説明

水中撮影情報記録可能なカメラ

【目的】 本発明は、水中撮影をした時に、その撮影時の水圧および/または水深等を撮影情報として写真フィルム上の磁気記録部に記録できる水中撮影情報記録可能なカメラを提供する。
【構成】
【課題を解決するための手段】水中撮影ができて写真フィルム上に情報記録媒体としての磁気記録部を有するフィルムを使用するカメラにおいて、水圧および/または水深を検出する検出手段4と、この検出手段4で検出された水圧データおよび/または水深データを、撮影情報として磁気記録部に記録する撮影情報記録手段7と、この撮影情報記録手段7によって記録させる撮影情報を、撮影画像と対応させて記録させる記録制御手段1とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、撮影情報を記録できるカメラ、詳しくは水圧データおよび/または水深データの撮影情報を写真フィルム上の磁気記録部に記録することができる水中撮影情報記録可能なカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、撮影時の環境情報等を記録できるカメラは種々提案されている。例えば、特開平4−70725号公報に開示されているように、撮影画像を記録するカメラにおいて、温度センサと、該温度センサから得られた温度データを記録する記録手段と、上記温度データを撮影画像と対応させて前記記録手段に記録させる記録制御手段とを備えたことを特徴とする温度情報記録可能なカメラ。また、特開平4−70726号公報に開示されているように、撮影画像を記録するカメラにおいて、湿度センサと、該湿度センサから得られた湿度データを記録する記録手段と、上記湿温度データを撮影画像と対応させて前記記録手段に記録させる記録制御手段とを備えたことを特徴とする湿度情報記録可能なカメラ等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、記録する環境情報としては、上述したように従来のものでは温度情報や湿度情報であって、水中撮影ができるカメラで水圧情報および/または水深情報を記録できるカメラは未だ提案されていない。
【0004】本発明の目的は、水中撮影可能なカメラで水中撮影をした時に、水圧情報および/または水深情報を記録し、後でプリントを見れば撮影をした場所の水深や水圧が解るように、撮影画像に対応して水圧情報および/または水深情報を写真フィルム上の磁気記録部に記録できる水中撮影情報記録可能なカメラを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の水中撮影情報記録可能なカメラは、水中撮影ができて写真フィルム上に情報記録媒体としての磁気記録部を有するフィルムを使用するカメラにおいて、水圧および/または水深を検出する検出手段と、この検出手段で検出された水圧データおよび/または水深データを、撮影情報として磁気記録部に記録する撮影情報記録手段と、この撮影情報記録手段によって記録させる撮影情報を、撮影画像と対応させて記録させる記録制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0006】
【作用】上記カメラでの水中撮影時に、同カメラによって水圧および/または水深を検出し、この検出された水圧データおよび/または水深データを撮影フィルム上の磁気記録部に、撮影画像に対応させて記録する。
【0007】
【実施例】以下、図示の実施例によって本発明を説明する。図1は、本発明の一実施例を示す水中撮影情報記録可能なカメラのブロック構成図である。このカメラはカメラの動作をシーケンスコントロールするマイクロコンピュータからなるCPU1と、被写体の明るさを測定する測光手段2と、被写体距離を測定する測距手段3と、撮影時の水圧を検出する水圧検出手段4と、レリーズボタンを押下したときオンするレリーズスイッチ5と、フィルムに被写体像を露光する露光手段6と、水圧データ等を記録する情報記録手段7とで、その主要部が構成されている。
【0008】このように構成されたカメラによって、水中でのカメラ撮影をする場合、まず測光手段2で測定された被写体輝度がCPU1に入力されて、撮影レンズの絞りとシャッタスピードが決定される。また、測距手段3で測定された被写体までの距離が上記CPU1に入力されて、レンズの繰出量が決定される。そして、水圧検出手段4により、カメラ外部の水中の水圧が検出されて、その検出された水圧データが上記CPU1に入力される。ここで、レリーズボタンが押されてレリーズスイッチ5がオンすると、上記CPU1から露光手段6へ露光制御信号が出力されて、被写体像が図示されないフィルムに露光される。また、上記レリーズボタンが押されたとき、または押された直後に、上記CPU1の内部の記録制御手段から上記測定された水圧データ等が情報記録手段7へ出力される。この情報記録手段7により、撮影画像と対応してフィルム上の磁気記録部(図示されず)に上記水圧および/または水深データ等が記録される。
【0009】そして、このように水中撮影情報が記録されたフィルムはプリント時に、引延機がフィルムに記録された上記水圧データを読み込み、画像の焼き付けと同時に水圧および/または水深データを印画紙に写し込む。図2,図3は、水圧データおよび水深データを写し込んだプリント画像をそれぞれ示したものであって、図2には例えば、水深15mがプリントされ、水深が15mの所で撮影されたことを表示しており、図3は、例えば、水圧1.5気圧の場所で水中撮影をしたことが表示されている。
【0010】図4は、上記図1のカメラの更に具体的な構成を示したものであって、上記カメラ全体を制御するCPU11には、測光回路12からの被写体輝度データ,測距回路13回路からの被写体までの距離データがそれぞれ入力され、また、CPU11からはシャッタ制御機構14へシャッタ秒時データ,焦点調節機構15へレンズの繰出量データがそれぞれ出力される。これらはいずれも公知のものである。
【0011】また、上記CPU11からは、撮影情報,日付等の各種情報を表示するために表示回路16へ各種情報データが出力される。そして、計時回路17からは、同回路17内で作成された日付データが上記CPU11へ出力される。更に、CPU11には、磁気記録情報を一時記憶しておくためにEEPROMからなる記憶回路18へ情報が入出力される。また、測光/測距開始スイッチ19,露光開始スイッチ20,巻戻し開始スイッチ21のそれぞれのオン/オフ信号が上記CPU11に入力される。
【0012】上記CPU11からは、撮影時に、図示されない検出手段で検出された撮影情報信号が、磁気情報記録回路22へ出力される。同磁気情報記録回路22からは、磁気記録部を有するフィルム23上の磁気記録部に撮影情報を記録する磁気ヘッド24へ撮影情報ドライブ信号が出力される。また、上記フィルムの駒送り,巻戻しのときにフィルムの給送量を検出するためのフィルム給送量検出機構25からは、フィルムの給送量データ信号が上記CPU11に入力される。このフィルム給送量データ信号に基づいて、同CPU11からはフィルムを給送するためのフィルム給送信号が駆動回路26へ出力される。そして、同駆動回路26からは、フィルム給送ドライブ信号がフィルム給送機構27へ出力されて、上記フィルム23は駒送りあるいは巻戻しが行われる。
【0013】次に、このように構成された水中撮影情報記録可能なカメラの動作を図5に示すフローチャートにより説明する。 ステップS1において、シーケンスがスタートしてステップS2に進む。ステップS2では、測光/測距開始スイッチ19がオンされたか否かを確認して、同スイッチがオンされたらステップS3に進む。ステップS3のサブルーチンでは、被写体輝度および被写体までの距離が測定されて、ステップS4に進む。ステップS4のサブルーチンでは、水圧および/または水深が測定され、ステップS5に進む。ステップS5において、露光開始スイッチ20がオンされたか否かを確認して、同スイッチ20がオンされたらステップS6に進む。ステップS6のサブルーチンでは、カメラの撮影レンズの焦点調節が行われてステップS7に進む。ステップS7のサブルーチンでは、被写体像がフィルムに露光されてステップS8に進む。
【0014】次に、ステップ8では、上記フィルム巻上機構27が上記フィルム23の巻上げを開始する。そして、ステップS9に進む。ステップS9のサブルーチンでは、このフィルム23が巻上げれている間に上記CPU11から撮影情報データ信号が上記磁気情報記録回路22に出力されて、これが上記磁気ヘッド24により上記フィルム23の磁気記録部に記録される。次いで、ステップS10に進む。ステップS10において、上記フィルムの巻上げが完了しているか否かを確認して、ステップS11に進む。ステップ11では、上記フィルム巻上機構27が上記フィルム23の巻上げを停止して、ステップS12に進む。ステップS12のサブルーチンでは上記フィルム23上の磁気記録部に記録した撮影情報データを上記CPU11から上記記憶回路18に記憶させてステップS13に進んで、このシーケンスは終了となる。
【0015】図6,図7は、上記実施例において、フィルム23の磁気記録部に撮影データを磁気記録する際の磁気記録方法を説明したものである。この方法では、図示されないフィルム上の磁気記録媒体としての磁気記録部にはN方向の磁化状態,S方向の磁化状態,磁化されない状態の3種類の状態を記録することができる。図6に示すように、CPU11の出力ポートOUT1には、バッファ28の入力端が接続され、同バッファ28の出力端は磁気記録ヘッド24の作動コイルの一端部に接続される。この磁気記録ヘッド24のギャップ部24aは上記フィルムの磁気記録部に接している。上記CPU11の出力ポートOUT0には、バッファ29の入力端が接続され、同バッファ29の出力端は上記磁気記録ヘッド24の作動コイルの他端部に接続される。また、上記磁気ヘッド24の作動コイルの中性点はGNDへ接続される。
【0016】このように構成された磁気情報記録回路において、上記フィルム上の磁気記録部に記録するN方向の磁化状態を“1”,S方向の磁化状態を“0”として、N方向の磁化状態である“1”をフィルム上の磁気記録部に記録する場合は、上記CPU11の出力ポートOUT1から上記バッファ28へH(ハイレベル)信号が出力されて、同バッファ28により磁気記録ヘッド24がバイアスされて同ヘッド24の作動コイル24bにはI1の電流が上記中性点を通ってGNDへ流れる。これによって上記磁気記録ヘッド24の上記ギャップ部24aに磁束が生じて、上記フィルム上の磁気記録部にはN方向の磁化状態である“1”が記録される。
【0017】次に、S方向の磁化状態である“0”をフィルム上の磁気記録部に記録する場合は、上記CPU11の出力ポートOUT0から上記バッファ29へH信号が出力されて、同バッファ29により磁気記録ヘッド24がバイアスされて同ヘッド24の作動コイルには上記I1とは逆方向のI0の電流が上記中性点を通ってGNDへ流れる。従って、これによって上記磁気記録ヘッド24のギャップ部24aには上記I1の電流による磁束とは逆方向の磁束が生じ、上記フィルム上の磁気記録部にはS方向の磁化状態である“0”が記録される。また、上記CPU11の出力ポートOUT1,OUT0に、共にH信号が出力されないときは、上記磁気記録ヘッド24の作動コイル24bには電流が流れないので上記磁気記録ヘッド24のギャップ部24aには磁束が発生せず、フィルム上の磁気記録部にはN方向,S方向の磁化状態は記録されない。
【0018】上記“1”,“0”の磁化状態を1ビットの出力ポートの出力で記録できるところ、2ビットの出力ポートを使用することで、N方向の磁化状態である“1”,S方向の磁化状態である“0”,全く磁化されていない中性状態の3状態を表せるので、“1”でもなく“0”でもない状態を設けて判別することで、自走同期クロックとして働き、外部からの同期クロックが不要となる。
【0019】また、図7のタイミングチャートで上記磁化状態を説明すると、上記CPU11からは一定のタイミング時間間隔Tで上記出力ポートOUT1またはOUT0に矩形波状にTONの時間幅のH信号が出力される。また、上記出力ポートOUT1,OUT0共にH信号が出力されていない時間をTOFF とすると“T=TON+TOFF ”という式が成立する。OUT1に出力されるH信号を“1”,OUT0に出力される信号を“0”とすると、上記CPU11からは、「1,0,1,1,0,0」というデータ信号が上記出力ポートに出力される。CPU11からのデータが“1”の時は、(a)に示すように、出力ポートOUT1が0(ロウレベル)に対してH信号となり、CPU11からのデータが“0”の時は、(b)に示すように、出力ポートOUT0がH信号となる。
【0020】図7(c)に、上記OUT1,OUT0からの各信号により、上記バッファ28,29から上記磁気記録ヘッド24の作動コイル24bに流れる電流を、I1を正方向の電流,I0を負方向の電流として表している。つまり、0レベル(GND)を基準として、データ1の上記OUT1がHレベルのときは、上記作動コイル24bには正の飽和電流レベルを越えた正の矩形波状の波形となり、データ0の上記OUT0がHレベルのときは、上記作動コイル24bには負の飽和電流レベルを越えた負の矩形波状の波形となる。
【0021】上記フィルムの磁気記録部の磁化状態を図7(d)に示すように、Nの磁化状態を正方向,Sの磁化状態を負方向とすると、上記図7(c)に対応して、上記データが“1”の上記作動コイル24bの電流が正のときは、正のNの磁気飽和値に達するパルス状の波形となり、上記データが“0”の上記作動コイル24bの電流が負のときは、負のSの磁気飽和値に達するパルス状の波形となる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、本発明の撮影情報を記録することができるカメラでの水中撮影時に、水圧および/または水深データの撮影情報を写真フィルム上の磁気記録部に記録することにより、プリント時に引伸機でフィルム上の磁気記録部に記録された水圧および/または水深データを読み込み、画像の焼き付けと同時に水圧および/または水深の値をプリントに写し込んで、そのプリントをみれば、撮影した水中の水圧および/または水深が確認できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す水中撮影情報記録可能なカメラの構成ブロック図。
【図2】上記実施例のカメラで水中撮影をした画面に撮影情報である水深の値を表示したプリント画面を示す図。
【図3】上記実施例のカメラで水中撮影をした画面に撮影情報である水圧の値を表示したプリント画面を示す図。
【図4】上記実施例のカメラの具体的な構成を示すブロック構成図。
【図5】上記図4のカメラの撮影シーケンスを示すフローチャート。
【図6】上記図4のカメラにおける磁気記録回路の構成を示す電気回路図。
【図7】上記図6の磁気記録回路の各部のタイミングチャート。
【符号の説明】
1,11 ‥‥‥‥CPU(記録制御手段)
4 ‥‥‥‥検出手段
7 ‥‥‥‥撮影情報記録手段
22 ‥‥‥‥磁気情報記録回路(撮影情報記録手段)
23 ‥‥‥‥磁気記録部を有するフィルム
24 ‥‥‥‥磁気ヘッド(撮影情報記録手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水中撮影ができて、写真フィルム上に情報記録媒体としての磁気記録部を有するフィルムを使用するカメラにおいて、水圧および/または水深を検出する検出手段と、この検出手段で検出された水圧データおよび/または水深データを、撮影情報として磁気記録部に記録する撮影情報記録手段と、この撮影情報記録手段によって記録させる撮影情報を、撮影画像と対応させて記録させる記録制御手段と、を具備したことを特徴とする水中撮影情報記録可能なカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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