説明

水洗便器

【課題】分割体の寸法精度を向上でき、分割体同士を確実且つ強固に固着でき、設計上の自由度を高めると共に外観上優れた水洗便器を提供する。
【解決手段】ボウル部1及びボウル部1の上端部に配置されるリム部2を備える。2個以上の合成樹脂製の分割体4を固着一体化して形成される便器である。分割体4のうち1個以上の分割体4の少なくとも一部を発泡成形により形成した発泡部とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の合成樹脂製の分割体を固着一体化して成る水洗便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の陶器製の水洗便器は成形時に変形や割れが生じやすく、製品形状を複雑にできないという問題がある。
【0003】
また、例えば特許文献1に示すように複数の合成樹脂製の分割体を接着や溶着により固着一体化して成る水洗便器が利用されており、このものは上記陶器製の便器と比較すると製品形状を複雑にできる。
【0004】
ところで、上記合成樹脂製の便器の各分割体は陶器製のものと比較するとある程度は寸法精度が向上しているが、この寸法精度には依然として改善の余地がある。また、分割体の寸法精度が低いと、分割体同士を組み合わせた時に分割体間に位置ずれが生じて溶着や接着の精度が低下し、分割体同士を強固に固着することが困難となる。また、各分割体は合成樹脂製であるために成形時にひけ等が生じる恐れがあり、例えば薄肉のものにあっては補強用のリブの寸法やリブを成形する位置が制限されるといった設計上の問題もある。
【特許文献1】特開2006−328827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、分割体の寸法精度を向上でき、分割体同士を確実且つ強固に固着でき、設計上の自由度を高めると共に外観上優れた水洗便器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、ボウル部1及びボウル部1の上端部に配置されるリム部2を備え、2個以上の合成樹脂製の分割体4を固着一体化して形成される便器において、前記分割体4のうち1個以上の分割体4の少なくとも一部を発泡成形により形成した発泡部とすることを特徴とする水洗便器である。
【0007】
このように分割体4のうち1個以上の分割体4の少なくとも一部を発泡成形により形成した発泡部とすることで、分割体4の成形時における発泡の膨張力が収縮を妨げる力として作用し、これにより分割体4の寸法精度を向上できる。また、上記成形時における発泡の膨張力により分割体4にはひけが生じ難くなる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、上記発泡部を気泡径が100μm以下となる微細気泡発泡成形により形成することを特徴とする請求項1に記載の水洗便器である。このように発泡部を微細気泡発泡成形により形成することで、成形時における内圧を高めて分割体4の寸法精度を一層向上できると共にひけの発生を一層防止できる。また、発泡部の気泡径を100μm以下と小さくできるので、気泡径が大きな発泡部としたものと比較して強度の高い分割体4を得ることができる。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、便器の外周面部を構成するスカート部3を備えると共に該スカート部3を他部に対して固着一体化される分割体4とし、該スカート部分割体4cの全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器である。このようにスカート部分割体4cの全体を発泡部とすることで、スカート部分割体4cの断熱効果を高めることができる。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、上記リム部2を他部に対して固着一体化される分割体4とし、該リム部分割体4bの全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器である。このようにリム部分割体4bの全体を発泡部とすることで、便座や便蓋が倒れて便器のリム部2に接触した際に生じる衝撃や音の発生を抑制できる。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、上記ボウル部1を他部に対して固着一体化される分割体4とし、該ボウル部分割体4aの全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器である。このようにボウル部分割体4aの全体を発泡部とすることで、ボウル部1の内面に液体等が落下した際の衝撃や振動を吸収できる。また、ボウル部分割体4aに含まれる気泡により光を散乱させてボウル部1を不透明化できる。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、便器の外周面部を構成するスカート部3を備えると共に該スカート部3を顔料を含まない合成樹脂により形成して他部に対して固着一体化される分割体4とし、該スカート部分割体4cにおける一部を上記発泡部とすると共に他部を非発泡成形により形成して非発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器である。この場合、スカート部分割体4cの一部を不透明な発泡部とすると共に他部を透明な非発泡部とすることができる。
【0013】
また、請求項7に係る発明は、上記ボウル部1及びリム部2の夫々を独立した分割体4とし、前記ボウル部1を構成する分割体4からなるボウル部分割体4aの全体及びリム部2を構成する分割体4からなるリム部分割体4bの全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器である。このようにリム部分割体4bの全体を発泡部とすることで、便座や便蓋が倒れて便器のリム部2に接触した際に生じる衝撃や音の発生を抑制できる。また、ボウル部分割体4aの全体を発泡部とすることで、ボウル部1の内面に液体等が落下した際の衝撃や振動を吸収できる。また、ボウル部分割体4aに含まれる気泡により光を散乱させてボウル部1を不透明化できる。また、ボウル部分割体4a及びリム部分割体4bの表面粗度を低下させ、互いの溶着面又は接着面の面積を増加させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明では、分割体のうち1個以上の分割体の少なくとも一部を発泡成形により形成した発泡部とすることで、分割体の成形時における発泡の膨張力が収縮を妨げる力として作用し、これにより分割体の寸法精度を向上できる。また、この結果、分割体同士を溶着等により固着一体化するにあたって分割体同士を正確に組み合わせることができて溶着や接着の精度を高めることができ、分割体同士を確実且つ強固に固着できる。また、上記成形時における発泡の膨張力により分割体にはひけが生じ難くなり、設計上の自由度が増すと共に外観上優れたものとなる。また、分割体をガスインジェクション成形により形成した場合と比較して、分割体の外面にガス注入跡が露出せず、この点でも外観が優れている。
【0015】
また、請求項2に係る発明では、請求項1の効果に加えて、発泡部を微細気泡発泡成形により形成することで、成形時における内圧を高めて分割体の寸法精度を一層向上できると共にひけの発生を一層防止できる。また、発泡部の気泡径を100μm以下と小さくできるので、気泡径が大きな発泡部としたものと比較して強度の高い分割体を得ることができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2の効果に加えて、スカート部分割体の全体を発泡部とすることで、スカート部分割体の断熱効果を高めることができ、便器に着座した人の脚がスカート部に触れて冷たく感じることを防止できる。また、スカート部の内面側に補強リブを形成すると外面側にひけが生じやすくなって外観が悪くなる恐れがあるが、前記スカート部分割体を発泡成形により形成することでひけの発生を防止できるので、補強リブの数を増やしたり、補強リブの厚みや長さを長くする等してスカート部の強度を高め、スカート部の薄型化を図ることが可能となる。
【0017】
また、請求項4に係る発明では、請求項1又は請求項2の効果に加えて、リム部分割体の全体を発泡部とすることで、便座や便蓋が倒れて便器のリム部に接触した際に生じる衝撃を抑制でき、リム部や便座、便蓋の変形や破損を防止できる。また、便座や便蓋が倒れて便器のリム部に接触した際に大きな音が生じることが防止できる。
【0018】
また、請求項5に係る発明では、請求項1又は請求項2の効果に加えて、ボウル部分割体の全体を発泡部とすることで、ボウル部の内面に液体等が落下した際の衝撃や振動を吸収して防音効果を得ることができる。また、ボウル部分割体に多数含まれる気泡により光を散乱させてボウル部を不透明化し、ボウル部内を視認できないようにできる。また、この場合、ボウル部分割体の材料として、顔料の使用を抑えた又は顔料を含まない合成樹脂を用いることができ、材料費を抑えることができ、特に顔料を含まない場合には顔料むらによる外観不良を防止できる。
【0019】
また、請求項6に係る発明では、請求項1又は請求項2の効果に加えて、スカート部分割体の一部を不透明な発泡部とすると共に他部を透明な非発泡部とすることができ、殊に透明な非発泡部においては便器内を視認することができ、スカート部分割体に収納したターントラップ装置等を便器を取り外すことなく点検できる。
【0020】
また、請求項7に係る発明では、請求項1又は請求項2の効果に加えて、リム部分割体の全体を発泡部とすることで、便座や便蓋が倒れて便器のリム部に接触した際に生じる衝撃を抑制でき、リム部や便座、便蓋の変形や破損を防止できる。また、便座や便蓋が倒れて便器のリム部に接触した際に大きな音が生じることが防止できる。また、ボウル部分割体の全体を発泡部とすることで、ボウル部の内面に液体等が落下した際の衝撃や振動を吸収して防音効果を得ることができる。また、ボウル部分割体に多数含まれる気泡により光を散乱させてボウル部を不透明化し、ボウル部内を視認できないようにできる。また、この場合、ボウル部分割体の材料として、顔料の使用を抑えた又は顔料を含まない合成樹脂を用いることができ、材料費を抑えることができ、特に顔料を含まない場合には顔料むらによる外観不良を防止できる。また、ボウル部分割体及びリム部分割体の表面粗度を低下させ、互いの溶着面又は接着面の面積を増加させ、より強固にボウル部分割体及びリム部分割体を固着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図1及び図2に示す本実施形態の水洗便器は、ボウル部1と、ボウル部1の上端部に配されるリム部2と、便器の外周面部を構成するスカート部3とで構成してある。
【0022】
上記ボウル部1、リム部2、スカート部3の夫々は独立した分割体4としてある。各分割体4は熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等の合成樹脂によって形成され、これら3個の分割体4を溶着により固着一体化することで便器が形成される。なお、本実施形態では分割体4同士を溶着により固着一体化するが、接着剤を用いて分割体4同士を接着により固着一体化しても良い。
【0023】
以下、上記ボウル部1、リム部2、スカート部3の夫々を構成する分割体4をボウル部分割体4a、リム部分割体4b、スカート部分割体4cと記載する。
【0024】
ボウル部1(ボウル部分割体4a)は上方に開口する椀状部5の下部に後方に向けて排水筒部6を一体に突出して形成して成る。椀状部5の内周面の上部には段部7を形成してあり、段部7の上面はリム部2(リム部分割体4b)の前部(後述の便座載置部15)の下端面が載置される載置面となっている。また、排水筒部6の後端部は便器の後部内に配置される図示しないターントラップ装置を介して又は直接排水路に連通する。
【0025】
図2及び図3に示すように上下に開口する略筒状のスカート部3(スカート部分割体4c)の前部の下端部からは内方に向けて内鍔部12を突出形成している。内鍔部12には上方に向けて突出する支持片11を形成してあり、支持片11の上端面によってボウル部1の排水筒部6は支持される。また、図3のようにスカート部3の前部の内面にはスカート部3の周方向に適宜間隔を介して複数の上下方向に伸びる補強リブ10を突出形成してあり、各補強リブ10の下端は内鍔部12に接続してある。なお、スカート部3の内面には図2に示すようにボウル部1をシート材等を介して支持するための補強リブ10を設けても良い。
【0026】
便器の上面を構成するリム部2の前部には下部がボウル部1の上端部内に嵌め込まれる平面視略円環状の便座載置部15を形成してあり、便座載置部15上には便座(図示せず)が載置される。また、リム部2の後部には装置設置部14を形成してあり、該装置設置部14上には暖房便座装置や洗浄装置(図示せず)などが設置され、この装置には前記便座及び便蓋(図示せず)の夫々の後端部が回動自在に連結される。
【0027】
便座載置部15のボウル部1の上端部内に嵌め込まれる嵌込部13は周方向の断面形状を外側方に向けて開口する略コ字状としてあり、該嵌込部13とこれに対向するボウル部1の上端部内周面との間に洗浄水流路17を形成している。洗浄水流路17には前記装置設置部14に設置した装置等から水等の洗浄用液体が供給され、この洗浄用液体を洗浄水流路17の底面部を構成する嵌込部13の下部に形成した吐出口(図示せず)からボウル部1内に吐出することでボウル部1の内面が洗浄される。
【0028】
上記3個の分割体1〜3を固着一体化するには、設置面上に設置されるスカート部3の前部内側にボウル部1を収納して前述の支持片11にてボウル部1を支持し、リム部2の嵌込部13をボウル部1の上端部内に嵌め込んでリム部2をボウル部1及びスカート部3上に載置し、この状態でリム部2のボウル部1への載置箇所(図2のA1、A2で示す箇所)をボウル部1に溶着すると共に、リム部2のスカート部3への載置箇所(図2のB1、B2で示す箇所)をスカート部3に溶着する。
【0029】
ここで、上記ボウル部1となるボウル部分割体4a、リム部2となるリム部分割体4b、スカート部3となるスカート部分割体4c、のうち1個以上の分割体4は射出成形等により成形された発泡成形体からなる。即ち、ボウル部1、リム部2、スカート部3を構成する3個の分割体4のうち1個以上の分割体4はその全体を発泡部としてある。
【0030】
この例として、ボウル部分割体4a、リム部分割体4b、スカート部分割体4cからなる3個の分割体4のうち、1個の分割体4のみを発泡成形により形成すると共に他の分割体4を非発泡成形により形成する、又は2個の分割体4を発泡成形により形成すると共に他の1個の分割体4を非発泡成形により形成する、又は3個全ての分割体4を発泡成形により形成する例が挙げられる。
【0031】
また、上記1個の分割体4のみを発泡成形により形成した具体的な例としては、ボウル部分割体4aのみ、又はリム部分割体4bのみ、又はスカート部分割体4cのみ、を発泡成形により形成する例が挙げられる。また、上記2個の分割体4のみを発泡成形により形成した具体的な例としては、ボウル部分割体4a及びリム部分割体4b、又はボウル部分割体4a及びスカート部分割体4c、又はリム部分割体4b及びスカート部分割体4cを発泡成形により形成する例が挙げられる。
【0032】
このように分割体4を発泡成形により形成した発泡部とすることで、該分割体4の成形時における発泡の膨張力が収縮を妨げる力として作用し、これにより分割体4の寸法精度を向上できる。また、この結果、分割体4同士を溶着等により固着一体化するにあたって分割体4同士を正確に組み合わせることができて溶着や接着の精度を高めることができ、分割体4同士を確実且つ強固に固着できる。特に上記三個の独立した分割体4を確実且つ強固に溶着・接合するためには、図4中のAに示す寸法を10mm以下とし、スカート部3のリム部2を載置する箇所や、ボウル部1のリム部2を載置する箇所の位置を正確に決定することが重要であるが、本例では各分割体4を発泡成形により形成した発泡部としたことで高い寸法精度が得られ、図4中のAに示す寸法を10mm以下とすることができて三個の分割体4を確実且つ強固に溶着・接合できるものである。また、上記成形時における発泡の膨張力により分割体4にはひけが生じ難くなり、設計上の自由度が増すと共に外観上優れたものとなる。また、分割体4をガスインジェクション成形により形成した場合と比較して、分割体4の外面にガス注入跡が露出せず、この点でも外観が優れている。
【0033】
また、殊にスカート部分割体4cの全体を発泡部とした場合には、スカート部分割体4cの断熱効果を高めることができ、便器に着座した人の脚がスカート部3に触れて冷たく感じることを防止できる。また、スカート部3の内面側に補強リブ10を形成すると外面側にひけが生じやすくなって外観が悪くなる恐れがあるが、前記スカート部分割体4cを発泡成形により形成することでひけの発生を抑えることができるので、補強リブ10の数を増やしたり、補強リブ10の厚みや長さを長くする等してスカート部3の強度を高め、スカート部3の薄型化を図ることが可能となる。
【0034】
また、リム部分割体4bの全体を発泡部とした場合には、便座や便蓋が倒れて便器のリム部2に接触した際に生じる衝撃を抑制でき、リム部2や便座、便蓋の変形や破損を防止できる。また、便座や便蓋が倒れて便器のリム部2に接触した際に大きな音が生じることも防止できる。
【0035】
また、ボウル部分割体4aの全体を発泡部とした場合には、ボウル部1の内面に液体等が落下した際の衝撃や振動を吸収して防音効果を得ることができる。また、ボウル部1は便器という製品の特性上、不透明性が要求されるのだが、ボウル部分割体4aの全体を発泡部とした場合には、ボウル部分割体4aに含まれる気泡(発泡セル)により光を散乱させてボウル部1を不透明化でき、この場合、ボウル部分割体4aの材料として、顔料の使用を抑えた又は顔料を含まない合成樹脂を用いることができ、材料費を抑えることができ、特に顔料を含まない場合には顔料むらによる外観不良を防止できる。
【0036】
また、ボウル部分割体4aの全体及びリム部分割体4bの全体を発泡部とした場合や、リム部分割体4bの全体及びスカート部分割体4cの全体を発泡部とした場合には、溶着や接着により固着一体化される分割体4の表面粗度を低下させ、互いの溶着面又は接着面の面積を増加させ、より強固に分割体4同士を固着できる。
【0037】
ここで、上記各例において分割体4(ボウル部分割体4a、リム部分割体4b、スカート部分割体4c)を発泡成形により形成する場合、分割体4を構成する発泡部の全体を気泡径が100μm以下となる微細気泡発泡成形により形成することが好ましい。この微細気泡発泡成形は成形時に超臨界状態の二酸化炭素もしくは窒素等を混入して射出成形時に発泡を行う製法であり、化学発泡剤を材料と配合し成形する化学発泡成形と比較して気泡径を小さくできるため、成形時における内圧を高めて分割体4の寸法精度を一層向上できると共にひけの発生を一層防止できる。また、発泡部の気泡径を100μm以下と小さくできるので、気泡径が大きな発泡部としたものと比較して強度の高い分割体4を得ることができる。なお、上記各例において分割体4を前述の化学発泡成形により形成しても良いものとする。
【0038】
また、上記各例において、分割体4の一部を発泡部とすると共に他部を非発泡成形により形成した非発泡部としても良い。
【0039】
一例を挙げると、顔料を含まない合成樹脂(透明樹脂)により形成したスカート部分割体4cにおけるボウル部1に対応する前部(図3の向かって右側の破線枠で囲まれた部分)を発泡部とすると共に既述のターントラップ装置等の機器や配管等が収納されるスカート部分割体4cの後部(図3の向かって左側の破線枠で囲まれた部分)を非発泡成形により形成して非発泡部とし、該スカート部分割体4cを既述したスカート部分割体4cに代える。なお、上記発泡部と非発泡部の形成は、例えば、分割体4を成形するにあたって、コアバック金型を用いてコアバック方式の成形を行ったり、ゲート位置の変更を行う等により、同一金型内で圧力差を生じさせ、これにより分割体4の一部のみを選択的に発泡させると共に他部を未発泡領域とすることで行われる。
【0040】
このようにスカート部分割体4cを顔料を含まない合成樹脂により形成すると共にスカート部分割体4cにおける一部を発泡部とすると共に他部を非発泡成形により形成して非発泡部とすることで、スカート部分割体4cの一部を構成する発泡部を不透明化すると共に他部を構成する非発泡部を透明化でき、特に透明な非発泡部においては便器内を視認することができ、便器内(例えばスカート部分割体4cに収納したターントラップ装置等)を便器を取り外すことなく点検できる。なお、本例でも分割体4の一部を構成する発泡部を気泡径が100μm以下となる微細気泡発泡成形により形成しても良い。
【0041】
また、上記各例では、ボウル部1、リム部2、スカート部3の夫々を独立した一つの分割体4で構成したが、分割体4の数や、各分割体4で構成する部分はこれに限定されるものではなく、例えば既述のスカート部3の一部とボウル部1を1個の分割体で構成すると共にスカート部3の他部とリム部2を他の1個の分割体で構成する等、適宜設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態の一例の便器の分解斜視図である。
【図2】同上の便器の側断面図である。
【図3】同上のスカート部の平面図である。
【図4】同上の便器の要部を拡大した側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ボウル部
2 リム部
3 スカート部
4 分割体
4a ボウル部分割体
4b リム部分割体
4c スカート部分割体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部及びボウル部の上端部に配置されるリム部を備え、2個以上の合成樹脂製の分割体を固着一体化して形成される便器において、前記分割体のうち1個以上の分割体の少なくとも一部を発泡成形により形成した発泡部とすることを特徴とする水洗便器。
【請求項2】
上記発泡部を気泡径が100μm以下となる微細気泡発泡成形により形成することを特徴とする請求項1に記載の水洗便器。
【請求項3】
便器の外周面部を構成するスカート部を備えると共に該スカート部を他部に対して固着一体化される分割体とし、該スカート部分割体の全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器。
【請求項4】
上記リム部を他部に対して固着一体化される分割体とし、該リム部分割体の全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器。
【請求項5】
上記ボウル部を他部に対して固着一体化される分割体とし、該ボウル部分割体の全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器。
【請求項6】
便器の外周面部を構成するスカート部を備えると共に該スカート部を顔料を含まない合成樹脂により形成して他部に対して固着一体化される分割体とし、該スカート部分割体における一部を上記発泡部とすると共に他部を非発泡成形により形成して非発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器。
【請求項7】
上記ボウル部及びリム部の夫々を独立した分割体とし、前記ボウル部を構成する分割体からなるボウル部分割体の全体及びリム部を構成する分割体からなるリム部分割体の全体を上記発泡部とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−144406(P2009−144406A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322473(P2007−322473)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】