説明

汚染便座防護衣類

【課題】身体の皮膚が便座に直接触れて細菌類や寄生虫に感染する恐れが無い防護下着を提供する。
【解決手段】身体に便座カバーの役目をする股間排泄孔位置に開口3を設けた防護下着を常に着用しておくことで、便座が汚染された公衆トイレに遭遇しても排便排尿状態において直接身体の皮膚が便座に触れないので、細菌類や寄生虫の感染を予防することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
公衆の便座式トイレには清潔な便座カバーがかけられていないので、便座に直接着座すると身体の皮膚が汚物に触れ、細菌や寄生虫に感染する恐れがある。これを防護するための衣類である。
【背景技術】
【0002】
便座カバーが無い便座式トイレを使用したとき、便座に直接身体が触れない構造の衣類をつけて着座し、排便排尿できる衣類は今までなかった。しかし、形状的にはやや類似した実用新案があるので次に示す。
実用新案出願2003−271609は身障者用が容易に排便できるスラックスである。スラックスは臀部部分を重ね合わせた構造となっており、これを両側に開いて臀部を露出させてから車椅子あるいは便座に着座して排便排尿できるものであって、汚染された便座に直接臀部皮膚が触れないようにする構造とはなっていない。したがって汚染された便座から感染を予防、防御することは出来ない。
実用新案出願2007−3204は女用ナイロン製パンティストッキングを男性にも利用出来るように小便口を開口して利用価値を更に高めるもので、ナイロン製パンティストッキングを着用した状態で便座に着座して排便排尿できる構造ではない。また、パンティストッキングは薄いので便座式トイレの便座に汚物・細菌類・寄生虫が付着ていた場合、これらを透過させる恐れがあり完全に防護しきれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案出願2003−271609号
【特許文献2】実用新案出願2007−3204号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際空港のように世界各国の要人が集合する場所においては、抗体や抵抗力が異なっている者が混合して公衆トイレを使用することになる。ある国の者には抵抗力が備わっていて発病・障害を発症させない細菌類や寄生虫であったとしても、他の国の者には危険な細菌類や寄生虫である可能性がある。抵抗力のない国の者が便座式公衆トイレの便座に遮蔽物や保護カバーが無い状態で着座した場合、臀部の皮膚が便座に直接触れて細菌類や寄生虫に感染する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
公衆トイレには清潔な便座カバーが常備されておらず、便座に直接皮膚が触れないよう便座の上にティシュを敷くか、または携帯用消毒液で便座を拭く等が行われている。しかし排尿・排便時は緊急を要することが多く、早急に便座を清潔にする余裕が無い。この問題を解決するため、公衆トイレに便座カバーを装着するのではなく身体に便座カバーの役目をする股間排泄孔位置が開口した防護下着を常に着用しておくという着眼点で便座に直接身体が触れない構造の衣類を開発した。この便座に直接身体が触れない構造の衣類を着用した状態で便座に着座すると、便座が細菌類や寄生虫で汚染された公衆トイレであつても、排便排尿状態において直接身体の皮膚が便座に触れないので、細菌類や寄生虫の感染を予防することができる。
【発明の効果】
【0006】
便座に直接身体が触れない構造の衣類を用いることにより、不特定多数が使用する公衆トイレに便座にカバーが無くても、便座に皮膚を直接接触させることなく排便ができるので他人の皮膚に繁殖していた細菌類や寄生虫に感染する危険性を回避することが出来る。
寒冷地や冬季において冷たい凍りついた便座に直接肌を密着して座ることがないので、不快感が無い。
便座に直接身体が触れない構造の衣類の上からパンティを穿けばパンティストッキングと違って二重に局部が覆われることがなく、通気性が良いので、細菌類が繁殖し難く、痒みや悪臭も発生し難い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】尿道口、肛門などの排泄孔に位置する部位の布をスリット状に除去し開口部をもうけた「汚染便座防護衣類」の概観図。
【図2】「汚染便座防護衣類」を着用した使用状況側面図。
【図3】「汚染便座防護衣類」を着用した使用状況正面図。
【図4】便座に接する部分のみに防護布を配置した「汚染便座防護衣類」を起立状態で着用した背面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
便座カバーが無い洋式公衆トイレにおいて、汚染された便座から身を護る「汚染便座防護衣類」は次の条件を満足させると最良の形態となる。
本発明の実施例を図に基づいて説明する。図1において、1は「汚染便座防護衣類」の裏地、2は「汚染便座防護衣類」の表地、3は「汚染便座防護衣類」の尿道と肛門位置スリット状の開口部である。図2に示すのは、肩紐で固定できるワンピース水着状の「汚染便座防護衣類」を着用した状態における排便排尿状況側面図である。図3に示すのは汚染便座防護衣類」を着用した起立状況正面図である。図4において、4は肩紐で固定しない、弾性締め付け型の「汚染便座防護衣類」であって、便座に直接身体が触れる部分を防護する防護布。5は肩紐で固定しない、弾性締め付け型の「汚染便座防護衣類」であって、防護布を固定する伸縮性網目布である。
以下に本発明の実施内容を説明する。「汚染便座防護衣類」は便座に着座した状態において、身体の皮膚が便座に直接触れる領域を通気性のある布、例えば不織布のような繊維製布4で覆い、さらに排尿・排便に支障がきたさない範囲を開口3してある構造であって、汚染便座から細菌汚染を防護する防護布4を太股裏側から臀部にかけて配置したスパッツ形状の網目布5とする。
「汚染便座防護衣類」は開口3位置が尿道、肛門排泄孔とずれないよう、ワンピース水着状の肩紐で固定できる構造が基本構造となる。しかし、開口位置を固定する肩紐が用いられない場合は、開口3位置が股間排泄孔とずれないよう、 伸縮性の高い弾性体布を用い、スパッツのように下半身に密着させ、その弾力性で締め付けて開口3位置を固定する。しかし、締め付けすぎて体の動きを阻害しない程度とする。
「汚染便座防護衣類」は通気性が良く、汗などを速やかに体外に排出し、股間・陰部が蒸れない材質とする。
「汚染便座防護衣類」の4および5は抗菌性金属線維や消毒薬を含浸させて抗菌性をもたせ、細菌類を殺菌できる材質を用いる。
人体の形状は個人差があるので、身長や肥満などの形態によって「汚染便座防護衣類」の寸法、開口3位置の種類を多くし、身体形態を計測して適切なものを選定できるよう配慮する。
とくに排便開口部3は開口部3長をジッパー,面接テープやフックなどの調節手段で微調整できる構造とする。この開口部微調整は例えばジッパーの場合開口部前ミゴロと後ミゴロに分割して開口できる構造とする。その特徴は開口部起点を開口部3中央とし前ミゴロ開口部3寸法と後ミゴロ開口部3寸法とが自由に設定でき、用便以外は閉口することも可能なるものが利便性が高い。
目視で汚染されていない便座であれば、前記のように消毒テッシュで便座を拭き、「汚染便座防護衣類」を着衣した状態で用便を済ませた後に、「汚染便座防護衣類」を即座に取り替えなくともよい。数回の用便後、あるいは1日着衣していてもよい。消毒テッシュと「汚染便座防護衣類」との2重の防護が働き、「汚染便座防護衣類」もほとんど汚染されず、そのまま継続しても差し支えないからである。
ところが、目視で明らかに汚染されていると判る便座であれば、まず、備え付けトイレペーパーか市販のテッシュで汚染物を拭き取り、次に消毒テッシュで拭き、そのうえで「汚染便座防護衣類」を着衣した状態で用便を済ませた後、「汚染便座防護衣類」を取りかえることになる。
「汚染便座防護衣類」は汚染便座に接することにより、その接地面は汚染されているので、その上から着衣すると、その着衣が汚染されることになる。この汚染を予防するため「汚染便座防護衣類」を取りかえることが必要である。
汚染した「汚染便座防護衣類」の取り替えは狭いトイレの空間で容易に、迅速に取り替えられるよう、臀部から太股の位置を覆うスパッツ形状の網目布5の後ミゴロと前ミゴロの境界線となる両側面をジッパーや面接テープで固定した紙おむつ形状とすると利便性が高い。「汚染便座防護衣類」の着脱が容易になるからである。
しかし、下着の下に着衣するため、外観上、できるだけ下着類の凹凸が着衣外面に現れない前記両側面の接続面が望ましい。これを解決するために、切取線となる弱線を前記両側面に加工しておき、この弱線に沿って容易に「汚染便座防護衣類」を引き裂き、脱衣できる構造とすることが望ましい。
汚染された「汚染便座防護衣類」の着脱は、狭いトイレ空間となり、この身動きが制約される中での困難な作業となる。特に脱衣時には「汚染便座防護衣類」に付着した汚染物を周辺物や身体に撒き散らす恐れがある。この脱衣時に汚染物を周辺物や身体に撒き散らすことのないよう、用便直後の状態で、速やかに引き裂き、容易に処分できる構造が望ましい。この構造としては切取線となる弱線を前記両側面に加工しておくことが考えられる。
この弱線とは臀部から太股の位置を覆うスパッツ形状の網目布5の前ミゴロと後ミゴロの境界線を接続する紐状繊維を取り付けておき、これを引き抜くことでスパッツ形状の網目布5の後ミゴロと前ミゴロの境界線を分断できる線のことである。あるいは文字どおり境界線の繊維を細く弱い強度のものを用いるか、弱い強度に加工し、この線に沿って簡単に引き裂いて分断できることを可能にする線のことでもあり、これらの弱線加工により容易に脱衣できることになる。
着衣時は用便後となり時間的に余裕がある。身動きが制約された狭いトイレ空間での着衣作業であっても、清潔な「汚染便座防護衣類」の新品を着衣するので汚染物を周辺物や身体に撒き散らす恐れが無く安心して着替えができる。このため、紙おむつのように前記両側面のジッパーや面接テープで固定して着衣する必然性は薄れるので前記両側面を弱線加工としてもよい。
網目布5の後ミゴロと前ミゴロの境界線に弱線や、後ミゴロと前ミゴロを接続する紐状繊維を加工しておくことは、製造の面から見て、ジッパーや面接テープで固定する場合に比べ、製品加工が容易になり、製造コストを削減できる。
【実施例1】
【0009】
図1に示すのは、肩紐で固定できるワンピース水着状の「汚染便座防護衣類」である。
【実施例2】
【0010】
図2に示すのは、肩紐で固定できるワンピース水着状の「汚染便座防護衣類」を着用した状態における排便排尿状況側面図である。
【産業上の利用可能性】
【0011】
今まで無かった便座カバー機能の衣類を創作して提供することになり、衣料業界に新たな需要を創作できる。
【符号の説明】
【0012】
1、 「汚染便座防護衣類」の裏地。
2、 「汚染便座防護衣類」の表地。
3、 「汚染便座防護衣類」の尿道、肛門位置スリット状開口部。
4、 肩紐で固定しない、弾性締め付け型の「汚染便座防護衣類」であって、便座に直接身体が触れる部分を防護する防護布。
5、 肩紐で固定しない、弾性締め付け型の「汚染便座防護衣類」であって、防護布を固定する伸縮性網目布。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臀部から太股の位置を覆うスパッツ形状の網目布と、前記網目布の排泄孔付近に設けられた開口部と、通気性を有する防護布とを備え、前記網目布の太股の後ろから臀部にかけての部分に前記防護布を設けたことを特徴とする汚染便座防護衣類。
【請求項2】
開口部の大きさを変更できる調節手段を有することを特徴する請求の範囲1記載の汚染便座防護衣類。
【請求項3】
臀部から太股の位置を覆うスパッツ形状の網目布の前ミゴロと後ミゴロの境界線となる両側面に弱線を加工しておくこと特徴とする請求の範囲1記載の汚染便座防護衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−219423(P2012−219423A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90057(P2011−90057)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(503364205)
【Fターム(参考)】