説明

水洗便器

【課題】洗浄用水吐出ノズル5と給水管の接続や、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xの調整を行う際に、リム部が邪魔になることなく、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xの微調整を行うことが簡単な水洗便器を提供すること。
【解決手段】支持フレーム17の前部に便器ボウル部1を備えた便器本体前部15を取り付け、後方の支持フレーム17に便器付属部品支持ケース8を取り付け、便器ボウル部1にノズル挿入用孔4を貫設し、洗浄用水吐出ノズル5を、非変形性の前端筒部5bと可撓性の可撓管部5aとから形成し、前端筒部5bから、操作用摘み部5c2を有する軸部5c1を突設し、便器付属部品支持ケース8にスライド用長孔8aを貫設し、スライド用長孔8aに軸部5c1を貫通させて、ノズル挿入用孔4に洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2を後方から挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器に関するものであり、詳しくは、便器ボウル部に洗浄用水を吐出する洗浄用水吐出ノズルの開口方向を調整可能な水洗便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器ボウル部に洗浄用水を吐出する洗浄用水吐出ノズルの開口方向を調整可能な水洗便器として、図5に示す特許文献1記載の水洗便器が提案されている。
【0003】
この水洗便器は、便器ボウル部1と、その上端から便器ボウル部1の内側に向かって延設されるリム部13と、洗浄用水の給水を行う給水管6と、給水管6に接続されて洗浄用水を便器ボウル部1に吐出する洗浄用水吐出ノズル5と、から主体が構成される。
【0004】
詳しくは、給水管6は、便器ボウル部1の後方に配置されていて、上水道(図示なし)に接続されている。また、便器ボウル部1の後部上部には、洗浄用水吐出ノズル5が挿入可能なノズル挿入用孔4が貫設されている。また、洗浄用水吐出ノズル5は、前部を吐出部5b2とした非変形性の前端筒部5bとその後端に連設される可撓性の可撓管部5aとから形成されている。また、ノズル挿入用孔4部分で、洗浄用水吐出ノズル5の可撓管部5aと給水管6とが接合されている。また、リム部13は、洗浄用水吐出ノズル5を上方から覆っている。また、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2から吐出される洗浄用水が、便器ボウル部1の上端開口周方向に旋回して流れるように、洗浄用水吐出ノズル5が調整されている。
【0005】
上記水洗便器において、可撓管部5aと、給水管6とを接合するためには、便器ボウル部1の内側から、ノズル挿入用孔4に可撓管部5aを差し込んで、便器ボウル部1の後方に配置された給水管6に接合させなければならず、リム部13が邪魔になって、接合する施工がし難いという問題があった。
【0006】
また、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xを調整するためには、洗浄用水吐出ノズル5の前端筒部5bを直接手で掴んで操作しなければならず、リム部13が邪魔になって、微調整がし難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−332678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて発明したものであって、洗浄用水吐出ノズルと給水管の接続や、洗浄用水吐出ノズルの吐出部の開口方向の調整を行う際に、リム部が邪魔になることなく、洗浄用水吐出ノズルの吐出部の開口方向の微調整を行うことが簡単な水洗便器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の水洗便器は、支持フレーム17の前部に便器ボウル部1を備えた便器本体前部15を取り付け、該便器ボウル部1の後方の支持フレーム17に便器付属部品支持ケース8を取り付ける水洗便器において、便器ボウル部1の後部上部に、洗浄用水を吐出する洗浄用水吐出ノズル5を挿入可能なノズル挿入用孔4を貫設し、洗浄用水吐出ノズル5を、前部を吐出部5b2とした非変形性の前端筒部5bと該前端筒部5bの後端に連設する可撓性の可撓管部5aとから形成し、該吐出部5b2よりも後方部分の該前端筒部5bから、先端に操作用摘み部5c2を有する軸部5c1を突設し、前記便器付属部品支持ケース8に該軸部5c1がスライド可能なスライド用長孔8aを貫設し、該スライド用長孔8aに該軸部5c1を貫通させて前記洗浄用水吐出ノズル5を便器付属部品支持ケース8に取り付け、前記ノズル挿入用孔4に洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2を後方から挿入したことを特徴とする。
【0010】
上述のように、洗浄用水吐出ノズル5は、便器ボウル部1の後方に取り付けられる便器付属部品支持ケース8に取り付けられていて、ノズル挿入用孔4に後方から挿入するような構成となっている。よって、洗浄用水吐出ノズル5は、予め便器ボウル部1の後方に位置することになり、従来例のように洗浄用水吐出ノズル5を便器ボウル部1の内側からノズル挿入用孔4に差し込むことがないので、リム部13が邪魔になることはない。また、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xの調整を行うには、洗浄用水吐出ノズル5から突設させた軸部5c1の先端の操作用摘み部5c2を指で摘んで、便器付属部品支持ケース8に貫設したスライド用長孔8aに沿って、軸部5c1をスライドさせればよい。すなわち、その調整は、便器ボウル部1の後方で行われ、従来例のように洗浄用水吐出ノズル5を便器ボウル部1の内側で調整することがないので、リム部13が邪魔になることはない。また、その調整は、スライド用長孔8aにガイドされて行うので、洗浄用水吐出ノズル5を手で掴んで開口方向Xの調整を行うのに比べて、微調整を簡単に行うことができる。
【0011】
また、スライド用長孔8aの中で軸部5c1をスライド自在且つ軸回転自在とすることが好ましい。
【0012】
このような構成としたことで、操作用摘み部5c2を指で摘んでスライド用長孔8aに軸部5c1を沿わせてスライド操作するだけでなく、併せて操作用摘み部5c2を回転させて軸部5c1を軸回転操作すれば、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xの微調整を更に高い自由度で細かくできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水洗便器は、洗浄用水吐出ノズルと給水管の接続や、洗浄用水吐出ノズルの吐出部の開口方向の調整を行う際に、リム部が邪魔になることなく、微調整を簡単に行うことができる。
【0014】
また、スライド用長孔の中で軸部をスライド自在且つ軸回転自在とすることで、洗浄用水吐出ノズルの吐出口の開口方向の微調整を更に高い自由度で細かくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の水洗便器の構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の水洗便器の要部構造を示し、(a)は便器本体前部の背面分解斜視図であり、(b)は便器付属部品支持ケースの背面斜視図であり、(c)は同便器付属部品支持ケースの下面図である。
【図3】本発明の実施形態の洗浄用水吐出ノズルの取付部分を示し、(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)は(b)のA−A線における断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、同実施形態の洗浄用水吐出ノズルの吐出部の開口方向の変更を表した平面図である。
【図5】従来の水洗便器の構造を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。まず、本発明の実施形態の水洗便器の基本構造について説明する。
【0017】
図1に示すように、便器本体7は、支持フレーム17、便器ボウル部1を備えた便器本体前部15、便器付属部品支持ケース8、後部カバー16、側部カバー19、及び便座20と便蓋21を備えた上部カバー22から主体が構成される。
【0018】
図2(a)に示すように、便器本体前部15は、水平断面略C字状のスカート部18と、その内側の上部に嵌合される便器ボウル部1と、さらにその上に嵌合されるリム部13とが溶着一体化されて構成される。便器本体前部15はその主体部分が合成樹脂製となっているが、一部又は全部が陶器製であってもよい。
【0019】
リム部13は、便器ボウル部1の上端開口縁部全周にわたって便器ボウル部1の内側に向かって延びた略水平部、及びその先端から略垂直方向に向かって延びる略垂直部から構成される。リム部13の後部部分には、開口部13aが設けてある。
【0020】
便器ボウル部1の上部には、便器ボウル部1の内側に向けて開口する洗浄用水案内凹部14が全周にわたって形成してある。便器ボウル部1の後部側端の一端部に位置する洗浄用水案内凹部14の開口奥部には、後述の洗浄用水吐出ノズル5を挿入可能なノズル挿入用孔4が、後方に向けて貫設されている。便器ボウル部1の底部には水溜め部29が形成されていて、その後部には後方に向けて排水筒部28を貫設している。
【0021】
上記のような構成の便器本体前部15が、金属製の支持フレーム17の前部にねじ具等により取り付けられる。その後、この支持フレーム17に、モータで一端が上下回動するトラップを内蔵したトラップケース(図示せず)を取り付けると共に、トラップの一端部を便器ボウル部1に設けた排水筒部28に接続する。なお、上記トラップケースを取り付けるのではなく、予め排水筒部28にトラップが連設されているようなものであっても構わない。
【0022】
便器付属部品支持ケース8には、図2(b)に示すように、洗浄用水吐出ノズル5、給水管6、局部洗浄用の温水洗浄装置9、人体の局部乾燥用の送風装置11、便器ボウル部1内の臭気を脱臭するための脱臭装置24等の便器付属部品が取り付けてある。温水洗浄装置9、送風装置11、脱臭装置24は、リム部13に設けた開口部13aを通して、それぞれ局部洗浄、局部乾燥、脱臭を行う。
【0023】
給水管6は、便器ボウル部1へ吐出する洗浄用水の給水を行うためのものであり、上流端(図示せず)が上水道(図示せず)に接続されている。図2(c)に示すように、便器付属部品支持ケース8に固設した給水管6の下流端6aは、便器付属部品支持ケース8の下面に位置している。その下流端6aには、洗浄用水吐出ノズル5が接合されている。なお、この接合は便器付属部品支持ケース8の下面側にて行われる。すなわち、従来例のように便器ボウル部1の内側からノズル挿入用孔4に洗浄用水吐出ノズル5を挿入して接合するといった施工をするものではない。洗浄用水吐出ノズル5は、便器付属部品支持ケース8の下面の、便器ボウル部1に設けたノズル挿入用孔4に対応する位置に取り付けられている。
【0024】
便器付属部品支持ケース8は、支持フレーム17の後部上面(便器ボウル部1の後方の支持フレーム17)に、ねじ具等により取り付けられて支持される。このようにして、支持フレーム17の前部に取り付けた便器本体前部15に対して、便器付属部品支持ケース8は後方に取り付けられて位置決めされる。その際、洗浄用水吐出ノズル5の先端の吐出部5b2は便器ボウル部1のノズル挿入用孔4に挿入されて、吐出部5b2がノズル挿入用孔4内に位置した状態となる。
【0025】
この状態で、洗浄用水吐出ノズル5から洗浄用水を吐出させると、洗浄用水は洗浄用水案内凹部14にガイドされて便器ボウル部1の上端開口周方向に旋回しながら流れて、便器ボウル部1内を洗浄する。
【0026】
本発明の実施形態の洗浄用水吐出ノズル5部分の構成についてさらに詳しく説明する。
【0027】
図3(a)に示すように、洗浄用水吐出ノズル5は、前端筒部5bと、可撓管部5aと、操作レバー5cと、から形成される。
【0028】
可撓管部5aは、可撓性のホース(中空の管)で構成され、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)で形成されている。
【0029】
前端筒部5bは、非変形性の一直線状の筒体で構成され、樹脂で形成されている。前端筒部5bの前部は洗浄用水が吐出する吐出部5b2となっていて、その後方部分を前端筒部後部5b1とする。図3(c)に示すように、吐出部5b2は、前端筒部後部5b1と内径が同じで、外径は小さくなるように形成されている。上記一直線状の方向が吐出部5b2の先端の吐出口5b3の開口方向Xとなる。この開口方向Xは、前端筒部5bの内側を流れる洗浄用水の流れ方向と、吐出口5b3から吐出される洗浄用水の吐出方向と、一致する。また、吐出部5b2の外径はノズル挿入用孔4の内径よりも小さく形成されていて、ノズル挿入用孔4内で、吐出部5b2の先端の吐出口5b3の開口方向Xが変更可能となっている。
【0030】
前端筒部後部5b1の上流側の端部には、全周に亘って可撓管部5aの下流側の端部5a1を差し込むための差込凹部5b4が形成されている。なお、差込凹部5b4は、端部5a1部分の厚み(内径と外径の差)よりも狭く形成されている。この差込凹部5b4に可撓管部5aの端部5a1が圧入されて、前端筒部5bと可撓管部5aとは連設された状態となっている。
【0031】
また、前端筒部5bの吐出部5b2より後方部分(前端筒部後部5b1)の外周面からは、略T字状の操作レバー5cが突設されている。操作レバー5cは、先端に操作用摘み部5c2を有する軸部5c1で構成され、樹脂で形成されている。前端筒部後部5b1と軸部5c1と操作用摘み部5c2とは、一体に形成されている。なお、それぞれを固着させるようなものであっても構わない。
【0032】
軸部5c1は、前端筒部後部5b1の外周面から垂直方向に突設され、水平断面円状の円柱又は円筒で形成される。
【0033】
操作用摘み部5c2は、軸部5c1の突出先端から直交するように、略直方体状で形成される。また、操作用摘み部5c2の上端面は、指で操作しやすいように滑り止めのための凹凸加工がなされている。略直方体状の操作用摘み部5c2は、長手方向が吐出口5b3の開口方向Xと一致するように設けていて、操作用摘み部5c2を見れば、開口方向Xがどの方向を向いているのか確認できるようになっている。なお、操作用摘み部5c2は、長手方向が吐出口5b3の開口方向Xと一致するように設けなくても構わない。
【0034】
便器付属部品支持ケース8には、操作レバー5cの軸部5c1がスライド可能なスライド用長孔8aが上下方向に貫設されている。スライド用長孔8aは、前後方向に対して略垂直な左右方向に長い長孔で形成される。便器付属部品支持ケース8のスライド用長孔8aの深さ(上下方向の長さ)は、操作レバー5cの軸部5c1の長さよりも短く形成されている。スライド用長孔8aの前後方向の幅は、円柱状の軸部5c1の径と略同じ長さで形成されている。
【0035】
なお、略直方体状の操作用摘み部5c2の短手方向(左右方向)の幅は、軸部5c1の径と同じ幅以下で形成されていて、長手方向(前後方向)の長さは、スライド用長孔8aの長手方向の長さよりも短く形成されている。このような寸法で形成することで、スライド用長孔8aに操作レバー5cを下方から挿入できる。
【0036】
上述のような構成としたスライド用長孔8aに、洗浄用水吐出ノズル5の軸部5c1を貫通させて、便器付属部品支持ケース8に洗浄用水吐出ノズル5をスライド自在に取り付ける。この時、操作用摘み部5c2の下面は、スライド用長孔8a近傍の便器付属部品支持ケース8の上面に当接している。洗浄用水吐出ノズル5は、後端部分が、便器付属部品支持ケース8に固定された給水管6に固定され、前端部分が、便器付属部品支持ケース8のスライド用長孔8a部分で支持された状態となっている。
【0037】
洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xの調整を行うには、洗浄用水吐出ノズル5の操作用摘み部5c2を指で摘んで、便器付属部品支持ケース8のスライド用長孔8aに沿って、軸部5c1をスライドさせる。左右方向にスライドさせれば、図4(a)、(b)に示すように、開口方向Xを左右方向に変更することができる。
【0038】
また、操作用摘み部5c2を指で摘んで回転させれば、図4(c)、(d)に示すように、開口方向Xを変更することができる。
【0039】
以上のようにして、洗浄用水吐出ノズル5の吐出口5b3の開口方向Xを調整した後、その開口方向Xを固定する。開口方向Xの固定が終わったら、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2と便器ボウル部1のノズル挿入用孔4との隙間にシール剤を注入してシールする。
【0040】
ここで、開口方向Xを固定する方法としては、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2と便器ボウル部1のノズル挿入用孔4との隙間に固化するシール剤を注入する方法や、軸部5c1とスライド用長孔8aの間に接着剤を注入する方法や、可撓管部5aに固化剤を付けて固化させる方法等があり、特に限定はしない。
【0041】
なお、スライド用長孔8aの前後方向の幅を、円柱状の軸部5c1の径より少し狭く形成し、軸部5c1がスライド用長孔8aに強い力で狭持されるようにして、開口方向Xを固定するようにしてもよい。このようにすれば、上記のような方法を取らなくても、開口方向Xを固定することができる。この場合、軸部5c1とスライド用長孔8aとの間に発生する摩擦力を超える力を加えれば、洗浄用水吐出ノズル5の開口方向Xを調整することができ、開口方向Xを1度設定した後でも、再度調整することも可能となる。また、スライド用長孔8aの前後方向の幅を、円柱状の軸部5c1の径よりも長く形成しておき、軸部5c1の廻りにリング状の弾性部材を外嵌させて、軸部5c1が弾性部材を介してスライド用長孔8aによって強い力で狭持されるようにしてもよい。
【0042】
本発明の実施形態の水洗便器は上述のような構成となっているので、洗浄用水吐出ノズル5と給水管6を接続する施工、及び洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xの調整は、どちらも、便器ボウル部1の後方で行うことができる。よって、便器ボウル部1の内側で行わないので、便器ボウル部1の上端に設けたリム部13が邪魔になることはない。また、洗浄用水吐出ノズル5の吐出部5b2の開口方向Xの調整は、スライド用長孔8aにガイドされて、軸部5c1をスライドさせれば良いだけなので、洗浄用水吐出ノズル5を手で掴んで開口方向Xの調整を行うのに比べて、開口方向Xの微調整を簡単に行うことができる。また、操作用摘み部5c2を指で摘んで、スライド用長孔8aに軸部5c1を沿わせてスライド操作するだけでなく、併せて操作用摘み部5c2を回転させて軸部5c1を軸回転操作すれば、開口方向Xの微調整を更に高い自由度で細かくできる。
【0043】
また、便器ボウル部1の内側の形状に合せて、開口方向Xを微調整するようにすれば、様々な形状の便器ボウル部1に対応可能となる。また、操作レバー5cは、スライド操作及び軸回転操作を自動で行われるような構造になっていてもよい。そうすれば、開口方向Xを最適な方向に自動で調整することも可能となる。
【0044】
なお、上記実施形態の水洗便器においては、ノズル挿入用孔4を、ノズル挿入用孔4から吐出される洗浄用水の水圧の圧力損失を最も抑えることのできる方向に向けて貫設すれば、その方向に開口方向Xを一致させることができる。このようにすれば、洗浄用水吐出ノズル5から吐出させる洗浄水が小便洗浄用の低水圧モードであっても、便器ボウル部1全体に旋回流を行き渡らせて、便器ボウル部1を洗浄可能とすることも可能となる。
【0045】
なお、開口方向Xの調整は、便器付属部品支持ケース8を支持フレーム17に取り付ける前に行っても構わないし、取り付けた後に行っても構わない。
【0046】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 便器ボウル部
4 ノズル挿入用孔
5 洗浄用水吐出ノズル
5a 可撓管部
5a1 端部
5b 前端筒部
5b1 後部部分
5b2 吐出部
5b3 吐出口
5b4 差込凹部
5c 操作レバー
5c1 軸部
5c2 操作用摘み部
6 給水管
6a 下流端
7 便器本体
8 便器付属部品支持ケース
8a スライド用長孔
9 温水洗浄装置
11 送風装置
13 リム部
13 開口部
14 洗浄用水案内凹部
15 便器本体前部
16 後部カバー
17 支持フレーム
18 スカート部
19 側部カバー
20 便座
21 便蓋
22 上部カバー
24 脱臭装置
28 排水筒部
29 水溜め部
X 開口方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームの前部に便器ボウル部を備えた便器本体前部を取り付け、該便器ボウル部の後方の支持フレームに便器付属部品支持ケースを取り付ける水洗便器において、便器ボウル部の後部上部に、洗浄用水を吐出する洗浄用水吐出ノズルを挿入可能なノズル挿入用孔を貫設し、洗浄用水吐出ノズルを、前部を吐出部とした非変形性の前端筒部と該前端筒部の後端に連設する可撓性の可撓管部とから形成し、該吐出部よりも後方部分の該前端筒部から、先端に操作用摘み部を有する軸部を突設し、前記便器付属部品支持ケースに該軸部がスライド可能なスライド用長孔を貫設し、該スライド用長孔に該軸部を貫通させて前記洗浄用水吐出ノズルを便器付属部品支持ケースに取り付け、前記ノズル挿入用孔に洗浄用水吐出ノズルの吐出部を後方から挿入したことを特徴とする水洗便器。
【請求項2】
前記スライド用長孔の中で前記軸部をスライド自在且つ軸回転自在としたことを特徴とする請求項1記載の水洗便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−153443(P2011−153443A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14804(P2010−14804)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】