説明

水性塗料組成物

【課題】顔料の沈降防止、及び表面平滑性、防錆性に優れた塗膜を形成する水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】結晶性セルロースと親水性高分子からなるセルロース複合体であって、金属カチオン含量が0.5重量%以下であり、1重量%(固形分換算)で水に分散させた場合の電気伝導度が100μS以下であり、かつ粘度が100mPa・s以下であることを特徴とするセルロース複合体を含有する水性塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性セルロースと親水性高分子からなるセルロース複合体を含有する水性塗料組成物に関するものであり、金属カチオン含量が少なく、さらに詳しくは低粘度で顔料の沈降防止に優れ、防錆性に優れる水性塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでセルロースを含有することを特徴とする塗料組成物としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等、多数知られている。特許文献1では結晶性セルロースを数10%配合し、連続した固体状の密着した被膜を造り、流動性を改善し均一な塗膜を作成する流動性ペイントに関する記載がある。さらに特許文献2では球状セルロース粉末を高含量配合した塗料用配合剤の記載があるが、流動性を改善するとともに意匠性を出す目的で使用されている。近年の環境保護規制に対応して、塗料組成物中の有機溶剤の削減が目標とされ、水性塗料化への移行が進められている。特許文献3ではヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性セルロースを含むことを特徴とする水性の電着塗料組成物が提案されているが、水溶性セルロースの1%における粘度も500mPa・s以上と高く、低粘度における顔料の分散性や塗装面の表面の平滑性に問題があった。さらに、特許文献4では電着塗料用顔料分散ペーストの貯蔵安定性のためにセルロース複合体が配合されることが記載されているが、セルロース複合体中の金属カチオン含量が多い場合、電着塗料中に持ち込まれると塗料の電着特性が変化し、電着浴中で電圧の印加により、被塗物の陰極側への樹脂粒子の移動を阻害し、仕上がり性不良となる問題があった。
【特許文献1】特公昭38−20955号公報
【特許文献2】特開平3−162465号公報
【特許文献3】特開平7−97536号公報
【特許文献4】特開2006−111699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、低粘度で顔料の固結防止性に優れ、表面平滑性及び防錆性に優れた塗膜を形成することができる水性塗料組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明は
[1]結晶性セルロースと親水性高分子からなるセルロース複合体であって、金属カチオン含量が0.5重量%以下であり、1重量%(固形分換算)で水に分散させた場合の電気伝導度が100μS以下であり、かつ粘度が100mPa・s以下であることを特徴とするセルロース複合体を含有する水性塗料組成物、
[2]該セルロース複合体に対するナトリウムカチオン含量が0.1重量%以下であることを特徴とする[1]記載のセルロース複合体を含有する水性塗料組成物、
[3][1]または[2]に記載のセルロース複合体を含む水性塗料組成物を含むことを特徴とする電着塗料組成物、
[4][1]〜[3]のいずれか一つに記載のセルロース複合体を含む塗料組成物を用いて塗装された物品、に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の水性塗料組成物は、顔料の固結防止に優れ、表面の平滑性が良好で防錆性に優れる塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明につき詳しく説明する。
【0007】
本発明のセルロース複合体は、結晶性セルロースが75〜95重量%、親水性高分子が25〜5重量%とから構成することが好ましい。結晶性セルロースが75重量%未満では顔料の保持効果が弱く、分散安定性が得られにくいし、親水性高分子が5重量%未満では、結晶性セルロースの再分散性が悪くなる。
【0008】
本発明のセルロース複合体の製法は例えばリンター、パルプ、再生繊維等のセルロース原料を、酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解などの化学処理により得られた不溶性の微細セルロースと親水性高分子を磨砕混練した後に、乾燥しそのまま粉砕処理や篩分することによって得られる。微細セルロースと親水性高分子の磨砕混練は例えばニーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機、押出機、三本ロール、コロイドミル等により行われる。次に乾燥はドラム乾燥法、棚段式乾燥法、ベルト乾燥法、噴霧乾燥法、真空乾燥法等の通常の方法で良い。
【0009】
本発明で使用されるセルロース複合体に用いられる親水性高分子としては、天然物、あるいは発酵法によって得られるものであり、キサンタンガム、カラヤガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナンなどである。本発明のセルロース複合体としては公知のものを使用でき、具体的には特公昭57−14771号公報に記載のものなどが使用できる。
【0010】
本発明で使用されるセルロース複合体中の親水性高分子は、セルロース複合体を速やかに水中に分散し、セルロース粒子の保護コロイドとして働いて、その凝集、沈降を防ぐ目的がある。さらに水中のセルロース粒子の分散を促進させる目的で焙焼デキストリン、加水分解澱粉等のデキストリン類、キシロース、グルコース、フラクトース、トレハロースなど糖等、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の油脂類を崩壊剤として適宜配合することは自由である。
【0011】
さらにこのセルロース複合体は水中で機械的に攪拌すると、平均粒径20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下のセルロース粒子に分散し、安定な懸濁液となる特徴を有する。
【0012】
本発明におけるセルロース複合体を1重量%で水に分散させた時の電気伝導度は100μS以下であることが好ましい。より好ましくは50μS以下である。100μSを越えると水性塗料組成物の全体の電気伝導度が高くなり、電着塗料においてはイオン濃度が増し、極板が溶質し、ピンホールが発生し、被塗物の腐食の原因となる。
本発明における金属カチオンとは、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどのアルカリ金属類、亜鉛、ジルコニウム、銅、鉛、鉄などの重金属類のことを言う。本発明に使用される結晶性セルロースと親水性高分子からなるセルロース複合体は金属カチオン含量が0.5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.3重量%以下であり、特に好ましくは0.1重量%以下である。特にナトリウムカチオン含量が少ないものが好ましく、金属ナトリウムは通常セルロース複合体に含まれる親水性高分子に含まれる。セルロース複合体に含まれるナトリウムカチオン含量は0.1重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.05重量%以下であり、特に好ましくは0.01重量%以下である。金属カチオン含量は0.5重量%を超えると、例えば水性塗料において金属カチオンと塗料組成物の樹脂との相互作用により安定性が低下することや、電着塗料では電圧を印加して被塗物の塗膜を形成する際にアミノ基を有した樹脂の陰極への移動を阻害する可能性があり、塗膜を形成する際に塗膜表面の均一性を損ねる可能性がある。
【0013】
本発明の水性塗料組成物中のセルロース複合体を1重量%(固形分換算)で分散させた液の粘度は100mPa・s以下であることが好ましい。100mPa・sを超えると塗料調合時に系の粘度が高くなり、セルロース複合体が十分に分散せず、分散安定性の機能を発揮できなかったり、塗料組成物が不均一なために塗膜の平滑性が失われたり、電着塗料においては塗料組成物の安定性や被塗物の防錆性が低下することがある。水性塗料組成物中のセルロース複合体の配合量は塗料組成物の処方、粘度によって適宜決められるが、0.1〜1.0重量%が好ましい。0.1重量%より小さい場合は、セルロース粒子が少ないために、セルロース粒子で形成される三次元の網目構造が弱まり、顔料に対する保護コロイド機能が薄れ、顔料の沈降が生じやすくなる。一方で1.0重量%を超えると系内の粘度が上がり、塗膜の平滑性が失わる原因となる。
【0014】
本発明の水性塗料組成物は、次に挙げる水溶性樹脂を使用することができる。例えば水性アクリル系樹脂、水性反応硬化型アクリル系樹脂、水性アクリルウレタン系塗料、水性ウレタン樹脂、水性アクリルウレタン樹脂、水性塩化ビニル系樹脂、水性酢酸ビニル系樹脂、水性エポキシ系樹脂、水性アルキッド系樹脂、水性ポリアミド系樹脂、水性セルロース系樹脂等の一般に用いられているものを使用できる。
【0015】
本発明における水性塗料組成物は水の他に有機溶媒を含むことができる。例えば炭化水素類、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコール類の誘導体、ケトン類、エステル類、カーボネート類から選ばれる1種または2種以上の組み合わせからなる溶剤が挙げられる。炭化水素類としては、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、テレビン油、ソルベンナフサ等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、n−ウンデカノールまたは、これらの異性体、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。好ましくは、アルキル炭素数が1〜6個を有するアルコール類である。多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。多価アルコールの誘導体類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸セロソルブ等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エステル、酪酸エステル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、及び、ε−カプロラクトン、ε−カプロラクタム等の環状エステル類が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。カーボネート類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
【0016】
本発明の水性塗料組成物は適宜必要に応じて、顔料を配合することができ、具体的には、酸化チタン、鉛白、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、三酸化アンチモン、カルシウム複合物等の白色顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、ケイソウ土、カオリン、タルク、有機ベントナイト、ホワイトカーボン等の体質顔料、カーボンブラック、黄鉛、モリブデン赤、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、黄土、シェナ、アンバー、緑土、マルスバイオレット、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミボンレッド、カドミボンイエロー、群青、紺青等の着色顔料を単独、または2種以上組み合わせて使用できる。その他にも必要に応じて、湿潤剤、顔料分散剤、乳化剤、増粘剤、沈降防止剤、皮張り防止剤、たれ防止剤、平坦化剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、硬化促進剤、界面活性剤、耐光性向上剤、保存性向上剤、充填剤、消泡剤、可塑剤、乾燥剤、防腐剤、香料、パール剤、ラメ剤、薬剤等の添加剤を含むことができる。
【0017】
本発明の水性塗料組成物の調製方法は公知の方法で実施することができ特に限定はされないが、例えば結晶性セルロースと親水性高分子からなるセルロース複合体を水に投入し、高い剪断力のかかるホモジナイザーで予め十分に分散したものをその他の成分と混合し分散することが好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。なお、実施例、比較例におけるセルロース複合体のNa含量、平均粒径、電気伝導度、粘度、および塗膜の防錆性、表面平滑性は以下の通り測定した。
<セルロース複合体のNa含量>
セルロース複合体粉末をICP原子発光分析より、Na含量を定量した。
<セルロース複合体の平均粒径>
(1) サンプルを固形分で3.0gをエースホモジナイザー(日本精機製AM−T)の容器に入れ、純水を入れて全体を300gとする。
(2)15000rpmで5分間攪拌する。
(3)レーザー回折散乱装置(堀場製作所製 LA―920)により積算体積が50%になる値を平均粒径とした。
<セルロース複合体の電気伝導度>
上記のセルロース複合体の固形分1%分散液の電気伝導度を電気伝導率計(東亜ディーケーケー製 HM−50G型)より求めた。
<セルロース複合体の粘度(mPa・s)>
(1)B型粘度計(東京計器製)によりローターNo.2を用いて60rmの値とした。
<防錆性>
電着塗料組成物を撹拌させた浴槽中で、リン亜鉛処理を施しクロスカットした鋼板の塗膜にJISZ2371に準拠し塩水噴霧試験を1000時間行い、錆の発生の程度を確認した。
○ :良好である。 △:やや良好である。 ×:劣る。
<表面平滑性>
表面の粗さをJISB0601−1994に基づき測定を行った。Ra値は値が低いほど良好であり以下の様に評価を行った。
【0018】
Ra値 ○: 0.2〜0.5μm △:0.5〜0.7μm ×:0.7μm以上
【実施例】
【0019】
本発明を詳細に以下の実施例、比較例により詳細に説明する。
[実施例1]
(1)結晶性セルロースとカラヤガムからなるセルロース複合体の調製
市販DPパルプ(平均重合度850)を裁断し、1%塩酸下において、105℃で30分間、加水分解処理を行い、得られた酸不溶解残査を純水にて濾過洗浄を行い、ウェットケークを得た。この水不溶性セルロースの固形分に対して、セルロース/カラヤガム/デキストリンの比率が80/10/10(固形分重量比)となるようにカラヤガム、デキストリンを加えて、ニーダーにて練合・磨砕を行った。次いで、熱風乾燥し、ハンマーミルにて粉砕することにより、結晶性セルロースとカラヤガム、デキストリンからなるの乾燥粉末セルロース複合体Aを得た。この乾燥粉末の平均粒径は8.0μmであった。
【0020】
(2) 電着塗料組成物の調製
本発明の電着塗料組成物の調製に使用する変性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤及び顔料の分散剤について説明する。
【0021】
製造例1 変性エポキシ樹脂
攪拌機、温度計、冷却管のついた4リットル4ツ口フラスコにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量300)1000重量部、エトキシプロパノール540重量部を仕込み、100℃で溶解させた後、60℃に冷却し、ジエタノールアミン250重量部を添加した。そして80℃で2時間保持し、アミノ基含有エポキシ樹脂Aを得た。この固形分は65%であった。
【0022】
製造例2 ブロックイソシアナート型硬化剤
攪拌機、温度計、還流冷却管を取り付けた4ツ口フラスコにHMDIを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアナート化合物(旭化成ケミカルズ(株)商品名デュラネートTPA)100部を酢酸エチル37部に溶解したのち、アセトンオキシム42部を、40〜50℃の範囲で2時間かけて滴下した。赤外スペクトルによるイソシアナート基の吸収が消失したことを確認した。得られた生成物100部をホモミクサー(特殊機化工業(株)M型)を用いて、回転数3000rpmで攪拌しながら、部分鹸化ポリビニルアルコール(クラレ(株)PVA−420)5%水溶液80部を10分間かけて添加し、10分間攪拌する。その後、水88部を10分間かけて添加し、10分間攪拌を続けた。その結果、固形分30%のブロックイソシアナートが得られた。
【0023】
製造例3 カチオン電着塗料組成物
下記に示す配合成分によりカチオン電着塗料組成物を調製した。

1.アミノ基含有エポキシ樹脂A 800重量部
2.ブロックイソシアナート型硬化剤 400重量部
3.酢酸 30重量部
4.脱イオン水 2510重量部
5.カーボンブラック 8重量部
6.酸化チタン 152重量部
7.ブトキシエタノール 100重量部

上記の組成物を6Lの4ツ口フラスコに仕込み、85℃まで昇温し1時間加加熱した後、室温まで冷却しカチオン電着塗料組成物を得た。(1)で調製したセルロース複合体を電着塗料組成物の固形分に対して0.2重量%添加し、セルロース複合体を含有したカチオン電着塗料組成物を調製した。そしてこの電着塗料組成物をステンレス製の4Lの容器に入れ、電着浴槽とした。浴槽の温度を28℃とし、攪拌し、被塗物としてリン酸亜鉛処理した鋼板(80×120×0.7mm)を陰極とし、170℃で20分間焼付け後の平均厚膜が20μmとなる電着条件でカチオン電着塗装を行った。評価結果を表1に示す。
【0024】
[実施例2]
(3)結晶性セルロースとキサンタンガムからなるセルロース複合体の調製
実施例1のウエットケークを用いて、セルロース/キサンタンガム/デキストリンの比率が75/20/5(固形分重量比)となるようにキサンタンガム、デキストリンを加えて、実施例1と同様に試作し、乾燥粉末セルロース複合体Bを得た。この乾燥粉末の分散時の平均粒径は7.9μmであった。
実施例1と同様に(2)の電着塗料組成物の固形分に対して、このセルロー
ス複合体を0.2%添加し、カチオン電着塗装を行った評価結果を表1に示す。
【0025】
[比較例1]
(1)結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロース・ナトリウムからなるセルロース複合体の調製
実施例1のウエットケークを用いて、このセルロースの固形分に対してカルボキシメチルセルロース・ナトリウムの固形分重量の比率が9/1となるように加え、実施例1と同様に試作し、乾燥粉末セルロース複合体Cを得た。この乾燥粉末の平均粒径は8.1μmであった。
実施例1と同様に(2)の電着塗料組成物の固形分に対して、このセルロー
ス複合体を0.2%添加し、カチオン電着塗装を行った評価結果を表1に示す。
【0026】
[比較例2]
実施例1と同様に(2)の電着塗料組成物の固形分に対して、セルロース複合体の代わりにカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを0.2%添加し、カチオン電着塗装を行った評価結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の組成物は水性塗料分野に好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性セルロースと親水性高分子からなるセルロース複合体であって、金属カチオン含量が0.5重量%以下であり、1重量%(固形分換算)で水に分散させた場合の電気伝導度が100μS以下であり、かつ粘度が100mPa・s以下であることを特徴とするセルロース複合体を含有する水性塗料組成物。
【請求項2】
該セルロース複合体に対するナトリウムカチオン含量が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のセルロース複合体を含有する水性塗料組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセルロース複合体を含む水性塗料組成物を含むことを特徴とする電着塗料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載のセルロース複合体を含む塗料組成物を用いて塗装された物品。

【公開番号】特開2008−38056(P2008−38056A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215597(P2006−215597)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】