説明

水素吸蔵合金、水素貯蔵装置および電池。

【課題】Mg,Ni,Mnおよび不可避的不純物からなり、組成比がMg3.00Ni1.26〜5.97Mn0.59〜3.83であることを特徴とする水素吸蔵合金を提供する。
【解決手段】Mg,Ni,Mnおよび不可避的不純物からなり、組成比がMg2.7〜3.3Ni1.65〜2.5Mn0.65〜1.5であることを特徴とする水素吸蔵合金。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素貯蔵、水素輸送、電池電極、ヒートポンプを用いた熱利用システム、触媒、センサー材料、水素同位体の分離、あるいは水素の分離・精製等に利用できる水素吸蔵合金に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー問題や環境問題への有効な対応手段として、水素の利用が有望視されている。そこで容易かつ安全に水素を貯蔵、運搬する手段として、水素吸蔵合金が注目されている。近年、水素吸蔵合金を負極材料に用いたニッケル−水素二次電池が実用化され、高容量、クリーン、ニッケル−カドミウム二次電池と互換性があること、リチウムイオン電池よりも安価であることから、民生用二次電池の一つとして普及が進んでいる。しかしながら、現在、ニッケル−水素二次電池に利用されている水素吸蔵合金は、高価な希土類元素、コバルト等を原料としているため、製造される水素吸蔵合金のコストも高くなるという問題点があった。
【0003】
一般に水素吸蔵合金は、水素と発熱的に反応する発熱型元素と水素と発熱的に反応しない吸熱型元素とから構成される。そして、水素吸蔵合金は、この発熱型元素の種類または結晶構造により、希土類元素系、ラーベス相系、BCC固溶体系、Mg系、等に大別される。原料コストが比較的高価な、希土類元素系、ラーベス相系、およびBCC固溶体系の水素吸蔵合金は、常温常圧付近で水素を吸蔵放出可能なものが多く、電池、電極材料として開発・実用化が進んでいる。一方、原料コストが安価なMg系の水素吸蔵合金は、吸蔵量が多いにもかかわらず、水素の吸蔵・放出に250℃以上の温度が必要であるため、実用化には至っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記、Mg系の水素吸蔵合金としてMgNi系、Mg−希土類元素系、およびMg−Al系、等の水素吸蔵合金が知られている。しかし、これら既存のMg系の水素吸蔵合金には、次のような実用上の問題点がある。すなわち、MgNi系(特開平9−256098およびJ.P.Darnauderyetal.,Int.J.HydrogenEnergy,8,705(1983).など)およびMg−Al系(D.Lupuetal.,Proc.MiamiInternationalSymposiumonMetal−HydrogenSystems,(1981),437−443.など)の水素吸蔵合金は前述のように、水素の吸蔵・放出に200℃以上の温度を必要としエネルギー効率的に不利である。
【0005】
一方、Mg−希土類元素系においては、水素吸蔵温度は改善されているものの、水素放出温度は依然として高いままで、なおかつ、水素放出に伴って合金内で不均化反応が起きるため、可逆的な水素の吸蔵放出に問題が残る。(M.Pezetetal.,J.Less−CommonMet.,74,(1980)427.など)近年、メカニカルアロイング法等による合金の非晶質化やナノクリスタル化、フッ化処理等による表面改質等についても研究され、水素吸蔵温度については改善がなされている。しかしながら、水素放出温度についての改善はわずかで、水素吸蔵合金の作動温度を下げるまでには至っていない。(折茂慎一,藤井博信,BOUNDARY,1996.4.p.36−41.および特開平10−147827など)
【0006】
そこで、本発明は200℃以下の低温における水素放出特性に優れ、材料コストも安価である、新規な水素吸蔵合金、当該合金を含む組成物および金属間化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明をなすにあたり、本発明者らは、数々の試行錯誤の結果、従来のMgとNi、あるいはMgとAlといった2元素を中心としたマグネシウム系水素吸蔵合金(例えば、MgNi、MgAl、MgLa等)、あるいは、それら二元系の結晶構造を維持したまま、その構成元素の一部を他元素で置換したマグネシウム系水素吸蔵合金に固執する限り、200℃以下における水素の吸蔵放出を達成することは困難であるとの考えに達した。そして、200℃以下における水素の吸蔵放出を達成するには、3元素以上であって、これまでのMg系水素吸蔵合金とは異なる結晶構造を有する新規合金系を開拓すべきであるとの観点をたて、この観点をもとに研究を重ね本発明を完成したものである。
【0008】
すなわち、第1の発明は、Mg,Ni,Mnおよび不可避的不純物を含有し、組成比がMg3+aNi2+bMn1+c(但し、a=−1〜1,b=−1〜2,c=−0.45〜2)であることを特徴とする水素吸蔵合金である。
【0009】
第2の発明は、Li,B,C,Al,Si,Ca,Ti,Cr,Fe,Co,Cu,Zn,Nb,Ag,Sn,Pbおよびミッシュメタル元素のうちから選ばれる少なくとも1種以上の元素を、0.01〜20mol%含有することを特徴とする第1の発明に記載の水素吸蔵合金である。
【0010】
第3の発明は、Mg,Ni,Mnを含有し、且つ立方晶系の結晶構造を有する水素吸蔵合金を含むことを特徴とする組成物である。
【0011】
第4の発明は、前記立方晶系の結晶構造の空間群が、Fd−3mであることを特徴とする第3の発明に記載の組成物である。
【0012】
第5の発明は、前記立方晶系の結晶構造の格子定数が、11〜12Åであることを特徴とする第3または第4の発明に記載の組成物である。
【0013】
第6の発明は、前記立方晶系の結晶構造において、Mgの結晶学的サイトが、48f(x,y=1/8,z=1/8)であることを特徴とする第3から第5の発明のいずれかに記載の組成物である。
【0014】
第7の発明は、前記立方晶系の結晶構造において、Niの結晶学的サイトが、32e(x,y=x,z=x)であることを特徴とする第3から第5の発明のいずれかに記載の組成物である。
【0015】
第8の発明は、前記立方晶系の結晶構造において、Mnの結晶学的サイトが、16c(x=0,y=0,z=0)であることを特徴とする第3から第5の発明のいずれかに記載の組成物である。
【0016】
第9の発明は、前記立方晶系の結晶構造において、Mgの結晶学的サイト48fのxが0.83であることを特徴とする第6の発明に記載の組成物である。
【0017】
第10の発明は、前記立方晶系の結晶構造において、Niの結晶学的サイト32eのxが0.80であることを特徴とする第7の発明に記載の組成物である。
【0018】
第11の発明は、発熱型元素としてMgのみを含有し、90℃未満の温度であっても水素を吸蔵・放出することを特徴とする水素吸蔵合金である。尚、発熱型元素とは、1A族〜5A族(ランタノイド、アクチノイドを含む)に属し、水素と発熱的に反応する元素のことをいう。但し、Pdは8族元素であるが、水素と発熱的に反応するため、例外的に発熱型元素に分類される。
【0019】
第12の発明は、大気圧力下における溶解・鋳造法により製造することが可能であることを特徴とする第11の発明に記載の水素吸蔵合金である。
【0020】
第13の発明は、平均粒径が0.5〜250μm、TAP密度が0.5〜4.0g/cmであることを特徴とする、第1から第12の発明のいずれかに記載の水素吸蔵合金または組成物である。
【0021】
第14の発明は、組成比がMg3+aNi2+bMn1+c(但し、a=−0.3〜0.3,b=−0.35〜0.5,c=−0.35〜0.5)であることを特徴とする金属間化合物である。
【0022】
第15の発明は、組成比がMgNiMnであることを特徴とする金属間化合物である。
【0023】
ここで、本発明に係る三元系の水素吸蔵合金であるMg3+aNi2+bMn1+cについて説明する。この合金におけるa,b,cの好ましい範囲は、a=−1〜1,b=−1〜2,c=−0.45〜2である。より好ましくは、a=−0.3〜0.3,b=−0.35〜0.5,c=−0.35〜0.5の範囲である。何となれば、a,b,cがこの範囲外であると、MgNiMnを基本組成とする金属間化合物相の存在割合が低下し、十分な水素吸蔵・放出量が得られなかったり、200℃未満において水素吸蔵は可能だが、水素放出はほとんど起こらなくなることによる。さらに、Mn成分量(すなわち変数c)を変化させることにより、水素放出平衡圧すなわち水素放出温度を制御することが可能となる。
【0024】
さらに加えて、このMg3+aNi2+bMn1+c合金に、Li,B,C,Al,Si,Ca,Ti,Cr,Fe,Co,Cu,Zn,Nb,Ag,Sn,Sb,ミッシュメタル元素(以下、Mmと記載する。)から選ばれる少なくとも1種の元素を0.01〜20mol%添加することにより、水素放出平衡圧や水素吸蔵・放出速度を制御することが可能となる。特に、Si,Coを添加することにより、水素吸蔵・放出速度を上げることができる。
【0025】
前述の本発明に係る三元系の水素吸蔵合金において、基本組成となるMgNiMnは、新規な金属間化合物である。その結晶構造は格子定数は11.56Åの立方晶で、その空間群はFd−3mである。Mg,Ni,Mnの結晶学的サイトは、それぞれ、48f(x=0.83,y=1/8,z=1/8),32e(x=0.80,y=x,z=x),16c(x=0,y=0,z=0)と考えられる。図1にその構造を示す。
【0026】
そしてこのMgNiMnを基本組成とする金属間化合物は、組成にある程度の自由度がある。そのためMg,Ni,Mnの比は厳密に3:2:1の比である必要はなく、例えば3:1.8:1.2等の組成比を有する金属間化合物も存在すると考えられる。この金属間化合物中のMg,Ni,Mnの組成比を変化させることにより、格子定数をある程度の範囲で制御することできる。格子定数は、水素放出平衡圧すなわち水素放出温度に関係し、格子定数の好ましい範囲は11〜12Å、より好ましくは11.4〜11.7Åである。そして、前記金属間化合物中のMg,Ni,Mnの組成比を変化させることのできる範囲は、組成比をMg3+aNi2+bMn1+cとしたとき、a=−0.3〜0.3,b=−0.35〜0.5,c=−0.35〜0.5と考えられる。
【0027】
この結晶構造には、図2に示されるような、吸熱型元素(すなわち水素と発熱的には反応しない元素)であるNiとMnを有する三次元的なネットワークが結晶内に張り巡らされている。(但し、図2における直線は単位胞を示す。)そして吸熱型元素は、発熱型元素よりも水素原子との結合が弱いため、このNiとMnを有するネットワークは、水素吸蔵時においては粒子内部への水素拡散を補助する水素通路となり、水素放出時においては粒子表面への水素拡散を補助する水素通路となることで、200℃未満での水素の吸蔵・放出を可能にすると推測される。
【0028】
この金属間化合物MgNiMnは、室温において0.01〜1MPa、100℃において0.1〜10MPaの水素放出平衡圧を示し、MgNi合金で困難と考えられていた200℃をはるかに下まわる温度、例えば室温〜90℃においても水素を吸蔵・放出することができる。この金属間化合物を生成させることで、安価なMg系水素吸蔵合金を室温付近で利用することが可能になる。
【0029】
この金属間化合物を生成させた水素吸蔵合金は、大気圧力下における溶解・鋳造法において製造することが可能である。すなわち長時間作業や製造コストを必要とするメカニカル法や反応焼結法等による必要がないため、材料コストだけでなく製造コストまでも安価に抑えることができる。そしてこの金属間化合物を生成させた水素吸蔵合金の鋳塊を粉砕したものが、水素吸蔵合金を含む組成物であり、前述したニッケル−水素二次電池、等への適用が考えられている。
【0030】
次に、この水素吸蔵合金を含む組成物が具備すべき、平均粒径およびTAP密度について説明する。平均粒径は0.5〜250μm、TAP密度は0.5〜4.0g/cmが望ましい。何となれば、平均粒径が250μmより大きいと水素吸蔵・放出速度が遅くなり、0.5μm未満では、フィルターの目詰まりを起こしたり、粒子内部への腐食が進行するためである。また、TAP密度が0.5g/cm未満だと体積あたりの水素吸蔵量が少なくなりすぎ、さらに、取り扱いが困難となる。逆に4.0g/cmより大きいと、水素の吸蔵・放出に伴う膨張・収縮による体積変化により、容器を破損する危険性があるからである。
【発明の効果】
【0031】
以上詳述したように、本発明は、新規なMg,Ni,Mnおよび不可避的不純物を含有し、組成比がMg3+aNi2+bMn1+c(但し、a=−1〜1,b=−1〜2,c=−0.45〜2)であることを特徴とする水素吸蔵合金を発明し、この合金が200℃をはるかに下まわる温度においても水素を吸蔵・放出することができることを用い、200℃以下の低温における水素放出特性に優れ、材料コストも安価である、新規な水素吸蔵合金、当該合金を含む組成物および金属間化合物の提供を実現した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】金属間化合物Mg3Ni2Mn1の 単位胞の結晶構造を示す図である。
【図2】金属間化合物Mg3Ni2Mn1に おける吸熱型元素のみの結晶構造を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる真空溶解炉の一例の構成を示す縦部分断面である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる真空溶解炉の一例の構成を示す横部分断面である。
【図5】本発明の実施例1における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図6】本発明の実施例2における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図7】本発明の実施例3における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図8】本発明の実施例4における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図9】本発明の実施例5における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図10】本発明の実施例6における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図11】本発明の実施例7における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図12】本発明の実施例8における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図13】本発明の実施例9における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図14】本発明の実施例10における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図15】本発明の実施例11における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図16】本発明の実施例12における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図17】本発明の実施例13における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図18】本発明の実施例14における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図19】本発明の実施例15における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図20】本発明の実施例16における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図21】本発明の実施例17における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図22】本発明の実施例18における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図23】本発明の実施例19における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図24】本発明の実施例20における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図25】本発明の実施例21における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図26】本発明の実施例22における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図27】本発明の実施例1、11、および16における試料の室温における水素の放出速度のグラフを 示す図である。
【図28】本発明の比較例における試料の放出側PCT特性のグラフを示す図である。
【図29】実施例8〜22における水素吸蔵合金試料の、合金組成と添加元素および添加元素の添加量を 記載した一覧表を示す図である。
【図30】ジーベルツ式PCT測定装置の模式的な概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここで図を参照しながら、まず本発明の実施の形態にかかるMg系水素吸蔵合金の製造方法について説明し、次に製造されたMg系水素吸蔵合金の構造解析結果、特性評価方法とその評価結果とについて説明する。
【0034】
但し、本発明の実施の形態にかかるMg系水素吸蔵合金の製造方法としては、以下に説明する溶解鋳造法以外にも、アーク溶解法、メルトスピニング法、アトマイズ法、メカニカルアロイング法および反応焼結法等も可能である。
【0035】
図3は本発明の実施の形態にかかるMg系水素吸蔵合金を、溶解鋳造法にて製造する際に用いる真空溶解炉の構成の一例を示す縦部分断面、図4は本発明の実施の形態にかかるMg系水素吸蔵合金を製造する際に用いる真空溶解炉の構成の一例を示す横部分断面である。なお、図3、4において対応する部分には同一の符号を付して示した。
【0036】
図3、4に示されるように、真空溶解炉は、真空チャンバー1と、この真空チャンバー1内に設けられた高周波加熱方式のルツボ2、鋳型3、等で構成されている。
【0037】
真空チャンバー1は、内部を真空排気するための真空ポンプ11有し、また、ルツボ2に原料を供給したり、鋳型3から鋳込まれた水素吸蔵合金を取り出したりするための開閉自在の扉12を有している。さらに、Ar、等の不活性ガスを導入できる不活性ガス導入パイプ13および不活性ガス雰囲気を形成するための気体排出パイプ14を有している。なお、これらパイプには、パイプの導通を開閉できるコック13a,14aがそれぞれ設けられている。
【0038】
ルツボ2は、原料を反応させる加熱炉であり、セラミックスの焼結体やカーボン等で構成され上部に開口部を有する容器であって、外周部には高周波加熱するための誘導コイル21が設けられている。また、図4に示されるように、ルツボ2は、支持腕22に取りつけられている。支持腕22は真空チャンバー1の壁部を気密を保ちながら貫通して回転自在に取付られている。これにより、外部から支持腕22を回転操作することにより、ルツボ2を回転して内部の溶解物を鋳型3に注ぎ込むことができるようになっている。
【0039】
さらに図3に示されるように、るつぼ2の上部開口部は、必要に応じて蓋体23によって密閉できるようになっている。この蓋体23は、支持棒23aに取付られ、この支持棒23aは、真空チャンバー1の壁部を気密を維持しながら貫通しつつ上下動自在に取付られている。これにより、外部から支持棒23aを上下操作することにより、蓋体23を上下させてルツボ2の上部開口部を密閉し、また密閉を解除できるようになっている。
【0040】
鋳型3は、ルツボ2で溶解反応した合金を鋳込んで所定の形状の水素吸蔵合金に形成するものであり、Cu、カーボン、等で構成され、鋳型台31上に設置される。なお図示していないが、真空チャンバー1には、内部を観察しながら、ルツボ2を操作できるように、観察窓が設けられている。
【0041】
上述の真空溶解炉を用いて、水素吸蔵合金を次のようにして製造する。
(1)原料の準備ルツボ2に原料であるMg、Mn、並びにNiを所定の仕込量に合わせて装填する。なお、Mg、Mn、Ni以外の元素を添加する際も、この時一緒に装填するのが作業性の点から好ましい。上記原料の純度は好ましくは99.9%以上で、形状はインゴット、ショット、薄片状、粉末、等のいずれでも良い。但し、前記仕込量とは、原料が合金となったとき、所定の合金組成となるように適宜調整したものである。
【0042】
(2)真空溶解炉内の雰囲気の置換上記原料の装填が終了したら、真空チャンバー1の扉12を閉め、真空チャンバー1内部を真空ポンプ11によって真空度が50Pa以下になるまで真空排気する。次に、コック13aを開き、パイプ13を通じてAr等の不活性ガスを真空チャンバー1内に導入する。真空チャンバー1内が不活性ガスで満されて大気圧になったら、コック14aを開き、真空チャンバー1内を不活性ガス雰囲気にする。ガスフロー量は、雰囲気中の酸素ガス濃度が50ppm以下に保持できる流量とする。
【0043】
(3)加熱反応上記真空チャンバー1内の雰囲気置換を行なって不活性ガスフロー雰囲気にしたら、誘導コイル21に高周波電力を印加し、ルツボ2内の原料を加熱して所定の昇温速度で設定温度まで昇温する。設定温度は、装填原料の溶解温度とし、設定温度に到達したら保持時間は20分程度かそれ以下で良い。
【0044】
(4)鋳込み上記所定の保持時間が過ぎたら、支持腕22を操作して、ルツボ2を回転・傾斜させ、ルツボ2内の溶解物を鋳型3に流し込み、鋳造を行なう。鋳塊の温度が100℃以下になったのを確認してガスフローを終了し、扉12を開け、鋳型3内の合金を取り出す。
【0045】
上述の方法で得られた水素吸蔵合金の鋳塊を、乳鉢等を用いて粒径250μm以下になるまで粉砕し、水素吸蔵合金を含む組成物の試料とした。
【0046】
(5)PCT線測定による水素吸蔵特性の評価前記試料の水素吸蔵量およびPCT(水素圧−組成−温度)特性はジーベルツ式のPCT測定装置を用いて評価した。
【0047】
ここで、図30を用いてジーベルツ式のPCT測定装置について簡単に説明する。図30はジーベルツ式のPCT測定装置の概念図である。不活性ガスボンベ101および水素ガスボンベ102より、適宜に取り出されたガスは各々バルブV1、V2およびV3を通過して試料セル104に至る。このガスの圧力は圧力計103により測定される。試料セル104には水素吸蔵合金試料が設置され、ヒーターまたは恒温槽105により所望の温度に設定される。水素吸蔵合金試料の水素吸蔵量測定時にはバルブV3およびV8が閉じられ、配管と、試料セル104と、標準容積セル106、107とにて形成された閉空間中での、水素ガスの圧力が前記圧力計103にて測定される。尚、この時バルブV6、V7を適宜に開閉することで前記閉空間の容積を何段階かに設定することができる。そして試料セル104にはバルブV5が設けられている。一方、試料セル104内を真空にする際はバルブV3が閉じられ真空系109の端末に設置された真空ポンプにより真空引きが行われる。真空溜め108は前記真空引きの際、高圧ガスにより真空ポンプが破壊されるのを防ぐために設けられている緩衝容器で、上部に真空計111(例えば、ピラニゲージ)が設置されている。測定装置内を真空引きするときは、この真空計111にて測定系内の真空度を測定できるようになっている。さらにバルブV2とV3との間にはバルブV4を介して排気系110が設けられ、測定装置内の排気の際に用いられる。
【0048】
次にジーベルツ式のPCT測定装置を用いた、水素吸蔵特性、および水素の放出速度の評価方法について説明する。
(a)前記試料1gを試料セル104に装填し、ジーベルツ式PCT測定装置に取り付ける。
(b)室温下で系内を100Pa以下まで真空排気した後、試料を300℃まで昇温し、さらに30分間脱気処理をおこなう。
(c)真空排気を継続したまま、試料温度を、PCT特性評価をおこなう温度(100℃)まで降温する。
(d)試料温度の安定を確認した後、JISH7201に準拠したPCT特性評価をおこない、PCT線を得た。
(e)得られた曲線状のPCT線のプラトー部(傾きが比較的平坦な部分)が示す水素の平衡圧をもって、水素放出平衡圧とした。しかし、得られた曲線状のPCT線において前記プラトー部が明確でない場合は、PCT線の傾きが緩やかになっている範囲の中央値を水素放出平衡圧とみなした。なお、前記特性評価の際、水素ガスとして純度99.999%以上のものを用いた。
【0049】
この結果、前記試料は、Mg系水素吸蔵合金で困難と考えられていた200℃をはるかに下まわる温度(90℃未満)でも水素を吸蔵・放出することができ、安価なMg系水素吸蔵合金を室温付近で利用できることが判明した。
【0050】
(6)ジーベルツ式PCT測定装置を用いた室温における水素吸蔵特性、および水素の放出速度の評価前記ジーベルツ式PCT測定装置を用いて、水素吸蔵合金試料の室温における水素吸蔵特性、および水素放出速度の評価を下記の操作により実施した。
(a)前記試料1gを試料セル104に装填し、ジーベルツ式PCT測定装置に取り付ける。
(b)室温下で系内を100Pa以下まで真空排気した後、試料を300℃まで昇温し、さらに30分間脱気処理をおこなう。
(c)真空排気を継続したまま、試料を100℃まで降温する。
(d)試料温度の安定を確認した後、試料セル104内を約5MPaの水素雰囲気とし、試料に水素を吸蔵させる。
(e)試料セル104内の圧力減少が見られないことを規準として、試料が水素吸蔵を完了したことを確認し、約5MPaの水素雰囲気を保ったまま、試料を室温まで放冷する。
(f)室温まで放冷したら、試料セル104内で吸蔵されずに残留している約5MPaの水素雰囲気を1kPaまで真空排気し、試料セル104内が1kPaになったら真空排気系109につながるバルブV8を閉じる。これで、試料セル104、標準容積セル106、107および配管は閉鎖系となり定容積部とみなすことができる。
(g)前記試料セル104、標準容積セル106、107および配管が形成する定容積部の圧力変化を観測し、試料が吸蔵していた水素を前記定容積部(27cm)に水素を放出する水素放出速度を測定した。
(h)前記(g)に記載した試料が水素放出を完了して、室温にて圧力変化が観測されなくなるまで放置し、このとき測定された圧力を室温における水素放出平衡圧とみなした。なお、前記特性評価の際、水素ガスとして純度99.999%以上のものを用いた。
【0051】
以下、実施例に基づいて、本願発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
原料として純度99.9%以上のMg、Niのショットおよび薄片状のMnを準備した。次に、仕込み組成をMg3.30Ni1.65Mn0.99(a=0.30,b=−0.35,c=−0.01)、仕込み総重量が200gとなるように各原料を秤量後、高周波加熱式ルツボ2内にMg、Mn、およびNiをそれぞれ装填した。
【0052】
真空チャンバー1を密閉後、真空度50Paまで排気し、Arガス2l/minのガスフロー雰囲気とした後、加熱を開始した。ルツボ2の温度が300℃を超えたところで、蓋体23を下げてルツボ2を密閉した。ルツボ2の温度が1000℃になったら、高周波出力を下げ、1000℃で5分間保持した後、ルツボ2内の溶解物を鋳型3に流し込み鋳造をおこなって鋳塊を得た。なお、保持温度である1000℃までの平均昇温速度は21℃/minとした。得られた鋳塊の組成分析をおこなったところ、Mg3.30Ni1.77Mn1.00であることがわかった。この鋳塊を250μm以下に粉砕して、Mg3.30Ni1.77Mn1.00試料とした。試料の平均粒径は110μmで、TAP密度は2.1g/cmであった。
【0053】
X線回折により、この試料の主相の結晶構造を解析した結果、格子定数は11.56Å、空間群Fd−3mの立方晶で、Mg,Ni,Mnは、それぞれ48f(x=0.826,y=1/8,z=1/8),32e(x=0.795,y=x,z=z),16c(x=0,y=0,z=0)で示される結晶学的サイトに位置していることがわかった。
【0054】
この試料の100℃、80℃および60℃におけるPCT特性評価をおこなった。この結果得られた、100℃および60℃における放出側のPCT線を図5に示す。尚、図5に示すPCT線より水素放出平衡圧を求めるにあたり、PCT線の傾きが緩やかになっている範囲の中央値を水素放出平衡圧とみなした。すると100℃における水素放出平衡圧は約1MPa、60℃における水素放出平衡圧は約0.2MPaであり、同様に80℃における水素放出平衡圧は約0.4MPaであった。以上より、この試料は、90℃未満の温度でも水素吸蔵放出が十分可能であることが判明した。そして、前記ジーベルツ式PCT測定装置を用いた室温における水素吸蔵特性の評価により、室温における水素放出平衡圧を評価したところ約0.05MPaであることが判明した。
【0055】
(実施例2)
各原料の仕込み組成をMg3.30Ni1.65Mn0.66(a=0.30,b=−0.35,c=−0.34)とし、他は実施例1と同様にして水素吸蔵合金試料を調製した。但し、鋳造時の温度は965℃、平均昇温速度は20℃/minとした。得られた鋳塊の組成分析をおこなったところ、Mg3.30Ni1.68Mn0.65であることがわかった。鋳塊を250μm以下に粉砕して、Mg3.30Ni1.68Mn0.65試料とした。試料の平均粒径は35μmで、TAP密度は2.3g/cmであった。そしてX線回折測定により、格子定数は11.55Åで、実施例1とほぼ同様な結晶構造を持つことを確認した。
【0056】
実施例1と同様に100℃におけるPCT特性評価をおこなったところ、図6に示す結果を得、水素放出平衡圧は約0.6MPaであった。実施例1と比較すると、水素放出平衡圧は1MPa以下に低下したが、水素放出を確認できることから、実施例1と同様に100℃の温度でも水素吸蔵放出が十分可能であることが判明した。
【0057】
(実施例3)
各原料の仕込み組成をMg3.30Ni1.65Mn1.33とし、他は実施例1と同様にして水素吸蔵合金試料を調製した。但し、鋳造時の温度は970℃、平均昇温速度は20℃/minとした。得られた鋳塊の組成分析をおこなったところ、Mg3.30Ni1.90Mn1.42であることがわかった。鋳塊を250μm以下に粉砕して、Mg3.30Ni1.90Mn1.42試料とした。試料の平均粒径は12μmで、TAP密度は2.0g/cmであった。そしてX線回折測定により、格子定数は11.52Åで、実施例1とほぼ同様の結晶構造を持つことを確認した。
【0058】
実施例1と同様に100℃におけるPCT特性評価をおこなったところ、図7に示す結果を得、水素放出平衡圧は約2MPaであった。実施例1と比較すると、PCT線のプラトー部が傾きを増しているが、水素放出平衡圧は1MPa以上を示している。すなわち、放出平衡圧が、実施例1、2よりも高くなっていることから、100℃以下の水素放出特性は実施例1、2より優れていることが判明した。
【0059】
(実施例4)
各原料の仕込み組成を適宜に設定し、他は実施例1と同様にして、組成がMg2.80Ni2.12Mn1.03となる水素吸蔵合金試料を調製した。X線回折測定により、この試料にもMgNiMn相が存在することを確認した。実施例1と同様に100℃におけるPCT特性評価をおこなったところ、図8に示す結果を得、水素放出平衡圧は約1MPaであった。この合金組成についても、実施例1と同様に100℃の温度でも水素吸蔵放出が十分可能であることが判明した。
【0060】
(実施例5)
各原料の仕込み組成を適宜に設定し、他は実施例1と同様にして、組成がMg3.00Ni1.72Mn1.05となる水素吸蔵合金試料を調製した。X線回折測定により、この試料にもMgNiMn相が存在することを確認した。実施例1と同様に100℃におけるPCT特性評価をおこなったところ、図9に示す結果を得、水素放出平衡圧は約2MPaであった。この合金組成についても、実施例1と同様に100℃の温度でも水素吸蔵放出が十分可能であることが判明した。
【0061】
(実施例6)
各原料の仕込み組成を適宜に設定し、他は実施例1と同様にして、組成がMg3.05Ni1.01Mn0.61となる水素吸蔵合金試料を調製した。X線回折測定により、この試料にもMgNiMn相が存在することを確認した。実施例1と同様に100℃におけるPCT特性評価をおこなったところ、図10に示す結果を得、水素放出平衡圧は約2MPaであった。この合金組成についても、水素吸蔵・放出量は少ないが、実施例1と同様に100℃の温度でも水素吸蔵放出が可能であることが判明した。
【0062】
(実施例7)
各原料の仕込み組成を適宜に設定し、他は実施例1と同様にして、組成がMg2.00Ni3.98Mn2.55となる水素吸蔵合金試料を調製した。X線回折測定により、この試料にもMgNiMn相が存在することを確認した。実施例1と同様に100℃におけるPCT特性評価をおこなったところ、図11に示す結果を得、水素放出平衡圧は約3MPaであった。この合金組成についても、水素吸蔵・放出量は少ないが、実施例1と同様に100℃の温度でも水素吸蔵放出が可能であることが判明した。
【0063】
(実施例8〜22)
Mg,Ni,Mnの各原料の仕込み組成を実施例1と同様に設定し、このMg,Ni,Mnの各原料の仕込み時点において、さらに、それぞれLi,B,C,Al,Si,Ca,Ti,Cr,Fe,Co,Cu,Zn,Nb,Ag,Sn,Pb,Mmの各元素を添加し、実施例1と同様に水素吸蔵合金試料を調製した。今回はそのうちから、B,C,Al,Si,Ca,Ti,Cr,Fe,Co,Cu,Zn,Sn,Pb,Mmの各元素を添加した試料をもって実施例8〜22とした。
【0064】
図29に、実施例8〜22において調製された水素吸蔵合金試料の合金組成、添加された元素とその添加量(mol%)を示す。但し、図29に示す水素吸蔵合金試料の合金組成は、試料鋳造後に分析により測定した値である。X線回折測定により、これらいずれの試料にもMgNiMn相が存在することを確認した。次に、この実施例8〜22の水素吸蔵合金試料において、実施例1と同様の100℃におけるPCT特性評価をおこない、それぞれ図12〜26に示す結果を得た。このときの100℃における水素放出平衡圧を図29に示した。得られた図12〜26に示す結果より、実施例8〜22において調製された水素吸蔵合金試料も100℃の温度で水素吸蔵放出が可能であることが判明した。また、Li,Nb,Agを添加して調製された水素吸蔵合金試料においても、MgNiMn相が存在し、100℃の温度で水素吸蔵放出が可能であることが判明した。
【0065】
また、実施例1および実施例8〜22において調製された水素吸蔵合金試料をもちいて、前記ジーベルツ式PCT測定装置を用いた室温における水素の放出速度の測定を実施した。その測定結果の一例を図27に示す。これより、水素吸蔵合金試料に前記添加元素を添加することで、試料の水素吸蔵速度を制御できることが判明し、さらに実施例11および実施例16においては、実施例1と比較して水素放出速度が大きく向上することも判明した。以上のことより、本発明に係るMg3+aNi2+bMn1+c組成を有する水素吸蔵合金へ、実施例8〜22に記載した添加元素を添加することにより、水素放出平衡圧や水素吸蔵・放出速度の制御が可能であることが判明した。また、前記Li,Nb,Agを添加元素とした、本発明に係るMg3+aNi2+bMn1+c組成を有する水素吸蔵合金試料においても、実施例8〜22と同様に、水素放出平衡圧や水素吸蔵・放出速度の制御が可能であることが判明した。
【0066】
(比較例)
比較例として、従来のMgNi合金を下記の方法により調製し、PCT特性評価をおこなった。純度99.9%以上のMg、およびNiのショットを準備した。次に、仕込み組成をMg2.00Ni1.00、仕込み総量として200gとなるように各原料を秤量後、高周波加熱式ルツボ2内にMg、およびNiをそれぞれ装填した。
【0067】
真空チャンバー1を密閉後、真空度50Paまで排気し、Arガス2l/minのガスフロー雰囲気とした後、加熱を開始した。ルツボ2の温度が300℃を超えたところで、蓋体23を下げてルツボ2を密閉した。ルツボ2の温度が900℃になったら、高周波出力を下げ、900℃で5分間保持した後、ルツボ2内の溶解物を鋳型3に流し込み鋳造をおこなって、鋳塊を得た。なお、保持温度の900℃までの平均昇温速度は24℃/minであった。得られた鋳塊を250μm迄粉砕して、MgNi試料とした。
【0068】
この試料の100℃におけるPCT特性評価をおこなったが、水素の吸蔵放出を観測することができず、PCT特性評価はできなかった。そこで、250℃および300℃においてPCT特性評価をおこない、その結果を図28に示した。これによれば、250℃および300℃における、従来のMgNi合金の水素放出平衡圧はそれぞれ約0.1MPaおよび0.3MPaである。以上のことから、従来のMgNi合金は200℃以下の温度では水素の吸蔵放出をほとんど起こさないことが判明した。
【符号の説明】
【0069】
1.真空チャンバー
2.ルツボ
3.鋳型
11.真空ポンプ
21.誘導コイル
23・蓋体
23a.支持棒
31.鋳型台
101.不活性ガスボンベ
102.水素ガスボンベ
103.圧力計
104.試料セル
105.ヒーターまたは恒温槽
106.標準容積セル
107.標準 容積セル
108.真空溜め
109.真空系
110.排気系
111.真空計
V1〜V8.バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mg,Ni,Mnおよび不可避的不純物からなり、組成比がMg3.00Ni1.26〜5.97Mn0.59〜3.83であることを特徴とする水素吸蔵合金。
【請求項2】
Li、B,C,Al,Si,Ca,Ti,Cr,Fe,Co,Cu,Zn,Nb,Ag、Sn,Pbおよびミッシュメタルのうちから選ばれる少なくとも1種以上を、0.01〜20mol%含有することを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵合金。
【請求項3】
立方晶系の結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵合金。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の水素吸蔵合金を用いたことを特徴とする水素貯蔵装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の水素吸蔵合金を用いたことを特徴とする電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−122140(P2012−122140A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−290054(P2011−290054)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2001−151443(P2001−151443)の分割
【原出願日】平成13年5月21日(2001.5.21)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【Fターム(参考)】