説明

水流センサ付き分岐管及びそれを用いた給湯器

【課題】流出管部に水流センサを内蔵する分岐管において、水流センサの誤検知の発生を抑制する。
【解決手段】湯水が流入する流入管部11と、該流入管部11に流入した湯水を二方向へ流出させる第一及び第二の流出管部12,13とを一体的に備え、流入管部11内に流量調整弁14を配設し、第一の流出管部12内に、第一の流出管部からの湯水の流出の有無を検知するための水流センサ17を配設し、さらに、第一の流出管部12からの湯水の流出が無く且つ第二の流出管部13から湯水が流出するときに水流センサ17を作動させる水流が第一の流出管部12内に発生することを抑制する水流抑制部18を水流センサ17の上流側に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水流センサ付き分岐管及びそれを用いた給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記の特許文献1には、一般給湯と風呂給湯とを切り替えて給湯することができる給湯器において、給湯器の小型化や部品点数の削減を図るために、給湯路を一般給湯路と風呂給湯路に分岐させる分岐管に、一般給湯路と風呂給湯路とを切り替える切替機能と、水量調節機能とを一体的に具備させる技術が開示されている。
【0003】
一方、下記の特許文献2には、三叉路を形成するケーシングの第1管状部を給水管に接続し、該第1管状部内に、通過する水の流れにより回転して水量を検出する水流センサ(水量検出用羽根車)を配設することにより、部品点数の削減や小型化を図る技術が開示されている。なお、特許文献2記載の発明では、水流センサが配設された第1管状部は給水路に接続された入水管部となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−65427号公報
【特許文献2】特開2000−55465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の技術では、分岐管自体に切替弁の機能を具備させているが、一般給湯路側は蛇口の給湯栓により開閉可能であるため、一般給湯路側の開閉弁は省略可能である。一方、風呂注湯中に使用者が一般給湯用の給湯栓を開閉した場合に、使用者の使い勝手を考慮して注湯動作よりも一般給湯を優先するなどの各種制御を行えるようにするために、特許文献1記載の水量調節切替弁の一般給湯開閉弁に代えて、特許文献2記載の水流センサを配置したい場合がある。
【0006】
しかし、分岐管のコンパクト化により管路が狭小となったり水流センサが弁装置などに近接配置されていたりすると、注湯動作中に一般給湯用の給湯栓が開かれていないにもかかわらず、風呂給湯路側への水流の影響により水流センサが動作し、実際には一般給湯路への水流が無いのに水流有りと誤検知するおそれがある。このような誤検知が発生すると、その度に風呂への注湯動作が停止制御されてしまうという不具合がある。
【0007】
そこで本発明は、流出管部に水流センサを内蔵する分岐管において、水流センサの誤検知の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0009】
すなわち、本発明の水流センサ付き分岐管は、湯水が流入する流入管部と、該流入管部に流入した湯水を二方向へ流出させる第一及び第二の流出管部とを備え、第一の流出管部内に、第一の流出管部からの湯水の流出の有無を検知するための水流センサが配設されているとともに、第一の流出管部からの湯水の流出が無く且つ第二の流出管部から湯水が流出するときに前記水流センサを作動させる水流が第一の流出管部内に発生することを抑制する水流抑制部が前記水流センサの上流側に設けられていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0010】
かかる本発明の水流センサ付き分岐管によれば、流入管部に流入する湯水を、第一及び第二の流出管部のいずれかに選択的に、若しくは、両流出管部に同時に分岐させて流出させることができる。いずれかの流出管部に選択的に切り替えて湯水を流出させるには、分岐管自体に弁装置を内蔵してもよく、また、分岐管とは別体の弁装置や栓機構を給湯配管の適宜箇所に配設してもよい。本発明の分岐管では、特に、第一の流出管部からの湯水の流出が無く且つ第二の流出管部から湯水が流出するときに前記水流センサを作動させるような水流が第一の流出管部内に発生することを抑制する水流抑制部を前記水流センサの上流側に設けたので、第一の流出管部からの湯水の流出が無いにもかかわらず水流センサが水流有りと誤検知することが抑制され、該水流センサの検知信号に基づく各種制御に支障を来たすことが抑制される。
【0011】
なお、水流センサとしては、永久磁石付きロータの回転数を磁気センサで検知する水量センサを用いることができ、該水量センサの検知信号が所定の閾値を超える場合に水流有りとして検出作動する構成とすることができる。ロータは、第一の流出管部内に配設される羽根車を一体に備えることができる。
【0012】
上記本発明の水流センサ付き分岐管において、第1の流出管部は流入管部に対して軸方向に交差するように接続されており、前記水流抑制部が、第一の流出管部の上流端入水口から流入管部の径方向内方に向けて突出形成されている構成とすることができる(請求項2)。これによれば、流入管部における湯水の流れが管内面に沿った部分で比較的流速の速いような場合、例えば、流入管部自体がエルボ状に屈曲していたり、流入管部に流量調整弁が内蔵されていることにより流入管部の内面近傍で速い層流が生じているような場合に、流入管部の径方向内方に突出する水流抑制部によって上記のような速い流れを緩和し、これにより水流センサが水流有りと誤検知することを抑止させることができる。
【0013】
さらに、前記水流抑制部は筒状であるとともにその上流側端部が先細り状に形成されている構成とすることができる(請求項3)。これによれば、流入管部から第二の流出管部に流れる水流によって、例えば第一の流出管部の上流側端部近傍で第一の流出管部の内面近傍に沿う渦流乃至乱流が生じてしまうような場合において、先細り筒状の水流抑制部によって第一の流出管部の内面近傍に沿う渦流乃至乱流を抑止し、これにより水流センサが水流有りと誤検知することを抑止させることができる。
【0014】
上記本発明は、前記流入管部内には流入管部に流入する湯水の流量を調整する流量調整弁が配設されている場合に特に好適に実施できる(請求項4)。すなわち、流量調整弁は流路開口面積を絞ることにより流量調整を行うため、該流量調整弁の下流側では流入管部の内周面と流量調整弁の弁体の外周面との間の狭い開口を通過する速い水流が流入管部の内周面近傍に生じさせられるが、本発明によれば流量調整弁を通過する流入管部の内周面に沿う速い水流を水流抑制部によって抑止することにより、水流センサの誤検知を抑止することができる。
【0015】
また、前記第二の流出管部の開閉を行う開閉弁が第二の流出管部に設けられているものとすることができる(請求項5)。より好ましくは、開閉弁は、電磁開閉弁とするのが良い。これによれば、第一の流出管部に接続される第一の給湯路の給湯栓が開かれることにより水流センサが水流有りを検出する場合に、電子制御装置によって開閉弁を閉制御することにより第一の流出管部に優先的に湯水を流出させることができる。一方、第一の給湯路の一般用給湯栓が閉じているときには、水流センサの誤検知を抑止して、第二の流出管部に湯水を連続供給することが可能になる。
【0016】
また、本発明は、燃焼バーナと、燃焼バーナの燃焼作動により生じる燃焼ガスを受けて加熱される管路を備えた熱交換器と、この熱交換器の管路に入水させる入水路と、この入水路からの入水が上記熱交換器で熱交換加熱された後に出湯される出湯路と、上記熱交換器をバイパスするように上記入水路から分岐されて上記出湯路に合流するバイパス路と、電子制御装置とを備える給湯器において、前記バイパス路の合流部よりも下流側で前記出湯路に上記本発明の水流センサ付き分岐管の流入管部が接続され、該分岐管の第一の流出管部に第一の給湯路が接続され、分岐管の第二の流出管部に第二の給湯路が接続され、前記水流センサと前記開閉弁とが前記電子制御装置に接続され、前記電子制御装置は、水流センサが水流有りを検知したときに前記開閉弁を閉制御するように構成されているものとすることができる(請求項6)。
【0017】
かかる本発明の給湯器によれば、出湯路で設定された湯温に調整された湯水を分岐管に流入させ、該湯水を第一の給湯路と第二の給湯路に分岐して供給することができる。第一の給湯路には好ましくは分岐管とは別体の給湯栓や開閉弁を設けておき、第一の給湯路の給湯栓又は開閉弁が開かれて第一の給湯路に湯水が供給されるときには、これを水流センサにより検出して電子制御装置により第二の流出管部の開閉弁を閉制御することにより、第二の給湯路への給湯制御中であっても第一の給湯路に優先して給湯を行わせることができる。一方、第一の給湯路の給湯栓又は開閉弁が閉じているときには、水流センサの誤検知を抑止して、第二の給湯路に湯水を連続供給することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る水流センサ付き分岐管によれば、配管構成のコンパクト化や部品点数の削減を図りつつも、第一の流出管部からの湯水の流出が無く且つ第二の流出管部から湯水が流出するときに前記水流センサを作動させるような水流が第一の流出管部内に発生することを抑制する水流抑制部を前記水流センサの上流側に設けたので、第一の流出管部からの湯水の流出が無いにもかかわらず水流センサが水流有りと誤検知することが抑制され、該水流センサの検知信号に基づく各種制御に支障を来たすことを抑制できる。
【0019】
また、本発明の請求項2に係る水流センサ付き分岐管によれば、流入管部における湯水の流れが管内面に沿った部分で比較的流速の速いような場合、例えば、流入管部自体がエルボ状に屈曲していたり、流入管部に流量調整弁が内蔵されていることにより流入管部の内面近傍で速い層流が生じているような場合に、流入管部の径方向内方に突出する水流抑制部によって上記のような速い流れを緩和し、これにより水流センサが水流有りと誤検知することを抑止させることができる。
【0020】
また、本発明の請求項3に係る水流センサ付き分岐管によれば、流入管部から第二の流出管部に流れる水流によって、例えば第一の流出管部の上流側端部近傍で第一の流出管部の内面近傍に沿う渦流乃至乱流が生じてしまうような場合において、先細り筒状の水流抑制部によって第一の流出管部の内面近傍に沿う渦流乃至乱流を抑止し、これにより水流センサが水流有りと誤検知することを抑止させることができる。
【0021】
また、本発明の請求項4に係る水流センサ付き分岐管によれば、流量調整弁を通過する流入管部の内周面に沿う速い水流を水流抑制部によって抑止することにより、水流センサの誤検知を抑止することができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に係る水流センサ付き分岐管によれば、第一の流出管部に接続される第一の給湯路の給湯栓が開かれることにより水流センサが水流有りを検出する場合に、電子制御装置によって開閉弁を閉制御することにより第一の流出管部に優先的に湯水を流出させることができる。一方、第一の給湯路の給湯栓が閉じているときには、水流センサの誤検知を抑止して、第二の流出管部に湯水を連続供給することが可能になる。
【0023】
また、本発明の請求項6に係る給湯器によれば、出湯路で設定された湯温に調整された湯水を分岐管に流入させ、該湯水を第一の給湯路と第二の給湯路に分岐して供給することができる。第一の給湯路には好ましくは分岐管とは別体の給湯栓や開閉弁を設けておき、第一の給湯路の給湯栓又は開閉弁が開かれて第一の給湯路に湯水が供給されるときには、これを水流センサにより検出して電子制御装置により第二の流出管部の開閉弁を閉制御することにより、第二の給湯路への給湯制御中であっても第一の給湯路に優先して給湯を行わせることができる。一方、第一の給湯路の給湯栓又は開閉弁が閉じているときには、水流センサの誤検知を抑止して、第二の給湯路に湯水を連続供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水流センサ付き分岐管の全体縦断面図である。
【図2】同分岐管の要部拡大断面図である。
【図3】同分岐管の全体斜視図である。
【図4】同分岐管の水流センサ及び水流抑制部の拡大分解斜視図である。
【図5】同分岐管を備える給湯器の回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る水流センサ付き分岐管の要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る水流センサ付き分岐管の要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る水流センサ付き分岐管の要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る水流センサ付き分岐管の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1〜4は本発明の第1の実施形態に係る水流センサ付き分岐管1を示し、図5は分岐管1を具備する給湯器Bの全体構成を概略的に示している。
【0027】
まず、給湯器Bの全体構成を図5を参照しつつ説明すると、この給湯器Bは、水道管等が接続される接続アダプタ2aが上流端に設けられた入水路2と、該入水路2から水が導入される熱交換器3と、熱交換器3に導入された水を熱交換加熱するための燃焼ガスを発生させる燃焼バーナ4と、加熱後の湯水を熱交換器から出湯するための出湯路5と、該出湯路5の下流端に接続される分岐管1と、分岐管1に接続される風呂用給湯路6(第二給湯路)及び一般給湯路7(第一給湯路)と、各給湯路6,7の下流端に設けられた接続アダプタ6a,7aとを備え、これら各構成部品が給湯器ケーシング(図示せず)内に配設されている。風呂給湯用接続アダプタ6aには給湯器ケーシング外に延びる風呂給湯配管61が接続され、一般給湯路接続アダプタ7aには給湯器ケーシング外に延びる一般給湯配管71が接続されて、これら各配管61,71に湯水を分岐して給湯可能に構成されている。一般給湯配管71の下流端には給湯栓72が設けられ、一般給湯配管71への湯水の供給及び停止は給湯栓72を使用者が手作業で開閉することにより行われる。
【0028】
上記入水路2の中途部と出湯路5の中途部との間には、上記熱交換器3をバイパスして出湯路5に冷水を供給して熱交換器3から出湯路5に出湯される湯に水を混合させるためのバイパス路8が設けられている。このバイパス路8には出湯路5への通水流量を調整するバイパス流量調整弁81が介装され、バイパス流量調整弁81の弁体の位置制御による開度調整により、熱交換器3から出湯路5に出湯される湯に対する水の混合比が変更調整されて設定給湯温度に温度調整されるようになっている。
【0029】
上記熱交換器3及び燃焼バーナ4は缶体9内に配設され、燃焼バーナ4の燃焼動作によりその上部空間の燃焼室に向けて燃焼されると、その燃焼ガスが上方に流れる間に熱交換器3を加熱し、これにより、内部を通過する水が熱交換加熱されるようになっている。そして、熱交換加熱後の燃焼排ガスが排出口9aから外部に排気されるようになっている。なお、缶体9には、立消え安全装置91、点火プラグ92、点火装置93、過熱防止装置94が付設されている。
【0030】
燃焼バーナ4は、元ガス電磁弁41やガス比例電磁弁42を介装した燃料供給系からの燃料ガスの供給と、回転数センサ43aが付設された燃焼ファン43からの燃焼用空気の供給とを受けて燃焼作動するようになっており、複数のバーナ部に対して能力切替ガス電磁弁44による燃料ガスの供給切換制御によって燃焼能力が複数段階に切換可能となっている。
【0031】
上記入水路2には、入水流量センサ21や入水温度センサ22が配設されており、接続アダプタ2aにはフィルター23や水抜き栓24が設けられている。上記出湯路5には、上記缶体9の近傍位置であって上記熱交換器3の出口から出湯された直後の湯の温度である出口温度(缶体温度)を検出する缶体温度センサ51と、バイパス路7からの水の逆流を防止する逆止弁52とが設けられている。分岐管1には、バイパス路7からの水による温調後の給湯温度を検出する給湯温度センサ10が設けられている。風呂給湯路6にはバキュームブレーカー62が設けられている。一般給湯路7には過圧防止安全装置73が設けられている。
【0032】
また、本実施例の給湯器Bでは、出湯路5から直接、熱交換器3から出湯された直後の高温の湯を風呂給湯路6に供給するための高温差し湯バイパス路53が、出湯路5と風呂給湯路6との間に設けられている。該バイパス路53には差し湯水量調整弁53aが設けられている。
【0033】
上記の各電磁弁や電気機器は、電子制御装置C(コントローラ)により制御され、予め定められた制御内容に応じて給湯制御を行うように構成されている。
【0034】
次に、分岐管1の各実施形態について詳細に説明する。
【0035】
図1〜図4は本発明の第1の実施形態に係る分岐管1を示しており、該分岐管1は、湯水が流入する流入管部11と、該流入管部11に流入した湯水を二方向へ流出させる第一及び第二の流出管部12,13とを一体的に備えている。第一の流出管部12は流入管部11に対して軸方向に直交するように接続されており、該第一の流出管部12の上流端入水口は流入管部11の内部空間に開口されている。第二の流出管部13も同様に、流入管部11に対して軸方向に直交するように接続されており、該第二の流出管部13の上流端入水口は流入管部11の内部空間に開口されている。第一及び第二の流出管部12,13は同心状に直線的に配設されており、これにより分岐管1は略T字管状に構成されている。
【0036】
なお、上記給湯器Bにおいては、分岐管1の流入管部11は出湯路5の下流端に接続され、第一の流出管部12は一般給湯路7の上流端に接続され、第二の流出管部13は風呂給湯路6の上流端に接続されている。
【0037】
上記流入管部11内には、流入管部11に流入する湯水の流量を調整する流量調整弁14が配設されており、上記給湯温度センサ10は、流入管部11の周壁部に取付けられている。流量調整弁14は、流入管部11の軸方向中途部に設けられた小径の絞り部11aに対して軸方向に近接・離反可能に配設された弁体14aと、該弁体14aに取付け固定されるプランジャロッド14bと、該プランジャロッド14bの基部を軸方向摺動自在に保持する保持筒14cと、プランジャロッド14bの先端部を軸方向摺動自在に保持する軸支部14dとを備え、プランジャロッド14bはステッピングモータ14eによって軸方向に往復駆動されるようになっており、これにより絞り部11aに対する弁体14aの軸方向位置を制御して開度調整し、流通する水量調整を行えるようになっている。
【0038】
第二の流出管部13には、第二の流出管部13の流路の開閉を行う開閉弁16が設けられている。この開閉弁16は、外周側空間が流入管部11の内部空間と連通し且つ内周側空間が第二の流出管部13の下流端開口に連通する円筒状の弁座16aと、ソレノイド16bによって弁座16aを開閉する弁体16cとを備えている。
【0039】
第一の流出管部12の上流端入水口は、流量調整弁14の弁体14aの下流側近傍で流入管部11の内部空間に開口されており、これによりコンパクト化を図っている。第一の流出管部12内には、第一の流出管部12から一般給湯路7への湯水の流出の有無を検知するための水流センサ17が配設されているとともに、第一の流出管部12から一般給湯路7への湯水の流出が無く且つ第二の流出管部13から風呂給湯路7へ湯水が流出するときに水流センサ17を作動させる水流が第一の流出管部12内に発生することを抑制する水流抑制部18が水流センサ17の上流側に設けられている。
【0040】
水流センサ17は、羽根車として機能するロータ17aを備えている。該ロータ17aは、第一の流出管部12を湯水が流通する際に該湯水によって回転するように構成されている。ロータ17aには軸部17bが上流側及び下流側に突設され、上流側軸支部17c及び下流側軸支部17dによって回転自在に軸支されている。ロータ17aは全体が永久磁石に構成されるか或いは周方向一部に永久磁石が取付けられ、第一の流出管部12の周壁部に取付けた磁気センサ17eによってロータ17aの回転数を検知できるようになっている。
【0041】
この磁気センサ17eの検知信号は電子制御装置Cに送出され、所定の閾値を超える信号を検知したとき水流有りと検出し、所定の閾値以下の場合には水流無しと検出するように構成されている。なお、所定の閾値を超える場合は、磁気センサ17eの検知信号に基づいて電子制御装置Cが第一の流出管部12を流れる湯水の水量を算出するように構成してもよい。
【0042】
さらに、電子制御装置Cは、給湯栓72が開かれることによって水流センサ17が水流有りを検知したときに開閉弁16を強制的に閉制御するように構成されている。このとき、浴槽に一定水量湯張りするための湯張り制御中など、風呂用給湯路6(第二給湯路)への定量給湯制御中であった場合には、当該制御を一旦中断して開閉弁16を閉制御する。その後、給湯栓72が閉じられて一般給湯路7への湯水の流出が停止したことを水流センサ17が検出すると、電子制御装置Cは開閉弁16を開いて上記の定量給湯制御を再開する。
【0043】
上記水流抑制部18は、本実施例では第一の流出管部12内に取付けられる円筒状部材によって構成されている。該円筒状部材は第一の流出管部12の下流端開口から内部に挿入され、第一の流出管部12の上流端入水口の内径と略同径とされ、その上流側端部18aが徐々に縮径されて先細り状に形成されているとともに、該上流側端部が、第一の流出管部12の上流端入水口から流入管部11の径方向内方に向けて突出形成されている。より詳細には、流入管部11の内面は円周面であるため、該円周面に開口する第一の流出管部12の上流端入水口は、流入管部11の周方向における両端部が高い位置にあり、流入管部11の周方向における上流端入水口の中央部は上記両端部に比して低い位置にあるが、水流抑制部18の上流側端部は、少なくとも上記中央部において上流端入水口から突出していれば良く、上記両端部においては水流抑制部18が上流端入水口から突出していなくてもよい。
【0044】
本実施形態に係る分岐管1によれば、供給される湯水の流量を調整する流量調整弁14、第二の流出管部13の流路を開閉する開閉弁16及び第一の流出管部12への湯水の流出の有無を検知する水流センサ17を一体に設けたので、給湯器ケーシング内の配管構成のコンパクト化と部品点数の削減とを図ることができ、更なる給湯器Bの小型化・薄型化と低コスト化とを図ることができる。
【0045】
また、水流センサ17を流量調整弁14に近接配置しているにもかかわらず、流入管部11から第二の流出管部13へ流通する湯水の水流の影響による水流センサ17の誤検知を、水流抑制部18によって抑制することができ、一般給湯路7への給湯がなされていないときの誤作動を防止して、本来の制御を効率よく行うことができる。
【0046】
特に、高水圧条件下では、弁体14a周囲の隙間は非常に狭いため、弁体14a以降の流速はかなり速くなることがあり、第一の流出管部12の上流端入水口を弁体14aに近接配置すると、弁体14a以降の速い水流が流入管部11の内周面近傍に沿う層流や乱流や渦流を生じさせ、この層流や乱流や渦流が第一の流出管部12の上流端入水口から流入して、第一の流出管部12内の水流センサ17を作動させるような水流を第一の流出管部12内に生じさせてしまうことが懸念されるが、本実施形態では、弁体14a以降の速い水流が上流端入水口から突出する水流抑制部18に直接衝当して流速が緩和され、これにより水流センサ17の誤作動を抑制することが可能になる。
【0047】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。
【0048】
例えば、図6に示す第2実施形態のように、水流抑制部18の上流側端部18aが流入管部11の径方向内方にむけて突出形成されておらず、水流抑制部18を構成する筒状部材が第一の流出管部12内に埋設されており、該筒状部材の上流側端部18aと第一の流出管部12の上流端入水口との間に窪み部20が形成されるように構成することもできる。かかる構成であっても、流入管部11から第二の流出管部13へ湯水が流出している場合に第一の流出管部12の上流端入水口近傍に生じる層流や乱流や渦流は窪み部20によってある程度緩和され、第一の流出管部12内に大きな渦流や乱流が生じることを抑制して、水流センサ17の誤作動を防止できる。
【0049】
また、図7に示す第3実施形態のように、水流抑制部18を構成する筒状部材の上流側端部を先細り状に構成せず、直管状に構成することもできる。かかる構成によっても、弁体14a以降の速い水流が上流端入水口から突出する水流抑制部18に直接衝当して流速が緩和され、これにより水流センサ17の誤作動を抑制することが可能になる。
【0050】
また、図8に示す第4実施形態のように、水流抑制部18を第一の流出管部12の上流端入水口の内周面を上流側に向けて先細り状に構成することにより第一の流出管部12に一体に設けることもできる。かかる構成によっても、第一の流出管部12の上流端入水口の口径を絞ることにより流入管部11から第二の流出管部13へ流れる湯水が第一の流出管部12に流入し難くなり、これにより第一の流出管部12内に大きな渦流や乱流が生じることを抑制して、水流センサ17の誤作動を防止できる。
【0051】
また、図9に示す第5実施形態のように、水流抑制部18は、第一の流出管部12の上流端入水口からその径方向内方に突出する突出部によって構成されていてもよく、該突出部は入水口の周方向全長にわたって形成されていてもよく、周方向一部のみに形成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、風呂用給湯路6と一般給湯路7に給湯分岐させる例を示したが、例えば、貯湯タンクへの給湯路と一般給湯路とに分岐させる分岐管として本発明を実施してもよく、その他適宜の給湯目的に本発明を適用することが可能である。また、上記実施形態では、風呂注湯機能付き給湯器の例を示したが、これに代えて風呂追焚き機能付き給湯器に適用することもできる。この場合、風呂用給湯路6は追焚き配管に接続される。
【符号の説明】
【0053】
B 給湯器
C 電子制御装置
1 分岐管
2 入水路
3 熱交換器
4 燃焼バーナ
5 出湯路
6 第二給湯路
7 第一給湯路
8 バイパス路
81 バイパス流量調整弁
11 流入管部
12 第一の流出管部
13 第二の流出管部
14 流量調整弁
16 開閉弁
17 水流センサ
18 水流抑制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水が流入する流入管部と、該流入管部に流入した湯水を二方向へ流出させる第一及び第二の流出管部とを備え、第一の流出管部内に、第一の流出管部からの湯水の流出の有無を検知するための水流センサが配設されているとともに、第一の流出管部からの湯水の流出が無く且つ第二の流出管部から湯水が流出するときに前記水流センサを作動させる水流が第一の流出管部内に発生することを抑制する水流抑制部が前記水流センサの上流側に設けられていることを特徴とする水流センサ付き分岐管。
【請求項2】
請求項1に記載の水流センサ付き分岐管において、第一の流出管部は流入管部に対して軸方向に交差するように接続されており、前記水流抑制部が、第一の流出管部の上流端入水口から流入管部の径方向内方に向けて突出形成されていることを特徴とする水流センサ付き分岐管。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水流センサ付き分岐管において、前記水流抑制部は筒状であるとともにその上流側端部が先細り状に形成されていることを特徴とする水流センサ付き分岐管。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の水流センサ付き分岐管において、前記流入管部内には流入管部に流入する湯水の流量を調整する流量調整弁が配設されていることを特徴とする水流センサ付き分岐管。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の水流センサ付き分岐管において、前記第二の流出管部の開閉を行う開閉弁が第二の流出管部に設けられていることを特徴とする水流センサ付き分岐管。
【請求項6】
燃焼バーナと、燃焼バーナの燃焼作動により生じる燃焼ガスを受けて加熱される管路を備えた熱交換器と、この熱交換器の管路に入水させる入水路と、この入水路からの入水が上記熱交換器で熱交換加熱された後に出湯される出湯路と、上記熱交換器をバイパスするように上記入水路から分岐されて上記出湯路に合流するバイパス路と、電子制御装置とを備える給湯器において、
前記バイパス路の合流部よりも下流側で前記出湯路に請求項5に記載の水流センサ付き分岐管の流入管部が接続され、該分岐管の第一の流出管部に第一の給湯路が接続され、分岐管の第二の流出管部に第二の給湯路が接続され、前記水流センサと前記開閉弁とが前記電子制御装置に接続され、前記電子制御装置は、水流センサが水流有りを検知したときに前記開閉弁を閉制御するように構成されていることを特徴とする給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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