説明

水を精製するための高反応性試薬の製法

【課題】混合物の形で吸着特性を相互に補償する種々の吸着剤の混合物。
【解決手段】吸着剤の混合物が微細なα−FeOOH、その際に、微細なα−FeOOHは、100nmまでの粒度および80〜200m2/gのBET表面積を有する、および酸化アルミニウム、活性炭およびイオン交換樹脂から成る群から選択される1つまたはそれ以上の化合物から本質的に成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合物の形で吸着特性を相互に補償する種々の吸着剤材料の混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化鉄および/またはオキシ水酸化鉄を基礎とする接触顆粒(contact granules)および吸着顆粒は、既に記載されている。これらは、連続的方法において使用されており、その際、これらの顆粒は一般的に塔装置もしくはカラムのような装置中にあり、これを通って処理すべき媒体が流れ、かつこの顆粒の外部および内部表面で化学反応もしくは物理反応または吸着法が行われる。
【0003】
流動媒体は、顆粒に作用を及ぼし、前記顆粒は顆粒が著しく撹拌されるまで摩耗および/または運動を生じさせることができる。その結果、顆粒コロイドは、相互に衝突し、それゆえ不所望に摩耗してしまう。これは、接触材料または吸着剤材料の損失および処理すべき媒体の汚染を導く。
【0004】
酸化鉄および水酸化鉄含有吸着媒体/反応媒体は、例えば、水精製またはガス精製の分野において有利に使用可能である。水精製において、この媒体は、例えば、飲料水、水道水、工業用、自治都市の廃水、ミネラルウォーター、聖水および治療用水ならびに泉水および農業用水から、溶解、懸濁または乳化した有機または無機リン化合物、ヒ素化合物、アンチモン化合物、硫黄化合物、セレニウム化合物、テルル化合物、ベリリウム化合物ならびにシアノ化合物および重金属化合物を除去するために、水平または垂直に貫流するフィルターもしくは吸着カラム中で使用されるか、または処理すべき水に添加することにより使用される。地下水および汚染された場所(ゴミ集積場)の浸透水から前記汚染物質を除去するために、いわゆる反応壁(reactive wall)を使用することもできる。
【0005】
ガス精製においては、この媒体は、不所望な成分、例えば、排気ガス中の硫化水素、メルカプタンおよび青酸ならびに他の燐化合物、ヒ素化合物、アンチモン化合物、硫黄化合物、セレニウム化合物、テルル化合物ならびにシアノ化合物および重金属化合物を結合するための吸着器で使用される。HF、HCl、HS、SO、NOのようなガスを吸着することもできる。
【0006】
廃油および他の汚染された有機溶剤から、燐化合物、ヒ素化合物、アンチモン化合物、セレニウム化合物、テルル化合物、ならびにシアノ化合物および重金属化合物を除去することもできる。
【0007】
酸化鉄および/またはオキシ水酸化鉄を基礎とする接触顆粒および吸着顆粒は、気相または液相中の化学反応を触媒するためにも使用される。
【0008】
吸着媒体を使用して、微量物質および汚染物質を水系から除去する種々のタイプの方法が公知である。
【0009】
DE-A 3120891には、主にホスフェートを地表水から除去するために、1〜3mmの粒度を有する活性アルミナを通して濾過を行う方法が記載されている。
【0010】
水からの汚染物質の除去に関して、DE-A 3800873では、多孔質材料を基礎とする吸着媒体、例えば、微細から中程度の粒度を有する疎水化されたチョークが記載されている。
【0011】
DE-A 3703169には、天然水を浄化するための粒状フィルター物質の製法が開示されている。この吸着剤は、カオリンの水性懸濁液に、流動床中の粉状ドロマイトを添加する顆粒化により製造されている。次に、顆粒を900〜950℃で燃焼している。
【0012】
DE-A 4034417は、排気ガスおよび廃水を精製するための高反応性試薬の製法および使用を開示している。ここでは、Ca(OH)と添加物クレー、石粉、飛散塵および飛散灰とから成る混合物が記載されており、これは、多孔質になるように製造され、かつ約200m/gの表面積を有することができる。
【0013】
DE-A 4214487には、水から汚染物質を除去するための方法および反応器が記載されている。水精製用の吸着剤として微分散した薄片形の酸化鉄を使用する漏斗型反応器を、流れが水平に通過している。この方法の欠点は、薄片形の水酸化物の使用であり、この原因は、水と水酸化鉄の間の密度差が小さいため、このような反応器が極めて低い流速でしか運転できず、場合により既に汚染物質で汚染された吸着剤が水と一緒に反応器から流出する危険を導いてしまうことにある。
【0014】
JP-A 55132633には、アルミニウム製造の副生成物としての粒状赤泥がヒ素用の吸着剤として記載されている。これは、Fe、AlおよびSiOから構成されている。顆粒の安定性および顆粒法は、そこには報告されていない。
【0015】
DE-A 19826186には、水酸化鉄含有の吸着媒体の製法が記載されている。水性ポリマー分散液は、水に分散可能な形で水酸化鉄中で混合され、引き続き乾燥されている。これにより、水酸化鉄がポリマー中に硬く埋め込まれた材料が得られ、かつ通常は廃水または排気ガス中に含有される汚染物質に対して高い結合能を有するとされている。
【0016】
PCT/01/10926に相当する明細書DE-A 10047997、DE-A 10047996またはPCT/01/10513には、特にヒ素イオンおよび他の汚染物質を飲料水から除去するために首尾良く利用できる酸化鉄またはオキシ水酸化鉄を基礎とする吸着顆粒が記載されている。
【0017】
DE-A 10115414またはPCT/01/10634には、例えば、結合剤として、酸化アルミニウム、酸化チタンおよび/または酸化マグネシウムを含有する酸化鉄および/またはオキシ水酸化鉄を基礎とする顆粒が記載されている。DE-A 10047996またはPCT/01/10513では、Fe(OH)マトリックス中に埋め込まれた酸化鉄またはオキシ水酸化鉄を含んでいる。その結果、ヒ素の吸着を害することなく著しく高い安定性を有する顆粒が得られる。
【0018】
DE-A 10047997またはPCT/01/10926には、高い比表面積を有する微粉末またはナノ粒子の酸化鉄または水酸化鉄から成る顆粒が記載されており、これは、ヒ素イオンおよび重金属イオンに対する高い吸着能の他に、前記顆粒が固定床で使用される場合に高い強度および摩耗安定性を有する。
【0019】
DE-A 10129307またはPCT/01/10930には、前記顆粒で充填することができ、かつ水処理における汚染物質の除去に使用することができる吸着容器が記載されている。
【0020】
DE-A 4320003には、コロイド状または粒状水酸化鉄を使用して、溶解したヒ素を地下水から除去する方法が記載されている。微細な水酸化鉄(III)懸濁生成物の使用に関して、ここでは顆粒材料または高い外部多孔率または内部多孔率を有する他の担体で充填された固定床フィルターに水酸化鉄懸濁液を導入することが推奨されている。この方法は、吸着剤"基材+水酸化鉄"に対して、低い特異的負荷容量だけしか達成できないという欠点を伴う。さらに、基材と水酸化鉄の間には単に弱い結合しかないため、引き続くヒ素含有水を用いる処理において、水酸化鉄またはヒ酸鉄が流出する危険性がある。この明細書では、さらに凍結乾燥により製造される固定床反応器用の吸着剤材料としての粒状水酸化鉄の使用が記載されている。
【0021】
高い直線力を使用することにより、例えば粉状酸化鉄を圧縮して製造可能な顆粒の使用も既に記載されている。液状コンクリートを均一に着色するためのこのような顆粒が記載されている。圧縮の際の高い直線力の使用は、極めてエネルギー浪費かつコスト高であり、吸着器中での比較的に長期使用においては圧縮材料の安定性が望ましくない。従って、このような材料は、例えば、吸着器、特に連続的に運転する吸着器、水の精製に限ってのみ使用されると考えられる。逆洗(以下参照)により吸着器系を運転または洗浄する際には、このような顆粒は、同じ関連する撹拌の結果、大量の物質を損失する。逆洗水は、撹拌により著しく混濁する。これは、多くの理由で認容できない。第一に、長い利用時間後に不純物で著しく汚染され、毒性的に危険である吸着材料を損失しまうことである。従って、いくつかの理由を留めるに限るが、廃水流は摩耗により汚染され、ひいてはパイプ系の損害を導き、最後には下水処理場が不所望に物理的かつ毒性的に損害を受ける。
【0022】
水処理のために、有利には連続的に運転する吸着器が使用され、これはしばしば纏まった形で平行に配置して運転させる。最大消費時間において、流速が設計限界の最大値を上回らないように平行した形でこの吸着器を運転させる。より低い水の消費の間に、個々の吸着器を運転から外し、かつこの間に例えば、以下に詳述するように、吸着材料を特別な圧力に曝して操作する。
【0023】
水処理において、有利には、しばしば纏まった形で平行に配置して運転させる連続的に運転する吸着器が使用される。有機的汚染物質を水から除去するために、例えば、このような吸着器は、例えば、粒状または粉状の形の活性炭で充填される。
【0024】
特に、軟水法および多数のカチオンおよびアニオンを除去するためにイオン交換樹脂またはゼオライトが使用される。
【0025】
種々の粒度の活性アルミナは、フッ化物およびヒ素化合物を除去するために使用される。
【0026】
しばしば種々のタイプの多数の成分を1つの同じ水源から除去しなくてはならない問題と直面する。一般的には、これは連続して直列に接続された複数の吸着カラムにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】DE-A 3120891
【特許文献2】DE-A 3800873
【特許文献3】DE-A 3703169
【特許文献4】DE-A 4034417
【特許文献5】DE-A 4214487
【特許文献6】JP-A 55132633
【特許文献7】DE-A 19826186
【特許文献8】PCT/01/10926
【特許文献9】DE-A 10047997
【特許文献10】DE-A 10047996
【特許文献11】PCT/01/10513
【特許文献12】DE-A 10115414
【特許文献13】PCT/01/10634
【特許文献14】PCT/01/10513
【特許文献15】DE-A 10129307
【特許文献16】PCT/01/10930
【特許文献17】DE-A 4320003
【特許文献18】DE-A 19905601
【特許文献19】DE-A 19915829
【特許文献20】DE-A 19814008
【特許文献21】DE-A 19615120
【特許文献22】DE-A 4304536
【特許文献23】US-A 6099728
【特許文献24】US-A 4064876
【特許文献25】DE-A 19816871
【特許文献26】RU-A 2027676
【特許文献27】HU-A 00209500
【特許文献28】DE-C 839405
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】W. Driehaus, Fortschr. -Ber. VDI, 15; 133, VDI Duesseldorf, 1994
【非特許文献2】Solid-Liquid Filtration and Separation Technology, A. Rushton, A. S. Ward, R. G. Holdich, 第2版 2000, Wiley-VCH, Weinheim
【非特許文献3】Handbuch der Industriellen Dest/Fluessig-Filtration, H. Gasper, D. Oechsle, E. Pongratz, 第2版 2000, Wiley-VCH Weinheim
【非特許文献4】教書Industriellen Fest/Fluessig-Filtration, H. Gasper, D. Oechsle, E. Pongratz, 第2版 2000, Wiley-VCH Weinheim
【非特許文献5】DIN 66131(1993)
【非特許文献6】DIN 38406-29(1999)
【非特許文献7】EN-ISO 11885(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の根底となる課題は、汚染物質を含有する飲料水、水道水、ミネラルウォーター、泉水、農業用水、聖水および治療水および/またはガスの群から成る水を精製するための、特に酸化鉄、鉄(オキシ)水酸化物および他の吸着媒体/反応媒体の粉状または粒状乾燥混合物を基礎とする高反応性試薬および組成物を、添加剤、例えば結合剤と一緒にまたは用いずに混合することであり、その際、前記試薬および組成物は、高い精製能および反応生成物の埋立て安全性により傑出しており、かつその製法およびその使用の提供であった。吸着媒体/反応媒体の混合物は、高い結合能を保証すべきであり、その結果、液体およびガス中に含有されるかまたは溶解した汚染物質の多くの除去が保証されるが、しかし、同時に吸着器ハウジングまたは吸着器系中の機械的応力および水圧に耐えなくてはいけなく、さらに、安全のために備え付けられたフィルターの濾過挙動の結果、懸濁した不純物の流出または汚染物質で汚染され得る摩耗した吸着器部分が妨げられる。
【0030】
本発明の接触および吸着媒体/反応媒体、その設備、その使用ならびにこれらで充填された装置は、この複雑な課題を達成する。さらに本発明は、本発明による濾過ユニット中に充填するための吸着器の製法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0031】
意外にも、吸着能を補償し、かつおそらく予測されてきたような相互に妨害しない粒状または粉状の形の種々の吸着媒体の混合物が見出された。
【0032】
例えば、活性炭、活性アルミナ、粒状鉄(オキシ)水酸化物またはイオン交換樹脂は、事実上任意の割合で混合される。
【0033】
水精製作用を有する他の物質を混合することもできる。酸化マンガンのうち、例えば、ヒ素(III)化合物に対する酸化作用が公知である:W. Driehaus, Fortschr. -Ber. VDI, 15; 133, VDI Duesseldorf, 1994。この物質の混合は、例えば、As(V)の他にAs(III)化合物を除去きるという利点を有する。
【0034】
銅化合物および/または亜鉛化合物および/または銀化合物を混合することもできる。これらの化合物は、例えば、水中で有害な微生物に対して生物学的作用を有することができる。
【0035】
利用者自身は、存在する水の品質に応じて必要な純度要求を考慮して、吸着剤の最も適切な混合比を選択することができる。このように製造された混合物は、水精製の各々の要求に適合させることができる。
【0036】
この混合物は、組成物として塊の形で販売するか、または
吸着器コンテナに充填し(かつ販売)することができる。
【0037】
個々の吸着媒体の混合物は、それぞれが粉末、顆粒または他の商業上の利用に応じた形、またはこれらの混合物の形の個々の吸着剤を、結合剤および/または水と一緒にもしくは用いずに混合し、押出プレス、押出機または他のペレット化および顆粒化装置によりボディ、ロッドまたは顆粒の形に成形するか、または結合剤と一緒にもしくは用いずに加圧装置によりこれらを加圧成形して適切なサイズの成形体にすることにより製造できる。この個々の成分の混合物は、他の吸着媒体を、例えば製造法の際に混入または混合することにより製造することもできる。例えば、粒状の酸化鉄/鉄(オキシ)水酸化物(例えば、PCT/01/10926に相当するDE-A 10047997に記載されているような)の合成の際に、吸着器カラム中でのその使用の際に極めて良好に凝集し、かつそれぞれの成分の吸着能が保持される安定な混成材料が成形されるような方法で、粉状または粒状の形の吸着剤材料を、ペースト形成の際または顆粒化の後に、懸濁液、フィルターペーストに混入することができる。
【0038】
水道水から有機、無機または生物学的微量物質および汚染物質を除去するために、処理すべき水が貫流可能な粒状または粉状の、固体、水不溶性吸着媒体で充填された吸着容器中、特にフィルター吸着容器中に本発明の混合物を埋め込むことができる。この装置は、例えば、家庭で下水および飲料水供給に接続させることができる。
【0039】
特に有利には、本発明による顆粒は液体の精製、特に重金属を除去するために使用される。この技術分野の有利な適用は、水、特に飲料水の汚染除去である。最近では、飲料水からのヒ素の除去に特に関心が集まっている。本発明の顆粒はこのために傑出して適切である。それというのも、本発明の顆粒を使用することにより達成される濃度は、US EPAにより設定された低い限界値に従うだけではなく、むしろ下回ることができるからである。
【0040】
この問題は、井戸水または飲料水が一般的にヒ素または他の重金属で汚染されている、近隣に適切な飲料水浄水場が無いか、または汚染物質を連続的に除去するための適切な集成装置を有さない領域において多く直面する。
【0041】
液体、有利には汚水を精製するための、吸着媒体を含有することができるフィルターカートリッジが種々の実施態様において公知である。
【0042】
水から固体を除去するために、例えば、メンブレンフィルターキャンドルが適切なハウジング中で使用される。
【0043】
Brita Wasser-Filter-System社は、液体を処理するためのカートリッジおよび装置を開示している(DE-A 19905601; DE-A 19915829; DE-A 19814008; DE-A 19615120; DE-A 4304536; US-A 6099728)。これらの装置は、飲料水を使用する直前に家庭用水道の飲料水から完全にまたは部分的に脱塩するために極めて適切である。
【0044】
US-A 4064876には、ポリエステルウレタン泡状層とガラス繊維層との間に活性炭粒子の床を有するフィルターカートリッジとして構成された濾過ユニットが開示されている。
【0045】
DE-A 19816871(Sartorius)には、流体から汚染物質を除去するための濾過ユニットが記載されている。
【0046】
RU-A 2027676には、住宅の吸水栓への連結部を有する飲料水精製用の吸着剤を含有するカートリッジフィルターが記載されている。
【0047】
HU-A 00209500には、水から放射性材料および重金属を除去するための、イオン交換材料、活性炭、濾過砂、ゼオライト、酸化アルミニウムおよび赤泥から成る混合物で充填されたフィルターカートリッジが記載されている。
【0048】
大抵は、これらの吸着器カートリッジは、活性炭またはイオン交換樹脂で充填される。しかし、活性炭は、活性炭の低い吸着能ゆえに、水性系で生じるようなヒ素塩および重金属塩が十分な程度に除去されないという欠点を有し、この事はカートリッジの有効期間に影響を与える。
【0049】
この課題は、プラスチック、木材、ガラス、セラミック、金属または入口または出口開口部が備えられた複合材料から構成されるハウジングから成る濾過ユニットにより解決されている。簡単な実施態様の例は、DE-A 19816871に詳しく記載されている。吸着タンクの改善された実施態様は、DE-A 10129307またはPCT/01/10930に記載されている。明らかに原則として、記載された構造に類似し、かつ記載された方法で運転する他の実施態様および設計が可能である。すなわち、水用の入口および出口開口部ならびに酸化鉄および/または鉄(オキシ)水酸化物を吸着媒体として含むことが可能である。
【0050】
ここでのハウジング間隙は、完全にまたは部分的に吸着剤粒子で充填することができる。ハウジング体積の1〜99%を吸着する吸着剤粒子の床でハウジング間隙を充填することにより、精製すべき流体の多くの流量が保証される。それというのも、吸着顆粒の安定性により、流入する液体が僅かな抵抗力によって抵抗されるからである。
【0051】
これらの明細書は、吸着により含有される汚染物質を除去するために、精製すべき河川に供給することができる吸着顆粒で充填されたフィルターバッグも記載している。
【0052】
フィルターバッグおよび抽出膜は、例えば、温かい注入飲料、特にお茶を製造するための多様な形および実施態様で公知である。DE-C 839405には、例えば、お茶およびこのようなものを製造するために使用されるような折り畳みバッグが記載されている。二室系(double-chamber system)を形成する特別な折り畳み技術を使用することにより、溶離液と抽出すべき物質との強力な混合が保証される。
【0053】
しかし、同じ理由によって、粉状、細かい粒状または粗い顆粒型の本発明の吸着剤混合物は、濾過作用を有する半透性のバッグ(例えば、上記の折り畳みバッグ)に埋め込むこともでき、かつ一定の接触時間後にこの手法により、吸着剤材料に吸着させることで水から汚染物質を除去するために、これらのパッケージを精製すべき水に供給することができる。一方で、吸着混合物はフィルターバッグ中の機械的応力および水圧に耐えなくてはならず、他方で、フィルターメンブレンの濾過作用によって摩耗により生じる吸着材料の微細成分が精製すべき水に流出することも回避されなくてはならない。
【0054】
本発明による種々の実施態様は、微細な粒状、粗い粒状または粉状または圧縮された形の種々の吸着剤から成る混合物が濾過作用を有するハウジング中に埋め込まれ、かつ精製すべき液体がフィルターハウジングを貫流することができるか、またはフィルターパッキングが精製すべき液体に供給され、こうして汚染物質の吸着が保証されるということが共通している。
【0055】
本発明による顆粒の製造に関しては、PCT/01/10926に相当するDE-A 10047997、DE-A 10047996またはPCT/01/105143、DE-A 10129307またはPCT/01/10930およびDE-A 10115414またはPCT/10/10634ならびに前記特許文献中に引用されている文献を参照されたい。
【0056】
種々の吸着剤の混合物は、例えば以下のように製造することができる。例1に記載されているように、鉄(オキシ)水酸化物の懸濁液を製造し、かつ種々の吸着材料を一定の割合で添加し、この懸濁液を濾過し、かつ残留物を洗浄して本質的に塩不含にする。残留物として得られたフィルターケーキは、固体から半固体のペースト物である。引き続きこれを完全または部分的に脱水し、かつ得られた材料を粉砕して所望の形および/または大きさにする。選択的に、場合により予備乾燥の後に、十分な固体の状態になるペーストまたはフィルターケーキを付形し、引き続き(さらに)乾燥して微粒の状態にすることができる。顆粒の後の使用は、その製造における有利な方法を決定し、かつそれぞれの適用分野の当業者が簡単な先行試験を用いて決定できる。乾燥したフィルターケーキだけではなく乾燥した成形品も接触または吸着器として直ぐに使用することができる。
【0057】
使用される微細な酸化鉄および/またはオキシ水酸化鉄は、500nmまで、有利には100nmまで、特に有利には4〜50nmの粒度を有し、かつ50〜500m/g、有利には80〜200m/gのBET表面積を有する。
【0058】
このために、選択的に例1または例2から得られる生成物または混合物を、引き続き例えば粗い粉砕または磨砕により更に粉砕することができる。
【0059】
顆粒を製造する他の方法は、やや湿ったペーストのペレット化である。この場合に、例えば簡単な多孔板、ローラープレスまたは押出機によりペレットまたはロッドを半固体ペーストから形成し、かつこれを直ちに乾燥させるか、または押出物を整粒器(spheronizer)により付加的に球状または顆粒の形にする。このなお湿った球状物または顆粒は、引き続き任意の湿気含量まで後乾燥される。顆粒が粘着しないように、<50%の残留湿気含量が望ましい。このような球状形は、粗く破砕された顆粒またはロッド型のペレットと比較して吸着容器中の床が改善されているため、固定床吸着器中で使用するために有利である。
【0060】
懸濁液の濾過挙動を改善するために、Solid-Liquid Filtration and Separation Technology, A. Rushton, A. S. Ward, R. G. Holdich, 第2版 2000, Wiley-VCH, Weinheim, and Handbuch der Industriellen Dest/Fluessig-Filtration, H. Gasper, D. Oechsle, E. Pongratz, 第2版 2000, Wiley-VCH Weinheimならびに教書Industriellen Fest/Fluessig-Filtration, H. Gasper, D. Oechsle, E. Pongratz, 第2版 2000, Wiley-VCH Weinheimに記載されているように、一般的な濾過を促進する措置を使用することができる。このように、例えば、懸濁液に凝集剤を添加することができる。
【0061】
さらに、またはこの代わりにオキシ水酸化鉄、炭酸鉄を使用することもできる。
【0062】
本発明の生成物は、空気および/または真空中および/または乾燥棚中および/またはバンド乾燥機または噴霧乾燥により、有利には−25〜250℃、特に有利には60〜120℃の温度で乾燥させることができる。
【0063】
本発明の生成物は、有利には20質量%未満の残留水含量を有する。
【0064】
得られる断片または顆粒は、水、液体、ガス中に存在する汚染物質に対して高い結合能を有し、さらに流動媒体による機械的応力または水圧に関して十分に高い安定性を有することが見出された。
【0065】
特に、高い比表面積を有する微分散したオキシ水酸化鉄または酸化鉄が、他の種類の吸着媒体および添加剤と混合し、乾燥させた後に極めて硬い凝集物に硬化し、これが結合剤を添加しない場合にも、貫流水との接触において高い機械的摩耗抵抗および高い水安定性を有し、かつ水中に含まれる有毒物質および微量物質に対して高い結合能を有することは意外であった。
【0066】
80m以上の比表面積を有する本発明の微分散したオキシ水酸化鉄、例えば、透明なオキシ水酸化鉄顔料の使用が適切である。しかし、相応して、微分散した酸化鉄顔料は有利にはヘマタイト、マグネタイトまたはマグヘマイトを使用することもできる。
【0067】
酸性pHまたはアルカリpH範囲での黄色の微分散したオキシ水酸化鉄顔料(例えば、ゼオライト)の製造(これは酸性シードまたはアルカリ性シードと呼ばれる)は、先行技術であり、多数の特許に記載されている。
【0068】
最も変化のあるフェーズのオキシ水酸化鉄を、それぞれ純粋な形または任意の混合物の形で公知の沈殿反応および酸化反応により、鉄(II)塩溶液または鉄(III)塩溶液から製造し、場合により後処理し、かつ他の吸着媒体と混合した後に、得られたオキシ水酸化鉄を懸濁液から濾過により塩溶液から分離し、さらに塩不含、有利には<5mS/cmまでの残留伝導率まで洗浄し、かつ固体または半固体フィルターケーキを、そのままの状態で、または場合により機械的付形の後に、引き続き乾燥させて固体状態にすることで、廃水または排気ガス中に一般的に存在する汚染物質に対して高い吸着能を有する高い機械強度の材料が得られる。
【0069】
乾燥は、便宜上250℃までの温度で行われる。材料の真空乾燥または凍結乾燥も可能である。しかし全ての場合に、乾燥温度は、それぞれの吸着媒体のいずもが、その吸着能を損失しないように選択されるべきである。材料の粒度は任意であり、これは有利には0.2〜40mm、特に有利には0.2〜20mmである。これは乾燥前に、粒状化またはペレット化系によるか、または押出プレス中において、半固体のペースト状フィルターケーキを機械的に付形して0.2〜20mmの範囲内の大きさの成形体にし、引き続き空気中、バンド乾燥機中または乾燥棚で乾燥させ、かつ/または乾燥後に機械的粉砕して所望の粒度にすることにより達成される。
【0070】
先行技術の方法と比較して、記載された生成物、その製法およびその使用は、改善されている。本発明の微分散されたオキシ水酸化鉄および/または酸化鉄を基礎とする顆粒混合物は、吸着器カラム中のそれぞれ特定の精製要求に適応した吸着混合物を用いて、はるかにスペースを取らない方法で使用することができ、かつそれぞれ異なる媒体を有する複数のカラムを必要としない。これらは、そのまま使用することができる。
【0071】
他の結合剤または圧縮の際に高い線状力を利用する、通常のオキシ水酸化鉄を(流動性)粉末の形で使用する際に必要とされるような別々の顆粒化は完全に無くてもよい。
【0072】
本発明によれば、微分散されたオキシ水酸化鉄または酸化鉄の懸濁液は、通常の粉状オキシ水酸化鉄または酸化鉄と混合してもよい。それぞれの量は、粉状オキシ水酸化鉄または酸化鉄の特性および機械安定性および耐摩耗性に関する本発明の生成物に課せられる要求により決定される。粉状顔料の添加は一般的に本発明による生成物の機械的強度を低下させるが、微分散した懸濁液の濾過を容易にする。それぞれの適用分野の当業者は、いくつかの予備実験により、その使用目的に最適な混合比を決定することができる。
【0073】
吸着媒体の混合物は、さらにFe3+、Al3+、Mg2+、Ti4+またはこれらの混合物の水性塩のNaOH過剰に相当する量と混合して、Fe(OH)、Al(OH)、Mg(OH)、TiO(OH)の十分な難溶性沈殿物、またはそのエージング生成物および無水副生成物が懸濁した酸化鉄粒子および/またはオキシ水酸化鉄上に沈殿させることができる。反対に、アルカリ、例えば、NaOH、Ca(OH)、KOH、CaCO、NaCO、KCO、NHOHを添加することにより、Fe3+、Al3+、Mg2+、Ti4+溶液中に懸濁された酸化鉄および/またはオキシ水酸化鉄上に、難溶性沈殿物であるFe(OH)、Al(OH)、Mg(OH)、TiO(OH)またはそのエージング生成物および無水副生成物を沈殿させることができる。酸化アルミニウムまたはオキシ水酸化アルミニウムは、アルミン酸塩懸濁液(例えば、NaAlO)から酸化鉄および/またはオキシ水酸化鉄粒子上に沈殿させることができる。
【0074】
このために、近年使用されているような例えば活性炭で充填されている通常の吸着器装置中で、他のタイプの汚染物質を除去するために顆粒を使用することができる。例えば、撹拌器が備え付けてあってもよい水槽または類似した容器中でのバッチ式運転も可能である。しかし、連続的に運転する装置、例えば、貫流吸着器も有利である。
【0075】
本発明の顆粒の安定性および吸着顆粒の適切なパッキングにより、材料の摩耗が最小化される。
【0076】
従って、本発明による顆粒で充填して運転する浄水場または給水施設、またこのような装置ならびにこのような装置自体を使用する水の汚染除去法も同様に本発明の対象である。
【0077】
本発明による生成物のBET比表面積は、DIN 66131(1993)のワンポイント法による担体ガス法(He:N=90:10)により測定されり。この測定の前に、試験体を140℃で1時間、乾燥した窒素流中で加熱させる。
【0078】
ヒ素(III)およびヒ素(V)の吸着を測定するために、5リットルPEフラスコ中で特定の時間にわたり、NaAsOまたはNaHAsO水溶液(それぞれヒ素約2〜3mg/lの濃度を有する)3リットルを、試験すべき試験体3gで処理し、かつこの間にフラスコを回転ディスク上で撹拌させる。この特定の時間(例えば1時間)にわたる酸化鉄へのヒ素イオンの吸着速度は、溶液中に滞留するAs3+5+−イオンの差からmg(As3+5+)/g(FeOOH)・hで得られる。
【0079】
汚染されたオキシ水酸化鉄もしくは溶液のAs含量は、DIN 38406-29(1999)の質量分析(ICP-MS)によるか、またはEN-ISO 11885(1998)の発光分光学により励起ユニットとしての誘導結合プラズマを使用して決定される。
【0080】
機械的および水による摩耗抵抗の判断は、以下の方法により行う:>0.1mmの粒度を有する試験すべき顆粒10gを500mlコニカルフラスコ中で脱イオン水150mlと混合し、かつLabShaker振盪器(Kuhnerモデル. Braun社)中で30分間にわたり、250rpmで回転させて混合した。引き続き、>0.1mmのフラクションを篩いを使用して懸濁液から単離し、乾燥させ、かつ秤量した。最終重量と初期重量の重量比は、%での摩耗値を提供する。
【0081】
本発明を以下に実施例を用いて詳述する。実施例は方法の説明に利用するもであり、何の制限も受けないものとする。
【実施例】
【0082】
実施態様1
NaOH 3100kgを装入し、かつ冷水で31mまで希釈した(約100g/lを有する溶液として)。このNaOH溶液の温度は24℃であった。
【0083】
FeSO 3800kgを水で溶解させて36mの溶液にし、13〜14℃まで冷却し、引き続き40分間にわたり撹拌下にNaOH装入物にポンプ供給した。次に生じた懸濁液を撹拌下に空気2500m/hで90分間にわたり酸化した。
【0084】
引き続き、150 l/分でFeSO溶液(100g/l)17.4mを撹拌下に空気1300m/hで通気しながら添加した。
【0085】
シード懸濁液を圧濾器により<1mS/cmの濾液伝導率になるまで洗浄し、フィルターペーストを多孔板に押し込み、かつバンド乾燥機により<20質量%の残留湿分になるまで乾燥させた。このように乾燥させた材料を<2mmの粒度まで粗く粉砕した。<0.5mmの微細なフラクションを篩いにより分離した。このように得られた材料はBET比表面積134m/gを有しており、かつ100%α−FeOOHから成っていた。30分後の摩耗値は、単に4.0質量%であった。
【0086】
出発濃度2.7mg/l(As5+)を有するNaHAsO水溶液に関する吸着速度は、0.7mg(As5+)/g(FeOOH)・hであった。
【0087】
実施態様2
例1により製造されたオキシ水酸化鉄の懸濁液を、Bayer社のイオン交換器Lewatit(R)10質量%、活性炭20%および活性化酸化アルミニウム20%と混合した。質量%は、乾燥顆粒総質量100%に対するものである。この懸濁液を圧濾器により<1mS/cmの濾液伝導率になるまで洗浄し、フィルターペーストを多孔板に押し込み、かつバンド乾燥機により<20質量%の残留湿分になるまで乾燥させた。このように乾燥させた材料を<2mmの粒度まで粗く粉砕した。<0.5mmの微細なフラクションを篩いにより分離した。このように得られた材料を直接に吸着タンク中で使用した。
【0088】
実施態様3
実施態様1により製造された鉄(オキシ)水酸化物の乾燥顆粒を、陽イオン交換器20質量%、粒状活性炭30%(粒度0.5〜2mmの間)および粒状酸化アルミニウム20%と混合し、かつ高い直線力の作用下に圧縮した。このように得られた圧縮物を0.5〜2mmの間の粒度まで粗く粉砕し、かつ水精製用の吸着容器中で使用した。
【0089】
実施態様4
一般的に0.5〜2mmの間であるか、または粉砕された形の例1から3により製造された吸着顆粒を、接触間隙中に埋め込んだ。濾過ユニットは、圧力差0.1バールの場合に、流体としての空気に対して1分あたり2000mlの流量を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細なα−FeOOH、その際に、微細なα−FeOOHは、100nmまでの粒度および80〜200m2/gのBET表面積を有する、
および酸化アルミニウム、活性炭およびイオン交換樹脂から成る群から選択される1つまたはそれ以上の化合物
から本質的に成る吸着剤の混合物であって、有機、無機または生物的な汚染物質または内容物で汚染された水を精製するための吸着剤の混合物を製造するにあたり、種々の吸着媒体の混合物を準備することを含む、以下:
固体の形の、前記の1つまたはそれ以上の化合物を、
前記の微細なα−FeOOH
の水性懸濁液と混合し、
その際に、懸濁液を濾過し、かつ残留物を洗浄して本質的に塩不含にし、得られたフィルターケーキを付形し、引き続き乾燥して微粒の状態にする
ことを特徴とするか、または
固体の形の、前記の1つまたはそれ以上の化合物を、
前記の微細なα−FeOOHの水性懸濁液から生じたフィルターケーキを乾燥させ、かつ生じた乾燥したフィルターケーキを粉砕することにより得られる
粒子と混合し、
混合物を、その後に押出プレス、押出機または他のペレット化および顆粒化装置によりボディ、ロッドまたは顆粒の形に成形することによるか、または加圧装置により成形して成形体にすることにより圧縮して、圧縮された混合物を0.5〜2mmの粒度に粗く粉砕する
ことを特徴とする、吸着剤の混合物の製法によって得られる、吸着剤の混合物。

【公開番号】特開2011−25248(P2011−25248A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253837(P2010−253837)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【分割の表示】特願2003−67014(P2003−67014)の分割
【原出願日】平成15年3月12日(2003.3.12)
【出願人】(504419760)ランクセス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (58)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】D−51369 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】