説明

水中油型エマルジョンインフルエンザワクチン

本発明は、インフルエンザウイルス抗原又はその抗原調製物と、水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物とを含む、ヒトへの使用に好適な用量体積のインフルエンザ免疫原性組成物を提供し、該水中油型エマルジョンが、11mg以下のレベルの代謝可能な油及び5mg以下のレベルの乳化剤、並びに任意で12mg以下のレベルのトコール又はステロールを含むものである。好適には、1用量における、株当たりのインフルエンザ抗原の量は、15μg HA、又は例えば15μg未満などの少量のHAである。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフルエンザウイルス抗原又は抗原調製物と水中油型エマルジョンアジュバントとを組み合わせて含むヒトの使用に好適な用量体積のインフルエンザ免疫原性組成物であって、前記水中油型エマルジョンアジュバントが代謝可能な油及び乳化剤を含み、前記代謝可能な油が前記ヒト1用量当たり11mg未満のレベルで存在し、前記乳化剤が前記ヒト1用量中に5mg未満のレベルで存在する前記インフルエンザ免疫原性組成物。
【請求項2】
前記代謝可能な油がスクアレンである、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記代謝可能な油がヒト1用量当たり、0.5〜10、0.5〜9、1〜10、2〜10、4〜8、1〜2、2〜3、4.5〜5.5、5〜6又は9〜10mgの量で存在する、請求項1又は請求項2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記乳化剤が非イオン系界面活性剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記乳化剤がモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン若しくはトリオレイン酸ソルビタン又は両方の混合物である、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンがポリソルベート80又はTween(登録商標)80からなる群より選択され、トリオレイン酸ソルビタンがSpan85である、請求項5に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記乳化剤がヒト1用量当たり0.1〜5、0.2〜5、0.3〜5、0.4〜5、0.4〜1.2、0.5〜4、1〜2、2〜3又は4〜5mgの量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記アジュバントがさらにトコール、ステロール、又は両方を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記トコールがα-トコフェロールである、請求項8に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記トコールがヒト1用量当たり0.5〜12、1〜11、2〜10、4〜9、5〜6、5〜7、2.5〜3.5、1〜2、1〜3又は10〜11mgの量で存在する、請求項8又は請求項9に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
アジュバントが、(i)ヒト1用量当たり4.5〜5.5又は5〜6mgの代謝可能な油、2〜3mgの乳化剤、及び、存在する場合には5〜7mgのトコールを含むアジュバント;(ii)ヒト1用量当たり2〜3mgの代謝可能な油、1〜1.5mgの乳化剤、及び、存在する場合には2.5〜3.5mgのトコールを含むアジュバント;(iii)ヒト1用量当たり0.5〜1.5mgの代謝可能な油、0.25〜0.75mgの乳化剤、及び、存在する場合には0.5〜1.5mgのトコールを含むアジュバントからなる群より選択される、請求項1〜10に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記ステロールがコレステロールである、請求項8〜11のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記ステロールがヒト1用量当たり0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、又は0.125〜0.25mg(例えば0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25又は0.125mg)の量で存在する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
アジュバントがさらに、TLR-1、TLR-2、TLR-3、TLR-4、TLR-7、TLR-8、TLR-9又はそれらの組み合わせから選択されるTLRリガンドを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
前記TLR-4リガンドが、リピドA誘導体、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(AGP)、並びにER803022、ER803058、ER803732、ER804053、ER804057、ER804058、ER804059、ER804442、ER804680、及びER804764からなる群より選ばれる化合物、から選択される、請求項14に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
前記リピドA誘導体が3D-MPL又はリピドAの合成誘導体である、請求項15に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
前記TLR-4リガンドがヒト1用量当たり5〜60、40〜50、10〜50、20〜30、5〜15、10、20、30、40又は50μgの量で存在する、請求項15又は16に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
アジュバントがさらにサポニン又はその誘導体を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
前記サポニン又はその誘導体がQS21である、請求項18に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
前記サポニンがヒト1用量当たり5〜60、40〜50、10〜50、20〜30、5〜15、10、20、30、40又は50μgの量で存在する、請求項18又は19に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
前記ウイルス抗原又は抗原調製物が、ヒト1用量当たり、インフルエンザ株当たり15μg又は15μg未満のHAである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
前記ウイルス抗原又は抗原調製物が、ヒト1用量当たり、インフルエンザ株当たり10μg未満、8μg未満、4μg未満、2μg未満のHA、1μg未満のHA、0.5μg未満、0.1μg未満のHAである、請求項21に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
前記ウイルス抗原又は抗原調製物が、ヒト1用量当たり、インフルエンザ株当たり2〜7.5μg、又は1〜5μgのHAである、請求項21又は22に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
前記ウイルス抗原又は抗原調製物が、ヒト1用量当たり、インフルエンザ株当たり正確に5μgのHA若しくはそれ未満、又は正確に2.5μg若しくはそれ未満、又は正確に1μg若しくはそれ未満である、請求項21〜23のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
前記組成物が、パンデミック発生に関与しているか又はパンデミック発生に関与する可能性を有する少なくとも1種のインフルエンザ株由来のウイルス抗原又は抗原調製物を含む一価組成物である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
前記組成物が、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、又は少なくとも5種のインフルエンザ株由来のウイルス抗原又は抗原調製物を含む多価組成物である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
前記組成物が、少なくとも3種のインフルエンザ季節性(パンデミック間期の)株に由来するウイルス抗原又は抗原調製物、並びに、任意に、パンデミック発生に関与しているか又はパンデミック発生に関与する可能性を有する少なくとも1種のインフルエンザ株に由来するウイルス抗原又は抗原調製物を含む、請求項26に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
前記多価組成物が、(i)H1N1及びH3N2からなる群より選ばれる2種のパンデミック間期のA型株、並びにB/yamagata及びB/Victoriaからなる群より選ばれる2種のB型株;(ii)H1N1及びH3N2からなる群より選ばれる3種のパンデミック間期のA型株、並びにB/yamagata及びB/Victoriaからなる群より選ばれる1種のB型株;(iii)H1N1及びH3N2からなる群より選ばれる2種のパンデミック間期のA型株、H5N1である1種のパンデミックA型株、並びにB/yamagata及びB/Victoriaからなる群より選ばれる1種のB型株、からなる群より選択されるウイルス抗原又は抗原調製物を含む、請求項26又は27に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
前記パンデミックインフルエンザウイルス株がH5N1、H9N2、H5N8、H5N9、H7N4、H7N7、H2N2、H10N7、H5N2、H7N2、H7N1、及びH7N3からなる群より選択される、請求項25、27〜28のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
前記インフルエンザウイルス抗原又はその抗原調製物が卵で又は細胞培養物で増殖させたインフルエンザウイルス由来のものである、請求項1〜29のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
前記インフルエンザウイルス抗原又はその抗原調製物が全ウイルス、スプリットウイルス、ビロソーム、又はHA、NA、M1、M2から選ばれる1種以上の精製された抗原を含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
前記精製された抗原が哺乳動物、鳥類又は昆虫細胞で増殖させたインフルエンザウイルスから調製される、請求項31に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
前記精製された抗原が遺伝子組換えで作製される、請求項31又は32に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
前記ヒト用量が0.5ml又はそれ未満、0.5〜1.5ml、0.2〜1.2ml、0.2〜0.7ml、及び正確に0.25、0.5、0.7若しくは1ml又はそれら未満から選択される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
水中油型エマルジョンの第1の体積とインフルエンザウイルス又はその抗原調製物を含む水性懸濁液の第2の体積とを混合するステップを含み、第1の体積が第2の体積より大きい、請求項1〜34のいずれか1項に記載のアジュバント添加インフルエンザワクチンを調製する方法。
【請求項36】
実質的に等しい体積の水中油型エマルジョンとインフルエンザウイルス又はその抗原調製物を含む水性懸濁液とを混合するステップを含む、請求項1〜34のいずれか1項に記載のアジュバント添加インフルエンザワクチンを調製する方法。
【請求項37】
水中油型エマルジョンの第1の体積とインフルエンザウイルス又はその抗原調製物を含む水性懸濁液の第2の体積とを混合するステップを含み、第2の体積が第2の体積より大きい、請求項1〜34のいずれか1項に記載のアジュバント添加インフルエンザワクチンを調製する方法。
【請求項38】
水中油型エマルジョンを希釈した後、得られる希釈したエマルジョンを前記インフルエンザ水性懸濁液と混合するステップを含む、請求項35〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
請求項21〜34のいずれか一項に記載のインフルエンザウイルス抗原成分又はインフルエンザウイルス抗原調製物成分を含み、さらに同時又は逐次投与のための請求項1〜20のいずれか一項に記載のアジュバントを含むワクチンキット。
【請求項40】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物及び製薬上許容される賦形剤を含むワクチン。
【請求項41】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を製薬上許容される賦形剤と混合するステップを含む、請求項40に記載のワクチンを製造する方法。
【請求項42】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又は請求項40に記載のワクチンの免疫防御用量をヒト宿主に投与するステップを含む、インフルエンザ感染により引き起こされる疾患に対してヒト宿主を免疫感作する方法。
【請求項43】
ヒト宿主が18〜50歳の成人、18〜65歳の成人、65歳以上の高齢者又は0〜18歳の小児であり、疾患が季節性又はパンデミックインフルエンザ感染のいずれか又は両方である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ヒト宿主が高齢者であり、疾患が季節性又はパンデミックインフルエンザ感染のいずれか又は両方である、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
医薬における使用のための、請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又は請求項40に記載のワクチン。
【請求項46】
インフルエンザ感染により引き起こされる疾患の治療又は予防における使用のための、請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又は請求項40に記載のワクチン。
【請求項47】
インフルエンザ感染により引き起こされる疾患を治療又は予防するための免疫原性組成物の製造における、(a)インフルエンザウイルス抗原又はその抗原調製物、及び(b)請求項1〜20のいずれかに規定した水中油型エマルジョンの使用。
【請求項48】
前記組成物が、ヒトにおいて、次の応答:(i)アジュバント無添加組成物により得られる応答と比較して、前記抗原又はその抗原調製物に対する改善されたCD4 T細胞免疫応答、(ii)アジュバント無添加組成物により得られる応答と比較して、前記抗原又はその抗原調製物に対する改善された液性免疫応答、(iii)アジュバント無添加組成物により得られる応答と比較して、前記抗原又はその抗原調製物に対する改善されたB記憶細胞応答、の少なくとも1つ、又は少なくとも2つ又は全てを誘導することができる、請求項47に記載の使用、又は請求項46に記載の使用のための組成物。
【請求項49】
前記組成物が、ヒトにおいて、次の応答:(i)アジュバント成分がより高い量で存在するアジュバント添加組成物により得られる応答と比較して、前記抗原又はその抗原調製物に対する同等のCD4 T細胞免疫応答、(ii)アジュバント成分がより高い量で存在するアジュバント添加組成物により得られる応答と比較して、前記抗原又はその抗原調製物に対する同等の液性免疫応答、(iii)アジュバント成分がより高い量で存在するアジュバント添加組成物により得られる応答と比較して、前記抗原又はその抗原調製物に対する同等のB記憶細胞応答、の少なくとも1つ、又は少なくとも2つ又は全てを誘導することができる、請求項47に記載の使用、又は請求項46に記載の使用のための組成物。
【請求項50】
前記CD4 T細胞免疫応答が交差反応性CD4 Tヘルパー応答の誘導に関わる、請求項47〜49のいずれか一項に記載の使用又は使用のための組成物。
【請求項51】
前記液性免疫応答が交差反応性液性免疫応答の誘導に関わる、請求項47〜49のいずれか一項に記載の使用又は使用のための組成物。
【請求項52】
免疫原性組成物中の抗原が由来する病原菌の変種であるインフルエンザ病原菌により引き起こされる疾患の治療又は予防における使用のための、請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又は請求項40に記載のワクチン。
【請求項53】
免疫原性組成物中の抗原が由来する病原菌の変種であるインフルエンザ病原菌により引き起こされる疾患の治療又は予防のための免疫原性組成物の製造における、(a)インフルエンザウイルス抗原又はその抗原調製物、及び(b)請求項1〜20のいずれか一項に規定される水中油型エマルジョンの使用。
【請求項54】
免疫原性組成物中の抗原の変種である抗原を含む病原菌により引き起こされる感染又は疾患に対する防御のための、請求項48〜49のいずれか一項に記載の使用又は使用のための組成物。
【請求項55】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又は請求項40に記載のワクチンで先にワクチン接種した個体にワクチン再接種するための、インフルエンザ免疫原性組成物。
【請求項56】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物又は請求項40に記載のワクチンで先にワクチン接種した個体にワクチン再接種するための、免疫原性組成物の製造における抗原の使用。
【請求項57】
ワクチン再接種用の組成物が先のワクチン接種に使用した組成物の抗原と共通のCD4 T細胞エピトープを有するインフルエンザ抗原を含む、請求項55〜56のいずれか一項に記載の使用又は使用のための組成物。
【請求項58】
ワクチン再接種用の抗原又は抗原性組成物がアジュバント添加されたものである、請求項55〜57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
ワクチン再接種組成物のための水中油型エマルジョンが請求項1〜20のいずれか一項に規定された通りである、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
疾患が、65歳以上の高齢者、18〜50歳若しくは18〜65歳の成人、0〜18歳の小児からなる群より選択されるヒト宿主又はヒト集団の季節性又はパンデミックインフルエンザ感染のいずれか若しくは両方である、請求項46〜59のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2010−524883(P2010−524883A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503488(P2010−503488)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054614
【国際公開番号】WO2008/128939
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】