水平維持搬送コンベヤ
【課題】センターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンにキャリアの前側中央部を上下揺動自在に連結支持させ、このキャリアの後ろ側左右２箇所を、左右一対のサイドガイドレールに車輪を介して支持案内する従来の水平維持搬送コンベヤで、コストの低減を図る。
【解決手段】コンベヤチエン８の支持用車輪１５を軸支する前後２本の左右水平支軸１７に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレール９から上方に突出する前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂと、両垂直支持部材１９ａ，１９ｂどうしを、これら両垂直支持部材の前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材２０とから台車部５を構成し、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４の下端部が、前後方向連結部材２０に前後揺動自在に軸支された構成。
【解決手段】コンベヤチエン８の支持用車輪１５を軸支する前後２本の左右水平支軸１７に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレール９から上方に突出する前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂと、両垂直支持部材１９ａ，１９ｂどうしを、これら両垂直支持部材の前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材２０とから台車部５を構成し、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４の下端部が、前後方向連結部材２０に前後揺動自在に軸支された構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、上り下りの勾配経路部が存在する搬送経路において、被搬送物支持用キャリアを常に水平に維持しながら走行させることができる水平維持搬送コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この主の水平維持搬送コンベヤとして、特許文献１に記載されるように、センターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンにキャリアの前側中央部を上下揺動自在に連結支持させ、このキャリアの後ろ側左右２箇所を、前記センターガイドレールの左右両側に配設された左右一対のサイドガイドレールにそれぞれ車輪を介して支持案内するように構成されたフロアコンベヤが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００５−１８７１８７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
この種の水平維持搬送コンベヤでは、キャリアの前側中央部をコンベヤチエンの前後２つの支持用車輪に支持させることにより安定性と耐荷重性を高める必要があるが、特許文献１にも記載されるように、従来は両端に支持用車輪が軸支された１つのリンクからガイドレールの上方に突出する１つのフックを突設し、このフックにキャリアの前側中央部を上下揺動自在に軸支する程度のことが提案されているに過ぎない。
【０００５】
而して、特許文献１に開示された構成では、センターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンとして、一般的な軽負荷用コンベヤチエンをそのまま活用することができない。即ち、一般的な軽負荷用コンベヤチエンとして、左右一対のセンターリンクと上下一対のサイドリンクとを交互に上下方向及び左右水平方向に一定範囲内で相対揺動自在に連結し、少なくとも左右一対のセンターリンクには、この左右一対のセンターリンクを水平に貫通する左右水平支軸を利用して当該左右一対のセンターリンクの外側に支持用車輪を支承して成るコンベヤチエンが知られている。このコンベヤチエンは角筒状のガイドレール内に挿通され、当該角筒状のガイドレールには、前記支持用車輪を軸支する左右水平支軸を利用してセンターリンクに支持されたハンガーが貫通遊動するスリットが形成され、このスリットから突出する前記ハンガーを利用して被搬送物支持用キャリアが構成されるものであるから、この軽負荷用コンベヤチエンを水平維持搬送コンベヤのセンターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンとして利用しようとした場合、前記フックに相当する部材が固着突設された特殊なセンターリンクが必要になるばかりでなく、角筒状のガイドレール内に挿通されたコンベヤチエンの長さ方向任意の位置に後からキャリアを支持させることができない。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記のような問題点を解消することのできる水平維持搬送コンベヤを提案するものであって、請求項１に記載の本発明では、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、センターガイドレール９に支持案内されるコンベヤチエン８にキャリア１の前側中央部を上下揺動自在に連結支持させ、このキャリア１の後ろ側左右２箇所を、前記センターガイドレール９の左右両側に配設された左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂにそれぞれ車輪（自在車輪７ａ，７ｂ）を介して支持案内する水平維持搬送コンベヤにおいて、前記コンベヤチエン８のキャリア連結位置には、当該コンベヤチエン８の前後２つの支持用車輪１５で支持される台車部５を設け、この台車部５は、前記支持用車輪１５を軸支する左右水平支軸１７に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレール９から上方に突出する前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂと、センターガイドレール９の上側で両垂直支持部材１９ａ，１９ｂどうしを、これら両垂直支持部材１９ａ，１９ｂの前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材２０とから構成され、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４の下端部が、台車部５の前後方向連結部材２０に前後揺動自在に軸支された構成となっている。
【０００７】
コンベヤチエン８が、等間隔おきに位置する左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂと、このセンターリンク１２ａ，１２ｂを水平に貫通する左右水平支軸１７と、この左右水平支軸１７の両端に支持用車輪１５が、このコンベヤチエン８を挟むように左右一対取り付けられた構成である場合、請求項２に記載のように、台車部５の前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂは、前記左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂ間において前記左右水平支軸１７に前後から嵌合する逆向きの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇを下端部に備えると共に中間高さにおいて前後方向に開閉自在に軸支連結され且つ閉じ姿勢において上端部が互いに連結具２３により結合される左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂから構成し、台車部５の前後方向連結部材２０は、前記連結具２３により前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの上端部に連結された状態で当該前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂ間に嵌合して両垂直支持部材１９ａ，１９ｂの前後揺動を阻止するように構成することができる。
【０００８】
上記の場合、請求項３に記載のように、台車部５の前記前後方向連結部材２０は、前記連結具２３で連結される前後両端部に対して中央部が下方に凹入して低くなった側面視凹形に形成し、この前後方向連結部材２０の中央部にキャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４の下端部を前後揺動自在に軸支することができる。更に、請求項４に記載のように、台車部５の前後方向連結部材２０には、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂに隣接して当該垂直支持部材１９ａ，１９ｂの前後揺動を阻止している垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄに、隣接する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの側辺に外嵌して当該垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右横方向の揺れを防止する振れ止め用凹部２５を設けることができる。
【０００９】
又、請求項５に記載のように、台車部５の各垂直支持部材１９ａ，１９ｂを構成する左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂには、互いに隣接して開閉自在に軸支連結される中間高さ領域２１ｃと、互いに離間して間に前後方向連結部材２０を挟んだ状態で当該前後方向連結部材２０を熟視する連結具２３により互いに連結される上端部２１ｄと、互いに離間して左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂの内側に隣接する下端部２１ｅを設け、前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄは、隣接する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂが互いに重なる中間高さ領域２１ｃに隣接するようにし、前記振れ止め用凹部２５は、前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄの下端に設けて、垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂが互いに重なる中間高さ領域２１ｃに外嵌するように構成することができる。
【００１０】
又、請求項６に記載のように、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４は、キャリア１の前側中央部から垂下する上側支柱本体２６と、この上側支柱本体２６の下端に当該上側支柱本体２６と同心状の垂直軸心の周りに相対回転自在に連結された下側部材２７とから構成し、この下側部材２７に台車部５の前後方向連結部材２０に外嵌して軸支される二股部２７ａを形成することができる。
【００１１】
又、請求項７に記載のように、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４には、その中間高さ位置に、垂直軸心の周りに相対回転自在な振れ止め用ローラー２８を軸支し、この振れ止め用ローラー２８と係合する振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを架設することができる。この場合、振れ止め用ローラー２８は垂直支柱部材４の横側方に配設することもできるし、振れ止め用ローラーとして垂直軸で軸支された左右一対のローラーを使用し、この左右一対のローラー間で挟まれる１つの振れ止め用ガイドレールを架設することも可能であるが、請求項８に記載のように、前記振れ止め用ローラー２８は、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４に同心状に設けられた垂直軸部２６ｃに支承し、この振れ止め用ローラー２８を挟むように左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを架設することができる。
【００１２】
上記のように振れ止め用ガイドレールレール１１ａ，１１ｂを併用する場合、請求項９に記載のように、キャリア１の後ろ側左右２箇所から垂下する左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂを設け、この左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に前記車輪（自在車輪７ａ，７ｂ）をそれぞれ軸支し、搬送経路中の下り勾配経路部に架設された前記振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂが前記左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂ間を通るように構成することができる。
【００１３】
更に、請求項１０に記載のように、キャリア１の後ろ側左右２箇所の前記車輪として、垂直軸心の周りに回転自在なフォーク２９ａに車輪２９ｂが軸支された自在車輪７ａ，７ｂを使用し、この自在車輪７ａ，７ｂがキャリア１の前進方向に対して後方に偏心した一定範囲内の追従姿勢に保持する向き規制手段３０を併設することができる。この場合、請求項１１に記載のように、前記向き規制手段３０は、前記自在車輪７ａ，７ｂの一側方に隣り合う位置で当該自在車輪７ａ，７ｂをそれぞれ支持するサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの側辺に隣接して垂直軸心の周りに回転する位置決め用ローラー３２と、前記自在車輪７ａ，７ｂの他側方に隣り合う位置に配設されたストッパー３１とで構成することができる。
【発明の効果】
【００１４】
請求項１に記載の本発明の構成によれば、キャリアの前側中央部を支持して牽引するコンベヤチエン側の台車部を、コンベヤチエンの支持用車輪を軸支する左右水平支軸に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出する前後一対の垂直支持部材と、センターガイドレールの上側で両垂直支持部材どうしを、これら両垂直支持部材の前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材とから構成されるものであるから、コンベヤチエンそのものは、等間隔おきに支持用車輪が左右水平支軸で軸支されたコンベヤチエンでありさえすれば、従来周知のコンベヤチエンをそのまま活用することができる。そしてこのコンベヤチエンの支持用車輪を軸支している前後２つの左右水平支軸に対して、下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出する前後一対の垂直支持部材を準備するだけで、センターガイドレールに支持されているコンベヤチエンの任意の位置に後から台車部を組み付けることができるので、水平維持搬送コンベヤチエンを非常に簡単且つ安価に実施することができる。
【００１５】
特に請求項２に記載の構成によれば、従来周知の軽負荷用トロリーコンベヤのコンベヤチエンとこれに吊り下げられるハンガーを活用して構成できる。即ち、従来周知の軽負荷用トロリーコンベヤのコンベヤチエンは、等間隔おきに位置する左右一対のセンターリンクに、この左右一対のセンターリンクを水平に貫通する左右水平支軸により当該左右一対のセンターリンクを挟むように左右一対の支持用車輪が軸支されており、角筒状のガイドレールに挿通された当該コンベヤチエンの任意の位置にある前記左右水平支軸に、左右一対のセンターリンク間において、被搬送物吊下げ用ハンガーが吊り下げられるものであり、当該ハンガーは、左右一対のセンターリンク間において当該左右水平支軸に前後から嵌合する逆向きの嵌合凹部を上端部に備えると共に中間高さにおいて前後方向に開閉自在に軸支連結され且つ下端部が閉じ姿勢で互いに連結具により結合される左右一対の垂直板材から成るものである。
【００１６】
而して、請求項２に記載の構成によれば、この軽負荷用トロリーコンベヤのコンベヤチエンとこれに吊り下げられるハンガーを上下逆向きで配置し、前記ハンガーに相当する垂直支持部材を、前後方向に隣り合う前後一対の前記支持用車輪の左右水平支軸にそれぞれ支持させ、これら前後一対の垂直支持部材間に前後方向連結部材を架設して台車部を構成し、この台車部の前後方向連結部材にキャリアの前側中央部を上下揺動自在に連結支持させることにより、特許文献１に記載されたような水平維持搬送コンベヤにおけるキャリアの前側中央部を支持して牽引する駆動部分を構成するのであるが、このとき本発明では、前後一対の垂直支持部材どうしを連結する前後方向連結部材により、それぞれ前記左右水平支軸の周りに前後揺動自在であった前後一対の垂直支持部材の前後揺動を阻止することにより、キャリアを支持する前後方向連結部材の位置と姿勢が決まり、実用可能なコンベヤを構成することができるに至ったのである。
【００１７】
しかしながらその反面、従来周知の軽負荷用トロリーコンベヤにおけるハンガー、即ち、本発明における台車部を構成する前後一対の垂直支持部材は、中間高さ位置に左右一対の垂直板材の開閉支点となる軸支部を備えると共に上端部において両垂直板材どうしを連結具により結合する構造から、長さ（高さ）の大きなものとなり、このような垂直支持部材を前後一対配設し、両垂直支持部材間で前後方向連結部材を架設することにより、キャリアの前側中央部を支持する台車部を構成しょうとすると、この台車部のセンターガイドレールからの高さが高くなり、延いてはキャリアそのものの高さが高くなって安定性の面で問題が生じるところであるが、請求項３に記載の構成によれば、前後一対の垂直支持部材の高さが、従来の軽負荷用トロリーコンベヤにおけるハンガーを上下逆向きにしてそのまま垂直支持部材に転用した結果として高くなっても、換言すれば、当該垂直支持部材の高さを高くして、左右一対の垂直板材の中間軸支部と上端連結部との間の距離を十分にとって、垂直支持部材とコンベヤチエン側の左右水平支軸との結合強度を高めると共に左右一対の垂直板材の上端部を連結具で連結するときの作業性を良くしながら、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材と台車部の前後方向連結部材との軸支点をセンターガイドレールに接近するように低くし、キャリアの高さを低くして安定性を向上させることができる。
【００１８】
尚、請求項４や請求項５に記載の構成によれば、仮に前後一対の垂直支持部材が上記のように長さ（高さ）の大きくなるものであっても、当該垂直支持部材の左右横方向の揺れを規制できるので、キャリアの安定性を一層向上させることができる。
【００１９】
又、請求項６に記載の構成によれば、搬送経路中の水平曲がり経路部でのキャリアの走行を可能にするために、前後方向連結部材とキャリアとの間に必要な垂直軸心の周りの相対回転自在部を、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材の下端部に必要な二股部を備えた下側部材と、キャリアの前側中央部から垂下する上側支柱本体との間の連結構造部で構成することができ、この連結構造部とは別に、前記上側支柱本体の上端とキャリアとの間の連結構造部に垂直軸心の周りの相対回転自在部を構成する場合と比較して構造が簡単になる。
【００２０】
更に、請求項７に記載の構成によれば、搬送経路中の上り下りの勾配経路部の傾斜角度を大きくするために台車部とキャリアの前側中央部とを連結する垂直支柱部材の高さが高くなっても、当該垂直支柱部材の左右横方向の揺れを防止して、キャリアの安定性を高め、搬送の安全性を高めることができる。この場合、請求項８に記載の構成によれば、振れ止め用ローラーがキャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材に同心状に組み込まれることになり、当該垂直支柱部材の左右横方向の揺れを効果的に防止できると共に、キャリア側の小型化も図ることができる。更に、請求項９に記載の構成によれば、上り下りの勾配経路部でキャリアと振れ止め用ガイドレールとが干渉するのを防止するために、センターガイドレールからのキャリアの高さを不当に高くする必要がなくなり、センターガイドレールからのキャリアの高さを低く抑えて走行の安定性と搬送の安全性を高めることができる。
【００２１】
又、請求項１０に記載の構成によれば、キャリアの後ろ側左右２つの車輪が自在車輪となることから、キャリアの走行を円滑に行わせることができ、しかも下り勾配経路部などで自在車輪が、本来の追従姿勢、即ち、自在車輪がキャリアの前進方向に対して後方に偏心した追従姿勢とは逆の、キャリアの前進方向側に偏心した姿勢に変化することを防止でき、下り勾配経路部などでも円滑に走行させることができる。この場合、請求項１１に記載の構成によれば、自在車輪がキャリアの前進方向に対して後方に偏心した一定範囲内の追従姿勢に保持する向き規制手段の一部を、サイドガイドレールの側辺に隣接して垂直軸心の周りに回転する位置決め用ローラーで兼用させることができ、構造を簡単にしてコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】コンベヤの一部切欠き側面図である。
【図２】コンベヤの縦断背面図である。
【図３】コンベヤのキャリアより下側の構成を示す横断平面図である。
【図４】Ａ図は上り勾配経路部でのコンベヤを示す側面図、Ｂ図は下り勾配経路部でのコンベヤを示す側面図である。
【図５】コンベヤチエンと台車部とを示す一部縦断側面図である。
【図６】コンベヤチエンを示す一部横断平面図である。
【図７】コンベヤチエンと台車部とを示す一部縦断正面図である。
【図８】台車部を示す一部横断平面図である。
【図９】台車部を構成する垂直支柱部材を展開状態で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図に基づいて説明すると、キャリア１は、水平基板２の上にワーク支持部を上端側に備えたワーク支持柱３を立設したもので、水平基板２の前側中央部から下向きに固着されて垂下する垂直支柱部材４が台車部５に支持され、水平基板２の後端左右両角部から下向きに固着されて垂下する左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に自在車輪７ａ，７ｂが取り付けられている。
【００２４】
キャリア１の走行経路には、キャリア１の台車部５を前進駆動するコンベヤチエン８が内装された１本のセンターガイドレール９と、キャリア１の左右一対の自在車輪７ａ，７ｂが転動するアングル材利用の左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂと、キャリア１の垂直支柱部材４の左右両側に並列配置された左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂとが架設されている。図１及び図２に示すように、水平経路部では、センターガイドレール９とキャリア１の水平基板２との中間高さに、左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂと左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂとがほど同一レベルで架設されている。
【００２５】
コンベヤチエン８は、従来周知のものであって、図５及び図６に示すように、左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂと上下一対のサイドリンク１３ａ，１３ｂとが、十字形連結ピンユニット１４によって上下方向と水平方向とに一定範囲内でそれぞれ相対揺動自在に交互に連結され、各センターリンク１２ａ，１２ｂには、その長さ方向の中央位置で左右一対の支持用車輪１５が軸支され、各サイドリンク１３ａ，１３ｂには、その長さ方向の中央位置で各１つのガイドローラー１６が軸支されている。更に詳述すると、左右一対の支持用車輪１５は、左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂを水平に貫通する１本の左右水平支軸１７の両端に、各センターリンク１２ａ，１２ｂの外側に位置するように取り付けられ、ガイドローラー１６は、上下一対のサイドリンク１３ａ，１３ｂ間に架設された１本の垂直支軸１８に、両サイドリンク１３ａ，１３ｂ間において取り付けられている。センターガイドレール９は、上側中央部に長さ方向に沿って連続するスリット状開口部９ａを備えた角筒状のものであって、このセンターガイドレール９の中に挿通されたコンベヤチエン８は、その左右一対の支持用車輪１５がセンターガイドレール９の底板部９ｂとスリット状開口部９ａの左右両側の天板部９ｃとの間に転動自在に嵌合すると共に、各ガイドローラー１６がセンターガイドレール９の左右両側板部９ｄ，９ｅ間に転動自在に嵌合して、上下左右両方向に大きな遊びのない状態でセンターガイドレール９内を、図外の駆動手段により牽引されて移動する。
【００２６】
台車部５は、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂと、この垂直支持部材１９ａ，１９ｂ間に架設された前後方向連結部材２０とで構成されている。各垂直支持部材１９ａ，１９ｂは同一構造のものであって、図９にも示すように、左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂを重ねて中間高さ位置で左右水平方向の支軸２２により連結一体化し、当該支軸２２の周りで両垂直板材２１ａ，２１ｂを前後に開閉自在に構成したものである。この左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂは、支軸２２で互いに連結される中間高さ領域は互いに隣接しているが、この重なり合った中間高さ領域２１ｃから上方の上端部２１ｄと下方の下端部２１ｅとは、図７に示すように互いに平行に且つ左右対称に離間している。更に、上端部２１ｄでは、左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂの内側面が、図７及び図８に示すように、横断面で幅方向の中央部が内側に突出する突曲面に形成されている。又、左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅには、その互いに逆位置にある側辺から支軸２２を円弧中心とする円弧形に切り込み形成された、互いに逆向きの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇが設けられている。
【００２７】
台車部５の前後方向連結部材２０は、前後両端部に対して中央部が下方に凹入して低くなった側面視凹形に形成された垂直板材から形成されたもので、垂直で互いに平行な前後両側辺２０ｃ，２０ｄの上端からそれぞれ外向きに突出する軸受け部２０ａ，２０ｂが設けられ、この軸受け部２０ａ，２０ｂが各垂直支持部材１９ａ，１９ｂにおける垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄ間に嵌合する状態で、各軸受け部２０ａ，２０ｂとこれを挟む垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄとが左右水平向きのボルトナットなど連結具２３により連結される。尚、前後方向連結部材２０の各軸受け部２０ａ，２０ｂに設けられた、連結具２３が挿通される連結孔２３ａが、図５に示すように前後方向の長孔に形成されていることと、垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側突曲面が前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂの左右両側面に隣接することにより、前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂと前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂとは、連結具２３の周りで垂直面に沿って相対揺動できるだけでなく、連結孔２３ａの長さの範囲内での前後水平方向の相対移動と、垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側突曲面が前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂの両側面に当接する範囲内での、平面視における垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中央垂直軸心の周りの相対的な水平揺動が可能に構成されている。
【００２８】
前後方向連結部材２０の前後両側辺２０ｃ，２０ｄの下端には、それぞれ前後外向きに突出する水平板材２４ａ，２４ｂが固着され、これら両水平板材２４ａ，２４ｂには、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中間高さ領域２１ｃに対して外嵌する振れ止め用凹部２５が形成されている。勿論、この振れ止め用凹部２５とこれに嵌合する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中間高さ領域２１ｃ（互いに重なった垂直板材２１ａ，２１ｂ）との間には、垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側面が突曲面に形成されていることによる垂直支持部材１９ａ，１９ｂと前後方向連結部材２０との間の、平面視における垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中央垂直軸心の周りの相対的な水平揺動を許すための遊び空隙が確保されている。
【００２９】
キャリア１の水平基板２の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４は、当該水平基板２の前側中央部に上端が固着された円柱状の上側支柱本体２６と、この上側支柱本体２６の下端に連設された小径の下端垂直軸部２６ａに、当該上側支柱本体２６と同心状の垂直軸心の周りに相対回転自在に連結された下側部材２７とから構成され、この下側部材２７には、下向きに開放された二股部２７ａが形成されている。尚、下側部材２７には、二股部２７ａの上側で直径方向に貫通する横孔部２７ｂが形成され、この横孔部２７ｂ内に突出する上側支柱本体２６の下端垂直軸部２６ａの下端部に、当該横孔部２７ｂを利用して抜け止め座金２６ｂが取り付けられている。更に、上側支柱本体２６には、その下端垂直軸部２６ａの上側で中間径の中間垂直軸部２６ｃが同心状に形成され、下側部材２７が取り付けられる前に当該中間垂直軸部２６ｃに振れ止め用ローラー２８が嵌合され、当該振れ止め用ローラー２８が、下側部材２７により支持される状態で、上側支柱本体２６と同心状の垂直軸心の周りに相対回転できるように構成されている。尚、図７に示すように、振れ止め用ローラー２８は上側支柱本体２６よりも大径であり、下側部材２７の左右横幅は振れ止め用ローラー２８の直径より十分に小さいので、垂直支柱部材４の左右両側に並列状に架設された左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂ間に当該振れ止め用ローラー２８を、微小間隙を隔てて遊嵌させることができる。
【００３０】
キャリア１が備える左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に取り付けられた左右一対の自在車輪７ａ，７ｂは、垂直軸心の周りに回転自在なフォーク２９ａの先端に車輪２９ｂを軸支したものであって、平面視において当該車輪２９ｂの中心がフォーク２９ａの回転軸心に対して偏心しているように構成されたものである。従って、キャリア１が走行するとき、自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）は、サイドガイドレール１０ａ，１０ｂとの間の摩擦抵抗により、キャリア１の前進方向に対して真後ろに偏心した追従姿勢を自動的にとってサイドガイドレール１０ａ，１０ｂ上を転動移動することになるが、このときの自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）が前記追従姿勢から左右に一定範囲を超えてフォーク２９ａの回転軸心の周りで首振り運動するのを防止するための向き規制手段３０が併設されている。この向き規制手段３０は、自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）が前記追従姿勢から外側へ首振り運動するのを制限する垂直軸状のストッパー３１と、自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）が前記追従姿勢から内側へ首振り運動するのを制限する位置決め用ローラー３２とから構成されている。
【００３１】
図２に示すように、垂直軸状のストッパー３１は、キャリア１が備える左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に垂直軸体の上端を固着して構成されている。又、位置決め用ローラー３２は、左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に上端が固着されて垂下する垂直軸杆３３に垂直軸心の周りに回転自在に取り付けられた縦長のローラーから成り、この位置決め用ローラー３２が左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの内側辺に隣接することにより、キャリア１の後端部の左右横方向の位置を規制するように構成されている。尚、位置決め用ローラー３２を支承する垂直軸杆３３の下端には、外側に隣り合う各サイドガイドレール１０ａ，１０ｂの下側に入り込んで、キャリア１の後端部が許容範囲を超えて浮き上がるのをサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの下側面に当接して防止する浮き上がり防止片３４が突設されている。
【００３２】
以上のように構成されたコンベヤの台車部５の組付け方法について説明すると、センターガイドレール９内に挿通されたコンベヤチエン８の台車部構成位置において、前後に隣り合う２本の左右水平支軸１７、即ち、一組のサイドリンク１３ａ，１３ｂを隔てて前後に隣り合う各左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂに左右一対の支持用車輪１５を軸支している前後２本の左右水平支軸１７に、それぞれ台車部５の垂直支持部材１９ａ，１９ｂを取り付ける。即ち、各垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂを、図９に示すように支軸２２の周りに前後に開動させる。そして各垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅを左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂ間で左右水平支軸１７の前後両側に差し込んだ状態で、両垂直板材２１ａ，２１ｂを支軸２２の周りに閉動させることにより、各垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇ間で左右水平支軸１７を挟持させる。このとき垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅの外側面が左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂの内側面に隣接するように、当該下端部２１ｅ間の間隔が設定されている。
【００３３】
上記のように各垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇ間で左右水平支軸１７を挟持させることにより、両垂直板材２１ａ，２１ｂが互いに重なって１本の垂直支持部材１９ａ，１９ｂを形成したとき、両垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの連結孔２３ｂが同心状に合致するので、この状態の両垂直支持部材１９ａ，１９ｂにおける垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄ間に前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂを嵌合させ、連結孔２３ａ，２３ｂに挿通させた連結具２３により互いに連結一体化する。以上で台車部５がコンベヤチエン８に連結されたことになるが、このとき前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂがコンベヤチエン８側の左右水平支軸１７の周りで前後方向に揺動することは、連結具２３を介してこの前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの上端部どうしを連結している前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄが垂直支持部材１９ａ，１９ｂの側辺（垂直板材２１ａ，２１ｂの中間高さ領域２１ｃの側辺）に隣接していることにより阻止され、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂはセンターガイドレール９から垂直に起立する平行姿勢に保持されている。即ち、前後２つの左右水平支軸１７と前後２つの連結具２３が側面視で長方形の四隅に位置する形状で台車部５が安定している。又このとき、前後方向連結部材２０の下側辺は、センターガイドレール９に接近して当該センターガイドレール９とほぼ平行に位置している。
【００３４】
コンベヤチエン８に台車部５が組付けられたならば、左右一対の自在車輪７ａ，７ｂの内側に隣り合う各位置決め用ローラー３２を左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの内側辺に隣接させるようにして、左右一対の自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）を左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂ上に載置して、キャリア１の後端部を左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂで支持させ、このキャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４を、左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂ間を経由させて台車部５の真上位置に下ろす。そして当該垂直支柱部材４の下端二股部、即ち、下側部材２７の二股部２７ａを台車部５の前後方向連結部材２０の下向きに凹入した凹入部中央位置に嵌合させ、この垂直支柱部材４の下端二股部２７ａを前後方向連結部材２０に左右水平向きの支軸３５により軸支して、垂直支柱部材４が前後に揺動できるように（キャリア１が上下に揺動できるように）、キャリア１の前側中央部を台車部５に垂直支柱部材４を介して連結する。このときキャリア１の水平基板２がほぼ水平姿勢となり、垂直支柱部材４と左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂは垂直に起立し、垂直支柱部材４の中間高さに組み込まれている振れ止め用ローラー２８が左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂ間に位置し、そして垂直支柱部材４と台車部５の前後方向連結部材２０との軸支点（支軸３５）が、この台車部５の前後方向連結部材２０と前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂとの軸支点（連結具２３）の高さより低く、センターガイドレール９に接近した位置にあるように、構成されている。
【００３５】
以上のようにして組み立てられた本発明のコンベヤにおいて、コンベヤチエン８をセンターガイドレール９内でキャリア１の前進方向に牽引駆動すれば、当該コンベヤチエン８と一体に走行する台車部５に前側中央部が連結されているキャリア１が、センターガイドレール９と左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂとに支持案内されながら、コンベヤチエン８と一体に走行することになる。従って、キャリア１のワーク支持柱３に支持させたワークをキャリア１の走行経路、即ち、搬送経路に沿って搬送することができる。ワーク支持柱３は、塗装作業空間や乾燥作業空間の底部に搬送経路と平行に形成されたスリット状開口を通じて起立させることにより、当該ワーク支持柱３の上端側に支持させたワークをして前記塗装作業空間内や乾燥作業空間内で移動させることができる。尚、ワーク支持柱３を垂直軸心の周りに自転可能に構成し、このワーク支持柱３を搬送経路の適所において自動的に回転させて、ワークの向きを変化させるワーク支持柱回転駆動機構を組み込むことができる。
【００３６】
コンベヤチエン８は水平方向に曲がることができる構造であるから、上記コンベヤの搬送経路中には、センターガイドレール９、サイドガイドレール１０ａ，１０ｂ、及び振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを許容範囲内で水平に曲げて水平曲がり経路部を構成することができる。この水平曲がり経路部では、キャリア１側の垂直支柱部材４における上側支柱本体２６の下端垂直軸部２６ａと下側部材２７との間の垂直軸心周りの回転と、後側の左右一対の振れ止め用ローラー２８がサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの水平曲がりに追従することにより、キャリア１は当該水平曲がり経路部を円滑に走行することができる。尚、台車部５の前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂは、左右水平支軸１７を介してこれら垂直支持部材１９ａ，１９ｂを支持しているセンターリンク１２ａ，１２ｂが水平曲がり経路部に沿って水平方向に傾くことに連動して、平面視において、垂直支持部材１９ａ，１９ｂの側面が水平曲がり経路部の円弧中心に面するように傾動することになるが、この垂直支持部材１９ａ，１９ｂの傾動は、当該垂直支持部材１９ａ，１９ｂを構成する垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側突曲面と、前後方向連結部材２０側の振れ止め用凹部２５との間の遊び間隙によって許容される。
【００３７】
又、上記コンベヤの搬送経路中には、図４に示すように、センターガイドレール９、サイドガイドレール１０ａ，１０ｂ、及び振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを傾斜させて、上り下りの勾配経路部を組み込むことができる。この上り勾配経路部をキャリア１が走行するときは、図４Ａに示すように、前上がりに傾斜して走行する台車部５に対しキャリア１側の垂直支柱部材４が支軸３５の周りで前方に傾倒するが、対地的には垂直支柱部材４及び左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂが垂直に起立して水平基板２が水平姿勢を維持するように、上り勾配経路部でのセンターガイドレール９とサイドガイドレール１０ａ，１０ｂとの間の側面視における間隔が設定される。
【００３８】
下り勾配経路部をキャリア１が走行するときは、図４Ｂに示すように、前下がりに傾斜して走行する台車部５に対しキャリア１側の垂直支柱部材４が支軸３５の周りで後方に傾倒するが、対地的には垂直支柱部材４及び左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂが垂直に起立して水平基板２が水平姿勢を維持するように、下り勾配経路部でのセンターガイドレール９とサイドガイドレール１０ａ，１０ｂとの間の側面視における間隔が設定される。勿論、振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂは、上り勾配経路部及び下り勾配経路部の何れにおいても、垂直支柱部材４に組み込まれている振れ止め用ローラー２８を左右両側から挟むように位置が設定されるが、振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂは、平面視においてキャリア１の水平基板２の下側を通る位置にあるので、当該振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂがキャリア１の水平基板２の前後両端部と干渉しない範囲内で、上り下りの勾配経路部の傾斜角度が設定される。尚、図４Ｂに示すように、下り勾配経路部では、振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂは、左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂ間を通ることになる。
【００３９】
尚、本発明を実施する場合、台車部５を構成する前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの構造や、コンベヤチエン８の前後２つの支持用車輪１５を軸支する左右水平支軸１７に対する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの取り付け構造、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂに対する前後方向連結部材２０の連結構造は、上記実施形態のものに限定されない。要するに、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂは、コンベヤチエン８の前後２つの支持用車輪１５を軸支する左右水平支軸１７に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に嵌合支持されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出するものであれば、如何なる構造のものであっても良い。例えば、１本の部材から成る前後一対の垂直支持部材の下端に、前後２本の左右水平支軸１７に対して、両左右水平支軸１７間の内側から外向きに嵌合する嵌合凹部を形成したものであっても、両垂直支持部材の上端部に連結具２３で連結された前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄを両垂直支持部材に隣接させることにより、上記実施形態で示した台車部５と実質的に同一の台車部５を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【００４０】
本発明の水平維持搬送コンベヤは、上り下りの勾配経路部においてもキャリアを水平状態に維持させることができるものであるから、当該キャリアに支持されるワークの高さを区間ごとに変える必要のある塗装ラインや乾燥ラインなどにおいて、比較的軽量のワークを搬送するコンベヤとして活用できる。
【符号の説明】
【００４１】
１ キャリア
２ 水平基板
３ ワーク支持柱
４ 垂直支柱部材
５ 台車部
６ 後側支柱部材
７ａ，７ｂ 自在車輪
８ コンベヤチエン
９ センターガイドレール
１０ａ，１０ｂ サイドガイドレール
１１ａ，１１ｂ 振れ止め用ガイドレール
１２ａ，１２ｂ センターリンク
１３ａ，１３ｂ サイドリンク
１４ 十字形連結ピンユニット
１５ 支持用車輪
１６ ガイドローラー
１７ 左右水平支軸
１８ 垂直支軸
１９ａ，１９ｂ 垂直支持部材
２０ 前後方向連結部材
２０ａ，２０ｂ 軸受け部
２１ａ，２１ｂ 垂直板材
２１ｆ，２１ｇ 嵌合凹部
２２，３５ 支軸
２３ 連結具
２４ａ，２４ｂ 水平板材
２５ 振れ止め用凹部
２６ 上側支柱本体
２６ａ 下端垂直軸部
２６ｂ 抜け止め座金
２６ｃ 中間垂直軸部
２７ 下側部材
２７ａ 二股部
２８ 振れ止め用ローラー
３０ 向き規制手段
３１ ストッパー
３２ 位置決め用ローラー
３４ 浮き上がり防止片
【技術分野】
【０００１】
本発明は、上り下りの勾配経路部が存在する搬送経路において、被搬送物支持用キャリアを常に水平に維持しながら走行させることができる水平維持搬送コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この主の水平維持搬送コンベヤとして、特許文献１に記載されるように、センターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンにキャリアの前側中央部を上下揺動自在に連結支持させ、このキャリアの後ろ側左右２箇所を、前記センターガイドレールの左右両側に配設された左右一対のサイドガイドレールにそれぞれ車輪を介して支持案内するように構成されたフロアコンベヤが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００５−１８７１８７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
この種の水平維持搬送コンベヤでは、キャリアの前側中央部をコンベヤチエンの前後２つの支持用車輪に支持させることにより安定性と耐荷重性を高める必要があるが、特許文献１にも記載されるように、従来は両端に支持用車輪が軸支された１つのリンクからガイドレールの上方に突出する１つのフックを突設し、このフックにキャリアの前側中央部を上下揺動自在に軸支する程度のことが提案されているに過ぎない。
【０００５】
而して、特許文献１に開示された構成では、センターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンとして、一般的な軽負荷用コンベヤチエンをそのまま活用することができない。即ち、一般的な軽負荷用コンベヤチエンとして、左右一対のセンターリンクと上下一対のサイドリンクとを交互に上下方向及び左右水平方向に一定範囲内で相対揺動自在に連結し、少なくとも左右一対のセンターリンクには、この左右一対のセンターリンクを水平に貫通する左右水平支軸を利用して当該左右一対のセンターリンクの外側に支持用車輪を支承して成るコンベヤチエンが知られている。このコンベヤチエンは角筒状のガイドレール内に挿通され、当該角筒状のガイドレールには、前記支持用車輪を軸支する左右水平支軸を利用してセンターリンクに支持されたハンガーが貫通遊動するスリットが形成され、このスリットから突出する前記ハンガーを利用して被搬送物支持用キャリアが構成されるものであるから、この軽負荷用コンベヤチエンを水平維持搬送コンベヤのセンターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンとして利用しようとした場合、前記フックに相当する部材が固着突設された特殊なセンターリンクが必要になるばかりでなく、角筒状のガイドレール内に挿通されたコンベヤチエンの長さ方向任意の位置に後からキャリアを支持させることができない。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記のような問題点を解消することのできる水平維持搬送コンベヤを提案するものであって、請求項１に記載の本発明では、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、センターガイドレール９に支持案内されるコンベヤチエン８にキャリア１の前側中央部を上下揺動自在に連結支持させ、このキャリア１の後ろ側左右２箇所を、前記センターガイドレール９の左右両側に配設された左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂにそれぞれ車輪（自在車輪７ａ，７ｂ）を介して支持案内する水平維持搬送コンベヤにおいて、前記コンベヤチエン８のキャリア連結位置には、当該コンベヤチエン８の前後２つの支持用車輪１５で支持される台車部５を設け、この台車部５は、前記支持用車輪１５を軸支する左右水平支軸１７に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレール９から上方に突出する前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂと、センターガイドレール９の上側で両垂直支持部材１９ａ，１９ｂどうしを、これら両垂直支持部材１９ａ，１９ｂの前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材２０とから構成され、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４の下端部が、台車部５の前後方向連結部材２０に前後揺動自在に軸支された構成となっている。
【０００７】
コンベヤチエン８が、等間隔おきに位置する左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂと、このセンターリンク１２ａ，１２ｂを水平に貫通する左右水平支軸１７と、この左右水平支軸１７の両端に支持用車輪１５が、このコンベヤチエン８を挟むように左右一対取り付けられた構成である場合、請求項２に記載のように、台車部５の前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂは、前記左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂ間において前記左右水平支軸１７に前後から嵌合する逆向きの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇを下端部に備えると共に中間高さにおいて前後方向に開閉自在に軸支連結され且つ閉じ姿勢において上端部が互いに連結具２３により結合される左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂから構成し、台車部５の前後方向連結部材２０は、前記連結具２３により前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの上端部に連結された状態で当該前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂ間に嵌合して両垂直支持部材１９ａ，１９ｂの前後揺動を阻止するように構成することができる。
【０００８】
上記の場合、請求項３に記載のように、台車部５の前記前後方向連結部材２０は、前記連結具２３で連結される前後両端部に対して中央部が下方に凹入して低くなった側面視凹形に形成し、この前後方向連結部材２０の中央部にキャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４の下端部を前後揺動自在に軸支することができる。更に、請求項４に記載のように、台車部５の前後方向連結部材２０には、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂに隣接して当該垂直支持部材１９ａ，１９ｂの前後揺動を阻止している垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄに、隣接する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの側辺に外嵌して当該垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右横方向の揺れを防止する振れ止め用凹部２５を設けることができる。
【０００９】
又、請求項５に記載のように、台車部５の各垂直支持部材１９ａ，１９ｂを構成する左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂには、互いに隣接して開閉自在に軸支連結される中間高さ領域２１ｃと、互いに離間して間に前後方向連結部材２０を挟んだ状態で当該前後方向連結部材２０を熟視する連結具２３により互いに連結される上端部２１ｄと、互いに離間して左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂの内側に隣接する下端部２１ｅを設け、前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄは、隣接する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂが互いに重なる中間高さ領域２１ｃに隣接するようにし、前記振れ止め用凹部２５は、前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄの下端に設けて、垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂが互いに重なる中間高さ領域２１ｃに外嵌するように構成することができる。
【００１０】
又、請求項６に記載のように、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４は、キャリア１の前側中央部から垂下する上側支柱本体２６と、この上側支柱本体２６の下端に当該上側支柱本体２６と同心状の垂直軸心の周りに相対回転自在に連結された下側部材２７とから構成し、この下側部材２７に台車部５の前後方向連結部材２０に外嵌して軸支される二股部２７ａを形成することができる。
【００１１】
又、請求項７に記載のように、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４には、その中間高さ位置に、垂直軸心の周りに相対回転自在な振れ止め用ローラー２８を軸支し、この振れ止め用ローラー２８と係合する振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを架設することができる。この場合、振れ止め用ローラー２８は垂直支柱部材４の横側方に配設することもできるし、振れ止め用ローラーとして垂直軸で軸支された左右一対のローラーを使用し、この左右一対のローラー間で挟まれる１つの振れ止め用ガイドレールを架設することも可能であるが、請求項８に記載のように、前記振れ止め用ローラー２８は、キャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４に同心状に設けられた垂直軸部２６ｃに支承し、この振れ止め用ローラー２８を挟むように左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを架設することができる。
【００１２】
上記のように振れ止め用ガイドレールレール１１ａ，１１ｂを併用する場合、請求項９に記載のように、キャリア１の後ろ側左右２箇所から垂下する左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂを設け、この左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に前記車輪（自在車輪７ａ，７ｂ）をそれぞれ軸支し、搬送経路中の下り勾配経路部に架設された前記振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂが前記左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂ間を通るように構成することができる。
【００１３】
更に、請求項１０に記載のように、キャリア１の後ろ側左右２箇所の前記車輪として、垂直軸心の周りに回転自在なフォーク２９ａに車輪２９ｂが軸支された自在車輪７ａ，７ｂを使用し、この自在車輪７ａ，７ｂがキャリア１の前進方向に対して後方に偏心した一定範囲内の追従姿勢に保持する向き規制手段３０を併設することができる。この場合、請求項１１に記載のように、前記向き規制手段３０は、前記自在車輪７ａ，７ｂの一側方に隣り合う位置で当該自在車輪７ａ，７ｂをそれぞれ支持するサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの側辺に隣接して垂直軸心の周りに回転する位置決め用ローラー３２と、前記自在車輪７ａ，７ｂの他側方に隣り合う位置に配設されたストッパー３１とで構成することができる。
【発明の効果】
【００１４】
請求項１に記載の本発明の構成によれば、キャリアの前側中央部を支持して牽引するコンベヤチエン側の台車部を、コンベヤチエンの支持用車輪を軸支する左右水平支軸に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出する前後一対の垂直支持部材と、センターガイドレールの上側で両垂直支持部材どうしを、これら両垂直支持部材の前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材とから構成されるものであるから、コンベヤチエンそのものは、等間隔おきに支持用車輪が左右水平支軸で軸支されたコンベヤチエンでありさえすれば、従来周知のコンベヤチエンをそのまま活用することができる。そしてこのコンベヤチエンの支持用車輪を軸支している前後２つの左右水平支軸に対して、下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出する前後一対の垂直支持部材を準備するだけで、センターガイドレールに支持されているコンベヤチエンの任意の位置に後から台車部を組み付けることができるので、水平維持搬送コンベヤチエンを非常に簡単且つ安価に実施することができる。
【００１５】
特に請求項２に記載の構成によれば、従来周知の軽負荷用トロリーコンベヤのコンベヤチエンとこれに吊り下げられるハンガーを活用して構成できる。即ち、従来周知の軽負荷用トロリーコンベヤのコンベヤチエンは、等間隔おきに位置する左右一対のセンターリンクに、この左右一対のセンターリンクを水平に貫通する左右水平支軸により当該左右一対のセンターリンクを挟むように左右一対の支持用車輪が軸支されており、角筒状のガイドレールに挿通された当該コンベヤチエンの任意の位置にある前記左右水平支軸に、左右一対のセンターリンク間において、被搬送物吊下げ用ハンガーが吊り下げられるものであり、当該ハンガーは、左右一対のセンターリンク間において当該左右水平支軸に前後から嵌合する逆向きの嵌合凹部を上端部に備えると共に中間高さにおいて前後方向に開閉自在に軸支連結され且つ下端部が閉じ姿勢で互いに連結具により結合される左右一対の垂直板材から成るものである。
【００１６】
而して、請求項２に記載の構成によれば、この軽負荷用トロリーコンベヤのコンベヤチエンとこれに吊り下げられるハンガーを上下逆向きで配置し、前記ハンガーに相当する垂直支持部材を、前後方向に隣り合う前後一対の前記支持用車輪の左右水平支軸にそれぞれ支持させ、これら前後一対の垂直支持部材間に前後方向連結部材を架設して台車部を構成し、この台車部の前後方向連結部材にキャリアの前側中央部を上下揺動自在に連結支持させることにより、特許文献１に記載されたような水平維持搬送コンベヤにおけるキャリアの前側中央部を支持して牽引する駆動部分を構成するのであるが、このとき本発明では、前後一対の垂直支持部材どうしを連結する前後方向連結部材により、それぞれ前記左右水平支軸の周りに前後揺動自在であった前後一対の垂直支持部材の前後揺動を阻止することにより、キャリアを支持する前後方向連結部材の位置と姿勢が決まり、実用可能なコンベヤを構成することができるに至ったのである。
【００１７】
しかしながらその反面、従来周知の軽負荷用トロリーコンベヤにおけるハンガー、即ち、本発明における台車部を構成する前後一対の垂直支持部材は、中間高さ位置に左右一対の垂直板材の開閉支点となる軸支部を備えると共に上端部において両垂直板材どうしを連結具により結合する構造から、長さ（高さ）の大きなものとなり、このような垂直支持部材を前後一対配設し、両垂直支持部材間で前後方向連結部材を架設することにより、キャリアの前側中央部を支持する台車部を構成しょうとすると、この台車部のセンターガイドレールからの高さが高くなり、延いてはキャリアそのものの高さが高くなって安定性の面で問題が生じるところであるが、請求項３に記載の構成によれば、前後一対の垂直支持部材の高さが、従来の軽負荷用トロリーコンベヤにおけるハンガーを上下逆向きにしてそのまま垂直支持部材に転用した結果として高くなっても、換言すれば、当該垂直支持部材の高さを高くして、左右一対の垂直板材の中間軸支部と上端連結部との間の距離を十分にとって、垂直支持部材とコンベヤチエン側の左右水平支軸との結合強度を高めると共に左右一対の垂直板材の上端部を連結具で連結するときの作業性を良くしながら、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材と台車部の前後方向連結部材との軸支点をセンターガイドレールに接近するように低くし、キャリアの高さを低くして安定性を向上させることができる。
【００１８】
尚、請求項４や請求項５に記載の構成によれば、仮に前後一対の垂直支持部材が上記のように長さ（高さ）の大きくなるものであっても、当該垂直支持部材の左右横方向の揺れを規制できるので、キャリアの安定性を一層向上させることができる。
【００１９】
又、請求項６に記載の構成によれば、搬送経路中の水平曲がり経路部でのキャリアの走行を可能にするために、前後方向連結部材とキャリアとの間に必要な垂直軸心の周りの相対回転自在部を、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材の下端部に必要な二股部を備えた下側部材と、キャリアの前側中央部から垂下する上側支柱本体との間の連結構造部で構成することができ、この連結構造部とは別に、前記上側支柱本体の上端とキャリアとの間の連結構造部に垂直軸心の周りの相対回転自在部を構成する場合と比較して構造が簡単になる。
【００２０】
更に、請求項７に記載の構成によれば、搬送経路中の上り下りの勾配経路部の傾斜角度を大きくするために台車部とキャリアの前側中央部とを連結する垂直支柱部材の高さが高くなっても、当該垂直支柱部材の左右横方向の揺れを防止して、キャリアの安定性を高め、搬送の安全性を高めることができる。この場合、請求項８に記載の構成によれば、振れ止め用ローラーがキャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材に同心状に組み込まれることになり、当該垂直支柱部材の左右横方向の揺れを効果的に防止できると共に、キャリア側の小型化も図ることができる。更に、請求項９に記載の構成によれば、上り下りの勾配経路部でキャリアと振れ止め用ガイドレールとが干渉するのを防止するために、センターガイドレールからのキャリアの高さを不当に高くする必要がなくなり、センターガイドレールからのキャリアの高さを低く抑えて走行の安定性と搬送の安全性を高めることができる。
【００２１】
又、請求項１０に記載の構成によれば、キャリアの後ろ側左右２つの車輪が自在車輪となることから、キャリアの走行を円滑に行わせることができ、しかも下り勾配経路部などで自在車輪が、本来の追従姿勢、即ち、自在車輪がキャリアの前進方向に対して後方に偏心した追従姿勢とは逆の、キャリアの前進方向側に偏心した姿勢に変化することを防止でき、下り勾配経路部などでも円滑に走行させることができる。この場合、請求項１１に記載の構成によれば、自在車輪がキャリアの前進方向に対して後方に偏心した一定範囲内の追従姿勢に保持する向き規制手段の一部を、サイドガイドレールの側辺に隣接して垂直軸心の周りに回転する位置決め用ローラーで兼用させることができ、構造を簡単にしてコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】コンベヤの一部切欠き側面図である。
【図２】コンベヤの縦断背面図である。
【図３】コンベヤのキャリアより下側の構成を示す横断平面図である。
【図４】Ａ図は上り勾配経路部でのコンベヤを示す側面図、Ｂ図は下り勾配経路部でのコンベヤを示す側面図である。
【図５】コンベヤチエンと台車部とを示す一部縦断側面図である。
【図６】コンベヤチエンを示す一部横断平面図である。
【図７】コンベヤチエンと台車部とを示す一部縦断正面図である。
【図８】台車部を示す一部横断平面図である。
【図９】台車部を構成する垂直支柱部材を展開状態で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図に基づいて説明すると、キャリア１は、水平基板２の上にワーク支持部を上端側に備えたワーク支持柱３を立設したもので、水平基板２の前側中央部から下向きに固着されて垂下する垂直支柱部材４が台車部５に支持され、水平基板２の後端左右両角部から下向きに固着されて垂下する左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に自在車輪７ａ，７ｂが取り付けられている。
【００２４】
キャリア１の走行経路には、キャリア１の台車部５を前進駆動するコンベヤチエン８が内装された１本のセンターガイドレール９と、キャリア１の左右一対の自在車輪７ａ，７ｂが転動するアングル材利用の左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂと、キャリア１の垂直支柱部材４の左右両側に並列配置された左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂとが架設されている。図１及び図２に示すように、水平経路部では、センターガイドレール９とキャリア１の水平基板２との中間高さに、左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂと左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂとがほど同一レベルで架設されている。
【００２５】
コンベヤチエン８は、従来周知のものであって、図５及び図６に示すように、左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂと上下一対のサイドリンク１３ａ，１３ｂとが、十字形連結ピンユニット１４によって上下方向と水平方向とに一定範囲内でそれぞれ相対揺動自在に交互に連結され、各センターリンク１２ａ，１２ｂには、その長さ方向の中央位置で左右一対の支持用車輪１５が軸支され、各サイドリンク１３ａ，１３ｂには、その長さ方向の中央位置で各１つのガイドローラー１６が軸支されている。更に詳述すると、左右一対の支持用車輪１５は、左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂを水平に貫通する１本の左右水平支軸１７の両端に、各センターリンク１２ａ，１２ｂの外側に位置するように取り付けられ、ガイドローラー１６は、上下一対のサイドリンク１３ａ，１３ｂ間に架設された１本の垂直支軸１８に、両サイドリンク１３ａ，１３ｂ間において取り付けられている。センターガイドレール９は、上側中央部に長さ方向に沿って連続するスリット状開口部９ａを備えた角筒状のものであって、このセンターガイドレール９の中に挿通されたコンベヤチエン８は、その左右一対の支持用車輪１５がセンターガイドレール９の底板部９ｂとスリット状開口部９ａの左右両側の天板部９ｃとの間に転動自在に嵌合すると共に、各ガイドローラー１６がセンターガイドレール９の左右両側板部９ｄ，９ｅ間に転動自在に嵌合して、上下左右両方向に大きな遊びのない状態でセンターガイドレール９内を、図外の駆動手段により牽引されて移動する。
【００２６】
台車部５は、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂと、この垂直支持部材１９ａ，１９ｂ間に架設された前後方向連結部材２０とで構成されている。各垂直支持部材１９ａ，１９ｂは同一構造のものであって、図９にも示すように、左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂを重ねて中間高さ位置で左右水平方向の支軸２２により連結一体化し、当該支軸２２の周りで両垂直板材２１ａ，２１ｂを前後に開閉自在に構成したものである。この左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂは、支軸２２で互いに連結される中間高さ領域は互いに隣接しているが、この重なり合った中間高さ領域２１ｃから上方の上端部２１ｄと下方の下端部２１ｅとは、図７に示すように互いに平行に且つ左右対称に離間している。更に、上端部２１ｄでは、左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂの内側面が、図７及び図８に示すように、横断面で幅方向の中央部が内側に突出する突曲面に形成されている。又、左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅには、その互いに逆位置にある側辺から支軸２２を円弧中心とする円弧形に切り込み形成された、互いに逆向きの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇが設けられている。
【００２７】
台車部５の前後方向連結部材２０は、前後両端部に対して中央部が下方に凹入して低くなった側面視凹形に形成された垂直板材から形成されたもので、垂直で互いに平行な前後両側辺２０ｃ，２０ｄの上端からそれぞれ外向きに突出する軸受け部２０ａ，２０ｂが設けられ、この軸受け部２０ａ，２０ｂが各垂直支持部材１９ａ，１９ｂにおける垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄ間に嵌合する状態で、各軸受け部２０ａ，２０ｂとこれを挟む垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄとが左右水平向きのボルトナットなど連結具２３により連結される。尚、前後方向連結部材２０の各軸受け部２０ａ，２０ｂに設けられた、連結具２３が挿通される連結孔２３ａが、図５に示すように前後方向の長孔に形成されていることと、垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側突曲面が前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂの左右両側面に隣接することにより、前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂと前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂとは、連結具２３の周りで垂直面に沿って相対揺動できるだけでなく、連結孔２３ａの長さの範囲内での前後水平方向の相対移動と、垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側突曲面が前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂの両側面に当接する範囲内での、平面視における垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中央垂直軸心の周りの相対的な水平揺動が可能に構成されている。
【００２８】
前後方向連結部材２０の前後両側辺２０ｃ，２０ｄの下端には、それぞれ前後外向きに突出する水平板材２４ａ，２４ｂが固着され、これら両水平板材２４ａ，２４ｂには、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中間高さ領域２１ｃに対して外嵌する振れ止め用凹部２５が形成されている。勿論、この振れ止め用凹部２５とこれに嵌合する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中間高さ領域２１ｃ（互いに重なった垂直板材２１ａ，２１ｂ）との間には、垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側面が突曲面に形成されていることによる垂直支持部材１９ａ，１９ｂと前後方向連結部材２０との間の、平面視における垂直支持部材１９ａ，１９ｂの中央垂直軸心の周りの相対的な水平揺動を許すための遊び空隙が確保されている。
【００２９】
キャリア１の水平基板２の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４は、当該水平基板２の前側中央部に上端が固着された円柱状の上側支柱本体２６と、この上側支柱本体２６の下端に連設された小径の下端垂直軸部２６ａに、当該上側支柱本体２６と同心状の垂直軸心の周りに相対回転自在に連結された下側部材２７とから構成され、この下側部材２７には、下向きに開放された二股部２７ａが形成されている。尚、下側部材２７には、二股部２７ａの上側で直径方向に貫通する横孔部２７ｂが形成され、この横孔部２７ｂ内に突出する上側支柱本体２６の下端垂直軸部２６ａの下端部に、当該横孔部２７ｂを利用して抜け止め座金２６ｂが取り付けられている。更に、上側支柱本体２６には、その下端垂直軸部２６ａの上側で中間径の中間垂直軸部２６ｃが同心状に形成され、下側部材２７が取り付けられる前に当該中間垂直軸部２６ｃに振れ止め用ローラー２８が嵌合され、当該振れ止め用ローラー２８が、下側部材２７により支持される状態で、上側支柱本体２６と同心状の垂直軸心の周りに相対回転できるように構成されている。尚、図７に示すように、振れ止め用ローラー２８は上側支柱本体２６よりも大径であり、下側部材２７の左右横幅は振れ止め用ローラー２８の直径より十分に小さいので、垂直支柱部材４の左右両側に並列状に架設された左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂ間に当該振れ止め用ローラー２８を、微小間隙を隔てて遊嵌させることができる。
【００３０】
キャリア１が備える左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に取り付けられた左右一対の自在車輪７ａ，７ｂは、垂直軸心の周りに回転自在なフォーク２９ａの先端に車輪２９ｂを軸支したものであって、平面視において当該車輪２９ｂの中心がフォーク２９ａの回転軸心に対して偏心しているように構成されたものである。従って、キャリア１が走行するとき、自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）は、サイドガイドレール１０ａ，１０ｂとの間の摩擦抵抗により、キャリア１の前進方向に対して真後ろに偏心した追従姿勢を自動的にとってサイドガイドレール１０ａ，１０ｂ上を転動移動することになるが、このときの自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）が前記追従姿勢から左右に一定範囲を超えてフォーク２９ａの回転軸心の周りで首振り運動するのを防止するための向き規制手段３０が併設されている。この向き規制手段３０は、自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）が前記追従姿勢から外側へ首振り運動するのを制限する垂直軸状のストッパー３１と、自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）が前記追従姿勢から内側へ首振り運動するのを制限する位置決め用ローラー３２とから構成されている。
【００３１】
図２に示すように、垂直軸状のストッパー３１は、キャリア１が備える左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に垂直軸体の上端を固着して構成されている。又、位置決め用ローラー３２は、左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂの下端に上端が固着されて垂下する垂直軸杆３３に垂直軸心の周りに回転自在に取り付けられた縦長のローラーから成り、この位置決め用ローラー３２が左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの内側辺に隣接することにより、キャリア１の後端部の左右横方向の位置を規制するように構成されている。尚、位置決め用ローラー３２を支承する垂直軸杆３３の下端には、外側に隣り合う各サイドガイドレール１０ａ，１０ｂの下側に入り込んで、キャリア１の後端部が許容範囲を超えて浮き上がるのをサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの下側面に当接して防止する浮き上がり防止片３４が突設されている。
【００３２】
以上のように構成されたコンベヤの台車部５の組付け方法について説明すると、センターガイドレール９内に挿通されたコンベヤチエン８の台車部構成位置において、前後に隣り合う２本の左右水平支軸１７、即ち、一組のサイドリンク１３ａ，１３ｂを隔てて前後に隣り合う各左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂに左右一対の支持用車輪１５を軸支している前後２本の左右水平支軸１７に、それぞれ台車部５の垂直支持部材１９ａ，１９ｂを取り付ける。即ち、各垂直支持部材１９ａ，１９ｂの左右一対の垂直板材２１ａ，２１ｂを、図９に示すように支軸２２の周りに前後に開動させる。そして各垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅを左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂ間で左右水平支軸１７の前後両側に差し込んだ状態で、両垂直板材２１ａ，２１ｂを支軸２２の周りに閉動させることにより、各垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇ間で左右水平支軸１７を挟持させる。このとき垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅの外側面が左右一対のセンターリンク１２ａ，１２ｂの内側面に隣接するように、当該下端部２１ｅ間の間隔が設定されている。
【００３３】
上記のように各垂直板材２１ａ，２１ｂの下端部２１ｅの嵌合凹部２１ｆ，２１ｇ間で左右水平支軸１７を挟持させることにより、両垂直板材２１ａ，２１ｂが互いに重なって１本の垂直支持部材１９ａ，１９ｂを形成したとき、両垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの連結孔２３ｂが同心状に合致するので、この状態の両垂直支持部材１９ａ，１９ｂにおける垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄ間に前後方向連結部材２０の軸受け部２０ａ，２０ｂを嵌合させ、連結孔２３ａ，２３ｂに挿通させた連結具２３により互いに連結一体化する。以上で台車部５がコンベヤチエン８に連結されたことになるが、このとき前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂがコンベヤチエン８側の左右水平支軸１７の周りで前後方向に揺動することは、連結具２３を介してこの前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの上端部どうしを連結している前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄが垂直支持部材１９ａ，１９ｂの側辺（垂直板材２１ａ，２１ｂの中間高さ領域２１ｃの側辺）に隣接していることにより阻止され、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂはセンターガイドレール９から垂直に起立する平行姿勢に保持されている。即ち、前後２つの左右水平支軸１７と前後２つの連結具２３が側面視で長方形の四隅に位置する形状で台車部５が安定している。又このとき、前後方向連結部材２０の下側辺は、センターガイドレール９に接近して当該センターガイドレール９とほぼ平行に位置している。
【００３４】
コンベヤチエン８に台車部５が組付けられたならば、左右一対の自在車輪７ａ，７ｂの内側に隣り合う各位置決め用ローラー３２を左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの内側辺に隣接させるようにして、左右一対の自在車輪７ａ，７ｂ（車輪２９ｂ）を左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂ上に載置して、キャリア１の後端部を左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂで支持させ、このキャリア１の前側中央部から垂下する垂直支柱部材４を、左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂ間を経由させて台車部５の真上位置に下ろす。そして当該垂直支柱部材４の下端二股部、即ち、下側部材２７の二股部２７ａを台車部５の前後方向連結部材２０の下向きに凹入した凹入部中央位置に嵌合させ、この垂直支柱部材４の下端二股部２７ａを前後方向連結部材２０に左右水平向きの支軸３５により軸支して、垂直支柱部材４が前後に揺動できるように（キャリア１が上下に揺動できるように）、キャリア１の前側中央部を台車部５に垂直支柱部材４を介して連結する。このときキャリア１の水平基板２がほぼ水平姿勢となり、垂直支柱部材４と左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂは垂直に起立し、垂直支柱部材４の中間高さに組み込まれている振れ止め用ローラー２８が左右一対の振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂ間に位置し、そして垂直支柱部材４と台車部５の前後方向連結部材２０との軸支点（支軸３５）が、この台車部５の前後方向連結部材２０と前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂとの軸支点（連結具２３）の高さより低く、センターガイドレール９に接近した位置にあるように、構成されている。
【００３５】
以上のようにして組み立てられた本発明のコンベヤにおいて、コンベヤチエン８をセンターガイドレール９内でキャリア１の前進方向に牽引駆動すれば、当該コンベヤチエン８と一体に走行する台車部５に前側中央部が連結されているキャリア１が、センターガイドレール９と左右一対のサイドガイドレール１０ａ，１０ｂとに支持案内されながら、コンベヤチエン８と一体に走行することになる。従って、キャリア１のワーク支持柱３に支持させたワークをキャリア１の走行経路、即ち、搬送経路に沿って搬送することができる。ワーク支持柱３は、塗装作業空間や乾燥作業空間の底部に搬送経路と平行に形成されたスリット状開口を通じて起立させることにより、当該ワーク支持柱３の上端側に支持させたワークをして前記塗装作業空間内や乾燥作業空間内で移動させることができる。尚、ワーク支持柱３を垂直軸心の周りに自転可能に構成し、このワーク支持柱３を搬送経路の適所において自動的に回転させて、ワークの向きを変化させるワーク支持柱回転駆動機構を組み込むことができる。
【００３６】
コンベヤチエン８は水平方向に曲がることができる構造であるから、上記コンベヤの搬送経路中には、センターガイドレール９、サイドガイドレール１０ａ，１０ｂ、及び振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを許容範囲内で水平に曲げて水平曲がり経路部を構成することができる。この水平曲がり経路部では、キャリア１側の垂直支柱部材４における上側支柱本体２６の下端垂直軸部２６ａと下側部材２７との間の垂直軸心周りの回転と、後側の左右一対の振れ止め用ローラー２８がサイドガイドレール１０ａ，１０ｂの水平曲がりに追従することにより、キャリア１は当該水平曲がり経路部を円滑に走行することができる。尚、台車部５の前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂは、左右水平支軸１７を介してこれら垂直支持部材１９ａ，１９ｂを支持しているセンターリンク１２ａ，１２ｂが水平曲がり経路部に沿って水平方向に傾くことに連動して、平面視において、垂直支持部材１９ａ，１９ｂの側面が水平曲がり経路部の円弧中心に面するように傾動することになるが、この垂直支持部材１９ａ，１９ｂの傾動は、当該垂直支持部材１９ａ，１９ｂを構成する垂直板材２１ａ，２１ｂの上端部２１ｄの内側突曲面と、前後方向連結部材２０側の振れ止め用凹部２５との間の遊び間隙によって許容される。
【００３７】
又、上記コンベヤの搬送経路中には、図４に示すように、センターガイドレール９、サイドガイドレール１０ａ，１０ｂ、及び振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂを傾斜させて、上り下りの勾配経路部を組み込むことができる。この上り勾配経路部をキャリア１が走行するときは、図４Ａに示すように、前上がりに傾斜して走行する台車部５に対しキャリア１側の垂直支柱部材４が支軸３５の周りで前方に傾倒するが、対地的には垂直支柱部材４及び左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂが垂直に起立して水平基板２が水平姿勢を維持するように、上り勾配経路部でのセンターガイドレール９とサイドガイドレール１０ａ，１０ｂとの間の側面視における間隔が設定される。
【００３８】
下り勾配経路部をキャリア１が走行するときは、図４Ｂに示すように、前下がりに傾斜して走行する台車部５に対しキャリア１側の垂直支柱部材４が支軸３５の周りで後方に傾倒するが、対地的には垂直支柱部材４及び左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂが垂直に起立して水平基板２が水平姿勢を維持するように、下り勾配経路部でのセンターガイドレール９とサイドガイドレール１０ａ，１０ｂとの間の側面視における間隔が設定される。勿論、振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂは、上り勾配経路部及び下り勾配経路部の何れにおいても、垂直支柱部材４に組み込まれている振れ止め用ローラー２８を左右両側から挟むように位置が設定されるが、振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂは、平面視においてキャリア１の水平基板２の下側を通る位置にあるので、当該振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂがキャリア１の水平基板２の前後両端部と干渉しない範囲内で、上り下りの勾配経路部の傾斜角度が設定される。尚、図４Ｂに示すように、下り勾配経路部では、振れ止め用ガイドレール１１ａ，１１ｂは、左右一対の後側支柱部材６ａ，６ｂ間を通ることになる。
【００３９】
尚、本発明を実施する場合、台車部５を構成する前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂの構造や、コンベヤチエン８の前後２つの支持用車輪１５を軸支する左右水平支軸１７に対する垂直支持部材１９ａ，１９ｂの取り付け構造、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂに対する前後方向連結部材２０の連結構造は、上記実施形態のものに限定されない。要するに、前後一対の垂直支持部材１９ａ，１９ｂは、コンベヤチエン８の前後２つの支持用車輪１５を軸支する左右水平支軸１７に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に嵌合支持されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出するものであれば、如何なる構造のものであっても良い。例えば、１本の部材から成る前後一対の垂直支持部材の下端に、前後２本の左右水平支軸１７に対して、両左右水平支軸１７間の内側から外向きに嵌合する嵌合凹部を形成したものであっても、両垂直支持部材の上端部に連結具２３で連結された前後方向連結部材２０の垂直な前後両側辺２０ｃ，２０ｄを両垂直支持部材に隣接させることにより、上記実施形態で示した台車部５と実質的に同一の台車部５を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【００４０】
本発明の水平維持搬送コンベヤは、上り下りの勾配経路部においてもキャリアを水平状態に維持させることができるものであるから、当該キャリアに支持されるワークの高さを区間ごとに変える必要のある塗装ラインや乾燥ラインなどにおいて、比較的軽量のワークを搬送するコンベヤとして活用できる。
【符号の説明】
【００４１】
１ キャリア
２ 水平基板
３ ワーク支持柱
４ 垂直支柱部材
５ 台車部
６ 後側支柱部材
７ａ，７ｂ 自在車輪
８ コンベヤチエン
９ センターガイドレール
１０ａ，１０ｂ サイドガイドレール
１１ａ，１１ｂ 振れ止め用ガイドレール
１２ａ，１２ｂ センターリンク
１３ａ，１３ｂ サイドリンク
１４ 十字形連結ピンユニット
１５ 支持用車輪
１６ ガイドローラー
１７ 左右水平支軸
１８ 垂直支軸
１９ａ，１９ｂ 垂直支持部材
２０ 前後方向連結部材
２０ａ，２０ｂ 軸受け部
２１ａ，２１ｂ 垂直板材
２１ｆ，２１ｇ 嵌合凹部
２２，３５ 支軸
２３ 連結具
２４ａ，２４ｂ 水平板材
２５ 振れ止め用凹部
２６ 上側支柱本体
２６ａ 下端垂直軸部
２６ｂ 抜け止め座金
２６ｃ 中間垂直軸部
２７ 下側部材
２７ａ 二股部
２８ 振れ止め用ローラー
３０ 向き規制手段
３１ ストッパー
３２ 位置決め用ローラー
３４ 浮き上がり防止片
【特許請求の範囲】
【請求項１】
センターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンにキャリアの前側中央部を上下揺動自在に連結支持させ、このキャリアの後ろ側左右２箇所を、前記センターガイドレールの左右両側に配設された左右一対のサイドガイドレールにそれぞれ車輪を介して支持案内する水平維持搬送コンベヤにおいて、前記コンベヤチエンのキャリア連結位置には、当該コンベヤチエンの前後２つの支持用車輪で支持される台車部を設け、この台車部は、前記支持用車輪を軸支する左右水平支軸に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出する前後一対の垂直支持部材と、センターガイドレールの上側で両垂直支持部材どうしを、これら両垂直支持部材の前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材とから構成され、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材の下端部が、台車部の前後方向連結部材に前後揺動自在に軸支されている、水平維持搬送コンベヤ。
【請求項２】
コンベヤチエンが、等間隔おきに位置する左右一対のセンターリンクと、このセンターリンクを水平に貫通する左右水平支軸と、この左右水平支軸の両端に支持用車輪が、このコンベヤチエンを挟むように左右一対取り付けられた構成において、台車部の前後一対の垂直支持部材は、前記左右一対のセンターリンク間において前記左右水平支軸に前後から嵌合する逆向きの嵌合凹部を下端部に備えると共に中間高さにおいて前後方向に開閉自在に軸支連結され且つ閉じ姿勢において上端部が互いに連結具により結合される左右一対の垂直板材から構成され、台車部の前後方向連結部材は、前記連結具により前後一対の垂直支持部材の上端部に連結された状態で当該前後一対の垂直支持部材間に嵌合して両垂直支持部材の前後揺動を阻止している、請求項１に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項３】
台車部の前記前後方向連結部材は、前記連結具で連結される前後両端部に対して中央部が下方に凹入して低くなった側面視凹形に形成され、この前後方向連結部材の中央部にキャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材の下端部が前後揺動自在に軸支されている、請求項２に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項４】
台車部の前後方向連結部材には、前後一対の垂直支持部材に隣接して当該垂直支持部材の前後揺動を阻止している垂直な前後両側辺に、隣接する垂直支持部材の側辺に外嵌して当該垂直支持部材の左右横方向の揺れを防止する振れ止め用凹部が設けられている、請求項２又は３に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項５】
台車部の各垂直支持部材の左右一対の垂直板材は、互いに隣接して開閉自在に軸支連結される中間高さ領域と、互いに離間して間に前後方向連結部材を挟んだ状態で当該前後方向連結部材を軸支する連結具により互いに連結される上端部と、互いに離間して左右一対のセンターリンクの内側に隣接する下端部を備え、前後方向連結部材の垂直な前後両側辺は、隣接する垂直支持部材の左右一対の垂直板材が互いに重なる中間高さ領域に隣接し、前記振れ止め用凹部は、前後方向連結部材の垂直な前後両側辺の下端に設けられて、垂直支持部材の左右一対の垂直板材が互いに重なる中間高さ領域に外嵌している、請求項４に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項６】
キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材は、キャリアの前側中央部から垂下する上側支柱本体と、この上側支柱本体の下端に当該上側支柱本体と同心状の垂直軸心の周りに相対回転自在に連結された下側部材とから構成され、この下側部材に台車部の前後方向連結部材に外嵌して軸支される二股部が形成されている、請求項１〜５の何れか１項に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項７】
キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材には、その中間高さ位置に、垂直軸心の周りに相対回転自在な振れ止め用ローラーが軸支され、この振れ止め用ローラーと係合する振れ止め用ガイドレールが架設されている、請求項１〜６の何れか１項に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項８】
前記振れ止め用ローラーは、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材に同心状に設けられた垂直軸部に支承され、この振れ止め用ローラーを挟むように前記振れ止め用ガイドレールが架設されている、請求項７に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項９】
キャリアの後ろ側左右２箇所から垂下する左右一対の後側支柱部材が設けられ、この左右一対の後側支柱部材の下端に前記車輪がそれぞれ軸支され、搬送経路中の下り勾配経路部に架設された前記振れ止め用ガイドレールが前記左右一対の後側支柱部材間を通るように構成された、請求項７又は８に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項１０】
キャリアの後ろ側左右２箇所の前記車輪は、垂直軸心の周りに回転自在なフォークに車輪が軸支された自在車輪であって、この自在車輪がキャリアの前進方向に対して後方に偏心した一定範囲内の追従姿勢に保持する向き規制手段が併設されている、請求項１〜９の何れか１項に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項１１】
前記向き規制手段は、前記自在車輪の一側方に隣り合う位置で当該自在車輪をそれぞれ支持するサイドガイドレールの側辺に隣接して垂直軸心の周りに回転する位置決め用ローラーと、前記自在車輪の他側方に隣り合う位置に配設されたストッパーとで構成されている、請求項１０に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項１】
センターガイドレールに支持案内されるコンベヤチエンにキャリアの前側中央部を上下揺動自在に連結支持させ、このキャリアの後ろ側左右２箇所を、前記センターガイドレールの左右両側に配設された左右一対のサイドガイドレールにそれぞれ車輪を介して支持案内する水平維持搬送コンベヤにおいて、前記コンベヤチエンのキャリア連結位置には、当該コンベヤチエンの前後２つの支持用車輪で支持される台車部を設け、この台車部は、前記支持用車輪を軸支する左右水平支軸に下端部が着脱自在で且つ前後揺動自在に連結されると共に上端部がセンターガイドレールから上方に突出する前後一対の垂直支持部材と、センターガイドレールの上側で両垂直支持部材どうしを、これら両垂直支持部材の前後揺動を阻止する状態に連結する前後方向連結部材とから構成され、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材の下端部が、台車部の前後方向連結部材に前後揺動自在に軸支されている、水平維持搬送コンベヤ。
【請求項２】
コンベヤチエンが、等間隔おきに位置する左右一対のセンターリンクと、このセンターリンクを水平に貫通する左右水平支軸と、この左右水平支軸の両端に支持用車輪が、このコンベヤチエンを挟むように左右一対取り付けられた構成において、台車部の前後一対の垂直支持部材は、前記左右一対のセンターリンク間において前記左右水平支軸に前後から嵌合する逆向きの嵌合凹部を下端部に備えると共に中間高さにおいて前後方向に開閉自在に軸支連結され且つ閉じ姿勢において上端部が互いに連結具により結合される左右一対の垂直板材から構成され、台車部の前後方向連結部材は、前記連結具により前後一対の垂直支持部材の上端部に連結された状態で当該前後一対の垂直支持部材間に嵌合して両垂直支持部材の前後揺動を阻止している、請求項１に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項３】
台車部の前記前後方向連結部材は、前記連結具で連結される前後両端部に対して中央部が下方に凹入して低くなった側面視凹形に形成され、この前後方向連結部材の中央部にキャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材の下端部が前後揺動自在に軸支されている、請求項２に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項４】
台車部の前後方向連結部材には、前後一対の垂直支持部材に隣接して当該垂直支持部材の前後揺動を阻止している垂直な前後両側辺に、隣接する垂直支持部材の側辺に外嵌して当該垂直支持部材の左右横方向の揺れを防止する振れ止め用凹部が設けられている、請求項２又は３に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項５】
台車部の各垂直支持部材の左右一対の垂直板材は、互いに隣接して開閉自在に軸支連結される中間高さ領域と、互いに離間して間に前後方向連結部材を挟んだ状態で当該前後方向連結部材を軸支する連結具により互いに連結される上端部と、互いに離間して左右一対のセンターリンクの内側に隣接する下端部を備え、前後方向連結部材の垂直な前後両側辺は、隣接する垂直支持部材の左右一対の垂直板材が互いに重なる中間高さ領域に隣接し、前記振れ止め用凹部は、前後方向連結部材の垂直な前後両側辺の下端に設けられて、垂直支持部材の左右一対の垂直板材が互いに重なる中間高さ領域に外嵌している、請求項４に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項６】
キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材は、キャリアの前側中央部から垂下する上側支柱本体と、この上側支柱本体の下端に当該上側支柱本体と同心状の垂直軸心の周りに相対回転自在に連結された下側部材とから構成され、この下側部材に台車部の前後方向連結部材に外嵌して軸支される二股部が形成されている、請求項１〜５の何れか１項に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項７】
キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材には、その中間高さ位置に、垂直軸心の周りに相対回転自在な振れ止め用ローラーが軸支され、この振れ止め用ローラーと係合する振れ止め用ガイドレールが架設されている、請求項１〜６の何れか１項に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項８】
前記振れ止め用ローラーは、キャリアの前側中央部から垂下する垂直支柱部材に同心状に設けられた垂直軸部に支承され、この振れ止め用ローラーを挟むように前記振れ止め用ガイドレールが架設されている、請求項７に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項９】
キャリアの後ろ側左右２箇所から垂下する左右一対の後側支柱部材が設けられ、この左右一対の後側支柱部材の下端に前記車輪がそれぞれ軸支され、搬送経路中の下り勾配経路部に架設された前記振れ止め用ガイドレールが前記左右一対の後側支柱部材間を通るように構成された、請求項７又は８に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項１０】
キャリアの後ろ側左右２箇所の前記車輪は、垂直軸心の周りに回転自在なフォークに車輪が軸支された自在車輪であって、この自在車輪がキャリアの前進方向に対して後方に偏心した一定範囲内の追従姿勢に保持する向き規制手段が併設されている、請求項１〜９の何れか１項に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【請求項１１】
前記向き規制手段は、前記自在車輪の一側方に隣り合う位置で当該自在車輪をそれぞれ支持するサイドガイドレールの側辺に隣接して垂直軸心の周りに回転する位置決め用ローラーと、前記自在車輪の他側方に隣り合う位置に配設されたストッパーとで構成されている、請求項１０に記載の水平維持搬送コンベヤ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１０−２１５４０５（Ｐ２０１０−２１５４０５Ａ）
【公開日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−６７７５２（Ｐ２００９−６７７５２）
【出願日】平成２１年３月１９日（２００９．３．１９）
【出願人】（０００００３６４３）株式会社ダイフク (1,209)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月１９日（２００９．３．１９）
【出願人】（０００００３６４３）株式会社ダイフク (1,209)
【Ｆターム（参考）】
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