説明

氷菓用容器

【課題】所定容量のアイスクリーム等の氷菓を確実に収容し得る容器本体を、高精度で、しかも、効率よく製造することができる。
【解決手段】アイスクリーム等の氷菓が収容されるように、中空の球形状になった容器本体部10は、上部にネック部14を有しており、ネック部14の上端面に開口部14eが設けられている。この容器本体部10は、高密度ポリエチレンをインジェクションブロー成形することによって成形されている。容器本体10の開口部14eは、ネック部14に係合される蓋体20によって閉塞される。蓋体20は、高密度ポリエチレンをブロー成形することによって、所定形状に成形されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、アイスクリーム、シャーベット等の氷菓を収容するために使用される容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
アイスクリーム、シャーベット等の氷菓を収容するために使用される充填するために使用される容器は、通常、紙によって上面が開放されたカップ状に構成された容器本体と、その容器本体の上面の開口部を覆うように紙によって構成された平板状の蓋体とによって構成されている。また、最近では、このような紙製の容器本体および蓋体に替わって、ポリエチレン等の合成樹脂等によって、上面に開口部が形成された中空の球形状に構成された容器本体と、その容器本体の開口部を覆うように合成樹脂によって構成された蓋体とによって構成された氷菓用容器も採用されるようになっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ポリエチレン等の合成樹脂によって構成された容器本体および蓋体を有する氷菓用容器は、紙によって構成された容器本体および蓋体を有する氷菓用容器よりも、デザインの自由度が大きく、例えば、メロンの形状等の各種形状に容易に整形することができる。
【0004】
このような合成樹脂製の氷菓用容器は、通常、ブロー成形によって成形されており、開口部のトリミング、バリ取り等の作業が必要になり、その製造が容易でないという問題がある。しかも、バリ等の異物が容器本体内に混入したり、容器本体の表面に、樹脂焼けによる黒点が生じるおそれもある。このように、異物が容器本体内に混入した状態になると、二次加工によって、異物を除去したり、表面の黒点を除去する必要があり、コストが増大する。
【0005】
本考案は、このような問題を解決するものであり、その目的は、中空の容器本体を、トリミング、バリ取り等の作業をすることなく、効率よく製造することができ、製造コストを著しく低減させることができる氷菓用容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案の氷菓用容器は、上面が平坦であって、その平坦な上面に上方に突出するとともに上端面が開放されたネック部が設けられた中空体に、インジェクションブロー成形によって成形された高密度ポリエチレン製の容器本体と、この容器本体に装着されることによって、容器本体の開口部を閉塞し得るように、インジェクション成形によって所定形状に成形された蓋体と、を具備することを特徴とする。
【0007】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本考案の氷菓用容器の実施の形態の一例を示す一部破断正面図である。この氷菓用容器は、内部にアイスクリーム等の氷菓が収容される中空球形状の容器本体部10と、容器本体部10の上面に設けられた開口部14eを覆う蓋体20とを有している。
【0008】
容器本体部10は、高密度ポリエチレンをインジェクションブロー(射出吹込)法によって、底面12がほぼ平坦で、しかも、周面13が球形状に膨出した中空の球形状に構成されている。周面13には、メロンの周面に形成される筋状の模様と同様の模様が設けられている。周面13の上端面は、ほぼ平坦になっており、その中央部に、上方に突出するネック部14が周面13とは同心状態で設けられている。ネック部14の上端面には、開口部14eが設けられている。
【0009】
周面13の上端面に連続したネック部14の外周面は、上側になるにつれて順次拡径したテーパー面14aになっており、そのテーパー面14aに連続して凹溝14bが全周にわたって設けられている。凹溝14bの上側には、全周にわたって突条14cが設けられており、この突条14cの上側に、開口部14eの周縁部分を構成する上端部14dが設けられている。
【0010】
このような容器本体部10は、底面12の外径が65mm程度、底面からネック部14の上端面までの高さが52mm程度に構成されており、その内容量は、130ml程度になっている。
【0011】
蓋体20は、容器本体部10の開口部14eを覆い得る外径を有し、上方に膨出した球面状に構成された蓋本体部21と、この蓋本体部21の中央部に上方に突出するように設けられた摘まみ部22とを有している。
【0012】
蓋本体部21は、中心側になるにつれて順次上方に膨出した球面状に形成されており、蓋本体部21における周縁部には、容器本体部10のネック部14における周面13に連続したテーパー面14aに係合するように、内方に突出した4つの係合部21bが、周方向に等しい間隔をあけて設けられている。蓋本体部21の下面には、容器本体部10の開口部14e内に嵌入し得るように、全周にわたって下方に突出した隔壁部21aが設けられている。
【0013】
蓋本体部21の中央部に設けられた摘まみ部22は、蓋本体部21から上方に突出した中空の円柱状をした支柱部22aと、その支柱部22aの上部に、支柱部22aに対して直交状態に設けられた円柱状の水平部22bとによって構成されている。支柱部22aは、上下方向に沿って中空になっており、その中空部分は、蓋本体部21の下方に連通するように下方に開口しており、また、上端部は、水平部22bの中程に達している。
【0014】
容器本体10は、高密度ポリエチレンをインジェクションブロー成形によって成形されている。図2(a)および(b)は、それぞれ、容器本体10をインジェクションブロー成形によって製造する場合の各工程を説明するための概略図である。容器本体10をインジェクションブロー成形によって製造する際には、まず、図2(a)に示すように、円柱状をした内型31における基端部に、容器本体10のネック部14の外周形状に対応したネック部成形型32を、所定のキャビティが形成されるように嵌合させるとともに、内型31に射出雌型33を、所定のキャビティが形成されるように嵌合させる。そして、射出成形型33における内型31の先端に対向した部分から、高密度ポリエチレンを射出する。これにより、内型31と、ネック部形成型32および射出雌型33との間に形成されたキャビティ内に、高密度ポリエチレンが射出されて、チューブ状のパリソン34が形成される。パリソン34の開口側基端部は、容器本体10のネック部14に対応した形状に成形されている。
【0015】
このようにしてパリソン34が形成されると、直ちに、射出雌型33が内型31から取り外されるとともに、図2(b)に示すように、容器本体10の周面13および底面12に対応した形状の内周面を有するブロー型35が、内型31に嵌合されたパリソン34に嵌合される。そして、内型31に嵌合されたパリソン34内に空気を吹き込んで、パリソン34をブロー型35の内周面に圧接させる。その後、ネック部形成型32およびブロー型35がそれぞれ取り外されて、内型31に嵌合された状態のパリソン34を取り出す。これにより、高密度ポリエチレンによって所定の形状に成形された容器本体10が得られる。
【0016】
このようにして得られた高密度ポリエチレン製の容器本体10は、バリ取りやトリミングをすることなく、しかも、内部にバリ、ほこり等が進入するおそれがないために、二次加工することなく、効率よく製造することができる。しかも、高精度で成形することができるために、所定容量のアイスクリーム等が充填し得る容器本体が確実に得られる。
【0017】
蓋体20は、高密度ポリエチレンをブロー成形することによって、所定の形状に成形されている。この場合には、蓋体20における蓋本体部21と、中空の摘まみ部22とが同時に一体的に成形される。
【0018】
【考案の効果】
本考案の氷菓用容器は、このように、容器本体が高密度ポリエチレンをインジェクションブロー成形によって成形して構成されているために、バリ取りやトリミングをする必要がないために、生産効率に優れており、しかも、製造コストも著しく低減させることができる。また、所定形状および所定内容量の容器本体を高精度で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の氷菓用容器の実施の形態の一例を、一部を破断して示す正面図である。
【図2】(a)および(b)は、それぞれ、その氷菓用容器の容器本体の製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
10 容器本体部
12 底面
13 周面
14 ネック部
14e 開口部
20 蓋体
21 蓋本体部
22 摘まみ部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上面が平坦であって、その平坦な上面に上方に突出するとともに上端面が開放されたネック部が設けられた中空体に、インジェクションブロー成形によって成形された高密度ポリエチレン製の容器本体と、この容器本体に装着されることによって、容器本体の開口部を閉塞し得るように、インジェクション成形によって所定形状に成形された蓋体と、を具備することを特徴とする氷菓用容器。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3043398号
【登録日】平成9年(1997)9月3日
【発行日】平成9年(1997)11月18日
【考案の名称】氷菓用容器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−3891
【出願日】平成9年(1997)5月14日
【出願人】(391015823)共立興産株式会社 (1)