説明

水殺菌用新規固体組成物

本発明は、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物又はそれら化合物の混合物を塩素系殺生物性化合物と混合する工程と、得られた混合物を、顆粒及び物理的に強固な固体成形体を製造するのに十分な加圧力を適用することにより、単一の最終固体組成物に圧縮成形する工程とを含む、水消毒用固体成形組成物の調製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種水システムの殺菌に関する。より詳細には、本発明は、各種水システムの殺菌のための、臭素及び塩素を含有する有機コンパンドに関する。
【背景技術】
【0002】
各種水システムは、大量の微生物の成長及び種々の有機無機化合物の蓄積にとって好適な環境を提供するため、水循環システム及び給水貯水場の本質的汚染につながり、これらの系が病気の蔓延を媒介することもある。水の殺菌や生物汚染の無毒化(biofouling neutralization)、及び水中に存在する他の有機無機物質の無毒化にあたっては、通常、微生物や微生物の残骸、及び他の化合物と反応する比較的少量の殺生物剤を添加することで、これらを水溶性又は揮発性物質へと分解させ、水システムを浄化したり或いは少なくとも衛生的に制御可能な状態にしている。
【0003】
よく知られた殺生物剤の一群には、ハロゲン供与性有機化合物、特にハロゲン供与性ヒダントイン系殺生物剤が包含される。この群の化合物である1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジアルキルヒダントインや1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジアルキルヒダントイン、ジブロモ−ジアルキル−ヒダントイン、及び、これらのうち特にアルキルがメチルである化合物(BCDMHやDBDMH)は、微生物や藻類の生育制御や各種水処理用途(例えば、工業的水冷却システムや廃水処理システム、水泳プールの殺菌)に広く使用されており、わずか数ppmという低濃度で多種類の細菌、藻類及び菌類の殺滅に極めて有効である。殺菌性を有する他の知られた殺生物性化合物としては、トリクロロイソシアヌル酸(即ちTCCA)やナトリウムジクロロイソシアヌレート(即ちNaDCC)があり、これら化合物も広く用いられている。BCDMH、DBDMH、TCCA及びNaDCCの殺生物活性は、水性媒体中で加水分解されてハロゲンを遊離し、続いてハロゲン含有分子(即ち、次亜ハロゲン酸−HOX(Xはハロゲンを意味する)であり、次亜臭素酸と次亜塩素酸のいずれかになる)を生成することにより発揮される。
【0004】
次亜臭素酸が次亜塩素酸よりも殺菌活性が優れているということは古くから立証されており、このことからBCDMH製品とDBDMH製品は、多くの競合製品よりも魅力あるものとなっている。この材料の他の性質としては、例えば、水中で良好に加水分解されること、生物学的汚染物質に対する活性が良好であり(特に高pH(塩基性)環境において)揮発性が低く臭気が少ないことが挙げられる。
【0005】
BCDMH、DBDMH及び類似化合物のこれまでに直面してきた主たる問題点は、化学的に安定で物理的に強固なタブレットに圧縮成形することが困難なことである。従って、活性物質と共に生物学的に不活性な各種バインダー材料を配合することが益々必要となっているが、そのような材料を配合することでタブレットの消毒効力は低下する。その結果、水中で必要とされる殺生物濃度を達成するためには、より多くの量の製品を使用する必要が生じ、これに付随して水中にバインダーが蓄積することになり水質が低下する。
【0006】
一方、N,N’,N’’−トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)及び/又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)等の塩素化殺生物剤は、強固な固体組成物へ容易に加圧成形できることが当業者によく知られている。
【0007】
米国特許第4532330号、同第4560766号、同第4654424号、同第4677130号、同第4745189号及び同第5565576号は、バインダーの役割を果たす各種添加剤(アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等)と、ハロゲン化されて1,3−ジハロ−5,5−ジメチルヒダントインと混合される種々の基質(エチル−メチル−ヒダントインやプロピル−メチルヒダントイン等)とを開示している。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4532330号
【特許文献2】米国特許第4560766号
【特許文献3】米国特許第4654424号
【特許文献4】米国特許第4677130号
【特許文献5】米国特許第4745189号
【特許文献6】米国特許第5565576号
【特許文献7】米国特許第6495698号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国特許第6495698号は、バインダーを使用することなく強固な固体組成物(即ち顆粒)に加圧成形できる粒径の大きいBCDMHの調製方法を開示している。そのような固体組成物はプラントやプロセスの消毒に効率的ではあるが、十分に強固なタブレットに加圧成形することはできず、パック(即ち、20〜30g超のタブレット又はブロック)には到底加圧成形できない。更に、これらは100%純粋なBCDMHではなく、他のハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物を含有していることが判明し、従って純粋な等価な量のBCDMHほど効果的ではなく、また、圧縮成形される混合物のタイプ毎にタブレット化用器具の調節や調整が必要になる。このことは、純粋なBCDMH又は少なくともBCDMH濃度の高い混合物を、高効力タブレットに圧縮成形することが困難であり、この点が依然として未解決であることを示している。
【0010】
BCDMH含有消毒剤の強固な固体組成物を製造するための従来の解決策は、該消毒剤と、5,5−ジメチルヒダントイン以外の置換アルキル化ヒダントインのハロゲン化誘導体、好ましくは塩素化誘導体とを混合することである。この種の混合物はBCDMHを51%含有するが、圧縮形成助剤も含む(場合により15%超)ためハロゲン含有量が比較的低くなる(即ち、BCDMH中の臭素量29〜31%に対し約18%)。これは、消毒すべき水システムの有機無機残渣量の増大に応じて、より多くの量の製品を使用する必要があることを意味する。更に、置換ヒダントインの調製に適したヒダントイン基質は市販品はあまり無く、その価格は5,5−ジメチルヒダントインの価格より著しく高く、タブレット化製品のコストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、臭素含有殺生物剤よりも高い殺生物性効力を維持しつつ、利用可能なハロゲン含有量を低下させることなしに(実際には上昇させる)タブレット化性能と成形固体製品の強度とを著しく向上させることができ、種々の割合で塩素系殺生物性化合物とのみ混合される次の物質、即ちハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン;1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン及び1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインのハロゲン化プロセスにより生じる混合物;又はジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)を提供することが望まれている。
【0012】
従って本発明の目的は、物理的に強固な高効力水消毒用固体成形組成物の調製方法を提供することである。
【0013】
本明細書及び請求の範囲において、特に断らない限り、「固体組成物」又は「成形組成物」という用語は、とりわけ、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントインと塩素系殺生物性化合物とを含有する、種々の寸法及び重量のブリケット、ウェハー、タブレット、スティック等を含む。更に本明細書において、「成形体」及び「成形組成物」という用語は相互に交換可能に使用される。
【0014】
本発明の他の目的は、BCDMH又はDBDMHと、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)とを含む、物理的に強固な高効力水消毒用固体成形組成物の調製方法を提供することである。
【0015】
本発明の更に他の目的は、本法で調製される顆粒及び固体成形組成物を提供することである。
【0016】
本発明の更に他の目的は、TCCA、NaDCC又はそれらの混合物が圧縮成形助剤としても消毒剤としても働く、圧縮成形された成形体を提供することである。
【0017】
本発明の更に他の目的は、圧縮成形された固体組成物中の総有効ハロゲン含有量を上昇させることにより、製品の改良された殺生物活性を提供することである。
【0018】
本発明の更に他の目的は、工業用水や廃水、紙パルプ産業用水、冷却塔、プール、スパ、公共施設及び家庭用途等の水の殺菌に有用な改良固体組成物を顆粒又は成形体という二種に形状で提供することである。
【0019】
本発明のこれら目的及び他の目的は、記載が進むにつれて明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明はその一アスペクトにおいて、水消毒用固体組成物の調製方法に関し、前記方法は、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物を塩素系殺生物性化合物と混合する工程と、得られた混合物を、顆粒又は物理的に強固な固体成形体を製造するのに十分な圧縮力を適用することにより、顆粒及び/又は単一の最終固体組成物に圧縮成形する工程とを含む。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物又はそれら化合物の混合物は、5,5−ジメチルヒダントインのハロゲン化プロセスにより得られる。好ましくは、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物は、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン;1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン;1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH);及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン及び1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインの各種混合物;及びそれらの任意の組合せから選択されるが、これらに限定されない。
【0022】
塩素系殺生物性化合物の例示的なものとしては、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)やナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)及びそれらの混合物があげられる。圧縮成形された最終顆粒状製品又は成形製品における塩素系殺生物性化合物の含有量は、通常、約10重量%〜約80重量%であり、約20重量%〜約40重量%であることが好ましい。
【0023】
最終固体成形製品の重量は広範囲に亘ることができ、約10〜300gが好ましく、約20〜100gがより好ましい。
【0024】
本発明はまた、ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH)やジブロモジメチルヒダントイン(DBDMH)等のハロゲン化5,5−ジメチルヒダントインを、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物と混合する工程と、得られた混合物を、破壊強度16ポンド(lbs)以上を有する単一の最終成形体を製造するのに十分な加圧力(press force)を適用することにより、前記成形体に圧縮成形する工程と、を含む水消毒用タブレットの調製方法に関する。適切な破壊強度試験の代表的な例においては、破壊試験は16ポンド〜85ポンドの範囲で行われ、前記TCCA又は前記NaDCCの含有量は約10重量%〜約80重量%の範囲であり、約20重量%〜約40重量%の範囲が最も好ましい。
【0025】
本発明の好ましい実施形態においては、重量約20g以下の水消毒用固体成形組成物の調製方法が提供される。前記方法は、ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH)又はジブロモジメチルヒダントイン(DBDMH)を、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物と混合する工程と、得られた混合物を、破壊強度16ポンド超を達成するのに十分な加圧力を適用することにより、単一の最終成形体に圧縮成形する工程とを含む。適切な破壊強度試験の代表的な例においては、破壊試験は65ポンド〜80ポンドの範囲で行われ、前記TCCA又は前記NaDCC(又はそれらの混合物)の含有量は約10重量%〜約80重量%の範囲であり、約20重量%〜約40重量%の範囲が最も好ましい。
【0026】
本発明の他の好ましい実施形態においては、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物と塩素系殺生物性化合物との混合物を含有する、圧縮成形された単一の水消毒用固体成形体が提供される。ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントインは、好ましくは1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン;1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン;1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH);及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン及び1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインの各種混合物;及びそれらの任意の組合せから選択される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態においては、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物は5,5−ジメチルヒダントインのハロゲン化プロセスの生成物であり、本発明の他の好ましい実施形態においては、塩素系殺生物性化合物は、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)、ナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)及びそれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明に従い製造される好ましい固体成形体の例は、ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)との混合物を含有する圧縮成形された単一のタブレットであって、前記タブレット中の前記BCDMH含有量は約67.5重量%であり、前記タブレット中の前記TCCA又は前記NaDCCの含有量は約32.5重量%であり、前記タブレットの重量は約100g以上であり、前記タブレットの破壊強度は16ポンド〜85ポンドの範囲である。
【0029】
本発明に従い製造される好ましい固体成形組成物の他の例は、ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物との混合物を含有する圧縮成形された単一のタブレットであって、前記タブレット中のBCDMH含有量は約80重量%であり、前記タブレット中のTCCA又はNaDCCの含有量は約20重量%であり、タブレットの重量は約100g以上であり、タブレットの破壊強度は16ポンド〜85ポンドの範囲である。
【0030】
本発明に従って製造される好ましい固体成形組成物の更なる例は、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(BCDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)との混合物を含有する圧縮成形された単一のタブレットであって、前記タブレット中のBCDMH含有量は約70重量%であり、前記タブレット中のTCCA又はNaDCCの含有量は約30重量%であり、該タブレットは、TCCAの場合、塩素量約67%に相当する酸化力を有し、NaDCCの場合、塩素量約57%に相当する酸化力を有する。本発明に従って製造される好ましい固体成形組成物の更に他の例は、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)との混合物を含有する圧縮成形された単一のタブレットであって、前記タブレット中のDBDMH含有量は約70重量%であり、前記タブレット中のTCCA又はNaDCCの含有量は約30重量%であり、前記タブレットは、TCCAの場合、塩素量約62%に相当する酸化力を有し、NaDCCの場合、塩素量約51%に相当する酸化力を有する。
【0031】
本発明はまた、水性媒体の殺菌のための、本発明顆粒状組成物又は固体成形組成物の使用も包含する。
【0032】
本発明により殺菌できる水性媒体の例示的なものとしては、工業用水や廃水、紙パルプ産業用の処理水、冷却塔、水泳プール、スパ、公共施設及び家庭での各種用途等を挙げることができる。
【0033】
本発明は、顆粒及び物理的に強固で且つ効果的な殺生物作用を有する固体成形体、並びにそれらの製品の調製方法を提供する。
【0034】
次の表I及び表IIにまとめたいくつかの参考例は、BCDMHを単独で含有するか、或いはBCDMHを各種添加剤(添加剤は、バインダー又はタブレット化助剤として機能する)と共に含有する、関連先行技術による製品の現在の性能を示す。BCDMHのある種の物理的性質が、通常条件下で物理的に強固な固体成形体を製造する際の障害になっており、各種支持添加剤(ホウ酸等)の存在がしばしば必要となることが明らかである。しかしながら、ホウ酸を添加すると(表II)、タブレット化プロセスで適用する圧力を高くしても、製品の物理的に強度は保証されない。BCDMHの100gタブレットの調製のために行った実験から、加える力を大きくしてもタブレットの破壊強度を改善できないことが分かった。
【0035】
本明細書においては、破壊強度は次の試験方法に従って測定される。本法は、圧縮成形された固体製品の破壊圧縮強度の測定に適用できる。タブレット又はスティックを、リマックテスター(Rimac Tester)(図1)に特定の方法で載置する。この試料に圧力をかけ、試料の破砕又は破壊後の読みを記録する。固体の破壊に必要な力を表すポンド(又はキログラム)の読みが、内部張力ばね(internal tension spring)に取付けられた矢印によってディスプレイゲージに示される。
【0036】
リマックテスターの各要素は次の番号で示される。
1−上部ラム
2−リマック上部ラム圧縮ハンドル
3−ブレーカーバー
4−タブレット
5−タブレット支持フレーム
6−リマックテスターディスプレイゲージ
7−リマック底部支持プラットフォーム
【0037】
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
次表IIから、上述したように、BCDMHタブレットの特性向上のために通常使用される添加剤を配合したことによる顕著な効果は全く見られないことが分かる。
【0040】
【表2】

【0041】
2%Mgステアレート(一般的な潤滑剤兼タブレット化助剤)を添加した場合、強度がわずか4〜6ポンドの極めて脆弱なタブレットが得られた。
【0042】
機械強度の高い(70ポンド)100gパックは、「クロロックスブランドオートマッチクトイレットボウルタブレッツ(Clorox Brand Automatic Toilet Bowl Tablets)」の名称で市販されているが、BCDMH濃度はわずか51%である。
1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン 51%
1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン 23.3%
1,3−ジクロロ−5−エチル−5−メチルヒダントイン 9.0%
その他の成分(不活性物質) 16.7%
【0043】
本発明によれば、TCCA及び/又はNaDCC(ナトリウムジクロロイソシアヌレート)又はそれらの混合物のBCDMHへの添加は、タブレット化製品の性質を著しく向上させる。TCCAは利用可能なハロゲン濃度が非常に高い(90%超)ことから、その使用が極めて好ましい。
【0044】
次表IIIは、好ましい組成物の例である、BCDMH70%(有効ハロゲン57.8%含有(塩素相当量))とTCCA30%(有効塩素90%含有)との混合物、及びDBDMH70%(有効ハロゲン49.7%含有(塩素相当量))とTCCA30%(有効塩素90%含有)との混合物を示す。これら組成物は他の市販製品と比較して、次のように有効ハロゲン含有量が高いことが明らかである。
【0045】
【表3】

【0046】
水消毒に必要とされる有効ハロゲン濃度は1〜5ppmであることから、有効ハロゲン含有量のより高い製品を使用すれば、同一期間に亘る消毒に要する製品の消費量がより少なくて済むことは明らかである。これは使用者に明らかな経済的効果をもたらし、更にこの経済的効果は、塩素化シアヌル酸誘導体がBCDMHに対して著しく低価格であることにからもたらされる前記製品の低コスト化によって高められる。
【0047】
更なる利点として、本法により調製される20gタブレットの強度は、次表IVに示されるように、BCDMHから調製される同様のタブレットの強度より著しく高い。
【0048】
【表4】

【0049】
また、上表IVに記載される組成の100gタブレットにおいても破壊強度の改善が達成され、その他の物理的特徴はいずれの重量においても100%BCDMHより良好であることが分かる。
【0050】
TCCAとハロゲン化ジメチルヒダントイン化合物(HDMH)は、必要に応じて各種割合で用いることができ、NaDCCの場合でも同様である。HDMHとTCCAとの混合物(TCCA含有量10〜80%)が好適である。TCCA含有量は20〜40%の範囲であることが好ましい。
【0051】
タブレット組成物の例と特徴を次表Vに示す。
【0052】
【表5】

【0053】
表Vに示されるように、使用加圧力を30〜50Kポンドとした場合、試験されたBCDMH/TCCAがいずれの割合であっても100%BCDMHに対してタブレット強度が改善される。
【0054】
本発明の実施例は例示目的で記載されたものであるが、請求項の範囲を超えることなく、当業者によって多くの修正や変更、改変が行われ得ることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例に記載の固体組成物の破壊強度測定に使用されるリマックテスターである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水消毒用固体成形組成物の調製方法であって、前記方法は、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物又はそれら化合物の混合物を塩素系殺生物性化合物と混合する工程と、得られた混合物を、顆粒及び物理的に強固な固体成形体を製造するのに十分な加圧力を適用することにより、単一の最終固体組成物に圧縮成形する工程とを含む調製方法。
【請求項2】
ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物又はそれら化合物の混合物は、5,5−ジメチルヒダントインのハロゲン化プロセスにより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物は、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン;1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン;1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH);及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン及び1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインの各種混合物;及びそれらの任意の組合せから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
塩素系殺生物性化合物は、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
最終的な圧縮成形された顆粒又は固体成形体の塩素系殺生物性化合物含有量は、約10重量%〜約80重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
塩素系殺生物性化合物含有量は約20重量%〜約40重量%である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
固体成形体の重量は約10〜300gである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
固体成形体の重量は約20〜100gである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
最終固体成形体におけるTCCA又はNaDCC又はそれら混合物の含有量は、約10重量%〜約80重量%であり、最も好ましくは約20重量%〜約40重量%である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
水消毒用固体成形体の調製方法であって、ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントインをトリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物と混合する工程と、得られた混合物を、破壊強度約16ポンド超を有する固体成形製品を製造するのに十分な加圧力を適用することにより、最終固体成形体に圧縮成形する工程と、を含み、前記TCCA又は前記NaDCC又はそれらの混合物の含有量は、約10重量%〜約80重量%の範囲であり、最も好ましくは約20重量%〜約40重量%の範囲である調製方法。
【請求項11】
ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントインは、ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH)又はジブロモジメチルヒダントイン(DBDMH)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
固体成形体の重量は約10〜300gである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
最終固体成形体の重量は約20〜100gである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物と塩素系殺生物性化合物との混合物を含有する、圧縮成形された水消毒用固体成形組成物又は圧縮成形された水消毒用固体成形体。
【請求項15】
前記ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物は、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン;1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン;1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH);及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン及び1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインの各種混合物;及びそれらの任意の組合せから選択される、請求項14に記載の固体成形体。
【請求項16】
ハロゲン化5,5−ジメチルヒダントイン化合物は、5,5−ジメチルヒダントインのハロゲン化プロセスの生成物である、請求項15に記載の固体成形体。
【請求項17】
塩素系殺生物性化合物は、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)、ナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)及びそれら混合物から選択される、請求項15に記載の固体成形体。
【請求項18】
前記の圧縮成形された最終固体成形体の塩素系殺生物性化合物含有量は、約10重量%〜約80重量%である、請求項15に記載の固体成形体。
【請求項19】
塩素系殺生物性化合物含有量は約20重量%〜約40重量%である、請求項18に記載の固体成形体。
【請求項20】
タブレットの重量は約10〜300gであって、前記タブレットの破壊強度は16ポンド超である、請求項15に記載の固体成形体。
【請求項21】
タブレットの重量は約20〜100gであって、前記固体成形体の破壊強度は16ポンド超の範囲である、請求項15に記載の固体成形体。
【請求項22】
ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物との混合物を含有する圧縮成形された固体成形体であって、前記成形体における前記BCDMH含有量は約67.5重量%であり、前記成形体における前記TCCA又は前記NaDCC又はそれらの混合物の含有量は約32.5重量%であり、前記成形体の重量は約100g以上であり、前記成形体の破壊強度は16ポンド超である、圧縮成形された固体成形体。
【請求項23】
ブロモクロロジメチルヒダントイン(BCDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物との混合物を含有する圧縮成形された固体成形体であって、前記成形体におけるBCDMH含有量は約80重量%であり、前記成形体におけるTCCA又はNaDCCの含有量は約20重量%であり、成形体の重量は約100g以上であり、成形体の破壊強度は16ポンド超である、圧縮成形された固体成形体。
【請求項24】
1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(BCDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)又はそれらの混合物との混合物を含有する圧縮成形された固体成形体であって、前記成形体におけるBCDMH含有量は約70重量%であり、前記タブレットにおけるTCCA又はNaDCC又はそれらの混合物の含有量は約30重量%であり、該固体成形体は、TCCAの場合、塩素量約67%に相当する酸化力を有し、NaDCCの場合、塩素量約57%に相当する酸化力を有する、圧縮成形された固体成形体。
【請求項25】
1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)と、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)又はナトリウムジクロロイソシアヌレート(NaDCC)との混合物を含有する圧縮成形された固体成形体であって、前記成形体におけるDBDMH含有量は約70重量%であり、前記成形体におけるTCCA又はNaDCC又はそれらの混合物の含有量は約30重量%であり、前記成形体は、TCCAの場合、塩素量約62%に相当する酸化力を有し、NaDCCの場合、塩素量約51%に相当する酸化力を有する、圧縮成形された固体成形体。
【請求項26】
前記成形体の重量は約20g以下であって、その破壊強度は16ポンド超である、請求項25に記載の固体成形体。
【請求項27】
前記成形体の重量は約20〜100gであって、その破壊強度は16ポンド超である、請求項25に記載の固体成形体。
【請求項28】
前記成形体の重量は約20〜100gであって、その破壊強度は20.5ポンド〜24.5ポンドの範囲である、請求項25に記載の固体成形体。
【請求項29】
前記成形体の重量は約20〜100gであって、その破壊強度は18.5ポンド〜22.8ポンドの範囲である、請求項25に記載の固体成形体。
【請求項30】
実質的に記載され例示されている、水消毒用の顆粒及び圧縮成形された固体成形体の調製方法。
【請求項31】
実質的に記載され例示されている、圧縮成形された単一の水消毒用固体成形体。
【請求項32】
種々の寸法及び重量を有する、ブリケット、ウェハー、タブレット、スティック等の形態である、請求項31に記載の成形体。
【請求項33】
請求項14〜29のいずれか1項に記載の固体成形組成物の水性媒体を殺菌するための使用。
【請求項34】
水性媒体は、工業用水、廃水、紙パルプ産業用水、冷却塔、プール、スパ、公共施設及び家庭での用途等から選択される、請求項33に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−505883(P2008−505883A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519980(P2007−519980)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000723
【国際公開番号】WO2006/006155
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(500165175)ブローミン コンパウンズ リミテッド (9)
【Fターム(参考)】