説明

水栓システム

【課題】水のみを必要としている場合に、湯及び湯と水との混合水道水が吐出されることを防止することができて、給湯エネルギの浪費を抑制することができる水栓システムを提供する。
【解決手段】湯水混合水栓12を備えた水栓システムにおいて、水栓12に湯が供給される給湯通路19に電磁弁20を接続する。その電磁弁20を開放させるために水栓操作者によって切り換えられるスイッチ21を設ける。そのスイッチ21の操作後に設定時間経過したときに、電磁弁20を閉鎖させるタイマ22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばシングルレバー水栓等の湯水混合水栓を備えた水栓システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、シングルレバー水栓においては、水栓上に設けられた操作レバーが左右方向に回動操作されることにより、給水通路からの水と給湯通路からの湯との混合比(一方がゼロである比を含む)が調整されて、吐出水道水の温度調整が行われる。また、操作レバーが上下方向に回動操作されることにより、混合水道水の吐水止水及び吐水量調整が行われる。
【0003】
このような水栓システムにおいては、通常、操作レバーが水栓の正面側の回動位置に配置されていることが多い。よって、この状態で操作レバーが上下方向に回動操作されると、使用者が水のみを必要としている場合においても、湯や水と湯との混合水道水が吐出されるとともに、使用後に配管内に湯が残留して、給湯エネルギの浪費につながるという問題があった。
【0004】
このような問題に対処するため、例えば特許文献1に開示されるような構成が従来から提案されている。この従来構成においては、シングルレバー水栓の操作レバーによって作動される弁機構とは別に、給湯通路の開閉等を行うための切換弁が設けられている。そして、切換レバーの操作により切換弁が給湯通路の閉鎖位置に切り換えられた状態において、水栓の操作レバーが左右方向のいずれの回動位置で上下方向に回動操作された場合でも、湯が混合されることなく、水のみが吐出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−3534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このシングルレバー水栓においては、前記のように切換レバーの操作によって、切換弁が給湯通路の閉鎖位置と開放位置とに切り換えられるようになっている。このため、切換弁が開放位置側,つまり給湯側に切り換えられたままの状態で水栓の使用が終了されると、次の使用時に、湯と水との混合水道水あるいは湯が吐出されるおそれが依然としてあるという問題があった。従って、このような場合は、やはり給湯エネルギが浪費される。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、水のみを必要としている場合に、湯と水との混合水道水が吐出されるのを防止することができて、給湯エネルギの浪費を抑制することができる水栓システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、湯水混合水栓を備えた水栓システムにおいて、前記水栓に湯が供給される給湯通路に電磁弁を接続するとともに、その電磁弁を開放させるために水栓操作者によって切り換えられるスイッチを設け、そのスイッチの操作後に設定時間経過したときに、前記電磁弁を閉鎖させるタイマを設けたことを特徴としている。
【0009】
従って、この発明の水栓システムにおいて、スイッチがオン操作されていない通常時には、電磁弁が閉鎖位置に配置されて、給湯通路から水栓への湯の供給が遮断される。そのため、この状態で水栓の操作レバーを左右方向のいずれの回動位置において上下方向に回動操作した場合でも、給湯通路からの湯が混合されることなく、水栓から水道水のみが吐出される。よって、水のみを必要とする場合に、湯と水との混合水道水が吐出されたり、配管内に湯が残留されたりすることを防止することができて、給湯エネルギの浪費を抑制することができる。
【0010】
これに対して、湯水の混合水道水を必要とする場合には、スイッチをオン操作すると、電磁弁が開放位置に切り換えられて、給湯通路から水栓への湯の供給が可能になる。そのため、この状態で水栓の操作レバーを左右方向に回動操作して、混合水道水の温度調整を行うとともに、操作レバーを上下方向に回動操作して、混合水道水の吐出流量を調整すれば、水栓から所要温度の水道水が吐出される。そして、水栓システムの使用が終了した後、スイッチをオフ操作すると、電磁弁が閉鎖位置に切り換えられて、給湯通路から水栓への湯の供給が遮断された状態に復帰する。
【0011】
また、前記スイッチのオン操作時には、タイマがセットされる。そして、スイッチのオン操作後に設定時間が経過した時点で、タイマの計時終了により、電磁弁が開放位置から閉鎖位置に切り換えられる。このため、水栓システムの使用終了後に、スイッチのオフ操作を忘れた場合でも、給湯通路から水栓への湯の供給状態が継続されることなく遮断状態になる。よって、次の水栓システムの使用時において、水のみを必要とするにも拘らず、湯及び湯と水との混合水道水が吐出されるおそれを防止することができる。
【0012】
前記構成において、前記スイッチをキッチン台に設けるとよい。
前記構成において、前記スイッチを湯水混合水栓上に設けるとよい。
前記構成において、前記スイッチを床面上に設けるとよい。
【0013】
前記構成において、前記スイッチをタッチレススイッチにするとよい。
前記構成において、前記タイマは、前記設定時間を調節可能にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明によれば、水のみを必要としている場合に、湯や湯と水との混合水道水が吐出されることを防止することができて、給湯エネルギの浪費を抑制することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態の水栓システムを備えたキッチン装置を示す斜視図。
【図2】同水栓システムの流路構成を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、この発明を具体化した水栓システムの一実施形態を、図1及び図2の図面に従って説明する。
図1には、実施形態の水栓システムを備えたキッチン装置が示されている。このキッチン装置においては、キッチン台11の天板11a上にシングルレバー式の湯水混合水栓(つまり、シングルレバー混合水栓)12が装着されている。この水栓12は、内部に弁機構(図示しない)を備えた水栓本体13と、その水栓本体13に水平面内で回動可能に支持された吐出口14とから構成されている。水栓本体13の上部には、弁機構を動作させて吐出口14から吐出される水道水の温度及び流量を調整するための操作レバー15が左右方向及び上下方向に移動できるように操作可能に取り付けられている。
【0017】
前記キッチン台11の下部には給水用元栓16が配設され、その給水用元栓16の上流側には図示しない給水源としての水道管が接続されている。給水用元栓16の下流側には給水通路としての給水管17が接続され、その給水管17の上端部が前記水栓本体13内の弁機構の給水部に接続されている。前記給水用元栓16の側方に隣接位置するように、キッチン台11の下部には給湯用元栓18が配設され、その給湯用元栓18の上流側には図示しない給湯源としての給湯器が接続されている。給湯用元栓18の下流側には給湯通路としての給湯管19が接続され、その給湯管19の上端部が前記水栓本体13内の弁機構の上流側に接続されている。
【0018】
そして、前記水栓本体13上の操作レバー15が左右方向に回動操作されることにより、弁機構において給水管17からの水と給湯管19からの湯との混合比(一方がゼロである比を含む)が調整されて、吐出口14から吐出される水道水の温度が設定される。また、操作レバー15が上下方向に回動操作されることにより、弁機構において吐出口14からの水道水の吐水と止水との切り換え及び吐水量の調整が行われる。
【0019】
図1及び図2に示すように、前記キッチン台11の下部において、給湯管19の途中には電磁弁20が接続されている。湯水混合水栓12の近傍において、キッチン台11には電磁弁20を開放させるために水栓操作者によって切り換えられる防水機能付きスイッチ21が配設され、そのスイッチ21の操作ボタン21aがキッチン台11の天板11a上に突出されている。スイッチ21の近傍においてキッチン台11には、スイッチ21のオン操作後に設定時間が経過したときに電磁弁20を閉鎖させるためのタイマ22が配設されている。このタイマ22は、設定時間の長短を自在に設定できるようになっている。
【0020】
次に、前記のように構成された水栓システムの作用を説明する。
さて、この水栓システムにおいては、通常時にスイッチ21がオフされた状態にある。このため、電磁弁20が閉鎖位置に配置されて、給湯管19から湯水混合水栓12への湯の供給が遮断されている。よって、この状態で水栓12上の操作レバー15を左右方向のいずれの回動位置において上下方向に回動操作しても、給湯管19からの湯が供給されることなく、吐出口14から水のみが吐出される。従って、水のみを必要とする場合に、湯と水との混合水道水が吐出されるのを防止することができて、給湯エネルギの浪費を抑制することができる。
【0021】
一方、湯や湯水の混合水道水を必要とする場合には、スイッチ21をオン操作すると、電磁弁20が閉鎖位置から開放位置に切り換えられて、給湯管19から水栓12への湯の供給が可能になる。よって、この状態で水栓12上の操作レバー15を左右方向に回動操作して、混合水道水の温度調整を行うとともに、操作レバー15を上下方向に回動操作して、混合水道水の吐出流量を調整すれば、吐出口14から所定温度で所定流量の混合水道水が吐出される。そして、この水栓システムの使用が終了した後、スイッチ21をオフ操作すれば、電磁弁20が開放位置から閉鎖位置に切り換えられて、給湯管19から水栓12への湯の供給が遮断された状態に復帰する。
【0022】
また、前記スイッチ21のオン操作時には、タイマ22がセットされる。そして、スイッチ21のオン操作後に設定時間が経過した時点で、タイマ22の計時動作の終了により、電磁弁20が開放位置から閉鎖位置に切り換えられる。なお、タイマ22の設定時間は、水栓システムの使用に要する時間の長さを見計らって調整する必要がある。よって、水栓システムの使用終了後に、スイッチ21のオフ操作を忘れた場合でも、給湯管19から水栓12への湯の供給状態が継続されることなく、自動的に遮断状態になる。従って、次の水栓システムの使用時において、水のみを必要とするにも拘らず、吐出口14から湯や湯と水との混合水道水が吐出されて無駄になるおそれを防止することができる。
【0023】
従って、この実施形態においては、以下の効果がある。
(1) この水栓システムにおいては、水栓操作者がスイッチ21をオン操作しない限り、水に湯が混合されるおそれはない。よって、水のみを必要とする場合に、湯や湯と水との混合水道水が吐出されるのを防止することができる。また、スイッチ21のオン操作状態で水栓システムの使用を終了した後、スイッチ21のオフ操作を忘れた場合でも、タイマ22により電磁弁20が開放位置から閉鎖位置に自動的に切り換えられるため、次の水栓システムの使用時に湯や湯と水との混合水道水が吐出されたり、湯が配管内に残留されたりすることを防止することができる。従って、給湯エネルギの浪費が生じるおそれを防止することができる。
【0024】
(2) この水栓システムにおいては、スイッチ21がキッチン台11上に取り付けられている。従って、スイッチ21のオン・オフ操作を容易に行なうことができる。
(3) この水栓システムにおいては、タイマ22の計時開始から計時終了までの設定時間を調整できるようになっているため、水栓システムの使用状況に適した設定時間を得ることができる。従って、給湯エネルギの浪費防止に有効である。
【0025】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態のシングルレバー混合水栓のほかに、サーモ水栓、ミキシング水栓等の他の形式の水栓において本発明を具体化すること。
【0026】
・ 図1に2点鎖線で示すように、スイッチ21を湯水混合水栓12上に設けること。このようにすれば、スイッチ操作が容易になる。
・ 図1に2点鎖線で示すように、スイッチ21として、フットスイッチを用い、そのフットスイッチ21をキッチン台11の近傍の床面に設置すること。このようにすれば、両手が塞がっていてもスイッチ操作を行なうことができる。
【0027】
・ スイッチ21として、光電スイッチ,超音波スイッチ等のタッチレススイッチを使用すること。このようにすれば、手に油が付いているような場合でもスイッチ操作を支障なく行なうことができる。
【符号の説明】
【0028】
11…キッチン台、12…湯水混合水栓、15…操作レバー、17…給水通路としての給水管、19…給湯通路としての給湯管、20…電磁弁、21…スイッチ、22…タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水混合水栓を備えた水栓システムにおいて、
前記水栓に湯が供給される給湯通路に電磁弁を接続するとともに、その電磁弁を開放させるために水栓操作者によって切り換えられるスイッチを設け、そのスイッチの操作後に設定時間経過したときに、前記電磁弁を閉鎖させるタイマを設けたことを特徴とする水栓システム。
【請求項2】
前記スイッチをキッチン台に設けたことを特徴とする請求項1に記載の水栓システム。
【請求項3】
前記スイッチを湯水混合水栓上に設けたことを特徴とする請求項1に記載の水栓システム。
【請求項4】
前記スイッチを床面上に設けたことを特徴とする請求項1に記載の水栓システム。
【請求項5】
前記スイッチをタッチレススイッチにしたことを特徴とする請求項2に記載の水栓システム。
【請求項6】
前記タイマは、前記設定時間を調節可能にしたことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の水栓システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−12876(P2012−12876A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151878(P2010−151878)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】