説明

水滴除去装置

【課題】雨天時における水滴を簡単かつ確実に除去でき、しかも精神的余裕や安心感を持って作業をすることのできる水滴除去装置を提供する。
【解決手段】水滴除去装置100は、設置面201aに設置されて、音響信号又は進行波に応じて振動する圧電素子1を備え、圧電素子の振動が設置面201aに伝達されて水滴除去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水滴除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雨天時に自動二輪車を走行する場合、走行中は常に前方からの空気の流れが発生していることと、ヘルメットのシールドの湾曲形状により、ヘルメットのシールドに付着する水滴はシールドの側面方向へと押し出され、水滴が溜まりづらく運転手の視界への問題はない。しかし、信号待ちなどで停車した場合には上記の作用が働かないため、ヘルメットのシールド上に水滴が溜まり視界が非常に悪くなるという問題がある。そのため、シールドを上げ、多少の雨水が入ってくるのを我慢したり、又は、シールド上に溜まる水滴除去対策として、弾性素材からなり、操縦者が二輪車を走行させつつ片手で把持及び取り扱うことのできる大きさに構成された手動ワイパー(例えば、特許文献1参照)を使用して、水滴を除去することが知られている。また、二輪車用の手袋の指の甲側に取付台を接着し、取付台の溝にスクイージーを嵌合させ、スクイージーのワイパー部分で水滴除去を行うことのできる指先ワイパーも知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−20124号公報
【特許文献2】特開平11−4792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のように手動ワイパーや指先ワイパーを使用する場合、停車時に手動で水滴を除去しなければならないため、片手が使用中となっている間は、操縦者は他の処理を行うことができず、精神的余裕や安心感を持って作業を行うことができなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、雨天時における水滴を簡単かつ確実に除去でき、しかも精神的余裕や安心感を持って作業をすることのできる水滴除去装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、設置面に設置されて、音響信号又は進行波に応じて振動する振動手段を備え、
前記振動手段の振動が前記設置面に伝達されて水滴除去を行うことを特徴とする。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載の水滴除去装置において、
前記振動手段は、圧電素子を有し、音響信号又は進行波に応じて前記圧電素子が振動することを特徴とする。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1に記載の水滴除去装置において、
前記振動手段は、永久磁石を含む磁気回路と、この磁気回路に形成された磁気空隙内に配置されたボイスコイルとを有し、音響信号又は進行波に応じて前記磁気回路が振動することを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水滴除去装置において、
前記音響信号と前記進行波とを切り替え自在とし、前記振動手段を振動させる切替手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、音響信号又は進行波に応じて振動する振動手段を備え、進行波による振動手段の振動が設置面に伝達されて水滴除去を行うので、手動による除去作業を減らすことができ、簡単かつ確実に水滴を除去することができ、しかも精神的余裕や安心感を持って作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第一〜第三の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[第一の実施の形態]
本実施形態における水滴除去装置は、設置面に設置されて、音響信号又は進行波に応じて振動する圧電素子を備え、進行波による圧電素子の振動によって水滴除去を行う装置である。本実施形態では、例えば、ジェット型ヘルメットのシールドに水滴除去装置を取り付けた場合について説明する。
図1は、水滴除去装置100をヘルメット200のシールド201に取り付けた状態を示した斜視図、図2は、加振器10の底面図、図3は、図2の加振器10の透過斜視図である。
水滴除去装置100は、ケース11内に収容された圧電素子(振動手段)1を有する加振器10と、携帯音楽機器20等から入力された音響信号や、進行波(単一周波数信号)を増幅させるアンプ部30と、音響信号と進行波とを自在に切り替えて、切り替えた信号に応じて圧電素子1を振動させるコントローラ(切替手段)40と、を備えている。なお、本実施形態では、二つの加振器10,10を有しており、シールド201の左右にそれぞれ取り付けられている。二つの加振器10,10は、いずれも同様の構成のため一方のみについて説明する。
【0010】
加振器10は、圧電素子1と、圧電素子1を収容するためのドーム状のケース11と、ケース11を、ヘルメット200のシールド201の曲面形状を有する設置面201aに接離可能に設けるためのバネ状のクリップ12と、を備えている。
【0011】
図4は、圧電素子1を示す斜視図である。
圧電素子1は、一定間隔を有し上下平行に配設された長方形状の金属板からなる2枚の基板2a,2bを有している。
各基板2a,2bには、基板2a,2bよりやや小さい長方形状のセラミック板3a,3b
がそれぞれ搭載されている。
セラミック板3bの上面にはクッション材8が貼着されている。このクッション材8は
、二枚の基板2a、基板2bとの距離を保つために設けられるものであり、クッション材8の上面は基板2aの裏面側に当接し、クッション材8の下面側は基板2b上のセラミック板3bに当接するように寸法設計される。また、クッション材8は、セラミック板3a,3bよりもさらに小さい長方形状をなし、発泡ゴム系からなるものが好ましい。なお、この例では、基板2a,2bの片面(上面)のみにセラミック板3a,3bをそれぞれ貼着しているが、基板2a,2bの上下面に計四枚のセラミック板を貼着するバイモルフとしても良い。
【0012】
基板2a,2bの一端部の間隙には、間隙保持部材4が配設されている。基板2aの上面には、上狭持部材5が設けられ、基板2bの下面には、下狭持部材6が設けられている。
間隙保持部材4、上狭持部材5及び下狭持部材5は、略矩形板状をなし、上狭持部材5、間隙保持部材4、下狭持部材6の順に厚さが厚くなっており、その幅及び長さは略等しい。これら間隙保持部材4、上狭持部材5及び下狭持部材6は、いずれも導通性を有する材料によって形成されている。具体的には、鉄、真鍮、アルミ、銅等が挙げられる。そして、上狭持部材5、下狭持部材6、間隙保持部材4及び基板2a,2bは、これらを貫く二本のネジN,Nによって締結されており、基板2aと基板2bとは一定間隔を有する片持梁状に支持されている。
【0013】
そして、この圧電素子1に後述のアンプ部30に接続されるプラスとマイナスの二本の電線が電気的に接続されている。ここでは図示しないが、一般的にプラス側の電線は基板上のセラミック板に直接半田付け等で接続される。そして、本実施形態においては、上狭持部材5の上面に、マイナス側の電線7が半田付けによって接続されている。ここで使用される電線7としては、一般的な銅線、又はスピーカ用の錦糸線等を用いることができる。
なお、ここでは電線7を上挟持部材5の上面に接続する構成としているが、これに限るものではない。上述したように、上挟持部材5、間隙保持部材4、下挟持部材6は全て導通性を有する材料によって形成されているため、これらの部材に電線7を接続することで同様の効果が得られる。例えば、間隙保持部材4や下挟持部材6に半田付けするような構成でも良い。また、このような圧電素子1は底板13に下挟持部材6を固定するが、この下挟持部材6と底板13とを一体成型し、底板部分に電線7を半田付けすることでも同様の効果が得られる。
また、プラスの電線とマイナスの電線7とは一束としてケーブル9aとされている。そして、シールド201の左右の圧電素子1からそれぞれ引き出されるケーブル9aが、一本のケーブル9bにまとめられて後述のアンプ部30に接続されている。
【0014】
このような圧電素子1では、上狭持部材5、間隙保持部材4及び下狭持部材6が導通性を有する材料によって形成され、上狭持部材5の上面に電線7が半田付けされているため、電線7と上狭持部材5とが電気的に接続されるとともに、上狭持部材5を介して、二枚の基板2a,2b、間隙保持部材4及び下狭持部材6が電気的に接続される。
【0015】
上述の圧電素子1が収容されたケース11は、図2〜図3に示すように、設置面201aの曲面形状に沿うように凹面とされた底板13を有している。底板13の上面には、下狭持部材5bが固着されている。また、底板13の下面には、底板13を設置面201a上に密着させるための貼付面が設けられている。底板13の上部には、圧電素子1を覆うキャップ14が設けられている。このように底板13とキャップ14とから構成されたケース11は、例えば樹脂又は金属等から形成されるが所要の硬度を有しかつ軽量であればよく、その材質は限定されない。
【0016】
ケース11には、弾性変形可能な金属や樹脂等の棒状部材を左右対称に折り曲げて一体に形成したクリップ12が取り付けられている。
クリップ12の左右一対の基部15,15の一端は、キャップ14の表面側からキャップ14内部に挿入され、キャップ14内部で固定されている。基部15,15の他端は下方に向かってL字状に曲折して延設され、狭持部16,16の一端と連結している。狭持部16,16は底板13の下方を底板13に沿って延設されており、この狭持部16,16の他端はそれぞれ押さえ部17の両端に連結されている。このような形状によって、押さえ部17と底板13との間に設置面201aを差し込めるようになっている。そして、狭持部16,16と底板13との間に設置面201aを挟み込み、押さえ部17で設置面201aを押さえることによって、加振器10は設置面201a上に固定されるようになっている。
【0017】
図1に示すように、上述の加振器10にケーブル9a(電線7)を介して電気的に接続されたアンプ部30は、入力された音響信号又は進行波を増幅するための電気的回路を有している。
また、アンプ部30は、ケーブル9cを介して携帯音楽機器20等に電気的に接続されている。そして、携帯音楽機器20等から発信される音響信号又は進行波がアンプ部30で増幅された後、圧電素子1に入力されて圧電素子1が振動する。
また、アンプ部30にはコントローラ40がケーブル9dを介して電気的に接続されている。
【0018】
図5は、コントローラ40の斜視図である。
コントローラ40は、音響信号又は進行波を自在に切り替えて圧電素子1へ出力するよう制御したり、携帯音楽機器20等のボリュームや、シールド201の左右に取り付けた圧電素子1から出力される音響信号の左右バランス等の調整を行う。
コントローラ40は、操縦者の片方の腕に挿入されるバンド41に固定して取り付けられている。そして、コントローラ40には、音響信号又は進行波の切替スイッチ42や、ボリューム調整スイッチ43、左右のバランス用スイッチ44等が設けられている。
【0019】
次に、水滴除去装置100の作用について説明する。
圧電素子1が収容されたケース11を、クリップ12によりシールド201の設置面201aを挟み込むことで設置面201a上に接離可能に設置する。ケース11の底板13は、設置面201aに沿うような凹面とされているため曲面形状を有する設置面201aに密着する。
ケース11に収容された圧電素子1は、先に述べたように、セラミック板に接続される図示しないプラス側の電線と上挟持部材5に接続されるマイナス側の電線7から入力される音響信号又は進行波に応じて振動する。
例えば、水滴除去を行う場合には、コントローラ40の切替スイッチ42を、進行波の出力がONとなるように切り替えることによって、進行波に応じて、下狭持部材6は、加振器10の底板13の上面に固着されているため、圧電素子1の振動は底板13を介して設置面201aに伝達されてヘルメット200のシールド201上に溜まった水滴が振り落とされて除去される。一方、音楽や音声を再生する場合には、コントローラ40の切替スイッチ42を、音響信号の出力がONとなるように切り替えることによって、音響信号に応じて、圧電素子1の振動が底板13を介して設置面201aに伝達されて音楽や音声が再生される。
【0020】
以上、本発明の第一の実施の形態によれば、音響信号又は進行波に応じて振動する圧電素子1を備え、進行波による圧電素子1の振動によって圧電素子1が設置されたシールド201の水滴除去を行うので、従来のように手動ワイパーや指先ワイパー等の手動による除去作業ではなく、圧電素子1による振動によって除去できることから、簡単かつ確実に水滴を除去することができる。
また、音響信号と進行波との切り替えを自在とするコントローラ40を備えているので、切替スイッチ42一つで音響信号と進行波とを切り替えでき、この点においても水滴除去作業が容易となる。したがって、操縦者は切替スイッチ42で圧電素子1への出力を進行波に切り替えるだけで良く、シールド上の水滴が除去される間も両手が自在となる。その結果、信号待ち等の限られた時間の中で、効率良く視界の改善が図れ、操縦者は精神的余裕及び安心感を得ることができる。さらに、両手が自由になることで、シールドの水滴除去を行いつつ、その間に手動で計器やミラー等の水滴除去を試みる等、他の作業もできるようになる。
また、雨天時以外のときのように、水滴除去を行わない場合には、コントローラ40の切替スイッチ42で圧電素子1への出力を音響信号に切り替えることにより、操縦者は音楽を楽しむことができる。
【0021】
ここで、水滴除去は進行波によって行うとしているが、当然音響信号によって得られる振動だけでも水滴除去の作用を得ることはできる。ただし、音響信号では再生される音楽のジャンルやパート(イントロ部分なのかサビ部分なのか等)、もしくは音量等によって振動部の振動の量や頻度が変化するため水滴除去の効率に大きな差が生じてしまう。そこで、必要に応じて安定した振動が得られる進行波(単一信号)へと切り替えることにより、安定した水滴除去作用を得ることができる。
【0022】
なお、上記第一の実施の形態における基板2a,2bは二枚であるとしたが、一枚や三枚以上であっても良く、また、上記第一の実施の形態では基板2a,2bを片持梁状に構成したが、基板の両端で支持されるように両持梁状に構成しても良い。
さらに、電線7と上狭持部材5とは半田付けによって接続するとしたが、その他に例えば、カシメやネジに巻きつけてねじ込むことによって接続しても良い。
【0023】
[第二の実施の形態]
図6は、ショーウィンドウガラス400に水滴除去装置300を取り付けた状態を示す斜視図、図7は、加振器50の中央部分を切断した概略構成を示す斜視図である。
第二の実施の形態では、上記第一の実施の形態のように圧電素子1を用いた加振器10の代わりに、永久磁石51を含む磁気回路(振動手段)52と、この磁気回路52に形成された磁気空隙S内に配置されたボイスコイル(振動手段)53とを有し、音響信号又は進行波に応じて磁気回路52が振動するような、ムービングマグネットを用いた加振器50を使用する。なお、第二の実施の形態における水滴除去装置300において、圧電素子1の代わりにムービングマグネットを使用した以外は、上記第一の実施の形態と同様の構成で、上記携帯音楽機器20、アンプ部30、コントローラ40と同様の携帯音楽機器20A、アンプ部30A、コントローラ40Aを備えている。なお、図5中、符号403は、ショーウィンドウガラス400の前に並べられた商品(例えば、携帯電話)を示している。
【0024】
図6〜図7に示すように、加振器50は略円盤状のものであり、磁気回路52と、ボイスコイル53と、磁気回路52及びボイスコイル53が収容されるケース54等、を備えている。
ケース54は、有底円筒状のケース本体55と、ケース本体55の開口部を塞ぐベース板56とによって構成されている。ケース本体55に永久磁石51を含む磁気回路52やボイスコイル53が収容されている。具体的には、ケース本体55の底部には円板状の固定部55aが突出形成され、この固定部55aに円板状の永久磁石51が設置固定されている。永久磁石51には円板状の内プレート64が設置固定されている。
一方、ケース本体55の内周面にはリング状の外プレート57が内プレート64との間に磁気空隙Sを隔てて固定されている。この磁気空隙S内に筒状のボイスコイル53が配置されている。なお、磁気回路52は永久磁石51、内プレート64、外プレート57によって構成されている。
【0025】
ボイスコイル53の外周部には、リング状のダンパー58,59がボイスコイル53の軸方向に離間して取り付けられており、これらダンパー58,59の外周部はケース本体55の内面に固定されている。これによって、ボイスコイル53は磁気空隙S内の所定位置をずれることなく保持されている。なお、ダンパー58,59には周方向および径方向に所定間隔でスリットが形成されている。
また、ボイスコイル53の一端部(図7において上端部)は、ベース板56の下面に突設された円板状の凸部56dに外側から嵌め込まれ、これによって、ボイスコイル53はベース板56に接続されている。
【0026】
また、ケース本体55の開口内周部と、ベース板56の外周部との間には弾性部材で形成されたリング状のパッキン60が設けられている。このパッキン60によってケース本体55内への塵の侵入を防止している。
なお、ボイスコイル53に音響信号を入力するプラスとマイナスの二本の電線(ここでは、一本の電線61のみ示す)は、ケース本体55の上端部に形成された溝62からケース本体55内に挿入され、ボイスコイル53の巻き線に接続されるようになっている。
また、プラスとマイナスの二本の電線は一束として絶縁膜で被覆されてケーブル63とされ、後述のアンプ部30Aに接続されている。
なお、ボイスコイル53の巻き線は、2層、1回路としているが、L/R信号を混合して音楽再生する場合は、巻き線を4層、2回路とすればよい。
【0027】
ベース板56の上面56aは、取付対象物であるショーウィンドウガラス400の設置面401に密着する形状に形成されている。例えば、設置面401が凸曲面形状である場合、上面56aは凹曲面形状に形成されている。
ここで、ベース板56は金属や硬質樹脂等の硬い素材で形成され、ショーウィンドウガラス400もガラスで形成されているため、ベース板56の上面56aとショーウィンドウガラス400の設置面401とを完全に密着させることは難しいことから、ベース板56の上面56aには、ショーウィンドウガラス400の設置面401に密着するための、例えば柔軟性を有する両面接着テープ(図示しない)等が接着されている。
【0028】
次に、上記水滴除去装置300の作用について説明する。
磁気回路52及びボイスコイル53が収容されたケース54を、両面接着テープによって、ベース板56の上面56aがショーウィンドウガラス400の設置面401に密着固定する。
ケース55に収容された磁気回路52は、プラス側及びマイナス側の電線61から入力される音響信号又は進行波に応じて振動する。例えば、水滴除去を行う場合には、コントローラ40Aの切替スイッチ42Aを、進行波の出力がONとなるように切り替えることによって、進行波に応じて、磁気回路52の振動がベース板56の上面56aを介してショーウィンドウガラス400の設置面401に伝達されて、ショーウィンドウガラス400に付着した水滴が振り落とされて除去される。一方、音楽や音声を再生する場合には、コントローラ40Aの切替スイッチ42Aを、音響信号の出力がONとなるように切り替えることによって、音響信号に応じて、磁気回路52の振動がベース板56を介して設置面401に伝達されて音楽や音声が再生される。
【0029】
以上、本発明の第二の実施の形態によれば、永久磁石51を含む磁気回路52と、この磁気回路52に形成された磁気空隙S内に配置されたボイスコイル53とを有し、音響信号又は進行波に応じて磁気回路52が振動し、進行波による磁気回路52の振動によって、磁気回路52が設置されたショーウィンドウガラス400における水滴除去を行うので、従来のように手動ワイパーや指先ワイパー等の手動による除去作業ではなく、磁気回路52による振動によって除去できることから、簡単かつ確実に水滴を除去することができる。
また、音響信号と進行波との切り替えを自在とするコントローラ40Aを備えているので、切替スイッチ42A一つで音響信号と進行波とを切り替えでき、この点においても水滴除去作業が容易となる。
また、水滴除去を行わない場合には、コントローラ40Aの切替スイッチ42Aで磁気回路52への出力を音響信号に切り替えることにより、店舗に並べられた商品403等の説明の音声や音楽等を流すことができる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第一の実施の形態では加振器10をヘルメット200のシールド201の左右に取り付ける場合、第二の実施の形態では加振器30をショーウィンドウガラス400に取り付ける場合について説明したが、これらに限られるものではなく、水滴を除去したい箇所に適宜設置して使用することができ、例えば、自動二輪車のカウルや、動物園のガラスで仕切られた獣舎等にも取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】水滴除去装置100をヘルメット200のシールド201に取り付けた状態を示した斜視図である。
【図2】加振器10の底面図である。
【図3】図2の加振器10の透過斜視図である。
【図4】圧電素子1を示す斜視図である。
【図5】コントローラ40の斜視図である。
【図6】ショーウィンドウガラス400に水滴除去装置300を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】加振器50の中央部分を切断した概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 圧電素子(振動手段)
40,40A コントローラ(切替手段)
52 磁気回路(振動手段)
53 ボイスコイル(振動手段)
100,300 水滴除去装置
201a,401 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に設置されて、音響信号又は進行波に応じて振動する振動手段を備え、
前記振動手段の振動が前記設置面に伝達されて水滴除去を行うことを特徴とする水滴除去装置。
【請求項2】
前記振動手段は、圧電素子を有し、音響信号又は進行波に応じて前記圧電素子が振動することを特徴とする請求項1に記載の水滴除去装置。
【請求項3】
前記振動手段は、永久磁石を含む磁気回路と、この磁気回路に形成された磁気空隙内に配置されたボイスコイルとを有し、音響信号又は進行波に応じて前記磁気回路が振動することを特徴とする請求項1に記載の水滴除去装置。
【請求項4】
前記音響信号と前記進行波とを切り替え自在とし、前記振動手段を振動させる切替手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水滴除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284954(P2008−284954A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130496(P2007−130496)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】