説明

水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法および装置

【課題】塗料の洗浄剤を再生する場合、使用済みの洗浄剤を濾過した後に洗浄剤原液を添加していたので、洗浄剤の再生効率が低く、コスト低減や環境問題の解消の効果が不十分であった。
【解決手段】不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過して不純物を取り除き、水性塗料用洗浄剤として再利用するための水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法であって、不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過工程と、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に対して、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミン、およびブチルセロソルブを添加する添加工程とを備え、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミンは、トリエチルアミンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過して不純物を取り除き、水性塗料用洗浄剤として再利用するための水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被塗装物に対して塗装を行う工程においては、塗装色の切り替え時や塗装作業の終了時などに、塗料が付着した塗装機器の洗浄が行われる。
塗装機器の洗浄には、塗料の固形成分などを溶解可能な洗浄剤溶液が用いられるが、一旦洗浄に用いられた使用済みの洗浄剤については、コスト低減や環境問題の観点から、再生して再度洗浄に用いることが好ましい。
【0003】
ここで、使用済みの洗浄剤を再生する方法としては、例えば洗浄剤を蒸留して再生する方法が知られているが、洗浄剤が水性塗料を洗浄するための水性塗料用洗浄剤である場合には、水性塗料用洗浄剤は組成的に水の含有割合が高く、蒸留により回収するには多大なエネルギーを要することとなるため、適切ではない。
【0004】
従って、塗料などの不純物を含んだ使用済みの洗浄剤を、蒸留以外の方法で再生するための技術が種々考案されている。
例えば特許文献1に記載されるように、使用済みの洗浄剤に界面活性剤と電界質を添加して、洗浄剤から固形成分を分離する技術がある。
また、特許文献2に示すように、塗料を含有したシンナーを再生する処理方法として、樹脂分解剤としての強アルカリを添加する工程と、高分子凝集剤を添加する工程と、前記2工程で塗料中の樹脂成分が不溶分として析出した凝集フロックを固液分離する工程とを備えた処理方法が知られている。
さらに、特許文献3に示すように、不純物を含む使用済みのシンナーをリサイクルする装置として、樹脂・顔料などの不純物を含む使用済みのシンナーを回収し、前記不純物を分離膜を用いて分離除去して精製した後、新たなシンナー原液を添加することにより、シンナーのリサイクルを行う装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−213803号公報
【特許文献2】特開2002−45611号公報
【特許文献3】特開2006−210751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述の特許文献1に記載された技術では、使用済みの洗浄剤に含まれる樹脂成分を十分に分解除去したり色の除去を行ったりすることができず、洗浄液を再利用する際の用途が限定されてしまうといった欠点がある。
また、特許文献2に記載された技術により再生されたシンナーは、溶剤塗料を洗浄する際に用いることができるのみであり、水性塗料の洗浄用として用いることはできなかった。
【0007】
さらに特許文献3に記載された技術は、不純物を含むシンナーを分離膜により処理して精製した後、不純物の濃度を一定にするためにシンナー原液を新たに添加しているため、シンナーの再生効率が低く、コスト低減や環境問題の解消の効果が不十分であるという欠点がある。
なお、使用済みのシンナーを再生する際にシンナー原液を新たに添加しているのは、使用済みのシンナーを分離膜により濾過する際に、シンナーに含まれている溶解成分であるアルコールの一部が、分離膜により除去される固形成分中に取り込まれたり、シンナーに含まれる溶解成分であるアミンが、不純物である塗料中に含まれるリン酸基と中和反応を起こして、濾過後のシンナーに含まれるアミン量が減少したりすることで、そのままでは濾過後のシンナーにおける塗料などの溶解力(洗浄力)が低下してしまうためである。
【0008】
そこで、本発明においては、水性塗料用洗浄剤廃液の再生に適用することができ、洗浄剤を再利用する際の用途が限定されることもなく、洗浄剤原液を添加することなく良好な塗料の溶解力(洗浄性)を備えることができて、再生コストを十分に低減するとともに環境負荷の小さい水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法および装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法および装置は、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載のごとく、不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過して不純物を取り除き、水性塗料用洗浄剤として再利用するための水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法であって、不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過工程と、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に対して、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミン、およびブチルセロソルブを添加する添加工程とを備える。
【0010】
また、請求項2記載のごとく、前記水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミンは、トリエチルアミンである。
【0011】
また、請求項3記載のごとく、前記添加工程では、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンをさらに添加する。
【0012】
また、請求項4記載のごとく、前記添加工程の後に、水性塗料用洗浄剤廃液のpHを調整するpH調整工程を備える。
【0013】
また、請求項5記載のごとく、不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過して不純物を取り除き、水性塗料用洗浄剤として再利用するための水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置であって、不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過装置と、前記濾過装置にて濾過された水性塗料用洗浄剤廃液に対して添加剤を添加して混合する混合装置とを備え、前記混合装置にて水性塗料用洗浄剤廃液に添加される添加剤は、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミン、およびブチルセロソルブである。
【0014】
また、請求項6記載のごとく、前記水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミンは、トリエチルアミンである。
【0015】
また、請求項7記載のごとく、前記混合装置においては、水性塗料用洗浄剤廃液に対して、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンがさらに添加される。
【0016】
また、請求項8記載のごとく、前記混合装置にて添加物が混合された水性塗料用洗浄剤廃液のpHを調整するpH調整装置を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下の効果を奏する。
つまり、本発明によれば、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に対して、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミン、およびブチルセロソルブを添加することにより再生洗浄剤を得ることができ、得られた再生洗浄剤は、未使用の水性塗料用洗浄剤と同等もしくはそれ以上の良好な洗浄性を有しているので、再生洗浄剤の用途が限定されることもなく、未使用の水性塗料用洗浄剤と同様の用途に用いることができる。
また、再生洗浄剤を得るために、未使用の水性塗料用洗浄剤(洗浄剤原液)を添加することがなく、添加剤として添加するアミンの量も少量であるので、低い再生コストで環境負荷が小さい再生洗浄剤を得ることができる。
さらに、水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置がpH調整装置を備える場合は、生成された再生洗浄剤のpHが予め設定されている規定のpHなどと異なっていた場合でも、前記pH調整装置により再生洗浄剤のpHを規定のpHなどの適宜値に調整することができ、洗浄性の良い再生洗浄剤を安定して生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置を示す図である。
【図2】水性塗料用洗浄剤のpHおよびブチセロ含有量と洗浄性との関係を示す図である。
【図3】洗浄性の評価を行った再生洗浄剤の各試料の添加成分等を示す図である。
【図4】再生洗浄剤の各試料の洗浄性評価の手順を説明するための図である。
【図5】再生洗浄剤の各試料および未使用の水性塗料用洗浄剤にて洗浄した場合の各試験片の様子を示す図である。
【図6】水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置における濾過装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0020】
図1に示す水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1は、塗装機器2から回収された、塗料などの不純物を含む水性塗料用洗浄剤廃液を濾過して不純物を取り除いた後に、成分調整剤を添加することにより水性塗料用洗浄剤廃液を再生して、水性塗料用洗浄剤として再利用するための装置である。
つまり、塗装機器2から回収された水性塗料用洗浄剤廃液を濾過すると、塗料などの不純物とともに前記不純物の洗浄に寄与する洗浄性成分が取り除かれてしまい、濾過した水性塗料用洗浄剤廃液をそのまま再生水性塗料用洗浄剤として用いると洗浄効果が十分に得られないことから、水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1により、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に成分調整用の添加剤を添加して、十分な洗浄力を有した再生洗浄剤を生成するものである。
【0021】
前記水性塗料用洗浄剤は、塗料の洗浄に寄与する成分として、例えばIPA(イソプロピルアルコール)、BFG(ブチルプロピレングリコール)、ブチセロ(ブチルセロソルブ;エチレングリコールモノブチルエーテル)、およびアミン(1−アミノ−2−プロパノール)を含有しているが、水性塗料用洗浄剤の特性と洗浄性との関係に関し、特に水性塗料用洗浄剤のpHが高く、かつ水性塗料用洗浄剤におけるブチセロの含有量が多いと洗浄性が高くなることが、出願人が実施した実験により分かっている。逆に言えば、水性塗料用洗浄剤のpHが低くなり、水性塗料用洗浄剤におけるブチセロの含有量が減少すると洗浄性が低下する。
つまり、図2(a)には、塗料が付着したテストピースを水性塗料用洗浄剤により洗浄した場合の洗浄性の評価を、水性塗料用洗浄剤のpHを種々変化させて行った結果を示しており、洗浄性評価が良好(○)であるとの結果が得られたのは水性塗料用洗浄剤のpHが11.5を超えた範囲となっている(逆にいえば、水性塗料用洗浄剤のpHが11.5以下の範囲では、可(△)および不良(×)の評価のみが得られている)。
【0022】
また、水性塗料用洗浄剤のpHが11.5を超えた範囲でも、洗浄性評価が良好(○)である場合と不良(×)である場合とがあるが、この違いは水性塗料用洗浄剤に含有されるブチセロ量の多少によるものである。
つまり、図2(b)に示すように、水性塗料用洗浄剤のpHが11.5を超えた範囲において、ブチセロの含有量が0wt%である場合には洗浄性評価が全て不良(×)となっており、ブチセロの含有量が3wt%を超えると良好(○)な洗浄性評価が得られている。
このように、水性塗料用洗浄剤のpHが高く、かつブチセロの含有量が多い場合に高い洗浄性を得ることが可能となっている。
【0023】
また、塗装機器2から回収して濾過した水性塗料用洗浄剤廃液は、その含有成分のうち、アミンおよびブチセロの含有量が未使用の水性塗料用洗浄剤に比べて少なくなっている。
つまり、水性塗料用洗浄剤により塗料(樹脂成分)を洗浄する場合、水性塗料用洗浄剤のアミンが塗料成分に含まれるリン酸化合物と反応して結合することにより塗料が分解されるとともに、塗料が水性塗料用洗浄剤のブチセロやIPAなどのアルコール成分を吸収して膨潤することにより被塗装物から浮き上がった状態となり、分解されるとともに膨潤して浮き上がった状態となった樹脂を水性塗料用洗浄剤のアルコール成分およびエーテル成分により洗い流すことで、洗浄が行われる。
そして、洗浄後に、洗浄に用いた水性塗料用洗浄剤の廃液を塗装機器2から回収して濾過すると、濾過された塗料成分とともに、塗料成分に結合および吸収されたアミンやブチセロが水性塗料用洗浄剤廃液から除去されることとなり、水性塗料用洗浄剤廃液におけるアミンおよびブチセロの含有量が未使用の水性塗料用洗浄剤に比べて少なくなる。
【0024】
例えば、未使用の水性塗料用洗浄剤(つまり水性塗料用洗浄剤原液)は1wt%の前記アミン(1−アミノ−2−プロパノール)を含有しており、濾過された水性塗料用洗浄剤廃液はアミン(1−アミノ−2−プロパノール)の含有量が0%となる。
そして、未使用の水性塗料用洗浄剤のpHは例えば12.2程度であるが、濾過された水性塗料用洗浄剤廃液では、そのpHは例えば10.8程度に低下する。
このように、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液は、未使用の水性塗料用洗浄剤に比べてpHが低く洗浄性が低下するが、特に、塗装機器2に付着した塗料が乾燥した部分についての洗浄性が未使用の水性塗料用洗浄剤に比べて劣る。
従って、濾過された水性塗料用洗浄剤廃液を再生して再使用するためには、水性塗料用洗浄剤廃液のpHを未使用の水性塗料用洗浄剤と同等のpHまで高めて、洗浄性を向上することが望ましい。
【0025】
ここで、アミン(1−アミノ−2−プロパノール)の含有量が0%となった濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に1wt%の前記アミン(1−アミノ−2−プロパノール)を添加すると、その水性塗料用洗浄剤廃液のpHは11.5となり、また、水性塗料用洗浄剤廃液にアミン(1−アミノ−2−プロパノール)のみを添加して、そのpHを未使用の水性塗料用洗浄剤と同等の12.2にするためには、6wt%のアミン(1−アミノ−2−プロパノール)を添加する必要があることが、出願人の実験により分かっている。
【0026】
しかし、水性塗料用洗浄剤廃液に6wt%ものアミン(1−アミノ−2−プロパノール)を添加すると、水性塗料用洗浄剤廃液から排出されるVOC(Volatile Organic Compounds;揮発性有機化合物)の量が多くなるため、環境保護の観点から好ましくない。また、添加するアミン(1−アミノ−2−プロパノール)は高価であるため、水性塗料用洗浄剤廃液の再生コストが高くなってしまう。
【0027】
そこで、本水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1においては、水性塗料用洗浄剤廃液に未使用の水性塗料用洗浄剤に含有されるアミン(1−アミノ−2−プロパノール)のみを添加するのではなく、他のアミンやブチセロなどといった複数の添加剤をも添加することで、さらに添加物を加えた水性塗料用洗浄剤廃液のpHを調整することで、低い再生コストかつ少ない環境負荷にて、塗料の溶解力を十分に備えた再生水性塗料用洗浄剤廃液を生成することを可能としている。
【0028】
次に、水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1の具体的な構成について説明する。
水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1は、塗装機器2から回収した水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過装置10と、前記濾過装置10により濾過された水性塗料用洗浄剤廃液や、該水性塗料用洗浄剤廃液に添加する成分調整剤を貯留する貯留部20と、前記貯留部20に貯留される水性塗料用洗浄剤廃液に前記成分調整剤を添加して混合する混合装置40と、前記混合装置40に対する水性塗料用洗浄剤廃液や成分調整剤の供給量を調整する制御部30と、前記混合装置40にて成分調整剤が混合された水性塗料用洗浄剤廃液を再生洗浄剤として貯留する再生洗浄剤貯留タンク50と、前記再生洗浄剤貯留タンク50に貯留される再生洗浄剤のpHを測定するpH測定器60とを備えている。
【0029】
水性塗料による塗装の色替えや塗装作業の終了時などには、塗装機や塗装容器(塗装カートリッジ)などといった塗装機器2の水性塗料用洗浄剤による洗浄が行われるが、その洗浄の際に排出される水性塗料用洗浄剤廃液には塗料(樹脂成分)などの不純物が含まれており、水性塗料用洗浄剤廃液に含まれる不純物が、前記濾過装置10により濾過されて除去される。
濾過装置10は、例えばUF(限外濾過)膜などのクロスフロー膜を備えており、該クロスフロー膜により前記水性塗料用洗浄剤廃液が濾過される。
【0030】
前記貯留部20は、濾過装置10により濾過された水性塗料用洗浄剤廃液を貯留するための廃液貯留槽21と、水性塗料用洗浄剤廃液に添加する添加剤の溶液を貯留するための複数の添加剤貯留槽(本例においては、第一添加剤貯留槽22・第二添加剤貯留槽23・第三添加剤貯留槽24)を備えている。
第一添加剤貯留槽22にはブチセロ(ブチルセロソルブ)溶液が貯留されており、第二添加剤貯留槽23には水性塗料用洗浄剤が含有しているアミン(以降「洗浄剤含有アミン」と記載する。本例の場合は1−アミノ−2−プロパノール)溶液が貯留されており、第三添加剤貯留槽24には水性塗料用洗浄剤に含有されるアミンとは異なるアミン(以降「添加アミン」と記載する。本例の場合はTEA(トリエチルアミン))溶液が貯留されている。
【0031】
前記廃液貯留槽21と混合装置40とは供給配管31により接続され、前記第一添加剤貯留槽22と混合装置40とは供給配管32により接続され、前記第二添加剤貯留槽23と混合装置40とは供給配管33により接続され、前記第三添加剤貯留槽24と混合装置40とは供給配管34により接続されており、前記各供給配管31・32・33・34を通じて、前記廃液貯留槽21、第一添加剤貯留槽22、第二添加剤貯留槽23、および第三添加剤貯留槽24から混合装置へ各貯留液を供給可能としている。
【0032】
前記制御部30は、前記各供給配管31・32・33・34の途中部に設けられ、該供給配管31・32・33・34の閉度を調節可能な流量調節具31a・32a・33a・34aと、前記流量調節具31a・32a・33a・34aの開度の制御などを行う制御装置35とを備えており、前記制御装置35により前記流量調節具31a・32a・33a・34aの開度を制御することで、各貯留槽21・22・23・24から混合装置40への各貯留液の供給量を調節するようにしている。
【0033】
各貯留槽21・22・23・24からの各液の供給量は、廃液貯留槽21に貯留される水性塗料用洗浄剤廃液に含有される洗浄剤含有アミンやブチセロなどの各種成分の量や、水性塗料用洗浄剤廃液のpHが略一定である場合には、予め制御部30に設定しておくことが可能である。
【0034】
前記混合装置40には、前記廃液貯留槽21からの水性塗料用洗浄剤廃液および各貯留槽22・23・24からの各添加剤溶液が供給され、前記水性塗料用洗浄剤廃液に各添加剤溶液が混合される。
そして、混合装置40にて各添加剤溶液が混合された水性塗料用洗浄剤廃液が、再生洗浄剤として再生洗浄剤貯留タンク50に貯留される。
なお、各貯留槽22・23・24から各添加剤溶液を混合装置40へ供給する場合、全ての貯留槽22・23・24からの添加剤溶液を供給したり、貯留槽22・23・24のうちの一部の貯留槽22・23・24からの添加剤溶液を供給したりすることが可能である。
【0035】
前記pH測定器60は前記制御部30の制御装置35に接続され、該pH測定器60にて測定した再生洗浄剤貯留タンク50内の再生洗浄剤のpH値が前記制御装置35に入力されるように構成されており、pH測定器60および制御装置35により、再生洗浄剤貯留タンク50に貯留された再生洗浄剤のpHの測定および調整を行うpH調整装置が構成されている。
【0036】
このように、水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1においては、再生洗浄剤貯留タンク50に貯留された再生洗浄剤のpHを調整することが可能となっており、そのpHの調整は次のように行われる。
つまり、前記pH測定器60により測定された再生洗浄剤貯留タンク50の再生洗浄剤のpHが予め設定された規定のpHより低かった場合には、前記制御部30の制御により各添加剤貯留槽22・23・24から一定量の各添加剤溶液を供給し、前記混合装置40を通じて再生洗浄剤貯留タンク50へ添加する。
各添加剤貯留槽22・23・24からの各添加剤溶液の添加後、pH測定器60により再生洗浄剤貯留タンク50内における再生洗浄剤のpHを測定し、測定したpHが前記規定のpHよりも低ければ、制御部30の制御により各添加剤貯留槽22・23・24から再生洗浄剤貯留タンク50への一定量の各添加剤溶液の添加が、再度行われる。
このように、再生洗浄剤貯留タンク50への各添加剤貯留槽22・23・24からの各添加剤溶液の添加、およびpH測定器60による再生洗浄剤貯留タンク50内における再生洗浄剤のpHの測定が、再生洗浄剤貯留タンク50内の再生洗浄剤のpHが前記規定のpHに達するまで行われる。
【0037】
逆に、前記pH測定器60により測定された再生洗浄剤貯留タンク50の再生洗浄剤のpHが予め設定された規定のpHより高かった場合には、前記制御部30の制御により前記廃液貯留槽21から一定量の水性塗料用洗浄剤廃液を供給し、前記混合装置40を通じて再生洗浄剤貯留タンク50へ添加する。
前記廃液貯留槽21からの水性塗料用洗浄剤廃液の添加後、pH測定器60により再生洗浄剤貯留タンク50内における再生洗浄剤のpHを測定し、測定したpHが前記規定のpHよりも高ければ、制御部30の制御により廃液貯留槽21から再生洗浄剤貯留タンク50への一定量の水性塗料用洗浄剤廃液の添加が、再度行われる。
このように、再生洗浄剤貯留タンク50への廃液貯留槽21からの水性塗料用洗浄剤廃液の添加、およびpH測定器60による再生洗浄剤貯留タンク50内における再生洗浄剤のpHの測定が、再生洗浄剤貯留タンク50内の再生洗浄剤のpHが前記規定のpHに達するまで行われる。
【0038】
また、水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1においては、前述のごとく再生洗浄剤貯留タンク50に貯留される再生洗浄剤のpHの調整が行われるが、pHの調整により再生洗浄剤貯留タンク50内の再生洗浄剤が前記規定のpHになると、当該再生洗浄剤が前記塗装機器2に送出される。
なお、前記混合装置40から再生洗浄剤貯留タンク50へ供給された再生洗浄剤のpHが、前記規定のpHであった場合には、pHの調整を行うことなく再生洗浄剤を前記塗装機器2に送出することも可能である。
【0039】
以上のように構成される再生装置1により、濾過された水性塗料用洗浄剤廃液に各種添加剤を添加して再生洗浄剤を生成し、生成した再生洗浄剤の洗浄性の評価を行った際の評価結果について説明する。
【0040】
図3に示すように、洗浄性の評価は、塗装機器2から回収して濾過装置10にて濾過された水性塗料用洗浄剤廃液に対して各種添加剤を添加して調製した再生洗浄剤の試料No.1〜6について行った。
添加剤の成分としては、ブチセロ(ブチルセロソルブ)、および洗浄剤含有アミン(1−アミノ−2−プロパノール)、ならびに洗浄剤含有アミンとは異なるアミンであるアミンA(DMAC;ジメチルアセトアミド)、アミンB(トリエタノールアミン)、およびアミンC(TEA;トリメチルアミン)を用いており、試料No.1〜6には、これらの添加剤のうちの何れか一つまたは複数の添加剤を適宜選択して添加している。
【0041】
具体的には、試料No.1には添加剤として3wt%のブチセロが添加され、試料No.2には添加剤として3wt%のブチセロおよび3wt%のアミンAが添加され、試料No.3には添加剤として3wt%のブチセロおよび3wt%のアミンBが添加され、試料No.4には添加剤として3wt%のブチセロおよび2wt%のアミンCが添加され、試料No.5には添加剤として3wt%のブチセロ、1wt%の洗浄剤含有アミンおよび1wt%のアミンCが添加され、試料No.6には添加剤として3wt%のブチセロ、2wt%の洗浄剤含有アミンおよび2wt%のアミンCが添加されている。
また、試料No.1のpHは11.8であり、試料No.2のpHは10.7であり、試料No.3のpHは10.8であり、試料No.4のpHは12.4であり、試料No.5のpHは12.2であり、試料No.6のpHは12.3である。
【0042】
このように調製された各試料No.1〜6の洗浄性の評価は、以下のような手順により行った。まず、図4(a)に示すように、容器に貯留された塗料に板状部材にて構成された試験片を浸漬し、図4(b)に示すように試験片を浸漬後すぐに塗料から引き上げる。
図4(c)に示すように、塗料から引き上げた試験片は空気中でそのまま放置し、試験片に付着した塗料を乾燥させる。この、図4(a)〜(c)に示す工程は、試験片に塗料を付着させる工程である。
その後、図4(d)に示すように、容器に貯留された前記各試料No.1〜6となる再生洗浄剤に、乾燥した塗料が付着する試験片を浸漬する。この場合、試験片の各試料No.1〜6への浸漬は、試験片のうち塗料が付着している部分が全て試料No.1〜6に浸漬されるように行う。各試料No.1〜6に浸漬した各試料No.1〜6は、浸漬状態を3分間継続した後に引き上げ、各試料No.1〜6から引き上げた試験片は空気中でそのまま放置して乾燥させる。この、図4(d)〜(f)は試験片に付着した塗料を洗浄して除去する工程である。
【0043】
そして、各試料No.1〜6から引き上げて乾燥させた各試験片における塗料の洗浄度合を評価する。
つまり、試験片を塗料に浸漬したことにより試験片に付着した塗料の面積に対する、塗料が付着した試験片を各試料No.1〜6に浸漬することにより塗料が洗浄されて除去された部分の面積の割合を評価し、塗料が除去された部分の面積の割合が大きいほど(つまり、残留塗料の面積が小さいほど)洗浄性が良好であると評価し、塗料が除去された部分の面積の割合が小さいほど(つまり、残留塗料の面積が大きいほど)洗浄性が不良であると評価する。
【0044】
各試料No.1〜6の洗浄性の評価結果は、試料No.1がやや良い(○−)であり、試料No.2が悪い(×)であり、試料No.3が悪い(×)であり、試料No.4が良い(○)であり、試料No.5が非常に良い(◎)であり、試料No.6が良い(○)であった。
なお、図4(a)〜(c)に示す工程において塗料を付着させた試験片を、図4(d)〜(f)に示す工程において再生洗浄剤の各試料および未使用の水性塗料用洗浄剤にて洗浄した場合の各試験片の様子を、図5(a)〜(e)に示す。
【0045】
具体的には、図5(a)は試料No.2にて洗浄を行った試験片を示し、図5(b)は試料No.3にて洗浄を行った試験片を示し、図5(c)は試料No.4にて洗浄を行った試験片を示し、図5(d)は試料No.5にて洗浄を行った試験片を示し、図5(e)は試料No.6にて洗浄を行った試験片を示している。また、図5(f)には、評価の比較対象として、塗料が付着した試験片を未使用の水性塗料用洗浄剤にて洗浄した場合の試験片の様子を示している。
これによれば、試料No.2および資料No.3にて洗浄を行った試験片(図5(a)、図5(b)図示)においては、洗浄により塗料が殆ど除去されておらず、未使用の水性塗料用洗浄剤にて洗浄を行った試験片と比べて、塗料が除去された部分の面積の割合が小さく(逆にいえば、未使用の水性塗料用洗浄剤の場合よりも残留塗料の面積が大きい)、洗浄性が未使用の水性塗料用洗浄剤に対して劣っているといえ、洗浄性が悪い(×)と評価できる。
また、試料No.4にて洗浄を行った試験片(図5(c)図示)、および試料No.6にて洗浄を行った試験片(図5(e)図示)においては、塗料が除去された部分の面積の割合(残留塗料の面積)が、未使用の水性塗料用洗浄剤にて洗浄を行った試験片と同等であって、未使用の水性塗料用洗浄剤と同程度の洗浄性を有しているといえ、洗浄性が良い(○)と評価できる。
さらに、試料No.5にて洗浄を行った試験片(図5(d)図示)においては、塗料が除去された部分の面積の割合が、未使用の水性塗料用洗浄剤にて洗浄を行った試験片と同等もしくはそれ以上(残留塗料の面積が未使用の水性塗料用洗浄剤の場合と同等もしくはそれ以下)であって、未使用の水性塗料用洗浄剤と同程度以上の洗浄性を有しているといえ、洗浄性が非常に良い(◎)と評価できる。
【0046】
以上の評価結果から、洗浄性に優れた再生洗浄剤を得るためには、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に、添加剤としてブチセロおよびアミンCを添加することが好ましく、さらにはブチセロおよびアミンCに加えて洗浄剤含有アミンを添加することが好ましいといえる。
例えば、前記試料No.4のように、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に3wt%のブチセロおよび2wt%のアミンCを添加することでpHが未使用の水性塗料用洗浄剤と略同じ12.4の洗浄性が良好な再生洗浄剤を得ることができ、また前記試料No.6のように、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に3wt%のブチセロ、2wt%の洗浄剤含有アミンおよび2wt%のアミンCを添加することでpHが未使用の水性塗料用洗浄剤と略同じ12.3の洗浄性が良好な再生洗浄剤を得ることができ、さらには前記試料No.5のように、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に3wt%のブチセロ、1wt%の洗浄剤含有アミンおよび1wt%のアミンCを添加することでpHが未使用の水性塗料用洗浄剤と同じ12.2の洗浄性が非常に良好な再生洗浄剤を得ることができる。
特に、試料No.5は、添加するアミンの総量が2wt%と少量でありながら、そのpHが未使用の水性塗料用洗浄剤と同じ12.2であって、非常に良好な洗浄性を得ることができるため、好ましい。
【0047】
このように、本水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1を用いて、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液にブチセロおよび洗浄剤含有アミン以外のアミンであるアミンCを添加して再生洗浄剤を生成し、さらには濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液にブチセロ、洗浄剤含有アミン以外のアミンであるアミンC、および洗浄剤含有アミンを添加して再生洗浄剤を生成することで、未使用の水性塗料用洗浄剤と同等もしくは同じpHを有し、洗浄性が未使用の水性塗料用洗浄剤と同等もしくはそれ以上の良好な再生洗浄剤を得ることができる。
【0048】
得られた再生洗浄剤は、未使用の水性塗料用洗浄剤と同等もしくはそれ以上の良好な洗浄性を有しているので、再生洗浄剤の用途が限定されることもなく、未使用の水性塗料用洗浄剤と同様の用途に用いることができる。
また、再生洗浄剤を得るために、未使用の水性塗料用洗浄剤(洗浄剤原液)を添加することがなく、添加剤として添加するアミンの量も少量であるので、低い再生コストで環境負荷が小さい再生洗浄剤を得ることができる。
【0049】
また、水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置1は、濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に添加剤を添加して生成された再生洗浄剤のpHを測定して調整を行うことが可能なpH調整装置を備えているため、生成された再生洗浄剤のpHが予め設定されている規定のpH(例えば未使用の水性塗料用洗浄剤のpHと同じ値)などと異なっていた場合でも、前記pH調整装置により再生洗浄剤のpHを規定のpHなどの適宜値に調整することができ、洗浄性の良い再生洗浄剤を安定して生成することが可能となる。
【0050】
なお、前述の試料No.5のように、濾過した水性塗料用洗浄剤廃液に3wt%のブチセロ、1wt%の洗浄剤含有アミンおよび1wt%のアミンCを添加して再生洗浄剤を作製する場合、実際には各種成分を次のように配合して作製する。
例えば、再生洗浄剤を100リットル作製する場合は、50リットルの濾過した水性塗料用洗浄剤廃液に、44リットルの純水、3リットルのブチセロ、1リットルの洗浄剤含有アミン(1−アミノ−2−プロパノール)、1リットルのアミンC(トリメチルアミン)、および1リットルのメタ珪酸ナトリウム溶液を添加・混合することにより再生洗浄剤を作成する。
【0051】
また、塗装機器2から回収した水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過装置10は、例えば次のように構成することができる。
例えば、図6に示すように、濾過装置10は、塗装機器2から回収した水性塗料用洗浄剤廃液が排出用配管53を通じて供給され、供給された水性塗料用洗浄剤廃液を貯留する貯留槽55と、貯留槽55に貯留された水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過モジュール57とを備えている。
濾過モジュール57はクロスフロー型の膜濾過装置に構成されており、濾過モジュール57に供給された水性塗料用洗浄剤廃液は、濾過モジュール57が備える分離膜を透過することにより不純物が濾過された水性塗料用洗浄剤廃液と、分離膜を透過しなかった不純物入りの水性塗料用洗浄剤廃液とに分離され、分離膜を透過して不純物が濾過された水性塗料用洗浄剤廃液は透過液として廃液貯留槽21に供給され、分離膜を透過しなかった不純物入りの水性塗料用洗浄剤廃液は濃縮液として前記貯留槽55に供給されるように構成されている。
つまり、塗装機器2から排出され、貯留槽55に貯留された水性塗料用洗浄剤廃液は、貯留槽55と濾過モジュール57との間で循環する過程で透過液と濃縮液とに分離され、前記分離膜により濾過された透過液が廃液貯留槽21に貯留される。
前記分離膜は、例えばUF膜またはMF膜にて構成されている。
【0052】
また、前記貯留槽55に貯留される水性塗料用洗浄剤廃液は導入ライン58を通じて濾過モジュール57へ導入され、濾過モジュール57にて濾過されなかった不純物入りの水性塗料用洗浄剤廃液(濃縮液)は、返送ライン59を通じて貯留槽55へ返送される。この導入ライン58および返送ライン59により水性塗料用洗浄剤廃液の循環ライン60が構成されており、前記濾過モジュール57はこの循環ライン60上に設けられている。
前記返送ライン59上には、濃縮液の循環流量を検出する循環流量検出部67が設けられており、前記導入ライン58上には貯留槽55からの水性塗料用洗浄剤廃液を濾過モジュール57に加圧供給して、水性塗料用洗浄剤廃液を循環ライン60内で循環させる循環ポンプ63、および圧力トランスミッタ65が設けられている。
【0053】
前記濾過モジュール57により濾過された水性塗料用洗浄剤廃液(透過液)は、回収ライン61を通じて廃液貯留槽21に供給されており、前記回収ライン61上には回収ライン61を流通する水性塗料用洗浄剤廃液(透過液)の流量を検出する透過液流量計66が設けられている。
【0054】
前記圧力トランスミッタ65、透過液流量計66、および循環流量検出部67は濾過装置制御部69に接続されている。
また、濾過装置制御部69はインバータ70を介して有線または無線によって循環ポンプ63に接続されている。
【0055】
このように構成される濾過装置10は、次のようにして運転が行われる。
まず、運転を開始すると、塗装機器2からの水性塗料用洗浄剤廃液を所定量だけ貯留槽55に受け入れる。次に、濾過装置制御部69は循環ポンプ63を駆動して、貯留槽55内の水性塗料用洗浄剤廃液を濾過モジュール57に加圧供給する。濾過装置制御部69は、水性塗料用洗浄剤廃液の濾過装置制御部69への供給圧を一定圧に保持する。濾過装置制御部69では、分離膜を透過した透過液が回収ライン61を通じて廃液貯留槽21に排出される。
また、濾過モジュール57において分離膜を透過しないで通過した水性塗料用洗浄剤廃液は返送ライン59を通じて、循環流となって貯留槽55に戻される。
つまり、濾過モジュール57では、不純物を濾過された水性塗料用洗浄剤廃液が回収ライン61を通じて廃液貯留槽21に排出され、残りの水性塗料用洗浄剤廃液は残留した塗料などの不純物が濃縮される。
【0056】
濾過装置制御部69は、循環流量検出部67および透過液流量計66を常時監視している。濾過モジュール57への水性塗料用洗浄剤廃液の供給圧力が一定となる条件の下では、循環する水性塗料用洗浄剤廃液の濃縮が進むにつれて、循環する水性塗料用洗浄剤廃液の粘性が上昇し、その流動抵抗や透過抵抗が大きくなる。従って、水性塗料用洗浄剤廃液の循環流量および透過液量は漸次低下する。
濾過装置制御部69は、循環する水性塗料用洗浄剤廃液の濃縮が進むと、循環流量検出部67の値に基づいて循環ポンプ63の運転を停止し、濾過装置10の運転を終了する。
【0057】
このように、濾過装置10は、塗装機器2から排出される水性塗料用洗浄剤廃液を循環させる循環ライン60と、循環ライン60上に設けられるとともに、前記水性塗料用洗浄剤廃液を、循環ライン60上を循環する濃縮液と透過液とに分離する濾過モジュール57と、前記濃縮液の循環流量を検出する循環流量検出部67と、濾過モジュール57への前記水性塗料用洗浄剤廃液の供給圧を一定に保持するとともに、循環流量検出部67で検出された循環流量に基づいて前記濃縮液の循環を停止させる濾過装置制御部69とを備えており、濾過装置制御部69により水性塗料用洗浄剤廃液の濾過装置制御部69への供給圧を一定圧に保持するとともに、循環ライン60を循環する水性塗料用洗浄剤廃液(濃縮液)の循環流量を循環流量検出部67により検出し、検出した前記濃縮液の循環流量に基づいて前記濃縮液の循環を停止させるように構成している。
【符号の説明】
【0058】
1 水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置
2 塗装機器
10 濾過装置
20 貯留部
21 廃液貯留槽
22 第一添加剤貯留槽
23 第二添加剤貯留槽
24 第三添加剤貯留槽
30 制御部
31・32・33・34 供給配管
35 制御装置
40 混合装置
50 再生洗浄剤貯留タンク
60 pH測定器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過して不純物を取り除き、水性塗料用洗浄剤として再利用するための水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法であって、
不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過工程と、
濾過後の水性塗料用洗浄剤廃液に対して、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミン、およびブチルセロソルブを添加する添加工程とを備える、
ことを特徴とする水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法。
【請求項2】
前記水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミンは、トリエチルアミンである、ことを特徴とする請求項1に記載の水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法。
【請求項3】
前記添加工程では、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンをさらに添加する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法。
【請求項4】
前記添加工程の後に、水性塗料用洗浄剤廃液のpHを調整するpH調整工程を備える、ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の水性塗料用洗浄剤廃液の再生方法。
【請求項5】
不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過して不純物を取り除き、水性塗料用洗浄剤として再利用するための水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置であって、
不純物を含んだ水性塗料用洗浄剤廃液を濾過する濾過装置と、
前記濾過装置にて濾過された水性塗料用洗浄剤廃液に対して添加剤を添加して混合する混合装置とを備え、
前記混合装置にて水性塗料用洗浄剤廃液に添加される添加剤は、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミン、およびブチルセロソルブである、
ことを特徴とする水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置。
【請求項6】
前記水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンとは異なるアミンは、トリエチルアミンである、ことを特徴とする請求項5に記載の水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置。
【請求項7】
前記混合装置においては、水性塗料用洗浄剤廃液に対して、水性塗料用洗浄剤原液に含有されるアミンがさらに添加される、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置。
【請求項8】
前記混合装置にて添加物が混合された水性塗料用洗浄剤廃液のpHを調整するpH調整装置を備える、ことを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか一項に記載の水性塗料用洗浄剤廃液の再生装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−163565(P2010−163565A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8062(P2009−8062)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】