説明

水素リッチ燃料を生成するためのシステム及び方法

【課題】水素リッチ燃料を現場で生成できる統合ガスタービンシステムを提供する。
【解決手段】水素リッチ燃料を供給するシステム(10)では、第1のガスタービン(12)から加圧作動流体の一部(34)を第2のガスタービン(14)で受け取って改質燃料(42)を生成し、燃料スキッド(20)によって第2のガスタービンのタービン(44)と第1のガスタービンの圧縮機(24)とを流体連通する。水素リッチ燃料の供給法では、第1の加圧作動流体(30)の一部(34)を第1の圧縮機(22)から第2の圧縮機(36)に分流し、第2の圧縮機(36)から第2の加圧作動流体を供給する。改質器(40)で燃料(18)を第2の加圧作動流体(38)と混合して改質燃料(42)を生成し、その改質燃料を第2のタービン(44)に流して改質燃料を冷却し、第2のタービン(44)を第2の圧縮機(36)に接続して第2の圧縮機(36)を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、後続の燃焼又は配分のために水素リッチ燃料を生成する統合ガスタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、産業及び発電運転において広く使用されている。典型的なガスタービンは、前部における軸流圧縮機と、中間部の周りの1以上の燃焼器と、後部におけるタービンとを含む。外気が圧縮機に流入し、圧縮機の動翼及び静翼が、作動流体(空気)に漸次的に運動エネルギーを与え、高エネルギー状態の加圧作動流体を生成する。加圧作動流体は、圧縮機から流出して燃焼器内に流れ、燃焼器において、加圧作動流体は燃料と混合され点火されて、高い温度、圧力及び速度を有する燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは、タービン内で膨張して仕事を産出する。例えば、タービン内における燃焼ガスの膨張は、発電機に接続されたシャフトを回転させて電気を生成する。
【0003】
燃料空気混合気がより希薄であるほど、燃焼によって生成される窒化酸化物が減少することは広く知られている。しかしながら、希薄燃料空気混合気は燃焼器内の火炎不安定性を招き、ガスタービンの運用を中断しかねない希薄ブローアウト(LBO)事象の可能性が高くなる。燃料に水素を添加すると、希薄ブローアウトの発生が減少し、エミッションが改善され、乾式低NOx(DLN)燃焼器のようなほとんどの燃焼器の運転全体を向上させることができる。水素を安全に輸送することは困難であるので、燃料を補うのに必要とされる水素量を現場で生産できることが望ましいことになる。水素を現場で生産するのに種々の方法が知られている。例えば、自己熱改質(ATR)及び蒸気メタン改質器(SMR)を用いて水素リッチ燃料を生成することができる。一般に、これらの改質器は、高温高圧環境においてニッケルなどの触媒を天然ガスのような燃料に露出して純水素を生成して、触媒発熱反応によって超高温の排気物を生成するが、これはバルブ、シール、及び他のシステム構成要素に対して問題を起こす可能性がある。加えて、SMR改質器は通常、容易には利用できない外部蒸気源を必要とする。最後に、水素リッチ排気ストリームの圧力は、ガスタービン燃焼器の圧力よりも一般的に低い。この結果として、ガスタービンの燃焼器に噴射できるように水素リッチな排気ストリームの圧力を高めるために、別個の圧縮機が必要とされる。従って、水素リッチ燃料を現場で生成できる統合ガスタービンシステムが有用となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6155039号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様及び利点は、以下の説明において部分的に記載され、又は、当該説明から明らかにすることができ、或いは、本発明を実施することによって理解することができる。
【0006】
本発明の一実施形態は、水素リッチ燃料を供給するシステムである。本システムは、第1のガスタービン及び第2のガスタービンを含む。第1のガスタービンは、第1の加圧作動流体を生成する第1の圧縮機と、第1の圧縮機の下流側にある燃焼器と、燃焼器の下流側にある第1のタービンとを含む。第2のガスタービンは、第1の圧縮機と流体連通した第2の圧縮機を含む。第2の圧縮機は、第1の圧縮機から第1の加圧作動流体の一部を受け取り、第1の加圧作動流体よりも高圧の第2の加圧作動流体を生成する。第2の圧縮機の下流側にある改質器は、第2の加圧作動流体を受け取って改質燃料を生成する。改質器の下流側にある第2のタービンは、改質燃料を受け取って冷却改質燃料を生成する。第2のタービンを第2の圧縮機に接続するシャフトは、第2のタービンと第2の圧縮機との間に駆動係合をもたらす。第2のタービン及び燃焼器と流体連通した燃料スキッドは、第2のタービンから燃焼器への冷却改質燃料用の流路をもたらす。
【0007】
本発明の別の実施形態は、低圧圧縮機と、低圧圧縮機の下流側にある燃焼器と、燃焼器の下流側にある低圧タービンとを含む、水素リッチ燃料を供給するシステムである。低圧圧縮機は、第1の加圧作動流体を生成する。低圧圧縮機と流体連通した高圧圧縮機は、第1の加圧作動流体の一部を受け取り、第1の加圧作動流体よりも高い圧力を有する第2の加圧作動流体を生成する。高圧圧縮機の下流側にある改質器は、第2の加圧作動流体を受け取って改質燃料を生成する。改質器の下流側にある高圧タービンは、改質燃料を受け取って冷却改質燃料を生成する。第1のシャフトは、高圧タービンを高圧圧縮機に接続し、高圧タービンと高圧圧縮機との間の駆動係合をもたらす。高圧タービン及び燃焼器と流体連あいた燃料スキッドは、高圧タービンから燃焼器への冷却改質燃料用の流路をもたらす。
【0008】
本発明はまた、水素リッチ燃料を供給する方法を含む。本方法は、第1の加圧作動流体の一部を第1の圧縮機から第2の圧縮機に分流する段階と、第2の圧縮機から第2の加圧作動流体を供給する段階とを含む。本方法はさらに、燃料を改質器において第2の加圧作動流体と混合して改質燃料を生成する段階と、改質燃料を第2のタービンに流し、改質燃料を冷却する段階と、第2のタービンを第2の圧縮機に接続し、第2のタービンが第2の圧縮機を駆動するようにする段階とを含む。
【0009】
当業者であれば、本明細書を精査するとこのような実施形態の特徴及び態様、並びにその他がより理解されるであろう。
【0010】
添付図の参照を含む本明細書の残りの部分において、当業者にとって最良の形態を含む本発明の完全且つ有効な開示をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるシステムの簡易ブロック図。
【図2】本発明の代替の実施形態によるシステムの簡易ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、その1以上の実施例が添付図面に例示されている本発明の実施形態について詳細に説明する。詳細な説明では、図面中の特徴部を示すために参照符号及び文字表示を使用している。本発明の同様の又は類似した要素を示すために、図面及び説明において同様の又は類似した表示を使用している。
【0013】
各実施例は、本発明の限定ではなく、例証として提供される。実際に、当業者であれば、本発明の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、種々の修正及び変形を本発明において実施できる点は理解されるであろう。例えば、一実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用してさらに別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、そのような修正及び変形を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0014】
本発明の種々の実施形態は、ガスタービンの全体の効率を高めるために統合された熱力学サイクルを利用する。具体的には、統合熱力学サイクルは、触媒による酸化によって改質された燃料を生成し、触媒酸化中に発生したエネルギーを再利用し、従って、統合ガスタービンシステムの全体効率を改善する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態によるシステム10を示す。図示のように、システム10は、一般に、第2の又はマイクロガスタービン14と統合された第1の又は主ガスタービン12を含む。第1の又は主ガスタービン12は、燃料を燃焼させて出力を発生するあらゆる商業的に入手可能な機械を含むことができる。第2の又はマイクロガスタービン14は、一般に、第1の又は主ガスタービン12よりも一桁小さく、原理的には、燃料ストリームを改質又は部分的に燃焼させ、リッチなレベルの水素を有する改質燃料を生成するよう機能する。供給燃料16は、燃料スキッド20に燃料18を供給することができる。燃料スキッド20に供給される実施可能な燃料は、例えば、高炉ガス、コークス炉ガス、天然ガス、蒸発液化天然ガス(LNG)、及びプロパンを含む。燃料スキッド20は、以下で説明するように、燃料18が第1及び第2のガスタービン12、14間及び/又は他の複数のガスタービン間を流れるよう流体連通させる。
【0016】
第1のガスタービン12は一般に、当該技術分野で知られるように、圧縮機22、圧縮機22の下流側にある1以上の燃焼器24、及び燃焼器24の下流側にあるタービン26を含む。外気28が圧縮機22に流入し、該圧縮機22の動翼及び静翼が、作動流体(空気)に漸次的に運動エネルギーを与え、高エネルギー状態の第1の加圧作動流体(符号30で示す)を生成する。第1の加圧作動流体30の大部分は、圧縮機22から流出して燃焼器24内に流れ、該燃焼器において加圧作動流体は燃料と混合され点火されて、高い温度、圧力及び速度を有する燃焼ガス(符号32で示す)を発生する。燃焼ガス32は、タービン26に流れて該タービン26内で膨張し、仕事を産出する。
【0017】
第1の加圧作動流体の一部(符号34で示す)は、圧縮機22及び/又は燃焼器24から第2のガスタービン14に分流される。第1の加圧作動流体の分流部分34は、第2のガスタービン14において第2の圧縮機36に流れる。第2の圧縮機36における動翼及び静翼は、分流された第1の加圧作動流体34の一部に漸次的に運動エネルギーを与え、第2の加圧作動流体(符号38で示す)を生成する。第2の加圧作動流体38は、必然的に、第1の加圧作動流体34の分流部分よりも高い圧力を有する。
【0018】
第2の加圧作動流体38は、第2の圧縮機36から流出し、第2の圧縮機36の下流側の改質器40に流れる。改質器40は、当該技術分野で公知の触媒、燃焼器、又は他の同様の装置を含み、燃料を酸化して水素レベルが増大した改質燃料(符号42で示す)を生成することができる。例えば、改質器40は、1以上の貴金属を触媒として使用する触媒部分酸化(CPOX)コンバータを含むことができる。他の実施形態では、改質器40は燃焼器を含むことができる。
【0019】
供給燃料16は、図1に示すように、燃料スキッド16を通って又は直接的に燃料18を改質器40に供給される。改質器40は、燃料18を第2の加圧作動流体38及び/又は触媒と混合し、燃料対第2の加圧作動流体(空気)がおよそ2.5と6の間のような、1よりも大きい、好ましくはおよそ2よりも大きい当量比(Φ)を有し、改質燃料42中の好適な水素含有量を確保するようにする。本明細書で使用される当量比(Φ)は、燃空比と化学量論的燃空比との比として定義される。数学的には、当量比は次式で算出することができる。
【0020】
【数1】

改質器40により、燃料18が第2の加圧作動流体38と反応して、全ての利用可能な酸素が消費又は排除され、高温高圧の改質燃料42を生成するようになる。改質器40から出る改質燃料42の温度は、およそ1400°Fと1700°Fの間とすることができ、改質器40から出る改質燃料42の圧力は、およそ300ポンドと400ポンドとの間とすることができるが、本発明は、請求項において特に記載のない限り、改質燃料42につていのどのような特定の温度範囲又は圧力範囲にも限定されるものではない。改質燃料42中の水素含有量は、特定の実施形態及び運転上の要件に応じて、およそ5体積%、10体積%、又は15体積%よりも多くてもよい。
【0021】
改質燃料42は、改質器40の下流側の第2のタービン44に流れる。改質燃料42は、膨張して第2のタービン44において冷却され、仕事を産出する。具体的には、第2のシャフト46は、第2のタービン44を第2の圧縮機36に接続し、第2のタービン44と第2の圧縮機36との間に駆動係合をもたらす。このようにして、第2のタービン44において改質燃料42の膨張によって発生した仕事を用いて、第2の圧縮機36に動力を供給し、又は転回させ、或いは他の方法で作動させ、これにより統合システム10の効率を高めることができる。改質燃料42は、冷却改質燃料48として第2のタービン44から出る。第2のタービン44から出る冷却改質燃料48の温度は、およそ1000°Fと1400°Fの間とすることができ、第2のタービン44から出る冷却改質燃料48の圧力は、およそ200ポンドと300ポンドとの間とすることができるが、本発明は、請求項において特に記載のない限り、冷却改質燃料48につていのどのような特定の温度範囲又は圧力範囲にも限定されるものではない。結果として、冷却改質燃料48は、燃焼器24に導入される前に追加の冷却又は圧力増大を必要としない。冷却改質燃料48中の水素含有量は、特定の実施形態及び運転上の要件に応じておよそ5体積%、10体積%、又は15体積%よりも多くてもよい。
【0022】
燃料スキッド20は、第2のタービン44と燃焼器24との間に流体連通をもたらす。結果として、冷却改質燃料48は、第2のタービン44から燃料スキッド16を通って燃焼器24に流れることができる。燃料スキッド16は、どのような追加の調整又は混合も必要とすることなく、冷却改質燃料48を燃焼器24に供給することができる。代替的に、又は追加として、作動上の要件に応じて、燃料スキッド16は、供給燃料16からの燃料18と冷却改質燃料48を混合することができる。このようにして、燃料スキッド20は、燃料18、冷却改質燃料48及び/又はこれらの組合せを燃焼器24に供給することができる。燃焼器24は、上述のように、燃料スキッド20により供給された種々の燃料を点火して燃焼ガス32を生成し、タービン26を膨張させて仕事を産出する。図1に示すように、燃料スキッド20はまた、第2のタービン44と、第1のガスタービン12以外の別のガスタービン49との間に流体連通をもたらすことができる。これにより、システム10は、現場で水素リッチ燃料を生成して2以上のガスタービンに供給することが可能になる。
【0023】
図2は、本発明の代替の実施形態によるシステム50を示す。図示のように、システム50は一般に、低圧圧縮機54、高圧圧縮機56、1以上の燃焼器56、高圧タービン60、及び低圧タービン62を有するマルチスプールガスタービン52を含む。第1のシャフト64は、高圧タービン60を高圧圧縮機56に接続することができ、第2のシャフト66は、低圧タービン62を低圧圧縮機54に接続することができる。第1のシャフト64は、第2のシャフト66と実質的に同心状にすることができる。供給燃料68は、燃料70を燃料スキッド72に供給することができる。燃料スキッド72は、上述のように、高圧タービン60、燃焼器58、及び/又は複数の他のガスタービンの間に流体連通をもたらす。
【0024】
外気74が低圧圧縮機54に流入し、該低圧圧縮機54の動翼及び静翼が、作動流体(空気)に漸次的に運動エネルギーを与え、高エネルギー状態の第1の加圧作動流体(符号76で示す)を生成する。第1の加圧作動流体76の大部分は、低圧圧縮機54から流出して燃焼器58に流れ、ここで加圧作動流体は燃料と混合され点火されて、高い温度、圧力及び速度を有する燃焼ガス(符号78で示す)を発生する。燃焼ガス78は低圧タービン62に流れて、低圧タービン62内で膨張し仕事を産出する。
【0025】
第1の加圧作動流体の一部(符号80で示す)は、低圧圧縮機54及び/又は燃焼器58から低圧圧縮機54の下流側の高圧圧縮機56に分流される。高圧圧縮機56における動翼及び静翼は、第1の加圧作動流体34の分流部分80に漸次的に運動エネルギーを与え、第2の加圧作動流体(符号82で示す)を生成する。第2の加圧作動流体82は、必然的に、第1の加圧作動流体80の分流部分よりも高い圧力を有する。
【0026】
第2の加圧作動流体82は、高圧圧縮機56から流出し、該高圧圧縮機56の下流側の改質器84に流れる。改質器84は、当該技術分野で公知の触媒、燃焼器、又は他の同様の装置を含み、燃料を酸化して水素レベルが増大した改質燃料(符号86で示す)を生成することができる。例えば、改質器84は、1以上の貴金属を触媒として使用する触媒部分酸化(CPOX)コンバータを含むことができる。他の実施形態では、改質器84は燃焼器を含むことができる。
【0027】
供給燃料68は、燃料スキッド72を通って又は直接的に燃料70を改質器84に供給する。改質器84は、燃料70を第2の加圧作動流体82及び/又は触媒と混合して、燃料対第2の加圧作動流体(空気)がおよそ2.5と6の間のような、1よりも大きい、好ましくはおよそ2よりも大きい当量比(Φ)を有し、改質燃料84中の好適な水素含有量を確保するようにする。
【0028】
改質器84により、燃料70が第2の加圧作動流体82と反応して、全ての利用可能な酸素が消費又は排除され、高温高圧の改質燃料86を生成するようになる。改質器84から出る改質燃料86の温度は、およそ1400°Fと1700°Fの間とすることができ、改質器84から出る改質燃料86の圧力は、およそ300ポンドと400ポンドとの間とすることができるが、本発明は、請求項において特に記載のない限り、改質燃料86につていのどのような特定の温度範囲又は圧力範囲にも限定されるものではない。改質燃料86中の水素含有量は、特定の実施形態及び運転上の要件に応じて、およそ5体積%、10体積%、又は15体積%よりも多くてもよい。
【0029】
改質燃料86は、改質器84の下流側の高圧タービン60に流れる。改質燃料86は、膨張して高圧タービン60において冷却され、仕事を産出する。具体的には、高圧タービン60を高圧圧縮機56に接続する第1のシャフト64は、高圧タービン60と高圧圧縮機56との間に駆動係合をもたらすことができる。このようにして、高圧タービン60において改質燃料86の膨張によって発生した仕事を用いて、高圧圧縮機56に動力を供給し、又は転回させ、或いは他の方法で作動させ、これにより統合システム50の効率を高めることができる。改質燃料86は、冷却改質燃料88として高圧タービン60から出る。高圧タービン60から出る冷却改質燃料88の温度は、およそ1000°Fと1400°Fの間とすることができ、高圧タービン60から出る冷却改質燃料88の圧力は、およそ200ポンドと300ポンドとの間とすることができるが、本発明は、請求項において特に記載のない限り、冷却改質燃料88につていのどのような特定の温度範囲又は圧力範囲にも限定されるものではない。結果として、冷却改質燃料88は、燃焼器58に導入される前に追加の冷却又は圧力増大を必要としない。冷却改質燃料88中の水素含有量は、特定の実施形態及び運転上の要件に応じておよそ5体積%、10体積%、又は15体積%よりも多くてもよい。
【0030】
燃料スキッド72は、高圧タービン60と燃焼器58との間に流体連通をもたらす。結果として、冷却改質燃料88は、高圧タービン60から燃料スキッド72を通って燃焼器58に流れることができる。燃料スキッド72は、どのような追加の調整又は混合も必要とすることなく、冷却改質燃料88を燃焼器58に供給することができる。代替的に、又は追加として、作動上の要件に応じて、燃料スキッド72は、供給燃料68からの燃料70と冷却改質燃料88を混合することができる。このようにして、燃料スキッド72は、燃料70、冷却改質燃料88及び/又はこれらの組合せを燃焼器58に供給することができる。燃焼器58は、上述のように、燃料スキッド72により供給された種々の燃料を点火して燃焼ガス78を生成し、タービン62を膨張させて仕事を産出する。図2に示すように、燃料スキッド72はまた、マルチスプールガスタービン52以外の別のガスタービン90に流体連通をもたらすことができる。これにより、システム50は、現場で水素リッチ燃料を生成して2以上のガスタービンに供給することが可能になる。
【0031】
図1及び/又は2で説明し例示したシステムは、水素リッチ燃料を供給する方法を提供する。具体的には、本方法は、外気を加圧して第1の加圧作動流体を生成する段階と、追加の加圧のために第1の加圧作動流体の少なくとも一部を第2の加圧作動流体に分流する段階と、を含むことができる。次に、第2の加圧作動流体は、改質器において燃料と混合され、改質燃料を生成することができる。必要に応じて、燃料と第2の加圧作動流体との間の当量比は2よりも大きくすることができる。改質燃料は、タービンを通って流れて改質燃料を冷却し、タービンを通って流れる改質燃料の膨張により実行される仕事を利用して、第2の加圧作動流体を生成することができる。次に、冷却改質燃料が燃焼器に流れて燃焼することができる。代替として、又は追加として、冷却改質燃料は、燃焼前に燃料と混合することができる。
【0032】
本発明で説明されるシステム及び方法は、既存の技術を上回る幾つかの商業的利点を提供することができる。例えば、従来のガスタービンシステムに改質器及び改質プロセスを統合することにより、改質プロセスによって実行される仕事を取り込み又は再利用可能にすることによってガスタービンシステムの全体効率が向上するはずである。改質プロセスからの仕事の再利用又は取り込みを行うことにより改質燃料の冷却が可能になり、改質燃料の輸送又は移送に伴う問題及びコストが低減される。加えて、ガスタービンシステムに統合された単一の改質プロセスは、現場で複数のガスタービンに対して十分な水素リッチ燃料を供給する。
【0033】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、さらに、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0034】
10 システム
12 第1のガスタービン
14 第2のガスタービン
16 供給燃料
18 燃料
20 燃料スキッド
22 第1の圧縮機
24 燃焼器
26 第1のタービン
28 空気
30 第1の加圧作動流体
32 燃焼ガス
34 分流した第1の加圧作動流体
36 第2の圧縮機
38 第2の加圧作動流体
40 改質器
42 改質燃料
44 第2のタービン
46 第2のシャフト
48 冷却改質燃料
49 ガスタービン
50 システム
52 マルチスプールガスタービン
54 低圧圧縮機
56 高圧圧縮機
58 燃焼器
60 高圧タービン
62 低圧タービン
64 第1のシャフト
66 第2のシャフト
68 供給燃料
70 燃料
72 燃料スキッド
74 空気
76 第1の加圧作動流体
78 燃焼ガス
80 分流した第1の加圧作動流体
82 第2の加圧作動流体
84 改質器
86 改質燃料
88 冷却改質燃料
90 ガスタービン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素リッチ燃料を供給するためのシステム(10)であって、
第1の加圧作動流体(76)を生成する低圧圧縮機(54)と、
前記低圧圧縮機(54)の下流側にある燃焼器(58)と、
前記燃焼器(58)の下流側にある低圧タービン(62)と、
前記低圧圧縮機(54)と流体連通し、第1の加圧作動流体の一部(80)を受け取り、第1の加圧作動流体(76)よりも高い圧力を有する第2の加圧作動流体(82)を生成する高圧圧縮機(56)と、
前記高圧圧縮機(56)の下流側にあり、第2の加圧作動流体(82)を受け取って改質燃料(86)を生成する改質器(84)と、
前記改質器(84)の下流側にあり、前記改質燃料(86)を受け取って冷却改質燃料(88)を生成する高圧タービン(60)と、
前記高圧タービン(60)を前記高圧圧縮機(56)に接続し、前記高圧タービン(60)と前記高圧圧縮機(56)との間の駆動係合をもたらす第1のシャフト(64)と、
前記高圧タービン(60)及び前記燃焼器(58)と流体連通し、前記高圧タービン(60)から前記燃焼器(58)への前記冷却改質燃料(88)用の流路をもたらす燃料スキッド(72)と
を備える、システム(10)。
【請求項2】
前記低圧タービン(62)を前記低圧圧縮機(54)に接続する第2のシャフト(66)をさらに含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
第1のシャフト(64)が第2のシャフト(66)と実質的に同心である、請求項2記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記燃料スキッド(72)が、供給燃料(68)を前記燃焼器(58)に接続する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記燃料スキッド(72)が、前記冷却改質燃料(88)を前記供給燃料(68)と混合する、請求項4記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記燃料スキッド(72)が、前記高圧タービン(60)から第3のガスタービン(90)への前記冷却改質燃料(88)用の流路をもたらす、請求項5記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記冷却改質燃料(88)が5体積%以上の水素を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記改質器(84)が触媒コンバータを含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のシステム(10)。
【請求項9】
水素リッチ燃料を供給するための方法であって、
第1の加圧作動流体(76)の一部(80)を第1の圧縮機(54)から第2の圧縮機(56)に分流する段階と、
第2の圧縮機(56)から第2の加圧作動流体(82)を供給する段階と、
燃料(70)を改質器(84)において第2の加圧作動流体(82)と混合し、改質燃料(86)を生成する段階と、
前記改質燃料(86)を第2のタービン(60)に流し、前記改質燃料(86)を冷却する段階と、
第2のタービン(60)を第2の圧縮機(56)に接続し、第2のタービン(60)が第2の圧縮機(56)を駆動するようにする段階と
を含む方法。
【請求項10】
前記冷却改質燃料(88)を燃焼器(58)に流す段階をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記冷却改質燃料(88)を前記燃料(70)と混合する段階をさらに含む、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記燃料(70)を前記改質器(84)において第2の加圧作動流体(82)と約2以上の当量比で混合する段階をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
5体積%超の水素を有する前記改質燃料(86)を供給する段階をさらに含む、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−57613(P2012−57613A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188074(P2011−188074)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)