説明

水耕栽培用パネルの浮遊移動方法及び自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル

【課題】作業者に負担をかけずに乱れた浮遊移動状況となっている多数の水耕栽培作物の保護・育成用の水耕栽培用パネルを、乱れた浮遊移動状況に適応して、簡易かつ迅速に多数の水耕栽培用パネル全体が整然とした浮遊移動に移行可能とすること。
【解決手段】一のロットを構成し先行して水耕栽培液槽中に投入されるが乱れた浮遊移動状況となっている多数の自力で浮遊移動制御できない水耕栽培用パネル23の最後尾を、一のロットを構成し横一列を形成するのに必要な複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1を遅れて水耕栽培液槽中に投入しそれぞれの浮遊移動機構9の動作制御による浮遊移動速度と浮遊移動方向変更機構15の動作制御による浮遊移動方向とを制御することにより横一列で浮遊移動するように誘導し複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1により押圧するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のパネルが整然と水耕栽培液槽中を浮遊移動可能となさしめて効率のよい水耕栽培作物の育成を実行すべく、水耕栽培液槽中に投入された多数のパネルが投入直後に乱れた浮遊移動状況となってもスム−ズに係る状況を解消し水耕栽培用パネル全体が整列して浮遊移動するように誘導する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法及び自力浮遊移動可能な水耕栽培用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天候に影響されることなく作物を市場に安定供給すること並びに遊休土地の有効をはかるため、水耕栽培に係る技術開発が活発に行われている。例えば、培養液中の好光性微生物の繁殖を抑制し、且つパネルからの反射光による葉焼けを防止する観点から開発された第一の提案(特開平9−224509)があり、また、栽培作物の生産の前半部の段階においては、比較的狭い間隔での栽培を可能ならしめ、また、中盤をすぎた段階で通常の栽培間隔での栽培に比較的容易に対応することができるようにして、水耕栽培の栽培回転率を高め作付け回数の飛躍的な増加を図る観点から開発された第二の提案(特許第2791781号)がある。
【0003】
これら提案が反映された多数のパネルそれぞれは、水耕栽培液槽に浮遊させるためにパネルをどのようにして投入するのかといった開示はされていない。また多数のパネルが培養液槽中を浮遊する段階になると、後続のパネルを浮遊させるには先行して浮遊させた多数のパネルを所定位置に向けて整然と浮遊移動させる必要があるが、この際に、水耕栽培液の移動抵抗があるため大きな力をパネルに作用させる必要があるにもかかわらず、如何にしてパネルに係る力を作用させるかに関する方策も開示されていない。
【0004】
このため、図12叉は図13に示すように、広大な水耕栽培液槽aを一定間隔で仕切部材bにより、仕切ることにより発芽した直後であって水耕栽培液槽に最初に浸される段階から初期生育段階(以下「第一期育成」という。)の水耕栽培地としての役割を担う第一期育成用分割水耕栽培液槽a1、生育進展段階(以下「第二期育成」という。)の水耕栽培地としての役割を担う育成進展用分割水耕栽培液槽a2、更に育成を進展させて出荷可能な状態まで育成する段階(以下「出荷育成」という。)の水耕栽培地としての役割を担う出荷育成用分割水耕栽培液槽a3として水耕栽培プラントd内に合理的に配設されている水耕栽培現場では、下記に説示する方策により水耕栽培液の移動抵抗を制してパネルcを浮遊移動させている。
【0005】
図10乃至図13に示すように、水耕栽培により水耕栽培作物を育成するプロセスとして、まず、主に、水耕栽培作物fが出荷可能な状態まで育成するのに要する時間と出荷計画から決定される一定の育成開始時間間隔で、所定数量でグル−プ化され多数の植付孔eそれぞれに発芽した水耕栽培作物fが植付けされた先行グル−プのパネルc郡を互いに接触なさしめて前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽a1に投入側a1rから取出側a1sに向けて投入側寄り領域に順次浮遊移動可能且つ互いに接触した状態で浮設される。
【0006】
この後、図12叉は図13に示すように、先行して第一期育成用分割水耕栽培液槽a1に浮設された所定数量からなる先行グル−プのパネルc郡は、遅れて前記した如くして浮設された所定数量からなる後続グル−プのパネルc郡それぞれの第一期育成用分割水耕栽培液槽a1に投入着水させるための作業者がなす投入側a1rから取出a1s側への押出力の作用により取出側a1sに玉突き状に押圧されて取出側a1sに浮遊移動しつつ所要の養分を吸収して発芽した水耕栽培作物fは前記した第一期育成がなされる。
【0007】
係る挙動が所定の育成開始時間間隔で第一期育成用分割水耕栽培液槽a1で更に順次実行されると第一期育成用分割水耕栽培液槽a1は多数のグル−プのパネルc郡で満杯状態となり、最も取出側a1sに浮遊移動してきた先行グル−プのパネルc郡は、互いに接触した状態で浮遊移動して第一期育成用分割水耕栽培液槽a1の取出側寄り領域で浮遊されるとともに水耕栽培作物fの第一期育成が果たされる。
【0008】
ついで、図12に示すように、最も取出側a1sに浮遊移動してきた先行グル−プのパネルc郡を第一期育成用分割水耕栽培液槽a1から取出し、水耕栽培液の移動抵抗に打ち勝つ大きな力をパネルcに作用させる一の方策として押圧シリンダhを採用して前記した育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側a2rに設ける。そして、押圧力伝達部材kを介して該油圧シリンダhを構成するピストンmを水平突出動作なさしめることにより取出側a2sに作用する押圧力をパネルcの後方側側面c1に作用させて育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側寄り領域に浮遊移動可能且つ互いに接触した状態で浮設させる(以下「押圧力作用によるパネルの浮遊移動」という。)。
【0009】
または、水耕栽培液の移動抵抗に打ち勝つ大きな力をパネルcに作用させる他の方策として、図13に示すように、巻取装置nを採用して育成進展用分割水耕栽培液槽a2の取出側a2sに設けしめ該巻取装置nを構成するドラムjに巻き取られている牽引ロ−プpの一部を巻き出して投入側a2rと取出側a2s間の略中央部で水平に張った状態で該牽引ロ−プpの先端部p1を牽引力伝達部材rの略中央位置に引掛ける。そして、回転用取手sを一側に回転させてドラムjを一側に回転させることにより牽引ロ−プpを徐々にドラムjに巻き込ませて牽引力伝達部材rを介して牽引力をパネルcの後方側側面c1に作用させることにより育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側寄り領域に浮遊移動可能且つ互いに接触した状態で浮設させる(以下「牽引力作用によるパネルの浮遊移動」という。)。
【0010】
そして、前記した第一期育成の進展により、前記した第一期育成が完了した後続のグル−プのパネルc郡を順次第一期育成用分割水耕栽培液槽a1から順次取出して投入着水なさしめて前記した育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側a2rから、押圧力作用によるパネルの浮遊移動又は牽引力作用によるパネルの浮遊移動により、多数のグル−プのパネルc郡は、互いに接触した状態で育成進展用分割水耕栽培液槽a2中を投入側a2rから取出側a2sに浮遊移動しつつ所要の養分を吸収して第一期育成が実行された水耕栽培作物fが更に育成されて第二期育成が進展する。
【0011】
係る挙動が所定の育成開始時間間隔で育成進展用分割水耕栽培液槽a2で更に順次実行されると、図12叉は図13に示すように、育成進展用水耕栽培培養液槽a2は多数のグル−プのパネルc郡で満杯状態となり、最も取出側a2sに浮遊移動してきた先行グル−プのパネルc1郡では、水耕栽培作物fの第二期育成が実行され互いに接触した状態で浮設される。
【0012】
ついでまた、最も取出側a2sに浮遊移動してきた先行グル−プのパネルc郡を育成進展用分割水耕栽培液槽a2から取出し、前記した出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の投入側a3r寄り領域に浮遊移動可能且つ互いに接触した状態で浮設させる。そして、図12叉は図13に示すように、前記した第二期育成が完了した多数の後続のグル−プのパネルc郡を前記したようにして育成進展用分割水耕栽培液槽a2から順次取出して、押圧力作用によるパネルの浮遊移動又は牽引力作用によるパネルの浮遊移動により、前記した出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の投入側a3rから前記したようにして浮遊させると、多数の後続のグル−プのパネルc郡は、先に出荷育成用分割水耕栽培液槽a3に投入された先行グル−プのパネルc郡を取出側a3sに互いに接触した状態で玉突き状に押圧しつつ出荷育成用分割水耕栽培液槽a3中を投入側a3rから取出側a3sに浮遊移動する。
【0013】
そして、出荷育成用分割水耕栽培液槽a3での前記した出荷育成が進展すると、水耕栽培作物fが出荷可能な程度まで育成された状態で所定数量の先行グル−プのパネルc郡は、出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の最も取出側a3sに浮遊移動してくる。この際に、当該先行グル−プのパネルc郡を、出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の取出側a3sから引き上げ生育した水耕栽培作物fをパネルcから分離する等所定の出荷作業を実施するための作業場に輸送することになる。係る出荷関連の作業がなされると、当該出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の取出側a3sに当該先行のグル−プのパネルc郡が占有していた領域が空き状態となる。
【0014】
また、図12に示す押圧力作用によるパネルの浮遊移動、又は図13に示す牽引力作用によるパネルの浮遊移動により、多数の後続のグル−プのパネルc郡も出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の当該空き領域が生じた側に浮遊移動させるが、この間に、順次連続して水耕栽培作物fが出荷可能な状態まで育成されて前記した出荷関連の作業が同様になされ、出荷計画に沿った水耕栽培作物fの育成・出荷がスム−ズに途切れることなく実施される。
【0015】
【特許文献1】特開平9−224509
【特許文献2】特許第2791781号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかるに、図12に示す水耕栽培プラントdで行われている前記した押圧力作用によるパネルの浮遊移動によると、パネルc郡それぞれを浮遊させるために着水なさしめる際に個々のパネルcそれぞれの後方側側面c1が整然と育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側a2r端や出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の投入側a3r端に等しく投入され難いこと、常に、押圧力を、育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側a2r端や出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の投入側a3r端の中心位置を作用点とし且つ取出側a2s、a3sに正確に対面する方向に作用させることが困難である。
【0017】
このため、これら水耕栽培液槽の投入側a2r、a3rに投入されて着水され投入側端で並列状態にあり投入側端と対面する複数のパネルcそれぞれの後方側側面c1に対して、押圧力を取出側a2s、a3sに正確に対面する方向に均等且つ同時に作用させることができず、複数のパネルcそれぞれが押圧力を作用されて取出側a2s、a3sに浮遊移動を開始するのと浮遊移動する距離と方向が区々となり、一のグル−プの所定数量のパネルc郡は複数列をなし整然とあたかも連結されような状態で一体となって取出側a2s、a3sに浮遊移動するのは不可能である。
【0018】
係る浮遊移動状況であるため、浮遊移動する間に所要の栄養分を吸収して水耕栽培作物fを育成する場となる当該グル−プを構成する個々のパネルcに植付けされた水耕栽培作物fの育成開始時期の正確な管理、育成開始時期毎の育成状態の把握並びに育成開始時期毎の出荷可能な状態に育成したかの正確な把握が困難となる。このため、発芽から収穫に至るまでパネルcに植付けされた水耕栽培作物fを経済的に浮遊移動をなさしめ、植付けされた水耕栽培作物f全てを適正水準まで効率よく育成して迅速に出荷できないことなり水耕栽培作物fを水耕栽培する事業を遂行する上での障害となる。
【0019】
一方、図13に示すように、牽引力作用によるパネルの浮遊移動をなさしめる場合であっても、浮遊させるために着水なさしめる際に個々のパネルcそれぞれの後方側側面c1が整然と育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側a2r端や出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の投入側a3r端に等しく投入され難い。また、常に、牽引力を、育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側a2r端や出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の投入側a3r端の中心位置を作用点とし且つ取出側a2s、a3sに正確に対面する方向に作用させることが困難であり且つ牽引ロ−プpが水耕栽培液槽に触れて汚染することを回避する必要から牽引ロ−プpを常時水平に張った状態を保持することも困難である。
【0020】
このため、これら水耕栽培液槽の投入側a2r、a3rに投入され並列状態で着水された複数のパネルcそれぞれの後方側側面c1に対して、牽引力を育成進展用分割水耕栽培液槽a2の投入側a2r端や出荷育成用分割水耕栽培液槽a3の投入側a3r端の中心位置を作用点とし且つ取出側a2s、a3sに正確に対面する方向に均等且つ同時に作用させることができないため、前記したと同様な諸問題が発生し、やはり、水耕栽培作物fを水耕栽培する事業を遂行する上での障害となる。
【0021】
また、係る状況を早期に解消するために、たえず、離反し互いに接続されていない浮遊移動状態の改善のために個々のパネルcに対する浮遊移動状態の監視や、同じグル−プのパネルc郡の一部に浮遊移動の過不足が生じて水耕栽培作物fの育成にバラツキが生じるのを回避するため人手により強制的に個々のパネルcを接続なさしめるといった浮遊移動状況の修正を行う必要があった。
【0022】
本発明は前記した事情に鑑み、作業者に多大な負担をかけることなく浮遊移動方向や浮遊移動速度が同一でなく乱れた浮遊移動状況となっている多数の水耕栽培作物の保護・育成用のパネルを、乱れた浮遊移動状況に速応して、簡易且つ迅速に多数のパネル全体が整然とした浮遊移動に移行可能となさしめ得る状況を実現可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記した目的を達成するために、請求項(1)の発明と請求項(2)の発明が講じた解決手段は、水耕栽培液槽中に投入されるパネルは水耕栽培作物の生産・出荷計画に基づき一定数量でグル−プ化され、各グル−プ毎に一定の時間間隔で水耕栽培液槽中に投入されている点に着眼したものである。すなわち、投入される一定数量の水耕栽培用パネル(前記した従来技術の説明において説示した「パネル」に相当する。)のうち最後に投入される横一列を形成するのに最小限の数の複数の水耕栽培用パネルそれぞれが浮遊移動方向や浮遊移動速度を制御可能として自力で修正動作をなし得るようにする。そして、先行して水耕栽培液槽中に投入され乱れた浮遊移動状況となっている多数の水耕栽培用パネルに対し、自力で修正動作可能な水耕栽培用パネルの修正動作により所要の修正浮遊移動可能な力が作用するようにしたものである。
【0024】
具体的には、請求項(1)の発明においては、多数の植付孔が一定間隔で配設された所定数量の水耕栽培用パネルを水耕栽培液槽に連続的に先行投入して複数列で水耕栽培液槽に浮遊させるステップ1を実行し、つぎに複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを水耕栽培液槽に投入して複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後列の背後に位置なさしめて浮遊させるステップ2を実行し、ついで自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルの水耕栽培液槽の取出側と対面する浮遊移動方向とのズレ度合い及び他の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルとの浮遊位置関係から複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれの浮遊移動方向と浮遊移動速度を個別制御なさしめて複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルが横一列となって浮遊移動なさしめるステップ3を実行し、しかる後に複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれの浮遊移動速度を個別制御なさしめて複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後尾から取出側と対面する浮遊移動方向に横一列で押圧して乱れた浮遊移動状態を修正し一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体が整列した状態で浮遊移動方向に浮遊移動なさしめるステップ4を実行する手順からなる水耕栽培用パネルの浮遊移動方法としたものである。
【0025】
また、請求項(2)の発明においては、多数の植付孔が一定間隔で配設されたパネル部材と、該パネル部材の後方側の略中央部に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動用動力装置と、上方側が該浮遊移動用動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動力伝達軸と、該浮遊移動力伝達軸の下方側に取り付けられたスクリュウとから構成された浮遊移動機構と、該パネル部材の後方側の略中央部であって浮遊移動用動力装置が設けられた位置より後方位置に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動方向変更用動力装置と、上方側が該浮遊移動方向変更用動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動方向変更力伝達軸と、該浮遊移動方向変更力伝達軸の下方側に取り付けられ舵とから構成された浮遊移動方向変更機構とから構成される自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルとしたものである。
【0026】
前記した目的を達成するために、請求項(3)の発明が講じた解決手段は、後方側寄り位置に所要の自力浮遊移動制御に係る装置等を設けたことを起因として水耕栽培用パネルの後方側が沈降して水耕栽培用パネル全体が水平に浮遊移動することが困難な事態に直面しないよう重量バランスを均衡させ、複数の水耕栽培用パネルそれぞれが浮遊移動方向や浮遊移動速度の自力制御をスム−ズに実行し、先行して水耕栽培液槽中に投入され乱れた浮遊移動状況となっている多数の水耕栽培用パネルに対して正確且つ効率よく修正浮遊移動可能な力を作用させることができるようにしたものである。
【0027】
具体的には、多数の植付孔が一定間隔で配設されたパネル部材と、該パネル部材の後方側の略中央部に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動用動力装置と、上方側が該浮遊動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動力伝達軸と、該浮遊移動力伝達軸の下方側に取り付けられたスクリュウと、から構成された浮遊移動機構と、該パネル部材の後方側の略中央部であって浮遊移動用動力装置が設けられた位置より後方位置に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動方向変更用動力装置と、上方側が該浮遊移動方向変更用動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動方向変更力伝達軸と、該浮遊移動方向変更力伝達軸の下方側に取り付けられ舵とから構成された浮遊移動方向変更機構と、前記パネル部材の前方側に設けられたバランスウエイトとから構成される自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルとしたものである。
【発明の効果】
【0028】
請求項(1)の発明と請求項(2)発明の構成により、水耕栽培作物に対して所要の養分を吸収させて育成する水耕栽培液槽中に投入時に多数の水耕栽培用パネルそれぞれ自身の浮遊移動状態が区々であって後に投入される水耕栽培用パネルの玉突き状の押圧状況も区々であることを起因とする浮遊移動方向及び浮遊移動速度が投入された水耕栽培パネル毎に異なって多数の水耕栽培用パネルがスム−ズに浮遊移動不能な状況を、特別の装置を用いることなく、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれの浮遊移動方向と浮遊移動速度を個別制御なさしめてスム−ズに浮遊移動不能な状況に陥っている複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後尾から押圧して乱れた浮遊移動状態を修正して所定数量の一のロットの水耕栽培用パネルそれぞれが投入されてから短時間内に同方向に同浮遊速度で浮遊移動なさしめるように誘導することができる。
【0029】
係る著効から、同時期に投入された水耕栽培用パネル群にそれぞれ植付された水耕栽培作物は、水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を略同程度吸収して同程度に育成させることができる。また、同時期に投入された水耕栽培パネル群にそれぞれ植付された水耕栽培作物は、出荷育成用の水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を吸収し略同時に所定の大きさまで等しく育成させることができ市場価値を伴ったバラツキのない水耕栽培作物を高効率に安定して連日出荷することができる。
【0030】
請求項(3)の発明の構成により、後方側に偏った位置に浮遊移動用動力装置と浮遊移動方向変更用動力装置等を設けたことによる水耕栽培用パネル全体の重心位置が後方寄りとなって後方側が沈み前方側が浮き上げってスム−ズな浮遊移動と適切な浮遊移動方向に押圧することが妨げられるのを前方側にバランスウエイトを配して自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体の重量バランスを釣り合った状態にすることができる。
【0031】
このため、水耕栽培作物に対して所要の養分を吸収させて育成する水耕栽培液槽中に先行して投入され浮遊移動方向が区々であって乱れた浮遊移動状況となっている多数の水耕栽培用パネルに対して適切な浮遊移動方向に正確且つ効率よく浮遊移動力を作用させることができ投入された多数の水耕栽培用パネルそれぞれが投入されてから短時間内に同方向に同浮遊速度で浮遊移動なさしめるように誘導することができる。
【0032】
係る著効から、たとえ投入当初に浮遊移動方向が区々であって入り乱れた状態で浮遊していても早期にスム−ズに浮遊移動可能となして同時期に投入された水耕栽培用パネル群にそれぞれ植付された水耕栽培作物を、水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を略同程度吸収して同程度に育成させることができる。また、同時期に投入された水耕栽培用パネル群にそれぞれ植付された水耕栽培作物は、同様に早期にスム−ズに浮遊移動な状況として出荷育成用のための水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を吸収し略同時に出荷可能な大きさに育成させることができ、所定の大きさまで等しく育成した水耕栽培作物を高効率に安定して連日出荷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
請求項(1)の発明の構成と請求項(2)の発明の構成により、まず多数の植付孔それぞれに発芽した水耕栽培作物が植付けされた一のロットの所定数量の水耕栽培用パネルを前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽に投入側から取出側に向けて投入側寄り領域に連続的に先行して投入し着水させるステップ1を実行すると、投入作業の際に作業者による水耕栽培用パネルに対する投入作用力と作用方向のバラツキから、水耕栽培用パネルそれぞれの前方側側面全てが取出側に正確に対面した状態で着水しない。
【0034】
このため、着水当初は、個々の水耕栽培用パネルは、前後で隣接する水耕栽培用パネル間では、一の水耕栽培用パネルの前側側面と該前側側面と対面する他の水耕栽培用パネルの後側側面は、ずれた位置関係や口開き状部分非接触状態となる。また、左右で隣接する水耕栽培用パネル間では左方に位置する水耕栽培用パネルの一側側面と右方に位置する水耕栽培用パネルの他側側面とが前記した部分非接触状態となる。このため、当該投入側寄り領域に着水された、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル全体の浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で浮遊を開始する。
【0035】
しかし、この後、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを第一期育成用分割水耕栽培液槽に投入側から取出側に向けて同様に投入するステップ2を実行し、ついで、当該複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれに対して投入直後の乱れた浮遊状況に応じて作業者が無線指令により浮遊移動用動力装置を動作制御して浮遊移動力伝達軸を介して一側への回転力を作用させてスクリュウを回転動作させるとともに、作業者が無線指令により浮遊移動方向変更用動力装置を動作制御して浮遊移動方向変更力伝達軸に一側への回動力を作用させて舵を一側に回動させるステップ3を実行する。すると、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれは、互いに等しい浮遊移動速度で共に第一期育成用分割水耕栽培液槽の取出側に対して対面状態で横一列をなして浮遊移動を開始する。
【0036】
しかる後に、ステップ4を実行し複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれの浮遊移動速度を前記したと同様にして個別制御なさしめて、先行して投入された直後から浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後尾は、取出側と対面する浮遊移動方向に複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルにより横一列で押圧される。
【0037】
すると、水耕栽培用パネル群は、取出側に対して対面する方向を作用方向とする浮遊移動力を最後尾から先頭に向けて波及伝播的に作用されることから、前後で隣接する水耕栽培用パネル間では、一の水耕栽培用パネルの前側側面と該前側側面と対面する他の水耕栽培用パネルの後側側面は、ずれた位置関係や口開き状部分非接触を解消して前側側面と後側側面とが全部接触する接続挙動が実行され、また、左右で隣接する水耕栽培用パネル間では左方に位置する水耕栽培用パネルの一側側面と右方に位置する水耕栽培用パネルの他側側面とが前記した部分非接触状態を解消して全面接触する接続挙動が実行される。
【0038】
このため、先行して第一期育成用分割水耕栽培液槽に投入された水耕栽培用パネル群は、乱れた浮遊移動状態を修正し、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体が整列した状態で複数列でもって第一期育成用分割水耕栽培液槽中を取出し側に向けて浮遊移動を開始する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行される。
【0039】
この後、遅れて同一の着水領域や隣接する着水領域にて着水される次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルや、その次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルに対しても前記したステップ1乃至ステップ4を順次連続して実行して水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実施されると、先行して着水された一のロット、次のロット、その次のロットそれぞれの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル水耕栽培用パネル同士が接続される。
【0040】
このため、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルは、取出側に玉突き状に押圧されるので、第一期育成用分割水耕栽培液槽中を取出側に対して対面状態で取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を吸収して発芽した水耕栽培作物は前記した第一期育成がなされる。
【0041】
そして、最も取出側に浮遊移動してきた一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを第一期育成用分割水耕栽培液槽から取出し、前記した育成進展用分割水耕栽培液槽中で浮遊させるための最初の作業であるステップ1を実行し育成進展用分割水耕栽培液槽の投入側端に作業者の前記した投入作業を実施するが、この際に前記したと同様の投入作用力と作用方向のバラツキから、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネルそれぞれの前側側面全てが取出側に正確に対面した状態で着水しない。
【0042】
このため、個々の水耕栽培用パネルは、前記したと同様のずれた位置関係や口開き状部分非接触状態となり、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル全体の浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で育成進展用分割水耕栽培液槽の投入側寄り位置で浮遊を開始する。しかし、この後、前記したステップ2を実行して複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを育成進展用分割水耕栽培液槽中に投入して前記したステップ3を実行し前記した無線指令により浮遊移動用動力装置と浮遊移動方向変更用動力装置を動作制御なさしめ、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれを、互いに等しい浮遊移動速度で共に育成進展用分割水耕栽培液槽の取出側に対して対面状態で横一列をなして浮遊移動を開始させる。
【0043】
しかる後に、前記したステップ4を実行すると、前記したと同様にして先行して育成進展用分割水耕栽培液槽に投入された一のロットの所定数量の水耕栽培用パネルは、前記したと同様にして乱れた浮遊移動状態を修正し、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体が整列した状態で複数列でもって育成進展用分割水耕栽培液槽中を取出し側に向けて浮遊移動を開始する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行される。
【0044】
この後、遅れて同一の着水領域や隣接する着水領域にて着水される次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルや、その次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルに対しても前記したステップ1乃至ステップ4順次連続して実行すると水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実施されるので、先行して着水された一のロット、次のロット、その次のロットそれぞれの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル水耕栽培用パネル同士が接続される。
【0045】
このため、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルは、取出側に玉突き状に押圧されるので、育成進展用分割水耕栽培液槽中を取出側に対して対面状態で取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を吸収して発芽した水耕栽培作物は等しく所要の養分を吸収して一層同様に育成される。
【0046】
そして、最も取出側に浮遊移動してきた一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを育成進展用分割水耕栽培液槽から取出し、前記した出荷育成用分割水耕栽培液槽中で浮遊させるための最初の作業である前記したステップ1を実行し出荷育成用分割水耕栽培液槽の投入側端にて作業者の前記した投入作業を実行するが、この際にも前記したと同様の投入作用力と作用方向のバラツキから、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネルそれぞれの前側側面全てが取出側に正確に対面した状態で着水しない。
【0047】
このため、前記したと同様の状態となり、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル全体の浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で出荷育成用分割水耕栽培液槽の投入側寄り位置で浮遊を開始する。しかし、この後、前記したステップ2を実行して複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを出荷育成用分割水耕栽培液槽中に投入して前記したステップ3を実行し前記した無線指令により浮遊移動用動力装置と浮遊移動方向変更用動力装置を動作制御なさしめ、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれを、互いに等しい浮遊移動速度で共に出荷育成用分割水耕栽培液槽の取出側に対して対面状態で横一列をなして浮遊移動を開始させる。
【0048】
しかる後に前記したステップ4を実行すると、前記したと同様にして先行して出荷育成用分割水耕栽培液槽に投入された一のロットの所定数量の水耕栽培用パネルは、前記したと同様にして乱れた浮遊移動状態を修正し、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体が整列した状態で複数列でもって出荷育成用分割水耕栽培液槽中を取出し側に向けて浮遊移動を開始する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行される。
【0049】
この後、遅れて同一の着水領域や隣接する着水領域にて着水される次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルや、その次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルに対しても前記したステップ1乃至ステップ4を順次連続して実行すると、水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実施されるので、先行して着水された一のロット、次のロット、その次のロットそれぞれの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル水耕栽培用パネル同士が接続される。
【0050】
このため、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルは、取出側に玉突き状に押圧されるので、出荷育成用分割水耕栽培液槽中を取出側に更に浮遊移動しつつ水耕栽培作物は所要の養分を吸収し一のロットの所定数量の水耕栽培用パネルと複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれに植付けされた水耕栽培作物は略同時に出荷可能な大きさに育成される。
【0051】
そして、最も取出側に浮遊移動してきた一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを出荷育成用分割水耕栽培液槽から取出し、そして、後続の次のロット、その次のロット等の水耕栽培用パネル群も同様にして連続して整然と複数列をなし接続状態を維持しつつ出荷育成用分割水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動することから、多数の水耕栽培作物は過不足なく所要の養分を吸収する。このため、一定の時間間隔で投入された各ロットの所定数量の水耕栽培用パネルと複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれに植付けされた水耕栽培作物も略同時に出荷可能な大きさに育成されるので、所定の大きさに育成された水耕栽培作物を連続的に出荷可能となる。
【0052】
請求項(3)の発明の構成により、パネル部材の後方側寄り位置に無線指令により動作制御される浮遊移動用動力装置等の浮遊移動機構と、浮遊移動用動力装置が設けられた位置より更に後方位置に無線指令により動作制御される浮遊移動方向変更用動力装置等の浮遊移動方向変更機構が設けられていることから、これら機構の自重により、自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体の重量バランスが崩れ前記した各分割水耕栽培液槽中に投入すると、パネル部材の後方側が沈んで前方側が浮き上がりそうになるが、前方側にバランスウエイトが設けられているので、自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体の重量バランスが保たれる。
【0053】
このため、前記したステップ1とステップ2を順次実行して自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽中、育成進展用分割水耕栽培液槽中や出荷育成用分割水耕栽培液槽中にそれぞれ投入しても、パネル部材の後方側が沈んで前方側が浮き上がることがなく水平状態で浮遊する。この後、前記したステップ3を実行し前記したと同様にして浮遊移動機構と浮遊移動方向変更機構とを動作制御すると、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽中、育成進展用分割水耕栽培液槽中や出荷育成用分割水耕栽培液槽中にそれぞれにおいて、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれは、互いに等しい浮遊移動速度で共に取出側に対して対面状態で横一列をなして水平状態で浮遊移動を開始する。
【0054】
ついで前記したステップ4を実行すると、重量バランスが保たれた複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルの浮遊移動により、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽中、育成進展用分割水耕栽培液槽中や出荷育成用分割水耕栽培液槽中にそれぞれにおいて、先行して投入された直後から浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から乱れた状態で浮遊している前記した各ロットの所定数量の水耕栽培用パネル群の最後尾を、水平に正確且つ効率よく取出側に対して対面する方向に押圧する。
【0055】
すると、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽中、育成進展用分割水耕栽培液槽中や出荷育成用分割水耕栽培液槽中にそれぞれにおいて、前記したと同様にして、各ロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体が整列した状態で複数列でもって取出し側に向けて浮遊移動を開始する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行される。
【0056】
すると、同時期に投入されたロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルにそれぞれ植付された水耕栽培作物は、第一期育成用分割水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を略同程度吸収して同程度に前記した第一期育成が果たされ、育成進展用分割水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を略同程度吸収して同程度の育成が進展され、更に、出荷育成用分割水耕栽培液槽中を取出側に浮遊移動しつつ所要の養分を吸収し略同時に出荷可能な大きさに育成される。
【実施例】
【0057】
つぎに、請求項(1)の発明と請求項(2)の発明の好適な一実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1は請求項(1)の発明の一実施例に係る水耕栽培用パネルの浮遊移動方法の実施のプロセスをフロ−チャ−トで示し、図2は一のロットを構成する多数の水耕栽培用パネルを水耕栽培液槽の一例である第一期育成用分割水耕栽培液槽中に先行して投入した直後の段階の浮遊状態を一部省略して上方向から見た場合を示し、図3は第一期育成用分割水耕栽培液槽中に複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを投入直後の段階の多数の水耕栽培用パネルと複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルの浮遊状態を一部省略して上方向から見た場合を示し、図4は、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルが複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後列の背後から横一列で押圧する状態を一部省略して上方向から見た場合を示したものである。
【0058】
また、図5は水耕栽培液槽の一例である第一期育成用分割水耕栽培液槽中、水耕栽培液槽の他の例である育成進展用分割水耕栽培液槽中、水耕栽培液槽のその他の例である出荷育成用分割水耕栽培液槽中それぞれにおいて複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルが複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後列の背後から横一列で押圧する状態を一部省略して上方向から見た場合を示し、図6は請求項(2)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを上方からみた場合を示し、図7は同実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを側面から見た場合を示したものである。
【0059】
図6及び図7に示すように、3は、材質が合成樹脂発泡材であって外形が薄肉直方体の形状に形成され、後方側搭載領域3A1を除き表面側3Aから裏面側3Bに向けて根部分7Bを裏面側3Bから外部に突出なさしめて植付座部材5を介して水耕栽培作物7(例えば、ボストンレタス)が一定間隔で多数植付けられたパネル部材である。
【0060】
図6及び図7に示すように、9は、図示を省略した公知の無線誘導装置による無線指令により一側回動、他側回動、これらの動作時間、動作停止等の動作制御がされ後方側搭載領域3A1の略中央部前方寄り位置に設けられた浮遊移動用動力装置11と、上方側が該浮遊移動用動力装置11と連動連結されてパネル部材3を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動力伝達軸13と、該浮遊移動力伝達軸13の下方側に取り付けられたスクリュウ15とから構成された浮遊移動機構である。
【0061】
また、15は、図示を省略した公知の無線誘導装置による無線指令により一側回動、他側回動、これらの動作時間、動作停止等の動作制御がされ後方側搭載領域3A1であって前記した浮遊移動用動力装置11が設けられた位置より後方位置に設けられた浮遊移動方向変更用動力装置17と、上方側が該浮遊移動方向変更用動力装置17と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動方向変更力伝達軸19と、該浮遊移動方向変更力伝達軸19の下方側に取り付けられ舵21とから構成された浮遊移動方向変更機構である。
【0062】
図6及び図7に示すように、前記したパネル部材3と、浮遊移動機構9と、浮遊移動方向変更機構15と、から請求項(2)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1が構成されている。
【0063】
尚、図2乃至図5に示すように、23は、材質が合成樹脂発泡材であって外形が薄肉直方体の形状に形成され、表面側23Aから裏面側23Bに向けて根部分7Bを裏面側23Bから外部に突出なさしめて植付座部材5を介して水耕栽培作物7(例えば、ボストンレタス)が一定間隔で多数植付けられた前記した従来の水耕栽培用パネルと同様の構成の水耕栽培用パネルである。
【0064】
図1及び図2に示すように、一のロットを構成する所定数量の水耕栽培用パネル23を水耕栽培液槽の一例である第一期育成用分割水耕栽培液槽31に投入側31Sから取出側31Rに向けて投入側寄り領域に連続的に先行投入して着水させ複数列で第一期育成用分割水耕栽培液槽31に浮遊させるのがステップ1(図1では「SP1」と表示)であるが、後述するように、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23全体の浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で浮遊を開始する。
【0065】
係る状況の下、図1及び図3に示すように、複数の請求項(2)の発明の一実施例にかかる自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1を第一期育成用分割水耕栽培液槽31に投入して複数列で雑然とした状態で浮遊している水耕栽培用パネル23の最後列23Rの背後に位置なさしめて浮遊させるのがステップ2(図1では「SP2」と表示)である。
【0066】
ついで、図1、図3及び図4に示すように、自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1が第一期育成用分割水耕栽培液槽31の取出側31Rと対面する方向に対する浮遊移動方向のズレ度合い及び他の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1との浮遊位置関係から、図示を省略した公知の無線誘導装置による無線指令により浮遊移動機構9、浮遊移動方向変更機構15それぞれを動作制御なさしめることにより複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれの浮遊移動方向と浮遊移動速度を個別制御なさしめて複数列で雑然とした状態で浮遊している水耕栽培用パネル23の最後列23Rの背後に複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1が横一列となって浮遊移動なさしめるのがステップ3(図1では「SP3」と表示)である。
【0067】
しかる後に、図1、図3乃至図5に示すように、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれに対して前記した公知の無線誘導装置による無線指令により浮遊移動機構9を動作制御なさしめて複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれの浮遊移動速度を個別制御なさしめて複数列で浮遊している水耕栽培用パネル23の最後尾23Rから第一期育成用分割水耕栽培液槽31の取出側31Rと対面する方向に横一列で押圧し乱れた浮遊移動状態を修正して一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1全体が整列した状態で浮遊移動なさしめるのがステップ4(図1では「SP4」と表示)である。
【0068】
尚、図5に示すように、後述する水耕栽培作物7の育成の進展に従って使い分けられる水耕栽培液槽の他の例である育成進展用分割水耕栽培液槽33、水耕栽培液槽のその他の例である出荷育成用分割水耕栽培液槽35においても前記した、ステップ1乃至ステップ4が順次実行されると、前記したと同様にして一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1全体が整列した状態で浮遊移動される。そして、図1に示すように、前記したステップ1乃至ステップ4を順次実行する手順とするのが請求項(1)の発明の一実施例に係る水耕栽培用パネルの浮遊移動方法である。
【0069】
つぎに、請求項(1)の発明と請求項(2)の一実施例の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0070】
まず、図1に示すように、請求項(1)の発明の一実施例に係る水耕栽培用パネルの浮遊移動方法の最初の手順であるステップ1を実行する。すると、図2に示すように、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23は水耕栽培培養液槽の一例である第一期育成用分割水耕栽培液槽31中の投入側寄り領域で複数列で浮遊するものの、投入作業の際に作業者による水耕栽培用パネル23に対する投入作用力と作用方向のバラツキから、水耕栽培用パネル23それぞれの前方側側面23C全てが第一期育成用分割水耕栽培液槽31の取出側31Rに正確に対面した状態で着水しない。
【0071】
このため、着水当初は、個々の水耕栽培用パネル23は、前後で隣接する水耕栽培用パネル23間では、一の水耕栽培用パネル23の前側側面23Cと該前側側面23Cと対面する他の水耕栽培用パネル23の後側側面23Dは、ずれた位置関係や口開き状部分非接触状態となる。また、左右で隣接する水耕栽培用パネル23間では左方に位置する水耕栽培用パネル23の一側側面23Eと右方に位置する水耕栽培用パネルの他側側面23Fとが前記した部分非接触状態となる。このため、当該投入側寄り領域に着水された一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23全体の浮遊移動列が波打つように崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で第一期育成用分割水耕栽培液槽31中で浮遊を開始する。
【0072】
つぎに、図1及び図3に示すように、前記したステップ2を実行すると、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、第一期育成用分割水耕栽培液槽31に投入側31Sから取出側31Rに向けて同様に投入され、浮遊するが、この際にも、前記した同様にして複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1全てが第一期育成用分割水耕栽培液槽31の取出側31Rに正確に対面した状態で着水せず横一列で同一の浮遊態様で浮遊しない。
【0073】
ついで、図1、図6及び図7に示すように、前記したステップ3を実行すると、当該複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれに対して投入直後の乱れた浮遊状況に応じて作業者が図示を省略した公知の無線誘導装置による無線指令をなす。すると、後方側搭載領域3A1の略中央部前方寄り位置に設けられた浮遊移動用動力装置11が動作制御されて所定時間一側又は他側に回動する回動力が生起される。そして、該回動力が浮遊移動力伝達軸13に伝達され、該浮遊移動力伝達軸13が一側回動、他側回動、これら回動の動作時間、動作停止等の制御要素の下で動作制御がなされ該浮遊移動力伝達軸13の動作と連動してスクリュウ15も同様に動作制御されて浮遊移動速度が制御される。
【0074】
また、当該複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれに対して投入直後の乱れた浮遊状況に応じて作業者が前記した無線指令をなす。すると、前記した浮遊移動用動力装置11が設けられた位置より後方位置に設けられた浮遊移動方向変更用動力装置17が動作制御されて所定時間一側又は他側に回動する回動力が生起される。そして、該回動力が浮遊移動方向変更力伝達軸19に伝達されて該浮遊移動方向変更力伝達軸19は一側回動、他側回動、これら回動の動作時間、動作停止等の制御要素の下で動作制御がなされる。このため、該浮遊移動力伝達軸13の動作と連動して舵21も同様に動作制御されて浮遊移動が大きい自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は浮遊移動が低めに浮遊移動が小さい自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は浮遊移動速度が高めとされる。
【0075】
これら動作制御により、図3及び図4に示すように、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、左右で隣接する自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1間では左方に位置する自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1の一側側面3Cと右方に位置する自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1の他側側面3Dとが前記した部分非接触状態を解消して全面接触することから、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、複数列で浮遊している水耕栽培用パネル23の最後列23Rの背後の浮遊位置で第一期育成用分割水耕栽培液槽31中で横一列となって浮遊移動する。
【0076】
しかる後に、図1に示すように、前記したステップ4の実行して複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれの浮遊移動用動力装置11を前記したように動作制御なさしめて浮遊移動速度を前記したと同様にして個別制御なさしめる。すると、図4に示すように、最後尾23Rの複数の水耕栽培用パネル23は若干の時間差をもって取出側31Rと対面する方向を作用方向とする押圧力を横一列となって浮遊移動する複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1から作用される。このため、当該押圧力が他の列の水耕栽培用パネル23それぞれに対しても、若干の時間差をもって取出側31Rと対面する方向を作用方向とする押圧力を最後尾23Rから先頭に向けて波及伝播的に作用される。
【0077】
係る押圧力の波及伝播的な作用により、図4及び図5に示すように、前後で隣接する水耕栽培用パネル23間では、一の水耕栽培用パネル23の前側側面23Cと該前側側面23Cと対面する他の水耕栽培用パネル23の後側側面23Dは、ずれた位置関係や口開き状部分非接触を解消して前側側面23Cと後側側面23Dとが全部接触する接続挙動が実行され、また、左右で隣接する水耕栽培用パネル23間では左方に位置する水耕栽培用パネル23の一側側面23Eと右方に位置する水耕栽培用パネル23の他側側面23Fとが前記した部分非接触状態を解消して全面接触する。
【0078】
この結果、図1及び図5に示すように、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23全体の浮遊移動列が崩れ取出側31Rと対面する浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で浮遊して乱れた浮遊移動状態が取出側31Rと対面する浮遊移動方向に浮遊移動するように修正され、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1全体が第一期育成用分割水耕栽培液槽31の取出側31Rに対して対面する方向に整列した状態で浮遊移動を開始し、第一期育成用分割水耕栽培液槽31における一のロットについての請求項(1)の発明の一実施例に係る水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行される。
【0079】
この後、遅れて同一の着水領域や隣接する着水領域にて着水される次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1や、その次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1に対しても順次連続して前記したステップ1乃至ステップ4を順次実行すると、次のロット、その次のロット等の水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が順次実行され、先行して着水された一のロット、次のロット、その次のロットそれぞれの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、第一期育成用分割水耕栽培液槽31中を取出側31Rと対面する浮遊移動方向に浮遊移動する。
【0080】
このため、図5に示すように、次のロット、その次のロットそれぞれの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1により、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、取出側31Rに玉突き状に押圧されるので、第一期育成用分割水耕栽培液槽31中を取出側31Rに対して対面状態で取出側31Rに浮遊移動しつつ所要の養分を吸収して発芽した水耕栽培作物は第一期育成がなされる。
【0081】
そして、図1、図2及び図5に示すように、最も取出側31Rに浮遊移動してきた一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1を第一期育成用分割水耕栽培液槽31から取出し、水耕栽培液槽の他の例である育成進展用分割水耕栽培液槽33中で浮遊させるための最初の作業である前記したステップ1を実行して育成進展用分割水耕栽培液槽33の投入側33S端に作業者の前記した投入作業をなすが、この際に前記したと同様の投入作用力と作用方向のバラツキから、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23それぞれの前側側面23C全てが取出側33Rに正確に対面した状態で着水しない。
【0082】
このため、参考として図2を示すように、個々の水耕栽培用パネル23は、前記したと同様のずれた位置関係や口開き状部分非接触状態となり、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23全体の浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で育成進展用分割水耕栽培液槽33の投入側33S寄り位置で浮遊を開始する。しかし、この後、前記したステップ2とステップ3を順次実行すると、参考として図4を示すように、複数列で浮遊している水耕栽培用パネル23の最後列23Rの背後の育成進展用分割水耕栽培液槽33中で複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は育成進展用分割水耕栽培液槽33中に横一列となって浮遊移動する。
【0083】
この後、前記したステップ4を実行すると、前記したと同様にして一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23全体の浮遊移動列が崩れ取出側と対面する浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で浮遊して乱れた浮遊移動状態が取出側33Rと対面する浮遊移動方向に浮遊移動するように修正され、図5に示すように、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1全体が育成進展用分割水耕栽培液槽33の取出側33Rに対して対面する方向に整列した状態で浮遊移動する。
【0084】
この後、図5に示すように、遅れて同一の着水領域や隣接する着水領域にて着水される次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1や、その次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1に対しても順次連続して前記したステップ1乃至ステップ4を順次実行する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行されると、先行して着水された一のロット、次のロット、その次のロットそれぞれの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、育成進展用分割水耕栽培液槽33中を取出側33Rと対面する浮遊移動方向に浮遊移動する。
【0085】
このため、図5に示すように、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、取出側33Rに玉突き状に押圧されるので、育成進展用分割水耕栽培液槽33中を取出側33Rに対して対面状態で取出側33Rに浮遊移動しつつ所要の養分を吸収し発芽した水耕栽培作物は等しく所要の養分を吸収して一層同様に育成される。
【0086】
そして、最も取出側33Rに浮遊移動してきた一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1を育成進展用分割水耕栽培液槽33から取出し、前記したステップ1を実行すると、水耕栽培液槽のその他の例である出荷育成用分割水耕栽培液槽35中で浮遊させるための最初の作業である出荷育成用分割水耕栽培液槽35の投入側35S端にて作業者の前記した投入作業を実行するが、この際にも前記したと同様の投入作用力と作用方向のバラツキから、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23それぞれの前側側面23C全てが取出側35Rに正確に対面した状態で着水しない。
【0087】
このため、前記したと同様の状態となり、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23全体の浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から外れて雑然とした状態で出荷育成用分割水耕栽培液槽35の投入側35S寄り位置で浮遊を開始する。しかし、この後、図1に示すように、前記したステップ2とステップ3を順次実行すると、前記したと同様にして複数列で浮遊している水耕栽培用パネル23の最後列23Rの背後の出荷育成用分割水耕栽培液槽35で複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は出荷育成用分割水耕栽培液槽35の取出側35Rに対して対面状態で出荷育成用分割水耕栽培液槽35中を横一列となって浮遊移動する。
【0088】
この後、前記したステップ4を実行すると、前記したと同様にして先行して出荷育成用分割水耕栽培液槽35に投入された一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23は、前記したと同様にして乱れた浮遊移動状態を修正し、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1全体が整列した状態で複数列でもって出荷育成用分割水耕栽培液槽35中を取出側35Rに向けて浮遊移動を開始する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行される。
【0089】
この後、遅れて同一の着水領域や隣接する着水領域にて着水される次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1や、その次のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1に対しても、図1に示すように、順次連続して前記したステップ1乃至ステップ4を順次実行する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行されると、先行して着水された一のロット、次のロット、その次のロットそれぞれの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、出荷育成用分割水耕栽培液槽35中を取出側35Rと対面する浮遊移動方向に浮遊移動する。
【0090】
このため、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1は、取出側35Rに玉突き状に押圧されるので、出荷育成用分割水耕栽培液槽35中を取出側35Rに対して対面状態で取出側35Rに更に浮遊移動しつつ水耕栽培作物は所要の養分を吸収し、一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23と複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれに植付けされた水耕栽培作物は略同時に出荷可能な大きさに育成される。
【0091】
そして、最も取出側35Rに浮遊移動してきた一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1を出荷育成用分割水耕栽培液槽35から取出し、そして、後続の次のロット、その次のロット等の後続の水耕栽培用パネル23群も同様にして連続して整然と複数列をなし接続状態を維持しつつ出荷育成用分割水耕栽培液槽35中を取出側35Rに浮遊移動することから、水耕栽培作物は所要の養分を吸収する。このため、一定の時間間隔で投入された各ロットの所定数量の水耕栽培用パネル23と複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル1それぞれに植付けされた水耕栽培作物も略同時に出荷可能な大きさに育成されるので、所定の大きさに育成された水耕栽培作物を連続的に出荷可能となる。
【0092】
請求項(3)の発明の好適な一実施例を、図面を参照しながら説明する。
図8は請求項(3)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを上方からみた場合を示し、図9は同実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを側面から見た場合を示したものである。
【0093】
図8及び図9に示すように、42は、パネル部材3の裏側前方位置3B2に設けられ、前記した浮遊移動機構9と浮遊移動方向変更機構15とのト−タル重量に略等しい重量のバランスウエイトである。そして、該バランスウエイト42と、、前記したパネル部材3と、浮遊移動機構9と、浮遊移動方向変更機構15と、から請求項(3)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40が構成されている。
【0094】
つぎに、請求項(3)の発明の一実施例の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0095】
図8及び図9に示すように、パネル部材3の後方側搭載領域3A1に無線指令により動作制御される浮遊移動用動力装置11等の浮遊移動機構9と、浮遊移動用動力装置11が設けられた位置より更に後方位置に無線指令により動作制御される浮遊移動方向変更用動力装置17等の浮遊移動方向変更機構15が設けられていることから、これら機構の自重により、自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40全体の重量バランスが崩れ前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽31、育成進展用分割水耕栽培液槽33、出荷育成用分割水耕栽培液槽35中にそれぞれ投入すると、パネル部材3の後方側が沈んで前方側が浮き上がりそうになるが、前方側にバランスウエイト42が設けられているので、自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40全体の重量バランスが保たれる。
【0096】
このため、図5に示すように、自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40は、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽31、育成進展用分割水耕栽培液槽33、出荷育成用分割水耕栽培液槽35中をそれぞれ水平状態で浮遊可能となることから、図1及び図5に示すように、前記したステップ1とステップ2を順次実行して自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40を、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽31中、育成進展用分割水耕栽培液槽33中や出荷育成用分割水耕栽培液槽35中にそれぞれ投入しても、パネル部材3の後方側が沈んで前方側が浮き上がることがなく水平状態で浮遊する。
【0097】
この後、図1、図5、図8及び図9に示すように、前記したステップ3を実行し前記したと同様にして浮遊移動機構9と浮遊移動方向変更機構15とを動作制御すると、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽31中、育成進展用分割水耕栽培液槽33中や出荷育成用分割水耕栽培液槽35中にそれぞれにおいて、複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40それぞれは、互いに等しい浮遊移動速度で共に取出側に対して対面状態で横一列をなして水平状態で浮遊移動を開始する。
【0098】
ついで、図1及び図5に示すように、前記したステップ4を実行すると、重量バランスが保たれた複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40の浮遊移動により、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽31中、育成進展用分割水耕栽培液槽33中や出荷育成用分割水耕栽培液槽35中にそれぞれにおいて、先行して投入された直後から浮遊移動列が崩れ浮遊移動方向から乱れた状態で浮遊している前記した各ロットの所定数量の水耕栽培用パネル23群の最後尾23Rを、水平に正確且つ効率よく取出側に対して対面する方向に押圧する。
【0099】
すると、前記した第一期育成用分割水耕栽培液槽31中、育成進展用分割水耕栽培液槽33中や出荷育成用分割水耕栽培液槽35中にそれぞれにおいて、前記したと同様にして、各ロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40全体が整列した状態で複数列でもって取出側31R、33R、35Rに向けて浮遊移動を開始する水耕栽培用パネルの浮遊移動方法が実行される。
【0100】
すると、同時期に投入された一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル23及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル40にそれぞれ植付された水耕栽培作物は、第一期育成用分割水耕栽培液槽31中を取出側31Rに浮遊移動しつつ所要の養分を略同程度吸収して同程度に前記した第一期育成が果たされ、育成進展用分割水耕栽培液槽33中を取出側33Rに浮遊移動しつつ所要の養分を略同程度吸収して同程度の育成が進展され、更に、出荷育成用分割水耕栽培液槽35中を取出側35Rに浮遊移動しつつ所要の養分を吸収し略同時に出荷可能な大きさに育成される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】請求項(1)の発明の一実施例に係る水耕栽培用パネルの浮遊移動方法の実施のプロセスを示したフロ−チャ−トである。
【図2】一のロットを構成する多数の水耕栽培用パネルを水耕栽培液槽の一例である第一期育成用分割水耕栽培液槽中に先行して投入した直後の段階の浮遊状態を示した一部省略平面図である
【図3】第一期育成用分割水耕栽培液槽中に複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを投入直後の段階の多数の水耕栽培用パネルと複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルの浮遊状態を示した一部省略平面図である
【図4】複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルが複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後列の背後から横一列で押圧する状態を示した一部省略平面図である。
【図5】水耕栽培液槽の一例である第一期育成用分割水耕栽培液槽中、水耕栽培液槽の他の例である育成進展用分割水耕栽培液槽中、水耕栽培液槽のその他の例である出荷育成用分割水耕栽培液槽中それぞれにおいて複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルが複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後列の背後から横一列で押圧する状態を示した一部省略平面図である。
【図6】請求項(2)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを示した平面図である
【図7】同実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを示した側面図である
【図8】請求項(3)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを示した平面図である
【図9】同実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを示した側面図である
【図10】従来の一般的に使用される水耕栽培用パネルを示した平面図である
【図11】従来の一般的に使用される水耕栽培用パネルを示した側面図である
【図12】押圧力作用によるパネルの浮遊移動が実行される水耕栽培培養液槽を示した一部省略平面図である。
【図13】牽引力作用によるパネルの浮遊移動が実行される水耕栽培培養液槽を示した一部省略平面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 請求項(2)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル
3 パネル
7 水耕栽培作物
9 浮遊移動機構
11 浮遊移動用動力装置
、13 浮遊移動力伝達軸
15 浮遊移動方向変更機構
16 スクリュウ
17 浮遊移動方向変更用動力装置
19 浮遊移動方向変更力伝達軸
21 舵
23 水耕栽培用パネル
31 第一期育成用分割水耕栽培液槽
33 育成進展用分割水耕栽培液槽
35 出荷育成用分割水耕栽培液槽
40 請求項(3)の発明の一実施例に係る自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル
42 バランスウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の植付孔が一定間隔で配設された所定数量の水耕栽培用パネルを水耕栽培液槽に連続的に先行投入して複数列で水耕栽培液槽に浮遊させるステップ1を実行し、つぎに複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルを水耕栽培液槽に投入して複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後列の背後に位置なさしめて浮遊させるステップ2を実行し、ついで自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルの水耕栽培液槽の取出側と対面する浮遊移動方向とのズレ度合い及び他の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルとの浮遊位置関係から複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれの浮遊移動方向と浮遊移動速度を個別制御なさしめて複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルが横一列となって浮遊移動なさしめるステップ3を実行し、しかる後に複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネルそれぞれの浮遊移動速度を個別制御なさしめて複数列で浮遊している水耕栽培用パネルの最後尾から取出側と対面する浮遊移動方向に横一列で押圧して乱れた浮遊移動状態を修正し一のロットの所定数量の水耕栽培用パネル及び複数の自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル全体が整列した状態で浮遊移動方向に浮遊移動なさしめるステップ4を実行する手順からなる水耕栽培用パネルの浮遊移動方法。
【請求項2】
多数の植付孔が一定間隔で配設されたパネル部材と、
該パネル部材の後方側の略中央部に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動用動力装置と、上方側が該浮遊移動用動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動力伝達軸と、該浮遊移動力伝達軸の下方側に取り付けられたスクリュウと、から構成された浮遊移動機構と、
該パネル部材の後方側の略中央部であって浮遊移動用動力装置が設けられた位置より後方位置に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動方向変更用動力装置と、上方側が該浮遊移動方向変更用動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動方向変更力伝達軸と、該浮遊移動方向変更力伝達軸の下方側に取り付けられ舵とから構成された浮遊移動方向変更機構と、
から構成されていることを特徴とする自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル。
【請求項3】
多数の植付孔が一定間隔で配設されたパネル部材と、
該パネル部材の後方側の略中央部に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動用動力装置と、上方側が該浮遊動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動力伝達軸と、該浮遊移動力伝達軸の下方側に取り付けられたスクリュウと、から構成された浮遊移動機構と、
該パネル部材の後方側の略中央部であって浮遊移動用動力装置が設けられた位置より後方位置に設けられ無線指令により動作制御される浮遊移動方向変更用動力装置と、上方側が該浮遊移動方向変更用動力装置と連動連結されてパネル部材を貫いて鉛直下方に設けられた浮遊移動方向変更力伝達軸と、該浮遊移動方向変更力伝達軸の下方側に取り付けられ舵とから構成された浮遊移動方向変更機構と、
前記パネル部材の前方側に設けられたバランスウエイトと、
から構成されていることを特徴とする自力浮遊移動制御可能な水耕栽培用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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