説明

水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法

【解決手段】ガスを放出可能な1種以上の有機または無機化合物が存在する水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法であって、ガスの生成に至る前記1種以上の有機または無機化合物の反応に触媒作用を及ぼすように形成された酵素を含む製剤を、水面及び水中の少なくとも一方に分散させる工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水環境系に群生する有機体を防止及び抑制するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水に群生する有機体との闘いは、長い間知られており、調査研究されてきた問題である。望ましくない有機体を排除する方策は、有機体が成体か幼虫の段階かに関わらず、基本的に、標的となる有機体に直接影響を与える分子を利用するものである。
【0003】
防止という用語は、水環境系に群生する有機体の存在により被るリスクの排除及び低減のうちの少なくとも一方を行うためのあらゆる方法をも意味することに用いられる。より具体的にいうと、防止とは、望まない出来事から被るリスクを断つ、及び低減することの少なくとも一方を目的とする全ての行為を表すものである。
【0004】
今日、有機リン系、有機塩素系、及びピレスロイドが主成分の殺虫剤を含む様々な種類の殺虫剤が利用されている。これらの化合物はいずれも、群生する虫を駆除するのに高い効果をもたらし、対象とする有機体に直接作用するが、これらの殺虫剤は高い毒性も有している。実際、これらの殺虫剤は全般に、環境に残留し、食物連鎖で蓄積するだけでなく、人間にも高い毒性がある。
【0005】
群生する病原体に対抗するための製品のカテゴリには、増殖を規制する農薬も含まれる。
【0006】
これらの殺虫剤の機能は、これらの昆虫の卵及び幼虫の少なくとも一方を殺すことによって成虫の発生を抑制するものである。これらの殺幼虫剤の使用は、卵が産みつけられ、発育する環境に集中する。今日、最も広く使用される殺幼虫剤の種類には2つのタイプがある。
1)化学分子
2)卵及び幼虫の少なくとも一方に作用する毒素を生成するバクテリア
【0007】
上述した殺虫剤と同様に、これらの2種類の殺幼虫剤は、対象とした有機体に直接影響を与え、殺幼虫剤は卵及び幼虫の少なくとも一方によって吸収されることにより、それらに死をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの殺虫剤も、環境や人間に高い毒性がある。実際、外に開いた系でこれらの製品が散布されると、高い毒物学的及び環境毒物学的影響があることが証明されている。
【0009】
市場への植物性薬剤及び殺生物剤の導入の前にそれらを統制して評価するためには、上述したカテゴリの製品の毒性及び環境リスクを評価する試験を課すことにより、製品の数の低減及びそれらの利用の制限の少なくとも一方を行うような欧州の法律(91/414/CEE及び98/8CEEの指示)を導入する必要があった。
【0010】
これらの全ての理由のために、望ましくない昆虫の群生の抑制に着目した、技術及び革新的な物質の少なくとも一方の開発及び市場への導入が非常に望ましい。このような意図は、欧州のディレクティブが低リスクの製品について規定する登録処理を、経済的費用の面で簡略化できるという点でも認められる。
【0011】
本発明の目的は、毒物学的及び環境毒物学的影響が小さいという特徴を有し、水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的、及び以下により明らかになるであろう別の目的を達成するため、ガスを放出可能な1種以上の有機または無機化合物が存在する水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、ガスの生成を引き起こす前記1種以上の有機または無機化合物の反応に触媒作用を及ぼすように形成された酵素を含む製剤を、前記水環境系の水面及び水中の少なくとも一方に分散させる工程を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のさらなる特徴及び利点は、本発明に係る水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法について、以下に述べる好ましいが限定されない実施形態から、より明らかになるであろう。
【0014】
ガスを放出可能な1種以上の有機または無機化合物が存在する水環境系に群生する有機体を防止及び抑制するための方法が開発された。この方法は、ガスの生成を引き起こす上記1つ以上の有機または無機化合物の反応に触媒作用を及ぼすように形成された酵素を含む製剤を、水面及び水中の少なくとも一方に分散させる工程を有しており、製剤自身を直接散布してもよいし、製剤を別の媒体に分散させた上で散布してもよい。
【0015】
反応の結果、連続的な発泡が生じ、群生する有機体を駆除するための以下の2つの効果が得られる。
1)機械的撃退効果
2)殺生物性効果
【0016】
生じた発泡によって得られる動的な運動により、群生する有機体、特に飛ぶ昆虫については、卵を産みつけるのを防止することができる。さらに、得られた発泡により、卵及び幼虫の少なくとも一方は、周囲の酸素に触れることがさらに困難になる。従って、卵及び幼虫の少なくとも一方の死を引き起こすことによって、殺生物性の効果が得られる。
【0017】
即ち、本発明に係る方法を用いることにより、既に環境中に存在する要素で製造された酵素製剤によって生体触媒作用が及ぶ反応により得られた生成物で、殺生物性効果及び撃退効果が良好に達成される。従って、環境に対する影響が小さく、ほとんど毒物学的影響のないことが確実となる。
【0018】
水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、酸化還元酵素、加水分解酵素、及びリアーゼから構成される群から選択される酵素を酵素製剤が含むことを特徴とするのが好ましい。
【0019】
水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、リアーゼ群から選択される酵素を酵素製剤が含むことを特徴とするのが好ましい。
【0020】
さらに好ましい方法として、リアーゼは炭酸脱水酵素の下位分類に属する。
【0021】
水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、酵素製剤が、0.0001〜30.0%(w/w)の範囲の酵素を含むのが好ましく、0.0001〜5%(w/w)の範囲の酵素を含むのがより好ましく、0.0001〜0.010%(w/w)の範囲の酵素を含むのがより好ましいということを特徴とする。
【0022】
即ち、酵素製剤は、10〜500000U/m2の範囲の酵素を含み、100〜50000U/m2の範囲の酵素を含むのが好ましく、500〜25000U/m2の範囲の酵素を含むのが特に好ましい。
【0023】
好ましい実施形態において、環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、水環境系に存在するガスを放出可能な1種以上の有機化合物が、一般化学式R−XOz−R1を有する有機化合物群から選択されることを特徴とする。ここで、Xは、C、N、S、O、P、Br、Cl、I、B、F、Iとすることができ、R、R1はそれぞれ個別に、水素基、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、分枝鎖の炭化水素基、または直鎖の炭化水素基とすることができる。R及びR1はそれぞれ個別に、上述した一般化学式に(−XOz)として定義した官能基を含むことができる。
【0024】
さらに、有機化合物をH+イオンの発生源とし、zを1、2、3、4とすることができる。最後に、R1は省略することも可能である。例えば、水環境系に存在するガスを放出可能な1種以上の有機化合物は、それらの化学構造中に、カルボキシル基、カルボニル基、アセタール基、ケタール基、及びそれらの混合物の少なくとも1つを含む化合物と、酸素と結合される、窒素、硫黄、及びカリウムからなる官能基群と、H+イオンの発生源とからなる群から選択されるか、これらの化合物の混合物であるかの少なくとも一方であるのが一般的である。
【0025】
好ましい実施形態において、水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、水環境系に存在する、ガスを放出可能な1種以上の無機化合物が、一般化学式(M)x(XOz)yを有する酸化物塩であることを特徴とする。ここで、X=C、N、S、O、P、B、Cl、F、Br、I、Hであり、Mは金属イオンまたは陽イオンであり、x、y、zは、得られる塩が電気的に中性であり、平衡状態にあるような配分である。一般的にそれらは、炭酸塩と、塩素、ナトリウム、マグネシウム、硫黄、カルシウム、カリウム、臭素、炭素、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、フッ素、アルゴン、及び窒素の無機塩と、これら化合物の混合物との少なくとも1つである。
【0026】
無機化合物が炭酸塩の場合、放出されるガスは、環境適合性があり、環境影響や毒性リスクの低いCO2となる。
【0027】
水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、酵素製剤が、ホウ酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、硫酸塩の緩衝剤からなる群から選択される緩衝剤をさらに含むことを特徴とするのが好ましい。好ましい実施形態として、上述した酵素製剤は、以下のi)〜vi)に述べる物質の少なくとも1つをさらに含む。
【0028】
i)リグノスルホン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、並びにマグネシウムとカリウムとカルシウムとにより塩化される酸機能を有し、アラビノース、D−ガラクトピラノース、ラムノピラノース、及びD−グルクロン酸からなる多糖類で構成される群から選択される粉末製剤の結合剤。
【0029】
ii)アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエンとブチルヒドロキシアニソールとヘキシレングリコール(glicole esilenico)の混合物、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、ヒドロ亜硫酸ナトリウム及び硫酸水素ナトリウム、トコフェロール、没食子酸アルキル、2−フェノキシエタノール、蔗糖、グルコース、デキストロース、並びに糖類で構成される群から選択される酸化防止剤。
【0030】
iii)クエン酸、及び酒石酸からなる群から選択される安定剤。
vi)グリセロール、シリカゲル、粘土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウム、及び蔗糖からなる群から選択される吸湿性の物質。
v)炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、亜リン酸塩、及びリン酸塩を含む無機塩群から選択されるガスの発生源。
vi)上述した化合物の混合物。
【0031】
本発明に係る方法は、酵素製剤にCO2の発生源をさらに含むのが好ましい。
【0032】
本発明に係る方法は、製品が散布される水環境のpHを調整するための混合物を含む化合物を有するのが好ましい。この方法では、酵素の活性度が最大となる値に水環境のpHを調節するために緩衝剤を添加する。緩衝液は、少量の酸や塩基の添加によるpHの変化に対して作用する溶液である。これらは大抵、弱酸と強塩基を含むその塩との溶液、または、逆に弱塩基と強酸を含むその塩との溶液、若しくは塩と、弱塩基と弱酸と高濃縮された塩基との溶液である。
【0033】
緩衝液は、分析化学やpHを目標値に安定させることに役立つ若しくは必要な処理に幅広く用いられる。このタイプの溶液に特有の特性が緩衝能であり、この特性は、一般的に所定のpHの変化を得るために緩衝液に加える強酸または強塩基の量で規定される。
【0034】
水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、酵素製剤が、固形剤、液剤、及び霧化剤の少なくとも1つの形式で投入されることを特徴とする。上記固形剤は、粉末、錠剤、及び丸薬の少なくとも1つからなるグループから選択されるのが好ましい。
【0035】
好ましい実施形態において、水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法は、水環境系が、湿地帯及び田んぼの群から選択される地表及び地下の少なくとも一方にある停滞水、農業用または他の用途のよどんだ水、並びに雨水を収集したり蓄積したりするための容器や入れ物、下水設備、マンホール、水たまり、木のうろにある停滞水によって特徴付けられる分野にあることを特徴とする。
【0036】
本発明に係る成分の例:
a〜fから構成される粉末状の製品:
a.炭酸脱水酵素 0.0001%
b.炭酸カルシウム 50%
c.トリス硫酸緩衝液 1%
d.ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、及びヘキシレングリコールの混合物 5%
e.硫酸カルシウム 2%
f.全体を100%とするのに必要なタルク
【0037】
a〜hから構成される錠剤/丸薬状の製品:
a.炭酸脱水酵素 1%
b.ステアリン酸 5%
c.アスコルビン酸 5%
d.メチルセルロース 20%
e.硫酸カルシウム 5%
f.炭酸カルシウム 10%
g.リン酸塩緩衝液 5%
h.全体を100%とするのに必要なタルク
【0038】
a〜dから構成される液状の製品:
a.炭酸脱水酵素 0.001%
b.トリス硫酸緩衝液 5%
c.4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル 5%
d.全体を100%とするのに必要な純水
【0039】
活性酵素及び割合に関する本説明で示した酵素の量は、重量%である。
【0040】
蒸留水と緩衝剤とから構成される「理想」系、及び雨水等の自然環境から採取された水と緩衝剤とから構成される「現実」系における酵素の活性度の状態を、2通りの方法で測定した。
【0041】
1)分光光度法:使いやすい分光光度法が、合成基質(p−ニトロフェニル酢酸)を加水分解して波長348nmに最大吸光度を有した生成物(p−ニトロフェノール)を生成するという酵素の能力を利用した簡単な分光光度法である。この方法により、加水分解反応の反応速度を調査することができる。
【0042】
従って、酵素の有効性は水環境(雨水)で分析され、標準的な環境での基準基質に対する酵素の活性度と、雨水における同じ基準基質に対する酵素の活性度とを比較することによって酵素の有効性が示された。
【0043】
これらの実験は、ウシ赤血球(原料 0.04%、1000U/mL)から得た炭酸脱水酵素を用いて行われた。酵素の活性度は雨水で分析され、トリス硫酸緩衝液中における同じ炭酸脱水酵素の活性度と比較された。
【0044】
この実験を実行するために、標準的なトリス硫酸緩衝液15mM(pH7.6)を純水と雨水とでそれぞれ希釈し、何れの場合も10mMの濃縮トリス硫酸に達した2つの溶液が準備された。上述した分光光度法を用い、両方のサンプルについて50単位の酵素(最終濃度 0.002%)の活性度を分析した。
【0045】
酵素活性度の分析結果を以下に示す:
【0046】
10分後の活性度:
【0047】
【表1】

【0048】
1時間後の活性度:
【0049】
【表2】

【0050】
15時間後の活性度:
【0051】
【表3】

【0052】
「理想」溶液(雨水なし)と比較した割合:
10分後の酵素の活性度:80.38%
1時間後の酵素の活性度:77.45%
15時間後の酵素の活性度:72.39%
【0053】
2)ガスクロマトグラフィー法:酵素の活性度を検出するもう1つの方法は、存在する炭酸塩の存在下で生成される炭酸の脱水反応によって放出されるCO2の量の測定からなる。このCO2の量は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定することができる。脱水反応は、pH5.5〜7.5間の溶液中では、逆反応と比較して生じやすい。従って、この方法を用いることで、HCO3-アニオンの脱炭酸反応の触媒としてCO2を生成する酵素の能力を、ガスクロマトグラフィー法を用いた生成ガスの計測によって測定することができる。
【0054】
R.Waygood著の酵素学における方法論(vol.II、Academic Press, 1955)に述べられた手順に従ってサンプルが準備された。GCのヘッドスペースに500μLの空気が存在する状態で、酵素を注入してから5分後にCO2の生成が測定された。
【0055】
相互に対応するピークの面積を計算し、既知のガスの割合で作成された較正曲線を用いることによって、各サンプルに存在するCO2の割合を測定することができる。
【0056】
最終濃度0.06%(5000単位)でウシ赤血球から得た炭酸脱水酵素について、pH7.2のトリス塩酸緩衝液0.1M及び炭酸塩溶液を加え、雨水からCO2を生成する能力を評価して分析した。
【0057】
【表4】

【0058】
E=酵素
理想溶液=pH7.2のトリス塩酸緩衝液0.1M及び炭酸塩溶液
*=pH7.2のトリス塩酸緩衝液0.1M及び炭酸塩溶液を加えた雨水
【0059】
酵素を有する雨水に発生したCO2の生成量は、酵素なしの雨水より3.65倍多かった。
【0060】
酵素を含む雨水から生成されたCO2が、酵素を含む理想溶液から生成されたCO2より多かったという事実は、酵素がこの媒体中に存在する無機塩も基質として用いることを示している。
【0061】
2つの限定されない製品の組成例及び当該製品の効果分析について、本発明の目的を例示するものとして以下に説明する。
【実施例】
【0062】
製品例及び効果分析
実施例1
製品の配合
【0063】
【表5】

【0064】
*ウシ赤血球から得た脱炭酸脱水酵素
【0065】
有効性試験
以下の1)〜3)に関する有効性を検証するために、製品を試験した。
1)産みつけられた卵の数の減少
2)卵から孵った成虫の数の減少
3)蚊の繁殖を抑制する他の要因
通気性のある網で覆うことにより保護される箱の中に、よどんだ水を再現して作用するビーカーを配置し、試験を実施した。ビーカーは800mLの水を収容し、卵の産みつけが可能な表面積は190cm2である。
【0066】
産卵を促進するために、蚊に血を与えた。蚊を1日間その環境に慣れさせた後、製品をビーカーに注いだ。その後の重炭酸塩の追加は24時間毎に行った。
【0067】
二重反復試験を行い、各試験は製品を加えない対照用ビーカーを用いて検証した。
【0068】
3日目の結果
【0069】
【表6】

【0070】
産みつけられた卵の数の減少 → 93%
蚊の死亡率の増加 → 5.5倍
【0071】
7日目の結果
【0072】
【表7】

【0073】
23日目の結果
【0074】
【表8】

【0075】
実施例2
製品の配合
【0076】
【表9】

【0077】
*=ウシ赤血球から得た炭酸脱水酵素
【0078】
有効性試験
以下の1)〜3)に関する有効性を検証するために、製品を試験した。
1)産みつけられた卵の数の減少
2)卵から孵った成虫の数の減少
3)蚊の繁殖を抑制する他の要因
【0079】
通気性のある網で覆うことによって保護された箱によどんだ水を再現して作用するビーカーを配置し、試験を実施した。ビーカーは800mLの水を収容し、卵を産みつけるのが可能な表面積は190cm2である。
【0080】
産卵を促進するために、蚊に血を与えた。蚊を1日間その環境に慣れさせ、その後製品をビーカーに注いだ。
【0081】
<P.14 L.6>
二重反復試験が行われ、各試験は製品を追加しない対照用ビーカーを用いて検証された。
【0082】
3日目の結果
【0083】
【表10】

【0084】
産みつけられた卵の数の減少 → -96.56%
蚊の死亡率の増加 → 7.5倍
【0085】
7日目の結果
【0086】
【表11】

【0087】
23日目の結果
【0088】
【表12】

【0089】
本件が優先権を主張するイタリア国の特許出願番号BO2009A000395における開示は参照によりここに編入される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを放出可能な1種以上の有機または無機化合物が存在する水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法であって、
ガスの生成に至る前記1種以上の有機または無機化合物の反応に触媒作用を及ぼすように形成された酵素を含む製剤を、水面及び水中の少なくとも一方に分散させる工程を有することを特徴とする水環境系に群生する有機体の防止及び抑制方法。
【請求項2】
前記酵素を含む製剤は、酸化還元酵素、加水分解酵素、及びリアーゼから構成される群から選択される酵素を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酵素を含む製剤は、リアーゼの群から選択される酵素を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
リアーゼは、炭酸脱水酵素の下位分類に属することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酵素を含む製剤は、0.0001〜30.0%(w/w)の範囲の酵素を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酵素を含む製剤は、0.0001〜5.00%(w/w)の範囲の酵素を含み、好ましくは0.0001〜0.010%(w/w)の範囲の酵素を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
水環境系に存在し、ガスを放出可能な前記1種以上の有機化合物は、一般化学式R−XOz−R1を有する有機化合物群から選択され、
i)Xは、C、N、S、O、P、Br、Cl、I、B、F、またはIであり、
ii)Rは、水素基、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、分枝鎖の炭化水素基、または直鎖の炭化水素群基からなる群から選択され、前記一般化学式の(−XOz−)で定義される官能基を単独で含みうるものであり、
iii)R1は、水素基、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、分枝鎖の炭化水素基、または直鎖の炭化水素基からなる群から選択され、前記R1は省略可能であり、前記一般化学式の(−XOz−)で定義される官能基を単独で含みうるものであり、
vi)前記有機化合物は、H+イオンの発生源であり、z=1、2、3、または4である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
水環境系に存在し、ガスを放出可能な前記1種以上の有機化合物は、その化学構造に、カルボキシル基、カルボニル基、アセタール基、ケタール基の群、及びこれらの混合物を含む少なくとも1つの化合物と、酸素と結合される、窒素、硫黄、及びカリウムからなる官能基群と、H+イオンの発生源とからなる群から選択されるもの、及びこれらの化合物の混合物の少なくとも一方であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
水環境系に存在し、ガスを放出可能な前記1種以上の無機化合物は、一般化学式(M)x(XOz)yを有する酸化物塩であり、
Xは、C、N、S、O、P、H、B、Cl、F、Br、またはIであり、
Mは金属イオンまたは陽イオンであり、
x、y、zは、電気的に中性で、平衡状態にある塩となる配分である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
水環境系に存在し、ガスを放出可能な前記1種以上の無機化合物は、炭酸塩と、塩素、ホウ素、ケイ素、フッ素、アルゴン、及び窒素の無機塩と、前記化合物とのうちの少なくとも1つからなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記酵素製剤は、さらにCO2の発生源を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記混合物は、前記製剤が分散される環境のpHを調整する混合物を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記酵素製剤は、固形剤、液剤、及び霧化剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記固形剤は、粉末、錠剤、及び丸薬からなるグループから選択されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水環境系は、湿地帯及び田んぼの群から選択される停滞水、農場及び他の用途用のよどんだ水、並びに雨水を収集して貯留するための入れ物及び容器中のよどんだ水、下水設備、マンホール、水たまり、及び木のうろにある停滞水からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−530096(P2012−530096A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515436(P2012−515436)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058177
【国際公開番号】WO2010/145988
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511282782)アルキメデ アールアンドディー ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (2)
【氏名又は名称原語表記】ARCHIMEDE R&D S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Viale Giovanni Fanin, 48, I−40127 Bologna, ITALY
【Fターム(参考)】