説明

水産物、農産物の冷蔵生保存媒体材料

【目的】豆腐製造後産業廃棄物として処分されているおからを、生鮮魚介類、海草類の水産物又は果物、野菜等の農産物を生のままの状態の冷蔵保存の期間を長期化するため被保存物に接触混配させる媒体材料とする。
【構成】大豆から豆腐を製造した残滓、いわゆるおからを乾燥度合10%乃至20%に乾燥してなる生食品冷蔵保存媒体材料。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生鮮魚介類、海草類等の水産物又は果物、野菜類の農産物を生のまま冷蔵で保存するための保存期間を延長させる媒体材料に関する。
【0002】
【従来の技術】農産物、水産物の食品を生のまま長期間保存貯蔵するには、従来、冷凍・冷蔵・塩付け・乾燥等の方法が用いられている。冷凍は氷点以下に維持するための設備や経費が伴うものであり、冷蔵は氷点以上の比較的低温例えば5℃前後で保存するものであるが、生のままの食品を長期間保存することは困難である。塩付けの方法は食品としての味覚上適用される品種が限られており、自然乾燥は天候に支配されかつ手数を要するものであり、人工乾燥は多大な燃料費、設備費を必要とし、生の鮮度で保存できるのは極く一部の品種に限定されており生の状態に戻すための時間がかかり風味が失われる。冷凍と冷蔵の中間温度即ち0℃からものが凍り始めるまでの温度範囲で貯蔵すれば鮮度がよく保たれるという氷温技術もあるが温度領域が小さく温度管理が微妙であり非生産的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記事情に鑑み、本発明は、特に生のまま保存する場合、単に冷蔵するだけでなく、生の鮮度の保持期間を延長させるため、温度にのみ依存するのではなく、生の食品に接触混配する冷蔵領域低温での生保存媒体材料を案出することを課題として成された。
【0004】
【課題を解決するための手段】大豆を原料として豆腐の製造後に残留する残滓即ちおからは、家畜や養鶏等の飼料、養殖の餌、肥料等に使用されているが、残滓として発生する該おからの量からみれば極めて少量であり、該おからの大部分は産業廃棄物として処分されている。本発明は、該おからが、食品の生のままでの冷蔵保存の長期化のため、媒体材料として効果的に利用できることに着目し、含水率約95%の該おからを乾燥度合10%乃至20%に乾燥したものを冷蔵領域の低温での保存媒体材料として廃品を活用出来るようにしたものである。
【0005】
【作用】前記乾燥おからを冷蔵保存しようとする生のままの食品に重量比約100%にて適宜被層するか又は前記おからを混配させて所望の容器に密封収納し冷暗所に温度2℃乃至5℃に保持する。該保持時間は約70時間とし、その後、少分割包装を行い消費者に提供する。かくて消費者は自己冷蔵庫に2℃乃至5℃に冷蔵し長期保存として備蓄する。長期保存期間は食品品種により相違するが、有効値を例示すれば、生わかめの場合8ケ月、生さんま4ケ月、柿2ケ月であり、前記乾燥おからを使用しない場合と比較すれば保存期間は2倍乃至20倍であり、保存期間内であればいつでも生のままの新鮮さを提供でき、前記乾燥おからを単に除去するか水洗いをして食することが出来る。使用済みの前記乾燥おからは、家庭菜園、園芸等の肥料にも再々利用出来るものである。
【0006】
【実施例】図1は本発明の生食品冷蔵保存媒体材料の製造過程及び使用する方法の模式図を示すもので、(A)は大豆から豆腐の製造後の余剰残滓のおからであり、例えば大豆重量60kgから標準の大きさの豆腐を400個製造後には、含水率92%〜95%、重量約100kgのおからが残留する。該おからの主成分はペクチン・ヘルミセロース・グリニン等の非水溶の多糖類であり、これらが保水の役を果している。この状態のおから(A)を急速撹拌を行いながら約400℃の熱風で乾燥させ(B工程)乾燥度合12%乃至20%の本発明の目的物である乾燥おから即ち冷蔵保存媒体材料(C)を得るのである。該冷蔵保存媒体材料の分析成分は100g当り蛋白質26.5g、脂質13g、炭水化物51.4g、灰分3.6g、エネルギ425Kcal、と表われており、特性としては大腸菌群陰性、ブドー球菌陰性、一般生菌数11000/gの状態である。被保存物に混配する冷蔵生保存媒体材料(C)の適正乾燥度合については別に定める品種毎適正値に基いて乾燥工程(B)において調整する。被保存物に冷蔵生保存媒体材料(C)を混配する割合は重量比約100%とし(D工程)、(E)工程において2℃乃至5℃の冷蔵を行う。その時間は約70時間とする。(F)工程は小分け包装、(G)工程は消費者側のやはり2℃乃至5℃の長期冷蔵保存である。次表は(G)工程における生鮮度保持期間の一実施例である。
【表1】


【0007】
【効果】豆腐製造後の残滓であるおからを有効に活用し産業廃棄物の再利用をすることにより冷蔵される生のままの生鮮魚介類、海草類、果物、野菜類の保存を尚一層長期化することが出来、冷蔵保存の経費が節減され、生もの品の流通経路の計画立案が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の模式図。
【符号の説明】
A 豆腐製造残滓物(おから)
B 急速撹拌乾燥
C 冷蔵保存媒体材料(乾燥おから)
D 冷蔵保存媒体材料を生もの食品に混配
E 2℃〜5℃冷蔵 約70時間
F 小分け包装
G 消費者冷蔵保存 2℃〜5℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】大豆から豆腐を製造した残滓を含水率10%乃至20%に乾燥してなることを特徴とする生食品冷蔵保存媒体材料。

【図1】
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【公開番号】特開平8−168364
【公開日】平成8年(1996)7月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−166759
【出願変更の表示】実願平6−17344の変更
【出願日】平成6年(1994)12月19日
【出願人】(394023687)