説明

水平耳ブッシングのための端子クランプ

繊維化ブッシングのための端子クランプ組立体が、第1の端面及び下部顎を有するクランプ本体と、クランプ本体に対して選択的に移動可能な補助ヒートシンク本体と、補助ヒートシンク本体上に支持された接触組立体と、ヒートシンク本体をクランプ本体の面に向かって又はそこから離れるように移動させるためのアクチュエータとを含む。本発明は、端子クランプ組立体と、クランプ組立体のための膨張補償取り付けブラケットとを組み込むブッシング組立体も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、連続的なガラス・フィラメントの製造に関し、より具体的には、改善された端子クランプ、そうした端子クランプを組み込むブッシング組立体、及びブッシングが繊維化(fiberizing)動作に使用されている間、繊維化ブッシングの動作温度の調節を可能にする方法に関する。
本出願は、引用により本明細書に組み入れられる2009年9月11日出願の米国特許仮出願第61/241,656号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスを作製し、ガラス・フィラメントを形成するプロセス、並びに種々の強化材及び他の材料におけるフィラメントの使用の優れた概説が、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる非特許文献1に記載されている。
【0003】
ガラス・フィラメントは、典型的には、ブッシングの底板内の複数のオリフィスを通って溶融ガラスを細くする(attenuate)ことによって形成され、これらのフィラメントは、多くの場合、集められてストランドにされる。従来のブッシングは、典型的には、側板、端板、及び底板を含み、これらの間にブッシング本体を定める。底板は、場合によっては4千を超え、好ましくは全てが溶融ガラスを細くするための均一温度又はそれに近い温度である、オリフィス又はノズルを含む。底板はまた、ノズル板又はチップ板と呼ぶこともできる。
【0004】
ブッシングは、ガラスを常に液体状態に保つのに十分な温度、典型的には華氏2000乃至3000度に加熱され、この温度は、フィラメントが均一な直径を有した状態で細くされるように、溶融ガラスを均一な温度及び粘度に調整するように働く。「ジュール」効果として知られる電流フローに対するブッシングの抵抗は、ブッシングをこの高温に加熱するのに、殆どの場合用いられる方法であり、従って、ブッシングはまた、電流をブッシングに伝えるための端子板の各々に取り付けられた端子耳も含む。ブッシング及び端子耳の両方とも、典型的には、こうした高温に耐えるために、白金ロジウム又は白金イリジウム合金のような白金含有材料などの貴金属で作製される。端子クランプが端子耳に接続されて、変圧器又は他の電源からの加熱電流をブッシングに供給する。
【0005】
典型的な従来技術の端子クランプは、100パーセント純銅から作製され、ボルト留め又は他の方法で、耳にクランプされる。Sensへの特許文献1及びStalegoへの特許文献2に示されるように、典型的には、端子クランプは水冷される。Sullivan他への特許文献3及びFowlerへの特許文献4に教示されるように、比較的低い融点のために、端子耳は、銅クランプを銅についての許容動作温度になるように高温のブッシングから離れるように配置するために、十分に長くする必要がある。より長い端子耳に対する必要性は、より多くの貴金属合金の使用を必要とし、ブッシングを製造するコストを増大させる。
【0006】
さらに、例えば、Fowlerへの特許文献4に教示されているように、端子耳に沿った端子クランプの配置は、ブッシングの動作温度に影響を及ぼす。端子クランプが水冷されると、端子クランプを、ブッシングの端板及び底板により近い端子耳上の位置に移動させることにより、ブッシングの端部がより低温になる。反対に、端子クランプを底板から遠ざかるように移動させると、ブッシングはより高温になる。端子クランプをこのように移動させることによってブッシング温度を制御することは、当技術分野において周知であるが、これまでは、所望の温度調節を達成するために繊維化プロセスを中断し、端子クランプを弛めて新しい位置に再固定する必要があり、これら全てが効率の悪さ及び製造時間の損失をもたらす。
【0007】
最後に、長い端子耳の使用は、高温及び端子クランプの重量下において端子耳の曲がり及び応力を生じさせ、そのため、端子耳及び/又は端子クランプのための種々の傾斜構成及び支持構造体が使用されてきた。Sullivan他への特許文献3及びBrady他への特許文献5において、幾つかの例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,235,646号
【特許文献2】米国特許第3,409,072号
【特許文献3】米国特許第6,427,492号
【特許文献4】米国特許第4,740,224号
【特許文献5】米国特許第4,003,730号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Loewenstein,K.L.著、「The Manufacturing Technology of Continuous Glass Fibres」第2版、Elsevier Science Publishers、1983年(初版1973年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新規の改善された端子クランプ、ブッシング組立体、及び熱を端子耳から取り去るように誘導するための二次ヒートシンクを提供する方法に関し、この二次ヒートシンクの位置は、ブッシング温度の調整をより有効な方法で制御するように、現在進行中の繊維化プロセスの間に端子耳に沿って調整可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載される本発明の目的によると、新規の改善された端子クランプ組立体と、ブッシング組立体と、繊維化ブッシングの動作温度を調節する方法が開示される。従って、一態様において、本発明は、ブッシング端子耳を保持するための、クランプ本体の第1の端部における下部顎と、クランプ本体から熱を取り去るための一次ヒートシンクとを含むクランプ本体と、クランプ本体に取り付けられ、下部顎とは異なる接触位置で端子耳に接触するための接触組立体を有し、クランプ本体から更なる熱を取り去るための二次ヒートシンクを含む、補助ヒートシンク本体と、を含む、端子耳及び支持フレームを含む繊維化ブッシングのための端子クランプ組立体に関する。
【0012】
特定の実施形態において、接触組立体は、少なくとも第1の位置と第2の位置との間の移動のために、クランプ本体に移動可能に取り付けられ、ここで第1の位置において、端子耳との接触位置は、第2の位置におけるものよりもクランプ本体の第1の端部に近い。接触組立体は、移動範囲の一方の端部における第1の位置と他方の端部における第2の位置との間の複数の位置のいずれにも選択的に移動可能であることが理想的である。接触組立体を第1の位置と第2の位置との間で移動させるためのアクチュエータが設けられる。アクチュエータは、移動をもたらすための、レバー型、ウェッジ型又は回転型を含む幾つかの型のいずれかとすることができる。
【0013】
特定の実施形態において、接触組立体は、端子耳を含む平面に平行な平面内でクランプ本体に対して並進運動するのを可能にするように、それ自体がクランプ本体に移動可能に取り付けられた、補助ヒートシンク本体上に支持される。この場合、補助ヒートシンク本体は、摺動運動を可能にする、細長いスロットを通るねじ又はボルトのような締結手段によってクランプ本体に取り付けられる。一次ヒートシンク及び二次ヒートシンクのいずれか一方又は両方は、冷却流体が流れる流体通路を随意的に含むことができる。
【0014】
接触組立体は、補助ヒートシンク本体内に形成されたスロット内に支持される複数の接触ブロックを含むことができ、接触位置は、接触ブロックの各々の集合的接触面積を含む。幾つかの実施形態において、接触ブロックは、スロット内を垂直方向に摺動することができ、ばね又はばね板が接触ブロックを付勢して端子耳と係合させる。接触ブロックは、それらをスロット内に捕捉する肩部又はセリフを含むことができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、クランプ本体は、主として銅及びニッケルから成り、他の元素は総計で約25%を超えない又は場合によっては10%を超えない量で存在する、合金で構成される。例えば、クランプ本体は、本質的に、重量で、約20%から約90%までの量の銅と、約15%から約85%までの量のニッケルと、総計で25%、理想的には10%を超えない他の元素とから成るものとすることができる。そのような合金は、一般に、華氏1300度までの動作温度範囲と、80マイクロオーム・センチメートル(μΩ・cm)を超えない電気抵抗とを示すはずである。有利なことに、このことは、より短い端子耳を有するようにブッシングを作製すことを可能にし、端子耳は高価な白金合金から作製されるので、ブッシング組立体の全体の製造コストの大幅な削減を可能にする。
【0016】
幾つかの実施形態において、接触組立体及び/又は補助ヒートシンク本体は、主として鉄、クロム及びニッケルから成り、他の元素は総計で約25%を超えない又は場合によっては10%を超えない量で存在する、合金で構成される。例えば、接触組立体又は補助ヒートシンク本体のいずれか又は両方は、本質的に、重量で、約10%から約35%までの量のクロムと、約5%から約60%までの量の鉄と、約25%から約95%までの量のニッケルと、総計で約25%、理想的には約10%を超えない量の他の元素から成る合金を含むことができる。そのような合金は、一般に、華氏2200度までの動作温度範囲、400ワット毎メートル度K(W/m・K)と、80マイクロオーム・センチメートル(μΩ・cm)から140マイクロオーム・センチメートルまでの間の範囲の電気抵抗とを示すはずである。
【0017】
本発明の別の態様において、支持フレーム、底板、側板、端板及び少なくとも2つの端子耳を含むブッシングと、上記の実施形態のいずれかに説明されたような少なくとも1つの端子クランプ組立体とを含むブッシング組立体が提供され、ここで、端子クランプ組立体の下部顎は端子耳に固定され、第2の接触位置は、熱移動のための代替的な経路を与えることによって温度の制御を助ける。一般に、端子クランプは、移動範囲の一方の端部における第1の位置と他方の端部における第2の位置との間で、上述のように端子耳に沿って移動可能な接触組立体を有するものとなる。幾つかの実施形態において、端子クランプは、端子クランプの重量を支持すると同時に、フレームと端子クランプ・端子耳組立体との差分熱膨張を可能にする補償ブラケット・システムを用いて、ブッシングのフレームから支持することができる。そのような補償ブラケットは、支持フレームに固定された第1のブラケットと、クランプ本体に固定された第2のブラケットと、第1のピボット・ピンによって第1のブラケットに固定され、第2のピボット・ピンによって第2のブラケットに固定されたクランプ支持体とを含むことができる。変形においては、1つより多くの端子クランプを単一の端子耳に固定することができる。例えば、単一の端子耳に、少なくとも2つ又は3つの端子クランプ組立体を固定することができ、それらの各々が、繊維化プロセスを中止することなく、正確な温度制御のための異なる位置に調節することができる接触組立体を保持する。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、支持フレーム、端子耳、及び端子耳に係合した上述のいずれかの端子クランプを有する繊維化ブッシングの動作温度を調節する方法であって、ブッシングは加熱され、繊維化プロセスは開始されている、該方法は、繊維化動作を中断することなく、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で接触組立体をクランプ本体に対して移動させることによって、接触組立体の接触位置を端子耳に沿って調節するステップを含み、ここで第1の位置において、端子耳との接触位置は、第2の位置におけるものよりもクランプ本体の第1の端部により近い。
【0019】
この方法によれば、ブッシングの端板領域の温度を上げるために、接触組立体を第1の位置に向かって移動させ、ブッシングの端板領域の温度を下げるために、接触組立体を第1の位置から離れるように移動させる。回転アクチュエータのようなアクチュエータを用いて、接触位置を調節することが好ましく、この方法は、アクチュエータを回転させるステップを含む。本方法は、上述のように端子耳を端子クランプ組立体と係合させ、端子耳に対して接触組立体を移動させることにより、最初の第2の係合位置を端子耳に沿って調節するステップをさらに含むことができる。さらに本方法は、加熱及び冷却によるブッシングの膨張及び収縮を可能にしながら、支持フレーム上に端子クランプを支持するステップを含むことができる。
【0020】
本発明の別の態様において、端子クランプ組立体は、ブッシング端子耳を保持するための、クランプ本体の第1の端部における顎スロットを含むクランプ本体を含み、ここで、クランプ本体は、主として銅及びニッケルを含み、他の元素は総計で約25%より少ない量で存在する合金で構成され、この合金は、華氏1300度までの動作温度範囲と、80マイクロオーム・センチメートル(μΩ・cm)を超えない電気抵抗とを示す。例えば、クランプ本体は、本質的に、重量で、約20%から約90%までの量の銅と、約15%から約85%までの量のニッケルと、総計で25%、理想的には10%を超えない量の他の元素から成るものとすることができる。
【0021】
直ぐ上で説明した端子クランプ組立体は、接触組立体をさらに含むことができ、この接触組立体は、主として鉄、クロム及びニッケルから成り、他の元素は総計で約25%までの量で存在する合金で構成され、この合金は、華氏2200度までの動作温度範囲と、400ワット毎メートル度K(W/m・K)とを示す。例えば、接触組立体は、本質的に、重量で、約10%から約35%までの量のクロムと、約5%から約60%までの量の鉄と、約25%から約95%までの量のニッケルと、総計で約25%、理想的には約10%を超えない量の他の元素から成る合金を含むことができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様において、端子耳及び支持フレームを含む繊維化ブッシングのための端子クランプ組立体が提供され、この端子クランプ組立体は、ブッシング端子耳を保持するための、クランプ本体の第1の端部における顎スロットを定める顎部分を含むクランプ本体と、支持フレームに固定された第1のブラケットと、クランプ本体に固定された第2のブラケットと、第1のピボット・ピンにより第1のブラケットに固定され、第2のピボット・ピンにより第2のブラケットに固定されたクランプ支持体とを含む膨張補償支持システムと、を含み、ここで、フレームとクランプ本体の差分膨張を可能にするようにピボット運動しながら、クランプ本体の重量が膨張補償支持システムによりフレーム上に支持される。
【0023】
以下の説明において、本発明の幾つかの異なる実施形態が、本発明を実施するのに最も適した幾つかの形態の単なる例証として示され、説明される。理解されるように、本発明は、他の異なる実施形態も可能であり、その幾つかの詳細は、全て本発明から逸脱することなく、種々の明白な態様における修正が可能である。従って、図面及び説明は、限定するものとしてではなく、本質的に例証するものであると見なされる。
【0024】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の幾つかの態様を示し、説明と共に、本発明の特定の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の端子クランプ組立体の分解斜視図である。
【図2】図1の端子クランプ組立体の側面図である。
【図3】図1の端子クランプ組立体の正面図である。
【図4】図1の端子クランプ組立体の上面図である。
【図5】本発明の端子クランプ組立体を含むブッシング組立体の側面図(部分的断面図)である。
【図6】端子クランプ組立体をブッシングの支持フレームに取り付けるための補償ブラケット・システムを示す、部分的に拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで本発明の特定の実施形態が詳細に参照され、その幾つかの例が添付図面に示される。
【0027】
他に特に定めのない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で本発明の説明に用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、発明を限定することを意図したものではない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、文脈から明らかにそうでないことが示されていないかぎり、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、複数形も同様に含むことが意図される。公開された又は対応する米国又は外国の特許出願、発行された米国又は外国の特許、又はいずれかの他の文献を含む、本明細書で引用される全ての文献はそれぞれ、引用された文献中に提示される全てのデータ、表、図、及びテキストを含む、それらの全体が引用により本明細書に組み入れられる。図面において、線、層、及び領域の厚さは、明確にするために誇張されていることがある。
【0028】
特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いられるような、角度又はシート速度、成分の量又は百分率などの大きさの範囲、並びに、分子量、反応条件などの特性等を表す全ての数値は、全ての場合において、用語「約(about)」により修正されることが理解されるべきである。従って、特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲において示される数値特性は、本発明の実施形態において得ようとする望ましい特性に応じて変化し得る近似値である。
【0029】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例において示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの測定値に見出される誤差の結果必然的に生じるある一定の誤差を本質的に含んでいる。全ての数値範囲は、その範囲の外側境界内の全ての可能な付加的小領域を含むものと理解される。従って、30度から90度までの範囲は、例えば、35度から50度まで、45度から85度まで、及び40度から80度までなどを表す。
【0030】
本明細書で用いる場合、「ヒートシンク」は、1つの位置から熱を取り去るのを促進し、別の位置に散逸させるための任意の機構を指す。ヒートシンクは、伝導、放射若しくは対流プロセス、又はこれらのいずれかの組み合わせによって動作することができる。典型的なヒートシンクは、熱を流れ過ぎる空気に伝えるブレード又はフィン、及び熱を移動させて除去する冷媒を通す流体通路を含む。
【0031】
本明細書で用いる場合、「並進運動」は2つの端部位置の間の前後の往復移動を意味する。補助ヒートシンク本体20に関連して用いる場合、並進運動は、クランプ本体12から離れてブッシングの端壁76に向かう一方向、及びブッシングの端壁76から離れてクランプ本体12に向かう逆方向における移動を意味する。この並進運動の範囲は図4に示され、ここで補助ヒートシンク本体20は、クランプ・ヘッド12Bの端面14に最も近い第1の端部位置において実線で示され、クランプ・ヘッド12Bの端面14から最も離れた(ブッシングに最も近い)反対の端部位置において想像線で示される。これらの端部はまた、図5においてそれぞれ点P2及びP1で示される。
【0032】
本明細書で用いる場合、「係合位置」及び「接触位置」は交換可能に用いられ、補助ヒートシンク本体20が並進運動の範囲にわたって移動するときに接触組立体22が端子耳78と係合又は接触する種々の位置、中間位置又は端位置のいずれかを指す。
【0033】
図1〜図6は、本発明の端子クランプ組立体10を示す。端子クランプ組立体10は、ほぼL型(図には逆さまの「L」として示される)のクランプ本体12を含む。クランプ本体12は、ほぼ直交関係に配置されたステム部分12A及びヘッド部分12Bを含む。他の構成も可能であるが、このL型は、ブッシング組立体の周りの空間を考慮するために、また、以下に説明されるアクチュエータ56を支持するために、便利である。ヘッド12Bは、付随する下部顎16を収容するように設計された凹部を有する第1の端面14を含む。
【0034】
下部顎16は、一連の締め付けねじ18を用いてクランプ本体12のヘッド12Bに締結される。下部顎16は、ヘッド12Bの凹部と協働して、図5及び図6に示すような端子耳78を収容し、把持するための顎スロット16Bを定め、端子耳78とクランプ組立体10との間に第1の固定係合点を形成する。下部顎16はまた、随意的に端子耳78を収容するような大きさに作られた凹部16Aを含むこともできる。締め付けねじ18は、クランプ組立体10が接続される、端子耳78内の協働する位置合せ孔(図示せず)を貫通する。示される実施においてヘッド12Bの凹部及び下部顎16が示されるが、それらは本発明にとって本質的なものではない。そのような凹部又は顎がないクランプ組立体を用いることもでき、本明細書で用いられ「顎スロット」という用語は、定義可能な「顎」又はヒンジ部分が存在するかどうかに関係なく、クランプ本体を端子耳78としっかりと係合させる、任意の締め付け又は固定手段を意味する。クランプ・ステム12Aの別の端部では、電流源S(図5に概略的に示され)が、端子ボルトを介して又は当業者には周知の別の従来の方法で、クランプ本体12に適用される。
【0035】
図2−図4に最も良く示されるように、クランプ本体12は、該クランプ本体12から熱を取り去るための一次ヒートシンク38を含む。他のヒートシンク構成も可能であるが、図示した実施形態において、一次ヒートシンク38は、冷却流体源F(図6に示される)に接続された入口40Aを有する内部冷媒通路40を含む。入口40Aは、ステム12B内の上昇管40B、ヘッド12A内のループ40C、同じくステム12A内の下降管40Dに、そして最終的に出口40Eに続く。端子耳78からの熱は、スロット16Bにおけるヘッド12Bとの固定接点により、端子クランプ本体12に流れ、クランプ本体12を通して一次ヒートシンク38に伝達される。ここで、当技術分野において周知の方法で、熱をクランプ本体12から冷却流体に伝達してクランプ本体から取り去り、その温度を、1500Fにまでなり得る適切な動作範囲に維持する。
【0036】
次に、クランプ本体12と端子耳78との間の第1の固定係合点は、(1)電流を印加してブッシングを加熱すること、及び(2)一次ヒートシンク38を介して熱を端子耳78から除去すること、2つの機能をもたらすことを認識すべきである。従って、クランプ本体12についての材料の選択には、主要機能の考慮事項間のトレードオフを要する。最優先事項として、熱に耐えるために十分に高い動作温度範囲を有する必要がある。最高動作温度は、常に融解温度より低く、通常、クランプ本体12と端子耳78の界面において導電性及び熱伝導性の両方に悪影響を及ぼす酸化傾向により制限される。従って、金属がその動作温度を超える環境において用いられる場合、通常その悪影響は、(1)端子耳とクランプの界面における電圧降下の大きさの増加、及び(2)端子耳78の温度上昇として現れることになる。従って、動作温度範囲は、他の全ての要因が一定のままである(即ち、補償手段がない)とき、(1)耳とクランプの界面の電圧降下の大きさにおける0.2ボルト又はそれ以上の増加、及び(2)端子耳の温度における華氏50度又はそれ以上の増加の一方又は両方を引き起こすのに十分に金属が酸化する温度によって上端が制限される。
【0037】
第2の主要因は材料の電気抵抗であり、これは電流を効果的に伝えるように低くなければならない。最後に、第3の主要因は熱伝導性である。熱を端子耳78から一次ヒートシンク38に効果的に伝えるように、材料は高い熱伝導性を有することが望ましい。以下の表1は、これらの要因の各々に関する可能な範囲及びより望ましい範囲を示す。以下の表2は、本発明との関連で有用な、代表的な合金組成物及び幾つかの市販の合金を示す。実際には、材料の選択に影響を及ぼす他の要因として、コスト、重量、脆性、強度、耐久性、及び当業者に容易に明らかとなる他の要因を挙げることができる。
【0038】
端子クランプ組立体10はまた、ほぼ箱のようであり、クランプ本体12のヘッド12Bの下にステム部分12Aに隣接して、言い換えれば、「L」型の湾曲部内に、嵌合するような大きさにすることができる、補助ヒートシンク本体20も含む。補助ヒートシンク本体20は、4つの側部、ヘッド12Bの下面にほぼ当接する上面、及び底面を有する。補助ヒートシンク本体20は、その主要機能を実行するための2つのサブコンポーネント、即ち接触組立体22及び二次ヒートシンク32を支持する又は具体化する。これらは恊働して、第1の位置とは異なる第2の位置において端子耳を接触させ、熱をそこから二次ヒートシンクに伝え、端子耳から熱を取り去る。このため、補助ヒートシンク本体20、並びにそのサブコンポーネントである接触組立体22及び二次ヒートシンク32について材料の選択には、同様に主要機能の考慮事項間のトレードオフを要する。補助ヒートシンク本体20及び接触組立体22の両方とも、十分に高い動作温度範囲を有する必要があり、これはクランプ本体12に対するよりもさらに厳しい要件である。接触組立体22に対して、要求される動作温度範囲は、2200乃至2400Fもの高さになることがあり、前述のように、動作温度の制限要因は、一般に、酸化傾向である。第2の主要因は熱伝導率であり、熱をこの第2の位置から取り去るために、接触組立体22から二次ヒートシンク38に至る全ての部分(補助ヒートシンク本体20を含む)に、高い熱伝導率が要求される。導電率は、これらのコンポーネントにはあまり重要でない要因であるので、電気抵抗率(導電率の逆数)は、クランプ本体12のものより高くてもよい。以下の表1は、これらの要因の各々についての可能な範囲及びより望ましい範囲を示す。実際には、材料の選択に影響を及ぼす他の要因として、コスト、重量、脆性、強度、耐久性、及び当業者に容易に明らかとなる他の要因を挙げることができる。
【0039】
表1:コンポーネントの電気的特性及び物理的特性

【0040】
表2:典型的な合金組成物及び代表的な合金

【0041】
このように、クランプ本体12は、一般に、主に銅及びニッケルで構成され、他の元素は総計で25%まで、一般的には10%未満の量で存在し得る合金から作られる。銅対ニッケルの相対量は、大きく異なり得る。例えば、約20%から約90%までの銅と約15%から約85%までのニッケル、又はより具体的には約25%から約75%までの銅と約20%から約70%までのニッケルとすることができ、他の元素は総計で約10%まで存在してもよい。これにより、許容可能な熱伝導率と併せて望ましい動作温度及び導電率がもたらされる。
【0042】
補助ヒートシンク本体20はまた、多少異なる組成の合金からも作ることができる。クランプ本体12に比べて、高い動作温度はより重要であるが、導電率はあまり要求されないので、低温の銅を避けることができる。補助ヒートシンク本体20のための合金は、主としてクロム、鉄及びニッケルで構成することができ、他の元素は総計で約25%まで、一般的には10%未満の量で存在し得る。クロム、鉄及びニッケルの相対量は大きく異なり得る。例えば、約10%から約35%までのクロム、約30%から約95%までの鉄、及び約5%から約30%までのニッケル、又はより具体的には約15%から約30%までのクロム、約45%から約75%までの鉄、及び約8%から約25%までのニッケルとすることができる。
【0043】
接触組立体22はまた、多少異なる組成の合金からも作ることができる。ここでは高い動作温度及び熱伝導率が最も重要であるが、導電率はあまり要求されないので、低温の銅を避けることができる。接触組立体22のための合金は、主にクロム、鉄及びニッケルで構成することができ、他の元素は総計で約25%まで、一般的には10%未満の量で存在し得る。クロム、鉄及びニッケルの相対量は大きく異なり得る。例えば、約10%から約35%までのクロム、約5%から約60%までの鉄、及び約25%から約95%までのニッケル、又はより具体的には約15%から約30%までのクロム、約7%から約45%までの鉄、及び約35%から約80%までのニッケルとすることができる。
【0044】
上述した3つの部分の各々の合金組成物に関して、ニッケルは、ニッケル・コバルト複合体を含むことができ、他の潜在的に有用な及び/又は許容できる微量元素は、例えば、アルミニウム、炭素、コバルト、クロム、鉛、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、ケイ素、硫黄、スズ、チタン、タングステン、亜鉛、及びニオブを含むことができ、全ての百分率は重量に基づいている。
【0045】
上述のように、補助ヒートシンク本体20は、二次ヒートシンク32を含む。図1に示される実施形態により示されるように、二次ヒートシンク32は、冷却コイル36を収容するチャネル34を含む。冷却コイル36は、冷却流体供給源F(図6に示される)に接続された入口36A、チャネル34内に収容されるループ部分36B、及び出口36Cを有する。ループ部分36Bは、通路の上昇管及び横断面によって入口36A及び出口36Cに接続される。図2、図3及び図6に示されるように、冷却コイル36の入口36A及び出口36Cは、クランプ・ステム12B内の開口部42を通って延びて流体接続を容易にする。
【0046】
同じく上述のように、補助ヘートシンク本体20はまた、クランプ・ヘッド12Bのスロット16B内の固定係合とは異なる第2の接触位置において端子耳78に係合するための少なくとも1つの接触組立体22を含む。接触組立体22は、熱を、端子耳78から補助ヒートシンク本体20へ、そこから二次ヒートシンク32へ、さらに端子クランプ組立体10から取り去る、効率的な熱伝導を維持するように、端子耳78と着実な接触をなす必要がある。本明細書で用いられる「着実な接触(consistent contact)」という用語は、接触組立体22が、補助ヒートシンク本体20の並進運動の全範囲にわたる全ての位置又は「係合位置」にわたって、熱を端子耳78から補助ヒートシンク本体20に伝達するのに十分な集合面積にわたって端子耳78との係合を維持することを意味する。従って「着実な接触」は、接触組立体22の熱伝導率、及び、接触組立体22が端子耳78に接触する集合面積の両方によって決まり、これは、接触組立体22の組み合わせられた幅W1及び深さD1の積である。
【0047】
多くの適切な接触組立体22が可能であるが、示される実施形態において、接触組立体22は、5つの接触ブロック24を実質的に線状配列で収容し、保持するための、一連の5つの受け用スロット22Aを含む。各々のレシーバ・スロット22Aは、本体材料のバーによって分離された細長いノッチを含み、各々の接触ブロック24は、各端部に「セリフ」又は拡大肩部部30を有するI形状である。端板26は、レシーバ・スロット22Aの開放端を閉鎖し、接触ブロック24を接触組立体22内に捕捉するように、補助ヒートシンク本体20上に収容される。ねじの形の締結具28が、端板26を適所に保持する。理解すべきように、各々の接触ブロック24の拡大肩部部30は、長手方向/垂直方向における幾らかの移動を可能にしながら、接触ブロック24をレシーバ・スロット22A内に捕捉するように働く。各々の接触ブロック24の拡大肩部部30は、端子耳に平行な面を有し、これは、全ての接触ブロック24の集合的な幅W1と集合的な深さD1の積が端子耳78との接触面積を定めるような幅及び深さを有する。
【0048】
ばね板44が補助ヒートシンク本体20の底面に固定され、接触ブロック24を上向きに付勢して端子耳78と着実に接触させる。示される実施形態において、5つのレシーバ・スロット22A及び5つの接触ブロック24が示されるが、必要に応じて、より少ない又はより多いレシーバ・スロット及び接触ブロック24を設けることができる。接触ブロック24及びそのレシーバ・スロット22Aは、着実な接触及び熱伝達を確実にするための1つの便利な方法にすぎない。ばね板44は、ねじ46のような締結具によって補助ヒートシンク本体20に固定される。止めねじ48により、ばね板44によって接触ブロック上に与えられる上向きの付勢力を調節することが可能になる。締結具50は、ばね板44内のノッチを通って、かつ、補助ヒートシンク本体20内の細長いスロット52を通って延び、クランプ本体12内の開口部54にねじ係合する。
【0049】
好ましい実施形態において、締結具50は、補助ヒートシンク本体20をクランプ本体12に対して所定の位置に固定するのに十分には締め付けられていない。むしろ、締結具50は、補助ヒートシンク本体20をクランプ本体12に対して慴動可能に保持し、クランプ本体12の端面14に向けて又はそこから遠ざかる、接触組立体22(補助ヒートシンク本体20の一部分として)の並進運動を可能にする。さらに、補助ヒートシンク本体20の上面及びクランプ・ヘッド部分12Bの底面は、並進運動を容易にするための溝又はガイドを随意的に含むことができる。この並進運動の目的はすぐ後で説明する。この実施形態においては、補助ヒートシンク本体20は接触組立体22及び二次ヒートシンク32の両方をその本体内に支持するので、これらの各々がクランプ本体12及び端子耳78に対する並進運動を行う。しかしながら、並進運動が望まれるとき、接触組立体22だけが並進運動を行う必要があることを理解すべきである。代替的な構成においては、接触組立体22が選択的に移動可能であり、効率的に熱を伝導するために二次ヒートシンク装置と十分に接触させるならば、補助ヒートシンク本体20及び/又は二次ヒートシンク382をクランプ本体12に対して固定することができる。
【0050】
再び図1〜図6に示される実施形態を参照すると、アクチュエータ56が、クランプ本体12に対する補助ヒートシンク本体20のこの並進運動を達成し、クランプ本体12が端子耳78にしっかりと固定されるので、補助ヒートシンク本体20も、端子耳78に対して移動する。アクチュエータ56は、3つの便利な例のようにレバー型、くさび型、又は回転型とすることができる。レバー型では支持台が用いられ、てこの力を適用して、補助ヒートシンク本体20の位置を調節する。くさび型アクチュエータは、その傾斜面を2つの本体12、20の間で横方向に前後に動かすことにより、この並進運動を達成する。回転型アクチュエータは、ウォーム・ギア又はドロー・ボルトのようなねじ又はねじ山手段によって並進運動を達成する。
【0051】
示される実施形態において、アクチュエータ56は、クランプ本体12内の開口部60にねじ係合するドロー・ボルト58である。ドロー・ボルト58の先端62は、補助ヒートシンク本体20の後壁内のキャビティ又はスロット(図示せず)内に収容され、保持される。アクチュエータ58が第1の方向に回転すると、アクチュエータは、補助ヒートシンク本体20に、クランプ本体12の面14から離れるように図2に示される動作矢印Bの方向に移動させる。反対にアクチュエータ58が逆方向に回転すると、補助ヒートシンク本体20は、クランプ本体12の面14に向かうように動作矢印Cの方向に移動させられる。
【0052】
ここで、本発明の端子クランプ組立体10を含むブッシング組立体70を示す図5を参照する。明確にするために、ブッシング組立体70の一方の端部のみが図5に示されるが、反対側の示されていない端部は図示される構造体の鏡像であることを認識すべきである。図示したように、ブッシング組立体70は、底板74、側板又は壁75(図面の図には、後部側板のみが見える)、及び端板又は壁76を含むブッシング72を含む。明確にするために、ブッシング72の周りの典型的な耐熱性鋳造物は示されていない。一連のオリフィス74Aが、底板74内に設けられる。ブッシング72内の溶融ガラスは、繊維化プロセス中にオリフィス74を通り抜ける。図5にさらに示されるように、ブッシング72は端壁76から延びる端子耳78を含む。
【0053】
示されるように、端子耳78は、平坦な水平板である。上述したように、端子耳78の端部は、クランプ・ヘッド12Bと下部顎16との間に定められる顎スロット16B内に収容される。締結ねじ18(図1に示される)が下方に締め付けられ、顎スロット16B内の端子耳78の縁を固定し、端子クランプ組立体10の端子耳との第1の又は一次係合点を形成する。端子クランプ組立体10が端子耳78上に適切に配置されると(図5に示されるように)、ばね板44が接触ブロックを上向きに付勢し、各々の接触ブロック24の上部肩部部30が、第2の係合位置において端子耳78に係合し、着実に接触する。接触組立体22の第2の係合位置は、端子耳78から熱を取り去るための2次又は補助経路をもたらすように働き、好ましい実施形態において、経路は以下に説明する理由のために選択的に変更可能である。
【0054】
繊維化プロセス中、ブッシング72内の溶融ガラスは、オリフィス74Aを通り抜けて、一連のガラス・フィラメントを形成する。ブッシング72内の溶融ガラスは、端子クランプ組立体10及び端子耳78を通して供給される電流によって加熱される。この目的を達成するために、上述のように、クランプ本体12、補助ヒートシンク本体20、及び端子クランプ組立体10の接触ブロック24は、全て高温動作範囲を有する合金で作られるべきである。有利なことに、これらの好ましい合金は、純銅よりも遥かに高い動作温度範囲を有し、従って、端子クランプ組立体10は、ブッシング72及び溶融ガラスのずっと近くに配置することができる。従って、端子耳78は、より少ない材料から、ずっと短く作ることができる。端子耳78は高価な白金合金から作られるので、これは、ブッシング72の端子耳78を製造するコストを実質的に減らす。
【0055】
繊維化プロセス中、ブッシング72内の溶融ガラスの均一な温度を維持することが望ましい。これは、ブッシング72内の溶融ガラスの温度が、粘度及び動作効率、並びにオリフィス74Aを通して製造されるガラス・フィラメントの最終直径に直接的な影響を与えるためである。しかしながら、対流電流、電気抵抗の変動及び他の要因が、ブッシング72内の不均一な温度を引き起こす傾向があるので、ブッシング72の温度を制御することが望ましい。有利なことに、本発明のクランプ組立体10は、繊維化動作を中断することなく、ブッシング72の、特にその端部における温度をより正確に制御することを可能にする。より具体的には、接触組立体22をクランプ本体12の面14に向けて又はそこから離れるように選択的に移動させることによって、第2の接触位置を移動させ、接触組立体22及び二次ヒートシンク32を通る代替的な熱伝導経路を、それぞれ長く又は短くすることができ、これにより、端子耳78及びブッシング72の端部領域を(それぞれ)暖める又は冷やす。上述のように、アクチュエータ56が、補助ヒートシンク本体20及びその接触組立体22のこの選択的な移動をもたらす。
【0056】
図5に示される実施形態において、顎スロット16Bは、水平方向に延びる端子耳78を含む第1の平面内に延びることを認識すべきである。補助ヒートシンク本体20は、第1の平面に平行な第2の平面内において、クランプ本体12に対する補助ヒートシンク本体20の並進運動を可能にする方法で細長スロット52を通って延びる締結具50によってクランプ本体12に取り付けられる。その結果、繊維化プロセスを中断する必要なしに、繊維化ブッシング12の動作温度を調節する方法が提供される。初めのステップとして、1つ又はそれ以上の端子クランプ組立体がブッシングの端子耳に取り付けられると仮定される。移動可能な補助ヒートシンク本体の場合には、接触ブロック24の端子耳78との最初の係合点が2つの両端位置の間のどこかで確立されるとさらに仮定される。
【0057】
次に、ドロー・ボルト・アクチュエータ58を中点からいずれかの方向に回転させて接触ブロック24の端子耳78との係合点を調節することによって、本発明の方法を実施する。従って、第2の接触位置は、点P1とP2との間のどこかに移動させることができる。第2の係合位置は面14から離れるように、端板75及び底板74を含むブッシング72に向かって移動するので、ブッシング72の温度、従ってブッシング内の溶融ガラスの温度は、補助ヒートシンク本体20内に支持される冷却コイル36を通る冷却流体の循環によって低下する。最も内側の位置P1が、ブッシング72に関する最も低い動作温度を与える。反対に、係合位置が面14に向かって、ブッシング72の端板75及び底板74から離れるように移動すると、ブッシング及び内部に含まれる溶融ガラスの温度は上昇する。点P2は、反対の並進運動の最も外側の位置を表し、ブッシング72に関する最も高い動作温度を表す。
【0058】
重要なことに、繊維化動作中でも、補助ヒートシンクの位置、従って接触ブロック24と端子耳78との間の接触点を調節できることを認識すべきである。従って、本発明の端子クランプ組立体10を用いて、温度調節中に製造時間が失われることはない。さらに、本発明による複数の、例えば2つ又はそれ以上の端子クランプ組立体10を、各々の端子耳78にわたって用いることにより、より正確な温度制御を達成することができる。このように、各々の接触組立体22は、ブッシング72から同じ距離又は異なる距離に別個に調節することができる。
【0059】
上述のように、クランプ組立体10のこの設計は、耳78をより少ない材料からより短く作ることを可能にする。従って、耳78は、あまり強固でなくなる可能性がある。従って、クランプ組立体10の重量を耳78から離して支持することが望ましい。また、温度が非常に高いために、加熱及び冷却サイクル中にブッシング組立体70のコンポーネントの大幅な膨張及び収縮が生じる。有利なことに、端子クランプ組立体10は、クランプ組立体を支持するだけでなく、いかなる膨張及び収縮をも完全に吸収する、全体が参照数字90で示される補償ブラケット・システムを組み込む。図5及び図6に示されるように、補償ブラケット・システム90は、ブッシングの支持フレーム94に取り付けられた第1のブラケット又はトラニオン(trunnion)92を含む。第2のブラケット又はトラニオン96は、クランプ本体12上に支持される突起98に取り付けられる。クランプ支持体100が、第1の端部において第1のピボット・ピン102によって第1のブラケット92に固定され、第2の端部において第2のピボット・ピン104によって第2のブラケット96に固定される。端子クランプ組立体10は、突起98及び/又はクランプ支持体100を電気絶縁材料から作ることによって、支持フレーム94から電気的に絶縁することができる。全ての実施形態において、クランプ組立体をフレームから電気的に絶縁する必要がある。
【0060】
補償ブラケット・システム90は、ピボット・ピン102、104の各々において2つの恊働するピボット点を与える。例えば、ブッシング72、端子耳78及び支持フレーム94を含むブッシング組立体70の種々のコンポーネントが、加熱及び冷却中に膨張及び収縮するとき、クランプ組立体10は、自由に移動してブッシングの膨張及び収縮を吸収する。常に、補償ブラケット・システム90の二重ピボット点が、適切な幾何学的形状を有する端子クランプ組立体10を維持し、端子耳78を顎スロット16B内に完全に収容し、保持する。
【0061】
本発明の好ましい実施形態についての上記の説明が、例証及び説明のために提示された。これは網羅的であること又は本発明を開示した通りの形態に限定することを意図したものではない。上記の教示に照らして、明白な修正又は変形が可能となる。例えば、クランプ本体12を純銅から作製する一方で、補助ヒートシンク本体20及び接触ブロック24のみを高温合金から作製することができる。実施形態は、本発明の原理及びその用途の最良の説明を与えるように選択及び記載され、これにより、当業者が本発明を種々の実施形態において、企図した特定の用途に適した種々の修正を施して利用できるようにした。そのような全ての修正及び変形は、適切に、合法的に、かつ公正に権利が付与される範囲に従って解釈されるとき、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内にある。図面及び好ましい実施形態は、それらの公正かつ広義の解釈において、特許請求の範囲の通常の意味を多少なりとも限定するものではなく、限定することを意図したものでもない。本発明の幾つかの実施形態においては、本発明の特定の特徴を用いて、対応して他の特徴を使用することなく、利益をもたらすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子耳及び支持フレームを含む繊維化ブッシングのための端子クランプ組立体であって、前記端子クランプ組立体は、ブッシング端子耳を保持するための、クランプ本体の第1の端部における下部顎と、前記クランプ本体から熱を取り去るための一次ヒートシンクとを含むクランプ本体を備え、
前記下部顎とは異なる接触位置で前記端子耳に接触するための接触組立体を有する補助ヒートシンク本体が、前記クランプ本体に取り付けられ、前記補助ヒートシンク本体は、前記クランプ本体から付加的な熱を取り去るための二次ヒートシンクを含む、
ことを特徴とする端子クランプ組立体。
【請求項2】
前記接触組立体は、少なくとも第1の位置と第2の位置との間の移動のために前記クランプ本体に移動可能に取り付けられ、前記第1の位置において、前記端子耳との前記接触位置は、前記第2の位置におけるものよりも前記クランプ本体の前記第1の端部に近いことを特徴とする、請求項1に記載の端子クランプ組立体。
【請求項3】
前記接触組立体を少なくとも前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるためのアクチュエータをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の端子クランプ組立体。
【請求項4】
前記アクチュエータは、回転時に前記移動を生じさせる回転型アクチュエータであることを特徴とする、請求項3に記載の端子クランプ組立体。
【請求項5】
前記1次ヒートシング及び前記二次ヒートシンクの両方とも、冷却流体が流れる流体通路を含むことを特徴とする、請求項1に記載の端子クランプ組立体。
【請求項6】
前記接触組立体は、前記端子耳を含む平面に平行な平面内で前記クランプ本体に対して並進運動するのを可能にするように、前記クランプ本体に移動可能に取り付けられた補助ヒートシンク本体上に支持されることを特徴とする、請求項2に記載の端子クランプ組立体。
【請求項7】
前記接触組立体は、前記補助ヒートシンク本体内に形成されたスロット内に支持される複数の接触ブロックを含み、前記接触ブロックを付勢して前記端子耳と係合させるための、前記補助ヒートシンク本体上に支持されるばね板をさらに含み、前記接触位置は前記接触ブロックの各々の接触の集合面積を含むことを特徴とする、請求項6に記載の端子クランプ組立体。
【請求項8】
前記クランプ本体を前記ブッシングの支持フレームに取り付けるための補償ブラケット・システムをさらに含み、前記補償ブラケット・システムは、前記支持フレームに固定された第1のブラケットと、前記クランプ本体に固定された第2のブラケットと、第1のピボット・ピンにより前記第1のブラケットに固定され、第2のピボット・ピンにより前記第2のブラケットに固定されたクランプ支持体とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の端子クランプ組立体。
【請求項9】
前記接触組立体及び前記補助ヒートシンク本体は、主として鉄、クロム及びニッケルから成り、他の元素は総計で約25%までの量で存在する、合金で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の端子クランプ組立体。
【請求項10】
前記合金は、華氏2200度までの動作温度範囲と、400ワット毎メートル・度K(W/m・K)までの熱伝導率と、80マイクロオーム・センチメートル(μΩ・cm)から140マイクロオーム・センチメートル(μΩ・cm)までの間の導電率とを示すことを特徴とする、請求項9に記載の端子クランプ組立体。
【請求項11】
支持フレーム、底板、側板、端板及び少なくとも2つの端子耳を含むブッシングを含むブッシング組立体であって、請求項2から請求項10までのいずれかに記載の少なくとも1つの端子クランプ組立体が、前記端子クランプ組立体の下部顎によって前記端子耳に固定されることを特徴とするブッシング組立体。
【請求項12】
少なくとも3つの端子クランプ組立体をさらに含み、少なくとも1つの端子耳は、少なくとも2つの端子クランプ組立体においてそこに固定されることを特徴とする、請求項18に記載のブッシング組立体。
【請求項13】
支持フレームと、端子耳と、前記端子耳と係合した請求項2から請求項10までのいずれかに記載の端子クランプ組立体とを有する繊維化ブッシングの動作温度を調節する方法であって、前記ブッシングは加熱され、繊維化プロセスは開始されている、前記方法は、
前記繊維化プロセスを中断することなく、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で前記接触組立体を前記クランプ本体に対して移動させることによって、前記接触組立体の前記接触位置を前記端子耳に沿って調節するステップを含み、前記第1の位置において、前記端子耳との前記接触位置は、前記第2の位置におけるものよりも前記クランプ本体の前記第1の端部に近いことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記端子クランプ組立体を前記端子耳に係合させ、前記第2の接触位置の最初の調節を行うステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アクチュエータは回転型アクチュエータを含み、前記接触位置を調節するステップは、前記アクチュエータを回転させるステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
端子耳を含む繊維化ブッシングのための端子クランプ組立体であって、前記端子クランプ組立体は、ブッシング端子耳を保持するための、クランプ本体の第1の端部における顎を含むクランプ本体を含み、前記クランプ本体は、銅及びニッケルを含み、他の元素は総計で約25%までの量で存在する合金で構成され、前記合金は、華氏1300度までの動作温度範囲と、80マイクロオーム・センチメートル(μΩ・cm)を超えない電気抵抗率とを示すことを特徴とする端子クランプ組立体。
【請求項17】
前記合金は、本質的に約20%から約90%までの量の銅と、約15%から約85%までの量のニッケルとから成り、他の元素は総計で約10%までの量で存在することを特徴とする、請求項16に記載の端子クランプ組立体。
【請求項18】
前記合金は、基本的に約25%から約75%までの量の銅と、約20%から約70%までの量のニッケルとから成り、他の元素は総計で約10%までの量で存在することを特徴とする、請求項17に記載の端子クランプ組立体。
【請求項19】
接触組立体をさらに含み、前記接触組立体は、鉄、クロム及びニッケルを含み、他の元素は総計で約25%までの量で存在する合金で構成され、前記合金は、華氏2200度までの動作温度範囲と、400ワット毎メートル・度K(W/m・K)までの熱伝導率とを示すことを特徴とする、請求項16に記載の端子クランプ組立体。
【請求項20】
前記接触組立体の合金は、本質的に、約10%から約35%までの量のクロムと、約5%から約60%までの量の鉄と、約25%から約95%までの量のニッケルとから成り、他の元素は総計で約10%までの量で存在することを特徴とする、請求項19に記載の端子クランプ組立体。
【請求項21】
前記接触組立体の合金は、本質的に、約15%から約30%までの量のクロムと、約7%から約45%までの量の鉄と、約35%から約80%までの量のニッケルとから成り、他の元素は総計で約10%までの量で存在することを特徴とする、請求項20に記載の端子クランプ組立体。
【請求項22】
端子耳及び支持フレームを含む繊維化ブッシングのための端子クランプ組立体であって、前記端子クランプ組立体は、ブッシング端子耳を保持するための、クランプ本体の第1の端部における顎スロットを定める顎部分を含むクランプ本体を有し、
前記支持フレームに固定された第1のブラケットと、前記クランプ本体に固定された第2のブラケットと、第1のピボット・ピンにより前記第1のブラケットに固定され、第2のピボット・ピンにより前記第2のブラケットに固定されたクランプ支持体とを有し、
これにより、前記フレームと前記クランプ本体の差分膨張を可能にするようにピボット運動しながら、前記クランプ本体の重量が前記膨張補償支持システムにより前記フレーム上に支持されることを特徴とする端子クランプ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−504510(P2013−504510A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528924(P2012−528924)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/048411
【国際公開番号】WO2011/031956
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(508076428)オーシーヴィー インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー (43)