説明

水漏出防止具、サクソフォーン及び管楽器

【課題】使用中にマウスピース、ネック及び二番管の上部などで生じた水がトーンホールから外側に漏出することを抑制できるサクソフォーン用水漏出防止具又はサクソフォーンその他の楽器を提供する。
【解決手段】ベル11と接続した略U字状の一番管13と、一番管13と接続した二番管15と、マウスピース21と、ネック17とを備えたサクソフォーンであって、マウスピース21と一番管13との間に、吹き込まれた息中の水分を付着させて二番管内の所定方向に案内する水案内手段40を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルと接続された略U字状の一番管を備えたサクソフォーン、その他の管楽器と、これらに装着可能な水漏出防止具とに関する。
【背景技術】
【0002】
カーブドソプラノサクソフォーン、アルトサクソフォーン、テナーサクソフォーンなどのように、ベルと接続された略U字状の一番管と、一番管と接続されてマウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えたサクソフォーンでは、マウスピースが演奏者側に配置されると共にベルが前方側に配置され、二番管が鉛直方向よりネック側が若干前方に傾斜して配置された状態で、長時間演奏されることが多い。
【0003】
このようなサクソフォーンでは、マウスピースへ息を吹き込みつつ多数の指貝やレバーを操作することで、二番管や一番管に多数設けられているトーンホールを開閉して所望の楽曲が演奏される。
【0004】
演奏時には、リードからマウスピースへ吹き込まれた息はネックを経由して二番管に流入する。息には水蒸気が含まれているため、吹き込まれた息はサクソフォーン内で凝縮して水が生成される。凝縮により生じた水は、一番管に徐々に溜まるため、演奏途中や演奏後に、例えば楽器を傾けてベルから排出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マウスピースやネック、或いは二番管の上部で凝縮により生じた水は、水滴となって二番管の内壁面に付着して重力により流下するが、二番管のトーンホールの開口に到達すると、トーンホールの開口が開放或いは半開放された際、二番管の外側に漏出する。
【0006】
例えばトーンホールの開口やその付近に水滴が存在したり、滞留した状態で、トーンホールが開放或いは半解放することで、トーンホールから噴出される気流と共に水が外部に噴出する。特に、二番管のネック側で前方側に設けられているhigh F、highE♭、highDのトーンホールでは、例えば吹き込まれた息により水滴が前方側へ移動し易いこともあって水が漏出し易い。
このような水の漏出は他の管楽器でも生じることがある。
【0007】
息が凝縮することで生じた水が、サクソフォーンの外側に流出すると、例えば、指貝やレバー等が濡れて、サクソフォーンを支持する手や指が滑り易くなったり、演奏者の衣服を濡らしたりするなど、演奏環境を悪化させ易い。
また、トーンホールを開閉するタンポに水が付着することで、タンポが劣化したり、タンポがトーンホールに付着したりして、開く方向に付勢されているタンポなどでは、指貝やレバーを操作してもタンポが付着したままで、トーンホールが開かないなど、演奏の障害が生じる。
しかも、サクソフォーンの表面の水による汚れや、タンポ、メッキの劣化が生じたり、錆を誘発し易くなるため、メンテナンスの回数が増加したり、タンポや楽器の寿命が短くなるなど、耐久性を低下させ易い。
なによりも、演奏者に対する精神的なストレス負担が大きい。
【0008】
そこで、本発明は、使用中にマウスピース、ネック及び二番管の上部などで生じた水がトーンホールから外側に漏出することを抑制できる水漏出防止具、サクソフォーン、その他の管楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するサクソフォーン用水漏出防止具は、ベルと接続された略U字状の一番管と、一番管と接続され、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えたサクソフォーンに対して装着される水漏出防止具であり、マウスピースと一番管との間に装着され、吹き込まれた息中の水分を付着させて、トーンホールの開口とは異なる位置の管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴としている。
上記目的を達成する管楽器用水漏出防止具は、トーンホールを有すると共に縦に配置されて吹き込まれた息が上側から流入する管体を備えた管楽器に対して装着可能な管楽器用水漏出防止具であり、管体に装着され、吹き込まれた息中の水分を付着させて、トーンホールの開口とは異なる位置の管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するサクソフォーンは、ベルと接続された略U字状の一番管と、一番管と接続され、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えたサクソフォーンにおいて、マウスピースと一番管との間に、吹き込まれた息中の水分を付着させて、トーンホールの開口とは異なる位置の管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴としている。
上記目的を達成する管楽器は、トーンホールを有すると共に縦に配置されて吹き込まれた息が上側から流入する管体を備えた管楽器において、管体に、吹き込まれた息中の水分を付着させて、トーンホールの開口とは異なる位置の管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水漏出防止具によれば、サクソフォーン又はその他の管楽器に装着すると、息中の水分が付着して流下する水案内手段が、トーンホールの開口とは異なる位置の管体内部に水を流下させるように配置されるので、使用中にマウスピースへ吹き込まれた息中の水蒸気が凝縮して生じる水を、水案内手段に付着させて流下させることができ、トーンホールの開口に到達する水を少なく抑えたり、無くすことができる。そのため、使用中に内部からトーンホールの開口を通して外側に水が漏出することを抑制したり、防止することが可能である。
【0012】
本発明のサクソフォーン又は管楽器によれば、吹き込まれた息中の水分を付着させて、トーンホールの開口とは異なる位置の管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えているので、使用中にマウスピースへ吹き込まれた息中の水蒸気が凝縮して生じる水を、水案内手段により案内して流下させることができる。そのため、トーンホールの開口に到達する水を少なく抑えたり、無くすことができ、使用中にトーンホールの開口を通して外側に水が漏出することを抑制したり、防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るサクソフォーンの概略正面図である。
【図2】実施の形態1に係るサクソフォーンの概略側面図である。
【図3】実施の形態1に係る二番管の部分縦断面図である。
【図4】(a)は実施の形態1に係るサクソフォーン用水漏出防止具の装着状態を示す部分縦断面図、(b)はそのサクソフォーン用水漏出防止具の装着前を示す正面図、(c)はそのサクソフォーン用水漏出防止具の装着時の斜視図、(d)は実施の形態1の変形例を示す正面図である。
【図5】(a)は実施の形態2に係るサクソフォーン用水漏出防止具の装着前を示す正面図、(b)はそのサクソフォーン用水漏出防止具の斜視図、(c)はそのサクソフォーン用水漏出防止具を装着したサクソフォーンを展開した状態を示す図である。
【図6】実施の形態3に係るサクソフォーンの部分縦断面図である。
【図7】実施の形態4に係るサクソフォーンの部分縦断面図である。
【図8】(a)乃至(d)は実施の形態4に係るサクソフォーンの変形例を示す部分縦断面図である。
【図9】(a)は実施の形態5のサクソフォーンの部分縦断面図、(b)は実施の形態6のサクソフォーンの二番管の縦断面図である。
【図10】(a)は実施の形態7のサクソフォーンの部分縦断面図、(b)は実施の形態7の筒状体の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1乃至図10を参照して本発明の幾つかの実施の形態について説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
サクソフォーン10は、図1及び図2に示すように、ベル11と、ベル11の下端に接続された略U字状の一番管13と、一番管13のベル11とは他端側に接続された略直線テーパ形状の二番管15と、二番管15の上端に接続されて略へ字形状に湾曲したネック17と、ネック17に接続されてリード19が装着されたマウスピース21とを備える。
【0016】
一番管13及び二番管15の側面には、ソルダードタイプ又はドローンタイプの多数のトーンホール23が図3に示すように開口して設けられており、各トーンホール23の周壁が一番管13又は二番管15の外表面から外側に突出して形成されている。各トーンホール23は、一番管13及び二番管15の周方向の一定位置ではなく、操作上及び外観意匠上などの理由で、それぞれ異なる向きに設けられている。
各トーンホール23のそれぞれに対応する位置には、レバー25や指貝27等により操作可能なタンポ29が装着されており、各トーンホール23を開放、半開放及び閉塞可能となっている。
【0017】
この実施の形態のサクソフォーン10には、ネック17と二番管15との接続部位及びその近傍にサクソフォーン用水漏出防止具30が装着されている。サクソフォーン用水漏出防止具30は、図4(a)に示すように、ネック17と二番管15との接続部位において、ネック17と隣接する二番管15の内壁面を被覆する被覆部材33aと、ネック17と二番管15との接続部位において、ネック17の端部の内壁面を被覆する被覆部材33bとを備える。これらの被覆部材33a,33bは何れか一方のみを装着してサクソフォーン用水漏出防止具として使用することが可能である。
【0018】
被覆部材33a,33bは、それぞれネック17や二番管15の内壁面を覆う部材であればよいが、好ましくは内壁面に密着できる部材であるのが好適である。具体的には、被覆部材33a,33bの材質は、樹脂、ゴム、皮革、金属などの被膜や薄肉のフィルム、シート、板などが挙げられ、特に、弾性変形可能な材料からなるシートや薄板であれば、各内壁面に弾性力により装着でき、しかも装着が容易であるため好適である。
【0019】
被覆部材33a,33bの材料の硬さを選択することで、サクソフォーン10の音質を適度に変化させることが可能であるため、被覆部材33a,33bの材料は所望の音質となるように選択することが好適である。この実施形態では、被覆部材33a,33bが何れも板バネなどに使用される弾性を有する薄肉金属板からなるものを用いている。
【0020】
被覆部材33a,33bの少なくとも内側表面、好ましくは全表面は、それぞれ装着されるネック17又は二番管15の内壁面より高い親水性を有するのが好ましい。その場合、被覆部材33a,33bの材料自体がネック17又は二番管15の内壁面より高い親水性を有する材料である場合を除き、被覆部材33a,33bの表面に親水性処理を施して親水性処理面を形成することが好適である。親水性処理は、処理前よりも親水性を向上できる処理であれば特に限定されるものではないが、例えば、超親水性塗料を塗布するなどにより行ってもよい。親水化処理された被覆部材33は、水分が付着し易くなることで、表面に大きな水滴を形成し難くでき、これにより、後述するように、大きな水滴がトーンホールから一気に流れ出ることを防止でき、また、水を案内して流下し易くできる。
【0021】
被覆部材33aは、二番管15の内表面を被覆するもので、図4(b)に示すように、薄肉金属板からなり、二番管15の各トーンホール23に対応する位置に、トーンホール23の開口以上の大きさの貫通孔からなる逃げ開口41を有する。
この被覆部材33aは、図4(c)に示すように、弾性変形させて略筒状の形状に変形された状態で二番管15の内壁面に配置されている。装着状態で周方向の両端縁間が離間しており、その間隙がオクターブキーのホール23に対応する二番管15内側への突出部分43の直径に対応した幅となっている。両端縁間に突出部分43が配置されることで、被覆部材33aの周方向位置が設定でき、各逃げ開口41を各トーンホール23の位置に対応させることが容易になっている。
【0022】
薄肉金属板からなる被覆部材33aは、テーパ形状を有する二番管15の各位置の内周長さから突出部分43の直径を減じた横幅を有する。被覆部材33aの長さは、ネック17の下端から、二番管15の上側に配置されたトーンホール23の1乃至複数個より下方の位置まで到達する長さとなっている。
この長さをネック17の下端からG♯のトーンホール23下までの距離、或いは左手トーンホール23の全ての位置より下までの距離に対応する長さとしてもよいが、少なくともネック17の下端からhightFのトーンホール23b下の位置、或いはhightE♭のトーンホール23c下の位置までの距離に対応する長さとすることが好ましい。
この実施の形態の場合、hightF♯、hightF、hightE♭、hightDのトーンホール23a,23b,23c,23dの下側までの長さに形成され、各トーンホール23a〜23dに対応する逃げ開口41が設けられている。
【0023】
このような被覆部材33aをサクソフォーン10に装着するには、ネック17を二番管15から離脱させ、被覆部材33aを二番管15の上端の内径より小さく円筒形状に縮小して二番管15の内部に挿入し、ネック17側の二番管15のトーンホール23a,23b,23c,23dの位置に逃げ開口41を対応させる。その後、弾性力により外径を拡大させて、被覆部剤33aの外表面を二番管15の内壁面に圧接させた状態で、ネック17と二番管15とを接続する。これにより、被覆部材33aを二番管15の内壁面に固定して装着する。
【0024】
挿入時には、変形された被覆部材33aの周方向両端縁間に突出部分43を配置させて内部へ挿入することで、突出部分43に両側縁が案内されるため、被覆部材33aの周方向の位置を位置合わせすることができる。また、上端縁をネック17の下端に略一致させることで、上下方向の位置を位置合わせすることができる。
【0025】
次に、被覆部材33bは、ネック17の内表面を被覆するもので、図4(b)に示すように、被覆部材33bより長さが短く、横幅が広い帯状の薄肉金属板からなる。被覆部材33bは、図4(c)に示すように、弾性変形させて円筒状の形状に変形された状態でネック17の内壁面に配置されている。この被覆部材33bの横幅は、ネック17の内周長より長く形成されているのが好ましく、例えば、ネック17の内周長1倍より大きく1.5倍以下程度としてもよい。ネック17の内周長より短いと、装着状態で被覆部材33bで被覆されない部位が縦方向の隙間として形成されるため、水が集まり易くてトーンホール23からの水の漏出を防止し難くなる場合があるからである。
【0026】
このような被覆部材33bをサクソフォーン10に装着するには、ネック17を二番管15から離脱させた状態で、被覆部材33bをネック17の端部内径より小さく縮小し、ネック17の内部に挿入し、解放して弾性力により外径を拡大させ、外表面をネック17の内壁面に弾性力により圧接させる。そして、ネック17を二番管15に接続することで、装着が完了する。
【0027】
被覆部材33a,33bをそれぞれの位置に装着したサクソフォーン10を用いて演奏するには、装着しない状態と何ら異なることなく使用すればよい。
【0028】
演奏時には、リードからマウスピースへ息が吹き込まれ、マウスピース21やネック17の内部では、息に含まれる水蒸気が凝縮して水滴が生成される。被覆部材33bより上部の内壁面で水滴が生成した場合、重力により流下してネック17と二番管15との接合部位の被覆部材33bに到達する。被覆部材33bはネック17の内壁面より親水性が高いため、水滴が被覆部材33bに広がるように付着して保持される。
【0029】
被覆部材33a,33bの内表面で息に含まれる水蒸気が凝縮した場合、被覆部材33a,33bがネック17や二番管15の内壁面より親水性が高いため、そのまま被覆部材33a,33bに広がるように付着して保持される。
【0030】
被覆部材33a,33bに保持された水の量が増加すると、被覆部材33a,33bの表面上を流下する。このとき、被覆部材33bでは、親水性が高い分、水が広がり大きな水滴が形成されずに二番管15側へ流下することができる。また、被覆部材33aでは、二番管15の内壁面より親水性が高いため、水が被覆部材33aの表面に沿って流下し易く、水が逃げ開口41からトーンホール23側へ移動することが防止される。その結果、二番管15の上部側のhightF♯、hightF、hightE♭、hightDのトーンホール23a,23b,23c,23dに大きな水滴が到達せずに、一番管13側へ水が流下することができる。なお、二番管15の内部を流下した水は一番管13に徐々に溜まり、演奏途中や演奏後に排出される。
【0031】
以上のようなサクソフォーン10によれば、サクソフォーン用水漏出防止具30が内部に装着されることで、二番管15のトーンホール23の開口以外の位置に配置された被覆部材33に息中の水分が付着して流下し易くなるので、マウスピース21へ吹き込まれた息中の水蒸気が凝縮して生じる水が、大きな水滴となって二番管15のトーンホール23の開口に到達することを少なく抑えたり、無くすことができる。
そのため、使用中にサクソフォーン10の内部からトーンホール23の開口を通して外側に水が漏出することを抑制したり、防止することが可能である。特に、二番管15の上端側に設けられているトーンホール23を開いた際、トーンホール23から噴出される気流により大きな水滴が一気に流れ出ることを防止することができる。
しかも、このように装着していても、サクソフォーン10の音に対する悪影響はなく、何ら問題なく演奏することが可能である。
【0032】
また、水案内手段である被覆部材33a,33bがネック17の内壁面に弾性力により係止可能なものであるので、容易にネック17や二番管15の内壁面に装着することができ、装着及び取外し操作が容易である。
【0033】
なお、上記実施の形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記では、被覆部材33aとして、オクターブキーのホール23に対応する二番管15内側への突出部分43を利用して周方向の位置合わせが可能な幅に規定したが、特に限定されるものではなく、例えば二番管15の内壁面全周を被覆する幅に形成して、オクターブキーの突出部分43に対応する部位に括れ部分を設けてもよい。
【0034】
さらに、二番管15の内壁面の周方向の一部のみを被覆する幅に形成することも可能であり、例えば、図4(d)に示すように、水が漏出し易いhightF、hightE♭、hightDのトーンホール23b,23c,23dが開口している付近の二番管15の一部分の内壁面を被覆する幅とし、各トーンホール23b,23c,23dに対応する逃げ開口41を設けて用いることも可能である。その場合、例えば、図4(d)に示すように、被覆部材の幅方向の全長を長く確保するために、二番管15のトーンホール23が設けられていない内壁面に延びる延長部を設けることも可能である。
【0035】
このような被覆部材33aであっても、上記と同様に、被覆部材33aを二番管15の上端の内径より小さくなるように湾曲させて二番管15の内部に挿入し、ネック17側の二番管15のトーンホール23a,23b,23c,23dの位置に逃げ開口41を対応させることで二番管15の内壁面に装着することができる。その際、各逃げ開口41とトーンホール23との位置を合わせるには、例えば指で両者の位置を確認することで行うことができる。
【0036】
そして、このような被覆部材33aであっても、上記と異なることなく使用でき、被覆部材33aの内表面に付着した水が被覆部材33aの表面に沿って流下し、トーンホール23から流出することを防止できる。
【0037】
上記実施の形態では、他にも本発明の範囲内において適宜変更が可能であり、例えば上記では水案内手段が被覆部材33a,33bのみからなる例について説明したが、他の実施の形態に係る水案内手段と共に用いることも可能である。
上記では、被覆部材33が平板状に形成されている例について説明したが、予め湾曲形状に形成されたものであってもよく、装着前の形状は特に限定されない。
上記では、被覆部材33a,33bが別部材に形成された例について説明したが、連続した一枚の板により一体に形成されていてもよい。また、被覆部材33bを用いずに、二番管15内に被覆部材33aを装着するだけであってもよい。被覆部材33a,33bの装着位置も、適宜変更することが可能であり、ネック17と二番管15との接続部位に限られることなく、接続部位の近傍の各内壁面に装着していてもよい。
【0038】
上記では、被覆部材33aの表面全体に親水性処理を施したが、表面の一部に親水性処理を施したものであってもよい。例えば、各逃げ開口41の周囲に親水性処理を施さず、各逃げ開口41の周囲の親水性を低下させておくことも可能である。
また、被覆部材33aの表面の一部に親水性処理を施し、他の一部に撥水性塗料を塗布するなどの撥水性処理を施すことも可能である。
【0039】
[第2の実施の形態]
図5(a)〜(c)は、第2の実施の形態のサクソフォーン用水露出防止具30を示す。この実施の形態に係るサクソフォーン用水露出防止具30は、図5(a)に示すように、ネック17と二番管15との接続部位に固定可能な固定部47と、固定部47に連結されて、二番管15内に吊下可能な水案内手段としての吊下部材49とを有する。
【0040】
固定部47は、サクソフォーン10の内壁面に弾性力により係止可能な弾性板材からなり、例えば上述の被覆部材33bと同様の材料により、同様の形状で形成されていてもよい。
一方、吊下部材49は、例えば引張バネのように、螺旋状に巻回された線状部材51を3方向にY字状に分岐して形成されている。分岐されたうちの1方向の線状部材51の下端部に、線状部材51を重力により適度に引き延ばして配置するための錘53が固定されている。錘53としては、例えばゴムなどからなるものであれば、サクソフォーン10の内表面の傷を防止できて好適である。
【0041】
錘53が固定されていない2本の線状部材51は、固定部47の上縁側において互いに離間した2カ所から下方側ほど幅が狭くなるように固定されている。分岐部分より上方の2本の線状部材51が下側ほど幅が狭くなるように固定されることで、線状部材51間の固定部に付着した水が流下する際、分岐部分に水を集合させ易くしている。
【0042】
錘53が固定されている線状部材51の下端は、少なくともBのトーンホール23eより下側、好ましくはGのトーンホール23fより下側、より好ましくはG♯のトーンホール23gより下側となるのが好ましい。Bのトーンホール23e、Gのトーンホール23f、G♯のトーンホール23gは何れも演奏中に水の漏出が起こり易いトーンホール23であり、これらのトーンホール23より下まで水を案内できれば、水の漏出を防止し易くできる。
【0043】
2方向の線状部材51の分岐部分は、好ましくは正面中心線Lf上または、その近傍に配置されることが好適である。ここで、正面中心線Lfとは、二番管15にベル11及び一番管13やネック17を接続した状態で、ネック17の中心軸の延長が、二番管15の前方側の内表面に到達する点を通り二番管15の中心軸と平行な線である。この正面中心線Lfは、演奏者のサクソフォーン10の支持状態に応じて多少の差はあるものの、略同一と見なすことができる。
【0044】
このサクソフォーン用水露出防止具30をサクソフォーン10に装着するには、まず、ネック17を二番管15から離脱させた状態とし、固定部47をネック17の下端側の内径又は二番管15の上端側の内径より小さい径に縮小し、ネック17又は二番管15の内部に挿入する。このとき線状部材51の分岐部分が正面中心線Lf上又はその近傍に配置されるようにする。
その後、固定部47を解放すると、弾性力により外径が拡大し、外表面がネック17の内壁面又は二番管15の内表面に弾性力で圧接して固定される。一方、二番管15内に錘53及び錘53が固定された線状部材51を挿入し、二番管15にネック17を接続することで装着を完了する。
【0045】
サクソフォーン用水露出防止具30が装着された状態を図5(b),(c)に示す。図5(b)では、二番管15を省略して示しており、図5(c)では、二番管15を展開した状態を示している。図中、二番管15の左右両縁は連続している。
【0046】
このようなサクソフォーン用水露出防止具30が装着されたサクソフォーン10では、マウスピース21及びネック17内で凝集した水が固定部47の表面で重力により流下すると、分岐された線状部材51により分岐部分に集まり易い。そのため、この水が、錘53を固定して一番管13側へ吊下されている線状部材51に付着することで、その線状部材51を伝わって流下することができる。
そのため、これらの水が、二番管15のネック17側のhightF及びhightE♭のトーンホール23b,23c、更には二番管15の左手トーンホール23に到達し難くなり、各トーンホール23から漏出する水の量を少なく抑えたり、無くすことが可能である。しかも、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。
【0047】
なお、上記実施の形態では、水案内手段が二番管15内に吊下された吊下部材49のみからなる例について説明したが、他の実施の形態に係る水案内手段40と共に用いることも可能である。
上記では、固定部47に設けられた水集合部は、吊下部材49の2方向の線状部材51により形成したが、特に限定されるものではなく、例えば固定部47に樹脂等により、下側ほど離間幅が狭くなるように内側に突出させて設けた筋状突起により形成することも可能である。
上記では、線状部材51を、引張バネのように螺旋状に巻回されたものを用いたが、特に限定されるものではなく、棒状体、板状体等のように変形不能なものであっても使用可能であるが、変形可能であって水を付着させることが可能な長尺部材であれば、上記と同様に二番管15内に吊り下げてサクソフォーン用水露出防止具として使用することが可能である。
【0048】
さらに、上記では線状部材51の分岐部分を二番管15のトーンホール23より上側に設けたが、水集合部を二番管15に設けられた上方のトーンホール23より下側に設け、分岐部分までの線状部材51をそれぞれトーンホール23に対して異なる側に配置されるように設けることも可能である。また、1本の線状部材51の一端側を固定部47に固定し、他端側に錘53を固定して構成することも可能である。さらに4方向以上に分岐した線状部材51を用い、3方向以上の線状部材51により水集合部を形成することも可能である。
【0049】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、水案内手段が設けられたサクソフォーン10の例を示す。ここでは、二番管15の一部又は全てのトーンホール23に水案内手段40が設けられている。例えば、hightF、hightE♭、hightDのトーンホール23b,23c,23dに設けていてもよい。
【0050】
具体的には、水案内手段40は、図6に示すように、二番管15の一部又は全てのトーンホール23がソルダードタイプで形成されており、トーンホール周壁55が二番管15の内壁面から内側に突出して設けられることで、開口周囲を囲む突出壁57が形成されている。このサクソフォーン10では、突出壁57を除く二番管15の内壁面の一部又は全体が、例えば親水性処理面とされることで、突出壁57より親水性に形成されていてもよい。
【0051】
このようなサクソフォーン10では、使用時にマウスピース21、ネック17、二番管15の上方側で、凝縮などにより生じた水滴が二番管15の内壁を伝って流下すると、突出壁57に到達した際、突出壁57の外周囲を伝って一番管13側に流下することができる。そのため、流下した水滴が各トーンホール23の開口内に流入することを防止し易く、各トーンホール23から外部に漏出する水を抑制したり、無くすことが可能である。
【0052】
なお、上記実施の形態でも、水案内手段として突出壁57のみを設けた例について説明したが、他の実施の形態に係る水案内手段40と共に用いることも可能である。
【0053】
[第4の実施の形態]
この第4の実施の形態は、水案内手段が設けられたサクソフォーン10の例であり、二番管15の一部又は全てのトーンホール23に水案内手段40が設けられている。例えば、hightF、hightE♭、hightDのトーンホール23b,23c,23dに設けていてもよい。
【0054】
具体的には、水案内手段40は、図7に示すように、二番管15の一部又は全てのトーンホール23のトーンホール周壁55が二番管15の軸線Lsに対して傾斜して設けられており、各トーンホール23の頂部側が上部に傾斜している。ここでは、トーンホール23の頂部周縁は二番管15の軸線Lsと平行な平面上に形成されており、頂部の開口が楕円形状となっている。
【0055】
このようなサクソフォーン10では、使用時にマウスピース21、ネック17、二番管15の上方側で、凝縮などにより生じた水滴が二番管15の内壁を伝って流下した際、各トーンホール23の開口まで到達すると、各トーンホール周壁55が傾斜しているため、水滴がトーンホール23内を頂部側に向けて流動することなく、確実に一番管13側へ流下させることができる。
そのため、流下した水滴が各トーンホール23の開口内に流入することを防止し易く、各トーンホール23から外部に漏出する水を抑制したり、無くすことが可能である。しかも、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。
【0056】
なお、上記実施の形態でも、水案内手段として傾斜したトーンホール周壁55のみを設けた例について説明したが、他の実施の形態に係る水案内手段40と共に用いることも可能である。例えば、図8(a)に示すように、トーンホール23をソルダードタイプで形成し、トーンホール23の頂部側が上部となるように傾斜して設けられたトーンホール周壁55とし、更に、トーンホール周壁55が二番管15の内壁面から内側に突出して設けられることで、開口周囲を囲む突出壁57を形成してもよい。ここでは、頂部の周縁が二番管15の軸線Lsに平行な平面上に形成されており、突出部57の内側端部が尖った形状とならないように周縁が軸線Lsに対して傾斜するように形成されている。
【0057】
各トーンホール23の形状は、適宜選択可能であり、例えば図8(b)に示すように、ソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55において、二番管15の内壁面から内側に突出して設けられた突出壁57の内側端の周縁を二番管15の軸線Lsに平行な平面上に形成し、頂部及び内側端の開口を楕円形状に形成してもよい。また、図8(c)に示すように、ソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55の端部を二番管15の壁面より内側に突出させることなく、二番管15の軸線Lsに対して傾斜して設け、頂部側を上部に傾斜させてもよい。
【0058】
さらに、図8(d)に示すように、ソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55の頂部周縁を、二番管15の軸線Lsと平行な平面上に形成するのではなく、トーンホール周壁55と直交する面上に形成してもよい。その場合、レバー27により支持されたタンポ29を、トーンホール23の頂部の向きに一致するように傾斜して設け、トーンホール23の開口をタンポ29により開閉できるようにすることもできる。
このようにすれば、トーンホール23の頂部の開口が楕円形ではなく、略円形に形成できるため、開閉時の違和感などを少なく抑えることができる。
また、この図8(d)に示すソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55において、図8(c)に示すトーンホールと同様に、端部を二番管15の壁面より内側に突出させることなく設けることも可能である。
【0059】
[第5の実施の形態]
この第5の実施の形態は、水案内手段が設けられたサクソフォーン10の例であり、ネック17と二番管15との接合部位及び二番管15の内壁面に溝を設けた例である。
図9(a)はネック17と二番管15との接合部位を示し、図9(b)は二番管15の内部を展開した状態を示している。
【0060】
この実施の形態に係るサクソフォーン10では、水案内手段として、ネック17の二番管15との接合部位において、マウスピース21とは反対側の正面側の約半周部分に、図9(a)に示すような段差凹部59が形成されると共に、二番管15の正面側の内壁面には段差凹部59と連続する位置に溝61が形成されている。
【0061】
ネック17の段差凹部59は、略逆三角形状を呈し、正面中心線Lfの部位では下端側に解放した溝状に形成されている。段差凹部59の深さは特に限定されるものではないが、少なくともネック17と二番管15とを接続した状態で十分な使用強度が確保できる深さであるのが好ましいと共に、使用時のサクソフォーンの配置状態で、マウスピース21及びネック17の上部側で生成された水が流入した際、段差凹部59の下部側の段差により水が案内されて、下端側の溝状の部位に流動可能な程度の深さであるのが好ましい。
【0062】
さらに、段差凹部59の下部側の勾配は、特に限定されるものではないが、使用時のサクソフォーンの配置状態で、マウスピース21及びネック17の上部側で生成された水が段差凹部59内に流入した際、下部側の勾配に沿って流下可能な傾斜であるのが好適である。
【0063】
一方、二番管15の内部に設けられた溝61は、段差凹部59の下端の幅と略同一の幅を有し、正面中心線Lfに沿って一番管13側へ向けて延びている。溝61のネック17の段差凹部59との隣接位置は、略逆三角形状に形成され、段差凹部59から流下する水を確実に受けられるようにしている。例えば、ネック17と二番管15との周方向の相対向きが使用者による個人差があったとしても、段差凹部59が溝61の略逆三角形状の範囲内に配置することが可能である。
この溝の深さは、特に限定されるものではないが、少なくともネック17と二番管15の十分な使用強度が確保できると共に、使用時のサクソフォーンの配置状態で、マウスピース21及びネック17の上部側で生成された水が流入した際、水が案内されて流下し易い深さであるのが好ましい。
【0064】
溝61の位置は、二番管15のhightF♯、hightF、hightE♭及びhightD及び左手トーンホール23の全てと離間する位置であることが必要である。溝61の長さは、少なくともBのトーンホール23eより下側、好ましくはGのトーンホール23fより下側、より好ましくはG♯のトーンホール23gより下側となるのが好ましい。更に、二番管15の全長に渡り溝を設けてもよい。
この実施の形態では、溝61を二番管15の軸に沿って直線的に形成するために、溝61に近接したり重なり易いトーンホール23については、溝61から離間するように周方向に位置を移動して設けていてもよい。ここでは、hightF♯のトーンホール23a及びhightFのトーンホール23bの一方又は双方を溝61から離間するように周方向に移動させている。
【0065】
このような段差凹部59及び溝61の内表面は、親水性処理面としてもよい。その場合、段差凹部59の表面の親水性はネック17の内壁面より高くなり、溝61の内表面は親水性処理面の親水性は二番管15の内壁面より高くなる。
【0066】
このようなサクソフォーン10によれば、マウスピース21及びネック17内で息が凝縮してネック17内を流下した水は、使用時の配置状態によりネック17の前方側に流下し、段差凹部59に流入し、段差凹部59内で案内されて溝61内に流入して、溝61内で一番管13側に案内されて流下する。また、二番管15の上部側などで生じて溝61内に流入した水も溝61内で一番管13側に案内されて流下する。
【0067】
そのため、これらの水が、二番管15のネック17側のhightF♯、hightF、hightE♭及びhightDのトーンホール23a,23b,23c,23d、更には二番管15の左手トーンホール23に到達し難くなることで、各トーンホール23から漏出する水の量を少なく抑えたり、無くすことが可能である。しかも、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。
【0068】
なお、上記では、溝61として直線形状のものについて説明したが、特に限定されるものではなく、水を案内可能な範囲で溝61を曲線形状に形成することも可能である。
また、上記実施の形態では、水案内手段が段差凹部59及び溝61からなる例について説明したが、他の実施の形態に係る水案内手段40と共に用いることも可能である。
【0069】
[第6の実施の形態]
この実施の形態6のサクソフォーン10では、水案内手段として、例えば、図3の二点鎖線で示すように、二番管15のhightF♯、hightF、hightE♭及びhightDのトーンホール23a,23b,23c,23dや、二番管15の左手トーンホール23、好ましくは全てのトーンホール23の開口の周囲を除く内壁面に親水性処理を施していてもよい。更に、各トーンホール23の開口の周囲に撥水性被膜などの撥水性処理を施すことも好適である。
【0070】
このような構成であっても、二番管15の各トーンホール23から漏出する水の量を少なく抑えたり、無くすことが可能である。しかも、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。
【0071】
なお、上記の第2,第6の実施の形態などでは、正面中心線Lfに近接するトーンホール23を、二番管15の軸線Ls周りの周方向に、正面中心線Lfから離間するように位置をずらすことも好ましい。
【0072】
[第7の実施の形態]
図10は第7の実施の形態を示しており、水案内手段が設けられたサクソフォーン10の例である。この実施の形態のサクソフォーン10では、二番管15に軸線に対して直交方向に突出して形成されているソルダードタイプ又はドローンタイプのトーンホール23に対し、水案内手段としての筒状体71を装着した例である。
【0073】
図10(a)に示す筒状体71は、トーンホール周壁55内にタンポ29が配置されている外側から挿入されて、内表面に略密着した状態で装着されている。外側端部はトーンホール周壁55の頂部側周縁と嵌合できる形状を呈しており、トーンホール23の内部に入り込まないようになっている。この筒状体71の頂部はタンポ29が当接することで、トーンホール23を確実に閉塞できるように形成されている。
【0074】
一方、筒状体71の長さはトーンホール周壁55の突出長さより長く形成されており、筒状体71の端部が二番管15の内部に突出して配置されている。二番管15の内側に配置される端部は軸方向に対して斜めに形成されており、二番管15内に下勾配に傾斜するように装着されるようになっている。
【0075】
このような筒状体71は、二番管15の全てのトーンホール23に装着されていてもよく、例えばhightF♯、hightF、hightE♭及びhightDのトーンホール23a,23b,23c,23dのように水の漏出が起こり易いトーンホール23に装着されていてもよい。
【0076】
筒状体71の材質は特に限定されるものではなく、例えば金属からなるものであってもよいが、装着し易くトーンホール23の内表面に密着させ易いなどの理由で、樹脂により形成されているのも好ましい。
【0077】
このような筒状体71を装着したサクスフォーン10であっても、筒状体71が装着された二番管15の各トーンホール23から漏出する水の量を少なく抑えたり、無くすことが可能であり、また、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。
【0078】
なお、筒状体71の形状は特に限定されるものではなく、適宜変更可能であり、例えば図10(b)に示すように、両端縁が何れも軸方向に対して直交するように形成されていてもよい。また、トーンホール周壁55の頂部に配置される端部をトーンホール23の外径と略同一に形成して見栄えを向上してもよい。
以上説明したような実施の形態1〜7は、サクスフォーンに本発明を適用した例であるが、他の管楽器にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 サクソフォーン
11 ベル
13 一番管
15 二番管
17 ネック
19 リード
21 マウスピース
23、23a〜23g トーンホール
25 レバー
27 指貝
29 タンポ
30 サクソフォーン用水漏出防止具
33a,33b 被覆部材
40 水案内手段
41 逃げ開口
43 突出部分
47 固定部
49 吊下部材
51 線状部材
53 錘
55 トーンホール周壁
57 突出壁
59 段差凹部
61 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルと接続された略U字状の一番管と、該一番管と接続され、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えたサクソフォーンに対して装着される水漏出防止具であり、
上記マウスピースと上記一番管との間に装着され、上記吹き込まれた息中の水分を付着させて、上記トーンホールの開口とは異なる位置の上記管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴とする、サクソフォーン用水漏出防止具。
【請求項2】
前記水案内手段は、前記ネックと前記二番管との接続部位又はその近傍の内壁面を被覆可能な被覆部材を有することを特徴とする、請求項1に記載のサクソフォーン用水露出防止具。
【請求項3】
前記被覆部材は、前記二番管の前記トーンホールに対応する位置に、該トーンホール以上の大きさを有する逃げ開口を有することを特徴とする、請求項2に記載のサクソフォーン用水露出防止具。
【請求項4】
前記水案内手段は、前記ネックと前記二番管との接続部位又はその近傍から上記二番管内に吊下された吊下部材を有することを特徴とする、請求項1に記載のサクソフォーン用水漏出防止具。
【請求項5】
前記水案内手段の前記サクソフォーン内部に露出される表面の少なくとも一部が、装着位置周囲の内壁面より親水性であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載のサクソフォーン用水露出防止具。
【請求項6】
トーンホールを有すると共に縦に配置されて吹き込まれた息が上側から流入する管体を備えた管楽器に対して装着可能な管楽器用水漏出防止具であり、
上記管体に装着され、上記吹き込まれた息中の水分を付着させて、上記トーンホールの開口とは異なる位置の上記管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴とする、管楽器用水漏出防止具。
【請求項7】
ベルと接続された略U字状の一番管と、該一番管と接続され、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えたサクソフォーンにおいて、
上記マウスピースと上記一番管との間に、上記吹き込まれた息中の水分を付着させて、上記トーンホールの開口とは異なる位置の上記管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴とする、サクソフォーン。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れかに記載のサクソフォーン用水漏出防止具が装着されていることを特徴とする、請求項7に記載のサクソフォーン。
【請求項9】
前記水案内手段は、前記二番管内壁面の前記トーンホールと離間する位置に、前記ネック側から前記一番管側へ向けて設けられた溝を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載のサクソフォーン。
【請求項10】
前記水案内手段は、前記二番管の各前記トーンホールの周囲を囲むように、上記内壁面から内側に突出して設けられた突出壁を有することを特徴とする、請求項7乃至9の何れかに記載のサクソフォーン。
【請求項11】
前記水案内手段は、頂部側が上部となるように傾斜して設けられたトーンホール周壁を有することを特徴とする、請求項7乃至10の何れかに記載のサクソフォーン。
【請求項12】
前記水案内手段は、各前記トーンホールの開口内面を除く前記二番管の内壁面に設けられ、上記トーンホールの開口内面より高い親水性を有することを特徴とする、請求項7乃至11に記載のサクソフォーン。
【請求項13】
トーンホールを有すると共に縦に配置されて吹き込まれた息が上側から流入する管体を備えた管楽器において、
上記管体に、上記吹き込まれた息中の水分を付着させて、上記トーンホールの開口とは異なる位置の上記管体内部を流下させるように案内する水案内手段を備えたことを特徴とする、管楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−2589(P2011−2589A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144744(P2009−144744)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(509171542)株式会社Backs Verse (1)