説明

水質分析計

【課題】排水用配管等、分析部に外部配管を接続するための分析部接続用配管に、延長用配管を接続する際の配管の延長方向の自由度が高い水質分析計を提供する。
【解決手段】本発明の水質分析計1は、水質を分析する分析部10と、分析部10が取り付けられた支持用ベース30と、10分析部に外部配管を接続するための分析部接続用配管40,50,60とを具備し、分析部接続用配管40,50,60は、分析部10の下側で、下端40a,50a,60aが支持用ベース30の下端30aより下に位置するように略鉛直方向に沿って支持用ベース30に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の性状を分析するための水質分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
水の性状を分析する際には水質分析計が用いられる。水質分析計としては、例えば、水質を分析する分析部と、分析部が取り付けられた支持用ベースと、前記分析部に接続された排水用配管とを具備するものが知られている。支持用ベースとしては、分析部を支持する長尺の板からなる支持部と、該支持部を両側から挟む長尺の板からなる一対の側面部とを有し、水平方向の断面がH型になっている架台を用いることがある(非特許文献1,2)。このH型の架台は、支持部の幅方向の各端部が各側面部の略中央に当接した形状で、支持部と両側面部とが一体化したものである。
このような支持用ベースを具備する水質分析計では、通常、排水用配管が支持用ベースに固定され、さらに水質分析計の後方に向かって延びて突き出ている。
また、開閉扉付きのボックス内に分析部を収納した水質分析計も知られている。この水質分析計では、通常、ボックスの側面から排水用配管が突き出ている。
【非特許文献1】電気化学計器株式会社、SPEC BOOK、第9版、平成8年3月31日発行、p.331〜335,603〜605
【非特許文献2】環境計測器ガイドブック第6版広告編、平成18年7月1日発行、p.38〜39
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、排水用配管には、排水設備の位置に対応して延長用配管が接続される。ところが、従来の水質分析計では、排水用配管が一方向に向いているため、延長方向の自由度が低かった。そのため、例えば、排水用配管とは異なる方向に配管を延長する場合には、支持用ベースやボックスに沿うように延長用配管を引き回す必要があった。したがって、配管および配管接続用部品の使用数が多くなる上に、支持用ベース等の周囲に延長用配管が配置されるため、分析部を補修する際の作業性が低下することがあった。このようなことから、排水用配管に延長用配管を接続する際の配管の延長方向の自由度が高い水質分析計が求められていた。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、排水用配管等、分析部に外部配管を接続するための分析部接続用配管に、延長用配管を接続する際の配管の延長方向の自由度が高い水質分析計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の水質分析計は、水質を分析する分析部と、前記分析部が取り付けられた支持用ベースと、前記分析部に外部配管を接続するための分析部接続用配管とを具備し、該分析部接続用配管は、前記分析部の下側で、下端が支持用ベースの下端より下に位置するように略鉛直方向に沿って前記支持用ベースに取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の水質分析計では、分析部接続用配管に延長用配管を接続する際の配管の延長方向の自由度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の水質分析計の一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の水質分析計を示す。この水質分析計1は、分析部10と操作部20と支持用ベース30と排水用配管40と洗浄水用配管50と試料水用配管60とを具備する。本実施形態における排水用配管40、洗浄水用配管50および試料水用配管60はいずれも分析部接続用配管である。
【0007】
(分析部)
分析部10は、水質を分析する部分で、測定項目に応じた各種検出器や配管等で構成されている。本実施形態では、分析部10はハウジング11内に収納されている。
本実施形態におけるハウジング11は、直方体状で、前面が開閉可能な開閉扉11aになっているものである。このようなハウジング11では、開閉扉11aを閉じること(図1に示す状態)により分析部10が外部から見えないように隠され、開くことにより分析部10のメンテナンスが容易に行える。
【0008】
(操作部)
操作部20は、分析部10を制御し、かつ、分析部10からの信号を変換・演算・出力等するものである。本実施形態における操作部20は、表示部21および操作パネル22を前面に備え、入力された操作を実行するように分析部10に指示信号を送ると共に、分析部10から送られた信号の変換および演算を行い、分析結果を表示するようになっている。さらに、分析結果や警報信号を外部に出力するようになっている。
【0009】
(支持用ベース)
支持用ベース30は、分析部10および操作部20が取り付けられて架台の役割を果たすものである。また、支持用ベース30は、例えば、壁、パネル等に取り付けられる。
本実施形態例における支持用ベース30は、図2に示すように、鉛直方向に沿って配置された2本のフレーム31a,31bと、2本のフレーム31a,31bの上部に取り付けられた上部支持部32と、2本のフレーム31a,31bの下部に取り付けられた下部支持部33とを有している。
上部支持部32には、上述した操作部20が取り付けられ、下部支持部33には、後述する把持部材41が取り付けられる。
また、支持用ベース30の2本のフレーム31a,31bには、分析部10のハウジング11が、ハウジング11の長手方向が鉛直方向に沿うように取り付けられる。
このように、フレーム31a,31bに分析部10のハウジング11、上部支持部32と下部支持部33が各々取り付けられるため、フレーム31a,31bは、互いに平行に配置された状態で固定される。
また、本実施形態における支持用ベース30では、フレーム31a,31b、上部支持部32および下部支持部33に囲まれた部分に中抜け部34が形成される。この中抜け部34には、分析部10に接続された電気ケーブル等を通すことができる。
【0010】
(排水用配管)
排水用配管40は、分析部10の下側で略鉛直方向に沿うように支持用ベース30に取り付けられている。本実施形態では、排水用配管40は、下部支持部33に取り付けられた2つの把持部材41,41によって、略鉛直方向に沿うように把持されている。把持部材41によって把持された排水用配管40は、その下端40aが支持用ベース30の下端30aより下に位置している。
本実施形態における排水用配管40には、分析部10の排水口(図示せず)に接続されたフレキシブルチューブ42,42・・・が差し込まれている。これにより、分析部10に接続されて、分析部10にて生じた排水を排水用配管40に流せるようになっている。 また、排水用配管40は、外部配管と接続されるようになっている。
【0011】
(洗浄水用配管、試料水用配管)
洗浄水用配管50は、分析部10に洗浄水を外部配管から供給するために接続された配管であり、試料水用配管60は、分析部10に試料水を外部配管から供給するために接続された配管である。
本実施形態では、洗浄水用配管50および試料水用配管60は、分析部10の下側で略鉛直方向に沿って支持用ベース30に取り付けられている。また、洗浄水用配管50の下端50aおよび試料水用配管60の下端60aは支持用ベース30の下端30aより下に位置している。
【0012】
(水質の分析)
上記水質分析計1を用いた水質の分析では、測定プログラムが入力された操作部20より分析部10に指示信号を送り、試料水用配管60を介して分析部10に試料水を供給して試料水を分析し、得られた分析結果を操作部20に送って表示部21に表示すると共に、外部に出力する。
分析後、分析に使用した試料水は、フレキシブルチューブ42を介して排水用配管40に流して排出する。また、必要に応じて、分析後に、洗浄水用配管50を介して分析部10に洗浄水を供給して、分析部10を洗浄してもよい。洗浄に使用した排水もフレキシブルチューブ42を介して排水用配管40に流して排出する。
【0013】
(用途)
水質分析計1は、例えば、残留塩素、アルカリ度、濁度等の水質の性状の分析に適用することができる。
【0014】
(作用効果)
以上説明した水質分析計1では、排水用配管40の下端が支持用ベース30の下端より下に位置しているため、例えば、図3に示すように、排水用配管40の下端に、90°に屈曲したエルボ管70を取り付けた場合には、エルボ管70の先にハウジング11や支持用ベース30等の障害物が存在しなくなる。そのため、エルボ管70の水平方向に沿う部分71を任意の方向に向けて、延長用配管80を接続することができる。したがって、水質分析計1によれば、排水用配管40に延長用配管80を接続する場合の配管の延長方向の自由度が高い。よって、支持用ベース30に沿って引き回さずに、水質分析計1を設置する現場の状況に応じて任意の方向に延長用配管80を延長することができるため、配管および配管接続用部品の使用数を少なくできる。
また、本実施形態では、排水用配管40と同様に、洗浄水用配管50の下端50aおよび試料水用配管60の下端60aも支持用ベース30の下端30aより下に位置しているため、洗浄水用配管50および試料水用配管60を延長する場合も延長方向の自由度が高い。
【0015】
(その他の実施形態)
なお、本発明の水質分析計は上記実施形態に限定されない。例えば、本発明の水質分析計は、洗浄水用配管50を有していなくても構わないし、分析部10に測定用試薬を供給するための試薬用配管をさらに有していてもよい。
また、分析部10のハウジング11は直方体状でなくてもよく、例えば、立方体状、円筒状等であってもよい。また、分析部10がハウジング11に収納されていなくてもよい。
また、操作部20は、分析部10と一体になっていてもよいし、支持用ベース30に取り付けられていなくてもよい。操作部20が支持用ベース30に取り付けられない場合には、操作部20は、分析部10および支持用ベース30から離れた場所に設置される。その場合、分析部10と操作部20とは有線で通信してもよいし、無線で通信してもよい。
また、支持用ベース30は、上記実施形態のようなフレーム31a,31bと上部支持部32と下部支持部33とを有するものに限定されず、例えば、板状のものであってもよい。
また、洗浄水用配管50の下端50aおよび試料水用配管60の下端60aは支持用ベース30の下端30aより下に位置していなくてもよい。
【0016】
本発明では、排水用配管40、洗浄水用配管50、試料水用配管60、試薬用配管等の分析部接続用配管のうち、いずれか1つ以上が、分析部10の下側で、略鉛直方向に沿って支持用ベース30に取り付けられ、かつ、その下端が支持用ベースの下端より下に位置していればよいが、実用性の点からは、少なくとも排水用配管40が、分析部10の下側で、略鉛直方向に沿って前記支持用ベースに取り付けられ、かつ、その下端が支持用ベースの下端より下に位置していることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の水質分析計の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示す水質分析計を構成する支持用ベースを示す正面図である。
【図3】図1に示す水質分析計を構成する排水用配管の下端にエルボ管を取り付けた態様を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 水質分析計
10 分析部
11 ハウジング
20 操作部
30 支持用ベース
30a 下端
31a,31b フレーム
32 上部支持部
33 下部支持部
40 排水用配管(分析部接続用配管)
40a 下端
41 把持部材
42 フレキシブルチューブ
50 洗浄水用配管(分析部接続用配管)
50a 下端
60 試料水用配管(分析部接続用配管)
60a 下端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水質を分析する分析部と、前記分析部が取り付けられた支持用ベースと、前記分析部に外部配管を接続するための分析部接続用配管とを具備し、
該分析部接続用配管は、前記分析部の下側で、下端が支持用ベースの下端より下に位置するように略鉛直方向に沿って前記支持用ベースに取り付けられていることを特徴とする水質分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−115557(P2009−115557A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287720(P2007−287720)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)