説明

水膨潤性シーリング材組成物

【課題】クリアランスの広いジョイントに対しても厚塗りができ、垂直面に塗布した時の塗膜の垂れが少なく、かつ水分による膨潤特性が良好で膨潤後の体積の収縮が小さい水膨潤性シーリング材を提供する。
【解決手段】エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エラストマー15〜35重量%、CMC、無機充填材、多価金属化合物と溶剤からなり、粘度が150000mPa・s以上、かつ全固形分が60〜85重量%であることを特徴とする水膨潤性シーリング材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水膨潤性シーリング材組成物に関する。更に詳しくは、水中で膨潤した後、乾燥後の体積収縮が小さく、厚塗りが可能であり、塗布膜垂れが少なく、耐水圧性能に優れた水膨潤性シーリング材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水膨潤性シーリング材は、土木、建築等の分野で、ヒューム管やセグメントジョイント部の漏水の防止、コンクリート矢板や鋼矢板継手の止水、建築物の水密性、気密性を目的とした防水材料等として使用されており、水膨潤性シーリング材について種々の開発、改良がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開昭60−235863号公報)、特許文献2(特開昭62−109883号公報)には、水膨潤性物質と水硬性物質を含有するもので、膨潤した後、乾燥収縮の少ないことを特徴とする水膨潤性組成物がそれぞれ開示され、特許文献3(特開昭62−25186号公報)には、ポリウレタン系樹脂をベースとし、水を吸収して膨潤した後、乾燥しても収縮が少ない水膨潤性シーラントが開示されている。
また、特許文献4(特開昭61−34087号公報)には、水硬性物質、ゴム及び/又はエラストマーを含有する組成物の表面の一部又は全部にゴム状弾性物質が被覆され、膜強度、耐水圧性能に優れた水膨潤性複合シーリング材が、特許文献5(特開昭62−132941号公報)には、水膨潤性物質(水膨潤ウレタン樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等)、水硬性物質(ポルトランドセメント、高炉セメント、特殊セメント、コロイドセメント)、ゴム類(天然ゴム、CR、SBR、BR、イソプレンゴム等)を含有し、発泡剤(N、N-ジニトロソベンタメチレンテトラミン、アジゾカルボンアミド等)を使用し、膨潤した後、乾燥しても収縮が少ないことを特徴とするシーリング材が、特許文献6(特開平6−57237号公報)には、水中でも被物体に密着し、水を吸収して膨潤し小さな隙間を埋めることが出来る水膨潤パテとして液状クロロプレンゴム、ブチルゴム、テンペル重合体、吸収性樹脂、タルク、アルミナセメントとセラミックファイバーと適量の加硫剤を混和してなることを特徴としたものが、特許文献7(特開2001−55558号公報)には、膨潤速度が遅いことを特徴とした、ゴム類、膨潤性ウレタン、ポリビニルアセトアミド及び所定量のゴム及びプラスチック用添加剤を配合したシーリング材が、また特許文献8(特開2006−241210号公報)には、電離性吸収ポリマー、多価金属化合物、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、体質顔料等と有機溶剤とからなり膜強度、長期耐久性を向上させた水膨潤性止水材組成物がそれぞれ開示されている。
特許文献9(特公平6−96688号公報)には、樹脂エラストマー、電離性吸水ポリマー、及び溶剤を含んだ鋼矢板継手の止水用水膨張塗料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−235863号公報
【特許文献2】特開昭62−109883号公報
【特許文献3】特開昭62−25186号公報
【特許文献4】特開昭61−34087号公報
【特許文献5】特開昭62−132941号公報
【特許文献6】特開平6−57237号公報
【特許文献7】特開2001−55558号公報
【特許文献8】特開2006−241210号公報
【特許文献9】特公平6−96688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒューム管やトンネルのセグメントのジョイント部の漏水の防止、コンクリート矢板の継手の止水に前述のシーリング材を塗布することがおこなわれているが、ジョイント部のクリアランスが広いと、シーリング材を厚塗りしなければならないが、厚塗りすると塗膜が垂れたり、乾燥後に収縮して隙間ができ、完全な止水がおこなわれない場合がある。
また、垂直面に塗布した場合、塗膜が垂れるという問題がある。
本発明は、水の浸漬による膨潤特性が良好であると共に、厚塗りしても塗膜が垂れることがなく、膨潤後の乾燥に対しても体積の収縮が小さいシーリング材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エラストマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、無機充填材、多価金属化合物と有機溶剤を含み、粘度が150000mPa・s以上であり、全固形成分を60〜85重量%とすることによって、前記課題を解決したものである。
【0007】
本発明のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エラストマーは、有機溶剤への溶解度、温度特性、長期安定性等の特性が優れており、シール材組成物における樹脂濃度は10〜35重量%が好ましい。
樹脂濃度が10重量%より低いと膨潤体膜強度が弱くなり、膨潤体膜の乾燥後、膜体積の収縮が大きくなる等の欠点が生じる。逆に樹脂濃度が35重量%より大きくなると、製造時の粘性が高くなるため取り扱いが困難となる。
なお、樹脂濃度が高いほど膨潤体膜の乾燥後の膜の体積収縮は小さくなり、塗布膜の垂れが少なくなる等の利点があるが、粘度が大きくなって塗布作業が難しくなるので、前記濃度範囲とするのが好適である。
【0008】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エラストマーの溶剤は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂が溶ける溶剤、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の有機溶剤が使用可能である。しかし、本発明品が第2類の可燃性固体の取り扱いとなるには、溶剤は引火点が40℃以上であるキシレン、ソルベッソ等が好ましい。
電離性高吸水ポリマーの膨潤材料は、カルボキシルセルロースナトリウム(CMC)が最適であるが、膨潤特性は劣るが、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸塩等を使用することも可能である。
本発明に使用するCMCは、1%水溶液濃度で粘度(25℃)が500mPa・s以上が好ましく、添加量は、シーリング材組成物の全固形分の15〜40%とするのが好ましい。一般的に粘度が低いと、溶解性が高くなるので、架橋後の加水分解も速くなり、膨潤膜の劣化に繋がるので、粘度は500mPa・s以上が好ましい。
CMCの添加量を多くすれば膨潤率は向上するが、逆にCMCの溶出も多くなるため、乾燥後の体積収縮も大きくなり、乾燥後の体積収縮を考慮するとCMCの添加量は組成の全固形分の15〜40%にすることが好ましい。15%以下であると十分な膨潤率が得られず、40%より多くなると膨潤率は向上するが、乾燥後の膜の体積収縮率が大きくなり好ましくない。
なお、体積収縮率は、CMC添加量だけで決まるのではなく、組成中の樹脂分、固形分(CMC+充填材)の割合により決まるものであり、本発明で規定した組成割合とすることで、体積収縮率を抑えたものである。
【0009】
無機充填材(体質顔料)は、ベントナイト、マグネシウムシリケート、カオリン化合物、シリカ、セメント系等の少なくとも1種を使用することができる。
充填材の添加は塗布膜強度を高めることを主目的とするもので、充填材の材質により膨潤率特性等にも影響するが、天然の粘土性鉱物粉末としてのベントナイト、マグネシウムシリケート系化合物(例えばセピオライト)カオリン系化合物(シリチン、商品名)等は、非常に特性の安定した材料であり、本発明の充填材として適している。
マグネシウムシリケート系化合物(例えばセピオライト)は、充填材としての働き以外に粘性を向上させる働きがある。カオリン系化合物(シリチン)は球状隠微晶質のシリカと板状のカオリナイトからなる物質でポーラス状の結晶であるため溶剤を飛びやすくする働きがあり、乾燥時間を短縮できる利点がある。なお、この他に、低アルカリセメント等も使用することも可能である。
【0010】
多価金属塩化合物として使用できるものは、無水硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等である。この多価金属塩化合物は、溶解して多価金属イオンとなる。CMCはこの多価金属イオンと結合しやすい性質があり、水中に多価金属イオンが存在することで結合して水不溶性の金属塩を形成する。この多価金属化合物を添加しないと、特に淡水ではCMCの溶解が進みやすく膨潤率の低下が著しくなる。
ポリ塩化アルミニウムは、無水硫酸アルミニウムに比べ溶解が早く、種々の充填材料との組合わせにもよるが、この材料を使用したシーリング材を水に浸漬させるとポリ塩化アルミニウムは即溶解してイオン化し、CMCの膨潤の早い段階で結合して水不溶の金属塩を形成しやすい。一方無水硫酸アルミニウムは、比較的溶解が遅いためCMCの膨潤が進みやすく、安定した膨潤率特性を得ることができる利点がある。
本発明は、シーリング材組成物中の全固形分が60〜85重量%とすることによって組成物中の溶剤量を減少させ、水膨潤性シーリング材としての性能を維持しつつ粘度を上げている。
【0011】
本発明のシーリング材組成物の粘度は150000mPa・s以上であり、好ましくは300000〜1000000mPa・sである。
粘度特性が150000mPa・sより小さくなることで、急激に塗布膜の膜垂れは発生しないが、粘度が低いほど塗布膜垂れは発生しやすくなる。そして、粘度が低くなることは溶剤の量が増すので固形分比率が低下する。固形分が60%より小さくなると消防法で定められた危険物の第2類可燃性固体の取り扱いにならないため、製造時の容器への充填及び使用時の容器からの取り出しが困難となり好ましくない。
なお、粘度が3000000mPa・s以上では塗布膜の垂れは全く見られないが、塗料の塗り広がりが悪くなり塗布作業等に支障をきたす。
【0012】
本発明の水膨潤性シーリング材組成物の全固形分は60〜85重量%であり、より好ましくは60〜70重量%である。上記のように、組成中の全固形分が60%以上になると消防法上の危険物の第2類の可燃性固体の取り扱いとなり、グリス缶(口の広いタイプの缶)を容器として使用できる。本発明のシーリング材組成物は、非常に高い粘度であるため、通常の塗料を詰める缶では口が狭く、缶への充填が困難である。第2類の可燃性固体の取り扱いになることにより、口の広いグリス缶が使用できるために缶への充填が容易になり、更に使用時においても取り出しが容易になる等のメリットがある。
全固形分が60重量%より小さくなると一番の問題は第2類の可燃性固体の取り扱いにならないことである。逆に85重量%より大きくなると、粘度が高くなり、塗布作業等取り扱いが困難となる。更に樹脂成分以外が増すと膨潤体膜強度が低くなり、耐水性の低下に繋がる。
この固形分は、製造したシーリング材組成物の一部を蒸発容器に採り、重量を測定後、110℃で2時間乾燥して、溶剤分を揮発させて取り除き、その後に残った残部である。
【0013】
以下に本発明の水膨潤性シーリング材組成物の製造例を説明する。
エチレン酢酸ビニル共重合体、更には有機溶剤必要量を計量し、撹拌機と還流冷却器とを有するタンクに入れ、加熱溶解する。次にニーダー、高粘度のシーリング材製造に適した撹拌機を備えた装置等に溶解したエラストマー溶液の一定量を入れて撹拌する。
そして、多価金属化合物、充填材、CMCの所定量を順次加え、均一になるまで撹拌混合して本発明の水膨潤性シーリング材組成物を得る。
なお、必要に応じて着色剤、例えば、べんがら、酸化チタン、カーボンブラック等を加え着色することも可能である。
【0014】
本発明の水膨潤性シーリング材組成物は、鋼矢板の継手、コンクリート矢板の継手等に塗布し、乾燥後に鋼矢板、コンクリート矢板を接合しつつ水中または土中に打ち込むと、水分により膨潤して矢板の継手内に充満し、漏水を防止するものである。
上述の鋼矢板、コンクリート矢板のみならず、ヒューム管、セグメントジョイント部の漏水の防止、ボックスカルバートの継手の止水などにも同様に使用することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水膨潤性シーリング材組成物は、厚塗りが可能であり、垂直面に塗布した時に塗膜の垂れが少なく、水の浸漬による膨潤特性が良く、更には、膨潤した後の膜乾燥後の体積収縮率が小さく、耐水圧性能に優れた特性を持っている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の水膨潤シーリング材組成物及び比較例を以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)340部を撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにキシレン660部を加えて60〜70℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液300部をプラネタリーミキサー(井上製作所製撹拌ミキサー)の容器に入れて撹拌し、次いでポリ塩化アルミニウム10部、カオリン系化合物(シリチン)20部、ベントナイト70部、CMC100部を順次添加して分散・混合して本発明の水膨潤性シーリング材を得た。
この得られた水膨潤性シーリング材は、固形分が60.4重量%、樹脂成分が20.4重量%であった。そしてCMC/全固形分比が33.1重量%である。
【0018】
粘度は、ブルックフィルード製の粘度測定機DV1を使用し測定した。
表2に示す膨潤度(倍)は、水膨潤性シーリング材組成物の塗布膜を作成して2×2cmに裁断してサンプル片を得、この裁断サンプル片を水/人工海水に浸漬して膨潤させ、浸漬前後の重量変化から次のようにして膨潤率を求めた。
膨潤度=浸漬後の試料の重量/浸漬前の試料の重量
体積維持率は、膨潤率評価用サンプルと同様に水膨潤性シーリング材組成物の塗布膜を作成して2×2(cm)に裁断してサンプル片を作成し、このサンプル片を水/人口海水液に投入し1ヶ月間浸漬させる。そして1ヶ月後の膨潤体膜の体積を測定して乾燥させる。次に乾燥後の体積を測定してその変化から次の計算式にて求めた。
体積維持率=(1ヶ月後の膨潤体膜体積/乾燥後の体積)×100
数値が大きいほど体積維持率が良いことを示す。すなわち、体積収縮率が小さいことを示す。
耐水圧試験は、口径160mm、耐圧20Kg/cm2のフランジの片面にこの水膨潤性塗料組成物を厚さ1mmに塗布し、乾燥した塗膜の周辺を切り取って直径100mmの円形とし、さらにこの円形から直径80mmの同心円を切り取って、巾20mm、厚さ1mmのリング状塗膜のフランジに形成した。次に、中心に空気送入口をつけた同形の他のフランジを先のフランジに重ね、2mmの間隙をもたせて固定した。これを水に浸漬し、24時間後に空気送入口から圧縮空気を送り加圧して耐圧性及び3ヶ月、1年浸漬後の耐圧性を評価した。なお、加圧は最大0.5MPaとした。
【実施例2】
【0019】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)340部を撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにキシレン660部を加えて60〜70℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液280部をプラネタリーミキサー(井上製作所製撹拌ミキサー)の容器に入れ、撹拌をスタートし、次いで無水硫酸アルミニウム9.0部、ベントナイト140部、CMC60部、セピオライト(商品名:PANGEL B-20)11部を順次添加して分散・混合して本発明の水膨潤性シーリング材組成物を得た。
この得られた水膨潤性シーリング材組成物は、全固形分が63.0重量%、樹脂成分が19.0重量%であった。そしてCMC/全固形分比が19.0重量%である。
【実施例3】
【0020】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)340部を計量し、撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにソルベッソ150部を加えて50〜70℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液300部をニーダーに入れ、撹拌をスタートして、無水硫酸アルミニウム10部、セピオライト(商品名:PANGEL B-20)10部、シリチン90部、CMC90部を順次添加して分散・混合して本発明の水膨潤性シーリング材組成物を得た。
この得られた水膨潤性シーリング材組成物は、全固形分が60.4重量%、樹脂成分が20.4重量%であった。そしてCMC/全固形分比が29.8重量%である。
【実施例4】
【0021】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)340部を撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにキシレン660部を加えて60〜70℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液300部をニーダーに入れ、撹拌をスタートして、キシレン2部、ポリ塩化アルミニウム8部、アルミナセメント98部、CMC80部、微粒子シリカ12部を順次添加して分散・混合して本発明の水膨潤性シーリング材組成物を得た。
この得られた水膨潤性シーリング材組成物は、全固形分が60.0重量%、樹脂成分が20.4重量%であった。そしてCMC/全固形分比が26.7重量%である。
【実施例5】
【0022】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)340部を撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにソルベッソ100を660部加えて60〜70℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液225部をトリミックスミキサー(井上製作所製撹拌ミキサー)容器に入れ、撹拌をスタートして、無水硫酸アルミニウム18部、ベントナイト138部、CMC101部、セピオライト(商品名:PANGEL B−20)18部を順次添加して分散・混合して本発明の水膨潤性シーリング材を得た。
この得られた水膨潤性シーリング材は、固形分が70.3重量%、樹脂成分が15.3重量%であった。そしてCMC/全固形分比が28.7重量%である。
【実施例6】
【0023】
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)400部を撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにキシレン600部を加えて70〜80℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液150部をトリミックスミキサー(井上製作所製撹拌ミキサー)容器に入れて撹拌し、無水硫酸アルミニウム12部、ベントナイト209部、CMC120部、セピオライト(商品名:PANGEL B−20)9部を順次添加して分散・混合して水膨潤性シーリング材を得た。
この得られた水膨潤性シーリング材は、全固形分が82.0重量%、樹脂成分が12.0重量%であり、CMC/全固形分比が29.3重量%であった。
【0024】
比較例1
本発明に近い組成を持つ特許文献9(特公平6−96688)の実施例1を比較例とする。
クロロプレンゴム100部とEVA100部を計量し、撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにキシレン800部を加えて70〜80℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液65.8部を容器に入れ、次いでキシレン400部、CMCを164.5部、無水硫酸アルミニウム6.6部を添加し、ディゾルバー撹拌機で分散して比較例の水膨張性塗料を得た。
実施例と比較例の組成を表1に、それらの水膨潤シーリング材組成物としての特性を表2に示す。
【0025】
比較例2
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)290部を撹拌機と還流冷却器とを取り付けた容器に入れ、これにキシレン710部を加えて60〜70℃に加熱、溶解してエラストマー溶液1000部を得た。
このエラストマー溶液330部をニーダーに入れ、撹拌をスタートして、無水硫酸アルミニウム7.2部、ベントナイト91.8部、CMC72.0部を順次添加して分散・混合して比較例2の水膨潤性シーリング材組成物を得た。
この得られた水膨潤性シーリング材は、固形分が53.2重量%、樹脂成分が19.0重量%であった。溶剤比率が46.8重量%であり、
粘度特性が140000mPa・sであった。特性値を表2に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
表2にあるように、本発明の水膨潤性シーリング材組成物は、塗膜の厚塗りが可能で、塗布膜垂れも少なく、更に水中で膨潤した後の乾燥体積収縮が小さく、止水(耐水圧)特性に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともエチレン酢酸ビニル共重合樹脂エラストマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、無機充填材、多価金属化合物と溶剤を含有し、粘度特性が150000mPa・s以上、かつ全固形分が60〜85重量%であることを特徴とする水膨潤性シーリング材組成物。
【請求項2】
請求項1において、多価金属化合物が無水硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムの少なくとも1種であることを特徴とする水膨潤性シーリング材組成物。
【請求項3】
請求項1において、1%水溶液(25℃)の粘度が500mPa・s以上のカルボキシメチルセルロースナトリウム含有量が、全固形分の15〜40重量%の範囲であることを特徴とする水膨潤性シーリング材組成物。

【公開番号】特開2012−77204(P2012−77204A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223926(P2010−223926)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(391035577)日本化学塗料株式会社 (5)
【Fターム(参考)】