説明

水風船用注水アダプタ

【課題】 水風船を作る際に水道蛇口を利用して風船に注水するが、水道蛇口の形状や径の違いに関係なく容易に迅速に注水することを可能にする補助手段を提供する。
【解決手段】 補助手段として、一端側に風船口を嵌装させるノズル部22を有するアダプタ本体10の他端側に、水道蛇口の端縁に当接させる弾性シール板3が保持され、弾性シール板3に水道蛇口とノズル部22とを連通させる通水孔3aを有する水風船用注水アダプタAを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合戦遊び等に使用される水風船を作る際に、水道蛇口から風船に水を注入するのに用いられる水風船用注水アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
巷の子供たちの間で、水風船を相手に投げつけて破裂させる合戦遊びが広く行われている。このような合戦遊びをするには、その準備として風船に水を入れて水風船を作る必要があるが、従来では水道蛇口に風船口を直接に嵌めて注水する方法が普通であった。しかるに、近年では水道蛇口として形状や径の異なる多くの種類が採用されているため、水道蛇口からの直接注水に困難をきたすことが多くなっている。
【0003】
そこで、風船と共に、逆止弁付きのポンプ(特許文献1参照)をセットにした商品も登場しているが、値段が高く付く上、ポンプがパケツ等の水に漬けた状態で圧迫操作によって送水するものであるため、技術と労力を要することに加え、一つの水風船を作るにもポンプを何度も圧迫操作することになり、能率が悪く却って不便であった。
【特許文献1】特開2004−329711号公報(段落0012)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上述の事情に鑑みて、水風船を作る際に水道蛇口を利用して風船に注水するが、その水道蛇口の形状や径の違いに関係なく容易に且つ迅速に注水することを可能にする補助手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一端側に風船口を嵌装させるノズル部を有するアダプタ本体の他端側に、水道蛇口の端縁に当接させる弾性シール板が保持され、該弾性シール板に水道蛇口と前記ノズル部とを連通させる通水孔を有してなる水風船用注水アダプタを要旨としている。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記請求項1の水風船用注水アダプタにおいて、前記アダプタ本体は、ノズル部側を下方として、弾性シール板の保持部が上方に開放すると共に、該保持部の周囲に上方へ立ち上がる環状突縁部を有してなるものとしている。
【0007】
更に、請求項3の発明は、前記請求項1又は2の水風船用注水アダプタにおいて、前記アダプタ本体の内部に、水流を前記ノズル部の出口側への方向のみに規制する逆止弁が介装されてなる構成としている。
【0008】
そして、請求項4の発明では、上記請求項3の水風船用注水アダプタにおいて、前記アダプタ本体が保持ケース部材と筒状のノズル部材とで構成され、保持ケース部材は皿状の保持部の下面にノズル部材を挿嵌させる連結用筒部が連設され、この連結用筒部の内端と、挿嵌されるノズル部材の先端との間に、内側を弁部とする開環状の切り込みを備えた可撓性材料からなる逆止弁が挟持されてなるものとしている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明に係る水風船用注水アダプタによれば、そのノズル部に風船口を嵌装した状態で、保持した弾性シール板を水道蛇口の端縁に当接させて水栓を開くことにより、水道水が該弾性シール板の通水孔よりノズル部に流入し、該ノズル部から風船内部に注水されることになる。しかして、この水風船用注水アダプタでは、弾性シール板を水道蛇口に当てがうだけで水道水が通水孔に流入するから、該水道蛇口の形状や径が種々異なっていても支障なく注水可能であり、その注水操作に技術や労力を要さず、また注水圧に水道の水圧を利用できるから、注水充填の能率がよく、短時間で多数の水風船を一挙に作ることができる。更に、この水風船用注水アダプタは、構造的に簡素であるため、安価に製作できると共に故障しにくいという利点もある。
【0010】
請求項2の発明によれば、前記の水風船用注水アダプタの弾性シール板の保持部が上方に開放して周囲に環状突縁部を有することから、弾性シール板の表面を水道蛇口に当接し易いことに加え、当接力が弛んだ際にも環状突縁部によって周囲への水の飛散が防止され、それだけ使い勝手がよくなる。
【0011】
請求項3の発明によれば、アダプタ本体の内部に逆止弁を有するため、風船内に注入した水が逆流して噴き出す懸念がなく、もって注水の作業性及び操作性がより向上する。
【0012】
請求項4の発明によれば、上記逆止弁が可撓性材料に設けた開環状の切り込みの内側を弁部とする極めてシンプルな形態であって、且つ該逆止弁をアダプタ本体を構成する保持ケース部材とノズル部材との嵌合部分で挟持するようにしているから、水風船用注水アダプタ全体としても構造的に非常に簡素で容易に組立製作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明に係る水風船用注水アダプタの実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、この水風船用注水アダプタAは、アダプタ本体10を構成する硬質合成樹脂製の保持ケース部材1及びノズル部材2と、このアダプタ本体10の上端側の保持部11に嵌装された弾性シール板3と、該アダプタ本体10の内部に装填された逆止弁4とからなる。
【0015】
そして、保持ケース部材1は、図3でも示すように、上方に開放した丸皿状で周囲に上方へ立ち上がる環状突縁部11aを有する保持部11と、この保持部11の下面側中央に同心状に一体形成された短円筒状の連結用筒部12とを備え、保持部11の中心位置に連結用筒部12内に連通する通水孔13を有すると共に、連結用筒部12の内周に環状凸部14が設けてある。
【0016】
ノズル部材2は、図4に示すように、全体が略円筒状であり、外径の小さい上部側が保持ケース部材1の連結用筒部12の内側に適嵌し得る挿嵌筒部21をなし、下端部が内径を絞ったノズル部22を構成しており、挿嵌筒部21の外周には保持ケース部材1の環状凸部14に対応した環状凹部23が形成されると共に、ノズル部22の外周に抜け止めフランジ部24が突設されている。
【0017】
弾性シール板3は、発泡ゴム等の弾性材料の円板からなり、中央に通水孔3aを有している(図1、2参照)。そして、この弾性シール板3をアダプタ本体10の保持部11に嵌装した際、その通水孔3aが保持ケース部材1の通水孔13と同心状に連通するようになっている(図2参照)。
【0018】
逆止弁4は、ゴムや軟質合成樹脂の如き可撓性材料の円形シートからなり、図5に示すように、開環状の切り込み4aを備え、その内側が略円形の弁部40を構成している。しかして、この逆止弁4の外径は、保持ケース部材1の連結用筒部12の内径、ならびにノズル部材2の挿嵌筒部21の先端外径と略等しく設定されている。また弁部40の径は、保持ケース部材1の通水孔13の径より大きく、且つノズル部材2の挿嵌筒部21の先端内径より小さく設定されている。
【0019】
アダプタ本体10は、保持ケース部材1の連結用筒部12内にノズル部材2の挿嵌筒部21を強制嵌入させることによって組み立てられるが、この組み立ての際に、予め保持ケース部材1の連結用筒部12の内底に逆止弁4を装填しておく。これにより、逆止弁4は、保持ケース部材1の連結用筒部12の内底面と、ノズル部材2の挿嵌筒部21の先端面との間で周辺部を挟持固定される。そして、この固定状態において、弁部40は、通水孔3a、13からノズル部22へ向かう下向き水流に対しては図2の仮想線で示すようにノズル部材2の内側へ垂れて開弁し、逆の上向き水流に対しては通水孔13に蓋をする形で閉弁する。
【0020】
なお、保持ケース部材1とノズル部材2の連結状態では、図2に示すように、保持ケース部材1側の環状凸部14がノズル部材2側の環状凹部23に嵌合するため、両部材1、2は容易には分離しなくなる。
【0021】
このような構成の水風船用注水アダプタAを用いて水風船を作るには、図6に示すように、ノズル部22に風船Bの口部mを嵌めた状態で、保持部11側を上にして該ノズル部22を手Hで摘み、上に向けた保持部11内の弾性シール板3を水道蛇口Cの先端に当てがい、水栓Sを開けばよい。これにより、水道水が通水孔3a、13からノズル部22を通って風船B内へ注入され、もって該風船Bが図示仮想線の如く膨れて水風船となる。
【0022】
しかして、この水風船用注水アダプタAでは、弾性シール板3を水道蛇口Cに当てがうだけで水道水が該弾性シール板3の通水孔3aに流入するから、該水道蛇口Cの形状や径が種々異なっていても支障なく注水可能となる上、その注水操作に技術や労力を要しないため、子供でも簡単に水風船を作製できる。また、注水圧に水道の水圧を利用するから、注水充填を迅速に能率よく行え、短時間で多数の水風船を一挙に作ることができる。
【0023】
また、この水風船用注水アダプタAでは、保持部11が上方に開放して周囲に環状突縁部11aを有するから、弾性シール板3の表面を水道蛇口Cに当接し易い上、その当接力が弛んだ際にも環状突縁部11aによって周囲への水の飛散が防止され、しかも内部の逆止弁4によって風船B内に注入した水が逆流して噴き出すこともないから、非常に使い勝手がよい。
【0024】
更に、この実施形態では、逆止弁4が極めてシンプルな形態であって、且つ該逆止弁4をアダプタ本体10を構成する保持ケース部材1とノズル部材2との嵌合部分で挟持するようにしているから、水風船用注水アダプタA全体としても構造的に非常に簡素であり、安価に製作できると共に故障しにくいという利点がある。
【0025】
なお、この発明の水風船用注水アダプタは、各構成部の形状や配置等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能であり、例えばアダプタ本体10を構成する保持ケース部材1とノズル部材2とをねじによって連結する構成としたり、逆止弁としてコイルスプリングと球弁よりなるものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施形態に係る水風船用注水アダプタの斜視図である。
【図2】同水風船用注水アダプタの縦断側面図である。
【図3】同水風船用注水アダプタに用いる保持ケース部材の縦断側面図である。
【図4】同水風船用注水アダプタに用いるノズル部材の縦断側面図である。
【図5】同水風船用注水アダプタに用いる逆止弁の平面図である。
【図6】同水風船用注水アダプタを用いた水風船の作製操作を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・・保持ケース部材
2・・・・ノズル部材
3・・・・弾性シール板
3a・・・通水孔
4・・・・逆止弁
4a・・・切り込み
10・・・アダプタ本体
11・・・保持部
11a・・環状突縁部
22・・・ノズル部
40・・・弁部
A・・・・水風船用注水アダプタ
B・・・・風船
C・・・・水道蛇口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に風船口を嵌装させるノズル部を有するアダプタ本体の他端側に、水道蛇口の端縁に当接させる弾性シール板が保持され、該弾性シール板に水道蛇口と前記ノズル部とを連通させる通水孔を有してなる水風船用注水アダプタ。
【請求項2】
前記アダプタ本体は、ノズル部側を下方として、弾性シール板の保持部が上方に開放すると共に、該保持部の周囲に上方へ立ち上がる環状突縁部を有してなる請求項1記載の水風船用注水アダプタ。
【請求項3】
前記アダプタ本体の内部に、水流を前記ノズル部の出口側への方向のみに規制する逆止弁が介装されてなる請求項1又は2に記載の水風船用注水アダプタ。
【請求項4】
前記アダプタ本体がシール板保持部材と筒状のノズル部材とで構成され、シール板保持部材は皿状の保持部下面にノズル部材を挿嵌させる連結用筒部が連設され、この連結用筒部の内端と、挿嵌されるノズル部材の先端との間に、内側を弁部とする開環状の切り込みを備えた可撓性材料からなる逆止弁が挟持されてなる請求項3記載の水風船用注水アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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