説明

水中照明具

【課題】特別な水中照明用管球を用いることなく、水圧が加わった場合においても口金部ホルダへの水の侵入を妨げることができ、そして管球の破損も防止することができる水中照明具を提供すること。
【解決手段】水中照明用管球14;管球14の口金部11を収容する口金部ホルダ15;口金部ホルダの底部に電気的に接続しているコード16;口金部ホルダを収容し、かつコードの電源への延長を可能にする透孔を備える外套管18;そして外套管の先端部に備えられた管球保護用フレーム19からなり、前記の外套管18の先端部が管球14のテーパ部12を超えて管球部13の基部13aにまで伸びていて、そして管球14のテーパ部12と外套管18の内壁との間、及び管球14の管球部13の基部13aと外套管18の内壁との間のそれぞれにOリングが備えられていることにより水密構造が形成されていて、口金部ホルダ15への水の侵入が妨げられていることを特徴とする水中照明具

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に海中での集魚に有利に用いることができる水中照明具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、アジ、サバ、あるいはイカなどを漁船の近くにまで誘導(一般に、「集魚」と云われている)して捕獲するため、水中用の照明具が用いられている。また、このような水中照明具を、例えば、海底ケーブルを設置する際の海中での作業、あるいは海岸付近の海のライトアップ等に用いることも知られている。
【0003】
図3は、特許文献1に記載の従来の水中照明具の構成を示す一部切り欠き正面図である。そして図4は、図3の水中照明具50の外套管58の先端部の近辺の構成を示す拡大図である。
【0004】
図3及び図4に示す水中照明具50は、円筒形の口金部(基端部)51、口金部51よりも大きな直径を持つ管球部53及び口金部51と管球部53との間に介在するテーパ部52からなる水中照明用管球(電球)54、水中照明用管球54の口金部51を収容する口金部ホルダ(ソケット)55、口金部ホルダ55の底部(図3において上方の部分)に電気的に接続しているコード(電線)56、口金部ホルダ55を収容し、かつ前記コード56の電源への延長を可能にする透孔57を備える外套管(中空ケース)58、そして外套管58の先端部に備えられた管球保護用フレーム(電球ガード)59などから構成されている。一般に、前記の水中照明用管球(以下、単に「管球」と云う場合もある)54としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプが使用されている。
【0005】
この水中照明具50には、口金部51に段部51aが形成された特別な水中照明用管球54が用いられる。そして、水中照明具50においては、水中での使用の際に水中照明用管球54の口金部51を収容している口金部ホルダ55への水の侵入を妨げるため、環状パッキン65とOリング61とが用いられている。
【0006】
環状パッキン65は、上部環体63と下部環体64との間に円環板状の弾性体(環状弾性体)62が挟着された構成を有しており、水中照明用管球54の口金部51の段部51aと、外套管58の内壁との間に配設されている。そしてOリング61は、上記の段部51aの上縁と、環状パッキン65の上部環体63の内周に形成された内方突出部63aとの間に配設されている。
【0007】
環状パッキン65は、ボルト67の締め付けによりパッキン押え66が押し付けられることで厚み方向(図4の上下方向)に締め付けられる。これにより、環状パッキン65の円環板状の弾性体62が内方に膨出し、水中照明用管球54の口金部51に形成された段部51aの山形形状に沿って変形しながら段部51aに密着する。また、水中照明具50に水圧が加わった際には、この水圧により水中照明用管球54が口金部ホルダ55の側に押されて前記段部51aがOリング61に密着する。このように、特許文献1の水中照明具50は、水中照明用管球54の段部51aに弾性体62とOリング61とが十分に密着するため、口金部ホルダ55が収容されている外套管58の内部の水密性に優れているとされている。
【0008】
特許文献2においては、上記のような水中照明具は、使用する水中照明用管球の段部が同公報の図5(a)に示されるような山形形状を持つもの(突条)である場合には、段部の形状を品質管理することが難しく、また環状パッキンを締め付ける際に段部に線状にストレスが集中するため、少しでも段部が鋭角になると管球が破損すると記載されている。また、水中照明用管球の段部が同公報の図5(b)に示されるような段差を持つ形状のものである場合には、環状パッキンを締め付ける際に管球が外套管の外部にはみ出して、水漏れ(口金部ホルダが収容されている外套管の内部への水の侵入)を生じ易いと記載されている。そして同公報においては、このような水中照明具に用いる水中照明用管球の周縁に突出曲部を形成し、且つこの突出曲部よりも管球の口金部の側の径を、突出曲部よりも管球の先端の側の径よりも小さくすることにより、環状パッキンを締め付ける際に管球をその口金部の側に押圧する力が作用するため、上記のような水漏れの発生を防止できると記載されている。
【特許文献1】実公昭63−6812号公報
【特許文献2】特開平8−124522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のように、特許文献1の水中照明具は、段部が形成された特別な水中照明用管球を用意する必要がある。また、この水中照明具は、水中照明用管球を外套管に取り付けるために環状パッキンを締め付けた際に、管球が段部へのストレスの集中により破損したり、あるいは管球が外套管の外部にはみ出して水漏れを生じたりするなどの問題を生じ易い。このため、この水中照明具を用いる場合には、水中照明用管球の段部の形状の品質管理を徹底したり、あるいは外套管への管球の取り付けを慎重に行なったりすることが必要になる。
【0010】
また、特許文献2の水中照明具は、外套管の外部に水中照明用管球がはみ出し難いため、水漏れの発生を防止することができる。しかしながら、特許文献2の水中照明具もまた、突出曲部を持つ所定の形状に設定された特別な水中照明用管球を用意する必要がある。
【0011】
また、上記の特許文献1あるいは特許文献2の水中照明具は、水中照明用管球の段部あるいは突出曲部が円環板状の弾性体の厚み方向の所定の位置に配置された状態にて環状パッキンを締め付けないと、外套管の内部への水の侵入を防止できない場合がある。
【0012】
例えば、図3及び図4に示す特許文献1の水中照明具50においては、水中照明用管球54の段部51aが図示した状態よりも下方に配置された状態にて環状パッキン65が締め付けられると、段部51aの上縁とOリング61との間に隙間が生じたり、あるいは段部51aの下縁への円環板状の弾性体62の密着が不十分になったりする場合があるからである。このため、使用者は、水中照明用管球54、あるいは管球54の発熱により弾性体62が劣化した環状パッキン65を交換するために管球54を外套管58から取り外した場合には、別の新たな(あるいは取り外された)管球を、その段部が所定の位置(図4に示される位置)に配置されるように注意しながら外套管に取り付ける必要がある。
【0013】
更にまた、水中照明具50に水圧が加わり、この水圧によって水中照明用管球54が口金部ホルダ55の側に押されて移動した場合には、これに従い管球54の段部51aも口金部ホルダ55の側に移動する。このため、管球54の段部51aと、この段部51aに対応する形状に変形した弾性体62との密着状態(すなわち水密性)が変動したり、極端な場合には段部51aが弾性体62から外れたりするなどして、外套管58の内部に水が侵入する場合がある。
【0014】
本発明の課題は、段部や突出曲部が形成された特別な水中照明用管球を用いることなく、水圧が加わった場合においても口金部ホルダへの水の侵入を妨げることができ、そして管球の破損も防止することができる水中照明具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、円筒形の口金部、この口金部よりも大きな直径を持つ管球部及び口金部と管球部との間に介在するテーパ部からなる水中照明用管球;水中照明用管球の口金部を収容する口金部ホルダ;口金部ホルダの底部に電気的に接続しているコード;口金部ホルダを収容し、かつコードの電源への延長を可能にする透孔を備える外套管;そして外套管の先端部に備えられた管球保護用フレームからなる水中照明具であって、前記の外套管の先端部が水中照明用管球のテーパ部を超えて管球部の基部にまで伸びていて、そして少なくとも水中照明用管球のテーパ部と外套管の内壁との間、及び水中照明用管球の管球部の基部と外套管の内壁との間のそれぞれにOリングが備えられていることにより水密構造が形成されていて、口金部ホルダへの水の侵入が妨げられていることを特徴とする水中照明具にある。
【0016】
本発明の水中照明具においては、水中照明用管球の管球部の基部と外套管の内壁との間のOリングの太さが、水中照明用管球のテーパ部と外套管の内壁との間のOリングの太さよりも大きいことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の水中照明具においては、水中照明用管球のテーパ部と外套管の内壁との間、及び水中照明用管球の管球部の基部と外套管の内壁との間のそれぞれに備えられたOリングによって水密構造を形成するため、段部や突出曲部が形成された特別な水中照明用管球を用いる必要はない。従って、例えば、外套管への取り付けの際に水中照明用管球に付与される力によって段部や突出曲部に応力が集中することはないため、管球の破損を防止することができる。更に、水中照明用管球を特別に注意を払うことなく外套管に取り付けた場合、あるいは水中照明用管球が水圧によって口金部ホルダの側に移動した場合であっても外套管の内部を安定して水密に保つことができるため、口金部ホルダへの水の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の水中照明具を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の水中照明具の構成例を示す一部切り欠き正面図である。そして図2は、図1の水中照明具10の外套管18の先端部18aの近辺の構成を示す拡大図である。但し、図2においては、図1に示す管球保護用フレーム19の記載は省略した。
【0019】
図1及び図2に示す水中照明具10は、円筒形の口金部11、口金部11よりも大きな直径を持つ管球部13及び口金部11と管球部13との間に介在するテーパ部12からなる水中照明用管球14;水中照明用管球14の口金部11を収容する口金部ホルダ15;口金部ホルダ15の底部(図1において上方の部分)に電気的に接続しているコード16;口金部ホルダ15を収容し、かつコード16の電源への延長を可能にする透孔17を備える外套管18;そして外套管18の先端部18aに備えられた管球保護用フレーム19などから構成されている。そして本発明の水中照明具10は、前記の外套管18の先端部18aが水中照明用管球14のテーパ部12を超えて管球部13の基部13aにまで伸びていて、水中照明用管球14のテーパ部12と外套管18の内壁との間、及び水中照明用管球14の管球部13の基部13aと外套管18の内壁との間のそれぞれにOリング21、22が備えられていることにより水密構造が形成されていて、口金部ホルダ15への水の侵入が妨げられている点に主な特徴がある。
【0020】
図1に示すように、本発明の水中照明具10には、円筒形の口金部11、テーパ部12及び管球部13からなる水中照明用管球14が用いられており、従来の水中照明具の場合のように段部や突出曲部が形成された特別な水中照明用管球を用いる必要はない。従って、水中照明具10の水中照明用管球14として、例えば、漁船の船体に取り付けられ、集魚用として水上にて使用されている管球(段部や突出曲部を持たないもの)を転用することもできる。
【0021】
水中照明用管球14としては、例えば、口金部11にねじ込み式の口金11aを備えたハロゲンランプやメタルハライドランプが好ましく用いられる。
【0022】
なお、本発明の水中照明具10は、上記のようにOリング21、22によって水密構造が形成されている点に主な特徴がある。すなわち、このような水密構造を形成することができれば、本発明の水中照明具10の水中照明用管球14として、段部や突出曲部が形成された水中照明用管球を用いること(例えば、従来の水中照明具に用いる段部や突出曲部が形成された水中照明用管球を転用すること)もできる。
【0023】
図1に示すように、水中照明用管球14の口金部11は、口金部ホルダ15に収容されている。この口金部ホルダ15は、ホルダ本体15e、ホルダ本体15eの底部(図1において上方の部分)に備えられた一対の外部端子15a、15b、そして各々の外部端子に電気的に接続されている一対の内部端子15c、15dから構成されている。ホルダ本体15eは、一対の外部端子15a、15bを互いに電気的に絶縁するため、そして一対の内部端子15c、15dを互いに電気的に絶縁するため、また水中照明用管球14の点灯時の発熱による変形を防止するために、一般に、セラミック材料に代表される電気的絶縁性及び耐熱性に優れた材料から形成される。
【0024】
口金部ホルダ15の底部に備えられた一対の外部端子15a、15bには、コード(電源ケーブル)16の一方の端部が電気的に接続されている。コード16の他方の端部は、例えば、漁船に搭載された電源(図示していない)に電気的に接続される。
【0025】
このコード16の外套管18の外部への引き出し部においては、環状の弾性体24を、その上面に配置された座金25と共にボルト26で締め付けて圧縮し、これにより環状弾性体24の内縁を内側に膨出させてコード16に密着させることにより水密構造が形成されている。座金25を用いずに、ボルト26によって直接に環状弾性体24を締め付けると、環状弾性体24に捩れを生じて水密構造が確実に形成されない場合がある。環状弾性体24の上面に座金25が配置されていると、ボルト26を締め付ける際にその先端面が座金25の上面に沿って滑動するため、上記の環状弾性体24の捩れの発生を防止することができる。環状弾性体24は、シリコーンゴムやクロロプレンゴムに代表されるゴム材料、あるいは軟質樹脂材料から形成される。このようなコード16の引き出し部における水密構造は、公知の水中照明具の場合と同様である。
【0026】
外套管18には、前記の口金部ホルダ15を収容し、かつコード16の電源への延長を可能にする透孔17が備えられている。外套管18は、例えば、金属材料製の棒材を旋盤やフライス盤などを用いて機械加工したり、あるいは金属材料を鋳造したりして作製することができる。
【0027】
外套管18を形成する金属材料としては、加工性に優れ且つ低価格であることから、真鍮(銅−亜鉛合金)や砲金(銅−錫合金)に代表される銅合金を用いることが一般的である。また、銅合金は熱伝導性に優れているため、銅合金製の外套管を用いると、水中にて水中照明具を使用した場合に外套管の外部と内部との温度差が小さくなる。このため、外套管の内部での結露の発生を抑制することができる。
【0028】
外套管18の周囲には、水中照明具10が海流に流されることを防止するために、例えば、鉛から形成された錘30が取り付けられている。
【0029】
外套管18の先端部に備えられた管球保護用フレーム19は、例えば、水中照明具10を集魚用として漁船から海中に投入したり、海中から引き揚げたりする際に、漁船の船体との接触による水中照明用管球14の破損を防止したり、また海中にて魚類等が衝突することによる管球14の破損を防止したりする。
【0030】
水中照明具10の管球保護用フレーム19は、一対の環体19a、19aと、両環体を連結する合計で6本の支柱19bとから構成されており、例えば、ステンレススチールなどの金属材料から形成される。
【0031】
管球保護用フレーム19は、ボルト27によって外套管18の先端部18aの外縁に沿って形成された切り欠き部18bに固定されている。このような切り欠き部18bに管球保護用フレーム19が固定されていると、管球保護用フレーム19を固定するボルト27、および後に説明するOリング22の圧縮に用いるボルト28のうちの一方を締め付ける際に、他方が邪魔になることがない。
【0032】
また、外套管18の頂面に取り付けられているアイボルト31及びロープ32は、水中照明具10を水中にて使用する際に、コード16の外套管18からの引き出し部に張力が付与されることを防止している。コード16の外套管18からの引き出し部に張力が付与されると、コード16の直径が小さくなり、これが原因で外套管18のコード16の引き出し部にて水漏れが生じる場合があるからである。
【0033】
なお、図3に示す従来の水中照明具50のように、外套管58に、上記のロープを通す透孔68aを備えたロープ固定部68を一体に形成してもよいが、このような形状の外套管58は鋳造あるいは複雑な機械加工によって作製する必要がある。一方、図1の水中照明具10のようにアイボルト31を利用すると、ロープ固定部を形成する必要がないため、外套管18を旋盤を用いて容易に作製することができる。
【0034】
そして、前記のように本発明の水中照明具10は、外套管18の先端部18aが水中照明用管球14のテーパ部12を超えて管球部13の基部13aにまで伸びていて、水中照明用管球14のテーパ部12と外套管18の内壁との間、及び水中照明用管球14の管球部13の基部13aと外套管18の内壁との間のそれぞれにOリング21、22が備えられていることにより水密構造が形成されていて、口金部ホルダ15への水の侵入が妨げられている点に主な特徴がある。
【0035】
図1及び図2に示す水中照明具10においては、Oリング21、22の各々を上記の所定の位置に安定に配置するために、外套管18の透孔17に嵌め合わされた筒体23が用いられている。この筒体23は、水中照明用管球14のテーパ部12に向かって突き出る環状の突出部23aを備えており、そして外套管18の先端部18aよりも上方にて、水中照明用管球14のテーパ部12と管球部13の基部13aとの周囲に配置されている。上記のOリング21は、筒体23の内周面と環状突出部23aの下面との隅部に沿って配置されて水中照明用管球14のテーパ部12の周囲を支持しており、そしてOリング22は、筒体23の下端面と外套管18の内壁との隅部に沿って配置されて水中照明用管球14の管球部13の基部13aの周囲を支持している。
【0036】
筒体23は、水中照明用管球14の点灯時の発熱による変形が防止され、その加工も容易になることから金属材料から形成することが好ましい。筒体23を形成する金属材料としては、外套管18の場合と同様に外套管18の内部での結露の発生を抑制するため、真鍮や砲金に代表される銅合金を用いることが好ましい。
【0037】
なお、筒体23は、外套管18に固定されていてもよいし、あるいは外套管18と一体に形成されていてもよい。但し、筒体23を外套管18と一体に形成する場合には、外套管18の内部への口金部ホルダ15の収容を可能にするため、例えば、筒体の上部の開口の径を口金部ホルダの外径よりも大きな径に設定することが好ましい。また、外套管18の内部に口金部ホルダ15を収容する際の作業性、あるいは破損により口金部ホルダ15を外套管18の内部から取り出す際の作業性を考慮すると、筒体23を外套管18とは別の部品として用意することが好ましい。
【0038】
そして、本発明の水中照明具10においては、Oリング22は、ボルト28の締め付けにより外套管18の先端部18aに備えられた環状の押圧具33が押し付けられることで厚み方向に圧縮される。これによりOリング22の内縁が内側に膨出して管球部13の基部13aの周囲に密着し、そしてOリング22の外縁が外側に膨出して外套管18の内壁に密着して、口金部ホルダ15を収容している外套管18の内部が水密に保たれる。なお、環状押圧具33は、前記の銅合金、あるいはステンレススチールなどの金属材料から形成される。
【0039】
そして、前記のようにOリング22を用いると、図2に示すようにOリング22の表面、外套管18の内壁及び筒体23の下端面によって、そしてOリング22の表面、外套管18の内壁及び環状押圧具33の上面によって、Oリング22の外套管18の側に空隙29a、29bが形成される。このような空隙29a、29bが存在することにより、Oリング22は、上記のように厚み方向に圧縮された際に、その断面の形状が水平方向に大きく変形する。このため、Oリング22は、その内縁が大きく膨出して管球部13の基部13aの周囲に十分に密着し、そして外縁もまた大きく膨出して外套管18の内壁に十分に密着する。このため、外套管18の内部を十分に水密に保つことができ、そして口金部ホルダ15への水の侵入を防止することができる。
【0040】
これに対して、図3及び図4に示す従来の水中照明具50が備える円環板状の弾性体62は、その上面、下面及び外周面が、それぞれ上部環体63、下部環体64及び外套管58に間隙なく密着している。このため、弾性体62は、上記のような間隙が存在しないため、その断面の形状が水平方向に大きく変形しない。すなわち、従来の水中照明具50は、弾性体62の内縁及び外縁の各々の膨出量が小さいため、上記のように段部51aが形成された特別な管球54(更にはOリング61)を用いて外套管58の内部を水密に保っている。
【0041】
また、図1及び図2に示す本発明の水中照明具10において、Oリング22は、水中照明用管球14の円筒形の管球部13の基部13aの周囲に密着しており、図3及び図4に示す従来の水中照明具50の円環板状の弾性体62のように、水中照明用管球54の段部51aの形状に応じて変形され、この段部51aに嵌め合わされるようにして管球54の周囲に密着しているのではない。従って、本発明の水中照明具10においては、水中照明用管球14を、その上下方向の位置に特別に注意を払うことなく外套管18に取り付けた場合であっても、Oリング22を管球部13の基部13aの周囲に十分に密着させることができるため、外套管18の内部を安定して水密に保つことができる。
【0042】
更に、水中照明具10に水圧が加わり、この水圧によって水中照明用管球14が口金部ホルダ15の側に押されて上方に移動した場合であっても、Oリング22によって管球部13の基部13aを支持する位置が変動するのみであり、外套管18の内部の水密性が大きく変動することはない。但し、前記のような水圧による水中照明用管球14の移動を無制限に許すと、管球14の口金部11を収容している口金部ホルダ15が外套管18に押し付けられて、口金部11に備えられた口金11aあるいは口金部ホルダ15が破損する場合がある。これを防止するため、本発明の水中照明具10においては、Oリング21により水中照明用管球14のテーパ部12の周囲を支持している。
【0043】
このように、本発明の水中照明具10は、Oリング21とOリング22との両者によって、水中照明用管球14を、その上下方向の位置に特別に注意を払うことなく外套管18に取り付けた場合、あるいは使用時に水圧が加わった場合であっても、外套管18の内部を安定して水密に保つことができる水密構造を形成し、これにより口金部ホルダ15への水の侵入を防ぐことができるという効果を発揮する。
【0044】
また、本発明の水中照明具10には、段部や突出曲部を持つ特別な水中照明用管球を用いる必要はない。従って、水中照明具10は、外套管18への取り付けの際に水中照明用管球14に加わる力によって、あるいは使用中に水中照明具10に加わる外部振動(例えば、水中照明具を集魚用として海中に投げ入れたり、あるいは海中から引き揚げる際に漁船の船体と接触することで生じる振動)によって、段部や突出曲部に応力が集中して管球が破損するという問題は生じない。これは、前述のように、本発明の水中照明具の水中照明用管球として、従来の水中照明具が備える段部や突出曲部が形成された水中照明用管球を転用した場合にも同様である。
【0045】
本発明の水中照明具10においては、水中照明用管球14の管球部13の基部13aと外套管18の内壁との間のOリング22の太さが、水中照明用管球14のテーパ部12と外套管18の内壁との間のOリング21の太さよりも大きいことが好ましい。上記のように、本発明の水中照明具10においては、Oリング22を、その内縁と外縁とを大きく膨出させ、水中照明用管球14の管球部13の基部13aと外套管18の内壁との各々に密着させることにより、外套管18の内部を水密に保っている。一方、Oリング21は、水圧による水中照明用管球14の無制限な移動を妨げるため、主として管球14のテーパ部12を支持する働きをする。従って、外套管18の内部を水密に保つために内縁及び外縁を大きく膨出させる必要があるOリング22の太さは、Oリング21の太さよりも大きいことが好ましい。
【0046】
Oリング21の太さは、1乃至10mmの範囲にあることが好ましく、2乃至8mmの範囲にあることが更に好ましい。Oリング22の太さは、2乃至15mmの範囲にあることが好ましく、3乃至10mmの範囲にあることが更に好ましい。図1及び図2に示す水中照明具10においては、例えば、Oリング21の太さが5.0mmに、そしてOリング22の太さが6.0mmに設定されている。Oリング21及びOリング22の各々は、点灯時に発熱する水中照明用管球14に密着するため、例えば、シリコーンゴムなどの耐熱性に優れるゴム材料から形成される。
【0047】
なお、本発明の水中照明具10においては、水密構造を形成するためにOリング21及びOリング22を用いているが、このようにOリングを用いることには、各々のOリングとして市販品を転用、あるいは形状(太さ、内径及び外形)や材料を指定することで容易に購入して使用できるという利点もある。
【0048】
図1及び図2に示すように、Oリング22は、その厚み方向の一部分が外套管18の先端部18aよりも下方に突き出ていることが好ましい。このように、Oリング22の一部分が外套管18の先端部18aよりも下方に突き出ていると、環状押圧具33の形状を、Oリング22を圧縮するために外套管18の透孔17の内部に挿入される環状の突起を備えた複雑な形状に設定する必要がない。例えば、環状押圧具33の形状を、図1及び図2に示すような円環板状に設定すると、環状押圧具33を簡単に作製する(あるいは市販のワッシャを環状押圧具として転用する)ことができる。
【0049】
更に、図1及び図2に示すように、環状押圧具33が外套管18の透孔17の外部に配置されていると、筒体23の下端面の全体が環状押圧具33の上面の上方に配置されるため、筒体23の下端面と環状押圧具33の上面とによってOリング22を均一に圧縮する(水密構造を安定して形成する)ことができる。
【0050】
例えば、図3及び図4に示す従来の水中照明具50においては、上部環体63及び下部環体64の間に円環板状の弾性体62が挟着され一体化された構成の環状パッキン65が用いられており、そして両者の環体63、64はいずれも外套管58の透孔57の内部に配置されている。仮に、これらの部品が一体化されていない場合には、上部環体63及び下部環体64の各々の外径は外套管58の透孔57に挿入するために透孔57の径よりも僅かに小さな値に設定されているため、両者の環体63、64が透孔57の内部にて水平方向に微動して(上部環体の下面が下部環体の上面の上方から外れた位置に配置されて)弾性体62を不均一に圧縮する(水密構造を安定して形成できない)場合がある。但し、同文献の水中照明具50においては、上部環体63、下部環体64及び弾性体62が一体化されているため、上記のような問題は生じない。しかしながら、水中照明用管球54の点灯時の発熱により弾性体62が劣化した場合には、弾性体62と共に上部環体63及び下部環体64も交換(通常は廃棄)することが必要になる。
【0051】
すなわち、図1及び図2に示す本発明の水中照明具10のように、外套管18の透孔17の外部に環状押圧具33が配置されていると、従来の水中照明具の場合のように特別な環状パッキンを用いなくても水密構造を安定して形成することができ、また水中照明用管球14の点灯時の発熱によりOリング22が劣化した場合には、Oリング22のみを交換すればよい。
【0052】
また、本発明の水中照明具においては、口金部ホルダが、外套管の透孔の内部に上下に移動可能な状態にて収容されていることが好ましい。図1及び図2に示す水中照明具10においては、外套管18の内壁に、その周方向に沿って互いに間隔をあけて複数本(例えば、4本)の溝18cが形成されており、そして各々の溝18cには口金部ホルダ15のホルダ本体15eに形成された突起15fが嵌め合わされている。これにより、口金部ホルダ15は、外套管18の透孔17の内部にて、溝18cに沿って上下方向に移動可能とされている。
【0053】
仮に、口金部ホルダ15が外套管18の透孔17の内部にて固定配置されていると、水中照明具10に水圧が加わった場合に、この水圧により水中照明用管球14が上方に移動して口金部ホルダ15に押し付けられるため、管球14の口金11aあるいは口金部ホルダ15が破損する場合がある。特に、口金部ホルダ15は、通常、そのホルダ本体15eがセラミック材料から形成されるため、水圧により水中照明用管球14が押し付けられるるとホルダ本体15eに亀裂を生じて破損し易い。
【0054】
前記のように、口金部ホルダ15が上下方向に移動可能とされていると、水圧により水中照明用管球14が上方に移動した場合に、これに応じて口金部ホルダ15が上方に移動するため、管球14が口金部ホルダ15に押し付けられることはない。このため、管球14の口金11aあるいは口金部ホルダ15の破損を防止することができる。なお、水圧により水中照明用管球14に加わる力は、Oリング21、そして筒体23を介して外套管18に付与される。
【0055】
また、上記のように外套管18の溝18cに口金部ホルダ15の突起15fが嵌め合わされていると、外套管18の透孔17の内部での口金部ホルダ15の回転が防止されるため、水中照明用管球14の口金部11を口金部ホルダ15にねじ込む作業が容易になる。
【0056】
以上のように、本発明の水中照明具は、水中照明用管球を特別に注意を払うことなく外套管に取り付けた場合であっても、取り付けの際に管球が破損することなく、そして外套管の内部を安定して水密に保つことができる。このため、本発明の水中照明具は、使用者が、集魚用として水中照明具を日常的に使用して、水中照明用管球の取り付けに熟練した者でなくても、何の問題も生じることなく使用することができる。このため、本発明の水中照明具は、上記のような集魚のための使用の他に、プール、温泉、湖沼、河川、海岸付近の海をライトアップするアミューズメント用の照明具、あるいは水中での作業用の照明具としての使用も期待される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の水中照明具の構成例を示す一部切り欠き正面図である。
【図2】図1の水中照明具10の外套管18の先端部の近辺の構成を示す拡大図である。
【図3】従来の水中照明具の構成を示す一部切り欠き正面図である。
【図4】図3の水中照明具50の外套管58の先端部の近辺の構成を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0058】
10 水中照明具
11 口金部
11a ねじ込み式の口金
12 テーパ部
13 管球部
13a 管球部13の基部
14 水中照明用管球
15 口金部ホルダ
15a、15b 口金部ホルダ15の外部端子
15c、15d 口金部ホルダ15の内部端子
15e 口金部ホルダ15のホルダ本体
15f ホルダ本体15eの突起
16 コード
17 透孔
18 外套管
18a 外套管18の先端部
18b 外套管18の切り欠き部
18c 外套管18の溝
19 管球保護用フレーム
19a 環体
19b 支柱
21 Oリング
22 Oリング
23 筒体
23a 環状の突出部
24 環状弾性体
25 座金
26、27、28 ボルト
29a、29b 空隙
30 錘
31 アイボルト
32 ロープ
33 環状押圧具
50 水中照明具
51 口金部
51a 段部
52 テーパ部
53 管球部
54 水中照明用管球
55 口金部ホルダ
56 コード
57 透孔
58 外套管
59 管球保護用フレーム
61 Oリング
62 円環板状の弾性体
63 上部環体
63a 上部管体63の内包突出部
64 下部環体
65 環状パッキン
66 パッキン押え
67 ボルト
68 ロープ固定部
68a 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の口金部、該口金部よりも大きな直径を持つ管球部及び口金部と管球部との間に介在するテーパ部からなる水中照明用管球;該水中照明用管球の口金部を収容する口金部ホルダ;該口金部ホルダの底部に電気的に接続しているコード;口金部ホルダを収容し、かつ該コードの電源への延長を可能にする透孔を備える外套管;そして外套管の先端部に備えられた管球保護用フレームからなる水中照明具であって、該外套管の先端部が水中照明用管球のテーパ部を超えて管球部の基部にまで伸びていて、そして少なくとも該水中照明用管球のテーパ部と外套管の内壁との間、及び該水中照明用管球の管球部の基部と外套管の内壁との間のそれぞれにOリングが備えられていることにより水密構造が形成されていて、口金部ホルダへの水の侵入が妨げられていることを特徴とする水中照明具。
【請求項2】
水中照明用管球の管球部の基部と外套管の内壁との間のOリングの太さが、水中照明用管球のテーパ部と外套管の内壁との間のOリングの太さよりも大きい請求項1に記載の水中照明具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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