説明

水洗式大便器

【課題】省スペースで、常に一定のリフィール水を供給することが出来る水洗式大便器を提供する。
【解決手段】本発明は、第1吐出口(14a)に洗浄水を供給する洗浄水を貯留する第1タンク(14)と、第2吐出口(16a)に洗浄水を供給する洗浄水を貯留する第2タンク(16)とを有し、第2タンクは第1タンクの内側に配置され、この第2タンクには給水管(48)から洗浄水が供給され、第2タンクには、便器本体にリフィール水を供給するための補給水管(22)と、第2タンクから洗浄水を溢れ出させて第1タンクにその洗浄水を供給するための第1タンク洗浄水供給口(50)とが設けられ、給水管から第2タンクへ洗浄水が供給されこの第2タンクの洗浄水の水位が所定水位を超えると、補給水管から便器本体にリフィール水が給水されると共に第1タンク洗浄水供給口から第1タンクに洗浄水が供給されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗式大便器に係り、特に、便器本体の洗浄をするための洗浄水を貯水する貯水タンクと、上記便器本体に上記貯水タンクから洗浄水を供給する第1の吐水口及び第2の吐水口を有する水洗式大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リム用洗浄水タンクの水位が上昇すると、洗浄水がそのリム用洗浄水タンクの切り欠き部からジェット洗浄水用タンクに流れるようにされた水洗式大便器が開示されている。
また、特許文献2には、ロータンク内にオーバーフロー管とは別に、便器本体側に給水管からのリフィール水を供給する補給水管を設けた水洗式大便器が開示されている。
同様に、特許文献3には、ロータンク内にオーバーフロー管とは別に、便器本体側に給水管からのリフィール水を供給する補給水管を設けた水洗式大便器が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−291451号公報
【特許文献2】実開平4−1276号公報
【特許文献3】特開昭61−122339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の水洗式大便器では、給水管からのリフィール水が給水管の延長部を介してオーバーフロー管内に直接供給されるようになっており、このオーバーフロー管に供給された洗浄水は、ジェット用吐水口をバイパスして、洗浄終了後、ボウル部内の洗浄水の水位を所定位置に復帰させる(リフィール)ようにしている。しかしながら、このような給水管の延長部は、タンク内でスペースをとるものであり、タンクの小型化の妨げとなっていた。また、給水管からの洗浄水の給水圧力の変動を受けて、リフィール水の水量がばらつくという問題もあった。
【0005】
一方、特許文献2及び3に記載の構造によっても、オーバーフロー管とは別に、便器本体側に給水管からのリフィール水を供給する補給水管を設ける必要があり、これらにおいても、そのような補給水管がタンクの小型化の妨げとなっていた。また、これらの構造においても、給水管からの洗浄水の給水圧力の変動を受けて、リフィール水の水量がばらつくという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、省スペースで、常に一定のリフィール水を供給することが出来る水洗式大便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、便器本体の洗浄をするための洗浄水を貯水する貯水タンクと、便器本体に貯水タンクから洗浄水を供給する第1の吐出口及び第2の吐出口を有する水洗式大便器のタンク構造であって、貯水タンクは、第1の吐出口に洗浄水を供給するための洗浄水を貯留する第1タンクと、第2の吐出口に洗浄水を供給するための洗浄水を貯留する第2タンクとを有し、第1のタンクには第1の吐出口への洗浄水の供給及び停止を行うための第1の排水弁が設けられ、第2のタンクには第2の吐出口への洗浄水の供給及び停止を行うための第2の排水弁が設けられ、第2のタンクには給水管から洗浄水が供給され、この洗浄水は第1のタンクの洗浄水の水位が所定水位を超えたときに止水されるようになっており、第2のタンクには、便器本体にリフィール水を供給するための補給水管と、第2のタンクから洗浄水を溢れ出させて第1のタンクにその洗浄水を供給するための第1タンク洗浄水供給口とが設けられ、給水管から第2のタンクへ洗浄水が供給されこの第2のタンクの洗浄水の水位が所定水位を超えると、補給水管から便器本体にリフィール水が給水されると共に第1タンク洗浄水供給口から第1のタンクに洗浄水が供給されるようになっている、ことを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、第2のタンクには給水管から洗浄水が供給され、第2のタンクには、便器本体にリフィール水を供給するための補給水管と、第2のタンクから洗浄水を溢れ出させて第1のタンクにその洗浄水を供給するための第1タンク洗浄水供給口とが設けられ、給水管から第2のタンクへ洗浄水が供給されこの第2のタンクの洗浄水の水位が所定水位を超えると、補給水管から便器本体にリフィール水が給水されると共に第1タンク洗浄水供給口から第1のタンクに洗浄水が供給されるようになっている。従って、補給水管からの溢水によりリフィール水を供給することが出来、従来のような給水弁とオーバーフロー管を連通した補給水管構造が不要になるため、第2のタンク内の部品配置を簡素化でき、第2のタンク内にスペースを生み出すことが出来る。また、補給水管に給水管が直接に接続されていないため、リフィール水を供給する際、給水管の給水圧力による変動を受け難く、補助水管から給水される補助水量をほぼ一定に保つことが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、第1タンク洗浄水供給口は、第2のタンクの周縁部に設けられ、補給水管は第2のタンク内で第1タンク洗浄水供給口に近い位置に配置されている。
このように構成された本発明においては、第1のタンクへの第2のタンクの取付位置に誤差が生じても、リフィール水供給量と第1タンクへの洗浄水供給量を精度良く調整することが出来る。また、補給水路への洗浄水の流れ込みと、第1タンク洗浄水供給口から第1タンクへの給水とが、ほぼ同時に開始されるようになっている。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、補給水管は、便器本体のトラップ部に空気を注入するための導気通路を兼ねている。
このように構成された本発明においては、導気通路を補給水管として利用しているため、便器本体にリフィール水用の通路を新たに設ける必要がなく、スペースを有効活用することが出来る。また、便器本体に複数の通路を設ける構成にしなくて良いため、便器本体の製造コストを削減することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、第2のタンクは第1のタンクの内側に配置され、第2の吐出口は第1の吐出口より上方に位置し、第1の吐出口はジェット吐出口であり、第1のタンクはこのジェット吐出口に供給する洗浄水を貯留するジェットタンクであり、第2の吐出口はリム吐出口であり、第2のタンクはこのリム吐出口に供給する洗浄水を貯留するリムタンクである。
このように構成された本発明においては、ジェットタンクよりタンク容量の小さいリムタンクをゼットタンクの内側、上方に設置するので、洗浄水タンク全体をより小型化することが出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省スペースで、常に一定のリフィール水を供給することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による水洗式大便器のタンク構造を説明する。
先ず、図1により、本発明の実施形態による水洗大便器の構造を説明する。図1は、本発明の実施形態による水洗大便器の断面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態による水洗大便器1は、陶器からなる便器本体2を有し、この便器本体2には、汚物を受けるボウル部4と、このボウル部4の底部から延びる排水トラップ管路6と、ジェット吐水を行うジェット吐水口8と、リム吐水を行うリム吐水口10が形成されている。
ジェット吐水口8は、ボウル部4の底部に形成されており、排水トラップ管路6の入口に指向してほぼ水平に配置され、洗浄水を排水トラップ管路6に向けて吐水するようになっている。リム吐水口10は、ボウル部4の左側上部後方に形成されており、ボウル部4の上縁に沿って洗浄水を吐出するようになっている。
【0015】
排水トラップ管路6は、入口部6aと、この入口部6aから上昇するトラップ上昇管6bと、このトラップ上昇管6bから下降するトラップ下降管6cとからなり、トラップ上昇管6bとトラップ下降管6cとの間が頂部6dとなっている。トラップ下降管6cの下端には配水管(図示せず)が接続されている。
【0016】
ジェット吐水口8及びリム吐水口10は、洗浄水タンク12に接続され、洗浄水タンク12内の洗浄水が、ジェット吐水口8及びリム吐水口10から吐出されるようになっている。より詳細には、ジェット吐水口8は、ジェットタンク14に接続され、ジェットタンク14内の洗浄水が、ジェット吐出口14a(図3参照)を介してジェット吐水口8に供給される。また、リム吐水口10は、後述するようにジェットタンク14の内側に設けられたリムタンク16に接続され、リムタンク16内の洗浄水が、リム吐出口16a(図3参照)を介してリム吐水口10に供給される。
【0017】
また、水洗大便器1は、導気通路20をさらに備えている。この導気通路20は、後述するようにリムタンク16内に設けられ、上端が大気開放されている導気管路22と、便器本体2の内部に排水トラップ管路6の側面の一部分に沿って一体に形成された導気室24とによって構成されている。これらの導気通路22及び導気室24は、後述するようにリフィール水をボウル部4に供給するための補給水路を兼ねている。
【0018】
さらに、排水トラップ管路6の入口部6aには、導気孔28が形成されており、排水トラップ管路6と導気室24とを連通させている。ここで、導気通路20の作用を説明する。
先ず、導気室24は、導気孔28により排水トラップ管路6と連通しているため、サイホン作用により、導気室24内の溜水は導気孔28を経て排水トラップ管路6内に引き込まれ、導気室24内の水位が降下する。そして、サイホン作用が継続することにより、導気室24内の溜水のほとんどが導気孔28から排水トラップ管路6内に引き出され、導気室24内の水位が導気孔28の上縁よりも降下すると、導気室24内の溜水の排水がほぼ終了する。そして、導気室24内の空気が、導気孔28を経て排水トラップ管路6内へ引き込まれ、大気が導気通路24を通って排水トラップ管路6内に導入され始める。
【0019】
さらに、導気孔28から排水トラップ管路6内に空気が引き込まれたことにより、その分排水トラップ管路6内の負圧が小さくなり、サイホン作用によるボウル部4から排水トラップ管路6内へ溜水を吸引する力が弱まる。このとき、ボウル部4内の水位は、排水トラップ管路入口部6aの上縁よりもわずかに上方に位置しており、ボウル部4から排水トラップ管路6内に空気が引き込まれる直前の状態となっている。
【0020】
さらに、サイホン作用によるボウル部4から排水トラップ管路6内へ溜水を吸引する力は弱まりつつも持続しているため、ボウル部4内の水位がさらに低下する。ボウル部4内の水位が排水トラップ管路入口部6aの上縁よりも下回ると、ボウル部4の水面と排水トラップ管路入口部6aの上縁との空間が生じ、ボウル部4から排水トラップ管路6内へ空気が引き込まれた後、サイホン作用が終了する。
【0021】
このように、ボウル部4内から排水トラップ管路6内に空気が引き込まれる際には、すでに導気通路24内の空気が導気孔28から排水トラップ管路6内へ導入されており、排水トラップ管路6内のサイホン作用によるボウル部4から排水トラップ管路6内へ溜水を吸引する力が弱められているため、サイホン切れ音はほとんど聞こえないぐらいに小さい。
【0022】
次に、図2及び図3により、本発明の第1実施形態による洗浄水タンクの構造を説明する。図2は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンクの内部を上方から見た平面図であり、洗浄水タンクの蓋部を省略し、便器本体側が手前になるように示している。図3は、図2のIII-III線に沿って見た洗浄水タンクの断面図である。
図2及び図3に示すように、ジェットタンク14の底面には、ジェット吐出口14aを開閉可能なジェット排水弁30が設けられている。このジェット排水弁30は、玉鎖(図示せず)によって、洗浄操作レバー32に連結された操作機構部34に接続されている。そして、洗浄操作レバー32を回すと、このジェット排水弁30が引き上げられて所定時間ジェット吐出口14aが開放され、ジェットタンク14内に収容されている洗浄水がジェット吐水口8に流れるようになっている。
【0023】
また、リムタンク16の底面には、リム吐出口16aを開閉可能なリム排水弁36が設けられている。このリム排水弁36も、ジェット排水弁30と同様に、玉鎖(図示せず)によって、操作機構部34に接続されている。そして、洗浄操作レバー32を回すと、このリム排水弁36が引き上げられて所定時間リム吐出口16aが開放され、リムタンク16内に収容されている洗浄水がリム吐水口10に流れるようになっている。
本実施形態では、一度の操作でジェット排水弁30とリム排水弁36を開弁することができるように設定されている。
【0024】
また、洗浄水タンク12のジェットタンク14内には、ボールタップ40が設けられている。このボールタップ40は、主にフロート42及びダイアフラム弁44を有しており。フロート42の周囲の洗浄水の水位が下がると、フロート42の位置も下方に下がり、そのように下がると、ダイアフラム弁44を開放する。一方、フロート42の周囲の洗浄水の水位が上がると、フロート42が洗浄水に浮かんでその位置が上方に上がり、ダイアフラム弁44を閉鎖する。
【0025】
ここで、ダイアフラム弁44には、止水栓46を介して水道に接続された給水管48が接続されている。給水管48は、止水栓46から洗浄水タンク12の底部まで延びる第1部分48aと、ジェットタンク14の底部からダイアフラム弁44まで延びる第2部分48bと、ダイアフラム弁44からリムタンク16への給水口48cまで延びる第3部分48dとで構成されている。そして、ダイアフラム弁44が開放されると、洗浄水が給水口48cからリムタンク16内に供給され、ダイアフラム弁44が閉鎖されると、洗浄水のリムタンク16への供給が止まるようになっている。
【0026】
リムタンク16内には、上述したように導気管路22が設けられている。この導気管路22は、リフィール水をボウル部4に供給するための補給水路を兼ねている。即ち、リムタンク16内に給水管48から洗浄水が供給されると、リムタンク16内の洗浄水が上昇し、その水位が補給水路22の図3のL0で示す上端部まで来ると、その補給水路22に洗浄水が流れ込み、この流れ込んだ洗浄水がリフィール水としてボウル部4に供給されるのである。
【0027】
ここで、便器本体1の洗浄が行われ、ジェットタンク14内及びリムタンク16内の洗浄水がDWL(デッドウォーターライン)まで下がると、ジェット排水弁30及びリム排水弁36が閉じ、給水管48の給水口48cからリムタンク16内への洗浄水の供給が始まる。そして、本発明の実施形態では、リムタンク16内の洗浄水が、図3でL0で示すラインまで上昇すると、上述したように補給水路22に洗浄水が流れ込むと同時に、同じくラインL0が下縁部となっているジェットタンク洗浄水供給口50から、ジェットタンク導水路52を介してジェットタンク14への給水が開始されるようになっている。そして、ジェットタンク14内の洗浄水の水位が上昇し、ボールタップ40のフロート42が上昇し、所定水位に達すると、ダイアフラム弁44が閉じられて、給水管48の給水口48cからリムタンク16内への洗浄水の供給が終わる。
【0028】
ここで、図4乃至図7により、本発明の第1実施形態による、ジェットタンク洗浄水供給口50及びジェットタンク導水路52の構成を説明する。図4は、本発明の第1実施形態によるリムタンクを示す斜視図であり、図5は、本発明の第1実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図であり、図6は、本発明の第1実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図であり、図7は、図6のVII-VII線に沿って見た断面図であり、図8は、図6のVIII-VIII線に沿って見た断面図であり、図9は、図6のIX-IX線に沿って見た断面図である。
【0029】
図4に示すように、リムタンク16には、その周縁部の一部が切り欠かれてジェットタンク洗浄水給水口50が形成されている。図4及び図5に示すように、このジェットタンク洗浄水給水口50は、側面視でほぼ矩形状に切り欠かれており、その空間の下縁部50aが、図3でL0で示すラインの位置にある。この下縁部は、リムタンク16の他の周囲の周縁部よりも低い位置にあるため、リムタンク16内の洗浄水が図3でL0で示すラインまで上昇すると、洗浄水がこのジェットタンク洗浄水給水口50から溢れ出るようになっている。そして、ジェットタンク14への給水が行われる。
【0030】
また、図4及び図6に示すように、ジェットタンク洗浄水給水口50は、平面視で、リムタンク16の周縁部から、リムタンク16の内方に向かって凹状になるように形成されている。本実施形態では、その凹状の部分50bが、ほぼ矩形状に形成されている。なお、凹状の形状として、半円形や半楕円などの他の形状でも良い。
【0031】
次に、ジェットタンク洗浄水給水口50は、図4及び図6に示すように、平面視でその角部50dが平面視でR形状に形成された矩形形状を有している。また、図4、図6乃至図9に示すように、ジェットタンク洗浄水給水口50は、その下端部が、平面視で見て、直線状の3辺及びのR形状に形成された2つの角部において、側方且つ斜め上方に向けて突出した湾曲形状の曲面50eで構成されている。より詳細には、この下端部の湾曲形状の曲面50eは、その法線が断面において変化する。つまり、法線は、下端部の上縁部方では、垂直方向の上方に向いており、その下端部の上方から下方に向かうほど垂直方向の上方から斜め下方且つ側方に向けて変化し、下端部の下縁部では側方の水平方向に向けて延びるようになっている。この曲面50eは、その断面が円弧状に形成されている。
【0032】
なお、下端部の湾曲形状は、円弧状ではなく、他の形状の面で構成されていても良い。このように、湾曲形状の曲面50eが設けられることにより、ジェットタンク洗浄水給水口50から溢れ出た洗浄水は、その粘性或いは表面張力により、その湾曲形状の曲面50eから離れることなく、そして、その曲面50eに連続的に接続されたジェットタンク導水路52から離れることなく、ジェットタンク導水路52を伝って下方まで流れる。
【0033】
次に、ジェットタンク洗浄水給水口50の下端部50cより下方には、ジェットタンク導水路52が形成されている。このジェットタンク導水路52は、ジェットタンク洗浄水供給口の平面視で凹状に形成された部分50bが下方に向かって延ばされて構成されている。このジェットタンク導水路52は、リムタンク16の外壁に沿って下方に延びている。ジェットタンク洗浄水給水口50から溢れ出た洗浄水は、その粘性或いは表面張力により、ジェットタンク導水路52から離れることなく、ジェットタンク導水路52を伝って下方まで流れるようになっている。そして、ジェットタンク導水路52の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。従って、リムタンク16から溢れ出た洗浄水は、ジェットタンク14内の洗浄水に滑らかに着水するようになる。
【0034】
ここで、本実施形態では、リムタンクが樹脂製及びジェットタンクが陶器製であり、このような組合せが良いが、リムタンクが陶器製であり、リムタンクとジェットタンクが一体で形成されても良い。そこで、本実施形態では、ジェットタンク洗浄水給水口50を、補給水路(導気管路)22の近傍に設けている。従って、リムタンク16のジェットタンク14への取付位置に誤差が生じても、上述したように、補給水路22への洗浄水の流れ込みと、ジェットタンク洗浄水供給口50からジェットタンク14への給水とが、ほぼ同時に開始されるようになっている。
【0035】
この際、補給水路22からのリフィール水の水量と、ジェットタンク洗浄水給水口50からの洗浄水のジェットタンク14への水量との比は、0.3〜0.45の範囲である。例えば、リフィール水の水量が1.7(l)であり、ジェットタンク洗浄水給水口50からの水量が4.7(l)である。
【0036】
次に、本発明の第1実施形態の作用効果を説明する。
先ず、本発明の第1実施形態では、リムタンク16はジェットタンク14の内側に配置され、このリムタンク16には給水管48から洗浄水が供給されるようになっている。リムタンク16には、このリムタンク16から洗浄水を溢れ出させてジェットタンク14にその洗浄水を供給するためのジェットタンク洗浄水供給口50が設けられている。ジェットタンク洗浄水供給口50にはジェットタンク14へ洗浄水を導くほぼリムタンク16の外壁に沿って延びるジェットタンク導水路52が接続され、この導水路52の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。
【0037】
このような構成によれば、ジェットタンク洗浄水供給口50からジェットタンク導水路52へと洗浄水が流れ、そのリムタンク16から溢れ出した洗浄水は、その粘性或いは表面張力により導水路52に沿って且つ導水路52から離れることなくジェットタンク14の底部へ向かって下降していく。
【0038】
そして、導水路52の下端は、ジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置しているので、リムタンク16から溢れ出た洗浄水は、ジェットタンク14の水面に「バシャバシャ」というような水はね音を立てて落ちるのではなく、ジェットタンク14内の洗浄水に滑らかに着水するようになる。従って、洗浄水がタンク内の洗浄水の水面を直接叩くことなく、ジェットタンク14へのリムタンク16からの洗浄水の着水音を抑制して、ジェットタンク14へ貯水させることが出来る。
【0039】
また、ジェットタンク導水路52は、ほぼリムタンク16の外壁に沿って延びるので、ジェットタンク14内で幅方向のスペースをほとんどとることがない。従って、省スペースで、洗浄水がタンク内の洗浄水の水面を直接叩くことなく貯水させることが出来る。
【0040】
次に、ジェットタンク洗浄水供給口50は、側面視でジェットタンク14の上縁部から下方に凹状に切り欠かれて形成されると共に平面視でリムタンク16の内方に向かって凹状になるように形成されている。ジェットタンク導水路52はジェットタンク洗浄水供給口50の平面視で凹状に形成された部分が下方に向かって延ばされて構成されている。従って、リムタンク16の水が、ジェットタンク洗浄水給水口50に滑らかに溢れ出すことが出来る。
【0041】
次に、ジェットタンク洗浄水給水口50は、平面視でその角部50dが平面視でR形状に形成された矩形形状を有しているので、リムタンク16の水が、ジェットタンク洗浄水給水口50に滑らかに溢れ出すことが出来る。
【0042】
次に、ジェットタンク洗浄水供給口50は、側方且つ斜め上方に向けて突出した湾曲形状の曲面50eで構成されている。また、ジェットタンク洗浄水供給口50は、その断面が曲線形状を有する曲面状に形成されており、その曲面部分の法線が、その断面において上方から下方に向かうにつれて上方から側方に向けて傾くように変化する湾曲形状の曲面で構成されている。従って、リムタンク16の水がジェットタンク洗浄水給水口50から溢れ出す際、洗浄水が飛び散ったりすることなく、粘性或いは表面張力によりその曲面50eに沿って滑らかに溢れ出すことが出来る。さらに、この湾曲形状の曲面50eの断面がR形状に形成されているので、より確実に、リムタンク16の洗浄水がジェットタンク洗浄水給水口50から曲面50eに沿って滑らかに溢れ出すようにすることが出来る。
【0043】
次に、リムタンク16はジェットタンク14の内側に配置され、このリムタンク16には給水管48から洗浄水が供給され、この洗浄水はジェットタンク14の洗浄水の水位が所定水位を超えたときに止水されるようになっている。リムタンク16には、便器本体1のボウル部4にリフィール水を供給するための補給水管22と、リムタンク16から洗浄水を溢れ出させてジェットタンク14にその洗浄水を供給するためのジェットタンク洗浄水供給口50とが設けられている。給水管48からリムタンク16へ洗浄水が供給されこのリムタンク16の洗浄水の水位が所定水位を超えると、補給水管22からボウル部4にリフィール水が給水されると共にジェットタンク洗浄水供給口50からジェットタンク14に洗浄水が供給されるようになっている。
【0044】
従って、補給水管22からの溢水によりリフィール水を供給することが出来、従来のような給水弁とオーバーフロー管を連通した補給水管構造が不要になるため、リムタンク16内の部品配置を簡素化でき、リムタンク16内にスペースを生み出すことが出来る。また、補給水管22に給水管48が直接に接続されていないため、リフィール水を供給する際、給水管48の給水圧力による変動を受け難く、補助水管から給水される補助水量をほぼ一定に保つことが出来る。補助水管とジェットタンク洗浄水供給口とが、洗浄水タンク平面視(図2参照)において中心線で左右2分割した一方集約され、近い位置で配置されているので、ジェットタンクへのリムタンクの取付位置に誤差が生じても、リフィール水供給量と第1タンクへの洗浄水供給量を精度良く調整することが出来る。
【0045】
さらに、導気通路20を補給水管22として利用しているため、便器本体にリフィール水用の通路を新たに設ける必要がなく、スペースを有効活用することが出来る。また、便器本体1に複数の通路を設ける構成にしなくて良いため、便器本体1の製造コストを削減することが出来る。
ここで、従来の細管によるリフィール給水は、径が小さく給水圧によって絞り音がしていたが、今回は補給水管からあふれ出すことによるリフィール給水のため、絞り音が低減されている。
【0046】
また、補給水路22に洗浄水が流れ込むと同時にジェットタンク洗浄水供給口50からジェットタンク14への給水が開始されるようになっているので、それぞれの水量の調節を精度良く行うことが出来る。
【0047】
次に、図10乃至図13により本発明の第2実施形態による水洗大便器の洗浄水タンク構造を説明する。図10は、本発明の第2実施形態によるリムタンクを示す斜視図であり、図11は、本発明の第2実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図であり、図12は、本発明の第2実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図であり、図13は、図12のIII-III線に沿って見た断面図である。
第2実施形態の水洗大便器の構成は第1実施形態と同様であり、この第2実施形態では、ジェットタンク洗浄水給水口50及びジェットタンク導水路52の構成が異なっている。ここでは、第1実施形態と同じ構成については、その説明を省略し、異なる特徴部分について説明する。
【0048】
図10に示すように、リムタンク16には、その周縁部の一部が切り欠かれてジェットタンク洗浄水給水口150が形成されている。図10及び図11に示すように、このジェットタンク洗浄水給水口150は、側面視でほぼ矩形状に切り欠かれており、その空間の下縁部150a(図12参照)が、図3でL0で示すラインの位置にある。この下縁部は、リムタンク16の他の周囲の周縁部よりも低い位置にあるため、リムタンク16内の洗浄水が図3でL0で示すラインまで上昇すると、洗浄水がこのジェットタンク洗浄水給水口150から溢れ出るようになっている。そして、ジェットタンク14への給水が行われる。
【0049】
また、図12に示すように、ジェットタンク洗浄水給水口150は、平面視で、リムタンク16の周縁部から、リムタンク16の内方に向かって凹状になるように形成されている。本実施形態では、その凹状の部分150bが、ほぼ矩形状に形成されている。
【0050】
次に、図13に示すように、ジェットタンク洗浄水給水口150の下端部150aより下方には、ジェットタンク導水路152が形成されている。図10及び図12に示すように、このジェットタンク導水路152は、ジェットタンク洗浄水供給口の平面視で凹状に形成された部分150bが下方に向かって延ばされて構成されている。このジェットタンク導水路152は、リムタンク16の外壁に沿って下方に延びている。そして、ジェットタンク導水路152の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。
【0051】
ここで、第2実施形態では、図10及び図13に示すように、ジェットタンク洗浄水供給口150を覆うように且つジェットタンク洗浄水供給口150から離間して下方に延びる板状部材154が設けられている。この板状部材154は、リムタンク16の側面部に向けて傾斜した下端部(傾斜部)154aを有する。
【0052】
この第2実施形態では、この板状部材154に衝突した洗浄水が、その傾斜した部分154aにより、リムタンク16の壁面部の一部であるジェットタンク導水路152に向けて流れる。そして、そのように流れた洗浄水は、リムタンク16のジェットタンク導水路152を伝って下方に流れるように形成されている。
なお、板状部材154は、リムタンク16から溢れ出した洗浄水が、リムタンク16の壁面部の一部であるジェットタンク導水路152に向けて流れるように、その全体が傾斜していても良い。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態の作用効果を説明する。
先ず、ジェットタンク洗浄水給水口150から溢れ出た洗浄水は、板状部材154及びその傾斜部分154aとにより、ジェットタンク導水路152に向けて流され、今度は、その洗浄水の粘性或いは表面張力により、ジェットタンク導水路152から離れることなく、ジェットタンク導水路152を伝って下方まで流れるようになっている。そして、ジェットタンク導水路152の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。従って、リムタンク16から溢れ出た洗浄水は、ジェットタンク14内の洗浄水に滑らかに着水するようになる。
また、このような板状部材154を設けるだけなので、簡易な且つ低コストでリムタンク16から溢れ出た洗浄水をジェットタンク14内の洗浄水に滑らかに着水するようにすることが出来る。
【0054】
次に、図14及び図15により本発明の第3実施形態による洗浄水タンク構造を説明する。図14は、本発明の第3実施形態によるリムタンクのジェットタンク洗浄水給水口及びジェットタンク導水路を示す斜視図であり、図15は、本発明の第3実施形態によるリムタンクのジェットタンク洗浄水給水口及びジェットタンク導水路を示す側面図である。
第3実施形態の水洗大便器の構成は第1実施形態と同様であり、この第3実施形態では、ジェットタンク洗浄水給水口50及びジェットタンク導水路52の構成が異なっている。ここでは、第1実施形態と同じ構成については、その説明を省略し、異なる特徴部分について説明する。
【0055】
図14及び図15に示すように、リムタンク(図示せず)には、その周縁部の一部が切り欠かれたジェットタンク洗浄水給水口250が形成されている。このジェットタンク洗浄水給水口250には、リムタンク16から溢れ出す洗浄水の整流部材、即ち、複数のスリット254が設けられている。
【0056】
次に、ジェットタンク洗浄水給水口250の下端部250cより下方には、ジェットタンク導水路252が形成されている。このジェットタンク導水路252は、ジェットタンク洗浄水供給口250の平面視で凹状に形成された部分が下方に延出されて構成されている。このジェットタンク導水路252は、リムタンク16の外壁に沿って下方に延びている。そして、ジェットタンク導水路252の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態の作用効果を説明する。
先ず、ジェットタンク洗浄水給水口250から溢れ出た洗浄水は、整流部材254により、ジェットタンク洗浄水給水口250の幅方向にわたって、各スリット254を流れる水量がほぼ均一になるようになっている。即ち、整流部材254を設けることにより、リムタンク16から溢れる洗浄水が、その幅方向の位置によって多かったり少なかったりすることなく、幅方向に均一な水量で流れるようになっている。
【0058】
従って、この幅方向に均一な水量で溢れる洗浄水が、その粘性或いは表面張力により、ジェットタンク導水路252へと下方へ向けて案内され、下方に方向転換して、ジェットタンク導水路252から離れることなく、ジェットタンク導水路252を伝って下方まで流れる。そして、ジェットタンク導水路252の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置しているので、リムタンク16から溢れ出た洗浄水は、ジェットタンク14内の洗浄水に滑らかに着水するようになる。
【0059】
なお、この第3実施形態による整流部材254を、上述した第1実施形態によるジェットタンク洗浄水給水口50、或いは、第2実施形態によるジェットタンク洗浄水給水口150に設けても良い。このような場合も、上述した第1実施形態及び第2実施形態による作用効果に加え、リムタンク16から溢れ出す洗浄水をより確実にジェットタンク導水路52、152へと、剥離することなく導くことが出来る。
【0060】
次に、図16乃至図19により本発明の第4実施形態による水洗大便器の洗浄水タンク構造を説明する。図16は、本発明の第4実施形態によるリムタンクを示す斜視図であり、図17は、本発明の第4実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図であり、図18は、本発明の第4実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図であり、図19は、図18のIX-IX線に沿って見た断面図である。
第4実施形態の水洗大便器の構成は第1実施形態と同様であり、この第4実施形態では、ジェットタンク洗浄水給水口50及びジェットタンク導水路52の構成が異なっている。ここでは、第1実施形態と同じ構成については、その説明を省略し、異なる特徴部分について説明する。
【0061】
この第4実施形態では、図16乃至図19に示すように、ジェットタンク洗浄水供給口350に、このジェットタンク洗浄水供給口を覆うように網状部材354が設けられ、この網状部材354は導水路352に沿って下方に延びている。
【0062】
先ず、図16に示すように、リムタンク16には、その周縁部の一部が切り欠かれてジェットタンク洗浄水給水口350が形成されている。図16及び図17に示すように、このジェットタンク洗浄水給水口350は、側面視でほぼ矩形状に切り欠かれており、その空間の下縁部350a(図19参照)が、図3でL0で示すラインの位置にある。この下縁部は、リムタンク16の他の周囲の周縁部よりも低い位置にあるため、リムタンク16内の洗浄水が図3でL0で示すラインまで上昇すると、このジェットタンク洗浄水給水口350から溢れ出るようになっている。そして、ジェットタンク14への給水が行われる。
【0063】
また、図18に示すように、ジェットタンク洗浄水給水口350は、平面視で、リムタンク16の周縁部から、リムタンク16の内方に向かって凹状になるように形成されている。本実施形態では、その凹状の部分350bが、ほぼ矩形状に形成されている。
【0064】
次に、図16、図17及び図19に示すように、ジェットタンク洗浄水給水口350の下端部350aより下方には、ジェットタンク導水路352が形成されている。図16及び図18に示すように、このジェットタンク導水路352は、ジェットタンク洗浄水供給口の平面視で凹状に形成された部分350bが下方に向かって延ばされて構成されている。このジェットタンク導水路352は、リムタンク16の外壁に沿って下方に延びている。そして、ジェットタンク導水路352の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。
【0065】
ここで、第4実施形態では、上述したようにジェットタンク洗浄水供給口350を覆うように網状部材354が設けられている。さらにこの網状部材354はジェットタンク導水路352にわたって下方に延びている。
【0066】
この第4実施形態では、リムタンク16から溢れ出そうとする洗浄水が、このジェットタンク洗浄水給水口350に設けられた網状部材354に当たり、その洗浄水の粘性或いは表面張力によって、網状部材354を伝って、ジェットタンク導水路352に沿って下方に向けて流れるようになっている。
【0067】
なお、この第4実施形態による網状部材354を、上述した第1実施形態によるジェットタンク洗浄水給水口50、或いは、第2実施形態によるジェットタンク洗浄水給水口150に設けても良い。さらに、網状部材354を、第1実施形態によるジェットタンク導水路52、或いは、第2実施形態による導水路152に設けても良い。これらのような場合も、上述した第1実施形態及び第2実施形態による作用効果に加え、リムタンク16から溢れ出す洗浄水をより確実にジェットタンク導水路52、152へと、剥離することなく導くことが出来る。
【0068】
次に、本発明の第4実施形態の作用効果を説明する。
先ず、ジェットタンク洗浄水給水口350から溢れ出た洗浄水は、網状部材354により、より大きな表面張力を得て、ジェットタンク導水路352に向けて流される。そして、その洗浄水の粘性或いは表面張力により、ジェットタンク導水路352から離れることなく、網状部材354が設けられたジェットタンク導水路352を伝って下方まで流れるようになっている。そして、ジェットタンク導水路352の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。従って、リムタンク16から溢れ出た洗浄水は、ジェットタンク14内の洗浄水に滑らかに着水するようになる。
このように網状部材354によれば、ジェットタンク洗浄水給水口350及びジェットタンク導水路352と、網状部材354との間の表面張力が増すので、リムタンク16から溢れ出した洗浄水が勢いよく飛び出すことなく且つ洗浄水が剥離することなくジェットタンク14内の貯水まで流すことが出来る。
【0069】
次に、図20乃至図23により本発明の第5実施形態による水洗大便器の洗浄水タンク構造を説明する。図20は、本発明の第5実施形態によるリムタンクを示す斜視図であり、図21は、本発明の第5実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図であり、図22は、本発明の第5実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図であり、図23は、図22のIV-IV線に沿って見た断面図である。
第5実施形態の水洗大便器の構成は第1実施形態と同様であり、この第5実施形態では、ジェットタンク洗浄水給水口50及びジェットタンク導水路52の構成が異なっている。ここでは、第1実施形態と同じ構成については、その説明を省略し、異なる特徴部分について説明する。
【0070】
先ず、図20に示すように、リムタンク16には、その周縁部の一部が切り欠かれてジェットタンク洗浄水給水口450が形成されている。図20に示すように、このジェットタンク洗浄水給水口450は、側面視でほぼ矩形状に切り欠かれており、その空間の下縁部450a(図23参照)が、図3でL0で示すラインの位置にある。この下縁部は、リムタンク16の他の周囲の周縁部よりも低い位置にあるため、リムタンク16内の洗浄水が図3でL0で示すラインまで上昇すると、このジェットタンク洗浄水給水口450から溢れ出るようになっている。そして、ジェットタンク14への給水が行われる。
【0071】
次に、図20、図21及び図23に示すように、ジェットタンク洗浄水給水口450には、リムタンク16から溢れる洗浄水のためのガイド板454及びガイド面456が形成されている。このガイド面456の中央には円形状の孔458が形成され、この円形状の孔の下方には、中空円筒部材452が取り付けられている。この中空円筒部材452は、リムタンク16の外壁にほぼ平行に下方に向けて延びている。そして、中空円筒部材452の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。
【0072】
次に、本発明の第5実施形態の作用効果を説明する。
先ず、リムタンク16から溢れる洗浄水は、ガイド板454及びガイド面456によって囲まれた空間に流れ込み、この流れ込んだ洗浄水は孔458を通って、中空円筒部材452に流れ込み、さらに、中空円筒部材452に沿って下方に流れるようになる。ここで、中空円筒部材452の下端はジェットタンク14に貯留された洗浄水の排水後の残留水位(DWL)より下方に位置している。従って、リムタンク16から溢れ出た洗浄水は、ジェットタンク14内の洗浄水に滑らかに着水するようになる。
【0073】
なお、上述した第1乃至第5の実施形態において、リムタンク内にジェットタンクが設けられている構成として、各実施形態のようにタンク洗浄水供給口及び導水路を形成しても良い。また、リムタンクとジェットタンクが、一体で成形され、リム洗浄水の貯水域とゼットタンクの貯水域が分離しているもの又はリムタンクとジェットタンクが並列に並んでいるものでも良い。本実施形態では、リフィール水の導水路を導気路と併用しているが、リム通水路、ゼット導水路、別の導水路と併用してもよい。また、例えば、リムタンクからのオーバーフロー水によってリフィール水を取る構成としているが、ジェットタンクからのオーバーフロー水でリフィールを取ってもよい。また、リフィールの開口はリムタンクの外でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態による水洗大便器の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による洗浄水タンクの内部を上方から見た平面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿って見た洗浄水タンクの断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるリムタンクを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図である。
【図7】図6のVII-VII線に沿って見た断面図である。
【図8】図6のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【図9】図6のIX-IX線に沿って見た断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態によるリムタンクを示す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図である。
【図13】図12のIII-III線に沿って見た断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態によるリムタンクのジェットタンク洗浄水給水口及びジェットタンク導水路を示す斜視図である。
【図15】本発明の第3実施形態によるリムタンクのジェットタンク洗浄水給水口及びジェットタンク導水路を示す側面図である。
【図16】本発明の第4実施形態によるリムタンクを示す斜視図であり。
【図17】本発明の第4実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図である。
【図18】本発明の第4実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図である。
【図19】図18のIX-IX線に沿って見た断面図である。
【図20】本発明の第5実施形態によるリムタンクを示す斜視図である。
【図21】本発明の第5実施形態によるリムタンクを側方から見た側面図である。
【図22】本発明の第5実施形態によるリムタンクを上方から見た平面図である。
【図23】図22のIV-IV線に沿って見た断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 水洗大便器
2 便器本体
4 ボウル部
6 排水トラップ管路
8 ジェット吐水口
10 リム吐水口
12 洗浄水タンク
14 ジェットタンク
16 リムタンク
20 導気通路(補給水路)
22 導気管路(補給水路)
24 導気室(補給水路)
30 ジェット排水弁
36 リム排水弁
40 ボールタップ
48 給水管
50、150、250、350、450 ジェットタンク洗浄水供給口
50e 湾曲形状の曲面
52、152、252、352 ジェットタンク導水路
452 中空円筒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の洗浄をするための洗浄水を貯水する貯水タンクと、上記便器本体に上記貯水タンクから洗浄水を供給する第1の吐出口及び第2の吐出口を有する水洗式大便器のタンク構造であって、
上記貯水タンクは、上記第1の吐出口に洗浄水を供給するための洗浄水を貯留する第1タンクと、上記第2の吐出口に洗浄水を供給するための洗浄水を貯留する第2タンクとを有し、
上記第1のタンクには上記第1の吐出口への洗浄水の供給及び停止を行うための第1の排水弁が設けられ、
上記第2のタンクには上記第2の吐出口への洗浄水の供給及び停止を行うための第2の排水弁が設けられ、
上記第2のタンクには給水管から洗浄水が供給され、この洗浄水は上記第1のタンクの洗浄水の水位が所定水位を超えたときに止水されるようになっており、
上記第2のタンクには、上記便器本体にリフィール水を供給するための補給水管と、上記第2のタンクから洗浄水を溢れ出させて上記第1のタンクにその洗浄水を供給するための第1タンク洗浄水供給口とが設けられ、
上記給水管から上記第2のタンクへ洗浄水が供給されこの第2のタンクの洗浄水の水位が所定水位を超えると、上記補給水管から便器本体にリフィール水が給水されると共に上記第1タンク洗浄水供給口から上記第1のタンクに洗浄水が供給されるようになっている、ことを特徴とする水洗式大便器。
【請求項2】
上記第1タンク洗浄水供給口は、上記第2のタンクの周縁部に設けられ、上記補給水管は上記第2のタンク内で上記第1タンク洗浄水供給口に近い位置に配置されている請求項1に記載の水洗式大便器。
【請求項3】
上記補給水管は、上記便器本体のトラップ部に空気を注入するための導気通路を兼ねている請求項1又は請求項2に記載の水洗式大便器。
【請求項4】
上記第2のタンクは上記第1のタンクの内側に配置され、上記第2の吐出口は上記第1の吐出口より上方に位置し、上記第1の吐出口はジェット吐出口であり、上記第1のタンクはこのジェット吐出口に供給する洗浄水を貯留するジェットタンクであり、上記第2の吐出口はリム吐出口であり、上記第2のタンクはこのリム吐出口に供給する洗浄水を貯留するリムタンクである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水洗式大便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−91813(P2009−91813A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263508(P2007−263508)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】