水壁ユニット
【目的】 屋外などで容易にスクリーン状に増減変更可能に設置できるディスプレイ効果の高い水壁ユニットを提供する。
【構成】 水溜溝1内に複数の取付枠体2を増減可能に連結し、取付枠体2の窓枠部2A内には、それぞれの上端面4aが開放され、底部に気泡発生装置3を設けた透光性板よりなる液槽ユニット4を嵌入れ固定し、前記した水溜溝1内の水と液槽ユニット4内の水とを浄化循環できる構造となっている。
【構成】 水溜溝1内に複数の取付枠体2を増減可能に連結し、取付枠体2の窓枠部2A内には、それぞれの上端面4aが開放され、底部に気泡発生装置3を設けた透光性板よりなる液槽ユニット4を嵌入れ固定し、前記した水溜溝1内の水と液槽ユニット4内の水とを浄化循環できる構造となっている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋外の建造物や装飾モニュメントなどとして好適に使用されるディスプレー効果の高い水壁ユニット、及び室内などに設置してスクリーンやパーティションなどとして使用できる水壁ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水槽内で気泡を発生させるようにしたディスプレイ装置が種々商品化され、鑑賞用に使用されているが、これらの水槽はいずれも室内や屋内で使用される小型のものであった。本発明は、屋外や大広間などに構築して、気泡を発生する建造物や装飾モニュメントとして使用できるディスプレイ効果の高い新規な構造の水壁ユニットに係る。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために提案される本発明の水壁ユニットは、上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、水溜溝内に立設された取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、前記液槽ユニット内に貯留された水を水溜溝を通じて排水循環させることの出来る構造となっている。
【0004】また、請求項2において提案された本発明の水壁ユニットは、液槽ユニットの底面には気泡発生装置を収容し、常時はこの気泡発生装置を作動して液槽ユニット内より多数の気泡をシャワー状に発生させる一方、液槽ユニット内の液体を排水循環させる場合には、上記水溜溝より液槽ユニット内に水を周期的に送給して、液槽ユニットの上面開口から滝状に溢れ出させるようになっている。
【0005】更に、請求項3において提案された本発明の水壁ユニットは、液槽ユニットには、液槽ユニット内を照らし出す照明器具が付加されており、請求項4において提案された水壁ユニットは、屋外の装飾的建造物として適したスマートなアーチ状に形成されている。請求項5,6においては、店舗の室内などに設置してスクリーンとして使用できる水壁ユニットを提案している。ここに、請求項5において提案された本発明は、上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、下部に排水受樋を有した取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、水循環器を駆動して、前記液槽ユニット内に水を供給して、液槽ユニットの上端開口部より溢れ出た水を、前記排水受樋で受け取った後に、前記液槽ユニット内に循環させる構造となっており、請求項6において提案された本発明は、液槽ユニットは、それ自体が常時は、その底面に収容した気泡発生装置を駆動して、気泡を発生する構造となっている。
【0006】
【作用】請求項1〜4において提案された本発明の水壁ユニットによれば、水溜溝内に立設された複数の取付支持体を増減することによって、個々に独立した液槽ユニットの数を自由に選択して、所望寸法の水壁構造体をスクリーン状に延長させて形成できる。
【0007】また、請求項2において提案された水壁ユニットによれば、常時は液槽ユニットの下部に設けられた気泡発生装置によって無数の気泡をシャワー状に発生させるので、ディスプレイとして、見た目にも涼げで開放的な感じを与える。更に、液槽ユニット内の水を循環させる場合には、水溜槽内の液体を液槽ユニット内に送り込んで、液槽ユニットの上面開口より滝模様状に溢れ出させるので、静的な水壁ユニットがダイナミックに変化することになって、より開放的、幻想的な感じを与え、動的なディスプレイ効果のある屋外の装飾モニュメントなどとして使用する場合好適である。
【0008】また、請求項3において提案された水壁ユニットによれば、液槽ユニットは、照明器具の照明によって照らされるので、夜間などには周囲全体をより幻想的な空間世界に変化させ、動的なディスプレイとして更に実用的価値が高い。請求項4においては、水壁ユニットをアーチ状に形成しているので、公園や広場などに設置すれば、いっそう優美な建造物や装飾的なモニュメントとして使用できる。
【0009】一方、請求項5,6において提案された水壁ユニットは、水溜溝を必要としないので、スクリーンやパーティションとして室内に設置できる。また、水循環器を駆動し、前記液槽ユニット内に水を供給すれば、液槽ユニットの上端開口部より水が滝模様になって溢れ出るので、動的なスクリーンとして店舗室内などを演出できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明に係る水壁ユニットの一実施例について、図面を参照して説明する。水壁ユニットAは、図1,図2に示したように、水溜溝1内に所定間隔で植設されたH型鋼材より成る複数の取付支持体2で区画構成された窓枠部2Aの各々の内部に、上端面を開口4aさせ、前,後壁面41,42を少なくとも透光板で構成した箱状の液槽ユニット4を収容し、固定させたスクリーン状の構造体となっており、液槽ユニット4の上方に設けたカバー体61と、水溜溝1内には、液槽ユニット4の内部を照射する照明器具6が配設されている。
【0011】液槽ユニット4の底面には、エアー噴射ノズル31を有した気泡発生装置3が収容されており、この気泡発生装置3のエアー噴射ノズル31は、連結管37によって、水溜溝1外に設置されたブロアー36に接続され、ここから加圧エアーが供給されている。浄水装置7は、水溜溝1の側面に出水管71を設け、水溜溝1の底面に取水管72を設けているので、水溜溝1内の水を循環的に浄化できる。
【0012】このような水壁ユニットAによれば、常時は、連通管37を通じて、水溜溝1の外方に設置されたブロアー36より送給された加圧エアーを液槽ユニット4の底面に設けた気泡発生装置3のエアー噴射ノズル31より噴射させて気泡発生装置3を作動し、このとき、液槽ユニット4の各々の底面からは、細かい多数の気泡B・・・がシャワー状となって上昇するので、見た目にも開放的、かつ涼げで優美な感じを与える(図1の(イ)参照)。このとき発生する気泡の大きさなどは、エアー噴射ノズル31から噴射させる加圧エアーの噴射圧を変化させることによって制御できる。
【0013】また、一方の水循環器5はフィルター装置51を備え、出水管53を液槽ユニット4の底面より突出させ、取水管52を水溜溝1の下部より導出させているので、取水管52によって吸い込まれた水溜溝1内の水は、フィルター装置51によって荒ゴミが除去された後、出水管53から液槽ユニット4内に送り込まれ、このとき液槽ユニット4内に貯留された水は、液槽ユニット4の上端開口4aより溢れ出たときに滝模様を呈する(図1の(ロ)参照)。このようにして、水循環器5が周期的に作動されたときには、底面より細かい気泡をシャワー状に発生していた液槽ユニット4がダイナミックな滝の動きに変化するので、ディスプレイとして見る者にいっそう迫力感を与える。
【0014】液槽ユニット4より、滝模様状になって水溜溝1内に溢れ出た水は、水浄化装置7が作動されると、液槽ユニット4内に貯留された水は常に浄化され、クリーンな状態に保持されるため、屋外に設置しても液槽ユニット4内の水を淀ませ、腐敗させることがない。図3,図4は、水壁ユニットAをスクリーン状に延長構築し、その正面に位置する液槽ユニット4’をアーチ状に形成した場合の外観図であり、アーチ状に形成された液槽ユニット4’の開口部40は、人がくぐり抜けできるので、公園や広場、大広間などに設置すれば開放的で迫力に満ちた幻想的な空間世界が形成される。
【0015】ついで、本発明の水壁ユニットAの各部の構成を説明する。取付支持体2は、例えば、図4に見るように、水溜溝1(図4では不図示)内に所定間隔で設けられたコンクリート基礎22などの上にH型鋼材を植設して構成され、このようにして構成された取付支持体2の各々間には、H型鋼材を使用して、図5に示したような窓枠部2Aがコ字状のフレーム2aとして形成され、その窓枠部2Aの各々の開口部20には、パネル状の液槽ユニット4が嵌入されて水壁が形成される。なお、2cは噴射ノズルや出水管を設置するための開口部である。
【0016】ここに、液槽ユニット4は、複数の透明アクリル板を接着剤などで重合接着して形成した厚板状の透明アクリル板を用いて構成され、上端面4aを開口させ、前後壁41,42が外方になるように、左,右壁43,43と底壁44とを箱状に組立てた薄肉のボックス体をなしており、前、後壁41,42と接合される左,右壁43,43の外方には、図6に示したように切欠溝43a,43aを形成している。そして、それぞれの切欠溝43a,43a内には、バックアップ材45.45を介在させてゴムなどの弾性体46,46を充填させることによって熱変化吸収接合部4A,4Aを形成しており、それぞれの熱変化吸収接合部4A,4Aは、前壁41の内面と側壁43の端面との接合部49及び後壁42の内面と側壁43の端面との接合部49は、なんら接着剤を使用することなくフリーな状態に突合せ接合しており、切欠溝43a,43aに嵌入されたバックアップ材45,45は、いずれも前壁41の内面と側壁43に形成された切欠溝43aの内面、及び後壁42の内面と側壁43に形成された切欠溝43aの内面と接触する部分のみを接着固定した弾性体46,46によって挟まれた状態で切欠溝43a,43a内で固定されている。
【0017】このような熱変化吸収接合部4A,4Aは、図7に示したように、それぞれの液槽ユニット4の前,後壁41,42と、底壁44との接合する部分にも形成されており、底壁44に形成された切欠溝44a,44a内には、バックアップ材45,45を介在させ、弾性体46,46を前壁41の内面と底壁44に形成された切欠溝44a及び、後壁42の内面と底壁44に形成された切欠溝44aとの接合する部分のみを接着することによって、バックアップ材45,45を弾性体46,46によって挟み込んだフリーな状態に固定している。また、底壁44と前壁41及び底壁44と後壁42との接合する部分49,49は、上記した熱変化吸収接合部4A,4Aと同様に接着剤を使用することなくフリーな状態に突合せた状態となっている。なお、50は、取付支持体2の窓枠部2A内に水槽ユニット4を収容したときの補強板である。
【0018】また、前,後壁41,42と窓枠部2Aのフレーム2aの内面には、バックアップ材48,48を介在させた弾性体47,47が接着剤で接着されており、熱膨張、収縮時における前、後壁41,42の前後方向の変化は、この熱変化吸収受部4B,4Bで吸収できるようになっている。また、液槽ユニット4を嵌入させるフレーム2aと液槽ユニット4の側壁との間には空隙4bを形成しており、これによって液槽ユニット4の熱変化時の膨張変化に対応させている。
【0019】このような構造の液槽ユニット4によれば、内部に作業員が入ることができない薄型構造体に形成されても、充分な耐水圧に耐えることができ、特に外気温度の変化に対しては、上記した熱変化吸収接合部4A,熱変化吸収受部4Bが膨張、収縮による変形を有効に吸収できるので、夏の炎天下で屋外に放置した場合にも充分対応することができる。
【0020】また、このような液槽ユニット4によれば、予め工場等でユニットとして製造されたものを、公園等の現場に建設された窓枠部2内に嵌入し組み付けるだけで、水密性に優れ、耐水圧構造の高い水壁構造体が簡単に構築でき、施工作業も非常に簡単となる。ついで、気泡発生装置について説明する。
【0021】気泡発生装置3は、図8,図9に示すように、液槽ユニット4の底面よりエアー噴射ノズル31を突出させ、このエアー噴射ノズル31を取り囲むように上下2段の多数の孔部33a,34aを穿孔した泡発生板33,34を配置したハウジング35で構成されており、下段の泡発生板34の下面には、前記したエアー噴射ノズル31から噴出されるエアーを受け止めて分散放出させる制流体32を配置している。この制流体32は、下側が開放された断面半円弧状の傘形状をなしており、上段の泡発生板33の孔部33aは下段の泡発生板34の孔部34aより数多く設けられている。
【0022】このような構造の気泡発生装置3によれば、エアー噴射ノズル31によって噴出された加圧エアーは、制流体32によって受け止められて速度が減速され、拡散された後、泡発生板34の孔部34aで砕かれて小さい気泡となって上昇し、更に上方の泡発生板33の孔部33aで更に砕かれ、細かい気泡となって液槽ユニット4内を図1に示すようにシャワー状となってとなって上昇する。
【0023】このような本発明に係る水壁ユニットは、公園や広場などに設置するばかりでなく、遊園地等における迷路壁や、ディスプレイ用、ビルの壁、塀、広場の区画やスクリーン等にも応用できるものである。図10は、請求項5,6において提案した水壁ユニットA’を示している。この水壁ユニットA’の特徴は、水溜溝を設けずに、水槽ユニット4を収容し固定する窓枠構造体44の下部に排水受樋73を設けている。浄水型の水循環器5、加圧エアーを供給するブロアー36を含んで構成された循環水路は、水壁ユニットA’を設置した床77の下部に形成されているので、水壁ユニットA’の見かけ上の容積は小さくなっている。水槽ユニット4の底面には気泡発生装置3を設けており、常時は水槽ユニット4の底面より細かい気泡Bを発生させる構造となっている。水循環器5を作動させれば、液槽ユニット4の底面に設けた噴射ノズル31より加圧エアーを噴射して、細かい気泡Bを発生させ、更に水循環器5を作動させれば、液槽ユニット4の底面に設けた出水管53より水が供給されるので、液槽ユニット4の上端開口4aより水が溢れ出る。溢れ出た水は、排水受樋73で受けとめられ、取水管53を通じて排水タンク58内に収容され、更に連通管52’を通じて、水循環器5に送り込まれる。液槽ユニット4の上端開口4aより水が溢れ出るときに液槽ユニット4の両側面を伝って滝模様が呈される。
【0024】図11は、循環水路を床面77より露出させたもので、水壁ユニットA”と循環水ユニット55とは、給排水チューブ56を介して接続されている。循環水ユニット55を室外に設置し、水壁ユニットA”には、図示のようにキャスタ76などを設けて置けば、ガスストーブのような感覚で使用できる。図10や、図11に示したような水壁ユニットA’,A”によれば、水溜溝を設ける必要がないので、室内などでも設置することができ、スクリーンやパーティションなどとして、店舗の間仕切りやインテリア装飾品などに使用できる。
【0025】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発明によれば、液槽ユニットを増減変更させることによって、水壁構造物を簡易に構築できる。また、液槽ユニット内で気泡を発生させることができて、更に液槽ユニット内及び水溜溝内の水を浄化循環させることができるので、幻想的で優美な外観をかもし出すことのできるディスプレイ効果の高い屋外建造物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水壁ユニットの一実施例を示す斜視図である。
【図2】水壁ユニットの概略縦断面構造図である。
【図3】アーチ状に形成した水壁ユニットの使用状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示した水壁ユニットの全体構造を示した正面斜視図である。
【図5】液槽ユニットを取付支持体に取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図6】液槽ユニットに形成された熱変化吸収接合部を示す部分拡大平面断面図である。
【図7】液槽ユニットに形成された熱変化吸収接合部を示す部分拡大側面断面図である。
【図8】気泡発生装置を示した部分概略縦断面図である。
【図9】気泡発生装置の構造を示した斜視図である。
【図10】本発明の水壁ユニットの他例を示す構造説明図である。
【図11】本発明の水壁ユニットの更に他例を示す構造説明図である。
【符号の説明】
A,A’,A” 水壁ユニット
1 水溜溝
2 取付支持体
2A 窓枠部
3 気泡発生装置
4 液槽ユニット
5 水循環器
6 照明器具
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋外の建造物や装飾モニュメントなどとして好適に使用されるディスプレー効果の高い水壁ユニット、及び室内などに設置してスクリーンやパーティションなどとして使用できる水壁ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水槽内で気泡を発生させるようにしたディスプレイ装置が種々商品化され、鑑賞用に使用されているが、これらの水槽はいずれも室内や屋内で使用される小型のものであった。本発明は、屋外や大広間などに構築して、気泡を発生する建造物や装飾モニュメントとして使用できるディスプレイ効果の高い新規な構造の水壁ユニットに係る。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために提案される本発明の水壁ユニットは、上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、水溜溝内に立設された取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、前記液槽ユニット内に貯留された水を水溜溝を通じて排水循環させることの出来る構造となっている。
【0004】また、請求項2において提案された本発明の水壁ユニットは、液槽ユニットの底面には気泡発生装置を収容し、常時はこの気泡発生装置を作動して液槽ユニット内より多数の気泡をシャワー状に発生させる一方、液槽ユニット内の液体を排水循環させる場合には、上記水溜溝より液槽ユニット内に水を周期的に送給して、液槽ユニットの上面開口から滝状に溢れ出させるようになっている。
【0005】更に、請求項3において提案された本発明の水壁ユニットは、液槽ユニットには、液槽ユニット内を照らし出す照明器具が付加されており、請求項4において提案された水壁ユニットは、屋外の装飾的建造物として適したスマートなアーチ状に形成されている。請求項5,6においては、店舗の室内などに設置してスクリーンとして使用できる水壁ユニットを提案している。ここに、請求項5において提案された本発明は、上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、下部に排水受樋を有した取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、水循環器を駆動して、前記液槽ユニット内に水を供給して、液槽ユニットの上端開口部より溢れ出た水を、前記排水受樋で受け取った後に、前記液槽ユニット内に循環させる構造となっており、請求項6において提案された本発明は、液槽ユニットは、それ自体が常時は、その底面に収容した気泡発生装置を駆動して、気泡を発生する構造となっている。
【0006】
【作用】請求項1〜4において提案された本発明の水壁ユニットによれば、水溜溝内に立設された複数の取付支持体を増減することによって、個々に独立した液槽ユニットの数を自由に選択して、所望寸法の水壁構造体をスクリーン状に延長させて形成できる。
【0007】また、請求項2において提案された水壁ユニットによれば、常時は液槽ユニットの下部に設けられた気泡発生装置によって無数の気泡をシャワー状に発生させるので、ディスプレイとして、見た目にも涼げで開放的な感じを与える。更に、液槽ユニット内の水を循環させる場合には、水溜槽内の液体を液槽ユニット内に送り込んで、液槽ユニットの上面開口より滝模様状に溢れ出させるので、静的な水壁ユニットがダイナミックに変化することになって、より開放的、幻想的な感じを与え、動的なディスプレイ効果のある屋外の装飾モニュメントなどとして使用する場合好適である。
【0008】また、請求項3において提案された水壁ユニットによれば、液槽ユニットは、照明器具の照明によって照らされるので、夜間などには周囲全体をより幻想的な空間世界に変化させ、動的なディスプレイとして更に実用的価値が高い。請求項4においては、水壁ユニットをアーチ状に形成しているので、公園や広場などに設置すれば、いっそう優美な建造物や装飾的なモニュメントとして使用できる。
【0009】一方、請求項5,6において提案された水壁ユニットは、水溜溝を必要としないので、スクリーンやパーティションとして室内に設置できる。また、水循環器を駆動し、前記液槽ユニット内に水を供給すれば、液槽ユニットの上端開口部より水が滝模様になって溢れ出るので、動的なスクリーンとして店舗室内などを演出できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明に係る水壁ユニットの一実施例について、図面を参照して説明する。水壁ユニットAは、図1,図2に示したように、水溜溝1内に所定間隔で植設されたH型鋼材より成る複数の取付支持体2で区画構成された窓枠部2Aの各々の内部に、上端面を開口4aさせ、前,後壁面41,42を少なくとも透光板で構成した箱状の液槽ユニット4を収容し、固定させたスクリーン状の構造体となっており、液槽ユニット4の上方に設けたカバー体61と、水溜溝1内には、液槽ユニット4の内部を照射する照明器具6が配設されている。
【0011】液槽ユニット4の底面には、エアー噴射ノズル31を有した気泡発生装置3が収容されており、この気泡発生装置3のエアー噴射ノズル31は、連結管37によって、水溜溝1外に設置されたブロアー36に接続され、ここから加圧エアーが供給されている。浄水装置7は、水溜溝1の側面に出水管71を設け、水溜溝1の底面に取水管72を設けているので、水溜溝1内の水を循環的に浄化できる。
【0012】このような水壁ユニットAによれば、常時は、連通管37を通じて、水溜溝1の外方に設置されたブロアー36より送給された加圧エアーを液槽ユニット4の底面に設けた気泡発生装置3のエアー噴射ノズル31より噴射させて気泡発生装置3を作動し、このとき、液槽ユニット4の各々の底面からは、細かい多数の気泡B・・・がシャワー状となって上昇するので、見た目にも開放的、かつ涼げで優美な感じを与える(図1の(イ)参照)。このとき発生する気泡の大きさなどは、エアー噴射ノズル31から噴射させる加圧エアーの噴射圧を変化させることによって制御できる。
【0013】また、一方の水循環器5はフィルター装置51を備え、出水管53を液槽ユニット4の底面より突出させ、取水管52を水溜溝1の下部より導出させているので、取水管52によって吸い込まれた水溜溝1内の水は、フィルター装置51によって荒ゴミが除去された後、出水管53から液槽ユニット4内に送り込まれ、このとき液槽ユニット4内に貯留された水は、液槽ユニット4の上端開口4aより溢れ出たときに滝模様を呈する(図1の(ロ)参照)。このようにして、水循環器5が周期的に作動されたときには、底面より細かい気泡をシャワー状に発生していた液槽ユニット4がダイナミックな滝の動きに変化するので、ディスプレイとして見る者にいっそう迫力感を与える。
【0014】液槽ユニット4より、滝模様状になって水溜溝1内に溢れ出た水は、水浄化装置7が作動されると、液槽ユニット4内に貯留された水は常に浄化され、クリーンな状態に保持されるため、屋外に設置しても液槽ユニット4内の水を淀ませ、腐敗させることがない。図3,図4は、水壁ユニットAをスクリーン状に延長構築し、その正面に位置する液槽ユニット4’をアーチ状に形成した場合の外観図であり、アーチ状に形成された液槽ユニット4’の開口部40は、人がくぐり抜けできるので、公園や広場、大広間などに設置すれば開放的で迫力に満ちた幻想的な空間世界が形成される。
【0015】ついで、本発明の水壁ユニットAの各部の構成を説明する。取付支持体2は、例えば、図4に見るように、水溜溝1(図4では不図示)内に所定間隔で設けられたコンクリート基礎22などの上にH型鋼材を植設して構成され、このようにして構成された取付支持体2の各々間には、H型鋼材を使用して、図5に示したような窓枠部2Aがコ字状のフレーム2aとして形成され、その窓枠部2Aの各々の開口部20には、パネル状の液槽ユニット4が嵌入されて水壁が形成される。なお、2cは噴射ノズルや出水管を設置するための開口部である。
【0016】ここに、液槽ユニット4は、複数の透明アクリル板を接着剤などで重合接着して形成した厚板状の透明アクリル板を用いて構成され、上端面4aを開口させ、前後壁41,42が外方になるように、左,右壁43,43と底壁44とを箱状に組立てた薄肉のボックス体をなしており、前、後壁41,42と接合される左,右壁43,43の外方には、図6に示したように切欠溝43a,43aを形成している。そして、それぞれの切欠溝43a,43a内には、バックアップ材45.45を介在させてゴムなどの弾性体46,46を充填させることによって熱変化吸収接合部4A,4Aを形成しており、それぞれの熱変化吸収接合部4A,4Aは、前壁41の内面と側壁43の端面との接合部49及び後壁42の内面と側壁43の端面との接合部49は、なんら接着剤を使用することなくフリーな状態に突合せ接合しており、切欠溝43a,43aに嵌入されたバックアップ材45,45は、いずれも前壁41の内面と側壁43に形成された切欠溝43aの内面、及び後壁42の内面と側壁43に形成された切欠溝43aの内面と接触する部分のみを接着固定した弾性体46,46によって挟まれた状態で切欠溝43a,43a内で固定されている。
【0017】このような熱変化吸収接合部4A,4Aは、図7に示したように、それぞれの液槽ユニット4の前,後壁41,42と、底壁44との接合する部分にも形成されており、底壁44に形成された切欠溝44a,44a内には、バックアップ材45,45を介在させ、弾性体46,46を前壁41の内面と底壁44に形成された切欠溝44a及び、後壁42の内面と底壁44に形成された切欠溝44aとの接合する部分のみを接着することによって、バックアップ材45,45を弾性体46,46によって挟み込んだフリーな状態に固定している。また、底壁44と前壁41及び底壁44と後壁42との接合する部分49,49は、上記した熱変化吸収接合部4A,4Aと同様に接着剤を使用することなくフリーな状態に突合せた状態となっている。なお、50は、取付支持体2の窓枠部2A内に水槽ユニット4を収容したときの補強板である。
【0018】また、前,後壁41,42と窓枠部2Aのフレーム2aの内面には、バックアップ材48,48を介在させた弾性体47,47が接着剤で接着されており、熱膨張、収縮時における前、後壁41,42の前後方向の変化は、この熱変化吸収受部4B,4Bで吸収できるようになっている。また、液槽ユニット4を嵌入させるフレーム2aと液槽ユニット4の側壁との間には空隙4bを形成しており、これによって液槽ユニット4の熱変化時の膨張変化に対応させている。
【0019】このような構造の液槽ユニット4によれば、内部に作業員が入ることができない薄型構造体に形成されても、充分な耐水圧に耐えることができ、特に外気温度の変化に対しては、上記した熱変化吸収接合部4A,熱変化吸収受部4Bが膨張、収縮による変形を有効に吸収できるので、夏の炎天下で屋外に放置した場合にも充分対応することができる。
【0020】また、このような液槽ユニット4によれば、予め工場等でユニットとして製造されたものを、公園等の現場に建設された窓枠部2内に嵌入し組み付けるだけで、水密性に優れ、耐水圧構造の高い水壁構造体が簡単に構築でき、施工作業も非常に簡単となる。ついで、気泡発生装置について説明する。
【0021】気泡発生装置3は、図8,図9に示すように、液槽ユニット4の底面よりエアー噴射ノズル31を突出させ、このエアー噴射ノズル31を取り囲むように上下2段の多数の孔部33a,34aを穿孔した泡発生板33,34を配置したハウジング35で構成されており、下段の泡発生板34の下面には、前記したエアー噴射ノズル31から噴出されるエアーを受け止めて分散放出させる制流体32を配置している。この制流体32は、下側が開放された断面半円弧状の傘形状をなしており、上段の泡発生板33の孔部33aは下段の泡発生板34の孔部34aより数多く設けられている。
【0022】このような構造の気泡発生装置3によれば、エアー噴射ノズル31によって噴出された加圧エアーは、制流体32によって受け止められて速度が減速され、拡散された後、泡発生板34の孔部34aで砕かれて小さい気泡となって上昇し、更に上方の泡発生板33の孔部33aで更に砕かれ、細かい気泡となって液槽ユニット4内を図1に示すようにシャワー状となってとなって上昇する。
【0023】このような本発明に係る水壁ユニットは、公園や広場などに設置するばかりでなく、遊園地等における迷路壁や、ディスプレイ用、ビルの壁、塀、広場の区画やスクリーン等にも応用できるものである。図10は、請求項5,6において提案した水壁ユニットA’を示している。この水壁ユニットA’の特徴は、水溜溝を設けずに、水槽ユニット4を収容し固定する窓枠構造体44の下部に排水受樋73を設けている。浄水型の水循環器5、加圧エアーを供給するブロアー36を含んで構成された循環水路は、水壁ユニットA’を設置した床77の下部に形成されているので、水壁ユニットA’の見かけ上の容積は小さくなっている。水槽ユニット4の底面には気泡発生装置3を設けており、常時は水槽ユニット4の底面より細かい気泡Bを発生させる構造となっている。水循環器5を作動させれば、液槽ユニット4の底面に設けた噴射ノズル31より加圧エアーを噴射して、細かい気泡Bを発生させ、更に水循環器5を作動させれば、液槽ユニット4の底面に設けた出水管53より水が供給されるので、液槽ユニット4の上端開口4aより水が溢れ出る。溢れ出た水は、排水受樋73で受けとめられ、取水管53を通じて排水タンク58内に収容され、更に連通管52’を通じて、水循環器5に送り込まれる。液槽ユニット4の上端開口4aより水が溢れ出るときに液槽ユニット4の両側面を伝って滝模様が呈される。
【0024】図11は、循環水路を床面77より露出させたもので、水壁ユニットA”と循環水ユニット55とは、給排水チューブ56を介して接続されている。循環水ユニット55を室外に設置し、水壁ユニットA”には、図示のようにキャスタ76などを設けて置けば、ガスストーブのような感覚で使用できる。図10や、図11に示したような水壁ユニットA’,A”によれば、水溜溝を設ける必要がないので、室内などでも設置することができ、スクリーンやパーティションなどとして、店舗の間仕切りやインテリア装飾品などに使用できる。
【0025】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発明によれば、液槽ユニットを増減変更させることによって、水壁構造物を簡易に構築できる。また、液槽ユニット内で気泡を発生させることができて、更に液槽ユニット内及び水溜溝内の水を浄化循環させることができるので、幻想的で優美な外観をかもし出すことのできるディスプレイ効果の高い屋外建造物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水壁ユニットの一実施例を示す斜視図である。
【図2】水壁ユニットの概略縦断面構造図である。
【図3】アーチ状に形成した水壁ユニットの使用状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示した水壁ユニットの全体構造を示した正面斜視図である。
【図5】液槽ユニットを取付支持体に取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図6】液槽ユニットに形成された熱変化吸収接合部を示す部分拡大平面断面図である。
【図7】液槽ユニットに形成された熱変化吸収接合部を示す部分拡大側面断面図である。
【図8】気泡発生装置を示した部分概略縦断面図である。
【図9】気泡発生装置の構造を示した斜視図である。
【図10】本発明の水壁ユニットの他例を示す構造説明図である。
【図11】本発明の水壁ユニットの更に他例を示す構造説明図である。
【符号の説明】
A,A’,A” 水壁ユニット
1 水溜溝
2 取付支持体
2A 窓枠部
3 気泡発生装置
4 液槽ユニット
5 水循環器
6 照明器具
【特許請求の範囲】
【請求項1】上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、水溜溝内に立設された取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、前記液槽ユニット内に貯留された水を、水溜溝を通じて排水循環させるようにした水壁ユニット。
【請求項2】前記液槽ユニットの底面には気泡発生装置を収容しており、常時はこの気泡発生装置を作動させて液槽ユニット内より多数の気泡を発生させる一方、上記水溜溝より液槽ユニット内に水を周期的に送給して、液槽ユニットの上面開口から水を滝状に溢れさせることによって、液槽ユニット内の水を排水循環させる構造とした請求項1に記載の水壁ユニット。
【請求項3】前記液槽ユニットには、液槽ユニット内を照らし出す照明器具が付加されている請求項1又は2に記載の水壁ユニット。
【請求項4】前記水壁ユニットは、アーチ状に形成された請求項1〜3のいずれかの項に記載の水壁ユニット。
【請求項5】上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、下部に排水受樋を有した取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、水循環器を駆動し前記液槽ユニット内に水を供給して、液槽ユニットの上端開口部より溢れ出た水を、前記排水受樋で受け取った後、前記液槽ユニット内に循環させるようにした水壁ユニット。
【請求項6】前記液槽ユニットの底面には気泡発生装置を収容しており、常時はこの気泡発生装置を作動させて液槽ユニット内より多数の気泡を発生させる構造とした請求項5に記載の水壁ユニット。
【請求項1】上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、水溜溝内に立設された取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、前記液槽ユニット内に貯留された水を、水溜溝を通じて排水循環させるようにした水壁ユニット。
【請求項2】前記液槽ユニットの底面には気泡発生装置を収容しており、常時はこの気泡発生装置を作動させて液槽ユニット内より多数の気泡を発生させる一方、上記水溜溝より液槽ユニット内に水を周期的に送給して、液槽ユニットの上面開口から水を滝状に溢れさせることによって、液槽ユニット内の水を排水循環させる構造とした請求項1に記載の水壁ユニット。
【請求項3】前記液槽ユニットには、液槽ユニット内を照らし出す照明器具が付加されている請求項1又は2に記載の水壁ユニット。
【請求項4】前記水壁ユニットは、アーチ状に形成された請求項1〜3のいずれかの項に記載の水壁ユニット。
【請求項5】上面が開口され、前,後壁を少なくとも透光板で構成した箱型の液槽ユニットの各々を、下部に排水受樋を有した取付支持体の窓枠部内に収容させるとともに、水循環器を駆動し前記液槽ユニット内に水を供給して、液槽ユニットの上端開口部より溢れ出た水を、前記排水受樋で受け取った後、前記液槽ユニット内に循環させるようにした水壁ユニット。
【請求項6】前記液槽ユニットの底面には気泡発生装置を収容しており、常時はこの気泡発生装置を作動させて液槽ユニット内より多数の気泡を発生させる構造とした請求項5に記載の水壁ユニット。
【図1】
【図3】
【図8】
【図2】
【図4】
【図6】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図8】
【図2】
【図4】
【図6】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開平6−149167
【公開日】平成6年(1994)5月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−298990
【出願日】平成4年(1992)11月9日
【出願人】(592231882)株式会社森永建築設計事務所 (1)
【出願人】(592231893)日プラ海洋設備株式会社 (4)
【出願人】(592231907)株式会社三水社 (1)
【公開日】平成6年(1994)5月27日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)11月9日
【出願人】(592231882)株式会社森永建築設計事務所 (1)
【出願人】(592231893)日プラ海洋設備株式会社 (4)
【出願人】(592231907)株式会社三水社 (1)
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