説明

水処理装置

【課題】 導水路を衛生的に保ちつつ、吐出口を確実に殺菌できる水処理装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る水処理装置1は、導水路を通過する原水又は浄水を吐出する吐出口31が設けられる水栓部30と、殺菌成分を含むオゾンガスを生成するオゾン生成部40とを備える。また、水処理装置1は、導水路から分岐し、オゾンガスが通過する循環流路13と、吐出口31と循環流路13とを接続する接続手段32とをさらに備える。オゾン生成部40は、接続手段32を介して導水路及び循環流路13内にオゾンガスを循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、塩素を除去する活性炭等を備えた浄化部によって、水道水などの原水を浄化して浄水を生成する水処理装置について、様々な提案がなされている。
【0003】
例えば、導水路中に設けられた浄化部の二次側流路から分岐して浄化部の一次側流路に連通したバイパス管路を備える水処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この水処理装置には、バイパス管路を通過する水にオゾンガス(殺菌成分)を含有させてオゾン水(流体)を生成するオゾン生成器(流体生成部)が配設される。
【0004】
この水処理装置では、一定時間給水が行われなかった際、殺菌成分を含むオゾン水を、バイパス管路を介して一次側流路の一部と二次側流路の一部とに循環させる。これにより、一定時間(例えば、1日以上)滞留した水によって汚れた浄化部の前後(すなわち、一次側流路の一部と二次側流路の一部)を殺菌することができ、浄化部の前後を衛生的に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−263638号公報(第2〜第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の水処理装置では、浄化部の前後しか殺菌していなく、特に、殺菌成分が付着し易い水栓部における吐出口については殺菌できていないのが現状であった。従って、導水路を衛生的に保つことは勿論、吐出口を殺菌することについては、未だ改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、導水路を衛生的に保ちつつ、吐出口を確実に殺菌できる水処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、導水路を通過する原水又は浄水を吐出する吐出口(吐出口31)が設けられる水栓部(水栓部30)と、殺菌成分を含む流体(例えば、オゾンガス)を生成する流体生成部(オゾン生成部40)とを備える水処理装置(例えば、水処理装置1)であって、前記導水路から分岐し、前記流体が通過する循環流路(循環流路13)と、前記吐出口と前記循環流路とを接続する接続手段(接続手段32)とをさらに備え、前記流体生成部は、前記接続手段を介して前記導水路及び前記循環流路内に前記流体を循環させることを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記導水路には、前記原水を供給する原水供給部(原水供給部20)が配設され、前記原水供給部は、前記原水が流入する原水口を遮断する原水口封止手段(原水供給弁22)を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記接続手段により前記吐出口が遮断された情報を検知する封止状態検知手段(センサ15)を備え、前記流体生成部は、前記封止状態検知手段が前記情報を検知した場合に、前記流体を生成することを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記原水又は前記浄水を前記吐出口から吐出する通常モードと、前記導水路及び前記循環流路に前記流体を循環させる殺菌モードとを切り替えるモード切替部(制御部60)を備え、前記接続手段は、前記モード切替部により殺菌モードが選択された場合に、前記吐出口と前記循環流路とを接続することを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記流体生成部は、前記流体を生成する流体生成手段(オゾン生成手段41)と、前記流体生成手段により生成された前記流体を分解する流体分解手段(オゾン分解手段42)とを有し、前記流体分解手段は、活性炭により構成されており、前記循環流路は、前記流体分解手段を通過する活性炭流路(活性炭流路13A)と、前記流体分解手段の下流側で前記活性炭流路に連通する非活性炭流路(非活性炭流路13B)とに分岐し、前記活性炭流路及び前記非活性炭流路の分岐箇所には、前記活性炭流路及び前記非活性炭流路の何れかに前記流体を分岐可能な流路切替機構(流路切替弁16)が設けられることを要旨とする。
【0013】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第5の特徴に係り、前記流体生成部により前記流体が規定濃度まで分解されたことを検知する流体状態検知手段(センサ17)をさらに備えることを要旨とする。
【0014】
本発明の第7の特徴は、本発明の第1乃至第6の特徴に係り、前記原水を浄化することによって前記浄水を生成する浄化部(浄化部10)を備え、前記循環流路は、前記浄化部の出口に連通することを要旨とする。
【0015】
本発明の第8の特徴は、本発明の第1乃至第6の特徴に係り、前記原水を浄化することによって前記浄水を生成する浄化部を備え、前記循環流路は、前記浄化部の上流側に配接される一次側流路に連通することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の特徴によれば、導水路を衛生的に保ちつつ、吐出口を確実に殺菌できる水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1(a)は、第1実施形態に係る水処理装置1を説明するための概略図(通常モード)であり、図1(b)は、第1実施形態に係る水栓部30近傍を示す拡大図(殺菌モード)である。
【図2】図2は、第1実施形態の変更例1に係る水処理装置1Aを説明するための概略図(通常モード)である。
【図3】図3は、第1実施形態の変更例2に係る水処理装置1Bを説明するための概略図(通常モード)である。
【図4】図4(a)は、第1実施形態の変更例3に係る水処理装置1Cを説明するための概略図(通常モード)であり、図4(b)は、第1実施形態の変更例3に係る水栓部30近傍を示す拡大図(殺菌モード)である。
【図5】図5は、第1実施形態の変更例4に係る水処理装置1Dを説明するための概略図(通常モード)である。
【図6】図6は、第1実施形態の変更例5に係る水処理装置1Eを説明するための概略図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る水処理装置2を説明するための概略図(通常モード)である。
【図8】図8(a)は、第3実施形態に係る水処理装置3を説明するための概略図(通常モード)であり、図8(b)は、第3実施形態に係る循環流路13を説明するための概略図(殺菌モード)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る水処理装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)第1実施形態、(2)第2実施形態、(3)第3実施形態、(4)その他の実施形態について説明する。
【0019】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0020】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0021】
(1)第1実施形態
まず、第1実施形態に係る水処理装置1について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は、第1実施形態に係る水処理装置1を説明するための概略図(通常モード)であり、図1(b)は、第1実施形態に係る水栓部30近傍を示す拡大図(殺菌モード)である。
【0022】
(1−1)水処理装置1の構成
図1(a)に示すように、水処理装置1は、水道水などの原水を浄水する装置である。この水処理装置1は、導水路中に設けられる浄化部10を備える。浄化部10は、原水を浄化することによって浄水を生成する。例えば、浄化部10は、RO(逆浸透)、NF、UF(限外ろ過)、MF(精密ろ過)などの分離膜によって構成される。なお、浄化部10は、必ずしも分離膜によって構成される必要はなく、例えば活性炭などの吸着手段や砂濾過、イオン交換樹脂などによって構成されていてもよい。
【0023】
このような浄化部10の上流側における導水路は、原水が通過する一次側流路11によって構成される。一次側流路11には、原水を供給する原水供給部20が配接される。原水供給部20は、原水が流入する原水口21を封止可能な原水供給弁22(原水口封止手段)を備える。
【0024】
一方、浄化部10の下流側における導水路は、浄化部10によって生成された浄水が通過する二次側流路12によって構成される。二次側流路12には、浄水を吐出する吐出口31が設けられる水栓部30が配設される。また、二次側流路12には、二次側流路12(本実施形態では、浄化部10の出口)から分岐し、殺菌成分を含むオゾンガス(流体)が通過する循環流路13が配設される。
【0025】
水栓部30には、浄化部10によって生成された浄水を吐出する吐出口31が設けられる。水栓部30には、水処理装置1を操作可能な操作パネル(不図示)が内蔵される。水栓部30は、吐出口31を遮蔽するとともに、吐出口31と循環流路13とを接続する接続手段32(図1(b)参照)を有する。
【0026】
接続手段32は、吐出口31から循環流路13の一端13aへ向けて閉空間を形成できる配管継ぎ手によって構成される。言い換えると、接続手段32は、吐出口31から循環流路13を介して二次側流路(本実施形態では、浄化部10の出口)へオゾンガスを導く。
【0027】
このような接続手段32によって吐出口31と接続された循環流路13には、循環流路13の他端13bを封止可能な連通弁14が設けられる。また、循環流路13には、殺菌成分を含むオゾンガス(流体)を生成するオゾン生成部40(流体生成部)と、不用又は有害な水を排水する排水部50とが配接される。
【0028】
オゾン生成部40は、オゾンガスを生成するオゾン生成手段41(流体生成手段)と、オゾン生成手段41により生成されたオゾンガスを分解するオゾン分解手段42(流体分解手段)と、循環流路13内でオゾンガスを循環させる循環ポンプ43とを有する。
【0029】
オゾン生成手段41は、ダイヤモンド電極などの電気分解方式や紫外線などによってオゾンガスを生成する。なお、オゾン生成手段41は、コロナ放電方式、沿面放電方式、グロー放電方式、無声放電方式、アーク放電方式、オゾン紫外線方式などによってオゾンを生成していてもよく、オゾンを発生できれば特に形式を問わない。
【0030】
オゾン分解手段42は、オゾン生成手段41よりも下流側に配接される。オゾン分解手段42は、循環流路13内で残留したオゾンガスを分解して、酸素ガスを発生させることによりオゾンガスを処理する。例えば、オゾン分解手段42は、紫外線やヒーターなどによりオゾンガスを分解する手段によって構成される。
【0031】
循環ポンプ43は、オゾン生成手段41及びオゾン分解手段42よりも上流側に配接される。循環ポンプ43は、循環流路13内でオゾンガスを循環させる手段であればよい。本実施形態では、循環ポンプ43は、循環流路13の一端13aから他端13bに向けてオゾンガスを循環させる。
【0032】
排水部50は、循環流路13から分岐することによって構成される。この排水部50には、不用又は有害な水を排水する排水口51と、排水口51を封止可能な排水弁52が設けられる。
【0033】
このような水処理装置1は、各部の制御や各種演算を行う制御部60(モード切替部)を備える。制御部60には、連通弁14、原水供給弁22、水栓部30、オゾン生成部40(オゾン生成手段41、オゾン分解手段42及び循環ポンプ43)、排水弁52が接続される。
【0034】
また、制御部60は、水栓部30に設けられる操作パネル(不図示)からの情報に基づいて、通常モード及び殺菌モードの何れかに切り替える。なお、通常モードとは、浄水を水栓部30(吐出口31)から吐出する状態を示す。また、殺菌モードとは、二次側流路12(本実施形態では、浄化部10の出口)へオゾンガスを導く循環流路13にオゾンガスを循環させる状態を示す。
【0035】
(1−2)水処理装置1の動作
(1−2−1)通常モード
水栓部30に設けられる操作パネルによって通常モードが選択されると、図1(a)のように、原水供給弁22が開くとともに、連通弁14が閉じる。そして、原水口21から流入した原水が一次側流路11を通過して浄化部10へ流れ、浄化部10により原水が浄化されることによって浄水が生成される。この生成された浄水は、吐出口31から外部へ吐出される。
【0036】
(1−2−2)殺菌モード
水栓部30の操作パネルによって殺菌モードが選択されると、図1(b)に示すように、原水供給弁22及び排水弁52が閉じるとともに、連通弁14が開く。このとき、排水弁52が開いて循環流路13内の不用又は有害な水を排水口51から排水した後、排水弁52が閉じる。
【0037】
そして、水栓部30に接続手段32が装着されると、接続手段32により吐出口31から循環流路13の一端13aまで連通した状態となる。同時に、オゾン生成手段41及び循環ポンプ43が稼働する。これにより、二次側流路12及び循環流路13にオゾンガスが循環し、二次側流路12や吐出口31、循環流路13がオゾンガスにより殺菌される。その後、オゾン生成手段41が停止すると、殺菌処理が終了し、オゾン分解手段42により二次側流路12及び循環流路13内のオゾンガスが分解される。
【0038】
ここで、第1実施形態では、殺菌モードが終了して通常モードに切り替わった直後においては、一定時間(例えば、10秒)浄水を流すことが好ましい。また、水処理装置1は、一定時間浄水を流したことを報知する報知手段を備えていてもよい。
【0039】
(1−3)作用・効果
以上説明した第1実施形態では、接続手段32は、吐出口31と循環流路13とを接続する。また、オゾン生成部40が接続手段32を介して導水路(二次側流路12)及び循環流路13内にオゾンガスを循環させる。つまり、接続手段32によって二次側流路12及び循環流路13を外気から完全に遮断した状態でオゾンガスを循環させることができる。このため、接続手段32を介して二次側流路12から循環流路13を通過する際に、オゾンガスが吐出口31を必ず通過するため、二次側流路12を衛生的に保ちつつ、吐出口31を確実に殺菌できる。従って、殺菌成分が付着し易い吐出口31を殺菌できることに伴い、吐出口31に付着した殺菌成分が揮発することによる周囲への異臭や、吐出口31に付着した殺菌剤成分の誤飲などの恐れを確実に防止できる。
【0040】
第1実施形態では、一次側流路11には、原水供給弁22を備える原水供給部20が配設される。これにより、導水路(一次側流路11及び二次側流路12)を外気から完全に遮断した状態でオゾンガスを循環させることができる。このため、殺菌モード時において、オゾンガスが外部に放出されることを防止でき、安全性を高めることができる。
【0041】
第1実施形態では、循環流路13は、浄化部10の出口に連通する。これにより、二次側流路12全域をオゾンガスが確実に通過するため、二次側流路12をより衛生的に保つことができる。
【0042】
第1実施形態では、循環ポンプ43は、オゾン生成手段41及びオゾン分解手段42よりも上流側に配接される。これにより、オゾン生成手段41で生成された高濃度のオゾンガスがすぐに循環ポンプ43を通ることを防止できる。このため、循環ポンプ43が傷みにくくなり、循環ポンプ43の耐久性、すなわち、水処理装置1の耐久性をも向上させることができる。
【0043】
(1−4)変更例
次に、上述した第1実施形態に係る水処理装置1の変更例について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した第1実施形態に係る水処理装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0044】
(1−4−1)変更例1
まず、第1実施形態の変更例1に係る水処理装置1Aの構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態の変更例1に係る水処理装置1Aを説明するための概略図(通常モード)である。
【0045】
上述した第1実施形態では、水処理装置1は、水道水などの原水を浄水する装置である。すなわち、原水供給部20には、原水が流入する原水口21と、原水口21を遮蔽する原水供給弁22(原水口封止手段)が設けられる。
【0046】
これに対して、変更例1では、飲料水などの原水を貯水する装置である。具体的には、図2に示すように、原水供給部20は、原水を貯水するタンクによって構成される。この原水供給部20には、原水口21を遮蔽する原水シャッター23(原水口封止手段)が設けられる。
【0047】
このような変更例1では、原水供給部20がタンクによって構成されている場合であっても、第1実施形態の作用・効果と同様に、導水路(一次側流路11及び二次側流路12)を外気から完全に遮断した状態でオゾンガスを循環させることができる。このため、殺菌モード時において、オゾンガスが外部に放出されることを防止でき、安全性を高めることができる。
【0048】
(1−4−2)変更例2
次に、第1実施形態の変更例2に係る水処理装置1Bの構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態の変更例2に係る水処理装置1Bを説明するための概略図(通常モード)である。
【0049】
変更例2では、水処理装置1Bは、第1実施形態に係る水処理装置1の構成に加えて、以下の構成をさらに備える。すなわち、図3に示すように、水処理装置1Bは、接続手段32により吐出口31が遮断された情報を検知するセンサ15(封止状態検知手段)をさらに備える。
【0050】
このセンサ15が上記情報を検知した場合に、オゾン生成部40(オゾン生成手段41、オゾン分解手段42及び循環ポンプ43)が作動することによって、オゾンガスを生成或いは分解する。
【0051】
このような変更例2では、水処理装置1Bは、センサ15を備える。これにより、接続手段32が吐出口31と循環流路13とを接続した状態で殺菌モードに入ることができる。このため、二次側流路12を衛生的に保ちつつ、吐出口31を確実に殺菌できる。また、オゾンガスが吐出口31から外部に放出されることを防止でき、安全性を高めることができる。
【0052】
ここで、センサ15は、接続手段32の開閉状態(すなわち、通常モードの継続時間等)を検知してもよい。これにより、殺菌モードを行うタイミングをも計ることができる。
【0053】
(1−4−3)変更例3
次に、第1実施形態の変更例3に係る水処理装置1Cの構成について、図面を参照しながら説明する。図4(a)は、第1実施形態の変更例3に係る水処理装置1Cを説明するための概略図(通常モード)であり、図4(b)は、第1実施形態の変更例3に係る水栓部30近傍を示す拡大図(殺菌モード)である。
【0054】
変更例3では、水処理装置1Cは、第1実施形態に係る水処理装置1の接続手段32に変えて、以下の構成を備える。すなわち、図4に示すように、水処理装置1Cは、吐出口31と循環流路13とを接続する吐出シャッター33(接続手段)を備える。この吐出シャッター33は、水栓部30の操作パネルによって殺菌モードが選択された場合、すなわち、制御部60が殺菌モードと判断した場合に、制御部60からの指示により吐出口31と循環流路13とを自動的に接続する。
【0055】
このような変更例3では、接続手段32は、吐出口31と循環流路13とを接続していなくても、制御部60の指示(殺菌モードの情報)により吐出口31と循環流路13とを接続する。このため、作業者が接続手段32を用いて吐出口31と循環流路13とを接続しなくても、自動的に接続手段32が吐出口31と循環流路13とを接続するため、殺菌モードを行う際の作業量を軽減できる。
【0056】
ここで、接続手段32は、吐出シャッター33によって構成される必要はなく、吐出口31から循環流路13へ閉空間を形成できる構造であればよい。
【0057】
(1−4−4)変更例4
次に、第1実施形態の変更例4に係る水処理装置1Dの構成について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態の変更例4に係る水処理装置1Dを説明するための概略図(通常モード)である。
【0058】
上述した第1実施形態では、オゾン分解手段42は、紫外線やヒーターなどオゾンガスを分解する手段によって構成される。
【0059】
これに対して、変更例4では、オゾン分解手段42は、活性炭により構成される。この場合、図5に示すように、循環流路13は、循環流路13から分岐してオゾン分解手段42を通過する活性炭流路13Aと、循環流路13から分岐してオゾン分解手段42の下流側で活性炭流路13Aと連通する非活性炭流路13Bとに分岐する。活性炭流路13Aと非活性炭流路13Bとの分岐箇所には、活性炭流路13Aと非活性炭流路13Bとの何れかにオゾンガスを分岐可能な流路切替弁16が設けられる。
【0060】
この流路切替弁16は、オゾンガスを分解させない場合(殺菌モード)には、オゾンガスを非活性炭流路13Bに通過させる。一方、流路切替弁16は、オゾン分解手段42によりオゾンガスを分解させる場合(例えば、殺菌モードの終了時)には、オゾンガスを活性炭流路13Aに通過させる。
【0061】
このような変更例4では、殺菌モードでは、オゾンガスを非活性炭流路13Bに通過させることができ、オゾンガスがオゾン分解手段42(活性炭)によって分解されることなく、オゾンガスの殺菌作用の低下を抑制できる。このため、二次側流路12及び吐出口31を効率的に殺菌できる。
【0062】
(1−4−5)変更例5
次に、第1実施形態の変更例5に係る水処理装置1Eの構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態の変更例5に係る水処理装置1Eを説明するための概略図である。
【0063】
変更例5では、水処理装置1Eは、第1実施形態に係る水処理装置1の構成に加えて、以下の構成をさらに備える。すなわち、図6に示すように、水処理装置1Eは、オゾン生成手段41(オゾン分解手段42)によりオゾンガスが規定濃度(すなわち、オゾンガスが浄水に含有しても飲料可能となる濃度)まで分解されたことを検知するセンサ17(流体状態検知手段)を備える。なお、センサ17は、二次側流路12内や循環流路13内に配設されていればよい。
【0064】
このような変更例5では、センサ17によりオゾンガスが規定濃度まで分解されたことを検知できるため、オゾン分解手段42により分解しきれなかったオゾンガスが外部に放出されることを防止でき、さらに安全性を高めることができる。
【0065】
(2)第2実施形態
以下において、第2実施形態に係る水処理装置2について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る水処理装置2を説明するための概略図(通常モード)である。なお、上述した第1実施形態に係る水処理装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0066】
上述した第1実施形態では、循環流路13は、二次側流路における浄化部10の出口に連通する。これに対して、第2実施形態では、図7に示すように、循環流路13は、浄化部10の上流側に配接される一次側流路11に連通する。
【0067】
この場合、循環流路13と一次側流路11とが連通する箇所に、原水口21からの原水を封止可能であるとともに、オゾンガスが循環流路13への進入をも封止可能な三方弁18と、三方弁18の開閉を検知するセンサ19とが設けられる。
【0068】
このような第2実施形態によれば、循環流路13は、一次側流路11に連通することによって、二次側流路12及び吐出口31に加えて、一次側流路11も殺菌できる。このため、水処理装置2内の導水路(一次側流路11及び二次側流路12)をより衛生的に保つことができる。
【0069】
また、循環流路13と一次側流路11とが連通する箇所に三方弁18が設けられることによって、通常モードでは、原水口21から流入した原水が循環流路13への進入することを防止できるとともに、殺菌モードでは、循環流路13と一次側流路11とが連通して原水口21からオゾンガスが放出されることを防止できる。
【0070】
(3)第3実施形態
以下において、第3実施形態に係る水処理装置3について、図面を参照しながら説明する。図8(a)は、第3実施形態に係る水処理装置3を説明するための概略図(通常モード)であり、図8(b)は、第3実施形態に係る循環流路13を説明するための概略図(殺菌モード)である。なお、上述した第1実施形態に係る水処理装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0071】
上述した第1実施形態では、水処理装置1は、水道水を浄水する装置である。これに対して、第3実施形態では、水処理装置3は、浄化部10を備えていなく、飲料水を貯水する装置(いわゆる、ボトルウォーターサーバー)である。
【0072】
(3−1)水処理装置3の構成
図8に示すように、水処理装置3では、飲料水などの原水を貯水するボトル水110が上方に設置される構造である。水処理装置3は、第1実施形態で説明した水栓部30、オゾン生成部40、制御部60に加えて、ボトル水110が設置される貯水部70、冷却機能を有する冷水タンク80、加熱機能を有する熱水タンク90をさらに備える。
【0073】
貯水部70には、ボトル水110の装着を防止することが可能、すなわち、原水を封止する原水シャッター71(原水口封止手段)が設けられる。この貯水部70は、冷水供給路73及び熱水供給路74に連通し、冷却コイルなどによって原水を冷却する冷水タンク80、及び、ヒーターなどによって原水を加熱する熱水タンク90に至る。
【0074】
冷水タンク80には、水位(水量)を検出可能なセンサ(不図示)が内蔵される。この冷水タンク80は、オゾン分解手段42、循環ポンプ43及びオゾン生成手段41に連通する。そして、冷水タンク80は、冷水吐出弁81を介して冷水吐出口82へ開口するとともに、冷水排水弁83を介して冷水排出口84にも開口する。
【0075】
熱水タンク90には、水位(水量)を検出可能なセンサ(不図示)が内蔵される。この熱水タンク90は、熱水吐出弁91を介して熱水吐出口92へ開口するとともに、熱水排水弁93を介して熱水排出口94にも開口する。
【0076】
この冷水吐出口82及び熱水吐出口92が設けられる水栓部30は、冷水吐出口82及び熱水吐出口92を遮蔽する遮蔽扉36(接続手段)を有する。この遮蔽扉36は、冷水吐出口82と熱水吐出口92とを連通可能に構成される。これにより、貯水部70、冷水供給路73(冷水タンク80)、遮蔽扉36、熱水供給路74(熱水タンク90)を経由して再び貯水部70まで循環可能な循環流路13(図8(b)参照)が形成される。なお、水栓部30(遮蔽扉36)の前面には、通常モード(冷水又は熱水)と殺菌モードとを選択可能な操作パネル(不図示)が内蔵される。
【0077】
また、制御部60は、操作パネルからの信号やセンサ72からの信号、冷水タンク80及び熱水タンク90に内蔵されたセンサからの信号に基づいて、原水シャッター71、冷水吐出弁81や熱水吐出弁91、冷水排水弁83、熱水排水弁93の開閉を制御する。
【0078】
(3−2)水処理装置3の動作
(3−2−1)通常モード
水栓部30の操作パネルによって通常モードが選択されると、原水シャッター71が開いた状態となり、貯水部70にボトル水110を装着可能となる。このとき、貯水部70にボトル水110を装着された状態では、ボトル水110の原水が冷水タンク80及び熱水タンク90に溜められる。そして、遮蔽扉36が解放された状態で操作パネルによって冷水又は熱水が選択されると、冷水排水弁83又は熱水排水弁93が開いて、冷水吐出口82又は熱水吐出口92から原水(冷水や熱水)が吐出される。
【0079】
(3−2−2)殺菌モード
水栓部30の操作パネルによって殺菌モードが選択されると、原水シャッター71が閉まった状態となり、貯水部70にボトル水110を装着できなくなる。なお、貯水部70にボトル水110が装着されている場合や、遮蔽扉36が解放されている状態では、殺菌モードに入らない。また、冷水排水弁83及び熱水排水弁93が開いて循環流路13や冷水タンク80、熱水タンク90内の不用又は有害な水を排出した後、冷水排水弁83及び熱水排水弁93が閉じる。
【0080】
そして、遮蔽扉36によって冷水吐出口82と熱水吐出口92とが連通し、循環流路13(図8(b)参照)が形成されるとともに、オゾン生成手段41及び循環ポンプ43が稼働する。これにより、二次側流路12を含む循環流路13にオゾンガスが循環し、冷水吐出口82や熱水吐出口92、循環流路13がオゾンガスにより殺菌される。その後、オゾン生成手段41が停止すると、殺菌処理が終了し、オゾン分解手段42により二次側流路12及び循環流路13内のオゾンガスが分解される。
【0081】
(3−3)作用・効果
以上説明した第3実施形態では、浄化部10を備えていない水処理装置3であっても、第1実施形態の作用・効果と同様に、導水路を衛生的に保ちつつ、冷水吐出口82及び熱水吐出口92を確実に殺菌できる。
【0082】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0083】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、オゾン生成部40(オゾン生成手段41)は、オゾンガスを生成するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、エチレンオキシド、ホルムアルデヒドなど殺菌成分を持つ気体を生成するものであってもよい。また、オゾン生成手段41は、オゾンガスなどの気体に限らず、オゾンを含む水や次亜塩素酸を含む水などを生成するものであってもよい。
【0084】
また、オゾン生成手段41は、遊離塩素、過酸化水素、オゾンなどが発生させる水電解装置によって構成されていてもよい。例えば、この水電解装置として、チタン、プラチナ、イリジウム、カーボンやそれらの混合物が挙げられるが、次亜塩素酸、過酸化水素、オゾンを発生できるものであれば特に形式を問わない。
【0085】
また、循環ポンプ43は、循環流路13の一端13aから他端13bに向けてオゾンガスを循環させるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、循環流路13の他端13bから一端13aに向けてオゾンガスを循環させてもよい。この場合であっても、上流から下流に向かって循環ポンプ43、オゾン生成手段41、オゾン分解手段42の順で配置されることが好ましい。
【0086】
また、水処理装置2,3は、図7及び図8において上述した第1実施形態の変更例1〜5に係る水処理装置1を全ての構成が適用されているが、これに限定されるものではないことは勿論である。
【0087】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0088】
1,2,3…水処理装置
10…浄化部
11…一次側流路(導水路)
12…二次側流路(導水路)
13…循環流路
13A…活性炭流路
13B…非活性炭流路
15…センサ(封止状態検知手段)
16…流路切替弁(流路切替機構)
17…センサ(流体状態検知手段)
20…原水供給部
21…原水口
22…原水供給弁
30…水栓部
31…吐出口
32…接続手段
40…オゾン生成部
41…オゾン生成手段
42…オゾン分解手段
43…循環ポンプ
50…排水部
60…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導水路を通過する原水又は浄水を吐出する吐出口が設けられる水栓部と、殺菌成分を含む流体を生成する流体生成部とを備える水処理装置であって、
前記導水路から分岐し、前記流体が通過する循環流路と、
前記吐出口と前記循環流路とを接続する接続手段と
をさらに備え、
前記流体生成部は、前記接続手段を介して前記導水路及び前記循環流路内に前記流体を循環させることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置であって、
前記導水路には、前記原水を供給する原水供給部が配設され、
前記原水供給部は、前記原水が流入する原水口を遮断する原水口封止手段を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の水処理装置であって、
前記接続手段により前記吐出口が遮断された情報を検知する封止状態検知手段を備え、
前記流体生成部は、前記封止状態検知手段が前記情報を検知した場合に、前記流体を生成することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の水処理装置であって、
前記原水又は前記浄水を前記吐出口から吐出する通常モードと、前記導水路及び前記循環流路に前記流体を循環させる殺菌モードとを切り替えるモード切替部を備え、
前記接続手段は、前記モード切替部により殺菌モードが選択された場合に、前記吐出口と前記循環流路とを接続することを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の水処理装置であって、
前記流体生成部は、
前記流体を生成する流体生成手段と、
前記流体生成手段により生成された前記流体を分解する流体分解手段と
を有し、
前記流体分解手段は、活性炭により構成されており、
前記循環流路は、前記流体分解手段を通過する活性炭流路と、前記流体分解手段の下流側で前記活性炭流路に連通する非活性炭流路とに分岐し、
前記活性炭流路及び前記非活性炭流路の分岐箇所には、前記活性炭流路及び前記非活性炭流路の何れかに前記流体を分岐可能な流路切替機構が設けられることを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の水処理装置であって、
前記流体生成部により前記流体が規定濃度まで分解されたことを検知する流体状態検知手段を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の水処理装置であって、
前記原水を浄化することによって前記浄水を生成する浄化部を備え、
前記循環流路は、前記浄化部の出口に連通することを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の水処理装置であって、
前記原水を浄化することによって前記浄水を生成する浄化部を備え、
前記循環流路は、前記浄化部の上流側に配接される一次側流路に連通することを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−217926(P2012−217926A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86240(P2011−86240)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】