水質分析計用表示装置、水質分析計用表示プログラム及び水質分析システム
【課題】複数点校正の校正点数に対応した複数の校正結果を同時に表示して、校正済みの校正液の校正結果を表示するための後戻り作業を不要にするとともに、校正液の違いによる応答の度合いを視覚的に判断し易くする。
【解決手段】水質分析計2から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置6であって、水質分析計2における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部63と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部64とを備える。
【解決手段】水質分析計2から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置6であって、水質分析計2における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部63と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部64とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質分析計を校正する際に用いられる水質分析計用表示装置、水質分析計用表示プログラム及びこの水質分析計用表示装置を用いた水質分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
pHセンサなどの水質分析計を校正する場合には、ゼロ調整を行うための、例えば中性リン酸塩pH標準液(pH6.86 at25℃)を用いた1点校正や、この1点校正に加えて、スパン調整を行うための、測定液に近い他の標準液(例えばフタル酸塩pH標準液(pH4.01 at25℃)又はホウ酸塩pH標準液(pH9.18 at25℃))を用いた2点校正又は3点校正を行う。
【0003】
そして従来では、本来の校正に加えて、その校正の結果から水質分析計の校正の確からしさや、水質分析計の寿命を予測することが行われている。また、校正時の測定結果(pH値)を、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、時系列グラフ(いわゆるトレンドグラフ)として表示して、水質分析計の応答の度合いを認識することで、校正の確からしさや寿命を予測することも行われている。
【0004】
しかしながら、2点校正又は3点校正において校正液の種類を変更した場合、現在のトレンドグラフが画面上から消えて、新たな校正液の校正結果のトレンドグラフが表示される。このため、2液目又は3液目で応答の度合いが遅いと感じたときに、1液目又は2液目の校正結果のトレンドグラフとの間で応答の度合いを比較したい場合には、それらのトレンドグラフを再表示させるという後戻り作業が必要になってしまう。また、複数点校正した場合に、校正済みの所定の校正液(例えば測定液に近い他の標準液)の校正結果を再確認したい場合にも、その校正結果のトレンドグラフを再表示させるという後戻り作業が必要となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−193990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、複数点校正の校正点数に対応した複数の校正結果を同時に表示して、校正済みの校正結果を再表示させるための後戻り作業を不要にするとともに、校正液の違いによる応答の度合いを視覚的に判断し易くすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る水質分析計用表示装置は、水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置であって、水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、ユーザにより選択された校正点数に対応して複数の校正液の測定結果を並べて又は重ねて同一画面上に表示するので、複数の校正液の校正結果を同時に確認することができる。これにより、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要とし、複数の校正液に対する水質分析計の反応の度合いを比較し易くすることができる。この結果、校正の確からしさや水質分析計の寿命を予測し易くなる他に、複数の校正結果を応答の度合いなどの違いから、水質分析計の洗浄不足による汚れの有無や劣化の度合い等の水質分析計の状態を具体的に判断できるようになる。
【0009】
前記表示制御部が、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示することが望ましい。このように校正液の測定結果を時系列グラフとして表示することで、校正液の測定結果を応答曲線として視認することができ、その応答曲線の曲線形状を比較することで、汚れの有無や劣化の度合い等をより一層判断し易くすることができる。例えばpHセンサにおける2点校正の場合、1液目の校正液(pH6.98)における応答速度と、2液目の校正液(pH4.01)における応答速度とを比較して、1液目の応答速度に対して2液目の応答速度が遅い場合には、pHセンサに酸性における応答を妨害する汚れがあることが分かる。なお、1つの校正液の応答曲線の曲線形状からでも水質分析計の汚れや故障などを判断することもできる。
【0010】
複数の校正液の測定結果を時系列グラフとして表示して比較する際にその曲線形状の曲がり具合が大きな判断要素となる。このため、同一画面上に表示される複数の時系列グラフにおいて、それらの測定軸における数値範囲の上限値と下限値との差が互いに略同一であることが望ましい。このように数値範囲の上限値と下限値との差(分解能)を略同一にしていることにより、各校正液の測定結果の曲線形状をそのまま比較することができ、比較判断を行い易くすることができる。
【0011】
前記表示制御部が、前記校正液の測定結果の収束値又はその近傍の値が前記縦軸の中央値となるように前記縦軸の目盛を変更し、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示することが望ましい。このように、複数の測定結果の時系列グラフが縦軸の中央値を通る中心軸を基準として表示されることになり、複数の時系列グラフの曲線形状を比較判断し易くなる。特に、表示制御部が、複数の校正液の時系列グラフを同一画面上に左右方向に並べて表示する場合には、各時系列グラフの縦軸の中央値が同一直線上となるように表示することが比較判断の上で最も好ましい。
【0012】
また本発明に係る水質分析用表示プログラムは、水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示するための水質分析計用表示プログラムであって、水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部との機能をコンピュータに備えさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、複数点校正の校正点数に対応した複数の校正結果を同時に表示して、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要にするとともに、校正液の違いによる応答の度合いを視覚的に判断し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る水質分析システムの模式的構成図。
【図2】同実施形態の指示変換器の(A)機器構成図及び(B)機能構成図。
【図3】同実施形態の管理装置の(A)機器構成図及び(B)機能構成図。
【図4】同実施形態のデジタル形式の測定値表示装置の画面図。
【図5】同実施形態のグラフ形式の測定値表示装置の画面図。
【図6】同実施形態の運転割合一覧表示画面の画面図。
【図7】同実施形態の校正開始画面の画面図。
【図8】同実施形態の校正終了画面の画面図。
【図9】同実施形態の校正履歴画面の画面図。
【図10】同実施形態のエラー一覧画面の画面図。
【図11】同実施形態のエラー詳細画面の画面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る水質分析システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る水質分析システム100は、例えば水処理施設等のプロセス現場において現場各所の水質を分析してプロセス制御するためのものであり、図1に示すように、現場各所それぞれに設けられた複数の水質分析計2と、計器室等のデータセンタ室に設けられて、前記複数の水質分析計2の測定結果を取得してディスプレイ上に表示するとともにプロセス制御を行う中央制御装置5とを備えている。
【0017】
そして水質分析計2は、現場各所の測定液中に浸漬して設けられるセンサ機器3と、当該センサ機器3に対応して設けられ、センサ機器3より得られた測定結果を表示するディスプレイを有するとともに、その測定結果やその他の水質分析計からの信号を前記中央制御装置5に伝送する指示変換器4とを有する。なおセンサ機器3と指示変換器4とは信号ケーブルにより接続されている。
【0018】
センサ機器3は、pH、酸化還元電位(ORP)、溶存酸素(DO)、電気伝導率(導電率)、温度、濁度、水深、あるいはそれらの測定項目から換算して得られる測定項目の少なくとも1つを測定するものである。例えばpH、ORP及びDOを測定するものの場合には、センサ機器3は、pHセンサ、ORPセンサ及びDOセンサを有する。
【0019】
指示変換器4は、センサ機器3から得られる測定結果(例えばpH及び温度など)を指示変換器前面に設けられたディスプレイに表示するものである。また、指示変換器4は、例えばRS−485等のシリアル通信用ケーブルが接続されており、前記測定結果を示す測定データやセンサ機器3から得られるその他の信号等を例えばDC4〜20mAに変換して中央制御装置5に伝送出力するものである。
【0020】
中央制御装置5は、CPU、メモリ、変換器、入出力インタフェース及び変換器を有する専用乃至汎用のコンピュータであり、CPUが前記メモリの所定領域に格納された制御プログラムに従って動作することで、前記各手段の制御や情報処理を行い、指示変換器4から伝送された測定データを演算処理してディスプレイ上に表示する機能とともに、その測定データが異常である判断した場合に警報する機能などを有する。この中央制御装置5により、複数の水質分析計2により得られる測定データが一括管理されることで、処理施設等のプロセス現場全体が監視・制御される。
【0021】
しかして本実施形態の水質分析計2の指示変換器4は、図2(A)に示すように、CPU401、メモリ402、変換器403、入出力インタフェース404、ディスプレイ405及び無線通信機器406等を有する専用乃至汎用のコンピュータであり、CPU401がメモリ402の所定領域に格納された水質分析計用プログラムに従って動作することで前記各手段の制御や情報処理を行い、図2(B)に示すように、運転時間累計部41、総運転時間累計部42、運転割合算出部43、データ格納部44及びデータ出力部45としての機能を発揮する。なお、本実施形態の指示変換器4は、メッシュ型マルチポップ通信が可能な無線通信機器406を有するものであり、本実施形態では、周波数帯域が2.4GHz帯であり、送信出力が10mW以下の2.4GHz帯無線送受信機である。そして各指示変換器4が後述する水質分析計用管理装置6に対して他の指示変換器4の中継局として機能するように構成している。このように本実施形態の指示変換器4は、センサ機器3の測定データを中央制御装置5に送信するとともに、センサ機器3の測定データ及びセンサ管理用データ(例えば後述の運転割合データ等)を水質分析用管理装置6に送信するように構成されている。
【0022】
運転時間累計部41は、センサ機器3の使用状況を測定結果の範囲により分類してなる複数の分類範囲毎に、その運転時間を累計するものである。ここで、複数の分類範囲としては、センサ機器3の測定結果を複数の濃度範囲に分割して分類したものであり、センサ機器3がpHセンサの場合には、「pH2.0未満」、「pH2.0〜5.5」、「pH5.5〜7.0」、「pH7.0〜8.5」、「pH8.5〜12」、「pH12以上」等である。その他、pH以外の測定項目を複数の数値範囲に分割して分類したものとすることができる。また使用温度範囲を例えば「0〜10℃」、「10〜20℃」、「20〜30℃」等のように複数の温度範囲に分割して分類することも考えられる。このように運転時間の累計対象であるセンサ機器3自体の測定結果を用いて分類しても良いし、運転時間の累計対象以外のセンサ機器の測定結果を用いて分類しても良い。
【0023】
また、運転時間累計部41は、例えば5秒以上の一定時間安定している数値がいずれの分類範囲に属するかを判断し、その数値の安定している時間(安定時間)を当該数値の属する分類範囲の運転時間として累計する。その他、安定時間に加えて数値が安定するまでの時間(変動時間)を合わせた時間としても良い。そして、運転時間累計部41が累計した分類範囲毎の運転時間を示す運転時間データは、運転割合算出部43に出力される。また運転時間データは、メモリ402に設定された所定領域、例えばデータ格納部44に格納される。
【0024】
総運転時間累計部42は、水質分析計2のセンサ機器3が運転を開始してからの総運転時間を累計する。そして、総運転時間累計部42が累計した総運転時間を示す総運転時間データは、運転割合算出部43に出力される。また、総運転時間データは、メモリ402に設定された所定領域、例えばデータ格納部44に格納される。
【0025】
運転割合算出部43は、水質分析計2の総運転時間に対する分類範囲毎の運転時間の運転割合を算出するものである。具体的に運転割合算出部43は、総運転時間を示す総運転時間データを取得するとともに、分類範囲毎の運転時間を示す運転時間データを取得して、分類範囲毎の運転割合(%)を算出する。この分類範囲毎の運転割合を示す運転割合データは、メモリ402の所定領域に設定されたデータ格納部44に格納される。
【0026】
そして、指示変換器4の無線送信機406等から構成されるデータ出力部45は、後述の水質分析計用管理装置6からの要求を受け付けた場合に、データ格納部44に格納された運転割合データを水質分析計用管理装置6に無線送信する。なお、運転割合算出部43は、水質分析計用管理装置6からの要求を受け付けたことをトリガとして運転割合を算出するようにしても良いし、常時運転割合を算出するようにしても良いし、定期的に運転割合を算出するようにしても良い。また、データ出力部45は、データ格納部44に格納された運転時間データや総運転時間データを水質分析計用管理装置6に出力することもできる。
【0027】
そして、本実施形態の水質分析システム100は、図1に示すように、複数の水質分析計2を管理するための水質分析計用管理装置6を備えている。
【0028】
この水質分析計用管理装置6は、センサ機器3のメンテナンスなどの各種操作を行うための例えば携帯型コンピュータ等の携帯端末であり、各センサ機器3に接続された指示変換器4と無線通信するものである。なお、この水質分析計用管理装置6が、水質分析計2から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置として機能する。
【0029】
水質分析計用管理装置6の具体的な機器構成は、図3(A)に示すように、CPU601、メモリ602、変換器603、入出力インタフェース604、ディスプレイ605、無線通信機器606及び入力手段607等を有する専用乃至汎用のコンピュータである。そして、CPU601がメモリ602の所定領域に格納された水質分析計用管理プログラムに従って動作することで前記各手段の制御や情報処理を行い、図3(B)に示すように、測定データを含む種々のデータを受信するデータ受信部61、受信した測定データ及び種々のデータを格納するデータ格納部62、複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部63、及び、受信した測定データ及び種々のデータをディスプレイ605上に表示する表示制御部64としての機能を発揮する。
【0030】
そして、水質分析計用管理装置6は、データ収集機能およびメンテナンス機能を有する。以下、各機能について説明するとともに、データ取得部61、データ格納部62、選択信号取得部63及び表示制御部64の各機能について説明する。
【0031】
まず水質分析計用管理装置6のデータ収集機能について説明する。
【0032】
水質分析液用管理装置6のデータ取得部61は、各水質分析計2の測定結果を示す測定データを受信するとともに、各水質分析計2の設定値を示す設定データを受信する。そして、この受信された測定データ及び設定データは、データ格納部62に格納される。なお、水質分析計用管理装置6が設置データを取得することで、特定の水質分析計2の設定を他の水質分析計2に応用できるようにしている。
【0033】
また、表示制御部64は、受信した測定データに基づいて、図4に示すデジタル形式の測定値表示画面W1と、図5に示すグラフ形式の測定値表示画面W2とを選択的にディスプレイ605上に表示する。グラフ形式の測定値表示画面W2は、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、測定データを時系列グラフ(いわゆるトレンドグラフ)として表示するグラフ表示領域W21を有する。このグラフ表示領域W21には、複数の水質分析計2の複数の測定データが同時に重ねてグラフ表示される。このとき、複数の時系列グラフは、その線の色が互いに異なるように表示される。
【0034】
ここで、表示制御部64は、ユーザの入力操作に伴ってそれらグラフの色を変更するように構成されている。例えば、ユーザが所定のボタンを操作することで、表示されるグラフの色が必ず新しい色となるようにする。グラフ表示領域に常時3つの時系列グラフを表示するものにおいては5色で対応することが考えられる。
【0035】
さらに、表示制御部64は、グラフ表示領域W21の周辺(図5では上部)に、グラフ表示している時系列グラフに対応する水質分析計2の最新の測定値及び温度を表示するとともに、水質分析計2の状態を表示する。図5においては、3つの水質分析計2のうち2つがエラー又は通信不可であることを表示しており、グラフ表示領域W21には1つのグラフしか表示されていない。
【0036】
また水質分析計用管理装置6は、複数の水質分析計2(センサ機器3)の稼働状態(運転状態)を取得できるように構成されている。本実施形態の水質分析計2は上述した通り、複数の分類範囲毎にその運転割合を示す運転割合データを持っていることから、データ取得部61は、各水質分析計2の無線送信機406(データ出力部45)から無線送信される時間割合データを受信する。
【0037】
そして、表示制御部64は、データ受信部61で受信した時間割合データに基づいて、図6に示す運転割合一覧表示画面W3を表示する。
【0038】
この運転割合一覧表示画面W3は、複数のセンサ機器3それぞれについて複数の分類範囲毎の運転割合が一覧表示されるものであり、具体的には、行方向(縦方向)に各センサ機器3の種類を表示するとともに、列方向(横方向)に各分類範囲の運転割合(%)を表示する。また、表示制御部64は、複数の分類範囲の運転割合とともに、各センサ機器3の総運転時間も一覧表示する。その他、表示制御部64は、各センサ機器3から得られたデータから、各センサ機器3の最大測定値、最小測定値、平均測定値、使用最高温度、使用最低温度、使用平均温度等も一覧表示する。
【0039】
なお、図6においては、ディスプレイ605上に全ての情報を表示できない態様を示しており、表示制御部64は、スクロールバーW31を表示して、ユーザの入力操作によって表示画面W3をスクロールできるように構成している。また、表示制御部64は、運転割合一覧表示画面W3において、所定のセンサ機器3を検索するための検索ボタン、検索解除ボタン、センサ機器3を並べ替えるための並べ替えボタン、並べ替え解除ボタンを表示する。
【0040】
その他、データ取得部61は、指示変換器4から計器モード、エラー、接点出力状態、伝送出力、外部入力等を受信する。このように水質分析計用管理装置6は、水質分析計2の計器状態を一元管理するものであり、通信接続中の測定データや水質分析計2の稼働状態を時系列で記録(ロギング)する機能を有する。
【0041】
次に、水質分析計用管理装置6のメンテナンス機能について説明する。
【0042】
水質分析計用管理装置6の選択信号取得部63は、センサ機器3における複数点校正(1点校正、2点校正、3点校正)の校正点数(1点、2点、3点)を選択するための校正点数選択信号を取得する。そして、この取得された校正点数選択信号に基づいて、表示制御部64は、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて表示する。
【0043】
選択信号取得部63は、校正者等のユーザが管理装置6の入力手段607を操作することにより生成された校正点数選択信号を取得する。ここで校正点数は、校正を行うべきセンサ機器3の種類や用途等によって決定されるものであり、例えばDOセンサのゼロ調整及びスパン調整の両方を行う場合、又はpHセンサにおいてpH4、pH7又はpH9等で調整を行う場合には、2点校正又は3点校正が選択される。
【0044】
そして、表示制御部64は、図7に示すように、選択された校正点数に対応する数のグラフ表示領域W41を有する校正開始画面W4をディスプレイ605上に表示する。
【0045】
図7においては、2点校正において2つのグラフ表示領域W41(1液用のグラフ表示領域及び2液用のグラフ表示領域)を左右方向に並べて表示した場合を示している。1つのグラフ表示領域W41には1つのグラフが表示される。なお、図示しないが、1点校正が選択された場合には、1つのグラフ表示領域W41を表示し、3点校正が選択された場合には、3つのグラフ表示領域W41を左右方向に並べて表示する。また、校正開始画面W4には、校正の状態(「pH7液を準備してください。」)、感度(mV/pH)、不斉電位(mV)及び校正開始ボタンが表示される。この状態で、センサ機器3の校正が行われる。
【0046】
図8に校正終了後の校正終了画面W5を示す。この校正終了画面W5には、2点校正における2つの校正液の測定結果が並んで表示されるとともに、校正の状態(「校正終了」)、感度(mV/pH)及び不斉電位(mV)が表示される。この感度及び不斉電位としては、2点校正の結果、管理装置6により演算された値が表示される。
【0047】
ここで、表示制御部64は、グラフ表示領域W41において、校正液の測定結果を、一方の軸(横軸)が時間を示す時間軸で他方の軸(縦軸)が測定結果を示す測定軸である座標系に時系列グラフとして表示する。複数のグラフ表示領域W41を表示する場合には、各グラフ表示領域W41が、略同一サイズであり、測定軸における数値範囲の上限値と下限値との差、つまり測定軸の分解能が互いに略同一としている。このようにグラフ表示領域W41を略同一サイズ且つ分解能を略同一としているので、各校正液の測定結果の曲線形状をそのまま比較することができ、各校正液の測定における応答スピード等を比較し易くすることができる。
【0048】
さらに、表示制御部64は、図8に示すように、校正液の測定結果の収束値又はその近傍の値が、測定軸の中央値となるように測定軸の目盛を変更し、校正液の測定結果を時系列グラフとして表示する。なお、目盛の変更の度合いは例えば0.2ずつとしている。ここで、複数の時系列グラフは、左右方向に並べて表示されていることから、各時系列グラフの測定軸の中央値は、表示画面上において略同一直線上となるように表示されることになる。図8においては、1液目のグラフ表示領域W41の測定軸の中央値が7.0となっており、2液目のグラフ表示領域W41の測定軸の中央値の4.0となっており、これら中央値の高さ位置が同じとなっている。このように構成することで、1液目の時系列グラフ及び2液目の時系列グラフの応答曲線形状を比較することが容易となる。
【0049】
校正後の測定結果を時系列グラフとして表示する場合には、その収束値又はその近傍の値が測定軸の中央値となるようにしているが、校正中の測定結果を時系列グラフに表示する場合には、センサ機器3から出力された測定値又はその近傍の値が測定軸の中央値となるように縦軸の目盛を変更する。つまり校正中に得られた最新の測定値又はその近傍の値が常に測定軸の中央値となる。
【0050】
また表示制御部64は、図9に示すように、校正履歴画面W6を表示する。この校正履歴画面W6は、過去の校正データを表示するものであり、校正履歴データ表示画面(不図示)と校正履歴グラフ表示画面W61とを切り替え表示可能なものである。センサ機器3がpHセンサの場合には、校正履歴データ表示画面は不斉電位及び感度の数値を一覧表示するものであり、校正履歴グラフ表示画面W61は不斉電位及び感度をグラフ表示するものである。なお、このグラフは、横軸が以前の校正回数を示し縦軸が不斉電位又は感度を示すグラフである。
【0051】
ここで、校正履歴画面W6の校正履歴グラフ表示画面W61において、縦軸の数値範囲は、pHセンサの校正における許容範囲内の感度又は不斉電位としている。つまり、このグラフ上に表示されない校正結果は許容範囲を超えているということになる。なお、図9における感度の校正許容範囲は40mV/pH〜80mV/pHである。そして、この校正許容範囲内において、さらにユーザが予め設定した独自のエラー許容範囲(センサ機器3の交換条件の目安となる閾値など)を表示することもできる。例えば、感度においては、エラー許容範囲を50mV/pH〜70mV/pHとすること等である。校正の結果、このエラー許容範囲内ではなくたったものについては、新しいセンサ機器3と交換する等の判断を行うことができる。その他、表示制御部64は、各センサ機器3を校正した周期である校正周期、各センサ機器3を交換した履歴である交換履歴及び各センサ機器3を交換すべき期間等を知らせるセンサ交換推奨情報についても表示する。また、表示制御部64は、校正に関する過去の校正グラフも重ねて表示し、過去のデータと比較することができる。
【0052】
また、表示制御部64は、図10に示すエラー一覧画面W7を表示する。このエラー一覧画面W7は、水質分析計2に生じているエラーを全て一覧表示するものであり、且つ、エラー内容の優先度の高い順に順番に表示する。図10では上から順に表示した場合を示している。ここで優先度が高いエラーとは、このエラーに対応すれば、他のエラーが解決される又は解決し易くなるものである。このように優先度の高い順に表示することで、上から対応すれば効率の良いエラー対応が可能となる。具体的な一覧表示内容としては、エラーコード及びそのエラー名を一覧表示する。なお、エラーコード及びエラー名並びに優先度を示すデータは予めデータ格納部62に格納されている。
【0053】
そして、ユーザが優先度の高いエラー(図10においてE−21/温度センサ断線)を選択した場合には、表示制御部64は、図11に示すエラー詳細画面W8を表示する。このエラー詳細画面W8は、エラー原因の候補、そのエラー原因を解消するための処置内容及び必要に応じて処置における条件内容も表示している。なお、これらの処置内容及び条件内容を示すデータは、予めデータ格納部62に格納されている。その他、表示制御部64は、過去のエラー履歴を表示することもできる。
【0054】
次に2つのセンサ機器3を交換する場合のデータ管理方法について説明する。
【0055】
本実施形態では、指示変換器4に測定データを蓄積することができないため、水質分析計用管理装置6と水質分析計2の通信接続中に測定データを蓄積させることで、センサ機器3のメンテナンス及び管理を行っている。ここで、センサ機器Aとセンサ機器Bとを交換した場合、指示変換器4と管理装置6との通信接続状態により測定データと実際のセンサ機器Bとは異なるセンサ機器Aの測定データとして取得してしまい、データを損失することになる。そこで、データの損失を最小限に抑えるために以下の(1)〜(3)の場合でデータ管理方法が異なる。
【0056】
(1)指示変換器4が管理装置6と通信接続されている状態で、指示変換器4のセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換する場合
(2)指示変換器4のセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換した後に、管理装置6の設定上でセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換し、指示変換器4を管理装置6と通信接続した場合
(3)管理装置6の設定上でセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換した後に、指示変換器4のセンサ機器A及びセンサ機器Bとを交換し、指示変換器4を管理装置6と通信接続した場合
【0057】
上記(1)の場合には、指示変換器4のセンサ機器Aのデータを管理装置6に保存し、管理装置6に入力されたセンサ機器Bのデータを指示変換器4に書き込む。
【0058】
上記(2)の場合には、管理装置6を通信接続するまでは、指示変換器4のセンサ機器Aのデータにセンサ機器Bのデータを指示変換器4に蓄積する。そして、管理装置6を通信接続した時に、センサ機器Aの過去履歴として管理装置6に保存し、管理装置6に入力されたセンサ機器Bのデータを指示変換器4に書き込む。
【0059】
上記(3)の場合には、実際に指示変換器4に接続されたセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換する前に、管理装置6の設定上のセンサ機器Bと指示変換器4に接続されたセンサ機器Aとが異なるため、実際にセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換するまで、センサ機器Bのデータをセンサ機器Aのものとして指示変換器4に蓄積する。管理装置6を通信接続した時に、センサ機器Aの過去履歴として管理装置6に保存し、指示変換器4にはセンサ機器Bのデータを書き込む。
【0060】
このように構成した水質分析システム100によれば、ユーザにより選択された校正点数に対応して複数の校正液の測定結果を並べて同一画面上に表示するので、複数の校正液の測定結果を同時に確認することができる。これにより、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要とし、複数の校正液に対する水質分析計2の反応の度合いを比較し易くすることができる。この結果、校正の確からしさや水質分析計2の寿命を予測し易くなる他に、複数の校正結果を応答の度合いなどの違いから、水質分析計2の洗浄不足による汚れの有無や劣化の度合い等の水質分析計2の状態を具体的に判断できるようになる。また、ユーザにより入力された校正点数選択信号により、校正開始時に画面上に表示するグラフ表示領域の数を校正点数の数としていることから、2点校正すべきところを1点校正しかしないといった校正漏れを防ぐこともできる。
【0061】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0062】
例えば、前記実施形態では、同一画面上に複数の測定結果を並べて表示するものであったが、1つのグラフ表示領域に複数の校正液の測定結果を表示するように構成しても良い。このようなものであっても、同一画面上に複数の校正液の測定結果が表示されることになり、複数の校正液の校正結果を同時に確認することができる。これにより、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要とし、複数の校正液に対する水質分析計2の反応の度合いを比較し易くすることができる。その他、複数のグラフ表示領域を上下に表示するようにしても良い。
【0063】
また、前記実施形態では、指示変換器4が無線通信により水質分析計用管理装置6に測定データやセンサ情報データ等のデータを伝送するものであったが、通信ケーブルによりそれらのデータを伝送するように構成しても良い。
【0064】
さらに、前記実施形態の管理装置6は、現場各所に設けられた水質分析計2(センサ機器3)のグループ設定を行うことができ、グループ毎に管理を行うことを可能としても良い。この場合、例えば、表示制御部が、運転割合一覧表示画面において、グループ毎に、そのグループに含まれる水質分析計2(センサ機器3)の運転割合を一覧表示することが考えられる。
【0065】
その上、管理装置6は、現場各所に設けられた水質分析計2(センサ機器3)の帳簿管理が可能としても良い。この場合、管理装置6には月報等の管理帳簿を示す帳簿データが格納されており、この帳簿データに基づいて表示制御部64が画面上に管理帳簿を表示する。この管理帳簿を用いてユーザは入力操作を行うことによって現場各所の水質分析計2(センサ機器3)の管理を行う。なお、管理装置6の帳簿管理機能を用いて、管理装置6が当初予定している水質分析計2(例えば自社製品の水質分析計2)を管理する他、当初予定していない管理外の分析計(例えば流量計、圧力計又は他社製品の水質分析計)を、それら分析計のセンサ情報を手入力で入力することにより、それらセンサ情報を画面上に表示しても良い。また、それらを管理する管理帳簿を表示して管理するようにしても良い。
【0066】
加えて、管理装置6は、各機種の取り扱い説明書を示す説明書データ、各機種のトラブルシューティング(Q&A)を示すトラブルシューティングデータ、各機種のメンテナンスガイドを示すメンテナンスデータ等を格納しており、ユーザの選択によってこれらの表示画面をディスプレイ上に表示する。表示制御部64は、その他、前記実施形態の各種機能を行うためのメニュー選択画面を表示する。このメニュー選択画面により選択されたメニューに従って表示制御部64は、各種画面表示を行う。
【0067】
また、前記実施形態では、水質分析計2が運転割合算出部43を有するものであったが、管理装置6が運転割合算出部を有するものであっても良い。この場合、管理装置のデータ取得部61が水質分析計2のデータ出力部45から運転時間データ及び総運転時間データを取得して、それら取得したデータを用いて運転割合算出部が、センサ機器の総運転時間に対する分類範囲毎の運転時間の割合を算出する。
【0068】
加えて、前記実施形態では、水質分析計用管理装置6が水質分析計用表示装置を兼ねるものであったが、水質分析計用表示装置を別に設けても良い。
【0069】
また、前記実施形態の水質分析計は、指示変換器に信号ケーブルを介してセンサ機器を接続して構成されるものであったが、センサ機器及び指示変換器が信号ケーブルを介することなく物理的に一体構成であっても良い。
【0070】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
100・・・水質分析システム
2・・・水質分析計
3・・・センサ機器
4・・・指示変換器
6・・・水質分析計用管理装置
63・・・選択信号取得部
64・・・表示制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質分析計を校正する際に用いられる水質分析計用表示装置、水質分析計用表示プログラム及びこの水質分析計用表示装置を用いた水質分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
pHセンサなどの水質分析計を校正する場合には、ゼロ調整を行うための、例えば中性リン酸塩pH標準液(pH6.86 at25℃)を用いた1点校正や、この1点校正に加えて、スパン調整を行うための、測定液に近い他の標準液(例えばフタル酸塩pH標準液(pH4.01 at25℃)又はホウ酸塩pH標準液(pH9.18 at25℃))を用いた2点校正又は3点校正を行う。
【0003】
そして従来では、本来の校正に加えて、その校正の結果から水質分析計の校正の確からしさや、水質分析計の寿命を予測することが行われている。また、校正時の測定結果(pH値)を、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、時系列グラフ(いわゆるトレンドグラフ)として表示して、水質分析計の応答の度合いを認識することで、校正の確からしさや寿命を予測することも行われている。
【0004】
しかしながら、2点校正又は3点校正において校正液の種類を変更した場合、現在のトレンドグラフが画面上から消えて、新たな校正液の校正結果のトレンドグラフが表示される。このため、2液目又は3液目で応答の度合いが遅いと感じたときに、1液目又は2液目の校正結果のトレンドグラフとの間で応答の度合いを比較したい場合には、それらのトレンドグラフを再表示させるという後戻り作業が必要になってしまう。また、複数点校正した場合に、校正済みの所定の校正液(例えば測定液に近い他の標準液)の校正結果を再確認したい場合にも、その校正結果のトレンドグラフを再表示させるという後戻り作業が必要となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−193990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、複数点校正の校正点数に対応した複数の校正結果を同時に表示して、校正済みの校正結果を再表示させるための後戻り作業を不要にするとともに、校正液の違いによる応答の度合いを視覚的に判断し易くすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る水質分析計用表示装置は、水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置であって、水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、ユーザにより選択された校正点数に対応して複数の校正液の測定結果を並べて又は重ねて同一画面上に表示するので、複数の校正液の校正結果を同時に確認することができる。これにより、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要とし、複数の校正液に対する水質分析計の反応の度合いを比較し易くすることができる。この結果、校正の確からしさや水質分析計の寿命を予測し易くなる他に、複数の校正結果を応答の度合いなどの違いから、水質分析計の洗浄不足による汚れの有無や劣化の度合い等の水質分析計の状態を具体的に判断できるようになる。
【0009】
前記表示制御部が、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示することが望ましい。このように校正液の測定結果を時系列グラフとして表示することで、校正液の測定結果を応答曲線として視認することができ、その応答曲線の曲線形状を比較することで、汚れの有無や劣化の度合い等をより一層判断し易くすることができる。例えばpHセンサにおける2点校正の場合、1液目の校正液(pH6.98)における応答速度と、2液目の校正液(pH4.01)における応答速度とを比較して、1液目の応答速度に対して2液目の応答速度が遅い場合には、pHセンサに酸性における応答を妨害する汚れがあることが分かる。なお、1つの校正液の応答曲線の曲線形状からでも水質分析計の汚れや故障などを判断することもできる。
【0010】
複数の校正液の測定結果を時系列グラフとして表示して比較する際にその曲線形状の曲がり具合が大きな判断要素となる。このため、同一画面上に表示される複数の時系列グラフにおいて、それらの測定軸における数値範囲の上限値と下限値との差が互いに略同一であることが望ましい。このように数値範囲の上限値と下限値との差(分解能)を略同一にしていることにより、各校正液の測定結果の曲線形状をそのまま比較することができ、比較判断を行い易くすることができる。
【0011】
前記表示制御部が、前記校正液の測定結果の収束値又はその近傍の値が前記縦軸の中央値となるように前記縦軸の目盛を変更し、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示することが望ましい。このように、複数の測定結果の時系列グラフが縦軸の中央値を通る中心軸を基準として表示されることになり、複数の時系列グラフの曲線形状を比較判断し易くなる。特に、表示制御部が、複数の校正液の時系列グラフを同一画面上に左右方向に並べて表示する場合には、各時系列グラフの縦軸の中央値が同一直線上となるように表示することが比較判断の上で最も好ましい。
【0012】
また本発明に係る水質分析用表示プログラムは、水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示するための水質分析計用表示プログラムであって、水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部との機能をコンピュータに備えさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、複数点校正の校正点数に対応した複数の校正結果を同時に表示して、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要にするとともに、校正液の違いによる応答の度合いを視覚的に判断し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る水質分析システムの模式的構成図。
【図2】同実施形態の指示変換器の(A)機器構成図及び(B)機能構成図。
【図3】同実施形態の管理装置の(A)機器構成図及び(B)機能構成図。
【図4】同実施形態のデジタル形式の測定値表示装置の画面図。
【図5】同実施形態のグラフ形式の測定値表示装置の画面図。
【図6】同実施形態の運転割合一覧表示画面の画面図。
【図7】同実施形態の校正開始画面の画面図。
【図8】同実施形態の校正終了画面の画面図。
【図9】同実施形態の校正履歴画面の画面図。
【図10】同実施形態のエラー一覧画面の画面図。
【図11】同実施形態のエラー詳細画面の画面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る水質分析システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る水質分析システム100は、例えば水処理施設等のプロセス現場において現場各所の水質を分析してプロセス制御するためのものであり、図1に示すように、現場各所それぞれに設けられた複数の水質分析計2と、計器室等のデータセンタ室に設けられて、前記複数の水質分析計2の測定結果を取得してディスプレイ上に表示するとともにプロセス制御を行う中央制御装置5とを備えている。
【0017】
そして水質分析計2は、現場各所の測定液中に浸漬して設けられるセンサ機器3と、当該センサ機器3に対応して設けられ、センサ機器3より得られた測定結果を表示するディスプレイを有するとともに、その測定結果やその他の水質分析計からの信号を前記中央制御装置5に伝送する指示変換器4とを有する。なおセンサ機器3と指示変換器4とは信号ケーブルにより接続されている。
【0018】
センサ機器3は、pH、酸化還元電位(ORP)、溶存酸素(DO)、電気伝導率(導電率)、温度、濁度、水深、あるいはそれらの測定項目から換算して得られる測定項目の少なくとも1つを測定するものである。例えばpH、ORP及びDOを測定するものの場合には、センサ機器3は、pHセンサ、ORPセンサ及びDOセンサを有する。
【0019】
指示変換器4は、センサ機器3から得られる測定結果(例えばpH及び温度など)を指示変換器前面に設けられたディスプレイに表示するものである。また、指示変換器4は、例えばRS−485等のシリアル通信用ケーブルが接続されており、前記測定結果を示す測定データやセンサ機器3から得られるその他の信号等を例えばDC4〜20mAに変換して中央制御装置5に伝送出力するものである。
【0020】
中央制御装置5は、CPU、メモリ、変換器、入出力インタフェース及び変換器を有する専用乃至汎用のコンピュータであり、CPUが前記メモリの所定領域に格納された制御プログラムに従って動作することで、前記各手段の制御や情報処理を行い、指示変換器4から伝送された測定データを演算処理してディスプレイ上に表示する機能とともに、その測定データが異常である判断した場合に警報する機能などを有する。この中央制御装置5により、複数の水質分析計2により得られる測定データが一括管理されることで、処理施設等のプロセス現場全体が監視・制御される。
【0021】
しかして本実施形態の水質分析計2の指示変換器4は、図2(A)に示すように、CPU401、メモリ402、変換器403、入出力インタフェース404、ディスプレイ405及び無線通信機器406等を有する専用乃至汎用のコンピュータであり、CPU401がメモリ402の所定領域に格納された水質分析計用プログラムに従って動作することで前記各手段の制御や情報処理を行い、図2(B)に示すように、運転時間累計部41、総運転時間累計部42、運転割合算出部43、データ格納部44及びデータ出力部45としての機能を発揮する。なお、本実施形態の指示変換器4は、メッシュ型マルチポップ通信が可能な無線通信機器406を有するものであり、本実施形態では、周波数帯域が2.4GHz帯であり、送信出力が10mW以下の2.4GHz帯無線送受信機である。そして各指示変換器4が後述する水質分析計用管理装置6に対して他の指示変換器4の中継局として機能するように構成している。このように本実施形態の指示変換器4は、センサ機器3の測定データを中央制御装置5に送信するとともに、センサ機器3の測定データ及びセンサ管理用データ(例えば後述の運転割合データ等)を水質分析用管理装置6に送信するように構成されている。
【0022】
運転時間累計部41は、センサ機器3の使用状況を測定結果の範囲により分類してなる複数の分類範囲毎に、その運転時間を累計するものである。ここで、複数の分類範囲としては、センサ機器3の測定結果を複数の濃度範囲に分割して分類したものであり、センサ機器3がpHセンサの場合には、「pH2.0未満」、「pH2.0〜5.5」、「pH5.5〜7.0」、「pH7.0〜8.5」、「pH8.5〜12」、「pH12以上」等である。その他、pH以外の測定項目を複数の数値範囲に分割して分類したものとすることができる。また使用温度範囲を例えば「0〜10℃」、「10〜20℃」、「20〜30℃」等のように複数の温度範囲に分割して分類することも考えられる。このように運転時間の累計対象であるセンサ機器3自体の測定結果を用いて分類しても良いし、運転時間の累計対象以外のセンサ機器の測定結果を用いて分類しても良い。
【0023】
また、運転時間累計部41は、例えば5秒以上の一定時間安定している数値がいずれの分類範囲に属するかを判断し、その数値の安定している時間(安定時間)を当該数値の属する分類範囲の運転時間として累計する。その他、安定時間に加えて数値が安定するまでの時間(変動時間)を合わせた時間としても良い。そして、運転時間累計部41が累計した分類範囲毎の運転時間を示す運転時間データは、運転割合算出部43に出力される。また運転時間データは、メモリ402に設定された所定領域、例えばデータ格納部44に格納される。
【0024】
総運転時間累計部42は、水質分析計2のセンサ機器3が運転を開始してからの総運転時間を累計する。そして、総運転時間累計部42が累計した総運転時間を示す総運転時間データは、運転割合算出部43に出力される。また、総運転時間データは、メモリ402に設定された所定領域、例えばデータ格納部44に格納される。
【0025】
運転割合算出部43は、水質分析計2の総運転時間に対する分類範囲毎の運転時間の運転割合を算出するものである。具体的に運転割合算出部43は、総運転時間を示す総運転時間データを取得するとともに、分類範囲毎の運転時間を示す運転時間データを取得して、分類範囲毎の運転割合(%)を算出する。この分類範囲毎の運転割合を示す運転割合データは、メモリ402の所定領域に設定されたデータ格納部44に格納される。
【0026】
そして、指示変換器4の無線送信機406等から構成されるデータ出力部45は、後述の水質分析計用管理装置6からの要求を受け付けた場合に、データ格納部44に格納された運転割合データを水質分析計用管理装置6に無線送信する。なお、運転割合算出部43は、水質分析計用管理装置6からの要求を受け付けたことをトリガとして運転割合を算出するようにしても良いし、常時運転割合を算出するようにしても良いし、定期的に運転割合を算出するようにしても良い。また、データ出力部45は、データ格納部44に格納された運転時間データや総運転時間データを水質分析計用管理装置6に出力することもできる。
【0027】
そして、本実施形態の水質分析システム100は、図1に示すように、複数の水質分析計2を管理するための水質分析計用管理装置6を備えている。
【0028】
この水質分析計用管理装置6は、センサ機器3のメンテナンスなどの各種操作を行うための例えば携帯型コンピュータ等の携帯端末であり、各センサ機器3に接続された指示変換器4と無線通信するものである。なお、この水質分析計用管理装置6が、水質分析計2から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置として機能する。
【0029】
水質分析計用管理装置6の具体的な機器構成は、図3(A)に示すように、CPU601、メモリ602、変換器603、入出力インタフェース604、ディスプレイ605、無線通信機器606及び入力手段607等を有する専用乃至汎用のコンピュータである。そして、CPU601がメモリ602の所定領域に格納された水質分析計用管理プログラムに従って動作することで前記各手段の制御や情報処理を行い、図3(B)に示すように、測定データを含む種々のデータを受信するデータ受信部61、受信した測定データ及び種々のデータを格納するデータ格納部62、複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部63、及び、受信した測定データ及び種々のデータをディスプレイ605上に表示する表示制御部64としての機能を発揮する。
【0030】
そして、水質分析計用管理装置6は、データ収集機能およびメンテナンス機能を有する。以下、各機能について説明するとともに、データ取得部61、データ格納部62、選択信号取得部63及び表示制御部64の各機能について説明する。
【0031】
まず水質分析計用管理装置6のデータ収集機能について説明する。
【0032】
水質分析液用管理装置6のデータ取得部61は、各水質分析計2の測定結果を示す測定データを受信するとともに、各水質分析計2の設定値を示す設定データを受信する。そして、この受信された測定データ及び設定データは、データ格納部62に格納される。なお、水質分析計用管理装置6が設置データを取得することで、特定の水質分析計2の設定を他の水質分析計2に応用できるようにしている。
【0033】
また、表示制御部64は、受信した測定データに基づいて、図4に示すデジタル形式の測定値表示画面W1と、図5に示すグラフ形式の測定値表示画面W2とを選択的にディスプレイ605上に表示する。グラフ形式の測定値表示画面W2は、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、測定データを時系列グラフ(いわゆるトレンドグラフ)として表示するグラフ表示領域W21を有する。このグラフ表示領域W21には、複数の水質分析計2の複数の測定データが同時に重ねてグラフ表示される。このとき、複数の時系列グラフは、その線の色が互いに異なるように表示される。
【0034】
ここで、表示制御部64は、ユーザの入力操作に伴ってそれらグラフの色を変更するように構成されている。例えば、ユーザが所定のボタンを操作することで、表示されるグラフの色が必ず新しい色となるようにする。グラフ表示領域に常時3つの時系列グラフを表示するものにおいては5色で対応することが考えられる。
【0035】
さらに、表示制御部64は、グラフ表示領域W21の周辺(図5では上部)に、グラフ表示している時系列グラフに対応する水質分析計2の最新の測定値及び温度を表示するとともに、水質分析計2の状態を表示する。図5においては、3つの水質分析計2のうち2つがエラー又は通信不可であることを表示しており、グラフ表示領域W21には1つのグラフしか表示されていない。
【0036】
また水質分析計用管理装置6は、複数の水質分析計2(センサ機器3)の稼働状態(運転状態)を取得できるように構成されている。本実施形態の水質分析計2は上述した通り、複数の分類範囲毎にその運転割合を示す運転割合データを持っていることから、データ取得部61は、各水質分析計2の無線送信機406(データ出力部45)から無線送信される時間割合データを受信する。
【0037】
そして、表示制御部64は、データ受信部61で受信した時間割合データに基づいて、図6に示す運転割合一覧表示画面W3を表示する。
【0038】
この運転割合一覧表示画面W3は、複数のセンサ機器3それぞれについて複数の分類範囲毎の運転割合が一覧表示されるものであり、具体的には、行方向(縦方向)に各センサ機器3の種類を表示するとともに、列方向(横方向)に各分類範囲の運転割合(%)を表示する。また、表示制御部64は、複数の分類範囲の運転割合とともに、各センサ機器3の総運転時間も一覧表示する。その他、表示制御部64は、各センサ機器3から得られたデータから、各センサ機器3の最大測定値、最小測定値、平均測定値、使用最高温度、使用最低温度、使用平均温度等も一覧表示する。
【0039】
なお、図6においては、ディスプレイ605上に全ての情報を表示できない態様を示しており、表示制御部64は、スクロールバーW31を表示して、ユーザの入力操作によって表示画面W3をスクロールできるように構成している。また、表示制御部64は、運転割合一覧表示画面W3において、所定のセンサ機器3を検索するための検索ボタン、検索解除ボタン、センサ機器3を並べ替えるための並べ替えボタン、並べ替え解除ボタンを表示する。
【0040】
その他、データ取得部61は、指示変換器4から計器モード、エラー、接点出力状態、伝送出力、外部入力等を受信する。このように水質分析計用管理装置6は、水質分析計2の計器状態を一元管理するものであり、通信接続中の測定データや水質分析計2の稼働状態を時系列で記録(ロギング)する機能を有する。
【0041】
次に、水質分析計用管理装置6のメンテナンス機能について説明する。
【0042】
水質分析計用管理装置6の選択信号取得部63は、センサ機器3における複数点校正(1点校正、2点校正、3点校正)の校正点数(1点、2点、3点)を選択するための校正点数選択信号を取得する。そして、この取得された校正点数選択信号に基づいて、表示制御部64は、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて表示する。
【0043】
選択信号取得部63は、校正者等のユーザが管理装置6の入力手段607を操作することにより生成された校正点数選択信号を取得する。ここで校正点数は、校正を行うべきセンサ機器3の種類や用途等によって決定されるものであり、例えばDOセンサのゼロ調整及びスパン調整の両方を行う場合、又はpHセンサにおいてpH4、pH7又はpH9等で調整を行う場合には、2点校正又は3点校正が選択される。
【0044】
そして、表示制御部64は、図7に示すように、選択された校正点数に対応する数のグラフ表示領域W41を有する校正開始画面W4をディスプレイ605上に表示する。
【0045】
図7においては、2点校正において2つのグラフ表示領域W41(1液用のグラフ表示領域及び2液用のグラフ表示領域)を左右方向に並べて表示した場合を示している。1つのグラフ表示領域W41には1つのグラフが表示される。なお、図示しないが、1点校正が選択された場合には、1つのグラフ表示領域W41を表示し、3点校正が選択された場合には、3つのグラフ表示領域W41を左右方向に並べて表示する。また、校正開始画面W4には、校正の状態(「pH7液を準備してください。」)、感度(mV/pH)、不斉電位(mV)及び校正開始ボタンが表示される。この状態で、センサ機器3の校正が行われる。
【0046】
図8に校正終了後の校正終了画面W5を示す。この校正終了画面W5には、2点校正における2つの校正液の測定結果が並んで表示されるとともに、校正の状態(「校正終了」)、感度(mV/pH)及び不斉電位(mV)が表示される。この感度及び不斉電位としては、2点校正の結果、管理装置6により演算された値が表示される。
【0047】
ここで、表示制御部64は、グラフ表示領域W41において、校正液の測定結果を、一方の軸(横軸)が時間を示す時間軸で他方の軸(縦軸)が測定結果を示す測定軸である座標系に時系列グラフとして表示する。複数のグラフ表示領域W41を表示する場合には、各グラフ表示領域W41が、略同一サイズであり、測定軸における数値範囲の上限値と下限値との差、つまり測定軸の分解能が互いに略同一としている。このようにグラフ表示領域W41を略同一サイズ且つ分解能を略同一としているので、各校正液の測定結果の曲線形状をそのまま比較することができ、各校正液の測定における応答スピード等を比較し易くすることができる。
【0048】
さらに、表示制御部64は、図8に示すように、校正液の測定結果の収束値又はその近傍の値が、測定軸の中央値となるように測定軸の目盛を変更し、校正液の測定結果を時系列グラフとして表示する。なお、目盛の変更の度合いは例えば0.2ずつとしている。ここで、複数の時系列グラフは、左右方向に並べて表示されていることから、各時系列グラフの測定軸の中央値は、表示画面上において略同一直線上となるように表示されることになる。図8においては、1液目のグラフ表示領域W41の測定軸の中央値が7.0となっており、2液目のグラフ表示領域W41の測定軸の中央値の4.0となっており、これら中央値の高さ位置が同じとなっている。このように構成することで、1液目の時系列グラフ及び2液目の時系列グラフの応答曲線形状を比較することが容易となる。
【0049】
校正後の測定結果を時系列グラフとして表示する場合には、その収束値又はその近傍の値が測定軸の中央値となるようにしているが、校正中の測定結果を時系列グラフに表示する場合には、センサ機器3から出力された測定値又はその近傍の値が測定軸の中央値となるように縦軸の目盛を変更する。つまり校正中に得られた最新の測定値又はその近傍の値が常に測定軸の中央値となる。
【0050】
また表示制御部64は、図9に示すように、校正履歴画面W6を表示する。この校正履歴画面W6は、過去の校正データを表示するものであり、校正履歴データ表示画面(不図示)と校正履歴グラフ表示画面W61とを切り替え表示可能なものである。センサ機器3がpHセンサの場合には、校正履歴データ表示画面は不斉電位及び感度の数値を一覧表示するものであり、校正履歴グラフ表示画面W61は不斉電位及び感度をグラフ表示するものである。なお、このグラフは、横軸が以前の校正回数を示し縦軸が不斉電位又は感度を示すグラフである。
【0051】
ここで、校正履歴画面W6の校正履歴グラフ表示画面W61において、縦軸の数値範囲は、pHセンサの校正における許容範囲内の感度又は不斉電位としている。つまり、このグラフ上に表示されない校正結果は許容範囲を超えているということになる。なお、図9における感度の校正許容範囲は40mV/pH〜80mV/pHである。そして、この校正許容範囲内において、さらにユーザが予め設定した独自のエラー許容範囲(センサ機器3の交換条件の目安となる閾値など)を表示することもできる。例えば、感度においては、エラー許容範囲を50mV/pH〜70mV/pHとすること等である。校正の結果、このエラー許容範囲内ではなくたったものについては、新しいセンサ機器3と交換する等の判断を行うことができる。その他、表示制御部64は、各センサ機器3を校正した周期である校正周期、各センサ機器3を交換した履歴である交換履歴及び各センサ機器3を交換すべき期間等を知らせるセンサ交換推奨情報についても表示する。また、表示制御部64は、校正に関する過去の校正グラフも重ねて表示し、過去のデータと比較することができる。
【0052】
また、表示制御部64は、図10に示すエラー一覧画面W7を表示する。このエラー一覧画面W7は、水質分析計2に生じているエラーを全て一覧表示するものであり、且つ、エラー内容の優先度の高い順に順番に表示する。図10では上から順に表示した場合を示している。ここで優先度が高いエラーとは、このエラーに対応すれば、他のエラーが解決される又は解決し易くなるものである。このように優先度の高い順に表示することで、上から対応すれば効率の良いエラー対応が可能となる。具体的な一覧表示内容としては、エラーコード及びそのエラー名を一覧表示する。なお、エラーコード及びエラー名並びに優先度を示すデータは予めデータ格納部62に格納されている。
【0053】
そして、ユーザが優先度の高いエラー(図10においてE−21/温度センサ断線)を選択した場合には、表示制御部64は、図11に示すエラー詳細画面W8を表示する。このエラー詳細画面W8は、エラー原因の候補、そのエラー原因を解消するための処置内容及び必要に応じて処置における条件内容も表示している。なお、これらの処置内容及び条件内容を示すデータは、予めデータ格納部62に格納されている。その他、表示制御部64は、過去のエラー履歴を表示することもできる。
【0054】
次に2つのセンサ機器3を交換する場合のデータ管理方法について説明する。
【0055】
本実施形態では、指示変換器4に測定データを蓄積することができないため、水質分析計用管理装置6と水質分析計2の通信接続中に測定データを蓄積させることで、センサ機器3のメンテナンス及び管理を行っている。ここで、センサ機器Aとセンサ機器Bとを交換した場合、指示変換器4と管理装置6との通信接続状態により測定データと実際のセンサ機器Bとは異なるセンサ機器Aの測定データとして取得してしまい、データを損失することになる。そこで、データの損失を最小限に抑えるために以下の(1)〜(3)の場合でデータ管理方法が異なる。
【0056】
(1)指示変換器4が管理装置6と通信接続されている状態で、指示変換器4のセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換する場合
(2)指示変換器4のセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換した後に、管理装置6の設定上でセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換し、指示変換器4を管理装置6と通信接続した場合
(3)管理装置6の設定上でセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換した後に、指示変換器4のセンサ機器A及びセンサ機器Bとを交換し、指示変換器4を管理装置6と通信接続した場合
【0057】
上記(1)の場合には、指示変換器4のセンサ機器Aのデータを管理装置6に保存し、管理装置6に入力されたセンサ機器Bのデータを指示変換器4に書き込む。
【0058】
上記(2)の場合には、管理装置6を通信接続するまでは、指示変換器4のセンサ機器Aのデータにセンサ機器Bのデータを指示変換器4に蓄積する。そして、管理装置6を通信接続した時に、センサ機器Aの過去履歴として管理装置6に保存し、管理装置6に入力されたセンサ機器Bのデータを指示変換器4に書き込む。
【0059】
上記(3)の場合には、実際に指示変換器4に接続されたセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換する前に、管理装置6の設定上のセンサ機器Bと指示変換器4に接続されたセンサ機器Aとが異なるため、実際にセンサ機器Aとセンサ機器Bとを交換するまで、センサ機器Bのデータをセンサ機器Aのものとして指示変換器4に蓄積する。管理装置6を通信接続した時に、センサ機器Aの過去履歴として管理装置6に保存し、指示変換器4にはセンサ機器Bのデータを書き込む。
【0060】
このように構成した水質分析システム100によれば、ユーザにより選択された校正点数に対応して複数の校正液の測定結果を並べて同一画面上に表示するので、複数の校正液の測定結果を同時に確認することができる。これにより、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要とし、複数の校正液に対する水質分析計2の反応の度合いを比較し易くすることができる。この結果、校正の確からしさや水質分析計2の寿命を予測し易くなる他に、複数の校正結果を応答の度合いなどの違いから、水質分析計2の洗浄不足による汚れの有無や劣化の度合い等の水質分析計2の状態を具体的に判断できるようになる。また、ユーザにより入力された校正点数選択信号により、校正開始時に画面上に表示するグラフ表示領域の数を校正点数の数としていることから、2点校正すべきところを1点校正しかしないといった校正漏れを防ぐこともできる。
【0061】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0062】
例えば、前記実施形態では、同一画面上に複数の測定結果を並べて表示するものであったが、1つのグラフ表示領域に複数の校正液の測定結果を表示するように構成しても良い。このようなものであっても、同一画面上に複数の校正液の測定結果が表示されることになり、複数の校正液の校正結果を同時に確認することができる。これにより、校正済みの校正結果を再表示するための後戻り作業を不要とし、複数の校正液に対する水質分析計2の反応の度合いを比較し易くすることができる。その他、複数のグラフ表示領域を上下に表示するようにしても良い。
【0063】
また、前記実施形態では、指示変換器4が無線通信により水質分析計用管理装置6に測定データやセンサ情報データ等のデータを伝送するものであったが、通信ケーブルによりそれらのデータを伝送するように構成しても良い。
【0064】
さらに、前記実施形態の管理装置6は、現場各所に設けられた水質分析計2(センサ機器3)のグループ設定を行うことができ、グループ毎に管理を行うことを可能としても良い。この場合、例えば、表示制御部が、運転割合一覧表示画面において、グループ毎に、そのグループに含まれる水質分析計2(センサ機器3)の運転割合を一覧表示することが考えられる。
【0065】
その上、管理装置6は、現場各所に設けられた水質分析計2(センサ機器3)の帳簿管理が可能としても良い。この場合、管理装置6には月報等の管理帳簿を示す帳簿データが格納されており、この帳簿データに基づいて表示制御部64が画面上に管理帳簿を表示する。この管理帳簿を用いてユーザは入力操作を行うことによって現場各所の水質分析計2(センサ機器3)の管理を行う。なお、管理装置6の帳簿管理機能を用いて、管理装置6が当初予定している水質分析計2(例えば自社製品の水質分析計2)を管理する他、当初予定していない管理外の分析計(例えば流量計、圧力計又は他社製品の水質分析計)を、それら分析計のセンサ情報を手入力で入力することにより、それらセンサ情報を画面上に表示しても良い。また、それらを管理する管理帳簿を表示して管理するようにしても良い。
【0066】
加えて、管理装置6は、各機種の取り扱い説明書を示す説明書データ、各機種のトラブルシューティング(Q&A)を示すトラブルシューティングデータ、各機種のメンテナンスガイドを示すメンテナンスデータ等を格納しており、ユーザの選択によってこれらの表示画面をディスプレイ上に表示する。表示制御部64は、その他、前記実施形態の各種機能を行うためのメニュー選択画面を表示する。このメニュー選択画面により選択されたメニューに従って表示制御部64は、各種画面表示を行う。
【0067】
また、前記実施形態では、水質分析計2が運転割合算出部43を有するものであったが、管理装置6が運転割合算出部を有するものであっても良い。この場合、管理装置のデータ取得部61が水質分析計2のデータ出力部45から運転時間データ及び総運転時間データを取得して、それら取得したデータを用いて運転割合算出部が、センサ機器の総運転時間に対する分類範囲毎の運転時間の割合を算出する。
【0068】
加えて、前記実施形態では、水質分析計用管理装置6が水質分析計用表示装置を兼ねるものであったが、水質分析計用表示装置を別に設けても良い。
【0069】
また、前記実施形態の水質分析計は、指示変換器に信号ケーブルを介してセンサ機器を接続して構成されるものであったが、センサ機器及び指示変換器が信号ケーブルを介することなく物理的に一体構成であっても良い。
【0070】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
100・・・水質分析システム
2・・・水質分析計
3・・・センサ機器
4・・・指示変換器
6・・・水質分析計用管理装置
63・・・選択信号取得部
64・・・表示制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置であって、
水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、
選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部とを備える水質分析計用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部が、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示する請求項1記載の水質分析計用表示装置。
【請求項3】
同一画面上に表示される複数の時系列グラフにおいて、それらの測定軸における数値範囲の上限値と下限値との差が互いに略同一である請求項2記載の水質分析計用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部が、前記校正液の測定結果の収束値又はその近傍の値が前記縦軸の中央値となるように前記縦軸の目盛を変更し、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示する請求項2又は3記載の水質分析計用表示装置。
【請求項5】
水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示するための水質分析計用表示プログラムであって、
水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、
選択された校正点数に対応する複数の校正液測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部との機能をコンピュータに備えさせることを特徴とする水質分析計用表示プログラム。
【請求項6】
水質分析計と、この水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置とを備える水質分析システムであって、
前記水質分析計用表示装置が、水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部とを備える水質分析システム。
【請求項1】
水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置であって、
水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、
選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部とを備える水質分析計用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部が、一方の軸が時間を示す時間軸で他方の軸が測定結果を示す測定軸である座標系に、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示する請求項1記載の水質分析計用表示装置。
【請求項3】
同一画面上に表示される複数の時系列グラフにおいて、それらの測定軸における数値範囲の上限値と下限値との差が互いに略同一である請求項2記載の水質分析計用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部が、前記校正液の測定結果の収束値又はその近傍の値が前記縦軸の中央値となるように前記縦軸の目盛を変更し、前記校正液の測定結果を時系列グラフとして表示する請求項2又は3記載の水質分析計用表示装置。
【請求項5】
水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示するための水質分析計用表示プログラムであって、
水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、
選択された校正点数に対応する複数の校正液測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部との機能をコンピュータに備えさせることを特徴とする水質分析計用表示プログラム。
【請求項6】
水質分析計と、この水質分析計から得た測定結果をディスプレイに表示する水質分析計用表示装置とを備える水質分析システムであって、
前記水質分析計用表示装置が、水質分析計における複数点校正の校正点数を選択するための校正点数選択信号を取得する選択信号取得部と、選択された校正点数に対応する複数の校正液の測定結果を同一画面上に並べて又は重ねて表示する表示制御部とを備える水質分析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−24815(P2013−24815A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162482(P2011−162482)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(592187534)株式会社 堀場アドバンスドテクノ (26)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(592187534)株式会社 堀場アドバンスドテクノ (26)
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