説明

水のう

【課題】 水の流れの速い場所にも有効に使用することのできる水のうを提供する。
【解決手段】 外袋2の内側に、吸水樹脂4を入れた内袋3が設けられ、この内袋3内には、鉄粒等を封入した重し袋5が入れられて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸水被害防止用等に用いることのできる水のうに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように、内部に吸水樹脂を入れた水のうが存在する。
【特許文献1】特開2003−129439号公報
【特許文献2】特開2004−092224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の水のうでは、内部の吸水樹脂に水を吸水させて膨らませた状態で使用することができるものとなっているが、例えば水の流れの速い場所で使用するような場合には、水流で流されてしまい、水のうとしての役割を果たすことができない場合が生ずるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、水の流れの速い場所にも有効に使用することのできる水のうを提供するものであり、その請求項1は、外袋の内側に、吸水樹脂を入れた内袋が設けられ、該内袋内には、重し袋が入れられていることである。
【0005】
また請求項2は、前記重し袋内には、鉄粒が封入されてなることである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水のうは、外袋の内側に、吸水樹脂を入れた内袋が設けられ、該内袋内には、重し袋が入れられていることにより、内袋内の吸水樹脂に吸水させて膨らませて使用することができ、しかも内袋内には重し袋が入れられているため、水の流れの速い場所に設置して使用する場合にも、重し袋の作用で水の流れに対抗して移動することがなく、良好に浸水等を防止できるものとなる。
【0007】
また、前記重し袋内には、鉄粒が封入されてなることにより、比重の重い鉄粒で重さを確保することができ、しかも鉄粒は安価であるため、水のう全体を安価なものとすることができる。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、水のうの分解斜視図であり、また図2は、膨らませて使用する状態の断面構成図である。
【0009】
図において、水のう1は、外袋2と内袋3と重し袋5で構成されており、外袋2は縦60cm、横40cmの麻袋で構成され、開口側から内部に内袋3を入れることができるものである。
内袋3は、通水性の不織布で構成されており、例えばポリエステル長繊維あるいはスパンポンドで袋状に形成されている。
この内袋3内には、約170gの吸水樹脂4が封入されており、ミシン目3aで封止されている。
【0010】
なお、吸水樹脂4は、粉状あるいは粒状のものであり、均一に内袋3内全体に分散されるように構成されている。
なお、吸水樹脂4は、例えば三洋化成工業株式会社製の超膨張高吸水性ポリマー等を使用することができ、吸水樹脂4は、水に漬けると水を吸水して約3分で16kg程度の重さとなるように内袋3内に封入されている。
【0011】
また、この吸水樹脂4とともに、内袋3内には重し袋5が封入されるものであり、この重し袋5内には、3mm以下の粒径の鉄粒6が約500g入れられている。
なお、鉄粒6は、外周に鋭利な凸部の存在しない角が丸いものが使用されている。
【0012】
このように、内袋3内に吸水樹脂4と重し袋5を入れてミシン目3aで封止させ、この内袋3を外袋2内に入れて、外袋2をミシン目2aで封止して保管しておくことができ、使用する際には、全体を水に漬けると、吸水樹脂4が吸水して約3分で全体が16kg程度の水のう1となり、この水のう1は、例えば家屋や店舗等の浸水を防ぐ際に用いることができ、また地下鉄や地下階段への流水防止にも用いることができ、道路の冠水時の水の迂回処理等に用いることができるものであり、土は不要であり、手で持ち易く扱い易いものである。
特に、水の流れの速い場所等で使用する場合には、内部に重し袋5が入っているために、水流に抗して移動することがなく、水の流れの速い場所に使用して水を堰き止めることができるものである。
【0013】
なお、水のう1の吸水樹脂4に吸水させる際に、吸水樹脂4が吸水するとゲル状の状態となり、除々に内袋3内で膨張し、この膨張力により重し袋5が良好に図2のように中央部に配置されるのが確認されており、そのため、重し袋5は、内部で水のうの中央部に位置して、良好に重しの役割を果たすことができるものである。
【0014】
水のう1は更には、マンホールや排水溝内に入れて、内部の水を吸水樹脂4に吸水させて排水溝内の除水等に用いることもでき、また、ゴルフ場や競技場等において、吸水させて良好に除水させるために用いることもできるものである。
更には、吸水させた状態で、火災現場等で積み上げて防火壁として延焼を防ぐために用いることもでき、火を通さないために良好な防火壁の役目を果たすことができるものである。
【0015】
なお、水のう1は、吸水した状態で屋内等の陽の当たらない場所に保管して再使用することもできるが、直射日光にさらしておくと除々に水分が蒸発して、内部の水分を除くこともでき、更に、急速に内部の水分を除きたい場合には、塩化カルシウム水溶液の濃度10〜20%程度のものを注ぐと、吸水樹脂4に吸水されている水が外側に放出されて、急速に乾燥させることができるものとなる。
乾燥させた状態で保管しておくこともでき、また、乾燥後に焼却処理することもでき、焼却処理をする場合でも有害物質は発生しないものであり、環境に優しいものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】水のうの構成部材の分解斜視図である。
【図2】水のうに吸水させて膨らませた状態の断面構成図である。
【符号の説明】
【0017】
1 水のう
2 外袋
2a ミシン目
3 内袋
3a ミシン目
4 吸水樹脂
5 重し袋
6 鉄粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外袋の内側に、吸水樹脂を入れた内袋が設けられ、該内袋内には、重し袋が入れられていることを特徴とする水のう。
【請求項2】
前記重し袋内には、鉄粒が封入されてなることを特徴とする請求項1に記載の水のう。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−46250(P2007−46250A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228938(P2005−228938)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(501282785)有限会社オダカコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】