説明

水の殺菌装置およびそれを備えた浄水器

【課題】捨て水の発生を防止し且つ電力の消費を抑制した水の殺菌装置およびそれを備えた浄水器を提供する。
【解決手段】殺菌装置91およびそれを備える浄水器100は、水を流通させる流路8と、流路8を流れる水の流量を検知する流量検知部31と、流路8において流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側を流れる水に紫外線を照射する紫外線ランプ4と、紫外線ランプ4の点灯または非点灯を判断する点灯判断部としての紫外線検知部34と、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側に配置された電磁弁51と、流量検知部31による検知の結果に基づいて紫外線ランプ4を制御し、且つ、紫外線検知部34による検知の結果に基づいて電磁弁51を制御するマイコン33とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線による水の殺菌装置およびそれを備えた浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−160165号公報(特許文献1)には、懸濁物質を有する被処理水をろ過して懸濁物質を除去した後に、当該ろ過水に紫外線を照射することにより、水中のウイルスを除去及び分解する方法が記載されている。
【0003】
特開2007−160165号公報(特許文献1)に係る装置において、被処理水貯槽に1次貯留した被処理水を送水ポンプでろ過器に送水して被処理水をろ過した後に、さらに送水ポンプで紫外線照射槽に送水して紫外線ランプを用いて紫外線を照射することにより、処理水を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−160165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紫外線ランプを備えた殺菌装置において、例えば、冬場等の寒い時期において紫外線ランプが冷えている場合、または、紫外線ランプが冷たい水の中に設置されている場合には、紫外線ランプが点灯を開始するときに比較的長い時間を要する。すなわち、このような場合には、紫外線ランプが点灯しにくい。
【0006】
そのため、冬場等の寒い時期において紫外線ランプが冷えている場合、または、紫外線ランプが冷たい水の中に設置されている場合には、殺菌装置が始動を開始した直後に、紫外線ランプの点灯が不十分なままであるような事態が起こることが想定される。このようなときに殺菌装置から供給される水は、殺菌が不十分であると考えられる。殺菌が不十分であるような水は、殺菌装置の使用者に対して効果的に使用される水ではないため、いわゆる捨て水として扱われる。
【0007】
特開2007−160165号公報(特許文献1)に係る装置は、紫外線ランプの点灯または非点灯を検知または判断するセンサ等の手段を備えていない。そのため、紫外線ランプが点灯を開始する前に送水ポンプが送水を開始する場合には、紫外線による殺菌が施されていない水が装置から出水される可能性がある。殺菌されていない水は、使用者の用途に適さないため、捨て水が発生する。
【0008】
一方、捨て水を発生させないように、特開2007−160165号公報(特許文献1)に係る装置において紫外線ランプを常に点灯させておくことが考えられる。しかしながら、このような場合には、送水ポンプが作動せずに被処理水が紫外線照射槽に送水されない間でも紫外線ランプを点灯させておくため、電力を無駄に消費してしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、捨て水の発生を防止し且つ電力の消費を抑制した水の殺菌装置およびそれを備えた浄水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従った水の殺菌装置は、水を流通させる流路と、流路を流れる水の流量を検知する流量検知部と、流路において流量検知部によって流量が検知される位置よりも下流側を流れる水に紫外線を照射する紫外線ランプと、紫外線ランプの点灯または非点灯を判断する点灯判断部と、流路において、流量検知部によって流量が検知される位置よりも下流側に配置された電磁弁と、流量検知部による検知の結果に基づいて紫外線ランプを制御し、且つ、点灯判断部による判断の結果に基づいて電磁弁を制御する制御部とを備えている。
【0011】
本発明によれば、流量検知部によって流路の水の流れが検知される場合に、制御部によって紫外線ランプを点灯させることができる。このように、本発明によれば、紫外線ランプを点灯させ続けることが無いため、電力の消費を抑制することができる。さらに、点灯判断部によって紫外線ランプの点灯が判断される場合に、電磁弁を開放させることにより、紫外線が照射されていない水が当該殺菌装置の外部に供給されることを防止することができる。このように、本発明によれば、当該殺菌装置から外部に供給される水を捨て水にすることが防止されている。
【0012】
したがって、本発明によれば、捨て水の発生を防止し且つ電力の消費を抑制した水の殺菌装置を提供することができる。
【0013】
本発明に従った水の殺菌装置において、点灯判断部は、紫外線ランプの点灯または非点灯を検知することによって紫外線ランプの点灯または非点灯を判断するものであることが好ましい。また、本発明に従った水の殺菌装置において、制御部は、流量検知部によって流路に水が流れていることが検知される場合に紫外線ランプを点灯させるように制御し、且つ、点灯判断部によって紫外線ランプが点灯していることが検知される場合に電磁弁を開放させることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、点灯判断部によって紫外線ランプの点灯が検知される場合に電磁弁を開放させることにより、紫外線が照射されていない水が当該殺菌装置の外部に供給されることを防止することができる。このように、この構成によれば、当該殺菌装置から外部に供給される水を捨て水にすることが防止されている。
【0015】
本発明に従った水の殺菌装置において、点灯判断部は、時間を計測するタイマと、温度を検知する温度検知部とを含んでいることが好ましい。また、点灯判断部は、紫外線ランプを点灯させるように制御部が制御した後に、タイマによって計測される時間が、温度検知部によって検知される温度に基づいて設定された所定の時間を経過した場合に、紫外線ランプが点灯していることを判断するものであることが好ましい。
【0016】
本発明に従った水の殺菌装置において、制御部は、流量検知部によって流路に水が流れていることが検知される場合に紫外線ランプを点灯させるように制御し、且つ、紫外線ランプを点灯させるように制御した後に紫外線ランプが点灯していることが点灯判断部によって判断される場合に、電磁弁を開放させることが好ましい。
【0017】
紫外線ランプが冷えている場合または紫外線ランプが冷たい水の中に設置されている場合には、紫外線ランプが点灯を開始するときに比較的長い時間を要する。そこで、この構成のように、制御部は、紫外線ランプを点灯させるように紫外線ランプを制御した後に、温度検知部によって検知される温度に基づいて設定された所定の時間が経過した場合に電磁弁を開放させる。紫外線ランプを点灯させるように制御部が紫外線ランプを制御した後に、所定の時間が経過した場合には、紫外線ランプが点灯していることが点灯判断部によって判断される。これにより、紫外線が照射されずに当該殺菌装置の外部に水が供給されることを防止することができる。このように、この構成によれば、当該殺菌装置から外部に供給される水を捨て水にすることが防止されている。
【0018】
本発明に従った水の殺菌装置においては、電磁弁は、流路において、紫外線ランプによって紫外線が照射される位置よりも上流側に配置されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、電磁弁が閉塞されている間に流路において電磁弁よりも上流側に止まっている水に、電磁弁が開放された後に紫外線を確実に照射することができる。言い換えると、この構成によれば、紫外線ランプが点灯した後に、流路を流れる水を紫外線が照射される位置に流すことができる。そのため、流路を流れる水は、紫外線が照射される位置に流れ着いたときには、紫外線ランプによる紫外線の照射を確実に受けることができる。したがって、この構成によれば、捨て水の発生を確実に防止することができる。
【0020】
本発明に従った水の殺菌装置においては、電磁弁は、流路において、紫外線ランプによって紫外線が照射される位置よりも下流側に配置されていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、電磁弁が閉塞されている間に流路において電磁弁よりも上流側に止まっている水は、紫外線ランプが点灯した後に電磁弁が開放されるまでに、紫外線の照射を少しでも多く受けることができる。そのため、より効果的に水を殺菌することができる。また、電磁弁よりも下流側の流路の長さを短縮させることができるため、流路に残った古い水の量を低減させることができ、捨て水の量を低減させることができる。
【0022】
本発明に従った水の殺菌装置は、時間を計測するタイマをさらに備えていることが好ましい。本発明に従った水の殺菌装置において、制御部は、点灯判断部によって紫外線ランプが点灯していることが判断された時点から、タイマによって計測される時間が所定の時間を経過した場合に、電磁弁を開放させることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、紫外線ランプが点灯した後でも電磁弁が閉塞されており、水の流れが止まっている。また、紫外線が照射される位置は、電磁弁が配置されている位置よりも流路の上流側である。そのため、水は、流れが止められている間に、少しでも多くの量の紫外線の照射を受けることができる。したがって、電磁弁が開放されたときには、紫外線ランプの照射を十分に受けた水が当該殺菌装置の外部に供給される。このように、この構成によれば、捨て水の発生を確実に防止することができる。
【0024】
本発明に従った水の殺菌装置においては、電磁弁は、流路において、紫外線ランプによって紫外線が照射される位置よりも下流側に配置されていることが好ましい。また、本発明に従った水の殺菌装置は、タンクをさらに備えていることが好ましい。タンクは、流路において、流量検知部によって流量が検知される位置よりも下流側且つ電磁弁が配置された位置よりも上流側に配置されていることが好ましい。本発明に従った水の殺菌装置において、紫外線ランプは、タンクに貯留された水に紫外線を照射するものであることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、紫外線の照射範囲をタンク内に限定させることができるため、紫外線ランプの性能を適宜容易に選定することができる。また、タンクに溜められた水は、紫外線の照射を比較的長い時間受けることができる。そのため、水をより効果的に殺菌することができる。
【0026】
本発明に従った水の殺菌装置は、複数の紫外線ランプを備えていることが好ましい。この構成によれば、紫外線ランプの寸法に応じて、流路のうち、紫外線が照射される部分の長さを延ばすことができる。そのため、電磁弁が開放されることによって紫外線が照射される位置に流れ着いた水は、比較的長い距離にわたって当該部分を流れる際に、紫外線の照射を十分に受けることができる。そのため、水をより効果的に殺菌することができる。
【0027】
本発明に従った水の殺菌装置において、流路のうち、紫外線ランプによる紫外線が照射される部分は、他の部分よりも長い時間を掛けて水が流れるように構成されていることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、紫外線が照射される部分を流れる水は、比較的長い時間を掛けて当該部分を流れるため、紫外線の照射を十分に受けることができる、そのため、水をより効果的に殺菌することができる。
【0029】
本発明に従った水の殺菌装置は、他の流量検知部をさらに備えていることが好ましい。他の流量検知部は、流路において紫外線ランプによって水に紫外線が照射される位置よりも下流側に配置され、流路を流れる水の流量を検知するものであることが好ましい。また、本発明に従った水の殺菌装置において、制御部は、他の流量検知部によって流量が検知されない場合に、紫外線ランプを消灯させるように制御することが好ましい。
【0030】
この構成によれば、紫外線が照射される位置よりも下流側において水の流れが検知されなくなってから、紫外線ランプが消灯される。そのため、当該殺菌装置の外部に供給される水に、最後まで紫外線を照射することができる。言い換えると、紫外線の照射を受けずに出水される水をなくすことができる。
【0031】
本発明に従った水の殺菌装置は、時間を計測するタイマをさらに備えていることが好ましい。また、本発明に従った水の殺菌装置において、制御部は、流量検知部によって流量が検知されない場合に、流量検知部によって流量が検知されないことが判断された時点から、タイマによって計測される時間が所定の時間を経過したときに、紫外線ランプを消灯させるように制御することが好ましい。
【0032】
この構成によれば、紫外線が照射される位置よりも上流側において水の流れが検知されなくなってから所定の時間が経過した後に、紫外線ランプが消灯される。紫外線が照射される位置よりも上流側において水の流れが検知されなくなってから所定の時間が経過した後には、紫外線が照射される位置を水がすでに通過していることが判断される。そのため、当該殺菌装置の外部に供給される水に、最後まで紫外線を照射することができる。言い換えると、紫外線の照射を受けずに出水される水をなくすことができる。
【0033】
本発明に従った浄水器は、フィルタと、本発明に従った水の殺菌装置とを備えていることが好ましい。フィルタは、流路において紫外線ランプによって水に紫外線が照射される位置と流量検知部によって流量が検知される位置との間に配置されていることが好ましい。
【0034】
上述の殺菌装置を備えることにより、本発明に従った浄水器は、捨て水の発生を防止することができる。そのため、本発明に従った浄水器は、当該殺菌装置の始動直後でも、適切に殺菌された水を使用者に供給することができる。また、上述の殺菌装置を備えることにより、本発明に従った浄水器は、電力の消費を抑制することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、捨て水の発生を防止し且つ電力の消費を抑制した水の殺菌装置およびそれを備えた浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係る殺菌装置および浄水器の系統図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る殺菌装置および浄水器において、制御部が紫外線ランプを点灯させる場合の制御と、制御部が電磁弁を開放させるときの制御とのフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係る殺菌装置および浄水器において、制御部が電磁弁を閉塞させる場合の制御と、制御部が紫外線ランプを消灯させる場合の制御とのフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る殺菌装置および浄水器の系統図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る殺菌装置および浄水器において、制御部が紫外線ランプを点灯させる場合の制御と、制御部が電磁弁を開放させるときの制御とのフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態に係る殺菌装置および浄水器の系統図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る殺菌装置および浄水器の系統図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る殺菌装置および浄水器において、温度検知部によって検知される温度に基づいて所定の時間を設定する場合の制御のフローチャートである。
【図9】本発明の第4実施形態に係る殺菌装置および浄水器において、制御部が紫外線ランプを点灯させる場合の制御と、制御部が電磁弁を開放させる場合の制御とのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る殺菌装置91は、流路8と流量検知部31と紫外線ランプ4と紫外線検知部34と電磁弁51とマイコン33とを備えている。また、少なくとも殺菌装置91と浄化フィルタ3とによって浄水器100が構成されている。
【0039】
流路8は、水を流通させるためのものである。殺菌装置91または浄水器100の内部に外部から供給された原水は、流路8を流通する。
【0040】
殺菌装置91に供給される原水は、例えば水道水である。殺菌装置91には、水道の蛇口から吐出する水が供給される。ただし、殺菌装置91に供給される原水は、殺菌が必要な水として、井戸水等の他の水であってもよい。原水は、入水部1を介して殺菌装置91の内部に流入される。入水部1は、殺菌装置91の外部から内部に原水を流入させることができるように構成されていればよい。入水部1は、単なる管状部材であってもよく、管状部材と弁機構とが組み合わされたものであってもよい。
【0041】
流量検知部31は、流路8を流れる水の流量を検知する。流量検知部31は、流路8を流通する水の瞬時流量を計測する。マイコン33は、流量検知部31によって計測された瞬時流量に基づく信号を受け取っている。マイコン33は、制御部の一例である。
【0042】
殺菌装置91は、流路8を流れる水の流量を検知する流量検知部32を備えている。流量検知部32は、他の流量検知部の一例である。流量検知部32は、流路8において紫外線ランプ4によって水に紫外線が照射される位置よりも下流側に配置されている。流量検知部32は、流路8を流通する水の瞬時流量を計測する。マイコン33は、流量検知部31からの信号と同様に、流量検知部32によって計測された瞬時流量に基づく信号を受け取っている。
【0043】
紫外線ランプ4は、流路8において流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側を流れる水に紫外線を照射する。紫外線ランプ4は、冷陰極管ランプであってもよく、紫外線を照射する発光ダイオード(LED)であってもよい。殺菌装置91は、複数の紫外線ランプ4を備えている。ただし、殺菌装置91が備える紫外線ランプ4の数量は、単数であってもよく、特に限定されない。
【0044】
殺菌装置91において、流路8のうち、紫外線ランプ4による紫外線が照射される部分は、他の部分よりも長い時間を掛けて水が流れるように構成されている。例えば、図示は省略するが、流路8のうち、紫外線が照射される部分は幅が狭い。つまり、流路8を形成する管状部材のうち、紫外線が照射される部分の内径は、他の部分のものよりも小さい。また、図示は省略するが、流路8のうち、紫外線が照射される部分は、例えば曲がりくねっている。他の例としては、流路8を形成する管状部材のうち、紫外線が照射される部分の内側には、水の流れを干渉するような障害物が配置されていてもよい。
【0045】
紫外線検知部34は、紫外線ランプ4の点灯または非点灯を検知する。これにより、紫外線検知部34は、紫外線ランプ4の点灯または非点灯を判断する。殺菌装置91において、紫外線検知部34は、点灯判断部の一例である。紫外線検知部34は、紫外線ランプ4の例えば照射光を検知することが可能であるように、フォトダイオードやフォトトランジスタ等の光センサによって構成されている。ただし、紫外線検知部34は、紫外線ランプ4が発する紫外線を検知することができるように構成された他の電子部品であってもよい。紫外線ランプ4の点灯または非点灯に基づく信号は、紫外線検知部34からマイコン33に送信されている。
【0046】
浄化フィルタ3は、流路8に配置されている。浄化フィルタ3は、流路8において紫外線ランプ4によって水に紫外線が照射される位置と流量検知部31によって流量が検知される位置との間に配置されている。浄水器100において、浄化フィルタ3は、流路8のうち、流量検知部31と電磁弁51との間に配置されている。浄化フィルタ3の形態は、特に限定されない。浄化フィルタ3は、数種類のものが組み合わされたものであってもよい。流路8を流通する原水は、浄化フィルタ3を通過することによって浄化される。
【0047】
浄化された水は、電磁弁51が開放されている場合には、紫外線ランプ4によって紫外線が照射される位置にまで流れる。この位置において、浄水は、紫外線ランプ4が点灯している場合に紫外線の照射を受けることにより、さらに殺菌される。殺菌された浄水は、出水部2を介して、殺菌装置91の外部に供給される。出水部2は、殺菌装置91の内部から外部に原水を流出させることができるように構成されていればよい。出水部2は、単なる管状部材であってもよく、管状部材と弁機構とが組み合わされたものであってもよい。
【0048】
電磁弁51は、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側に配置されている。詳細には、電磁弁51は、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側、且つ、紫外線ランプ4によって紫外線が照射される位置よりも上流側に配置されている。
【0049】
殺菌装置91において、マイコン33は、流量検知部31による検知の結果に基づいて紫外線ランプ4を制御し、且つ、紫外線検知部34による検知の結果に基づいて電磁弁51を制御する。以下、殺菌装置91において、マイコン33が紫外線ランプ4を点灯させるように制御した後に電磁弁51を開放させる制御について、図2を用いて説明する。
【0050】
ステップS11では、マイコン33が流量検知部31からの信号を検知したか否かが判定される。ステップS11において、マイコン33が流量検知部31からの信号を検知したことが判定される場合、つまり、流路8に水が流れていることが判定される場合には、ステップS12に進む。ステップS11において、マイコン33が流量検知部31からの信号を検知したことが判定されない場合にはステップS11に戻る。
【0051】
ステップS12では、例えば紫外線ランプ4を点灯させる回路等に、マイコン33が紫外線ランプ4を点灯させるための信号を送信する。これにより、紫外線ランプ4は点灯を開始することができる。
【0052】
ステップS13では、マイコン33が紫外線検知部34からの信号を検知したか否かが判定される。ステップS13において、マイコン33が紫外線検知部34からの信号を検知したことが判定される場合にはステップS14に進む。ステップS13において、マイコン33が紫外線検知部34からの信号を検知したことが判定される場合には、紫外線ランプ4が点灯していることとして判定される。ステップS13において、マイコン33が紫外線検知部34からの信号を検知していないことが判定される場合にはステップS13に戻る。ステップS13において、マイコン33が紫外線検知部34からの信号を検知していないことが判定される場合には、紫外線ランプ4がまだ点灯していないこととして判定される。
【0053】
ステップS14では、例えば電磁弁51を作動させる回路等に、マイコン33が電磁弁51を開放させるための信号を送信する。これにより、電磁弁51は流路8(図1参照)を流通する水の流れを開放する。
【0054】
以上、図2に示すように、マイコン33(図1参照)は、流量検知部31によって流路8に水が流れていることが検知される場合に紫外線ランプ4を点灯させるように制御し(ステップS11〜ステップS12参照)、且つ、紫外線検知部34によって紫外線ランプ4が点灯していることが検知される場合に電磁弁51を開放させる(ステップS13〜ステップS14参照)。
【0055】
次に、殺菌装置91において、水の流れが停止されることにより、マイコン33が紫外線ランプ4を消灯させるように制御する制御について、図3を用いて説明する。
【0056】
ステップS15では、マイコン33が流量検知部32からの信号を検知したか否かが判定される。ステップS15において、マイコン33が流量検知部32からの信号を検知していないことが判定される場合、つまり、流路8のうち、紫外線ランプ4によって紫外線が照射される位置よりも下流側において水が流れていないことが判定される場合には、ステップS16に進む。ステップS15において、マイコン33が流量検知部32からの信号を検知したことが判定される場合、つまり、流路8のうち、紫外線ランプ4によって紫外線が照射される位置よりも下流側において水が流れていることが判定される場合にはステップS15に戻る。
【0057】
ステップS16では、例えば電磁弁51を作動させる回路等に、マイコン33が電磁弁51を閉塞させるための信号を送信する。これにより、電磁弁51は流路8(図1参照)を流通する水の流れを閉塞する。
【0058】
ステップS17では、例えば紫外線ランプ4を点灯または消灯させる回路等に、マイコン33が紫外線ランプ4を消灯させるための信号を送信する。これにより、紫外線ランプ4は消灯する。
【0059】
なお、ステップS16からステップS17の順に制御が実行されることにより、流路8において次回の水の流れが起こった場合に、電磁弁51が開放されたままの状態が発生することが無い。そのため、流路8において次回の水の流れが起こった場合に、殺菌されていない水が、殺菌装置91の外部に供給されることが無く、捨て水の発生を防止することができる。
【0060】
ステップS17の後には、マイコン33が紫外線検知部34からの信号を検知しなくなるまでステップS18が繰り返される。
【0061】
以上、図3に示すように、マイコン33(図1参照)は、流量検知部32によって流量が検知されない(ステップS15参照)場合に、紫外線ランプ4を消灯させるように制御する(ステップS17参照)。
【0062】
なお、殺菌装置91において、紫外線ランプ4を消灯させる制御は、流量検知部32による水の流れの検知に基づくものではなく、流量検知部31による水の流れの検知に基づくものであってもよい。
【0063】
図1に示すように、殺菌装置91および浄水器100は、タイマ36を備えている。なお、タイマ36は、マイコン33の一部であって、マイコン33に組み込まれているものであってもよい。
【0064】
流量検知部31による水の流れの検知に基づいて紫外線ランプ4を消灯させる制御の場合には、例えば図3に示すステップS15において、マイコン33が流量検知部31からの信号を検知したか否かが判定される。つまり、ステップS15において、流量検知部32を流量検知部31に読み替える。続いて、ステップS15とステップS16との間に、所定の時間が経過したか否かが判定されるステップが設定されている。
【0065】
所定の時間は、例えば実験によって予め定められた時間であり、流量検知部31から紫外線ランプ4が配置されている位置まで所定の流量の水が流れるときに掛かる時間である。タイマ36が計測する所定の時間の開始時点は、例えば流量検知部31によって流量が検知されないことが判断される時点である。
【0066】
流量検知部32を流量検知部31と読み替えたステップS15の後に、所定の時間が経過していることが判定される場合には、ステップS16を経てステップS17に進む。このように、ステップS15とステップS16との間のステップにおいて、マイコン33は、流量検知部31によって流量が検知されない場合に、流量検知部31によって流量が検知されないことが判断された時点から、タイマ36によって計測される時間が所定の時間を経過したときに、紫外線ランプ4を消灯させるように制御する。
【0067】
流量検知部31による水の流れの検知に基づいて紫外線ランプ4を消灯させる制御の場合にも、ステップS16においてマイコン33は電磁弁51に流路8(図1参照)を流通する水の流れを閉塞させ、且つ、ステップS17においてマイコン33は紫外線ランプ4を消灯させるように制御する。
【0068】
このように、タイマ36と流量検知部31とを用いることにより、流量検知部31による水の流れの検知に基づいて、紫外線ランプ4を消灯させることができる。
【0069】
以上のように、第1実施形態に係る殺菌装置91は、水を流通させる流路8と、流路8を流れる水の流量を検知する流量検知部31と、流路8において流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側を流れる水に紫外線を照射する紫外線ランプ4と、紫外線ランプ4の点灯または非点灯を判断する点灯判断部としての紫外線検知部34と、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側に配置された電磁弁51と、流量検知部31による検知の結果に基づいて紫外線ランプ4を制御し、且つ、点灯判断部としての紫外線検知部34による判断の結果に基づいて電磁弁51を制御するマイコン33とを備えている。
【0070】
殺菌装置91によれば、流量検知部31によって流路8の水の流れが検知される場合に、マイコン33によって紫外線ランプ4を点灯させることができる。このように、殺菌装置91の構成によれば、紫外線ランプ4を点灯させ続けることが無いため、電力の消費を抑制することができる。さらに、点灯判断部によって紫外線ランプ4の点灯が判断される場合に、電磁弁51を開放させることにより、紫外線が照射されていない水が殺菌装置91の外部に供給されることを防止することができる。このように、殺菌装置91によれば、殺菌装置91から外部に供給される水を捨て水にすることが防止されている。
【0071】
このようにすることにより、捨て水の発生を防止し且つ電力の消費を抑制した殺菌装置91を提供することができる。
【0072】
殺菌装置91において、点灯判断部は、紫外線ランプ4の点灯または非点灯を検知することによって紫外線ランプ4の点灯または非点灯を判断する紫外線検知部34である。また、殺菌装置91において、マイコン33は、流量検知部31によって流路8に水が流れていることが検知される場合に紫外線ランプ4を点灯させるように制御し、且つ、紫外線検知部34によって紫外線ランプ4が点灯していることが検知される場合に電磁弁51を開放させる。
【0073】
この構成によれば、紫外線検知部34によって紫外線ランプ4の点灯が検知される場合に電磁弁51を開放させることにより、紫外線が照射されていない水が殺菌装置91の外部に供給されることを防止することができる。このように、殺菌装置91の構成によれば、殺菌装置91から外部に供給される水を捨て水にすることが防止されている。
【0074】
殺菌装置91においては、電磁弁51は、流路8において、紫外線ランプ4によって紫外線が照射される位置よりも上流側に配置されている。
【0075】
この構成によれば、電磁弁51が閉塞されている間に流路8において電磁弁51よりも上流側に止まっている水に、電磁弁51が開放された後に紫外線を確実に照射することができる。言い換えると、この構成によれば、紫外線ランプ4が点灯した後に、流路8を流れる水を紫外線が照射される位置に流すことができる。そのため、流路8を流れる水は、紫外線が照射される位置に流れ着いたときには、紫外線ランプ4による紫外線の照射を確実に受けることができる。したがって、この構成によれば、捨て水の発生を確実に防止することができる。
【0076】
殺菌装置91は、複数の紫外線ランプ4を備えている。この構成によれば、紫外線ランプ4の寸法に応じて、流路8のうち、紫外線が照射される部分の長さを延ばすことができる。そのため、電磁弁51が開放されることによって紫外線が照射される位置に流れ着いた水は、比較的長い距離にわたって当該部分を流れる際に、紫外線の照射を十分に受けることができる。そのため、水をより効果的に殺菌することができる。
【0077】
殺菌装置91において、流路8のうち、紫外線ランプ4による紫外線が照射される部分は、他の部分よりも長い時間を掛けて水が流れるように構成されている。
【0078】
この構成によれば、紫外線が照射される部分を流れる水は、比較的長い時間を掛けて当該部分を流れるため、紫外線の照射を十分に受けることができる。そのため、水をより効果的に殺菌することができる。
【0079】
殺菌装置91は、流量検知部32を備えている。流量検知部32は、流路8において紫外線ランプ4によって水に紫外線が照射される位置よりも下流側に配置され、流路8を流れる水の流量を検知する。また、殺菌装置91において、マイコン33は、流量検知部32によって流量が検知されない場合に、紫外線ランプ4を消灯させるように制御する。
【0080】
この構成によれば、紫外線が照射される位置よりも下流側において水の流れが検知されなくなってから、紫外線ランプ4が消灯される。そのため、殺菌装置91の外部に供給される水に、最後まで紫外線を照射することができる。言い換えると、紫外線の照射を受けずに出水される水をなくすことができる。
【0081】
殺菌装置91は、時間を計測するタイマ36を備えている。また、殺菌装置91において、マイコン33は、流量検知部31によって流量が検知されない場合に、流量検知部31によって流量が検知されないことが判断された時点から、タイマ36によって計測される時間が所定の時間を経過したときに、紫外線ランプ4を消灯させるように制御する。
【0082】
この構成によれば、紫外線が照射される位置よりも上流側において水の流れが検知されなくなってから所定の時間が経過した後に、紫外線ランプ4が消灯される。紫外線が照射される位置よりも上流側において水の流れが検知されなくなってから所定の時間が経過した後には、紫外線が照射される位置を水がすでに通過していることが判断される。そのため、殺菌装置91の外部に供給される水に、最後まで紫外線を照射することができる。言い換えると、紫外線の照射を受けずに出水される水をなくすことができる。
【0083】
浄水器100は、浄化フィルタ3と、殺菌装置91とを備えている。浄化フィルタ3は、流路8において紫外線ランプ4によって水に紫外線が照射される位置と流量検知部31によって流量が検知される位置との間に配置されている。
【0084】
殺菌装置91を備えた浄水器100は、捨て水の発生を防止することができる。そのため、浄水器100は、殺菌装置91の始動直後でも、適切に殺菌された水を使用者に供給することができる。また、殺菌装置91を備えた浄水器100は、電力の消費を抑制することができる。
【0085】
なお、浄水器100において、電磁弁51は、浄化フィルタ3よりも上流側に配置されていてもよい。また、殺菌装置91において、電磁弁51が閉塞されている間に電磁弁51よりも上流側にて水が循環するような流路が、流路8とは別に形成されていてもよい。
【0086】
なお、殺菌装置91において、殺菌装置91の運転に必要な制御についての判定は、マイコン33によって判定されている。また、マイコン33には、殺菌装置91の作動に必要なデータ等を記憶するメモリが含まれている。
【0087】
(第2実施形態)
以下では、第2実施形態に係る殺菌装置92およびそれを備えた浄水器200について、図4を用いて説明する。なお、以下において、第1実施形態に係る殺菌装置91およびそれを備えた浄水器100の構成と同様の機能を有する構成には同符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
殺菌装置92が第1実施形態に係る殺菌装置91と異なる点は、殺菌装置92では、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側、且つ、紫外線ランプ4によって紫外線が照射される位置よりも下流側に、電磁弁52が配置されている。図4に示すように、浄水器200は、少なくとも殺菌装置92と浄化フィルタ3とによって構成されている。
【0089】
第2実施形態に係る殺菌装置92の電磁弁52の配置によれば、電磁弁52が閉塞されている間に流路8において電磁弁52よりも上流側に止まっている水は、紫外線ランプ4が点灯した後に電磁弁52が開放されるまでに、紫外線の照射を少しでも多く受けることができる。そのため、より効果的に水を殺菌することができる。また、電磁弁52よりも下流側の流路8の長さを短縮させることができるため、流路8に残った古い水の量を低減させることができ、捨て水の量を低減させることができる。
【0090】
図4に示すように、殺菌装置92は、時間を計測するタイマ36を備えている。殺菌装置92において、マイコン33は、紫外線検知部34によって紫外線ランプ4が点灯していることが検知された時点から所定の時間が経過した場合に、電磁弁52を開放させる。以下、殺菌装置92において、マイコン33が、紫外線ランプ4を点灯させるように制御した後に電磁弁52を開放させる制御について、図5を用いて説明する。
【0091】
図5に示すステップS21〜ステップS23は、第1実施形態に係る殺菌装置91のマイコン33の制御についてのフローチャート(図2)に示すステップS11〜ステップS13と同様である。
【0092】
ステップS23に続いて、ステップS24では、所定の時間が経過したか否かが判定される。この所定の時間の開始時期は、例えばステップS22において、マイコン33が紫外線ランプ4を点灯させるための信号を回路等に送信した時点である。ステップS24は、所定の時間が経過していることが判定されるまで繰り返される。
【0093】
ステップS24に続いて、ステップS25では、例えば電磁弁52を作動させる回路等に、マイコン33が電磁弁52を開放させるための信号を送信する。これにより、電磁弁52は流路8(図4参照)を流通する水の流れを開放する。
【0094】
以上、図5に示す制御によれば、紫外線ランプ4が点灯した後でも電磁弁52が閉塞されており、水の流れが止まっている。また、紫外線が照射される位置は、電磁弁52が配置されている位置よりも流路8の上流側である。そのため、水は、流れが止められている間に、少しでも多くの量の紫外線の照射を受けることができる。したがって、電磁弁52が開放されたときには、紫外線ランプ4の照射を十分に受けた水が殺菌装置92の外部に供給される。このように、殺菌装置92の構成によれば、捨て水の発生を確実に防止することができる。
【0095】
なお、第2実施形態に係る殺菌装置92のその他の構成は、第1実施形態に係る殺菌装置91と同様である。また、殺菌装置92において、マイコン33が紫外線ランプ4を点灯させるように制御した後に電磁弁52を開放させる制御は、第1実施形態に係る殺菌装置91と同様に、ステップS24が省略されたものであってもよい。
【0096】
(第3実施形態)
以下では、第3実施形態に係る殺菌装置93およびそれを備えた浄水器300について、図6を用いて説明する。なお、以下において、第1実施形態に係る殺菌装置91およびそれを備えた浄水器100の構成と同様の機能を有する構成には同符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
殺菌装置93が第1実施形態に係る殺菌装置91と異なる点は、殺菌装置93は、タンク6と電磁弁53とを備えている。タンク6は、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側且つ電磁弁53が配置された位置よりも上流側に配置されている。また、紫外線ランプ4は、タンク6に貯留された水に紫外線を照射する。図6に示すように、浄水器300は、少なくとも殺菌装置93と浄化フィルタ3とによって構成されている。
【0098】
電磁弁53は、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側、且つ、タンク6よりも下流側に配置されている。
【0099】
殺菌装置93の構成によれば、紫外線の照射範囲をタンク6内に限定させることができるため、紫外線ランプ4の性能を適宜容易に選定することができる。また、タンク6に溜められた水は、紫外線の照射を比較的長い時間受けることができる。そのため、水をより効果的に殺菌することができる。
【0100】
なお、第3実施形態に係る殺菌装置93のその他の構成は、第1実施形態に係る殺菌装置91と同様である。
【0101】
また、第3実施形態に係る殺菌装置93は、タンク6に溜められた水に紫外線を照射する複数の紫外線ランプ4を備えていてもよい。さらに、タンク6の内部には、水が比較的長い時間を掛けてタンク6内を流れるように、水の流れを干渉するような障害物が形成されていてもよい。また、タンク6の内部は、例えば水が曲がりくねって流れるように、水の流れを規定するように構成されていてもよい。
【0102】
(第4実施形態)
以下では、第4実施形態に係る殺菌装置94およびそれを備えた浄水器400について、図7を用いて説明する。なお、以下において、第1実施形態に係る殺菌装置91およびそれを備えた浄水器100の構成と同様の機能を有する構成には同符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
殺菌装置94が、第1実施形態に係る殺菌装置91と異なる点は、時間を計測するタイマ36と、温度を検知する温度検知部35とを含む点灯判断部を、殺菌装置94が備えていることである。ただし、殺菌装置94として第2実施形態に係る殺菌装置92または第3実施形態に係る殺菌装置93が、紫外線検知部34の代わりに、タイマ36と温度検知部35とを含む点灯判断部を備えていてもよい。なお、点灯判断部は、マイコン33に組み込まれるように構成されていてもよい。つまり、マイコン33は、タイマ36と温度検知部35とを有していてもよい。図7に示すように、浄水器400は、少なくとも殺菌装置94と浄化フィルタ3とによって構成されている。
【0104】
温度検知部35は、殺菌装置94および浄水器400の外方の気温を検知するものであってもよく、殺菌装置91の所定の箇所の温度を検知するものであってもよく、または、流路8のうちの所定の部分の水の温度を検知するものであってもよい。
【0105】
点灯判断部は、紫外線ランプ4を点灯させるようにマイコン33が紫外線ランプ4を制御した後に、タイマ36によって計測される時間が、温度検知部35によって検知される温度に基づいて設定された所定の時間を経過した場合に、紫外線ランプ4が点灯していることを判断する。
【0106】
まず、図8を用いて、温度検知部35によって検知される温度に基づいて設定される所定の時間T(この時間のことを点灯開始時間という)について、説明する。点灯開始時間とは、マイコン33が紫外線ランプ4を点灯させるように制御した後において、さらに当該点灯開始時間が経過した後には、紫外線ランプ4が確実に点灯しているであろうと判断される時間のことである。
【0107】
ステップS31では、温度検知部35によって温度が検知される。続いて、ステップS32では、温度検知部35によって検知された温度に基づいて紫外線ランプ4の点灯開始時間が設定される。点灯開始時間は、検知される温度が低くなるにつれて長い時間が設定される。
【0108】
ステップS31とステップS32とは、例えば、殺菌装置94のメインスイッチ(図示せず)がONされた状態であるときに常に実行されている。このように、点灯開始時間は、殺菌装置94のメインスイッチがONされた状態であるときに、常に更新されている。なお、点灯開始時間は、実験等に基づき、温度に応じて予め設定されている。温度に応じて予め設定された点灯開始時間は、例えばマップ状のデータとして、マイコン33に含まれるROMに記憶されている。
【0109】
以下、殺菌装置94において、マイコン33が紫外線ランプ4を点灯させるように制御した後に電磁弁51を開放させる制御について、図9を用いて説明する。
【0110】
図9に示すステップS41とステップS42とは、第1実施形態に係る殺菌装置91のマイコン33の制御についてのフローチャート(図2)に示すステップS11とステップS12とそれぞれ同様である。
【0111】
ステップS42に続いて、ステップS43では、所定の時間T、つまり、点灯開始時間が経過したか否かが判定される。点灯開始時間のカウントが開始される時点は、例えばステップS42が実行される時点である。ステップS43において、所定の時間Tが経過したことが判定される場合にはステップS44に進む。ステップS43において所定の時間Tが経過したことが判定される場合には、ステップS42においてマイコン33が紫外線ランプ4を点灯させるように紫外線ランプ4を制御した後に、紫外線ランプ4が確実に点灯しているであろうと判断される。ステップS43は、所定の時間Tが経過していることが判定されるまで繰り返される。
【0112】
ステップS44では、例えば電磁弁51を作動させる回路等に、マイコン33が電磁弁51を開放させるための信号を送信する。これにより、電磁弁51は流路8(図7参照)を流通する水の流れを開放する。
【0113】
以上、図9に示すように、マイコン33は、流量検知部31によって流路8に水が流れていることが検知される場合に紫外線ランプ4を点灯させるように制御する(ステップS41〜ステップS42参照)。また、マイコン33は、紫外線ランプ4を点灯させるように制御した後に紫外線ランプ4が点灯していることが点灯判断部によって判断される場合に、電磁弁51を開放させる(ステップS43〜ステップS44参照)。
【0114】
以上のように、第4実施形態に係る殺菌装置94は、水を流通させる流路8と、流路8を流れる水の流量を検知する流量検知部31と、流路8において流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側を流れる水に紫外線を照射する紫外線ランプ4と、紫外線ランプ4の点灯または非点灯を判断する点灯判断部と、流路8において、流量検知部31によって流量が検知される位置よりも下流側に配置された電磁弁51と、流量検知部31による検知の結果に基づいて紫外線ランプ4を制御し、且つ、点灯判断部による判断の結果に基づいて電磁弁51を制御するマイコン33とを備えている。
【0115】
殺菌装置94によれば、流量検知部31によって流路8の水の流れが検知される場合に、マイコン33によって紫外線ランプ4を点灯させることができる。このように、殺菌装置94の構成によれば、紫外線ランプ4を点灯させ続けることが無いため、電力の消費を抑制することができる。さらに、点灯判断部によって紫外線ランプ4の点灯が判断される場合に、電磁弁51を開放させることにより、紫外線が照射されていない水が殺菌装置94の外部に供給されることを防止することができる。このように、殺菌装置94によれば、殺菌装置94から外部に供給される水を捨て水にすることが防止されている。
【0116】
殺菌装置94において、点灯判断部は、時間を計測するタイマ36と、温度を検知する温度検知部35とを含んでいる。また、点灯判断部は、紫外線ランプ4を点灯させるようにマイコン33が制御した後に、タイマ36によって計測される時間が、温度検知部35によって検知される温度に基づいて設定された点灯開始時間を経過した場合に、紫外線ランプ4が点灯していることを判断する。
【0117】
殺菌装置94において、マイコン33は、流量検知部31によって流路8に水が流れていることが検知される場合に紫外線ランプ4を点灯させるように制御し、且つ、紫外線ランプ4を点灯させるように制御した後に紫外線ランプ4が点灯していることが点灯判断部によって判断される場合に、電磁弁51を開放させる。
【0118】
殺菌装置94の構成によれば、マイコン33は、紫外線ランプ4を点灯させるように紫外線ランプ4を制御した後に、温度検知部35によって検知される温度に基づいて設定された点灯開始時間が経過した場合に電磁弁51を開放させる。紫外線ランプ4を点灯させるようにマイコン33が紫外線ランプ4を制御した後に、点灯開始時間が経過した場合には、紫外線ランプ4が点灯していることが点灯判断部によって判断される。これにより、紫外線が照射されずに殺菌装置94の外部に水が供給されることを防止することができる。このように、殺菌装置94の構成によれば、殺菌装置94から外部に供給される水を捨て水にすることが防止されている。
【0119】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0120】
3:浄化フィルタ、4:紫外線ランプ、6:タンク、8:流路、31:流量検知部、32:流量検知部、33:マイコン、34:紫外線検知部、35:温度検知部、36:タイマ、51,52,53:電磁弁、91,92,93,94:殺菌装置、100,200,300,400:浄水器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を流通させる流路と、
前記流路を流れる水の流量を検知する流量検知部と、
前記流路において前記流量検知部によって流量が検知される位置よりも下流側を流れる水に紫外線を照射する紫外線ランプと、
前記紫外線ランプの点灯または非点灯を判断する点灯判断部と、
前記流路において、前記流量検知部によって流量が検知される位置よりも下流側に配置された電磁弁と、
前記流量検知部による検知の結果に基づいて前記紫外線ランプを制御し、且つ、前記点灯判断部による判断の結果に基づいて前記電磁弁を制御する制御部とを備えた、
水の殺菌装置。
【請求項2】
前記点灯判断部は、前記紫外線ランプの点灯または非点灯を検知することによって前記紫外線ランプの点灯または非点灯を判断し、
前記制御部は、前記流量検知部によって前記流路に水が流れていることが検知される場合に前記紫外線ランプを点灯させるように制御し、且つ、前記点灯判断部によって前記紫外線ランプが点灯していることが検知される場合に前記電磁弁を開放させる、
請求項1に記載の水の殺菌装置。
【請求項3】
前記点灯判断部は、時間を計測するタイマと、温度を検知する温度検知部とを含み、前記紫外線ランプを点灯させるように前記制御部が制御した後に、前記タイマによって計測される時間が、前記温度検知部によって検知される温度に基づいて設定された所定の時間を経過した場合に、前記紫外線ランプが点灯していることを判断し、
前記制御部は、前記流量検知部によって前記流路に水が流れていることが検知される場合に前記紫外線ランプを点灯させるように制御し、且つ、前記紫外線ランプを点灯させるように制御した後に前記紫外線ランプが点灯していることが前記点灯判断部によって判断される場合に、前記電磁弁を開放させる、請求項1に記載の水の殺菌装置。
【請求項4】
前記電磁弁は、前記流路において、前記紫外線ランプによって紫外線が照射される位置よりも上流側に配置されている、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置。
【請求項5】
前記電磁弁は、前記流路において、前記紫外線ランプによって紫外線が照射される位置よりも下流側に配置されている、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置。
【請求項6】
時間を計測するタイマをさらに備え、
前記制御部は、前記点灯判断部によって前記紫外線ランプが点灯していることが判断された時点から、前記タイマによって計測される時間が所定の時間を経過した場合に、前記電磁弁を開放させる、請求項5に記載の水の殺菌装置。
【請求項7】
前記電磁弁は、前記流路において、前記紫外線ランプによって紫外線が照射される位置よりも下流側に配置され、
前記流路において、前記流量検知部によって流量が検知される位置よりも下流側且つ前記電磁弁が配置された位置よりも上流側に配置されたタンクをさらに備え、
前記紫外線ランプは、前記タンクに貯留された水に紫外線を照射する、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置。
【請求項8】
複数の前記紫外線ランプを備えた、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置。
【請求項9】
前記流路のうち、前記紫外線ランプによる紫外線が照射される部分は、他の部分よりも長い時間を掛けて水が流れるように構成されている、
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置。
【請求項10】
前記流路において前記紫外線ランプによって水に紫外線が照射される位置よりも下流側に配置され、前記流路を流れる水の流量を検知する他の流量検知部をさらに備え、
前記他の流量検知部によって流量が検知されない場合に、前記制御部は、前記紫外線ランプを消灯させるように制御する、
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置。
【請求項11】
時間を計測するタイマをさらに備え、
前記制御部は、前記流量検知部によって流量が検知されない場合に、前記流量検知部によって流量が検知されないことが判断された時点から、前記タイマによって計測される時間が所定の時間を経過したときに、前記紫外線ランプを消灯させるように制御する、
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の水の殺菌装置と、
前記流路において前記紫外線ランプによって水に紫外線が照射される位置と前記流量検知部によって流量が検知される位置との間に配置されたフィルタとを備えた、浄水器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−22517(P2013−22517A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159708(P2011−159708)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】