説明

水を予熱する区画をもつボイラー

空間(11)を囲む殻(8)と、前記殻空間(11)に水を入れるための入口(12)とを有するボイラー(6)において、前記殻空間(11)は二つの別個の区画(16、21)をもち、第一の区画(16)はボイラー(6)への新たな水の供給を受け取るよう位置され、第二の区画(21)は、新たな水の連続的供給の影響下で第一の区画(16)のあふれが起こるときに第一の区画(16)から水を受け取るよう位置される。蒸気発生過程は第二の区画(21)で起こる。第二の区画(21)が間接的にのみ水で満たされるという事実のため、乱されないプロセスを実現できる。特に、水は、第二の区画(21)に到達する前に第一の区画(16)において加熱されうる。第一の区画(16)は、たとえば殻(8)の内部に配置される容器(15)の内部空間を含みうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱されることが意図されるある量の水を含むための空間を囲む殻と、前記空間中に水を入れるための少なくとも一つの入口とを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水を沸騰させることによって蒸気を生成するボイラーは、上述した装置のよく知られた例である。実際上、そのようなボイラーの多くの型が利用可能であり、蒸気クリーニングおよび蒸気アイロンを含むさまざまな分野で使用されている。
【0003】
多くの場合、連続的な蒸気供給をもつことが望ましい。しかしながら、現状技術のボイラーが適用されるとき、蒸気供給の一貫性は保証されない。これは、ボイラーの動作中にボイラー内の水を補充するためにボイラーに新たな水が供給されるとき、ボイラーにすでに存在している湯に対する冷却効果が得られるという事実のためである。この冷却効果は、ボイラーからの蒸気出力の低下またさらには停止につながりうる。
【0004】
ある量の熱湯に対する新たな水の供給の冷却効果の軽減は、比較的単純な仕方で、すなわち熱湯の量を増やすことにより得ることができる。しかしながら、この解決策はスタートアップ時間の増大およびボイラー・サイズの増大といった他の欠点を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動作中に一貫した蒸気供給を実現することのできるボイラーを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、水を収容する空間が少なくとも二つの区画に分割される装置であって、第一の区画は動作中に入口を通じて供給されるべき水を受け取るよう適応され、前記第一の区画は限られた量の水を収容し、前記第一の区画が完全に水で満たされたらあふれる量の水が第二の区画に移ることを許容するよう適応されている、装置によって達成される。
【0007】
本発明に基づく前記装置では、前記装置の殻によって囲まれている空間に新たに供給される水は、まず前記空間の第一の区画において受け取られる。このようにして、新たな水と前記空間にすでに存在しているある量の熱湯との接触を回避できる。熱湯は前記空間の第二の区画に位置されうるからである。第二の区画への水の供給は、第一の区画のあふれに基づいてのみ行われる。第一の区画から第二の区画へ流れる水は、ある時間にわたって第一の区間にあった水でありうる。第一の区画への新たな水の供給が、あふれが起こる領域の外の位置で行われるときがこの場合になる。そのような状況では、前記第二の区画に供給される水があらかじめ加熱されることが保証される。その水はある時間にわたって熱い環境に存在していたからである。よって、水の供給の冷却効果はかなり軽減される。第一の区画に存在する水の加熱過程は、たとえば第一の区画を前記装置の過熱手段と関連付けることによって向上されうる。
【0008】
本発明に基づく装置が蒸気を生成する目的で使用されるときは、連続的な蒸気出力を実現することが可能である。具体的には、第一の区画において水が予熱される程度は、第一の区画から第二の区画への水のあふれの場合に第二の区画における水の沸騰過程が中断されないようなものでありうる。本発明の重要な利点は、設定された目的が、少なくとも二つの別個の区画において水を収容するための前記空間の分割に基づいて達成されるということである。これは複雑な施策の適用を要求しない。加熱される追加的な量の水をもち、これにより前記追加的な量の水が保持される区画のあふれに基づいて、前記装置の出力を生成するために実際に使われるある量の水に徐々に水が供給されることを許容することによって、熱的安定性が向上させられる。
【0009】
本発明の範囲内で、前記空間の分割はいかなる好適な仕方で実現されてもよい。一般に、前記空間の内部に壁が配設され、その壁が第一の区画と第二の区画との間の仕切りを形成するとともに第一の区画を部分的に囲む両方のはたらきをすることも十分可能である。ある好ましい実施形態では、その壁は殻に熱的に接続され、それにより、その壁は当該装置の動作中、ある程度まで加熱されることが保証される。これは第一の区画における水の加熱過程に寄与する。壁は、単に、当該装置の通常の配向において直立した(upright)まっすぐな壁であってもよいが、壁が全く異なる形をもつことも可能である。たとえば、壁はお椀の壁のように整形されてもよい。壁がある程度まで加熱される場合、お椀の表面/容積関係は加熱に関する限り有利なので、お椀形はお椀内部に収容される水の加熱プロセスに寄与する。壁はまた、管の壁のように整形されてもよい。管もまた、有利な表面/容積関係をもつ。管の端部が当該装置の通常の配向における上方向に延びるとき、水を収容するための前記空間の第二の区画への管のあふれは、管が完全に水で満たされたときにのみ起こる。水が一端で管に入り他端で管を出るにつれ、つまり管を通過する際に、水は、第二の区画に供給されるのに先立って温まる機会を与えられる。
【0010】
ある実際的な実施形態では、本発明に基づく装置は、少なくとも一つの、水を加熱する要素を有する。第一の区画に存在している水の加熱過程を向上させるためには、第一の区画を部分的に囲む壁が熱的にこの加熱要素に接続されれば有利である。また、第一の区画が、当該装置の通常の動作位置において加熱要素の上にある位置に位置されれば有利である。その場合、第一の区画から流れ出る水が直接加熱要素の上に落ちることが可能である。それにより、第一の区画からの水供給が比較的少量の水しか含まないゆるやかな水供給となるので、きわめて効率的な蒸気生成プロセスが得られる。
【0011】
水を収容する空間の第一の区画と第二の区画との間の仕切りが、上述したように壁を適用することによって得られることは必須ではない。たとえば、殻内に、特に当該装置の通常の配向において底部になる殻の部分に段が配設されることも可能である。底部が水平面に対して傾いた位置に保持されるときは、それぞれある量の水を収容するのに好適な二つの別個の区画が区別されうる。こうして、段の上端側において、一方の区画から他方の区画への水のあふれが起こることが許容される。
【0012】
完全性のため注記しておくと、本発明に基づく装置は、その有利な特徴、簡単な設計および必要であれば比較的小さな寸法のため、家庭用蒸気発生装置として適用されるのに特に好適である。
【0013】
本発明はまた、水を収容する空間が少なくとも二つの区画に分割される前述したような水加熱装置と、前記空間に水を供給する手段とを有する組立体にも関する。前記水供給手段の動作は、前記水加熱装置の前記空間の第二の区画における水位を感知する手段によって制御されうる。特に、第二の区画の水位が所定の最低水位より低く見えるときは、これは前記の感知および制御手段によって検出されることになる。その時点で、感知および制御手段は水供給手段を動作させる信号を送信する。結果として、前記水加熱装置の前記空間に水が供給され、その水はまず前記空間の第一の区画において受け取られる。第一の区画からの水のあふれが起こるとすぐ、水は前記空間の第二の区画に供給される。前記水供給手段の動作は、第二の区画における水位が少なくとも前記所定のレベルとなるとすぐ終了される。
【0014】
ある実際的な実施形態では、前記組立体は水貯留部と、前記水貯留部から前記水加熱装置の入口に延びる導管(conduit)と、前記水貯留部から前記水加熱装置の入口へ強制的に水を流れさせる手段とを有する。この最後の手段は、たとえば任意の好適な型のポンプを含みうる。さらに、前記組立体は、蒸気アイロンのような、ホース・コードを通じて前記水加熱装置に接続される、蒸気を外に出すための装置をも有しうる。ある好ましい実施形態では、蒸気を出すための装置はボイラー型アイロンであり、ここで、ボイラーのための自動補充構成が、別個のまたは外部の水タンクから水を引くためのポンプを使って提供され、それにより前記組立体の動作中、水の補充が自動的に行われる。
【0015】
本発明の上記およびその他の側面は、本発明に基づく装置のいくつかの実施形態の以下の記述を参照することから明白となり、明快にされるであろう。
【0016】
本発明について、これから図面を参照してより詳細に説明する。図面において、等しいまたは同様の部分は同じ参照符号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】蒸気アイロン・システムを図的に示す図である。
【図2】本発明の第一の好ましい実施形態に基づく、水貯留部、水導管、ポンプおよび装置を図的に示す図である。
【図3】本発明の第二の好ましい実施形態に基づく、水貯留部、水導管、ポンプおよび装置を図的に示す図である。
【図4】本発明の第三の好ましい実施形態に基づく、水貯留部、水導管、ポンプおよび装置を図的に示す図である。
【図5】本発明の第四の好ましい実施形態に基づく、水貯留部、水導管、ポンプおよび装置を図的に示す図である。
【図6】本発明の第五の好ましい実施形態に基づく、水貯留部、水導管、ポンプおよび装置を図的に示す図である。
【図7】本発明の第六の好ましい実施形態に基づく、水導管、ポンプおよび装置を図的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、蒸気アイロン2およびスタンド3を有する蒸気アイロン・システム1を示す図である。蒸気アイロン2は、動作中加熱されアイロン掛け工程を容易にする目的でアイロン掛けされるべき対象に蒸気を供給することができる底板(soleplate)4を有する。スタンド3には、水貯留部5および水を蒸気に加熱するためのボイラー6が配設される。蒸気アイロン2はホース・コード7を通じてボイラー6に接続される。
【0019】
蒸気アイロン・システム1の動作中、ボイラー6は蒸気を生成するよう動作させられ、蒸気が蒸気アイロン2にホース・コード7を通じて供給される。蒸気生成の過程の間、ボイラー6の水がなくなる状況を回避するために、水貯留部5からボイラー6に水が移送される。
【0020】
多くの場合、蒸気の連続的な供給があることが望ましい。しかしながら、実際上、これを達成するのは難しいことがありうる。特に、水貯留部5からボイラー6への水の供給が起こるとき、ボイラー6にすでに存在している熱湯が新たに供給される水によって冷却され、蒸気形成過程が中断されるまでになる可能性がある。本発明は、そのような状況を回避する施策を提案する。そのことは、ボイラー6のいくつかの実施形態の以下の説明から明白となるであろう。それらの実施形態はみな、本発明の範囲内に存在する可能性を表す。
【0021】
図2は、本発明の第一の好ましい実施形態に基づくボイラー6を示している。このボイラー6は、殻8と、殻8の外側表面10に対して配設された加熱要素9を有する。殻8によって囲まれた空間11は部分的に水で満たされることが意図される。これに鑑み、ボイラー6は水を空間11内にはいらせる入口12をもつ。さらに、図2は、水貯留部5、水貯留部5からボイラー6の空間11に水を輸送するための水導管13および水導管13中の位置に配設されて水導管13を通じて水を所定の方向に、すなわち水貯留部5からボイラー6への方向に強制的に流れさせるはたらきをするポンプ14を示している。
【0022】
ボイラー6の空間11の内部では、限られた量の水を収容するための空間16をもつ容器15が配設される。明確のため、以下では、ボイラー6の殻8によって囲まれる空間11は殻空間11と称される。一方、容器15の空間16は容器空間16と称される。
【0023】
図示した例では、容器15はお椀のような形をしている。ここで、容器15の壁17は円形の底部18および底部18の周から底部18から遠ざかる方向にテーパーするよう延びる直立した筒状部19を有する。容器15は入口12のすぐ下に配設され、水導管13は入口12を通じて延びる。ここで、水導管13の端部は容器15の内部に延び、水導管13の開端は容器15の壁17の底部18の近くで水導管13の出口を形成する。
【0024】
ボイラー6は、蒸気を生成する目的で適用されることが意図される。これに鑑み、ボイラー6は、殻空間11から蒸気を出すよう適応されたバルブ20、好ましくは殻8の上端側に配設されるEバルブを備える。
【0025】
以下では、水貯留部5、図2に示したようなボイラー6、水導管13およびポンプ14を有する組立体の動作を説明する。動作中、加熱要素9は水を蒸気にするために必要な熱を生成するために動作させられる。蒸気の形成は、殻空間11の下部21に存在するある量の水を加熱することによって行われる。この量の水は、容器15を満たし容器15のあふれを許容することによって得られる。図2では、容器15から殻空間11の下部21への水の流れが、滴の列22として表されている。
【0026】
蒸気生成の過程の間、殻空間11の下部21の水位は低下する。ある時点で、前記の水を補充することが必要になる。その目的に向け、水貯留部5からボイラー6に水を移送するためにポンプ14が動作させられる。この工程では、水導管13が終わる位置、すなわち容器15の壁17の底部18の近くで水が容器15に供給される。容器15が完全に水で満たされるとき、容器15の上端側であふれが起こる。それにより、容器15から殻空間11の下部へと水が流れる。
【0027】
ポンプ14の動作を制御することによって水供給を制御する目的のため、レベル・センサーとして機能し、ポンプ14に動作信号を送信するよう適応された手段23が設けられてもよい。該手段23はいかなる好適な仕方で設計されてもよい。たとえば、該手段23は浮き(図示せず)によって水位を検出するよう設計されていてもよいが、これはさまざまな可能性のうちのほんの一つに過ぎない。いずれにせよ、手段23は、殻空間11の下部21における水位が所定の最小値以下になったときに水貯留部5からの水供給が開始され、水位が再び所定の最大以上になったときに水供給が終了されるような仕方でポンプ14を制御するべきである。
【0028】
ボイラー6の殻空間11において、ある量の水を収容するための二つの別個の区画が存在することを注意しておく。ここで、第一の区画が容器空間16であり、第二の区間が殻空間11の下部21である。第二の区画21に存在する水だけが蒸気を生成する過程において使われる。本発明の重要な利点は、新たな水、すなわち水貯留部5からの水が第一の区画16において受け取られ、第二の区画21に直接流れることは許されないという事実に存する。これにより、蒸気を形成する過程が比較的低温の水の供給によって妨げられることがない。第一の区画16が、ある量の水を保持するその機能に基づいて第二の区画21への水の直接的な供給を妨げる手段として機能すると言ってもよい。
【0029】
容器15に存在する水は、容器15が熱湯と蒸気が存在する環境中に位置され、加熱要素9および殻8のような熱い要素によって囲まれているという事実に基づいて予熱される。水導管13の出口を容器15の壁17の底部18の近くに位置させることによって、新たしく供給された水がすぐ第一の区画16から第二の区画21へのあふれにおいて連行される可能性はない。よって、容器15中で加熱された水のみが第二の区画21に供給される。このようにして、連続的な蒸気供給をもつことが可能である。これは、蒸気アイロン・システム1におけるボイラー6の応用および多くの他の実現可能な応用の場合において有利である。
【0030】
容器15内部の水の向上された加熱過程をもつために、容器15の壁17は、たとえば溶接または鑞付けによって殻8に熱的に接続されてもよい。容器15の材料に関しては、任意の好適な材料、たとえば金属、シリコン材料またはプラスチックでよいことを注意しておく。
【0031】
図3は、本発明の第二の好ましい実施形態に基づくボイラー6を示している。この実施形態では、容器15は加熱要素9の直上に置かれ、容器15からあふれる水は加熱要素9に直接落ちることが許容される。このようにして、この加熱工程は加熱要素9の直接的な影響下なので、容器15内部に存在する水の非常に効果的な加熱過程が行われることができ、非常に効果的な蒸気生成過程も行われることができることが達成される。蒸気生成過程は容器15からの比較的小さな熱湯の流れの供給に基づいて実行され、熱湯は加熱要素9に当たってまもなく蒸発するからである。
【0032】
容器15が加熱要素9の上方のある距離のところに位置されることも可能であることを注意しておく。この可能性は、本発明の第三の好ましい実施形態に基づくボイラー6を示す図4によって示されている。
【0033】
図5は、本発明の第四の好ましい実施形態に基づくボイラー6を示している。図2ないし図4に示されるようなお椀形の容器15の代わりに、このボイラー6は管24を有する。管24は、管24の内部空間26の限界を定める管壁25をもつ。管24は殻空間11に配設される。好ましくは、管24は、コンパクトにするため、コイル巻きにされ、および/または曲げられる。管24の端部27は上方に傾けられ、これにより、ポンプ14が動作されるときにのみ管24から水が流れることができる。管24のあふれがポンプ14の動作の影響下で起こるとき、管24全体を通過した水のみが管24から放出され、これにより、殻空間11の下部21に供給される水が予熱されることが保証される。完全性のために注記しておくと、この場合にも、管壁25が殻8と熱的に接続されれば有利である。
【0034】
図6は、本発明の第五の好ましい実施形態に基づくボイラー6を示している。このボイラー6は、容器15または管24のような何かを含まない。その代わり、このボイラー6では、殻空間11の二つの区画28、29は、両区画28、29の間の仕切りとしてのはたらきをする直立壁30によって作られる。水導管13は入口12を通じて延在する。ここで、水導管13の端部は第一の区画28の内部に延び、水導管13の開端が第一の区画28の底近くに位置される。壁30は殻8の底31から殻8の最上部32までずっと延びているわけではなく、よって、第一の区画28から第二の区画29に壁30の最上部でああふれが起こる可能性がある。そのようなあふれは図6では曲がった矢印によって示されている。
【0035】
第二の区画29内部に存在する水は、蒸気生成過程において使用される。第二の区画29への水の供給は、非直接的な仕方で、つまり第一の区画28を通じて行われるのみである。新たな水は、第一の区画28の底近くで第一の区画28にはいり、第一の区画28での滞在中および第一の区画28の最上部への途上で加熱される。第一の区画28における水の加熱過程は、さまざまな熱源の影響下で起こる。熱源には、主たる熱源である加熱要素9ならびに殻8、壁30および生成される蒸気が含まれる。
【0036】
図7は、本発明の第六の好ましい実施形態に基づくボイラー6を示している。明確のため、図7はボイラー6のほかに水導管13およびポンプ14のみを示し、水貯留部5は示されていないことを注意しておく。ボイラー6の特別な特徴は、殻8の底31が段33を設けられるということである。さらに、ボイラー6は傾けられた配位、すなわち殻8の底31および最上部32が水平面から外れる方向に延在する配向に保たれる。図6に示されるボイラー6の実施形態と同様に、底31が傾いた配向をもち、底31に段33が配設されるという事実のため、ある量の水を収容するのに好適な二つの別個の区画28、29が実現される。
【0037】
入口12は、ボイラー6に供給される水が第一の区画28に到達するのが、第一の区画28が第二の区画29に接する側ではなく第一の区画28の別の側にある位置においてとなるよう配置される。このようにして、第一の区画28のあふれの際に第一の区画28から第二の区画29に供給される水は、いくらかの時間にわたって第一の区画28内にあり、熱い環境における滞在の結果として加熱された水であることが達成される。図6と同様に、あふれは図7では曲がった矢印によって示されている。あふれは、第一の区画28が完全に水で満たされるとすぐ起こり、ボイラー6への水供給が維持される。その点において、水は段33の最上部を越えて殻底31へと流れることができる。図示した例では、ボイラー6の加熱要素9は、第二の区画29を直接的に加熱するよう配置される。これは、蒸気生成過程がこの区画29において実行されるという事実に鑑みて有利である。
【0038】
本発明に基づくボイラー6の示された実施形態のすべてはいくつかの特徴を共通してもつ。特に、示された各実施形態において、殻空間11内に二つの別個の区画を区別することが可能である。ここで、第一の区画16、26、28はボイラー6への新たな水の供給を受け取るよう位置され、第二の区画21、29は第一の区画16、26、28のあふれが新たな水の連続的な供給の影響下で起こるときに第一の区画16、26、28から水を受け取るよう位置される。蒸気生成過程は第二の区画21、29で起こる。第二の区画21、29が間接的にのみ、つまり第一の区画16、26、28からの水の流れによって、水で満たされるという事実のため、乱されない過程をもつことが可能である。特に、水は、第二の区画21、29にあふれる前に、まず第一の区画16、26、28において加熱されうる。これに関し、第一の区画16、26、28への新たな水の供給があふれ領域からある距離離れたところで起これば有利である。
【0039】
ボイラー6に水を供給する目的のため、水導管13およびポンプ14が適用されうる。ここで、水は水貯留部5から取られうる。ポンプ14の動作は、第二の区画21、29における水位の検出に基づいて制御されうる。水位が所定の最低を下回るとき、ポンプ14は、水位が再び適切なレベルになるまで動作させられる。この工程において、第一の区画16、26、28が水で満たされ、それにより、ある点で第一の区画16、26、28から第二の区画21、29へのあふれが起こる。
【0040】
第一の区画16、26、28は、ボイラー6の殻8の内部に配設される、示された容器15または示された管24のような、水を受け取って収容するための実際の部材の内部空間を含みうる。しかしながら、二つの区画が、殻空間11内の適切な位置に仕切りをもつことによって作られることも可能である。ここで、仕切りは、たとえば、実際の壁30または殻底31内の段差33に基づいて得ることができる。
【0041】
まとめると、本発明に基づくボイラー6が、蒸気アイロン2のような別の装置に蒸気を送達する目的のために使われるとき、以下のことが行われる。蒸気発生過程の間にボイラー6が水を要求するとき、水はボイラー6の殻空間11の第一の区画16、26、28に供給される。第一の区画16、26、28にすでに存在している水はほとんどボイラー6の温度にある。第一の区画16、26、28に供給される水は、第一の区画16、26、28におけるある量の水を置換し、その水が殻空間11の第二の区画21、29にあふれる。第二の区画において実際の蒸気生成過程が、ボイラー6の加熱手段9の影響下で起こる。第二の区画21、29に到達する水はすでに熱いので、温度低下は最小限であり、水が沸騰し蒸気が形成されている領域に冷たい水が直接供給されるときに起こる蒸気出力の低下またさらには中断が回避される。
【0042】
本発明の利点は、連続的な蒸気生成を保証する目的のため、ボイラー6の殻空間11の二つの区画への分割が必要とされるだけであるということである。殻空間11が熱い環境をなすという事実を利用するため、実際の蒸気生成過程が起こる区画に水が供給される前に水を予熱する追加的な手段を設けることは必要ない。
【0043】
本発明の範囲が以上で論じた例に限定されず、そのいくつかの変更および修正が付属の請求項において定義される本発明の範囲から外れることなく可能であるということは当業者には明らかであろう。本発明は、図面および明細書において詳細に図示され、記載されてきたが、そのような図示および記載は、制約するものではなく、例解または例示するだけであると考えられるべきである。本発明は開示される実施形態に限定されない。
【0044】
図面、明細書および付属の請求項を調べることから、特許請求される発明を実施する当業者によって、開示される実施形態への変形が理解および実施されることができる。請求項において、「有する」の語は他のステップまたは要素を排除するものではなく、単数形の表現は複数を排除するものではない。ある種の施策が互いに異なる従属請求項において記載されているというだけの事実が、それらの施策の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。請求項に参照符号があったとしても、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されることが意図されるある量の水を収容する空間を囲む殻と、前記空間に水を入れるための少なくとも一つの入口とを有する水加熱装置であって、前記空間は少なくとも二つの区画に分割され、第一の区画だけが動作中に前記入口を通じて供給されるべき水を受け取るよう適応され、前記第一の区画は限られた量の水を収容し、前記第一の区画が完全に水で満たされたらあふれる水が第二の区画に移ることを許容するよう適応されている、水加熱装置。
【請求項2】
前記第一の区画が、前記第一の区画と前記第二の区画の間の仕切りをなす壁によって少なくとも部分的に囲まれる、請求項1記載の水加熱装置。
【請求項3】
前記壁が前記殻に熱的に接続される、請求項2記載の水加熱装置。
【請求項4】
前記壁がお椀の壁様の形をしている、請求項2記載の水加熱装置。
【請求項5】
前記壁が管の壁様の形をしている、請求項2記載の水加熱装置。
【請求項6】
少なくとも一つの水を加熱する要素をさらに有する請求項2記載の水加熱装置であって、前記壁は熱的にこの要素に接続される、水加熱装置。
【請求項7】
少なくとも一つの水を加熱する要素をさらに有する請求項1記載の水加熱装置であって、前記第一の区画が、当該装置の通常の動作位置において前記加熱要素の上にある位置に位置される、請求項1記載の水加熱装置。
【請求項8】
前記殻内に段差が設けられる、請求項1記載の水加熱装置。
【請求項9】
家庭用蒸気発生装置として適用されるよう適応された、請求項1記載の水加熱装置。
【請求項10】
請求項1記載の水加熱装置と、前記装置の前記殻の内部の前記空間に水を供給する手段とを有する組立体。
【請求項11】
前記水加熱装置の前記空間の前記第二の区画における水位を感知し、前記水供給手段の動作を制御する手段をさらに有する、請求項10記載の組立体。
【請求項12】
水貯留部と、前記水貯留部から前記水加熱装置の前記入口に延びる導管と、前記水貯留部から前記水加熱装置の前記入口へ強制的に水を流れさせる手段とを有する、請求項10記載の組立体。
【請求項13】
ホース・コードを通じて前記水加熱装置の前記入口に接続される、蒸気を外に出すための装置をさらに有する、請求項10記載の組立体。
【請求項14】
蒸気を外に出すための前記装置が蒸気アイロンである、請求項13記載の組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−536411(P2010−536411A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520653(P2010−520653)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053117
【国際公開番号】WO2009/022260
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)