型的には約10cmHOに達したときに完全に開く。別の実施形態においては、傘型バルブは、呼息中の胸腔内圧が約4cmHOに達したときに開き始め、約12cmHO、より典型的には約10cmHOの圧力において完全に開くまで、胸腔内圧が上昇するにつれてバルブを通る空気流を増大させることができる(例:空気流が着実に増していく)。従って、本発明のバルブユニットは、快適性を高め、また、気道が大きく遮られるために第1のバルブを通じて吸い込んだ空気を完全かつ気持ちよく吐き出すことができないという理由でスピーキングバルブに耐えることができない人が、スピーキングバルブに耐えられるようにする。
【0037】
図7は、本発明の別のバルブユニット80の平面図であり、バルブ基部の外側端部からバルブユニットを見たときの図である。バルブユニット80は、図5および図6に示したバルブユニット40に似ているが、第2のバルブが6つの円筒状の軸径穴50eを備えている代わりに、バルブユニット80は、腎臓の形の3つの軸径穴82を備えており、この穴を通じて過度の胸腔内圧が解放される。
【0038】
本発明のさまざまな実施形態を説明、例示したが、本発明の範囲は、記載内容に限定されない。この分野における通常の技術を有する者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および修正を考案することができるであろう。特に、当業者には、本発明の望ましい効果が達成される別の手段、すなわち、吸入するための空気を取り入れることができ、その一方で呼息中の気管内の過度の圧力上昇を防止する別の手段、を設けることができるであろう。本発明は、そのような結果を達成する方法と、そのような結果を達成するように設計されている構造とを含むものとする。
【0039】
本明細書において使用されている用語「備えている」は、さまざまな構成要素、機能、および/またはステップを本発明において共同的に採用できることを意味する。従って、用語「備えている」は、より制限的な語「本質的に〜から構成されている」および「〜構成されている」を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の気管切開バルブユニットとそれに付随する気管切開チューブアセンブリの組立分解等角図である。
【図2】図1のバルブユニットの平面図であり、側面から外気の方(すなわち本装置を使用している患者の外側)の方にバルブユニットを見たときの図である。
【図3】図2の線3−3に沿って切断したときのバルブユニットの断面図である。
【図4】図3の一部の(別の断面線に沿った)詳細な断面図であり、偏りを制御するリベットがダイアフラムを貫いて配置されている。この図では、特徴の理解を助ける目的で、バルブのダイアフラムの偏りおよび曲率を誇張して描いてある。
【図5】本発明の代替の気管切開バルブユニットの平面図であり、側面から外気(すなわち本装置を使用している患者の外側)の方にバルブユニットを見たときの図である。
【図6】図5の線6−6に沿って切断したときのバルブユニットの断面図である。
【図7】本発明の別の気管切開バルブユニットの平面図であり、側面から外気(すなわち本装置を使用している患者の外側)の方にバルブユニットを見たときの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気管に挿入される気管切開チューブと協働するように適合される気管切開バルブユニットであって、
(a)前記気管切開チューブの自由端に接続するように適合される第1の端部と、
(b)バルブユニット入口を備える第2の端部と、
(c)前記患者が息を吸うときに、前記バルブユニット入口から前記バルブユニットを通って前記患者の気管内の前記チューブに空気が流れるのを可能にし、かつ、前記患者が息を吐くときに、前記チューブから前記バルブユニットを通る空気の流れを遮る、第1のバルブと、
(d)呼息時の胸腔内圧が約12cmHOよりも大きいとき、好ましくは約10cmHOよりも大きいときに、前記チューブから前記バルブユニットを通って前記バルブユニットの外へ空気が流れるのを可能にし、かつ、呼息時の前記胸腔内圧が約3cmHO未満であるとき、好ましくは約4cm撓HO未満であるとき、そのような空気の流れを遮る、第2のバルブと、
を備えている、気管切開バルブユニット。
【請求項2】
台座環と、薄い可撓性ダイアフラムであって、好ましくはシリコーンシート材料で作製されており、前記台座環に対して傾けられ、それにより前記台座環との確実な密閉状態を形成する、ダイアフラムと、を備える、請求項1に記載のバルブユニット。
【請求項3】
前記ダイアフラムは、8mm〜15mmの水頭圧力によって前記弁座環に傾けられる、請求項2に記載のバルブユニット。
【請求項4】
前記ダイアフラムを前記台座環に結合するリベットであって、前記ダイアフラムを前記台座環に対して傾けるような長さを有する、リベット、を備えている、請求項2または3に記載のバルブユニット。
【請求項5】
前記リベットが、自身を貫通する軸径穴を有し、かつ、前記第2のバルブを備えている、請求項4に記載のバルブユニット。
【請求項6】
前記第2のバルブがスリットバルブまたは傘型バルブを備えている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルブユニット。
【請求項7】
前記第2のバルブが、呼息中の前記胸腔内圧が4cmHOであるときに開き始めて、前記チューブから前記バルブユニットを通って前記バルブユニットの外へ空気が流れるのを可能にし、かつ、呼息中の前記胸腔内圧が10cmHOであるときに完全に開く、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバルブユニット。
【請求項8】
患者の気管に挿入される気管切開チューブと協働するように適合される気管切開バルブユニットであって、
(a)前記気管切開チューブの自由端に接続するように適合される第1の端部と、
(b)バルブユニット入口を備える第2の端部と、
(c)前記患者が息を吸うときに、前記バルブユニット入口から前記バルブユニットを通って前記患者の気管内の前記チューブに空気が流れるのを可能にし、かつ、前記患者が息を吐くときに、前記チューブから前記バルブユニットを通る空気の流れを遮る、第1のバルブであって、台座環と、薄い可撓性ダイアフラムと、前記ダイアフラムを前記台座環に結合するリベットと、を含み、前記ダイアフラムは、前記台座環に対して傾けられ、それにより前記台座環との確実な密閉状態を形成し、前期リベットは前記ダイアフラムを傾けて前記台座環に密着させるような長さを有する、前記第1のバルブと、
(d)呼息時の前記胸腔内圧が約12cmHOよりも大きいとき、好ましくは約10cmHOよりも大きいときに、前記チューブから前記バルブユニットを通って前記バルブユニットの外へ空気が流れるのを可能にし、かつ、呼息時の前記胸腔内圧が約3cmHO未満であるとき、好ましくは約4cmHO未満であるときに、そのような空気の流れを遮る、第2のバルブであって、前記リベットの軸径穴に配置されているスリットバルブまたは傘型バルブを備えている、前記第2のバルブと、
を備えている、気管切開バルブユニット。
【請求項9】
前記ダイアフラムが低モジュラスのシリコーンシート材料で作製されている、請求項8に記載のバルブユニット。
【請求項10】
前記第2のバルブが、呼息中の前記胸腔内圧が4cmHOであるときに開き始めて、前記チューブから前記バルブユニットを通って前記バルブユニットの外へ空気が流れるのを可能にし、呼息中の前記胸腔内圧が10cmHOであるときに完全に開く、請求項8または9に記載のバルブユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−509601(P2006−509601A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565463(P2004−565463)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/039786
【国際公開番号】WO2004/060438
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(500469235)チルドレンズ ホスピタル メディカル センター (40)