説明

水切り器

【課題】 操作性を高めつつ、対象面における凹凸、凸角部又は凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に付着し又は結露した水滴等を効果的に掻き寄せることができる水切り器の提供。
【解決手段】
基端−先端方向長さが基端の厚みの約8.5倍であり先端部に向かって厚みが漸次薄くなるブレード部Bの基端部の厚み方向中間部に嵌合溝状部B1を設ける。ブレード支持部Jにおけるブレード支持面J2の厚み方向中間部に、嵌合突板部J1を設ける。ブレード部Bの嵌合溝状部B1にブレード支持部Jの嵌合突板部J1が嵌合した状態で両者を接合させ、ブレード部Bの基端面B2がブレード支持部Jのブレード支持面J2に当接して両者を接合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス、浴室の壁や天井や鏡、浴槽等に付着した水滴や結露等の水系液体を、エラストマー製ブレードにより掻き寄せて水切りを行うための水切り器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平8−103401号公報には、拭取具(13)に設けられた弾性を有する拭取片(19)を洗浄液が吹き付られた窓に当接させ、前記拭取具(13)を当該窓に沿って移動させることにより窓に付着した汚れを拭き取る窓拭き器が記載されている。
【0003】
この窓拭き器においては、ゴム等の弾性材料からなる板状の拭取片19が、一対の保持片18間から突出するように、その一対の保持片18間に保持されている。
【0004】
しかしながら、対象面における凹凸、凸角部又は凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に付着し又は結露した水滴等については、拭取片19が一対の保持片18間から突出している長さがわずかであるため、十分に掻き寄せることは困難である。
【0005】
また、板状の拭取片19(ブレード)は、基部を一対の保持片18間に厚み方向に挟持するものであるため、拭取片19を挟持する箇所が厚くなり、対象面における凹凸、凸角部又は凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に付着し又は結露した水滴等を掻き寄せる操作において拭取片19を挟持する箇所の厚みが操作性を害するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−103401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、操作性を高めつつ、対象面における凹凸、凸角部又は凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に付着し又は結露した水滴等を効果的に掻き寄せることができる水切り器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の水切り器は、
エラストマー製のブレード部と、そのブレード部を支持するブレード支持部を先端側に有し、操作部を基端側に有する支持体とを有してなり、対象面に付着した水系液体を前記ブレード部により掻き寄せて水切りを行うための水切り器であって、
前記ブレード部は、基端がブレード支持部に接合されており、基端−先端方向長さがブレード部の基端の厚みの4倍以上であることを特徴とする
【0009】
ブレード部は、基端−先端方向長さがブレード部の基端の厚みの4倍以上であるため、厚み方向にたわみ易い。
【0010】
而も、ブレード部は、基端がブレード支持部に接合されることによりブレード支持部に支持されているので、ブレード部の基部を挟持片により厚み方向に挟持してブレード部を保持する場合に比し、接合箇所の厚み方向寸法を可及的に低減させて操作性を高めつつ、ブレード部の厚み方向のたわみ易さを可及的に損なわずにブレード部を支持することができる。
【0011】
そのため、ブレード部が、対象面における凹凸、浴槽等の凸角部又は浴槽内等の凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に良好に追従変形して、対象面に付着した水系液体を掻き寄せる上で非常に適する。
【0012】
上記ブレード部は、基端−先端方向の断面において、基端部から先端部に向かって厚みが漸次薄くなるものであることが好ましい。
【0013】
この場合、ブレード部は、基端−先端方向の断面において、基端部から先端部に向かって厚みが漸次薄くなるので、先端側において厚み方向にたわみ易く、ブレード部の先端側が、対象面における凹凸、浴槽等の凸角部又は浴槽内等の凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に良好に追従変形して、対象面に付着した水系液体を掻き寄せる上で好適である。
【0014】
本発明の水切り器は、上記ブレード部の基端部の厚み方向中間部に、ブレード部の基端面における厚み方向中間部に開口する嵌合溝状部を有し、
上記ブレード支持部に、ブレード部の基端面が当接するブレード支持面を有し、そのブレード支持面における厚み方向中間部に、前記嵌合溝状部に嵌合する嵌合突板部を有し、
前記ブレード部の嵌合溝状部にブレード支持部の嵌合突板部が嵌合した状態で両者が接合すると共に、ブレード部の基端面がブレード支持部のブレード支持面に当接した状態で接合しているものであることが好ましい。
【0015】
この場合、ブレード部を支持するブレード支持部に、ブレード部の基端面が当接するブレード支持面を有し、ブレード支持面における厚み方向中間部に、嵌合溝状部に嵌合する嵌合突板部を有し、ブレード部の嵌合溝状部にブレード支持部の嵌合突板部が嵌合した状態で両者が接合すると共に、ブレード部の基端面がブレード支持部のブレード支持面に当接した状態で接合している。
【0016】
このように、ブレード部の基端面がブレード支持部のブレード支持面に当接して両者が接合し、且つ、ブレード部の嵌合溝状部にブレード支持部の嵌合突板部が嵌合した状態、換言すればブレード部の基部における嵌合溝状部の両側部でブレード支持部の嵌合突板部を挟んだ状態で、ブレード部とブレード支持部が接合しているので、ブレード部の基部を挟持片により厚み方向に挟持してブレード部を支持体に接合する場合に比し、接合箇所の厚み方向寸法を可及的に低減させて操作性を高めつつ、ブレード部の先端側の厚み方向のたわみ易さを可及的に損なわずにブレード部の基部と支持体のブレード支持部との接合強度及び接合の耐久性を高めることができる。
【0017】
そのため、ブレード部の先端側が、対象面における凹凸、浴槽等の凸角部又は浴槽内等の凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に良好に追従変形して、対象面に付着した水系液体を掻き寄せる上で最適である。
【0018】
本発明の水切り器は、嵌合突板部の突起寸法が、ブレード部の基端−先端方向長さの10分の1乃至4分の1であるものとすることが望ましい。
【0019】
この場合、ブレード部の先端側の厚み方向のたわみ易さをできるだけ損なわずにブレード部の基部と支持体との接合の耐久性を効果的に高めることができる。
【0020】
また本発明の水切り器は、嵌合突板部に、厚み方向の貫通孔が形成されており、ブレード部のうち前記貫通孔に対応する部分は、ブレード部を構成する材料がその貫通孔を充填して嵌合溝状部の両側を連結しているものとすることができる。
【0021】
この場合、ブレード部の嵌合溝状部にブレード支持部の嵌合突板部が嵌合し、更に、ブレード部のうち前記貫通孔に対応する部分は、ブレード部を構成する材料がその貫通孔を充填して嵌合溝状部の両側を連結した状態で、ブレード部とブレード支持部の両者が接合しているので、ブレード部の基部と支持体のブレード支持部との接合強度及び接合の耐久性をより効果的に高めることができる。
【0022】
また本発明の水切り器は、ブレード部の基端が、厚み方向において、ブレード支持部のうちブレード部の基端が接合された部分と一致するものであることが望ましい。
【0023】
この場合、接合箇所の厚み方向寸法をより低減させて操作性を高めることができる。
【0024】
また本発明の水切り器は、ブレード部の厚み方向において、ブレード部の基端部の両面とブレード支持部全体の両面が連続状をなすものであることが好ましい。
【0025】
この場合、ブレード部の基端部からブレード支持部全体にわたる部分の厚み方向寸法をより一層低減させて操作性を高めることができる。
【0026】
また本発明の水切り器は、
上記支持体が、操作部の先端部とブレード支持部の基部を連結する連結部を有し、
その連結部は、操作部の先端部からブレード支持部に向かいつつ両側方に開いてブレード支持部の基部に結合しているものとすることが望ましい。
【0027】
この場合、操作部に支持された連結部を介して、ブレード部を支持するブレード支持部を幅方向の可及的に広範囲にわたり支持することができるので、ブレード支持部の幅方向におけるたわみの発生を可及的に低減させて、対象面における凹凸、浴槽等の凸角部又は浴槽内等の凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に付着した水系液体をブレード部により掻き寄せる作業を効果的に行い得る。
【0028】
上記連結部は、操作部の先端部からブレード支持部に向かいつつ両側方に二股状に開いてブレード支持部の基部に結合するものであり、
前記連結部の二股状部分とブレード支持部の基部との間で空孔部が形成されているものとすることが好ましい。
【0029】
連結部を二股状とすることにより、重量及び原料コストを低減させつつブレード支持部の幅方向におけるたわみの発生を可及的に低減させることができる。而も、連結部の二股状部分とブレード支持部の基部との間で形成される空孔部により、不使用時に、浴室等の壁面のフックやシャワーヘッド掛け等に掛けておくことができる。また、空孔部を介して対象面を見ながら操作を行い得る。
【0030】
本発明の水切り器は、上記支持体とブレード部が一体的に成形されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の水切り器は、接合箇所の厚み方向寸法を可及的に低減させて操作性を高めつつ、ブレード部の先端側の厚み方向のたわみ易さを可及的に損なわずにブレード部の基部と支持体のブレード支持部との接合強度及び接合の耐久性を高めることができる。
【0032】
そのため、ブレード部の先端側が、対象面における凹凸、浴槽等の凸角部又は浴槽内等の凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に良好に追従変形して、対象面に付着した水系液体を効果的に掻き寄せる上で最適である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】斜視図である。
【図2】正面図である。
【図3】側面図である。
【図4】中央部断面図である。
【図5】中央部要部拡大断面図である。
【図6】別の例の中央部要部拡大断面図である。
【図7】別の例の要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図1乃至図5は、本発明の実施の形態の一例としての水切り器についてのものである。
【0036】
この水切り器Aは、対象面Fに付着した水系液体(主に、窓ガラス、浴室の壁や天井や鏡、浴槽等に付着した水滴や結露等。)を掻き寄せて水切りを行うためのブレード部Bと、そのブレード部Bを支持する支持体Sからなる。
【0037】
ブレード部Bの材料は、エラストマー(すなわち、架橋した天然ゴムや合成ゴム等のゴム状弾性を示す高分子物質又は弾性の顕著な高分子物質、例えばSBR、NBR、シリコーンゴム等)である。
【0038】
ブレード部Bの形状は、図4及び図5に示されるような基端−先端方向の断面において、基端部から先端部に向かって厚みが漸次薄くなる一定断面のブレード状、すなわち刃形状又は板形状である。この例では、基端−先端方向の断面において、ブレード部Bの正面側の面は正面側に凸の緩やかな曲線状、ブレード部Bの背面側の面は直線状をなすが、これに限らず、例えば何れの面も直線状であってもよく、何れの面も正面側に凸の緩やかな曲線状であってもよい。また、基端部から先端部に向かって厚みが薄くならないもの、一定厚みであるものをブレード部に用いることも可能である。
【0039】
ブレード部Bの基端−先端方向長さは、ブレード部Bの基端の厚みの約8.5倍である。ブレード部Bの基端−先端方向長さは、これに限らず、例えば、4倍又は5倍以上で、20倍以下又は15倍以下とすることができる。ブレード部の厚みは、例えば1乃至5mmの範囲から選択することができ、ブレード部の基端−先端方向長さは、例えば16乃至100mm(好ましくは20乃至50mm)の範囲から選択することができる。
【0040】
ブレード部Bは、その基端部の厚み方向中間部に、ブレード部Bの基端面B2における厚み方向中間部に開口する嵌合溝状部B1を全幅(図2における左右方向の全部)にわたり有する。なお、嵌合溝状部B1はブレード部Bの基端部の全幅にわたることが好ましいが、全幅に限らず、例えば半分以上又は7割若しくは8割以上とすることもできる。
【0041】
支持体Sは、基端側の把手部H(操作部)と、先端側のブレード支持部Jと、把手部Hにブレード支持部Jを連結する連結部Cからなり、ポリプロピレンを始めとする比較的硬質の合成樹脂からなるものであるが、金属、木材等を用いることもできる。なお、支持体Sは、例えば、基端側に把手部H以外の操作部を有し、この操作部において他の装置により操作されるものとすることもできる。
【0042】
把手部Hは、ブレード支持部Jに対し直交する方向の略円筒状をなす。
【0043】
連結部Cは、把手部Hの先端から二股状に両側方へ開き且つ背面側へ湾曲しつつ先端側に伸びる略V字形状をなし、連結部Cの先端にブレード支持部Jの基部が連結されている。この連結部Cの二股状部分とブレード支持部Jの基部との間で空孔部Dが形成されている。
【0044】
ブレード支持部Jは、ブレード部Bの基端部を全幅にわたり支持する板状(必ずしも板状に限らず、棒状又はその他の形状とすることもできる)をなす。
【0045】
ブレード支持部Jの先端部には、ブレード部Bの基端面B2が全幅にわたり当接するブレード支持面J2を有し、そのブレード支持面J2における厚み方向(接合したブレード部Bの基端面B2の厚み方向に一致する)中間部の全幅にわたり、ブレード部Bの嵌合溝状部B1に嵌合する嵌合突板部J1を有する。嵌合突板部J1は、全幅に限らず、例えば半分以上又は7割若しくは8割以上とすることもできる。
【0046】
嵌合突板部J1の突起寸法は、ブレード部Bの基端−先端方向長さの約7分の1である。嵌合突板部J1の突起寸法は、例えばブレード部Bの基端−先端方向長さの10分の1乃至4分の1であるものとすることができる。
【0047】
ブレード支持部Jによるブレード部Bの支持は、ブレード部Bの嵌合溝状部B1にブレード支持部Jの嵌合突板部J1が嵌合した状態で両者が接合すると共に、ブレード部Bの基端面B2がブレード支持部Jのブレード支持面J2に当接した状態で接合することにより行われている。
【0048】
このような接合は、例えば、予め成形された支持体Sをブレード部Bの成型用金型に組み込んで、ブレード支持部Jの嵌合突板部J1がブレード部Bの嵌合溝状部B1に嵌合し、ブレード支持部Jのブレード支持面J2にブレード部Bの基端面B2が当接するようにブレード部Bを成型することにより行い得る。このようなインサート成型のほか、両者を同時に一体的に成型する二色成型等の手段を用いることも可能である。
【0049】
なお、本発明の水切り器は、支持体とブレード部が一体的に成形されているものとすることが、製造コストの面で好適である。
【0050】
ブレード支持部Jにブレード部Bが接合された状態において、ブレード部Bの厚み方向においてブレード部Bの基端はブレード支持部Jのうちブレード支持面J2が形成された先端部と一致し、ブレード部Bの基端部を含む正面側及び背面側の両面と、ブレード支持面J2が形成された端部を含むブレード支持部Jの正面側及び背面側の両面が、それぞれ基端−先端方向に滑らかに連続している。
【0051】
この水切り器Aの基端側に位置する把手部Hを把持し、先端側に位置するブレード部Bの先端部を水系液体が付着した対象面Fに軽く圧接させながら把手部Hを基端側に引くことにより、その水系液体を掻き寄せることができる。
【0052】
ブレード部Bの基端−先端方向長さは、ブレード部Bの基端の厚みの約8.5倍であり、基端−先端方向の断面において、基端部から先端部に向かって厚みが漸次薄くなるので、ブレード部Bの先端側が厚み方向にたわみ易い。
【0053】
そのブレード部Bを支持するブレード支持部Jに、ブレード部Bの基端面B2が当接するブレード支持面J2を有し、ブレード支持面J2における厚み方向中間部に、嵌合溝状部B1に嵌合する嵌合突板部J1を有し、ブレード部Bの嵌合溝状部B1に、ブレード支持部Jの嵌合突板部J1が嵌合した状態で、ブレード部Bとブレード支持部Jの両者が接合すると共に、ブレード部Bの基端面B2がブレード支持部Jのブレード支持面J2に当接した状態で接合している。
【0054】
このように、ブレード部Bの基部が、ブレード部Bの基端面B2がブレード支持部Jのブレード支持面J2に当接して両者が接合し、且つ、ブレード部Bの嵌合溝状部B1にブレード部Bの基端−先端方向長さの約7分の1の突起寸法の嵌合突板部J1が嵌合し、ブレード部Bの基部における嵌合溝状部B1の両側部でブレード支持部Jの嵌合突板部J1を挟んだ状態で両者が接合しており、而も、ブレード部Bの厚み方向においてブレード部Bの基端はブレード支持部Jのうちブレード支持面J2が形成された先端部と一致し、ブレード部Bの基端部を含む正面側及び背面側の両面と、ブレード支持面J2が形成された端部を含むブレード支持部Jの正面側及び背面側の両面が、それぞれ基端−先端方向に滑らかに連続している。
【0055】
そのため、接合箇所の厚み方向寸法を可及的に低減させて操作性を高めつつ、ブレード部Bの先端側の厚み方向のたわみ易さを可及的に損なわずにブレード部Bの基部とブレード支持部Jとの接合強度及び接合の耐久性を高めることができる。
【0056】
そのため、ブレード部Bの先端側が、対象面Fにおける凹凸、浴槽等の凸角部又は浴槽内等の凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に良好に追従変形して、対象面Fに付着した水系液体を効果的に掻き寄せる上で最適である。
【0057】
また、連結部Cが、把手部Hの先端から二股状に両側方へ開き且つ背面側へ湾曲しつつ先端側に伸びる略V字形状をなし、連結部Cの先端にブレード支持部Jの基部が連結されていることにより、把手部Hに支持された連結部Cを介して、ブレード部Bを支持するブレード支持部Jを幅方向の可及的に広範囲にわたり支持することができるので、重量及び原料コストを低減させつつ、ブレード支持部Jの幅方向におけるたわみの発生を可及的に低減させて、対象面における凹凸、浴槽等の凸角部又は浴槽内等の凹角部、タイルの目地等の縦横に走る溝状部等に付着した水系液体をブレード部Bにより掻き寄せる作業を効果的に行い得る。
【0058】
而も、連結部Cの二股状部分とブレード支持部Jの基部との間で形成される空孔部Dにより、不使用時に、浴室等の壁面のフックやシャワーヘッド掛け等に掛けておくことができる。また、空孔部Dを介して対象面を見ながら操作を行い得る。
【0059】
図6及び図7は、本発明の実施の形態の別の例としての水切り器についてのものである。図6及び図7における図1乃至図5と同じ符号は、同じ内容を示す。
【0060】
ブレード部Bとブレード支持部Jの接合については、図6及び図7に二点鎖線で示すように、嵌合突板部J1に、厚み方向の複数の貫通孔J3が、幅方向間隔おきに、幅方向に偏らないように形成されており、ブレード部Bのうち貫通孔J3に対応する部分は、ブレード部Bを構成するエラストマー材料がその貫通孔J3を充填して嵌合溝状部B1の両側を連結している充填嵌合部B3とすることができる。これにより、ブレード部Bの基部とブレード支持部Jとの接合強度及び接合の耐久性をより効果的に高めることができる。
【0061】
厚み方向の貫通孔J3は、このように複数の貫通孔J3が幅方向間隔おきに、幅方向に偏らないように形成されていることが望ましいが、これに限るものではない。貫通孔J3の形状は、例えば、円形、方形、角が円弧状の方形、楕円形等とすることができる。
【0062】
この場合、ブレード部Bの嵌合溝状部B1にブレード支持部Jの嵌合突板部J1が嵌合し、更に、ブレード部Bのうち前記貫通孔J3に対応する部分は、ブレード部Bを構成するエラストマーがその貫通孔J3を充填した充填嵌合部B3が嵌合溝状部B1の両側を連結した状態で、ブレード部Bとブレード支持部Jの両者が接合しているので、ブレード部Bの基部とブレード支持部Jとの接合の耐久性をより効果的に高めることができる。
【0063】
なお、以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
【符号の説明】
【0064】
A 水切り器
B ブレード部
B1 嵌合溝状部
B2 基端面
B3 充填嵌合部
C 連結部
D 空孔部
F 対象面
H 把手部
J ブレード支持部
J1 嵌合突板部
J2 ブレード支持面
J3 貫通孔
S 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー製のブレード部と、そのブレード部を支持するブレード支持部を先端側に有し、操作部を基端側に有する支持体とを有してなり、対象面に付着した水系液体を前記ブレード部により掻き寄せて水切りを行うための水切り器であって、
前記ブレード部は、基端がブレード支持部に接合されており、基端−先端方向長さがブレード部の基端の厚みの4倍以上であることを特徴とする水切り器。
【請求項2】
上記ブレード部は、基端−先端方向の断面において、基端部から先端部に向かって厚みが漸次薄くなるものである請求項1記載の水切り器。
【請求項3】
上記ブレード部の基端部の厚み方向中間部に、ブレード部の基端面における厚み方向中間部に開口する嵌合溝状部を有し、
上記ブレード支持部に、ブレード部の基端面が当接するブレード支持面を有し、そのブレード支持面における厚み方向中間部に、前記嵌合溝状部に嵌合する嵌合突板部を有し、
前記ブレード部の嵌合溝状部にブレード支持部の嵌合突板部が嵌合した状態で両者が接合すると共に、ブレード部の基端面がブレード支持部のブレード支持面に当接した状態で接合している請求項1又は2記載の水切り器。
【請求項4】
嵌合突板部の突起寸法が、ブレード部の基端−先端方向長さの10分の1乃至4分の1である請求項3記載の水切り器。
【請求項5】
嵌合突板部に、厚み方向の貫通孔が形成されており、ブレード部のうち前記貫通孔に対応する部分は、ブレード部を構成する材料がその貫通孔を充填して嵌合溝状部の両側を連結している請求項3又は4記載の水切り器。
【請求項6】
ブレード部の基端が、厚み方向において、ブレード支持部のうちブレード部の基端が接合された部分と一致する請求項1乃至5の何れか1項に記載の水切り器。
【請求項7】
ブレード部の厚み方向において、ブレード部の基端部の両面とブレード支持部全体の両面が連続状をなす請求項1乃至5の何れか1項に記載の水切り器。
【請求項8】
上記支持体が、操作部の先端部とブレード支持部の基部を連結する連結部を有し、
その連結部は、操作部の先端部からブレード支持部に向かいつつ両側方に開いてブレード支持部の基部に結合している請求項1乃至7の何れか1項に記載の水切り器。
【請求項9】
上記連結部が、操作部の先端部からブレード支持部に向かいつつ両側方に二股状に開いてブレード支持部の基部に結合するものであり、
前記連結部の二股状部分とブレード支持部の基部との間で空孔部が形成されている請求項8記載の水切り器。
【請求項10】
上記支持体とブレード部が一体的に成形されている請求項1乃至9の何れか1項に記載の水切り器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−201(P2011−201A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143769(P2009−143769)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)