説明

汚染ガス除去紙

【課題】薫蒸処理した後の残留した燻蒸ガスおよびVOC、大気汚染ガス等の各種汚染ガスを吸着除去し、収蔵庫の燻蒸処理後の安全管理や、新築、リフォーム後の建材等から発生するVOCや大気汚染ガスを吸着除去して、人や物に対して安全な環境を提供する。
【解決手段】本発明は、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体を単独若しくは混合した粉体と接着剤とを主体とした塗料を少なくとも基紙の片面に塗工し、塗工層の表面に薄葉紙を積層させて一体化させたり、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とした塗料を塗工した汚染ガス除去紙と、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とした塗料を塗工した汚染ガス除去紙とを組み合わせて、表裏に薄葉紙を積層して一体化させたものに、塗工機の流れ方向の両端部や縦方向あるいは横、斜め方向にガス吸着性粉体を設けない部分を設ける。さらにはこの部分にミシン目を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存施設の収蔵庫等で病害虫や黴の駆除を目的として、燻蒸ガスで燻蒸処理した後の残留した燻蒸ガスや、建材等から発散する揮発性の有機化合物(以下、VOCと呼称する)、酸性やアルカリ性の大気汚染ガスを除去する紙に関するものである。詳しくは、燻蒸処理した後に庫内の空気を強制的に換気して安全な管理濃度に到達させた後で、庫内の収蔵品の種類や配置状態の違い、あるいは温湿度の環境変化等によって燻蒸ガスの脱着が起こり、庫内の燻蒸ガス濃度が管理濃度以上に再上昇することを防ぐためのものである。さらには新築やリフォーム直後の建材や家具から発散するVOC等を効率よく除去したり、大気汚染ガスを吸着除去したりするための汚染ガス除去紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
文化財に限らず検疫や農業分野において、病害虫や黴の駆除を目的として薬剤による燻蒸処理が行われてきたことは周知の事実である。我が国においては、臭化メチルがその優れた殺虫力、浸透性等の特徴を有することから文化財用の殺虫燻蒸剤として広範囲に使用されてきた。特に臭化メチルと酸化エチレンとの混合ガスによる燻蒸剤は効果的に殺虫・殺菌が行われるために、美術館、博物館、図書館、文書館等において資料や作品(以下、収蔵品と呼称する)の新規受け入れ時や、毎年、あるいは隔年毎に行われる収蔵品の定期的な燻蒸用薬品として使用されてきた。
【0003】
ところが、1997年の第9回モントリオール議定書締約国会議において、オゾン層の破壊と発癌性の恐れのある臭化メチル(オゾン破壊係数が0.2以上のものが規制の対象となるが、臭化メチルのオゾン破壊係数は0.6であり、規制の対象となっている)の生産と使用を2005年までに全廃することが合意された。そこで臭化メチルの代替燻蒸剤としてヨウ化メチル(オゾン破壊係数=0.02)や酸化プロピレン(オゾン破壊係数=0)による燻蒸処理と、その有効性や安全性を確認する検討が開始された。
【0004】
一般的に日本で行われてきた従来の燻蒸作業は、収蔵庫内を1mあたり100g程度の燻蒸剤(臭化メチル86%+酸化エチレン14%)で24時間処理した後、数ppm以下の安全な管理濃度に達するまで強制的に庫内空気の換気を数日間に渡り繰り返し行って終了する。しかしながら、収蔵品の種類と収蔵庫内の配置状態の違いや、温湿度等の環境変化によって収蔵品に吸着されていた燻蒸ガスの脱着が起こり、一旦は安全な管理濃度に達した収蔵庫内の燻蒸ガス濃度が、数十ppmにまで再上昇してしまうという問題点を抱えている。そのために収蔵庫内に残留した、あるいは収蔵品から脱着した低濃度の燻蒸ガスを効果的に除去する安価な材料が求められてきた。
【0005】
また一方において、近年、新築やリフォームした入居者の「シックハウス症候群」が問題となっている。その原因の一部は、建材や家具から発散するホルムアルデヒド、キシレン、トルエンといったVOCや、硫化水素、酢酸といった悪臭ガスに起因して発生すると考えられ、建築物の環境を一段と改善しようとする規制が導入されるようになった。また、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガス等のアルカリ性や酸性の大気汚染ガスも以前から問題とされており、文化財保存施設等においても収蔵品の汚染ガスによる変色や劣化を防ぐための対策が採られるようになってきている。このように人や物に対して安全な環境を提供するために、新築やリフォーム直後の建築空間の汚染ガスを効果的に除去できる材料も求められている。
【0006】
本発明者等は、特許文献1において製紙用繊維を主体とした3層以上の多層抄き合わせ紙の中層にガス吸着性粉体を含有し、その中層の表裏に製紙用繊維を主体とした抄き合わせ紙を設けた汚染ガス除去紙を提案し、その中でガス吸着性粉体を疎水性ガス吸着性粉体である粉末活性炭の単独、若しくは親水性ガス吸着性粉体である含鉄アルミニウム水和物やアルミノケイ酸亜鉛系鉱物やシリカゲルとの混合物が好ましいとして紹介した。
【0007】
また、本発明者等は特許文献2において、製紙用繊維を主体とした基紙の少なくとも片面に、ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成し、当該塗料層の表面に薄葉紙を積層化して一体化した汚染ガス除去紙を提案し、その中でガス吸着性粉体を疎水性ガス吸着性粉体である粉末活性炭の単独、若しくは親水性ガス吸着性粉体である含鉄アルミニウム水和物やアルミノケイ酸亜鉛系鉱物やシリカゲルとの混合物が好ましいとして紹介した。
【0008】
また、本発明者等は特許文献3において、疎水性のガス吸着性粉体を担持させた混抄紙と、親水性のガス吸着性粉体を担持させた混抄紙の2層抄き合わせ紙を設けた後、当該抄き合わせ紙の両面に製紙用繊維を主体とした薄葉紙を抄き合わせて4層抄き合わせ紙とし、これを乾燥して一体化したことを特徴とする汚染ガス除去紙、あるいは製紙用繊維を主体とした薄葉紙を中層として、片面に疎水性のガス吸着性粉体を担持させた混抄紙を、反対側の片面に親水性のガス吸着性粉体を担持させた混抄紙を設けた3層の抄き合わせ紙を設けた後、当該抄き合わせ紙の両面に製紙用繊維を主体とした薄葉紙を抄き合わせて5層抄き合わせ紙とし、これを乾燥して一体化したことを特徴とする汚染ガス除去紙を提案し、各種の疎水性ガス吸着性粉体と親水性ガス吸着性粉体とをそれぞれ単独で組み合わせて使用することで、各種の汚染ガスに対応できる汚染ガス除去紙を紹介した。
【0009】
また、本発明者等は特許文献4において、製紙用繊維を主体とした基紙の片面に、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、これと反対面に、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の表裏面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙を積層して一体化したことを特徴とする汚染ガス除去紙、あるいは製紙用繊維を主体とした基紙の片面に、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙を積層して一体化させ、別に用意した製紙用繊維を主体とした基紙の片面に、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙を積層して一体化させる。次に疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙と、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙の非塗工面同士を、接着剤層を介して貼合したことを特徴とする汚染ガス除去紙を提案し、各種の疎水性ガス吸着性粉体と親水性ガス吸着性粉体とをそれぞれ単独で組み合わせて使用することで、各種の汚染ガスに対応できる汚染ガス除去紙を紹介した。
【0010】
【特許文献1】特願2004−233292
【特許文献2】特願2004−233293
【特許文献3】特願2004−356148
【特許文献4】特願2004−356149
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記の特許文献1や特許文献2で提案された汚染ガス除去紙は、燻蒸ガスや各種のVOC、大気汚染ガスといった汚染ガスを除去する能力を有している。また、特許文献3や特許文献4で提案された汚染ガス除去紙は、これに加えて各種の異なる環境に的確に対応し、かつ高価なガス吸着性粉体を必要最小限の使用量で適用するといった細かい使用方法まで適応できるように改良されているが、これらの発明は、実際に使用する段階において適当な大きさや形状に断裁、あるいはカットした際に、その破断面から汚染ガス吸着性粉体がこぼれ落ち、周囲を汚してしまうという問題があった。本発明は、上記したような問題点を解決することを課題とし、具体的には下記の3点を課題とした。
(1)ガス吸着性粉体の脱落によって収蔵品を汚さないこと。
(2)使用目的にあった大きさに容易にカットできること。
(3)個々の収蔵品の形状に沿って、包帯状に巻くことができること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明の請求項1に係る発明は、製紙用繊維を主体とした基紙(4)の少なくとも片面に、疎水性ガス吸着性粉体および親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の表面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化したことを特徴とする汚染ガス除去紙において、塗工機の流れ方向の両端部に疎水性ガス吸着性粉体と親水性ガス吸着性粉体の混合物と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙である。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、製紙用繊維を主体とした基紙(4)の片面に、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(2)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、これと反対面に、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(3)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の表裏面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化したことを特徴とする汚染ガス除去紙において、塗工機の流れ方向の両端部に疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙である。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、製紙用繊維を主体とした基紙(4)の片面に、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(2)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化させる。別に用意した製紙用繊維を主体とした基紙(4)の片面に、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(3)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化させる。次に疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙と、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙の非塗工面同士を、接着剤層(5)を介して貼合したことを特徴とする汚染ガス除去紙において、塗工機の流れ方向の両端部に疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙である。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、塗工機の流れ方向の両端部に加え縦方向に1本以上設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0016】
本発明の請求項5に係る発明は、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、塗工機の流れ方向の両端部に加え横方向に1本以上設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0017】
本発明の請求項6に係る発明は、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、塗工機の流れ方向の両端部に加え斜め方向に1本以上設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0018】
本発明の請求項7に係る発明は、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、連続したパターン状に設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0019】
本発明の請求項8に係る発明は、塗料層が、ガス吸着性粉体100質量部に対して、接着剤が10〜25質量部よりなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0020】
本発明の請求項9に係る発明は、疎水性ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0021】
本発明の請求項10に係る発明は、ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭である疎水性ガス吸着性粉体および親水性ガス吸着性粉体である含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の1種類若しくは複数との混合物であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0022】
本発明の請求項11に係る発明は、親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の1種類であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0023】
本発明の請求項12に係る発明は、親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の2種類の混合物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0024】
本発明の請求項13に係る発明は、親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の3種類の混合物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0025】
本発明の請求項14に係る発明は、親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の混合物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【0026】
本発明の請求項15に係る発明は、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)の一部あるいは全部にミシン目(7)を設けたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、燻蒸処理後の換気によって収蔵庫内空気の燻蒸ガス濃度を数ppm以下の安全な管理濃度まで低下させてから、1mあたり0.025〜0.1m(使用量:気積率A/V=0.025〜0.1m−1)の汚染ガス除去紙を数日間、天井から或いは壁に沿って吊したり、収蔵品や収納棚を被覆したりすることによって、残留や脱着した低濃度の燻蒸ガスを効果的に除去できるものである。また、前記と同様の方法で新築或いはリフォームされた建築空間において1週間〜数ヶ月使用してVOC等の汚染ガスを効果的に除去し、併せて大気汚染ガスをも吸着除去し、使用後は一般のゴミ処理として焼却廃棄できる安価な材料を提供することができる。さらには使用にあたって任意の大きさに裁断する際、端部から汚染ガス吸着性粉体がこぼれ落ちて周囲を汚す恐れもなく、形状の異なる収蔵品を直接包帯状に巻くことも可能で、簡単かつ安全に使用することのできる汚染ガス除去紙を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明者等は、前述した問題点を解決するために、臭化メチル代替燻蒸剤であるヨウ化メチルや酸化プロピレンに対して優れた吸着性能を有する粉体と、VOCや大気汚染ガス等の汚染ガスに対して優れた吸着性能を有する粉体を見出すための検討を行った。次いで製紙用繊維を主体とした基紙の少なくとも片面に、ガス吸着性粉体と接着剤とを主体とする塗料層を全面若しくは部分的に形成させた後、当該塗料層の表面に薄葉紙を積層して一体化したことにより、ガス吸着性粉体の脱落を防止して収蔵品を汚さないような構成としたのである。また、全体を構成する基紙の材料は製紙用繊維を主体とした紙を使用することによって、一般のゴミ処理で焼却廃棄が可能な形態とした。
【0029】
本発明者等は、優れたガス吸着性能を有する粉体を見出すために、各種の粉体を以下に述べるような2つのグループに分けて検討を行った。そのために、製紙用繊維を主体として製造した坪量60g/mの基紙の片面に、各種のガス吸着性粉体100質量部と接着剤15質量部を主体とする塗料を25g/m塗工して、坪量が85g/mの塗工紙を得た。次いでガス吸着性能評価として、各種の塗工紙を10×10cm角に裁断して評価用のサンプルとした。さらにブランクとして前記した坪量60g/mの基紙も同じように用意した。これらのサンプルを温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間放置して前処理し、次いでこのサンプルをテドラーバッグに入れて脱気し、既知の濃度に調製した各種のガス2リットルを注入して直ちに検知管(ガステック(株)製造)を使用してその濃度を温度23℃の条件下で測定し、これを初期濃度とした。温度を23℃のまま5時間放置した後で、再度テドラーバッグ内のガス濃度を測定した。各サンプルのガス吸着性能は、初期濃度から残存濃度を差し引きして各ガス吸着性粉体1gあたりの吸着量(μg)として換算した。初期濃度は酸化プロピレンとヨウ化メチルが300ppm、酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスは100ppmを基準とした。
【0030】
ガス吸着性粉体の第1のグループは疎水性のガス吸着性粉体で、その代表が活性炭である。活性炭は、その形状から大別すると粒状活性炭と粉末活性炭の2つに分類できる。本発明においては、ガス吸着性粉体と接着剤とを主体とした塗料を基紙表面に形成させるため、平均粒子径が50μm以下の粉末活性炭を使用することが好ましい。一般的に活性炭の原料としては木炭、木材、椰子殻、石炭、亜炭、瀝青炭、ピート等が使用される。使用される原料の違いにより、ガスの吸着量に影響を及ぼす細孔径分布が大きく異なるので、各種ガスへの吸着性能に差が生じてくるのが特徴である。また、特定のガスを対象として吸着することを目的に、前記の粒状若しくは粉末状の活性炭を化学的に処理したり、銀等の金属類を添着させたりした特殊な機能性活性炭を使用しても良い。
【0031】
ガス吸着性粉体の第2のグループは親水性ガス吸着性粉体で、例えば含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲル、シリカアルミナ質ゲル状粘土、ゼオライト、アルミナゲル等の吸着剤である。これらの吸着剤は親水性であって、水のような極性分子を選択的に吸着するのが特徴である。本発明は、前述した残留燻蒸ガスの除去が主目的である。しかし、同時に庫内の亜硫酸ガス等の大気汚染物質も除去できれば更に有用なものとなる。また、新築した建物において、建材や家具から発散するVOC等の汚染ガスも除去できれば、新築やリフォームされた住宅、あるいは保存施設にとって欠くべからざるものとなる。従って本発明においては、両方のグループのガス吸着性粉体を活かした汚染ガス除去紙の提供を目的としたものである。
【0032】
表1に前記した各種のガス吸着性粉体1gあたりのガス吸着量(μg)を測定して、以下のような4分類に区分して評価した結果を示した。汚染ガスの種類によって基準は異なるが、○以上を汚染ガスの吸着性能を有するとして合格と判定した。
◎:汚染ガスを良く吸着する。
○:汚染ガスを吸着する。
△:汚染ガスを少し吸着する。
×:汚染ガスを殆ど吸着しない。
酸化プロピレンについて:◎:7500μg/g以上
○:7500μg/g未満〜2000μg/g以上
△:2000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
ヨウ化メチルについて ◎:1500μg/g以上
○:1500μg/g未満〜1000μg/g以上
△:1000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスについて ◎:1000μg/g以上
○:1000μg/g未満〜500μg/g以上
△:500μg/g未満〜200μg/g以上
×:200μg/g未満
【0033】
〈表1〉

【0034】
表1の結果から以下のことがわかった。
(1)ヨウ化メチルや酸化プロピレンを良く吸着する粉体は椰子殻活性炭であり、木質活性炭も両方のガスを吸着するが椰子殻活性炭と比較すると若干劣る。また、シリカゲルは酸化プロピレンを吸着する。
(2)含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカアルミナ質ゲル状粘土の親水性の吸着剤は、ヨウ化メチルや酸化プロピレンをほとんど吸着しない。
(3)椰子殻活性炭と木質活性炭はキシレンやトルエンを吸着する。含鉄アルミニウム水和物、アルミナケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲル、シリカアルミナ質ゲル状粘土はキシレンとトルエンを少ししか吸着しない。
(4)木質活性炭、椰子殻活性炭、シリカゲルは硫化水素を少ししか吸着しないが、含鉄アルミニウム水和物、アルミナケイ酸亜鉛系鉱物、シリカアルミナ質ゲル状粘土は硫化水素を吸着する。
(5)含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲル、シリカアルミナ質ゲル状粘土、木材パルプ紙は酢酸を吸着する。
以上のことから、ヨウ化メチルや酸化プロピレンといった残留燻蒸ガスを除去するには活性炭を単独で担持させた汚染ガス除去紙で良いことがわかる。しかしながら、前述したVOCや大気汚染ガスをも吸着除去できるものにするには活性炭と親水性の吸着剤を併用する必要性がある。尚、本評価試験においては、暫定的に酢酸や硫化水素といった悪臭ガスは、VOCのカテゴリーとして分類した。
【0035】
本発明におけるガス吸着性粉体としては、疎水性のガス吸着性粉体と親水性のガス吸着性粉体とを混合して、あるいは組み合わせて使用する。
【0036】
疎水性のガス吸着性粉体である活性炭のガス吸着性能はその使用原料によって異なり、かつ細孔径と細孔分布に大きく影響される。平均細孔半径のピークが1.0nm付近に集中している椰子殻活性炭は、平均細孔半径が2.0〜3.5nmに分布している木質活性炭より平均細孔半径が遙かに小さいために、燻蒸ガスやトルエン、キシレン等のVOCに対する吸着性能が優れていることが前述の評価結果からも確認できた。従って本発明で使用する活性炭としては木質活性炭も使用できるが、椰子殻活性炭の方が好ましいものである。加えて、活性炭の平均粒子径は50μm以下の粉末活性炭が好ましい。その理由は、これよりも平均粒子径が大きいと粒子の凹凸によって塗料層表面が荒れることと、活性炭の比表面積が小さくなるので汚染ガス吸着性能が低下してくる傾向があり好ましくないからである。また、平均粒子径が小さくなるほど比表面積が増大するので汚染ガス吸着性能の向上効果としては好ましいが、小さくなるにつれてコストが高くなってくる傾向があるので、平均粒子径としては3〜50μmの範囲のものが好ましい。また、前記した機能性活性炭についても、平均粒子径や価格が適正なものであれば本発明に使用することは一向に差し支えない。
【0037】
前述した親水性のガス吸着性粉体としては、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、合成ゼオライト、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物等の合成無機粉体や、シリカアルミナ質ゲル状粘土、珪藻土、珪藻頁岩、白土、活性白土、天然ゼオライト等の天然の無機粉体を挙げることが出来る。そしてこれらの単独、あるいは1種類以上を併用して使用することができる。しかしながら、それぞれのガス吸着性能を補填するために活性炭の他、数種類の粉体を使用しても一向に構わない。上記した粉体のうち、含鉄アルミニウム水和物とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物は、水澤化学工業(株)からそれぞれ「アルフェマイトFP」、「ミズカナイトHP」の商品名で市販されている。また、シリカゲルは富士シリシア化学(株)から「シリカゲルPA−270A」の商品名で市販されている。さらに、シリカアルミナ質ゲル状粘土は、天然に存在する鉱石の一種でありアロフェン(Allophane)と称されている物である。その性質は化学的に活性であり、吸着力と吸湿力が大きいのが特徴となっている。化学組成は一般に(1〜2)SiO・Al・(4〜6)HOで表され、品川化成(株)から「セカードTS−35」の商品名で市販されている。表1に示したように含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカアルミナ質ゲル状粘土は特に硫化水素に対する吸着性能があり、酢酸、ホルムアルデヒド、アンモニア、亜硫酸ガスおよび硝酸ガスに対する吸着性能も良好であるので好適に使用できる。またシリカゲルは、アンモニア、酢酸、ホルムアルデヒド、硝酸ガスに対する吸着性能が優れており、好適に使用できる。
【0038】
本発明においては、製紙用繊維を主体とした基紙の少なくとも片面に、疎水性ガス吸着性粉体および親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造したり、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成し、これと反対面に親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成し、当該塗料層の表面に製紙用繊維を主体とした薄葉紙を積層して一体化したり、あるいは、製紙用繊維を主体とした基紙の片面に、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙を積層して一体化させ、別に用意した製紙用繊維を主体とした基紙の片面に、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙を積層して一体化させ、続いて疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙と、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙の非塗工面同士を、接着剤層を介して貼合することが特徴である。ここで使用される基紙および薄葉紙としては、製紙用繊維からなる紙、化学繊維や合成繊維からなる乾式あるいは湿式不織布、スパンボンド紙、織布等が使用できるが、ガス吸着性能を有し、且つ簡単に焼却廃棄できることから製紙用繊維を主体とした紙を使用することが好ましい。また、基紙の坪量としては40〜80g/mの範囲にあることが好ましい。基紙の坪量が40g/m未満であると、基紙に塗料を塗工した直後の塗料の裏抜け現象が激しくなり、塗工機のロール汚れが著しくなるので連続生産に支障をきたすことがあり好ましくない。また、基紙の坪量が80g/mを越えると、前述したような問題は少なくなるが、基紙の通気速度が遅くなるので好ましくない。さらに、塗料層の表裏面に積層する薄葉紙の坪量については、10〜30g/mの範囲にあることが好ましい。薄葉紙の坪量が10g/m未満であると、ガス吸着性粉体が脱落する危険性があり、また、30g/mを越えると、ガス吸着速度が若干低下するので好ましくない。
【0039】
基紙や薄葉紙に使用される製紙用繊維としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプの単独あるいは混合物を主体とし、これに麻、ケナフ等の非木材パルプ、レーヨン、ビニロン、ポリエチレン、合成パルプ、ポリプロピレン等の化学繊維や合成繊維を混合して使用することができる。また、紙の強度や耐水性を向上させるために、ポリビニルアルコール繊維のような熱水溶解型繊維やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の低融点の熱接着性繊維や複合繊維を併用することができる。しかしながら、表1で示したように木材パルプが本来具備しているアンモニア、酢酸、硝酸ガス等に対するガス吸着性能を最大限に生かした使用方法が望ましい。
【0040】
本発明における塗料層は、前述したようなガス吸着性粉体と接着剤を主体としたものである。接着剤の種類としては、アクリルエマルション、エチレン酢酸ビニルエマルション、酢酸ビニルエマルション、ウレタンエマルションおよびこれらの共重合エマルション、SBR、NBR、MBR等の合成ゴムラテックス、カゼイン、デンプン、PVA等の紙用の接着剤として一般的に使用されているものを単独で、あるいは必要に応じて1種類以上を適宜組み合わせて使用する。
【0041】
本発明で使用する塗料はガス吸着性粉体に分散剤を添加し、水分散した後に接着剤を添加して混合し、調製する。この際に保水剤、流動改良材、防腐剤、防黴剤等を必要に応じて適宜添加できる。接着剤の使用量は、ガス吸着性粉体100質量部に対して10〜25質量部が好ましい。10質量部未満であると塗料層自体の強度が得られ難い上、薄葉紙との積層強度が不足し、また25質量部を越えると前述したような強度は得られるがガス吸着性粉体のガス吸着性能を阻害させるので好ましくない。
【0042】
このようにして調製した塗料を、ロールコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の塗工機を使用して基紙の片面あるいは両面に塗工する。この際に,塗料中に含まれるガス吸着性粉体の脱落等により収蔵品等を汚すことを防止するため,塗工表面を薄葉紙で覆うことが本発明の特徴である。これには一般的に使用されている接着剤を使用して基紙と薄葉紙を貼合しても良いが、塗料を基紙に塗工して乾燥炉に入る前の濡れた状態の塗料層の上に薄葉紙を積層して圧着し、乾燥工程を経ることで基紙と薄葉紙を塗料層を介して一体化させることが好ましい。このようにすることにより、接着剤が塗料層表面を覆い、その結果、汚染ガスの吸着性能を低下させるといった問題を防ぐことができるのと同時に、接着剤の塗工〜貼合という工程を省くことが可能となり、作業性の向上とコストダウンが見込まれるので好ましい。また良好な通気性を得るために、グラビアコーターに深度100〜400μm程度の網点状、菱形状、斜線状、文字模様あるいは各種の模様の彫刻を、面積比率で60〜80%程度施し、これらのロールを用いることで塗料層を部分的に形成することもできる。いずれの場合にしても、塗料の基紙における塗工量は、片面につき15〜50g/mの範囲が好ましい。
【0043】
上記のようにして得られた汚染ガス除去紙では、坪量が100〜240g/mとなり、ガス吸着性粉体の含有量は、疎水性と親水性のガス吸着性粉体の両方を併せた合計として22.5〜90g/mとなる。一般的に汚染ガスの吸着速度と吸着量は、紙表面に点在する疎水性や親水性のガス吸着性粉体の含有量がそれぞれ11.25g/m未満であると汚染ガスの吸着量が少なくなり、それぞれ45g/mを越えると汚染ガスの吸着速度と吸着量の問題はないが、塗工量が多くなることから塗料コストがアップするので好ましくない。
【0044】
また、上記のようにして得られた疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙と、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙の2種類の塗工紙を接着剤層を介して積層するには、紙類を貼合する際に使用される一般的な接着剤、例えば水系の接着剤としてアクリルエマルション、エチレン酢酸ビニルエマルション、酢酸ビニルエマルション、ウレタンエマルションおよびこれらの共重合エマルション、SBR、NBR、MBR等の合成ゴムラテックス、カゼイン、デンプン、PVA等といった紙用の接着剤として一般的に使用されているものを適宜使用することができる。その他に溶剤系接着剤やホットメルト接着剤、粘着剤等の接着剤も使用することができるが、通気性を極端に阻害するような接着剤は汚染ガスの除去に悪影響を与えるので、適切な接着剤を適切な量で使用することが必要である。
【0045】
また、疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙と、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙の2種類の塗工紙を積層する際に片方の塗工紙を予め用意しておき、もう片方の塗工紙を製造する際に、塗料を基紙に塗工して乾燥炉に入る前の濡れた状態の塗料層の上にこの塗工紙を積層して圧着し、乾燥工程を経ることで、両方の塗工紙が塗料層を介して一体化になることが好ましい。このようにすると、接着剤により通気性を阻害されることが無く、汚染ガスの吸着性能を低下させることが妨げられるのと同時に、接着剤の塗工〜貼合という工程を省くことが可能となり、作業性の向上とコストダウンが見込まれるので好ましい。
【0046】
本発明においては、上記したように疎水性のガス吸着性粉体と親水性のガス吸着性粉体の混合物を塗工した塗工紙、あるいは疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙と、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙の2種類の塗工紙を積層して使用するが、この際に、塗工機の流れ方向の両端部に疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層をいずれも設けない部分を施すことが必要である。このようにしないと、両端部から疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体がこぼれ落ち、周囲を汚染するという問題が発生する。
【0047】
また、本発明による汚染ガス除去紙は、使用に際して各種の大きさや形状に加工されて使用される。そのために疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分は、塗工機の流れ方向の両端部のみならず縦方向や横方向、さらには斜め方向、あるいは連続したパターン状に設けることによって、加工の自由度が増加し、任意の形状や大きさに加工することが可能となるので好ましい。
【0048】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分の形状は、直線であっても、曲線であっても、あるいは連続的なパターンであっても構わないし、横方向に不連続のパターン状に設けても一向に差し支えない。
【0049】
本発明における疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分の幅については、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体が外部にこぼれ落ちることのない強度を有していればどのような幅であっても構わないが、後で各種の大きさや形状に加工する際にハサミやカッターなどで切断し易い程度の幅を有していることが好ましく、通常は3〜25mm程度であることが好ましい。3mm以下であると、後加工の際に疎水性および親水性のガス吸着性粉体が含まれている部分を傷つけてしまう危険性があり好ましくない。また25mm以上あると後加工の際の作業性には問題ないが、全面積当たりの疎水性および親水性のガス吸着性粉体を含有する面積が狭くなるので好ましくない。
【0050】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分を作成するには、グラビアロールにパターンを付与したり、ピックアップロールにテープを貼り付けて塗料が付着しないようにするなどの方法で、塗料が付着する部分と付着しない部分を設けることで作成することができる。
【0051】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分の目的は、上記したように使用に際して各種の大きさや形状に加工する際に、カット面から疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体が周囲にこぼれ落ちないようにすることにあるので、この部分には疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層が完全に存在してはいけないということを意味するものではない。ガス吸着性粉体は接着剤と共に塗料化されているので基紙の表面に固着する性質を有し、かつ薄葉紙で表面を覆われているので、カット面からガス吸着性粉体がこぼれ落ちない程度であれば若干の疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層が残留していても差し支えない。
【0052】
また、疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分の一部、あるいは全部にミシン目を入れると、できあがった汚染ガス除去紙を各種の大きさや形状に加工する際にハサミやカッターを使用する手間が省け、容易に必要な大きさや形状の汚染ガス除去紙を得ることができるので好ましい。
【0053】
ミシン目を作成するには、一般的なミシン目を作成する装置が自由に適用でき、塗工機と連動したオンマシンでも、あるいは塗工機とは別にオフマシンで加工しても一向に差し支えない。また、ミシン目の形状やピッチは、できあがった汚染ガス除去紙を任意の大きさや形状に加工することが可能であれば、どのようなものでもかまわない。
【実施例】
【0054】
[基紙の製造]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)38質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)60質量部を400mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーに、ポリビニルアルコール繊維(商品名「VBP107」、(株)クラレ製造)2質量部を混合し、8質量%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分質量に対して、湿潤紙力増強剤(商品名「WS4044」、星光PMC(株)製造)を固形分換算で0.5質量%添加して分散し、さらに高分子アニオン性凝集剤(商品名「ハイホルダー351」、栗田工業(株)製造)を固形分換算で0.006質量%添加し、常法により長網抄紙機を使用して坪量が60g/mの基紙を得た。
【0055】
[薄葉紙の製造]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)30質量部を450mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーの固形分質量に対して、湿潤紙力増強剤(商品名「WS4044」)を固形分換算で0.3質量%添加して分散し、さらに高分子アニオン性凝集剤(商品名「ハイホルダー351」)を固形分換算で0.006質量%添加し、常法により長網抄紙機を使用して坪量が15g/mの積層用の薄葉紙を得た。
【0056】
[疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1]
椰子殻活性炭(商品名「太閤CB」、二村化学工業(株)製造)、100質量部に対して接着剤(商品名「ニポールLX−430」、日本ゼオン(株)製造)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを添加して粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を、凹部の面積比率が70%、深度が300μmの彫刻ロールを供えたグラビアコーターを使用して基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。尚、グラビアコーターには5×5cmの大きさで、幅が5mmになるように疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分を設けた。この汚染ガス除去紙における椰子殻活性炭の含有量は39g/mであった。
【0057】
[疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−2]
基紙の両面に、疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で塗布と薄葉紙との積層を行い、基紙の両面に固形分で90g/mの塗料層を有する、坪量180g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における椰子殻活性炭の含有量は78g/mであった。
【0058】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」、水澤化学工業(株)製造)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物の含有量は39g/mであった。
【0059】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−2]
アルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」、水澤化学工業(株)製造)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるアルミノケイ酸亜鉛系鉱物の含有量は39g/mであった。
【0060】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−3]
シリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」、富士シリシア化学(株)製造)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるシリカゲルの含有量は、39g/mであった。
【0061】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−4]
シリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」、水澤化学工業(株)製造)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるシリカアルミナ質ゲル状粘土の含有量は39g/mであった。
【0062】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−5]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)50質量部とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)50質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物の混合物の含有量は39g/mであった。
【0063】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−6]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)50質量部とシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)50質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に、固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物とシリカゲルの混合物の含有量は39g/mであった。
【0064】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−7]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)50質量部とシリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」)50質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物とシリカアルミナ質ゲル状粘土の混合物の含有量は39g/mであった。
【0065】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−8]
アルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)50質量部とシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)50質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に、固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるアルミノケイ酸亜鉛系鉱物とシリカゲルの混合物の含有量は39g/mであった。
【0066】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−9]
アルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)50質量部とシリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」)50質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるアルミノケイ酸亜鉛系鉱物とシリカアルミナ質ゲル状粘度の混合物の含有量は39g/mであった。
【0067】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−10]
シリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)50質量部とシリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」)50質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるシリカゲルとシリカアルミナ質ゲル状粘度の混合物の含有量は39g/mであった。
【0068】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−11]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)35質量部とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)35質量部とシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)35質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で使用して基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物とシリカゲルの混合物の含有量は39g/mであった。
【0069】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−12]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)35質量部とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)35質量部とシリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」)35質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物とシリカアルミナ質ゲル状粘土の混合物の含有量は39g/mであった。
【0070】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−13]
アルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)35質量部とシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)35質量部とシリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」)35質量部に対し接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるアルミノケイ酸亜鉛系鉱物とシリカゲルとシリカアルミナ質ゲル状粘土の混合物の含有量は39g/mであった。
【0071】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−14]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)25質量部とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)25質量部とシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)25質量部とシリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」)25質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物とシリカゲルとシリカアルミナ質ゲル状粘土の混合物の含有量は39g/mであった。
【0072】
[疎水性のガス吸着性粉体と親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1]
椰子殻活性炭(商品名「太閤CB」)50質量部と含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)50質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを添加して粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同じ方法で基紙の片面に固形分で45g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が120g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における椰子殻活性炭ト含鉄アルミニウム水和物の混合物の含有量は39g/mであった。
【0073】
[実施例1]
親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1を製造し、次に疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1を製造する際に、片面に塗料層を形成し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層、圧着した後、さらに反対面の塗料層を形成し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1の非塗工面を積層、圧着した後乾燥し、坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0074】
[実施例2]
疎水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−2とした他は、実施例1と同様にして坪量が300g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0075】
[実施例3]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−2を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0076】
[実施例4]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−3を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0077】
[実施例5]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−4を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0078】
[実施例6]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−5を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0079】
[実施例7]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−6を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0080】
[実施例8]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−7を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0081】
[実施例9]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−8を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0082】
[実施例10]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−9を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0083】
[実施例11]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−10を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0084】
[実施例12]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−11を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0085】
[実施例13]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−12を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0086】
[実施例14]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−13を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0087】
[実施例15]
親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−14を製造し、実施例1と同様にして坪量が180g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0088】
[実施例16]
疎水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1の非塗工面に酢酸ビニル系接着剤(商品名「スーパータック」、(株)伊藤みくに糊本舗製造)を固形分換算で10g/m塗工し、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1を積層、圧着した後乾燥し、坪量が250g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0089】
[実施例17]
疎水性のガス吸着性粉体と親水性のガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1を製造する際に、片面に塗料層を形成し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層、圧着した後乾燥し、坪量が135g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0090】
[疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−3]
塗料層の塗工量を10g/mとした他は疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同様にして、坪量が85g/mの汚染ガス除去紙を得た。この紙の椰子殻活性炭含有量は9g/mであった。
【0091】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−15]
含鉄アルミニウム水和物(商品名「アロフェマイトFP」)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同様にして基紙の片面に固形分で10g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し坪量が85g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙における含鉄アルミニウム水和物の含有量は9g/mであった。
【0092】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−16]
アルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同様にして基紙の片面に固形分で10g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し坪量が85g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるアルミノケイ酸亜鉛系鉱物の含有量は9g/mであった。
【0093】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−17]
シリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同様にして基紙の片面に固形分で10g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が85g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるシリカゲルの含有量は9g/mであった。
【0094】
[親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−18]
シリカアルミナ質ゲル状粘土(商品名「セカードTS−35」)100質量部に対し、接着剤(商品名「ニポールLX−430」)を固形分換算で15質量部添加し、増粘剤としてアルギン酸ナトリウムを加えて粘度が1500cps、濃度が40質量%の塗料を調整した。この塗料を疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1と同様にして基紙の片面に固形分で10g/mになるように塗工し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層して圧着した後乾燥し、坪量が85g/mの汚染ガス除去紙を得た。この汚染ガス除去紙におけるシリカアルミナ質ゲル状粘土の含有量は9g/mであった。
【0095】
[比較例1]
疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙を、疎水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−3とした他は実施例1と同様にして坪量が145g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0096】
[比較例2]
親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙を、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−15とした他は実施例1と同様にして坪量が145g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0097】
[比較例3]
親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙を、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−16とした他は実施例1と同様にして坪量が145g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0098】
[比較例4]
親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙を、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−17とした他は実施例1と同様にして坪量が145g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0099】
[比較例5]
親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙を、親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−18とした他は実施例1と同様にして坪量が145g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0100】
[比較例6]
親水性ガス吸着性粉体を使用した塗工紙−1を製造する際に、片面に塗料層を形成し、乾燥炉に入る前の濡れた塗料層の表面に薄葉紙を積層、圧着した後乾燥し、坪量が135g/mの汚染ガス除去紙を得た。
【0101】
実施例1〜17よび比較例1〜6で得られた汚染ガス除去紙におけるガス吸着性能の良否を確認した結果を表2に示した。尚、表中の実1〜実17は実施例1〜17、比1〜6は比較例1〜6を指す。評価は以下ようにして行った。評価用のサンプルとして実施例1〜17および比較例1〜6の汚染ガス除去紙を5×5cm角に裁断したものを用意した。これらのサンプルを温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間放置して前処理し、次いでこのサンプルをテドラーバッグに入れて脱気し、既知の濃度に調製した各種のガス2リットルを注入して直ちに検知管(ガステック(株)製造)を使用してその濃度を温度23℃の条件下で測定し、これを初期濃度とした。温度を23℃のまま5時間放置した後で再度テドラーバッグ内のガス濃度を測定した。各サンプルのガス吸着性能は、初期濃度から残存濃度を差し引きし、各ガス吸着性粉体1gあたりの吸着量(μg)として換算した。初期濃度は酸化プロピレンとヨウ化メチルが300ppm、酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスは100ppmを基準とした。表2に前記した各種の汚染ガス除去紙1gあたりのガス吸着量(μg)を測定して、以下のような4分類に区分して評価した結果を記載した。汚染ガスの種類によって基準は異なるが、○以上を汚染ガスの吸着性能を有するとして合格と判定した。
◎:汚染ガスを良く吸着する。
○:汚染ガスを吸着する。
△:汚染ガスを少し吸着する。
×:汚染ガスを殆ど吸着しない。
酸化プロピレンについて:◎:7500μg/g以上
○:7500μg/g未満〜2000μg/g以上
△:2000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
ヨウ化メチルについて ◎:1500μg/g以上
○:1500μg/g未満〜1000μg/g以上
△:1000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスについて ◎:1000μg/g以上
○:1000μg/g未満〜500μg/g以上
△:500μg/g未満〜200μg/g以上
×:200μg/g未満
【0102】
〈表2〉

【0103】
表2から以下のことがわかる。
(1)実施例1〜17は、各種の汚染ガスに対する吸着性能が認められる。
(2)比較例1は、疎水性ガス吸着性粉体である活性炭量が不足しているため、燻蒸ガスである酸化プロピレンとヨウ化メチルに対する吸着性能が劣る。
(3)比較例2〜5は、親水性ガス吸着性粉体の塗工量が不足しているために、VOCや大気汚染ガスに対する吸着性能が劣る。
(4)比較例6ハ、活性炭を含有してイナイタメ、薫蒸ガスである酸化プロピレントヨウ化メチルニ対する吸着性能が劣る。
以上の結果から、本発明の実施例1〜17は、燻蒸ガスの残留ガスの除去紙およびVOCや大気汚染ガス除去紙として兼用できるものであることがわかる。
【0104】
[実施例18]
実施例1において、疎水性および親水性のガス吸着性粉体を設けない部分の中央部分に2mmの間隔で長さ3mmのミシン目を設けた汚染ガス除去紙を得た。
【0105】
[比較例7]
実施例1において、疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分を作らない汚染ガス除去紙を得た。
【0106】
[規定の大きさに加工する際の作業性の確認]
実施例1〜18、比較例1〜7で得られた汚染ガス除去紙において、5×5cmの大きさにカットする際の作業性について比較した。その結果、実施例18で得られたサンプルは、規定の大きさに加工する際にカッターやハサミを必要とせず、ミシン目から容易にカットできるので作業性の面で良好なものであった。
【0107】
[ガス吸着性粉体の粉落ちの確認]
実施例1〜18および比較例1〜7で得られた汚染ガス除去紙を5×5cmにカットした際に、カット面からこぼれ落ちるガス吸着性粉体を目視観察して評価した。評価は以下のように行い、○を合格とした。その結果、疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分を設置した実施例1〜18および比較例1〜6で得られた汚染ガス除去紙は全て○で合格であったが、この部分が設けられていない比較例7においては×判定であり、明らかな粉落ちの差が確認された。
○:ガス吸着性粉体の粉落ちが全く確認されない。
△:若干のガス吸着性粉体の粉落ちが確認される。
×:多量のガス吸着性粉体の粉落ちが確認される。
【0108】
以下に代表的な使用例とその効果について述べる。
某美術館の収蔵庫(容積が480m)を酸化プロピレン(48g/m)とアルゴンの混合気体を使用して48時間燻蒸した後、庫内空気の換気を強制的に4日間行い、換気が終了した時点での酸化プロピレン濃度を0ppmにした。次に、換気を行わないで24時間放置した後で酸化プロピレンの濃度を再測定したところ、10ppmに再上昇していた。そこで実施例1で得られた汚染ガス除去紙(坪量が180g/m)を庫内の壁面や収納棚に設置(使用量:A/V=0.1m−1)して24時間換気を行わずに放置した後で酸化プロピレンの濃度を測定したところ0ppmになっていた。さらに72時間換気しないで放置したが、酸化プロピレン濃度が再上昇することはなく、燻蒸ガスに対して除去効果があることが確認された。
【0109】
某歴史館の特別収蔵庫(容積が394m)を、ヨウ化メチル(40g/m)の気体で24時間燻蒸した後、庫内空気の換気を強制的に24時間行い、換気が終了した時点でのヨウ化メチルの濃度を1ppm以下にした。次いで3時間毎に換気の運転と停止を24時間繰り返した後、ヨウ化メチルの濃度を測定したところ30ppmに再上昇していた。そこで実施例6で得られた汚染ガス除去紙(坪量が180g/m)を庫内の壁面や収納棚に設置(使用量:A/V=0.1m−1)して、再び3時間毎に換気運転と停止を24時間繰り返した後、ヨウ化メチルの濃度を測定したところ、換気停止時のヨウ化メチル濃度が再上昇することがなく明らかに燻蒸ガスに対する除去効果があることが確認された。
【0110】
某社の新築開館前の資料展示室を中央で間仕切りし、それぞれ500mの展示室A、Bとした。展示室Aには実施例6で得られた汚染ガス除去紙(坪量が180g/m)を室内の天井や壁から吊したり、床に敷いたりした(使用量:A/V=0.1m−1)が、展示室Bは空のままの状態として1ヶ月間それぞれの資料展示室を放置した。1ヶ月後の室内空気質調査結果を表3に示した。但し、汚染ガスの濃度単位はppbとし、表3中の−印は検出されなかったことを意味する。
【0111】
〈表3〉

【0112】
表3の結果から以下のことがわかる。
(1)展示室Aの空気質は明らかに展示室Bよりも改善されており、外気並みの空気質になっていることがわかる。
(2)汚染ガス除去紙は、酸やアルカリ成分の大気汚染物質やVOC成分を吸着除去する性能を有していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
[産業上の利用可能性]
本発明による汚染ガス除去紙は、燻蒸処理後の低濃度の残留ガスや脱着ガスを吸着して、収蔵庫内の燻蒸ガス濃度が再上昇することを防ぐと共に、新築住宅やリフォーム後の保存施設における建材等から発散するVOCや大気汚染ガス等の汚染ガスを吸着することができ、さらには任意の大きさや形状に容易に加工することが可能で、端部からの粉落ちの心配もなく安価で安全な汚染ガス除去紙として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】:本発明による、請求項2に記載の汚染ガス除去紙の断面を示した模式図である。
【図2】:本発明による、請求項3に記載の汚染ガス除去紙の断面を示した模式図である。
【図3】:本発明による請求項2に記載の汚染ガス除去紙を表面から見た概念図である。
【図4】:本発明による請求項4に記載の汚染ガス除去紙を表面から見た概念図である。
【図5】:本発明による請求項5に記載の汚染ガス除去紙を表面から見た概念図である。
【図6】:本発明による請求項6に記載の汚染ガス除去紙を表面から見た概念図である。
【図7】:本発明による請求項7に記載の汚染ガス除去紙を表面から見た概念図である。
【図8】:本発明による請求項2に記載の汚染ガス除去紙において、疎水性および親水性のガス吸着性粉体を設けない部分にミシン目を設けた汚染ガス除去紙を表面から見た概念図である。
【符号の説明】
【0115】
1:製紙用繊維を主体とした薄葉紙である。
2:疎水性ガス吸着性粉体を含有する塗料層である。
3:親水性ガス吸着性粉体を含有する塗料層である。
4:製紙用繊維を主体とした基紙である。
5:接着剤層である。
6:疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分である。
7:疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体を設けない部分に設けたミシン目である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙用繊維を主体とした基紙(4)の少なくとも片面に、疎水性ガス吸着性粉体および親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の表面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化したことを特徴とする汚染ガス除去紙において、塗工機の流れ方向の両端部に疎水性ガス吸着性粉体と親水性ガス吸着性粉体の混合物と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙。
【請求項2】
製紙用繊維を主体とした基紙(4)の片面に、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(2)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、これと反対面に、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(3)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の表裏面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化したことを特徴とする汚染ガス除去紙において、塗工機の流れ方向の両端部に疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙。
【請求項3】
製紙用繊維を主体とした基紙(4)の片面に、疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(2)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化させる。別に用意した製紙用繊維を主体とした基紙(4)の片面に、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層(3)を全面、若しくは部分的に形成した塗工紙を製造し、続いて当該塗工紙の塗料塗工面に、製紙用繊維を主体とした薄葉紙(1)を積層して一体化させる。次に疎水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙と、親水性ガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を有する塗工紙の非塗工面同士を、接着剤層(5)を介して貼合したことを特徴とする汚染ガス除去紙において、塗工機の流れ方向の両端部に疎水性および親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙。
【請求項4】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、塗工機の流れ方向の両端部に加え縦方向に1本以上設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項5】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、塗工機の流れ方向の両端部に加え横方向に1本以上設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項6】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、塗工機の流れ方向の両端部に加え斜め方向に1本以上設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項7】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)を、連続したパターン状に設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項8】
塗料層が、ガス吸着性粉体100質量部に対して、接着剤が10〜25質量部よりなる
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項9】
疎水性ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項10】
ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭である疎水性ガス吸着性粉体および親水性ガス吸着性粉体である含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の1種類若しくは複数との混合物であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項11】
親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の1種類であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項12】
親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の2種類の混合物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項13】
親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の中から選択した任意の3種類の混合物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項14】
親水性ガス吸着性粉体が、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲルおよびシリカアルミナ質ゲル状粘土の混合物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。
【請求項15】
疎水性および/または親水性のガス吸着性粉体と接着剤を主体とする塗料層を設けない部分(6)の一部あるいは全部にミシン目(7)を設けたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の汚染ガス除去紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−23395(P2007−23395A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203845(P2005−203845)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000225049)特種製紙株式会社 (45)
【Fターム(参考)】