説明

水蒸気爆発型エンジン

【課題】回転が滑らかで、燃料効率を高く取れるエンジンを提供する。
【解決手段】ローターの外円をギア状にしてローターケースに供給した燃料の爆発燃焼の力は直接ローターの円周に作用し、燃料効率を高くすることができると同時に、燃焼廃気の熱を利用し、水蒸気爆発を発生させ、ローターの回転を促進し、エンジンの出力を高めることができる。更に、爆発燃焼と水蒸気爆発と廃気排出とを別々に連続的に行うことにより、連続爆発運転型水蒸気爆発エンジンを得ることができ、安定した運転と高効率を同時に実現することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を燃焼させ機械的な動力を作り出すエンジンの構造及び回転方法、特に液体又は気体燃料の燃焼により生じた廃熱を利用し、水蒸気を発生させ、水蒸気爆発させて回転力を発生させるエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料の燃焼爆発によりピストンの往復を作り出し、更にこの往復運動を回転運動に変え、機械的な回転運動を作り出す方法を利用したエンジンが主流であった。このエンジンは往復運動から回転運動を作るために効率が低いのが現状である。その燃焼過程で生じた廃熱がそのまま排気してしまうことも現状である。省エネルギーするためにその廃熱を回収して水を蒸発して水蒸気を作り、水蒸気の爆発を利用し、エンジンを回転させる考案もいくつか出されたが、実際の応用には燃料爆発用のエンジンを水蒸気爆発用兼用にするのは逆にエンジンの出力の低下を招く。専用の回転ローターを付加させて水蒸気爆発に使用したのはエンジンを大きくしなければならないため、配置場所にも、設備投資にも支障が生じる。そのゆえ、水蒸気爆発エンジンはいまだに実用されていないのが現状である。
【0003】
従って、燃料燃焼の廃熱を利用して、水蒸気爆発により、エンジンの出力を高めることができる新規構造の高効率エンジンの開発が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高効率の水蒸気爆発エンジンを提供することを目的とする。
【発明が解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、ローターの円周の全部又は一部をギア状にしたエンジンの運転は、少なくとも燃料と空気を別々に又は混合してからローターケースにある燃料送入口から送入し、爆発燃焼して、ローターを回転させる燃料燃焼爆発工程と、燃焼爆発工程で発生した廃気に水を送り込み、水蒸気に変え、水蒸気爆発によりローターを回転させる水蒸気爆発工程と、水蒸気爆発した廃気を追い出すための空気を用いて廃気を追い出す廃気排出工程とを備えたエンジンの運転方法である。燃料燃焼の廃気に直接に水を送り込み、水が廃気の熱を吸収し急速に気化され、水蒸気の発生で体積が急に大きくなり、エンジンのローターにあるギアに力を与え、ローターの回転軸を回転させることができるため、燃料燃焼の廃熱を利用してエンジンの出力を高めることができる。水蒸気爆発した廃気を追い出す用空気を用いて廃気を追い出し、次の燃料燃焼爆発の条件を整い、次のサイクルに入り、連続したエンジンの運転を実現する。
【0006】
請求項2に記載の発明は、円周の全部又は一部をギア状にしたローターと、ローターの回転軸と、ローターケースと、ローターケース上に燃料と空気を別々に又は燃料と空気の混合物を送入する燃料送入口と、水蒸気爆発するために水を送入する水送入口と、廃気を排出する廃気排出口と、廃気追い出し用の空気を送入する廃気追い出し用の空気送入口とを備え、ローターケースにおいて、当該燃料送入口と廃気排出との間にも、燃料送入口と廃気追い出し用の空気送入口との間にも、水の送入口と他のあらゆる送入口および排出口との間にも、連通構造を有しないことを特徴とする請求項1に記載の燃料燃焼型エンジンである。ギア型ローターのエンジンの廃気に水の送入により、簡単に水蒸気爆発を実現でき、水蒸気爆発の実用化が可能になる。ローター円周の全部をギア状にした方がローターの位置を感知して燃料と水の送り込みタイミングを制御する必要がなくて済むので、運転が簡単になる。
【0007】
請求3に記載の発明は、前記水蒸気爆発に送入する水は燃料燃焼の廃気並びに/又はエンジン本体の熱により加熱されたことを特徴とする請求項1に記載の水蒸気爆発エンジンの運転方法である。水を加熱して温度を高めることにより、エンジンの廃気に送入したら、気化しやすくなる他に、冷水よりも多くの水蒸気を発生することができ、水蒸気爆発の効果を高めることができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、ローターの円周の全部又は一部をギア状にしたエンジンの運転は、少なくとも燃料と空気を別々に又は混合してからローターケースにある燃料送入口から送入し、爆発燃焼して、ローターを回転させる燃料燃焼爆発工程と、燃焼爆発工程で発生した廃気を追い出すための空気を用いて廃気を追い出す廃気排出工程と、排出された廃気を水と熱交換させ、加熱された熱水をエンジンの熱水送入口に送り込み、水蒸気に変え、水蒸気爆発によりローターを回転させる水蒸気爆発工程と、水蒸気爆発した廃気を追い出すための空気を用いて廃気を追い出す廃気排出工程とを備えたエンジンの運転方法である。これらの工程により水蒸気爆発エンジンの連続的な運転を実現することができる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、円周の全部又は一部をギア状にしたローターと、ローターの回転軸と、ローターケースと、ローターケース上に燃料と空気を別々に又は燃料と空気の混合物を送入する燃料送入口と、水蒸気爆発するために熱水を送入する熱水送入口と、燃料燃焼廃気を排出する廃気排出口と、燃料燃焼廃気追い出し用の空気送入口と、水蒸気爆発した廃気の追い出し用空気送入口と、水蒸気爆発した廃気を追い出すための水蒸気廃気排出口とを備え、ローターケースにおいて、当該燃料燃焼廃気排出口と当該廃気排出用の空気送入口との間に、水蒸気爆発廃気排出口と当該廃気排出用の空気送入口との間には連通する以外の口間は互いに連通しないことを特徴とする請求項4に記載の燃料燃焼型エンジンである。これにより水蒸気爆発エンジンの連続的な運転を実現することができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、円周外側の全部又はその一部をギア状にした構造を有するローターを複数に配置したことを特徴とする請求項2及び請求項5に記載の水蒸気爆発型エンジンである。円周外側の全部又はその一部をギア状にした構造を有するローターを複数に配置することにより、エンジンの出力を高めることができる。
【0011】
本発明に記述した連通とは構造的に設計した連通経路を設けたことを指し、ローターとローターケースの間にある回転に必要な隙間とは連通経路とされない。また、各図に示した燃料入口の位置と角度は厳密な機械製図ではなく原理的に示したものである。また、本発明に記載したローターは円周の外側の形状には制限がない。例えば、円周の外側点から回転軸の中心までの垂直距離が等しくてもよいし、等しくなくても構わない。なお、本発明に記載したエンジンはエンジンユニットとして表現したが、そのままエンジンとして使用しても機能できるが、このエンジンユニットを複数で重ねて一つの回転軸につなげて回転させて出力を高めることもできる。エンジンのローターを重くしたり、軽くしたりして応用対象に応じて調整しても構わない。本発明に記載の燃料は液体でも気体でもよい。廃気追い出し用空気と燃料燃焼用の空気の圧力には特別に制限がなく、エンジンの使用条件に合わせて最適化すればよい。燃料を燃焼させ燃焼爆発を利用して回転動力を作り出す場合では点火プラグなどの点火器が必要な装置になることが言うまでもないから、本発明では強調しなかった。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ローターの外円をギア状にしてローターケースに供給した燃料の爆発燃焼の力は直接ローターの円周に作用し、燃料効率を高くすることができると同時に、燃焼廃気の熱を利用し、水蒸気爆発を発生させ、ローターの回転を促進し、エンジンの出力を高めることができる。更に、爆発燃焼と水蒸気爆発と廃気排出とを別々に連続的に行うことにより、連続爆発運転型水蒸気爆発エンジンを得ることができ、安定した運転と高効率を同時に実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施例により説明するが、かかる実施例によって本発明が制限されるものではない。
【実施例1】
【0014】
図1及び図2に示したエンジンにガソリンと空気の混合物5をポンプで、エンジンのローターケースにある燃料送入口6に送り込み、燃焼爆発してローター2を回転させる。更に熱水8を水送入口9から燃焼廃気に噴霧して水の急速な気化により水蒸気爆発を発生させ、ローターの回転7を促進し、エンジンの出力を高めることができる。水蒸気爆発した水蒸気廃気は廃気追い出し用空気12(0.06MPa)を廃気追い出し用空気送入口10から吹き込んで、廃気15を廃気排出口11から排出する。廃気が排出され、次の燃料燃焼爆発の条件が整い、次のサイクルにはいる。こうして連続した水蒸気爆発を利用したエンジンの運転ができる。図2に示したようにローターの両側に別々に入口と排出口を設置し、例えば廃気追い出し用の空気入口10と廃気排出口11はローターの両側に設置して、廃気を更に容易に追い出すことができる。
【実施例2】
【0015】
図3に示したエンジンエンジンに天然ガスと空気の混合物5をポンプで、エンジンのローターケースにある燃料送入口6に送り込み、燃焼爆発してローターを回転させる。燃料燃焼廃気は燃焼廃気追い出し用空気を廃気追い出し空気送入口10に送り込み、燃焼廃気を廃気排出口11から排出する。排出された廃気と熱交換で温度を上げた熱水8を水送入口9から噴霧して水の急速な気化により水蒸気爆発を発生させ、ローターの回転7を促進し、エンジンの出力を高めることができる。水蒸気爆発した水蒸気廃気は廃気追い出し用空気(0.06MPa)を水蒸気廃気追い出し用空気送入口16から吹き込んで、当該水蒸気廃気が水蒸気廃気排出口17から排出される。廃気が排出され、次の燃料燃焼爆発の条件を整い、次のサイクルにはいる。こうして連続した水蒸気爆発を利用したエンジンの運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】燃料燃焼廃気に水を送り込む水蒸気爆発エンジンの例を示す図である。
【図2】廃気追い出し空気送入口と廃気排出口とをローターの両側に設置した例を示す図である。
【図3】燃料燃焼廃気と水蒸気廃気とを別々に追い出す例を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ローターケース
2 ローター
3 ローターの回転軸
4 ローターのギア部分
5 燃料と空気の混合物
6 燃料送入口
7 ローターの回転方向
8 水蒸気爆発用水
9 水蒸気爆発用水送入口廃気追い出し用空気送入口
10 廃気追い出し用空気送入口
11 廃気排出口
12 廃気追い出し用空気
13 廃気追い出し用空気通路
14 廃気排出通路
15 排出された廃気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターの円周の全部又は一部をギア状にしたエンジンの運転は、少なくとも燃料と空気を別々に又は混合してからローターケースにある燃料送入口から送入し、爆発燃焼して、ローターを回転させる燃料燃焼爆発工程と、燃焼爆発工程で発生した廃気に水を送り込み、水蒸気に変え、水蒸気爆発によりローターを回転させる水蒸気爆発工程と、水蒸気爆発した廃気を追い出すための空気を用いて廃気を追い出す廃気排出工程とを備えたエンジンの運転方法。
【請求項2】
円周の全部又は一部をギア状にしたローターと、ローターの回転軸と、ローターケースと、ローターケース上に燃料と空気を別々に又は燃料と空気の混合物を送入する燃料送入口と、水蒸気爆発するために水を送入する水送入口と、廃気を排出する廃気排出口と、廃気追い出し用の空気を送入する廃気追い出し用の空気送入口とを備え、ローターケースにおいて、当該燃料送入口と廃気排出との間にも、燃料送入口と廃気追い出し用の空気送入口との間にも、水の送入口と他のあらゆる送入口および排出口との間にも、連通構造を有しないことを特徴とする請求項1に記載の燃料燃焼型エンジン。
【請求項3】
前記水蒸気爆発に送入する水は燃料燃焼の廃気並びに/又はエンジン本体の熱により加熱されたことを特徴とする請求項1に記載の水蒸気爆発エンジンの運転方法。
【請求項4】
ローターの円周の全部又は一部をギア状にしたエンジンの運転は、少なくとも燃料と空気を別々に又は混合してからローターケースにある燃料送入口から送入し、爆発燃焼して、ローターを回転させる燃料燃焼爆発工程と、燃焼爆発工程で発生した廃気を追い出すための空気を用いて廃気を追い出す廃気排出工程と、排出された廃気を水と熱交換させ、加熱された熱水をエンジンの熱水送入口に送り込み、水蒸気に変え、水蒸気爆発によりローターを回転させる水蒸気爆発工程と、水蒸気爆発した廃気を追い出すための空気を用いて廃気を追い出す廃気排出工程とを備えたエンジンの運転方法。
【請求項5】
円周の全部又は一部をギア状にしたローターと、ローターの回転軸と、ローターケースと、ローターケース上に燃料と空気を別々に又は燃料と空気の混合物を送入する燃料送入口と、水蒸気爆発するために熱水を送入する熱水送入口と、燃料燃焼廃気を排出する廃気排出口と、燃料燃焼廃気追い出し用の空気送入口と、水蒸気爆発した廃気の追い出し用空気送入口と、水蒸気爆発した廃気を追い出すための水蒸気廃気排出口とを備え、ローターケースにおいて、当該燃料燃焼廃気排出口と当該廃気排出用の空気送入口との間に、水蒸気爆発廃気排出口と当該廃気排出用の空気送入口との間には連通する以外の口間は互いに連通しないことを特徴とする請求項4に記載の燃料燃焼型エンジン。
【請求項6】
円周外側の全部又はその一部をギア状にした構造を有するローターを複数に配置したことを特徴とする請求項2及び請求項5に記載の水蒸気爆発型エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−180869(P2010−180869A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47063(P2009−47063)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(509057578)
【出願人】(599107739)