説明

水素製造方法及び装置

【課題】炭素材料と水蒸気との反応効率ひいては水素発生効率をさらに向上させることのできる水素製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】反応器10内に供給される炭素材料2と水蒸気1とにマイクロ波を照射する。マイクロ波により炭素材料を加熱して水蒸気と反応させることにより、水素と一酸化炭素を発生させる。この水素製造過程において、反応器10内で水蒸気の旋回流18を形成し、この水蒸気旋回流により炭素材料の水蒸気内での空中滞留時間を確保する。この空中滞留空間で炭素材料及び水蒸気にマイクロ波を照射することにより、水素と一酸化炭素を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンと水蒸気とを加熱反応させることにより水素を生成する水素製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2には、本願発明者らが先に提案した水素製造装置を示す。この従来技術は、特開2006−89322号公報に開示されている。この水素製造装置によれば、反応器20の上部には、蒸気配管21とカーボン供給口23とが設けられる。カーボン供給口23を介して供給されるカーボン2と蒸気配管21を介して供給される水蒸気1は、反応器20内に設置された多孔板24上に保持される。マイクロ波27は、導波管26を経て反応器20内に照射される。マイクロ波照射によって、炭素材料は自己加熱し1000℃程度まで昇温する。1000℃の条件下では、炭素と水蒸気は以下のように反応し、水素及び一酸化炭素を発生する。この水素及び一酸化炭素は、符号28に示すように反応器20の下部に設けた排出ポート22を介して外部に放出される。なお、符号の25は、金属遮蔽板である。
【0003】
C+HO→CO+H
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−89322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来方式は、炭素材料を多孔板上に堆積した状態で水蒸気を流通させる形式であり、反応器を小型にして高効率に水素を発生させることが可能である。ただし、炭素材料同士が接触する箇所においては、蒸気が接触しないことも考えられ、その分だけ、反応面積が犠牲になることも考えられる。
【0006】
また、マイクロ波により加熱された炭素材料のうち反応器内壁に接する箇所では、壁材による吸熱により温度が低下し、その部分での反応が抑制されることも考えられる。
【0007】
本願発明は、上記課題を解決して、炭素材料と水蒸気との反応効率ひいては水素発生効率をさらに向上させることのできる水素製造方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、反応器内に供給される炭素材料と水蒸気とにマイクロ波を照射し、前記マイクロ波により前記炭素材料を加熱して前記水蒸気と反応させることにより、水素と一酸化炭素を発生させる水素製造方法において、
反応器内で前記水蒸気の旋回流を形成し、この水蒸気旋回流により前記炭素材料の水蒸気内での空中滞留時間を確保し、この空中滞留領域で前記炭素材料及び水蒸気にマイクロ波を照射することにより、水素と一酸化炭素を発生させることを特徴とする。
【0009】
上記水素製造方法を実施するための装置を、次のように構成する。
【0010】
炭素材料と水蒸気とが供給される水素製造用の反応器と、反応器内に供給される炭素材料と水蒸気とにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置とを備える。さらに、反応器内で水蒸気の旋回流を形成し、この水蒸気旋回流により反応器内での炭素材料へのマイクロ波照射に必要な空中滞留時間を確保するサイクロン部を有する。また、前記マイクロ波照射装置は、反応器内の炭素材料の空中滞留領域にマイクロ波を照射するように設けられている。
【0011】
本願発明によれば、粉体或いは粒状体の炭素材料は、水蒸気旋回流により反応器内で空中滞留(空中浮動)した状態を作り出すことが可能となり、またその空中滞留に必要時間、すなわち水素発生のための水蒸気及び炭素材料の加熱反応(マイクロ波照射)に必要な空中滞留時間を確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、マイクロ波照射時に、粉体或いは粒状体の炭素材料が空中滞留状態にあるので、炭素材料同士の接触や炭素材料と反応器壁面との接触を極力なくし、また、接触したとしても直ぐに離れるので、炭素材料の粉体や粒状体が水蒸気とほとんど全表面積に対して加熱反応することができ、反応効率が向上し、高効率の水素製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施例に係る水素製造装置の概略断面構成図。
【図2】従来の水素製造装置の一例を示した概略断面構成図。
【図3】炭素材料へマイクロ波を照射して加熱試験を行った実験結果を示す図。
【図4】上記実施例による水素及び一酸化炭素の生成試験結果を示す図。
【図5】各種物質の比誘電率を比較して示す図。
【図6】本発明の第2実施例に係る水素製造装置の概略断面構成図。
【図7】本発明の第3実施例に係る水素製造装置の概略断面構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例を図1及び図6ないし図7を用いて説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の第1実施例に係る水素製造装置の構成図である。
【0015】
本例のサイクロン型反応器10は、縦型の筒型形状をなし、その内部の上部に、反応器10のハウジング10A上部の内径よりも小径な縦穴状の筒状ダクト11が設けられる。この筒状ダクト11の外周と反応器10のハウジング上部内周との間の環状空間10Bにより、サイクロン部の水蒸気旋回流18を形成するための空間10Bが形成される。
【0016】
反応器10の上部周壁或いは上部に、水蒸気1と粉体或いは粒状体の炭素材料2を反応器10内に射出する原料供給ポート19が設けられる。炭素材料2は、微粉炭などであり、バイオマス等からも製造可能である。
【0017】
水蒸気の供給配管13には、炭素材料搬送用の配管14の供給口15が接続され、炭素材料2を、反応器10内に供給される前の搬送過程において、水蒸気と合流させる配管系が構成されている。合流した水蒸気1と炭素材料2は、原料供給ポート19を介して一緒に反応器10内の水蒸気旋回流形成用空間10B内に射出される。
【0018】
反応器10内の旋回流形成用空間10B及び筒状ダクト11と反応器10の内底との間に、マイクロ波17の照射領域10Cが設けられる。
【0019】
マイクロ波17は、マイクロ波照射装置30の導波管16を介して金属遮蔽板4に囲まれた反応器10に照射される。金属遮蔽板4は、反応器周囲に漏洩しようとするマイクロ波を反応器10に反射し、反射マイクロ波も炭素材料に吸収させる役割を果たす。金属遮蔽板4は、既存の種々の部材を使用することが可能である。
【0020】
マイクロ波17の照射により炭素材料2が加熱され、この炭素材料が水蒸気1と反応して生成されたガス28(水素及び一酸化炭素)が筒状ダクト11を介して反応器外に導かれる構造を有している。
【0021】
ここで、反応器10の材質、仕様の一例について説明する。
【0022】
一般に誘電体がマイクロ波電磁場中に置かれると、誘電体を構成した双極子が電界の極性変化により、激しく振動する。この際に双極子振動が外部電界に追従できなくなると熱が発生し、誘電体の温度を上昇させる。単位体積あたりの誘電体の発熱量Qは、以下式となる。
【0023】
Q=2π×ε×f×E×ε×tanδ
ここで、εは真空の誘電率、fはマイクロ波周波数、Eは電界強度、εは比誘電率、tanδは誘電正接である。特にε×tanδを誘電損失と呼ぶ。図5には、各種物質の比誘電率の比較を示す。仮に反応器10の材質を炭素に近い比誘電率を選択した場合には、炭素同様にマイクロ波を吸収し反応器自身が加熱されてしまうので、好ましくない。したがって、本実施例では、マイクロ波は、炭素材料を効率良く加熱するための周波数を選択するため、反応器10の材質は、アルミナやセラミックスのように、炭素と比誘電率ε×tanδ、つまり誘電損失が顕著に小さい高融点物質で構成することが好ましい。アルミナやセラミックスを使用すれば、マイクロ波を炭素材料のみに選択的に吸収加熱することが可能となる。
【0024】
例えば、マイクロ波照射装置は、50〜100W程度であり、周波数が2,500MHzである。
【0025】
サイクロン部の仕様は様々であり、一例をあげれば、例えば、反応器10の縦の長さが1500mm、内径が530mm、ダクト11の外径が210mm、ダクト長が350 mm程度である。水蒸気の旋回流18を形成するためには、原料供給ポート19は、その噴射方向が反応器の径方向に対して斜めの角度をなすように配置され、例えば水蒸気を流量1.5m3/sで射出する。
【0026】
マイクロ波17の照射領域10Cの容量は、炭素材料2が1000℃程度に加熱され水蒸気1と反応して水素ガスと一酸化炭素を発生できる空中滞留時間を確保できるように設定される。例えば、50〜100W程度のマイクロ波の照射条件において、10秒以上の滞空時間を確保できる容量に設定すればよい。図3には、本発明者らが実験で上記マイクロ波を微粉炭に照射して加熱した時の、カーボンの温度の時間変化を示す。
【0027】
マイクロ波のパワーに依存するが、本実験結果から、10秒以下でカーボン温度が100℃を超えていることが判る。このような急速な昇温過程は、通常の熱伝達に依存する加熱方法では困難であり、本実施例により効率良くカーボンが加熱されることが判る。
【0028】
さらに、図4は、本発明者による、炭素材料と水蒸気の熱反応からの水素及び一酸化炭素の生成試験結果を示すものである。実験条件が制定した10(無次元時間)以降は、ガス生成も安定し、反応により、時間に対して一定流量割合で、水素及び一酸化炭素が生成していることを確認している。
【0029】
上記構成を用いた水素製造方法を以下に説明する。
【0030】
水蒸気1が蒸気配管13を介して反応器10に搬送される過程で、カーボン供給口15から炭素材料2が蒸気配管13に投入され、炭素材料2を含む水蒸気1が原料供給ポート19を介して反応器10内の環状空間(旋回流形成空間)10Bに供給される。
【0031】
反応器10内の環状空間で炭素材料2を含む水蒸気の旋回流18が形成される。この水蒸気旋回流18及び炭素材料2は、筒状ダクト11の外周に沿いながら下降していきマイクロ波照射空間10Cに至る。マイクロ波照射空間10Cでは、炭素材料2は、水蒸気旋回流の力により水蒸気内での空中滞留時間(例えば10秒前後或いはそれ以上)が確保される。この空中滞留状態(空中浮動状態)で炭素材料及び水蒸気にマイクロ波を照射することにより、炭素材料を1000℃程度まで加熱し、炭素材料が水蒸気と加熱反応することにより、既述した式に基づいて水素と一酸化炭素を発生させる。
【0032】
生成した水素及び一酸化炭素は、余剰の水蒸気と共にガス28としてダクト11を介してサイクロン型反応器10の上部より、反応器外(反応器下流)のガス搬送配管に移送される。
【0033】
本実施例によれば、次のような効果を奏する。
(1)マイクロ波照射時に、微粉炭同士の接触や微粉炭と反応器壁面との接触を極力なくし、また、接触したとしても直ぐに離れるので、微粉炭を均一加熱することが可能になり、微粉炭の水蒸気への加熱反応面積を最大化することで、反応効率が向上し、高効率の水素製造が可能になる。
(2)旋回流水蒸気により微粉炭が一定時間保持される空中滞留空間をマイクロ波を吸収しない材料にて形成することで、マイクロ波は全て炭素材料(微粉炭)に吸収され、炭素材料の加熱効率を高めることができる。
(3)反応器に投与される水蒸気や炭素材料は、単位時間あたりの搬送量を流体速度から求めることができ、炭素材料の量的管理を行うことができる。
[実施例2]
図6に本発明の第2実施例に係る水素製造装置の概略断面構成図を示す。
【0034】
図6において、第1実施例と同一の構成要素に同一の符号を付してある。反応器10の構造、原料供給系及びプラズマ照射系の構成は、第1実施例と同一であるので、その説明を省略する。
【0035】
本実施例において、第1実施例と相違する点は、反応器10のガス排出系に熱交換器30、水凝縮器31、フィルター33を設けた点にある。
【0036】
凝縮器31にて、ガス排出系は水素ガス移送配管35と水排出系配管36とに分岐される。
【0037】
反応器10外に移送されるガス28(水素ガス及び一酸化炭素)は、その移送過程で、熱交換器30と熱交換して100℃以下に冷却される。その際に交換した熱は、水蒸気1を発生させるための熱源として活用することも可能である。ガス28中の残留水蒸気は、凝縮器31にて冷却され残留炭素を含有した凝縮水32となる。凝縮水32からフィルター33を介して固形分の残留炭素が除去され、濾過された水34は、反応用水蒸気1を生成するのに再利用される。
【0038】
本実施例によれば、水素ガス生成後の回収水を反応用の蒸気生成用の水として再利用でき、また、熱交換器30で回収した熱も蒸気生成用の熱として利用できるので、省エネルギーを図ることができる。
【0039】
なお、本実施例では、縦型反応器を例示したが、水素製造は、横型反応器であってもよい。すなわち、横型反応器内で水平方向に進行する水蒸気旋回流を形成して本発明を実行することができる。
[実施例3]
図7に本発明の第3実施例に係る水素製造装置の概略断面構成図を示す。
【0040】
図7において、第1実施例と同一の構成要素に同一の符号を付してある。反応器10の構造、原料供給系の構成は、第1実施例と同一であるので、その説明を省略する。
【0041】
本実施例において、第1実施例と相違する点は、筒状ダクト11Aの外周側に炭素材料を捕集するフィルターを設ける点、及び、マイクロ波照射装置30の導波管と金属遮蔽板を一体構造とした金属遮蔽部4aを設け、マイクロ波照射空間10Cを反応器10の縦方向に拡大した点にある。
【0042】
筒状ダクト11Aの外側面には、炭素材料の粒子径より小さい孔が分布したフィルターが設けられている。このフィルターが反応器内部の炭素材料を捕集するため、反応器下流側に炭素材料が流出することを抑制できる。また、反応器下流側へ炭素材料が流出しないため、反応器の下流側には、反応器から排出される水素と一酸化炭素を二酸化炭素と水に変化させるシフト反応システムを設けることが可能である。同時に、反応器下流側に流出したエネルギーをシフト反応システムに利用することが可能である。なお、前記フィルターは、筒状ダクト11Aの外周面だけでなく、底面にも装着することで、反応器内部の炭素材料をほぼ全量捕集できる。
【0043】
そして、図6に示すマイクロ波照射装置30の導波管16と金属遮蔽板4を図7のように一体構造4aとし、マイクロ波照射空間10Cを反応器10の縦方向に拡大することで、マイクロ波を筒状ダクト11Aに照射させる。筒状ダクト11Aにはフィルターが設けられているため、フィルターに捕集された炭素材料も全てガス化できる。
【0044】
なお、筒状ダクト11Aにフィルターを設ける代わりに、筒状ダクトの側面に設けられた孔を炭素材料より小さい孔径としても、フィルターと同様の効果を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、バイオマスからも製造可能な炭素材料を水素生成の原料とすることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…水蒸気、2…炭素材料、10…反応器、10A…反応器ハウジング、10B…旋回流形成用空間、10C…マイクロ波照射空間、11…筒状ダクト、19…原料投入口、17…マイクロ波、30…マイクロ照射装置、30…熱交換器、31…凝縮器、33…フィルター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器内に供給される炭素材料と水蒸気とにマイクロ波を照射し、前記マイクロ波により前記炭素材料を加熱して前記水蒸気と反応させることにより、水素と一酸化炭素を発生させる水素製造方法において、
反応器内で前記水蒸気の旋回流を形成し、この水蒸気旋回流により前記炭素材料の水蒸気内での空中滞留時間を確保し、この空中滞留領域で前記炭素材料及び水蒸気にマイクロ波を照射することにより、水素と一酸化炭素を発生させることを特徴とする水素製造方法。
【請求項2】
前記炭素材料は、炭素及び炭素含有物質の少なくとも一つからなる粉体或いは粒状体であり、
この炭素材料を、前記反応器内に供給される前の搬送過程において、前記水蒸気と合流させ、合流した前記水蒸気と炭素材料を一緒に反応器内の水蒸気旋回流形成空間内に射出させる工程を有する請求項1記載の水素製造方法。
【請求項3】
炭素材料と水蒸気とが供給される水素製造用の反応器と、反応器内に供給される炭素材料と水蒸気とにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置とを備える水素製造装置において、
前記反応器内で前記水蒸気の旋回流を形成し、この水蒸気旋回流により前記反応器内での前記炭素材料への前記マイクロ波照射に必要な空中滞留時間を確保するサイクロン部を有し、
前記マイクロ波照射装置は、前記反応器内の前記炭素材料の空中滞留領域に前記マイクロ波を照射するように設けられていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項4】
前記反応器内の上部には、反応器のハウジング上部の内径よりも小径な縦穴状の筒状ダクトが設けられ、この筒状ダクトの外周と前記反応器のハウジング上部内周との間の環状空間により、前記サイクロン部の水蒸気旋回流形成用の空間が形成され、
前記反応器の上部に前記水蒸気と前記炭素材料を反応器内に射出する原料供給ポートが設けられ、
前記反応器内の前記水蒸気旋回流形成用の空間と反応器内底との間に、前記炭素材料の空中滞留時間を確保して前記マイクロ波を前記炭素材料に照射するマイクロ波照射空間が設けられ、
前記マイクロ波照射により前記炭素材料を加熱して水蒸気と反応させて生成された水素及び一酸化炭素が、前記筒状ダクトを介して反応器外に導かれる構造を有している請求項3記載の水素製造装置。
【請求項5】
前記炭素材料を前記反応器に供給される前に前記水蒸気と合流させる原料供給配管を有し、この合流した前記炭素材料と水蒸気とを前記原料供給ポートを介して前記反応器内の上部の前記旋回流形成用の空間に射出するようにした請求項3又は4記載の水素製造装置。
【請求項6】
前記反応容器内の前記マイクロ波が照射される空間は、マイクロ波を吸収しない壁材により形成されている請求項5記載の水素製造装置。
【請求項7】
炭素材料と水蒸気とが供給される水素製造用の反応器と、反応器内に供給される炭素材料と水蒸気とにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置とを備える水素製造装置において、
前記反応器内で前記水蒸気の旋回流を形成し、この水蒸気旋回流により前記反応器内での前記炭素材料への前記マイクロ波照射に必要な空中滞留時間を確保するサイクロン部を有し、
前記反応器内の上部には、反応器のハウジング上部の内径よりも小径な縦穴状であり、
前記炭素材料を捕集するフィルターを備える筒状ダクトが設けられ、この筒状ダクトの外周と前記反応器のハウジング上部内周との間の環状空間により、前記サイクロン部の水蒸気旋回流形成用の空間が形成され、
前記反応器の上部に前記水蒸気と前記炭素材料を反応器内に射出する原料供給ポートが設けられ、
前記反応器内の前記水蒸気旋回流形成用の空間、及び前記反応器内の前記水蒸気旋回流形成用の空間と反応器内底との間の空間に、前記炭素材料の空中滞留時間を確保して前記マイクロ波を前記炭素材料に照射するマイクロ波照射空間が設けられ、
前記マイクロ波照射により前記炭素材料を加熱して水蒸気と反応させて生成された水素及び一酸化炭素が、前記筒状ダクトを介して反応器外に導かれる構造を有している水素製造装置。
【請求項8】
炭素材料と水蒸気とが供給される水素製造用の反応器と、反応器内に供給される炭素材料と水蒸気とにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置とを備える水素製造装置において、
前記反応器内で前記水蒸気の旋回流を形成し、この水蒸気旋回流により前記反応器内での前記炭素材料への前記マイクロ波照射に必要な空中滞留時間を確保するサイクロン部を有し、
前記反応器内の上部には、反応器のハウジング上部の内径よりも小径な縦穴状であり、
前記炭素材料より小さい孔径の孔を設けている筒状ダクトが設けられ、この筒状ダクトの外周と前記反応器のハウジング上部内周との間の環状空間により、前記サイクロン部の水蒸気旋回流形成用の空間が形成され、
前記反応器の上部に前記水蒸気と前記炭素材料を反応器内に射出する原料供給ポートが設けられ、
前記反応器内の前記水蒸気旋回流形成用の空間、及び前記反応器内の前記水蒸気旋回流形成用の空間と反応器内底との間の空間に、前記炭素材料の空中滞留時間を確保して前記マイクロ波を前記炭素材料に照射するマイクロ波照射空間が設けられ、
前記マイクロ波照射により前記炭素材料を加熱して水蒸気と反応させて生成された水素及び一酸化炭素が、前記筒状ダクトを介して反応器外に導かれる構造を有している水素製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−222429(P2010−222429A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69512(P2009−69512)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(509082020)
【出願人】(000233228)日立協和エンジニアリング株式会社 (35)